【実施例】
【0055】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0056】
以下の実施例、比較例における測定及び評価は下記の方法でおこなった。
【0057】
1.総繊度(dtex)及び単繊維繊度(dtex)
総繊度は、JIS L 1013 8.3.1B法に準じて測定した。単繊維繊度は、総繊度をフィラメント数で徐したものを単繊維繊度とした。
【0058】
2.潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)
前述の方法にて測定、算出した。
【0059】
3.潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の伸度(%)
JIS L 1013:2010 8.5.1伸び率 標準時試験に従って、測定、算出した。
【0060】
4.潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)及び複合仮撚糸の捲縮率(%)
前述の方法にて測定、算出した。
【0061】
5.非交絡部の平均長さ(mm)
ポリエステル複合仮撚糸に0.0882(cN/dtex)の荷重をつけて500mmの印間長を取り、印をつける。次に、該荷重をはずし、全重量が0.0882(cN/dtex)であるフックを用いて、500mmの始点の非交絡部にフックをかけて、そのままフックを下降させ、フックが止まる部分、すなわち交絡部に印をつけ、それを500mmの終点まで繰り返す。次に再び該複合仮撚糸に0.0882(cN/dtex)の荷重を取り付け、500mm印間長の中の隣り合う交絡部と交絡部の間の長さ、すなわち非交絡部の長さを測定し、500mm間にある非交絡部の長さを合計し、その値を500mm間の非交絡部の個数で除して非交絡部の平均長さを産出する。それを5回繰り返し、その5回の平均を持って、該複合仮撚糸の非交絡部の平均長さとする。
【0062】
6.工程通過性
筬3枚を糸道の角度が45°となるように並べ、得られた複合仮撚糸に0.0882cN/dtexの荷重をかけ張力を付与し、1000m/minの速度で10分間走行させ、糸切れの発生、または、筬上における潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸ズレの発生を観察し、以下のように評価した。
◎:糸切れ、糸ズレの発生がなく、スムーズな走行であった。
○:潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸が離れ、膨らみが発生したが、糸切れ、糸ズレの発生がなかった。
△:糸ズレが発生したが、糸切れは発生しなかった。
×:糸切れが発生した。
【0063】
7.織物のストレッチ性、ソフト性
得られた織物について、10人のパネラーによる官能評価を行った。各々の試料でストレッチ性が優れるもの、ソフト性が優れるものを10点満点として1〜10点の10段階で評価し10人の平均値を算出し、下記基準により評価し、○以上を合格とした。
◎:8点以上
○:6点以上
△:4点以上
×:4点未満
【0064】
(実施例1)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸として、極限粘度1.05のホモPBTと極限粘度0.47のホモPETを複合比率(ホモPBT/ホモPET)60/40としてサイドバイサイド型に複合した複合繊維糸条(84dtex24フィラメント、伸度108.1%)を供給糸とした。また、他のポリエステル糸として、ホモPET糸条(90dtex48フィラメント、伸度116.9%)を供給糸とした。
【0065】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として4mm厚のウレタン製ディスクを用い、ディスク構成1−7−1としたフリクションディスクを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理を施し、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さないものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0066】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0067】
(実施例2)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸として、極限粘度1.05のホモPBTと極限粘度0.47のホモPETを複合比率(ホモPBT/ホモPET)60/40としてサイドバイサイド型に複合した複合繊維糸条(84dtex24フィラメント、伸度108.1%)を供給糸とした。また、他のポリエステル糸として、ホモPET糸条(90dtex156フィラメント、伸度95.7%)を供給糸とした。
【0068】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として4mm厚のウレタン製ディスクを用い、ディスク構成1−7−1としたフリクションディスクを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さないものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0069】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0070】
(実施例3)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例1と同一のものを供給糸とした。
【0071】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として増速ローラーを用いたピンタイプを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さないものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0072】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度123本/2.54cm、緯糸密度96本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットした。その後、仕上げセットした織物を80℃×20分で精練、100℃×20分のリラックス処理をおこなう変則2段処理を行った後、染色仕上げをし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0073】
(実施例4)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例2と同一のものを供給糸とした。
【0074】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として増速ローラーを用いたピンタイプを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さないものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0075】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度123本/2.54cm、緯糸密度96本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0076】
(比較例1)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例1と同一のものを供給糸とした。
【0077】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として4mm厚のウレタン製ディスクを用い、ディスク構成1−4−1としたフリクションディスクを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さないものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0078】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0079】
