特許第6282817号(P6282817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6282817ドリルヘッド用支持パッド及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282817
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ドリルヘッド用支持パッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/06 20060101AFI20180208BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20180208BHJP
   B24B 51/00 20060101ALI20180208BHJP
   B24B 9/04 20060101ALI20180208BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20180208BHJP
   G05B 19/4103 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B23B51/06 B
   B23B51/00 K
   B24B51/00
   B24B9/04 Z
   G05B19/4093 A
   G05B19/4103 D
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-160586(P2013-160586)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-39997(P2014-39997A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】12181352.1
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】トニー エバンズ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ローズ
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0134759(US,A1)
【文献】 特開2005−182437(JP,A)
【文献】 特開2010−142949(JP,A)
【文献】 特表2003−502163(JP,A)
【文献】 特開平03−202207(JP,A)
【文献】 米国特許第5503589(US,A)
【文献】 特開平10−228306(JP,A)
【文献】 特開2007−272706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/00 −51/14
B24B 9/00 − 9/20
B24B 51/00
G05B 19/4093
G05B 19/4103
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
深孔加工機械のドリルヘッドのための支持パッドを製造する方法において、
この方法は仮想案内メトリックを生成するステップであって、支持パッドの前方側面と正面と後方側面のまわりで研削面の移動方向を規定するカーブした径路と、前記カーブした径路の始点と中点と終点前記カーブした径路と交わる複数の制御表面であって、各制御表面は前記カーブした径路の前記始点と中点と終点前記研削面の向きの角度を規定する制御表面とを含む仮想案内メトリックを生成するステップと、
コンピュータ数値制御(CNC)研削盤に、前記仮想案内メトリックをCNC研削盤の被削材ホルダーに保持された前記支持パッドと関連付けるように指示するステップと、
前記CNC研削盤の前記被削材ホルダーに保持された前記支持パッドに対して前記仮想案内メトリックに従って相対運動を生じさせるステップと、
前記相対運動の間、前記研削面の向きの角度を、前記カーブした径路の前記始点の制御表面と前記中点の制御表面との間、および、前記カーブした径路の前記中点の制御表面と前記終点の制御表面との間で連続的な仕方で変化させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記カーブした径路は、前記支持パッドの前方側面、正面、及び後方表面のまわりに単一の面取りされた表面を形成するためのU字状径路を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記支持パッドは、その対向する側面エッジの間に凸のアーチを描く外側表面を含み、前記カーブした径路はその前方側面エッジで外側表面の形を追従するためのアーチ状部分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記研削面の向きの角度を変化させるステップは、隣接する制御表面の終端点の間の距離xに沿って研削面が移動するとき、ある連続関数φ(x)、ただし各終端点でdφ/dx=0になるように、研削面の向きの角度を変えるステップを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記仮想案内メトリックはコンピュータメモリーに記憶された複数のパラメータを含み、パラメータが前記カーブした径路及び制御表面の性質を規定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のパラメータが以下のひとつ以上を含む、すなわち、
