(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1補極の先端部は、前記2つの主極の先端部に内接する仮想円の径方向外側あるいは径方向内側に位置することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のモータ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したモータ、モータ装置、および指針式表示装置を説明する。
【0019】
[実施の形態1]
(モータ装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100の説明図であり、
図1(a)、(b)は、モータ装置100を出力軸10が突出している側からみた斜視図、および分解斜視図である。なお、以下の説明では、出力軸10の軸線Lが延在している方向のうち、出力軸10が突出している側を一方側L1とし、出力軸10が突出している側とは反対側を他方側L2としてある。また、モータ1におけるロータ5の軸線を回転中心軸線L0としてある。また、便宜上、回転中心軸線L0の一方側についても一方側L1とし、回転中心軸線L0の他方側についても他方側L2として説明する。
【0020】
図1に示すモータ装置100は、ケース2から軸線L方向の一方側L1に出力軸10(出力部材)が突出した構造を有している。本形態のモータ装置100は指針式表示装置200に用いられており、出力軸10には指針11が連結されている。
【0021】
ケース2は、軸線L方向からみたときに略円形の第1ケース21と、軸線L方向からみたときに略円形の第2ケース22とを有している。第1ケース21は、軸線L方向の他方側L2に配置され、第2ケース22は、軸線L方向の一方側L1に配置されている。第1ケース21の側板部211には、周方向の複数個所に凸部219が形成されており、第2ケース22の側板部221には、周方向の複数個所に凸部219と係合するフック229が形成されている。従って、フック229と凸部219とを係合させて第1ケース21と第2ケース22とを結合させれば、ケース2を構成することができる。このように構成したケース2において、第2ケース22の底板部222には、出力軸10を支持する筒部223が形成されている。
【0022】
(モータ1の構成)
モータ装置100は、ケース2の内部にモータ1を有している。モータ1は、ケース2に回転可能に支持されたロータ5と、ロータ5の周りに配置されたステータ6とを有している。ロータ5は、ケース2に回転可能に支持された回転軸51を有している。
【0023】
ロータ5は、回転軸51の回転中心軸線L0方向の一方側L1の端部に固定されたピニオン58と、ピニオン58と一体化された円筒状のマグネット50とを有しており、マグネット50の外周面では、S極とN極とが交互に等角度間隔に形成されている。本形態において、マグネット50とピニオン58とはインサート成形により一体化されており、マグネット50とピニオン58とは、樹脂製の円板部59によって結合されている。また、円板部59は、回転軸51に固定されている。
【0024】
また、モータ装置100は、ロータ5の回転を減速して出力軸10に伝達する輪列4を有しており、かかる輪列4も、ロータ5およびステータ6と同様、ケース2に支持されて
いる。輪列4は、ロータ5のピニオン58に噛合する大径歯車411と第2歯車42に噛合する小径歯車(図示せず)とを備えた第1歯車41と、第1歯車41の小径歯車に噛合する大径の第2歯車42とを有している。第2歯車42には出力軸10が一体に形成されており、出力軸10は、第1ケース21の凹部215と第2ケース22の筒部223とによって回転可能に支持されている。なお、第1歯車41は支軸48に回転可能に支持されており、支軸48の両端は、第1ケース21の軸穴216と第2ケース22とに保持されている。
【0025】
(ステータ6の詳細構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100に用いたモータ1の説明図であり、
図2(a)、(b)、(c)は、モータ1の斜視図、モータ1の分解斜視図、およびモータ1をさらに細かく分解した様子を示す分解斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100に用いたモータ1の平面図である。
【0026】
図2および
図3に示すように、モータ1において、ステータ6は、マグネット50の外周面に隙間を隔てて対向する複数の突極61(突極61a〜61f)を備えたステータコア60を有しており、複数の突極61は連結部65により繋がっている。また、ステータ6は、複数の突極61のうち、突極61f(主極)に装着されたコイルボビン7(コイルボビン7a)と、コイルボビン7を介して突極61fの周りを周回するコイル9(第1コイル9a)と、複数の突極61のうち、突極61b(主極)に装着されたコイルボビン7(コイルボビン7b)と、コイルボビン7を介して突極61bの周りを周回するコイル9(第2コイル9b)とを有している。本形態において、突極61の数は6個であり、マグネット50では、S極とN極とが4対形成されている。また、主極(突極61f、61b)は、回転中心軸線L0に対して、
図1に示す第1歯車41の側に配置されている。
【0027】