(比較例2)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例2と同一のものを供給糸とした。
【0080】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として4mm厚のウレタン製ディスクを用い、ディスク構成1−7−1としたフリクションディスクを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において他のポリエステル糸が芯となる芯鞘構造を呈するものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0081】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0082】
(比較例3)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例1と同一のものを供給糸とした。
【0083】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として4mm厚のウレタン製ディスクを用い、ディスク構成1−7−1としたフリクションディスクを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において他のポリエステル糸が芯となる芯鞘構造を呈するものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0084】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度128本/2.54cm、緯糸密度100本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0085】
(比較例4)
潜在捲縮性能を有するポリエステル糸、他のポリエステル糸として、実施例2と同一のものを供給糸とした。
【0086】
図1に示す製造工程に従い、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸を第1供給ローラー3に、他のポリエステル糸を第2供給ローラー4に供給し、ヒーター5として全面接触型ヒーターを、仮撚付与装置6として増速ローラーを用いたピンタイプを、交絡処理装置8としてインターレースノズルを使用して、表1に示す条件で延伸複合仮撚加工及び交絡処理をし、複合仮撚糸を得た。得られた複合仮撚糸は、ポリエステル複合仮撚糸の長手方向において交絡部と非交絡部とを含み、非交絡部において他のポリエステル糸が芯となる芯鞘構造を呈するものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の糸長(cm)、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸の捲縮率(%)、ポリエステル複合仮撚糸中の潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の伸度E1(%)と他のポリエステル糸E2(%)は、第1デリベリローラー7を通過した後、交絡処理装置8を通過する前の複合仮撚糸を採取し、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸を分離して測定、算出した。
【0087】
得られた複合仮撚糸をZ方向に300T/Mの追撚を施したものを経糸とし、得られた複合加工糸を無撚りのまま緯糸として、経糸密度123本/2.54cm、緯糸密度96本/2.54cmで2/2ツイル織物を織成した。得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学社製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、100℃×20分でリラックス処理をした。次いで、130℃×30分で分散染色処理し、175℃で仕上げセットし、織物を得た。得られた織物について、ストレッチ性、ソフト性の評価をおこなった。
【0088】
実施例の製造条件を表1に、得られた結果を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
実施例1〜4の複合仮撚糸は、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の糸長差が5%以下であり、かつ、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の捲縮率が40%以上であり、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の捲縮率の差が10%以上であったことから、複合仮撚工程、撚糸工程、及び製織編工程に供しても工程通過性良く、織物としたときのストレッチ性に優れたものであった。中でも、実施例1、3及び4の複合仮撚糸は、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の捲縮率が60〜80%の範囲内であったことから、織物としたときのストレッチ性に特に優れたものであった。実施例2及び4の複合仮撚糸は、他のポリエステル糸の単繊維繊度が0.5〜1.0dtexであったことから、織物としたときのソフト性が特に優れたものであった。実施例4の複合仮撚糸は、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の捲縮率が60〜80%の範囲内であり、かつ、他のポリエステル糸の単繊維繊度が0.5〜1.0dtexであったことから、織物としたときのストレッチ性及びソフト性に特に優れたものであった。
【0092】
一方、比較例1の複合仮撚糸は、供給糸の伸度に対して延伸倍率等の設定が適切でなく、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の捲縮率の差(%)が10%未満であったことから、織物としたときの染色後において潜在捲縮性能を有するポリエステル糸と他のポリエステル糸とが芯鞘構造を呈さず、また、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸の捲縮率が比較的低かったことも相俟って、織編物としたときのストレッチ性に関して潜在捲縮性能を有するポリエステル糸が支配的とならず、結果として織物としたときのストレッチ性に劣るものであった。また、上記のように芯鞘構造を呈さなかったことから、織物としたときのソフト性に劣るものであった。
【0093】
比較例2の複合仮撚糸は、供給糸の伸度に対して延伸倍率等の設定が適切でなく、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の糸長差が0%未満であったことから、染色後の織物において他のポリエステル糸が芯糸となり、ストレッチ性に関して支配的となり、ストレッチ性に劣るものであった。また、上記のように芯鞘構造を呈さなかったことから、ソフト性を発揮する他のポリエステル糸が織物表面に出ず、織物としたときのソフト性に劣るものであった。なお、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の糸長差の絶対値が5%を越えるものであったことから、工程通過性にも劣るものであった。
【0094】
比較例3の複合仮撚糸は、供給糸の伸度に対して延伸倍率等の設定が適切でなく、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の糸長差が0%未満であったことと、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の捲縮率の差(%)が10%未満であったことから、染色後の織物において他のポリエステル糸が芯糸となってストレッチ性に関して支配的となり、ストレッチ性及びソフト性に劣るものであった。
【0095】
比較例4の複合仮撚糸は、供給糸の伸度に対して延伸倍率等の設定が適切でなく、潜在捲縮性能を有するポリエステル糸に対する他のポリエステル糸の糸長差が0%未満であったことから、染色後の織物において他のポリエステル糸が芯糸となってストレッチ性に関して支配的となり、ストレッチ性及びソフト性に劣るものであった。