前記支持パッドの進入側正面エッジ面取り部の中央部分に沿った研削面の向きの角度を規定する一次リード角度、
前記進入側正面エッジ面取り部の中央部分に沿い、一次リード角度で傾斜する面取り部の幅を規定する一次リード幅、
前記進入側正面エッジ面取り部の中央部分の端で進入側正面エッジ面取り部に沿った研削面の向きの角度を規定する二次リード角度、
前記進入側正面エッジ面取り部の中央部分の端で進入側正面エッジ面取り部に沿い、二次リード角度で傾斜する面取り部の幅を規定する二次リード幅、
前記支持パッドの前方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド前方側面角度、
前記支持パッドの前方側面に沿い、パッド前方側面角度で傾斜する面取り部の幅を規定するパッド前方側面幅、
前記支持パッドの後方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド後方側面角度、
前記支持パッドの前方側面に沿い、パッド後方側面角度で傾斜する面取り部の幅を規定するパッド後方側面幅、及び
前方側面エッジ部分と進入側表面部分の間のカーブした径路の曲率半径を規定するブレンド半径、
のひとつ以上を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記仮想案内メトリックを生成するステップの前に、前記複数のパラメータのひとつ以上をコンピュータメモリーに入力するステップを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
対象物に表面プロフィールを適用する方法であって、
仮想案内メトリックを生成するステップであって、対象物の外周に沿った研削面の移動の方向を規定するカーブした径路と、前記カーブした径路の始点と中点と終点前記カーブした径路と交わる複数の制御表面であって、各制御表面は前記カーブした径路の前記始点と中点と終点前記研削面の向きの角度を規定する制御表面とを含む仮想案内メトリックを生成するステップと、
コンピュータ数値制御(CNC)研削盤に、前記仮想案内メトリックをCNC研削盤の被削材ホルダーに保持されるときの前記対象物に関連づけるように指示するステップと、
前記CNC研削盤の研削面と前記被削材ホルダーに保持された前記対象物との間で前記仮想案内メトリックに従って相対運動を生じさせるステップと、
前記相対運動の間、前記カーブした径路の前記始点の制御表面と前記中点の制御表面との間、および、前記カーブした径路の前記中点の制御表面と前記終点の制御表面との間で連続的な仕方で前記研削面の向きの角度を変えるステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属対象物の研削面のプロフィールに関する、詳しくは、本発明は、深孔加工、すなわち、金属の被削材に直径の4倍を超える深さの孔を機械加工するドリルヘッドのための支持パッドとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
深孔加工は、普通、セルフセンタリング(自動芯合わせ)されないドリルヘッドによって行われる。深孔加工のための従来のドリルヘッド、例えばシングル・チューブ・システム(STS)又はエジェクタ・システムの方法を用いるものは、非対称に配置された切削インサートによって構成される。そのようなドリルヘッドは、その正面端に外側切削インサート、内側切削インサート、及び中間切削インサートを備える。内側及び外側切削インサートは第1の切り屑流入ポートに隣接して配置され、中間切削インサートは第1切り屑流出ポートと直径上で対向する第2の切り屑流入ポートに隣接して配置される。
【0003】
一対の支持パッド(ガイドパッドとも呼ばれる)がドリルヘッドの正面端の周縁に取り付けられる。各支持パッドは径方向に突出する表面を有する。これらの突出する表面は外側切削インサートによって生成された壁に当接するためのものである。支持パッドは、外側切削インサートと共に、ドリルヘッドを孔の中で芯出しするための3点接触を与える。したがって、支持パッドと外側切削インサートは、ドリルヘッドの周縁で互いから間隔をあけている。
【0004】
このような支持パッドを有する深孔ドリルの例は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
従来の支持パッドは、別になった部品として、例えば超硬合金などの摩耗しにくい材料から形成され、その後ドリルヘッドに、例えばろう付け又はねじによって、固定される。各支持パッドは略立方体の形状を有するが、外側表面(すなわち、ドリルヘッドの中心から径方向で離れる方向に向いて孔の壁と接触する表面)は凸である、すなわち支持パッドの幅、すなわちドリルヘッドの周縁方向、に沿って凸のアーチを描いている。支持パッドによって表される径方向に突出する表面は、ドリルヘッドの正面端から支持パッドの長さ方向に沿って傾斜する、すなわち、径方向への最大の突出は支持パッドの正面エッジになる。
【0006】
支持パッドのエッジには外側表面への移行をスムースにするために面取り部(chamfer)が形成される。面取り部の公知の問題点は、それらの交線(普通、支持パッドのコーナーにある)が鋭利になって新たな切削面として働く可能性があるということである。これは孔の質を劣悪なものにし、らせん、うね模様、サイズオーバー、引っ込めるときの刻みライン、などとして表れ、支持パッド又はドリルヘッドの寿命を短縮し、使用しているドリルヘッドの表面速度にもマイナスに影響する。
【0007】
この問題を解決するためにいろいろな試みがなされた。例えば、ダイヤモンドやすり又はラップを用いて、交線を手で磨く(hone)ことができる。しかし、この方法は、本質的に労働集約的であり、一貫性及び再現性という観点から制御することが難しい。また、従来の機械研削工程を追加して交線をブレンドすることも試みられた。しかし、研削面の導入と導出のためにはクリアランスがなければならないから、新たな研削工程の追加は必然的に新たな交線を生成する。
【0008】
特許文献4は、前述の研削工程で円錐状研削面を用いて、正面面取り部と支持パッドの外側表面の間の交線に沿って新たなアーチ状の面取りを効果的に行う方法を開示している。しかし、この場合も、新たな面取りが側面の面取りと交わるところに新たな交線が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5697737号明細書
【特許文献2】米国特許第6602028号明細書
【特許文献3】米国特許第6682275号明細書
【特許文献4】米国特許出願第2010/015623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最も一般的な形で、本発明は、深孔ドリルヘッド用の支持パッドであって、そのエッジ面取り部が連続研削作業で形成され、支持パッドの外側(すなわち、接触)表面につながる傾斜した側面に何も不連続性が現れない支持パッドを提供する。これは、摩擦力が特に高くなる場所である支持パッドの前方側面と正面との間のコーナーにとって特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の様態では、深孔加工機械のドリルヘッドの支持パッドが提供される。この支持パッドは、孔をあける被削材と接触し、その対向する側面エッジの間で凸のアーチを描く外側表面と、外側表面に対向する内側表面と、内側表面と外側表面の間で支持パッドの第1の側面に沿った前方側面と、内側表面と外側表面の間で支持パッドの第1の側面に対向する第2の側面に沿った後方側面と、ドリルヘッドの先端側に位置するための正面であって、内側表面と外側表面の間で前方側面と後方側面の第1の端にある正面と、内側表面と外側表面の間で前方側面と後方側面の第1の端に対向する第2の端にある背面と、外側表面と前方側面の間の前方側面エッジ面取り部であって、外側表面の前方側面エッジに沿って外側表面に対して第1の角度に向いている前方側面エッジ面取り部と、外側表面と正面の間で進入側正面エッジ面取り部(面取りされた進入表面)であって、外側表面の前方側面エッジに沿って外側表面に対して第2の角度に向いている進入側正面エッジ面取り部と、を有し、前方側面エッジ面取り部は、その外側表面に対する向きが第1の角度から第2の角度に不連続性なしに変化する前方移行領域を経て進入側正面エッジ面取り部と合体する。不連続性がないことは平らな表面の間の認められるような交線がない滑らかな輪郭の表面に対応する。したがって、摩擦力が集中するようなシャープなエッジはない。
【0012】
上に規定されたような支持パッド構造はいくつかの利点がある。異なる向きの平面の間の交線が存在しないことは支持パッドに作用する摩擦力を減ずる。これはさらに、ドリルヘッドの摩擦負荷を減らし、それによって振動を防ぐことができるので孔の品質が向上する。さらに、支持パッドの使用寿命が増大し、ドリルヘッドの全体的な生産性が高まる。
【0013】
前方側面エッジ面取り部、前方移行領域、及び進入側正面エッジ面取り部が一回の機械研削作業で形成されることが好ましい。これを達成する方法は以下で詳しく述べる。一回の作業で表面を形成することは、上述した公知の手による磨き作業よりも効率的であり再現性が高い。それによって支持パッドの効率的な工業規模の製造が容易になる。
【0014】
支持パッドは、外側表面と後方側面の間に後方側面エッジ面取り部を含むことができ、後方側面エッジ面取り部は外側表面の後方側面エッジに沿って外側表面に対して第3の角度に向いており進入側正面エッジ面取り部は外側表面に対する向きが第2の角度から第3の角度へ不連続性なしに変わる後方移行領域を経て後方側面エッジ面取り部に合体する。言い換えると、進入側正面エッジ面取り部と後方側面エッジ面取り部の間の移行では、進入側正面エッジ面取り部と前方側面エッジ面取り部の間の移行と同じ手法を用いることができる、すなわち、進入側正面エッジ面取り部、後方移行領域、及び後方側面エッジ面取り部は一回の機械研削作業で形成できる。
【0015】
実際には、前方側面エッジ面取り部、進入側正面エッジ面取り部、及び後方側面エッジ面取り部を有することが望ましい。これらの面取り部、及び前方移行領域、及び後方移行領域の3つ全部が一回の研削工程で不連続性なしに形成されることが好ましい。
【0016】
第1の角度は前方側面エッジ面取り部に沿って変わることができる。どんな変化も連続的な仕方で生じ、鋭利な交線、すなわち角度がついた面の不連続性が発生することを避けることが好ましい。同様に、第2の角度は進入側正面エッジ面取り部に沿って変わることができる、及び/又は、第3の角度は後方側面エッジ面取り部に沿って変わることができる。やはり、同じ理由により、いかなる変化も連続的であることが好ましい。
【0017】
ある実施形態では、外側表面の前方側面エッジの実質的に中央に凹み部分が形成される。進入側正面エッジ面取り部はこの凹み部分に対応する滑らかなへこみ部分を含む。外側表面の前方側面エッジの中央は、しばしば最大の摩擦力が加わる箇所である。この箇所で支持パッドが劣化又は破損することがよくある。この凹み部分は摩擦力を分散させて支持パッドの寿命を延ばすことを目的としている。外側表面の前方側面エッジの幾何形状を変えることは、従来の支持パッドの製造方法では望ましいことではなく、場合によっては不可能である。
【0018】
本発明の第2の様態では、上述のような支持パッドを製造する方法が提供される。従来支持パッドは、材料の鋳造品として製造され、その最終形状は、コンピュータ援助製造(CAM)プロセスの一部として、ANCA Pty.Ltd製のTX7+ユニバーサル研削機などのコンピュータ数値制御(CNC)研削盤で仕上げられる。従来、支持パッドの幾何形状はコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウエアを用いて生成される通常のCAMプロセスは、支持パッドのCAD表現からCNC研削盤を駆動するための指示(例えば、G−コード)の生成を含む。しかし、本発明者らはこの方法にある問題点を認めた。それは、CAD図面の中で支持パッドの前方側面と正面のまわりの滑らかな輪郭の面取りされた表面を数学的に表現することはきわめて難しいということであった。望ましい表面プロフィールを数学的に表現できるようになるまでは、CNC研削盤を駆動するための適切な指示を引き出すことができないので、望ましい表面プロフィールを製造するために明らかな障害となる。さらに、各特定幾何形状に対して別々の数学的表現が必要とされるように思われたが、これは製造にとって重荷であった。
【0019】
本発明者らは、支持パッドの完全なCAD表現を迂回することによってこの問題に対する解決を見出した。本発明者らは、CNC機械自身はスタート及びストップの向きが与えられたとき、支持パッドに対して研削面の位置の連続的な変化を実行できるということを認識していた。すなわち、支持パッドの幾何形状が研削面の固定された向きのスケルトン構造として表現できるならば、CNC研削盤自身は滑らかな移行を与えるであろうと認識していた。その移行の数学的な表現を予め算出することは必要でなかった。
【0020】
このように、本発明の第2の様態によれば、深孔加工機械のドリルヘッドの支持パッドを製造する方法が提供される。この方法は、支持パッドブランクの前方側面と正面のまわりの研削面の移動方向を規定する曲がった径路と、長さに沿った別々の離散的箇所でこの径路に交わる複数の制御表面であって、各制御表面は径路上の各離散的箇所における研削面の向きの角度を規定する複数の制御表面とを含む仮想案内メトリック(virtual guide metric)を生成するステップと、コンピュータ数値制御(CNC)研削盤に、その仮想案内メトリックをCNC研削盤の被削材ホルダーに保持される支持パッドと関連づけるように指示するステップと、CNC研削盤の研削面と被削材ホルダーに保持される支持パッドとの間の相対運動を仮想案内メトリックに従って生じさせるステップと、この相対運動の間、研削面の向きを隣接する制御表面の間で連続的な仕方で変化させるステップとを含む。すなわち、本発明の方法によれば、仮想案内メトリックが支持パッドに対する研削面の径路と径路のまわりでの途中の研削面の位置の組を組合せて提供する。CNC研削盤は、仮想案内メトリックを解釈して、各隣接位置の間での研削面の運動を決定する。この方法の特別な利点は、仮想案内メトリックがひと組のパラメータによって定められ、全く新しい形を生成しなくても、新しいパラメータの組を入力するだけでいろいろな幾何形状を生成することができるということである。
【0021】
このように、仮想案内メトリックはコンピュータメモリーに記憶される複数のパラメータを含み、それらのパラメータが曲がった径路と制御表面の性質を規定する。仮想案内メトリックを生成するステップの前に、この方法は複数のパラメータのひとつ以上をコンピュータメモリーに入力するステップを含むことができる。例えば、仮想案内メトリックは、支持パッドの前方側面、正面及び後方表面のまわりで単一の面取りされた表面を形成するためのU字状径路を含むことができる。U字状径路は、使用しようとする支持パッドに対応する第1の組のパラメータ、例えば、幅、長さ、前方コーナーの半径、後方コーナーの半径、などによって定められる。複数のパラメータは、支持パッドの進入側表面(正面)の中央部分に沿った研削面の向きの角度を規定する一次リード角度、進入側表面の中央部分に沿った面取り部の幅を規定する一次リード幅、中央部分の各側での進入側表面に沿った研削面の向きの角度を規定する二次リード角度、中央部分の各側での進入側表面に沿った面取り部の幅を規定する二次リード幅、支持パッドの前方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド前方側面角度、支持パッドの前方側面に沿った面取り部の幅を規定するパッド前方側面幅、支持パッドの後方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド後方側面角度、支持パッドの後方側面に沿った面取り部の幅を規定するパッド後方側面幅、及び、前方側面エッジ部分と進入表面部分の間の曲がった径路の曲率半径を規定するブレンド半径(blend radius)、の任意のひとつ以上を含むことができる。
【0022】
上述したように、支持パッドは対向する側方エッジの間で凸のアーチを描く外側表面を含むことができる。この場合、曲がった径路は、その前方側面エッジで外側表面の形を追従するアーチ状部分を含むことができる。このアーチの半径が仮想案内メトリックのもうひとつのパラメータとなるであろう。上で述べたように、外側表面の正面エッジに凹み部分を設けることが望ましいであろう。これは、U字状の径路に適当なへこみを設けることで行うことができる。へこみの深さと半径がU字状の径路のパラメータになる。
【0023】
CNC研削盤を隣接する制御表面の間の向きの角度を変えるように配置する(例えば、プログラムする)仕方は、仮想案内メトリックを入力する前にCNC研削盤に予め設定する、又はプログラムすることができる。したがって、研削面の向きの角度を変えるステップは、研削面が隣接する制御表面のターミナル端点の間の距離xに沿って移動するときの、連続関数φ(x)にしたがって向きの角度を変えるステップを含む、ただし、各ターミナル端点でdφ/dx = 0である。距離xは曲がった径路に沿った距離、例えば支持パッドの前方コーナー又は後方コーナーをまわる径路に沿った距離であってもよい。CNC研削盤は、制御表面のターミナル端点と対応する導関数によって与えられる条件及び/又は境界条件を用いて連続関数φ(x)を決めることができる。
【0024】
実際には、仮想案内メトリックは、CAD環境で、例えば支持パッドの表現に関連して、定めることができる。例えば、U字状の径路と制御表面は、支持パッドブランクの表現の上に懸垂された(すなわち、それから垂直方向に間隔をあけた)プロフィールを実効的に定める。懸垂されたプロフィールと支持パッドを用いてブール(Boolean)演算を行って研削された表面の仮想図を与えることによって研削作業の結果を模倣することが可能であろう。
【0025】
本発明の第2の様態は、深孔加工の分野以外でも応用できる。対象物に滑らかな輪郭の表面を機械加工する必要があるどんな状況でもこれは役に立つであろう。したがって、本発明の第2の様態は、対象物に表面プロフィールを適用する方法と表現することができ、この方法は、対象物の周に沿って研削面の移動の方向を規定する径路と、その長さに沿った別々の離散的箇所で径路と交わる複数の制御表面を含み、各制御表面が径路上の各離散的箇所での研削面の向きの角度を規定する仮想案内メトリックを生成するステップと、コンピュータ数値制御(CNC)研削盤に、その仮想案内メトリックをCNC研削盤の被削材ホルダーに保持される対象物と関連づけるように指示するステップと、CNC研削盤の研削面と被削材ホルダーに保持される対象物の間の相対運動を仮想案内メトリックに従って行わせるステップと、この相対運動の間に研削面の向きの角度を隣接する制御表面の間で連続的な仕方で変化させるステップと、を含む。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来の深孔用のドリルヘッドを示す側面図である。
図2図1に示された従来の深孔用のドリルヘッドを示す正面図である。
図3】従来の支持パッドを示す上面図である。
図4】本発明のある実施形態である支持パッドの上面図を示す写真である。
図5】本発明のある実施形態である方法において使用するのに適した仮想案内メトリックを示す概略斜視図である。
図6A】本発明の支持パッドをU−U線に沿って切断した断面図であり、仮想案内メトリックのパラメータが示されている。
図6B】本発明の支持パッドを示す一連の図であり、仮想案内メトリックのパラメータが示されている。
図6C】本発明の支持パッドを示す一連の図であり、仮想案内メトリックのパラメータが示されている。
図7】本発明を実施するのに適した5軸CNC研削盤を示す概略側面図である。
図8】本発明の方法のある実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1と2は、従来の深孔加工機械用のドリルヘッド10を示す。本発明の支持パッドはこのタイプのドリルヘッドで使用するのに適している。ドリルヘッド10は、背面端14(孔加工機械に近い)と正面端16(孔加工機械から遠い)を有する中空の、略円筒状のボディを備える。使用時には、ドリルヘッド10はドリルチューブ(図示せず)に取り付けられる。ドリルヘッド10の背面端14の雄ねじ12はドリルチューブに形成された対応する雌ねじ溝とかみ合うように配置されている。
【0028】
図2でもっとはっきり見られるように、正面端16は3つの非対称的に配置された切削インサート18,20,22が取り付けられている。切削インサートは、ドリルヘッド10の周縁に取り付けられた外側切削インサート18と、ドリルヘッド10の中心近くに取り付けられた内側切削インサート20と、ドリルヘッド軸からの径方向距離が内側切削インサートと外側切削インサートの間にあって、内側切削インサートと外側切削インサート18,20から周方向に間隔があいている中間切削インサート22を含む。内側及び外側切削インサート18,20は、第1の切り屑流入ポート24に隣接する共通の半径に沿って位置している。中間切削インサート22は、第1の切り屑流入ポート24に直径上で対向する第2の切り屑流入ポート26に隣接して位置している。
【0029】
外側切削インサート28は径方向に突出した部分29(図1に最もよく見られる)を備え、それが切削のさいに生成される孔の壁に接触する。一対の支持パッド30がドリルヘッド10の正面端でその周縁に取り付けられる。各支持パッド30は径方向に突出する表面を有し、これもまた、外側切削インサートによって生成される孔の壁に当接する。こうして、支持パッド30は外側切削インサート28と共に3点接触を可能にし、孔の中でドリルヘッドを芯出しする。支持パッドと外側切削インサートは、ドリルヘッド10の周縁をまわってほぼ等しく間隔をあけているが、他の角度配置も可能である。
【0030】
図3は支持パッド30のひとつをさらに詳しく示している。支持パッド30はドリルヘッド10の外周側面に形成されたポケット32に取り付けられる。支持パッド30ははんだ付けによってポケット32に固定することができる。支持パッド30は凸のアーチ状の外側表面34を有する。これは孔の壁に向いている面である。外側表面34は、支持パッドがドリルヘッドの正面端から離れる方向へ延びるにつれて径方向にわずかに傾斜することができる。この傾斜は支持パッド30自身の形によって生ずるか、又はドリルヘッド自身の外周壁のわずかに円錐状の傾斜によって生ずる。外側表面34の正面エッジには進入側正面エッジ面取り部36が形成される。同様に、外側表面34の前方側面エッジと後方側面エッジには、それぞれ、前方側面エッジ面取り部38と後方側面エッジ面取り部40とが形成される。外側表面の背面端にはまた、背面エッジ取り部42が形成される。図3で、進入側正面エッジ面取り部36が明瞭な交線44,46で前方側面エッジ面取り部38と後方側面エッジ面取り部40と出会うことが見られる。同様の交線は、前方側面エッジ面取り部38と後方側面エッジ面取り部40が背面エッジ面取り部42と出会うところにも生ずる。交線44,46は外側表面34のエッジのまわりの表面の角度の不連続性を示す。上で説明したように、これらの交線44,46は十分に鋭利であり、穿孔された孔に及び孔からドリルヘッドを入れたり出したりするときに切れ刃として作用し、孔の劣化につながる。
【0031】
本発明は、交線が存在しない支持パッドと、それに対応する製造方法を提供する。図4は本発明のある実施形態である支持パッド50を示す上面図である。支持パッドは、支持パッドの前方側面エッジと正面端のまわりの連続的な面取り部によって特徴づけられ、それはまた角度の不連続性なしに後方側面エッジまで続く。図3に示された従来の支持パッド30と同様に、本発明の支持パッド50は、凸にアーチする外側表面34の正面端エッジ、前方側面エッジ及び後方側面エッジにそれぞれ形成される進入側正面エッジ面取り部36、前方側面エッジ面取り部38及び後方側面エッジ面取り部40を含む。従来の支持パッドとの違いは、支持パッド50は交線の代わりに前方移行領域52と後方移行領域54を含むことである。前方移行領域52は、前方側面エッジ面取り部38から進入側面取り部36へ不連続性なしに延びる傾斜接続面を含む。同様に、後方移行領域54は、進入側面取り部36から後方側面エッジ面取り部38へ不連続性なしに延びる傾斜接続面を含む。不連続性なしにとは、ドリルヘッドボディに対応する概念的な(notional)円筒状表面に対して面取りされた表面が張る角度が連続的に変わるということを意味する。
【0032】
上で述べた面取りされた表面は、平面の研削面を形成する研削要素を支持パッドに対して動かすことによって形成される。支持パッド(ブランク)は凸にアーチした外側表面を有する立方体の材料である。支持パッドはその形に鋳造又はその他の仕方で作られる。研削要素は、CNC研削盤、好ましくは、ANCAのTN7+ユニバーサルグラインダーなどの5軸研削盤の一部であり、5つの自由度で支持パッド(被削材ホルダーに取り付けられたとき)に対して研削面を動かすことができる。
【0033】
5軸CNC研削盤100の概略図が図7に示されている。研削盤100は、研削要素102を有し、それは垂直軸106のまわりで回動可能な枠104に取り付けられている。これによって研削面の向きをひとつの自由度で変えることが可能になる。被削材ホルダー108はキャリッジ110に取り付けられている。キャリッジは研削要素に対してそれぞれ矢印112,114に示されるように前後方向、及び左右方向に動くことができる。矢印116に示されるように被削材ホルダー108はキャリッジ上で上下に動かすことができる。すなわち、被削材ホルダー108は研削要素に対して3つの直線次元で運動の自由を有する。被削材ホルダーはまた水平軸118のまわりで回転できる。
【0034】
本発明では、研削面を支持パッドに対して相対的に一回の研削作業で動かして少なくとも前方側面エッジ面取り部、前方移行領域及び進入側面取り部を形成するように研削盤に指示することができる。その一回の研削作業で後方移行領域及び後方側面エッジ面取り部も形成できる。
【0035】
本発明の要点は、一回の研削作業が支持パッドの完全なCAD表現に基づいて指示されるのでなく、基準点の3次元的配置を示すスケルトン構造(ここで仮想案内メトリックと呼ばれる)に基づいて指示され、それらの間ではCNC研削盤が研削面の径路を決定するということである。将来の設計フレキシビリティーを可能にする仕方で、すなわち寸法等を変化させることができるように、支持パッドのCAD図面又はモデルを連続的にブレンドする面取りを含めて生成するのは実際には不可能である。面取りされた表面の数学的表現は、特に外側表面の正面端エッジが凸である点を考えるときわめて複雑であり、ソフトウエアに単純明快にコーディングすることは難しい。他方、仮想案内メトリックは、面取りされた表面をパラメータ化する手段を与え、面取り部の角度や形、又は支持パッド自身のサイズ、の変更を可能にする。
【0036】
図5は、本発明で用いるのに適した仮想案内メトリック60の概略模式図を示す。仮想案内メトリック60はCAD環境で支持パッド62のCAD表現に関して生成される。仮想案内メトリック60はU字状にカーブしたガイド径路64と複数の制御表面66を規定する。カーブしたガイド径路64は、研削面が支持パッド62の外側表面のトップエッジをまわってたどるルートを定める。このU字状径路は、こうして支持パッド62の前方側面エッジ、正面端エッジ、及び後方側面エッジのラインを効果的にたどる。各制御表面66は、カーブした径路64上のその点で面取り部が示すべき角度に対応する角度でカーブした径路64と交わる。カーブした径路64は、支持パッド62の外側表面より予め定められた距離だけ上に盛り上がっている平面プロフィール68上にある。この予め定められた距離は仮想案内メトリックの選択できるパラメータであってよい。CNC研削盤はそれを用いて、研削を行う前に支持パッドに対する研削面の位置を決めることができる。同様に、各制御表面66は平面プロフィール68に対する角度によって規定されることができる。
【0037】
図5に示された実施形態では、9つの制御表面66がある。もっと多くの制御表面を用いて、面取り部の形に関する柔軟性を高めることができる。進入側の表面上の摩擦荷重の異なる分布が必要とされる場合、これは有用であろう。
【0038】
9つの制御表面は、U字状径路64のそれぞれ始めと終わりにおけるランイン(run in)制御表面68とランオフ(run off)制御表面70を含む。これらの表面は、研削面が研削作業の始めと終わりにブランク(支持パッド)と接触し、ブランク(支持パッド)から離れるときに支持パッドと正しく整列するようにする。前方側面エッジ面取り部と後方側面エッジ面取り部は普通、支持パッドの側面に沿って一定の角度の面取り部を構成する。ランイン及びランオフ制御表面68、70はこの角度になっている。前方側面エッジ面取り部と後方側面エッジ面取り部を生成するために、仮想案内メトリックは、それぞれの面取り部の角度を有する前方側面エッジ制御表面72と後方側面エッジ制御表面74を規定する。ランイン制御表面68と前方側面エッジ制御表面72は同じ角度を有する一対の制御表面を与える。研削面はこれらの制御表面の間でU字状径路に沿って動くときに向きを変える必要はない。これは、仮想案内メトリックがその表面のグラフィック表現を規定していなくても一定の角度の面取り部が生成されるということを意味する。同じことは、ランオフ制御表面70と後方側面エッジ制御表面74にもあてはまる。
【0039】
前方側面エッジ制御表面72と後方側面エッジ制御表面74は、U字状径路64が支持パッド62の正面を回ってカーブし始める点でこのU字状径路64と交わる。カーブの半径は仮想案内メトリックのパラメータであり、それが前方側面エッジ制御表面72と後方側面エッジ制御表面74の位置、そして前方及び後方面取り部の長さを左右する。前方側面エッジコーナーの半径と後方側面エッジコーナーの半径は独立なパラメータであってよい。
【0040】
この実施形態では、前方側面エッジコーナーと後方側面エッジコーナーの中点に位置している制御表面がある。U字状の径路64は前方側面エッジコーナーと後方側面エッジコーナーの間に進入側表面の部分を含む。この部分は進入側正面エッジ面取り部に対応する。支持パッドが受ける摩擦力の点で、これは支持パッドのうち最も重要な部分であるから、その形は注意深く制御される必要がある。この実施形態では、この部分に3つの正面の制御表面が設けられる、例えば、前方側面エッジコーナーの終わりにひとつ、後方側面エッジコーナーの終わりにひとつ、そしてこの両者の間に位置するものがひとつ設けられる。これらの制御表面は進入側正面エッジ面取り部で変化する面取り部を、例えば正面の中心に(すなわち、凸の外側表面のピークにおいて)凹んだ部分を形成することを可能にする。
【0041】
仮想案内メトリックを構成するパラメータを受け取ると、CNC研削盤は、制御表面を基準として用いて(被削材ホルダー内の)支持パッドに対する研削面の径路をプロットすることができる。CNC研削盤は、一定の仕方で制御表面の間で研削面の角度を変えるように予めプログラムされ、又は指示されることができる。本質的にこれは面取り角度に不連続性があってはならないということを意味する。これは、U字状径路に沿って増加する距離xと共にこの角度が制御表面の間である連続関数φ(x)に従って変わる場合、各制御表面ではdφ/dx= 0であることが要求されると解釈できる。関数φ(x)は、各一対の制御表面の間で異なってもよい。CNC研削盤は、このために呼び出すことができる関数のライブラリーを有するであろう。通常、これらの関数は与えられた仮想表面を再現するために必要な動きを解釈するときに呼び出される。本発明は、図で加工表面を表現するステップを回避し、その代わりに研削面に対するもっと直接的な指令で加工面を表現する。
【0042】
図6A,6B及び6Cは、仮想案内メトリックの部分を構成するいろいろなパラメータを示している。図6Aは、支持パッドの中心の下方への長手方向断面図である。図6Bは、支持パッドの正面図である。図6Cは支持パッドの平面図である。
【0043】
図6Aは、次の4つのパラメータを示している:支持パッドの進入側表面の中央部分に沿った研削面の向きの角度を規定する一次リード角度76、進入側表面の中央部分に沿った面取り部の幅を規定する一次リード幅78、中央部分の端での進入側表面に沿った研削面の向きの角度を規定する二次リード角度80、及び、中央部分の端での進入側表面に沿った面取り部の幅を規定する二次リード幅82、である。これらのパラメータはこうして正面の3つの制御表面に影響する。
【0044】
図6Bは,さらに別の4つのパラメータを示している。支持パッドの前方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド前方側面角度84、支持パッドの前方側面に沿った面取り部の幅を規定するパッド前方側面幅86、支持パッドの後方側面に沿った研削面の向きの角度を規定するパッド後方側面角度88、及び、支持パッドの後方側面に沿った面取り部の幅を規定するパッド後方側面幅90、である。これらのパラメータは、ランイン制御表面68,ランオフ制御表面70,前方側面エッジ終端制御表面72,及び後方側面エッジ終端制御表面74に影響する。
【0045】
図6Cはさらに3つの別のパラメータを示している。前方側面エッジと進入側表面の間のカーブした径路の曲率半径を規定するブレンド半径92、及び支持パッドの正面と外側表面の背面エッジとの間の距離を規定する支持パッド長さ94である。ブレンド半径92は前方側面エッジ終端制御表面72と前方側面エッジコーナー制御表面の位置に影響する。
【0046】
上述したパラメータは、仮想案内メトリックにとって不可欠ではない。それらは仮想案内メトリックを、異なるサイズや形の支持パッドに適合させるための効率的な簡便な(shorthand)仕方になっている。
【0047】
図8は、本発明の実施形態である製造方法の工程を示している。第1のステップ120は、パラメータを入力して仮想案内メトリックを生成するステップである。このステップは、CAD環境内で仮想案内メトリックを作図するステップ(drawing)を含んでもよい、又は上述したパラメータに対応するデータを、それらのパラメータから仮想案内メトリックを生成できるシステムに入力するステップを含んでもよい。
【0048】
第2のステップ122は、仮想案内メトリックをCNC研削盤に伝達するステップである。これは、CAD図面をCAD環境で伝達する仕方と同様に、従来のどんな仕方でも行うことができる。
【0049】
第3のステップ124は、CNC研削盤において、被削材ホルダーに対する研削面の相対運動を仮想案内メトリックに従って計算するステップである。このステップは、研削面の角度を隣接する制御表面の間で連続的な仕方で変化させる関数を計算するステップを含むことができる。仮想案内メトリックを規定するパラメータが与えられると、従来のCNC研削盤はこの計算を公知の方法で実行することができる(又は、実行するようにプログラムすることができる)。
【0050】
第3のステップ126は、CNC研削盤を作動させて計算された相対運動を実行して支持パッドを製造するステップである。
【符号の説明】
【0051】
10 ドリルヘッド
18,20,22,28 インサート
24 切り屑流入ポート
30,50 支持パッド
34 外側表面
36 進入側正面エッジ面取り部
38 前方側面エッジ面取り部
40 後方側面エッジ面取り部
42 背面エッジ取り部
44,46 交線
52 前方移行領域
54 後方移行領域
60 仮想案内メトリック
62 平坦面
64 ガイド経路
66,68,70,72,74 制御表面
76 一次リード角度
78 一次リード幅
80 二次リード角度
82 二次リード幅
84 パッド前方側面角度
86 パッド前方側面幅
88 パッド後方側面角度
90 パッド後方側面幅
92 ブレンド半径
94 支持パッド長さ
100 研削盤
108 被削材ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8