ステータ6は、ロータ5が配置される部分が開口部64になっており、かかる開口部64の内周縁からマグネット50の外周面に向けて複数の突極61が突出し、突極61の径方向内側の先端部610a〜610fがマグネット50の外周面に隙間を介して対向している。
【0028】
ここで、ステータコア60は、コイルボビン7が装着された突極61b、61fが、他の突極61a、61c〜61eより長い。このため、ステータコア60は、突極61b、61fが形成されている部分が径方向外側に略矩形形状に張り出しており、突極61b、61fは、ステータコア60の矩形部69b、69fの外周部分から径方向内側に突出している。
【0029】
ステータコア60は板状であり、上記の形状に打ち抜いた磁性板を複数枚、積層することにより、構成されている。ステータコア60には、突極61aの根元付近に支軸48が嵌った穴68が形成され、突極61dの径方向外側には、径方向外側に突出して、
図1に示す第1ケース21と第2ケース22とに挟まれた凸部67が形成されている。
【0030】
(コイルボビン7の構成)
コイルボビン7aとコイルボビン7bとは、突極61a、61dを結んだ線を中心とする線対称に構成されており、同一の構造を有している。このため、コイルボビン7aおよびコイルボビン7bについては、共通する部分には同一の符号を付して説明する。
【0031】
コイルボビン7aは、コイル9(第1コイル9a)を形成するコイル線90が巻回される筒状の胴部71を備えた絶縁性のボビン本体70と、ボビン本体70に保持された2本の端子ピン8(端子ピン8a、8b)とを有している。ボビン本体70は樹脂製であり、端子ピン8は金属製である。ボビン本体70は、胴部71の径方向内側の端部に、胴部7
1より外形寸法が大きい第1鍔部72を備え、胴部71の径方向外側の端部には、胴部71より外形寸法が大きい第2鍔部73を備えている。第1鍔部72と第2鍔部73とは胴部71を挟んで対向しており、第1鍔部72と第2鍔部73との間では、胴部71の周りにコイル線90が巻回されている。
【0032】
第2鍔部73には、端子ピン8(端子ピン8a、8b)が保持されている。端子ピン8の一方の端部81には、コイル線90の端部が絡げられた後、ハンダ付けされる。端子ピン8の他方の端部82は、
図1に示す第1ケース21から突出し、配線基板等の配線材(図示せず)が接続される。胴部71は四角筒状であり、かかる胴部71の内側にはステータコア60の突極61fが挿入され、その結果、突極61fの周りに第1コイル9aが配置される。突極61fは、胴部71の内面に形成された凸部(図示せず)に当接し、突極61fに対してコイルボビン7が位置ずれすることが抑制されている。
【0033】
コイルボビン7bは、コイル9(第2コイル9b)を形成するコイル線90が巻回される筒状の胴部71を備えた絶縁性のボビン本体70と、ボビン本体70に保持された2本の端子ピン8(端子ピン8a、8b)とを有している。ボビン本体70の構成は、コイルボビン7aと同様であるため、説明を省略するが、ボビン本体70の胴部71の内側にはステータコア60の突極61bが挿入される。その結果、突極61bの周りに第2コイル9bが配置される。
【0034】
矩形部69bにおいて、突極61bの両側で突極61bに沿って延在する延在部分651は、突極61bに対して斜めに延在しており、突極61bと延在部分651との間隔は、径方向内側で広がっている。このため、径方向の内側から突極61bにコイルボビン7bを挿入するのが容易である。また、矩形部69fにおいても、突極61fの両側で突極61fに沿って延在する延在部分651が突極61fに対して斜めに延在しており、突極61fと延在部分651との間隔は、径方向内側で広がっている。このため、径方向の内側から突極61fにコイルボビン7aを挿入するのが容易である。
【0035】
(動作)
このように構成したモータ1、モータ装置100および指針式表示装置200において、端子ピン8(端子ピン8a、8b)を介してコイル9(第1コイル9aおよび第2コイル9b)に給電すると、ロータ5が回転し、かかる回転は、
図1(b)に示す輪列4を介して出力軸10に伝達される。従って、出力軸10に連結された指針11が回転する。その際、コイル9に所定の駆動パルス数を入力することにより、指針11の角度位置が切り換わり、指針11を時計周りに目標位置まで回転させた後、停止させることができる。また、逆回転用の駆動パルスを供給すれば、指針を反時計周りに別の目標位置まで回転させることができる。
【0036】
(突極61の角度位置)
本形態において、突極61は、不等間隔に配置されているが、第1コイル9aが配置された突極61f(主極)、および第2コイル9bが配置された突極61b(主極)は、一方の突極の周方向の中心がS極とN極との間、すなわち、S極とN極との境界部分に対向するとき、他方の突極の周方向の中心がS極の周方向の中心またはN極の周方向の中心と対向するように配置されている。より具体的には、本形態では、突極61の数が6個で、マグネット50では、S極とN極とが4対形成されていることから、周方向で角度位置が112.5°ずれた2つの突極61f、61bが主極として利用され、他の突極61a,61c,61d、61eは、コイル9が配置されていない補極である。なお、突極61f、61bの角度位置が112.5°ずれているとは、突極61fの周方向の中心と突極61bの周方向の中心とが、角度位置で112.5°ずれていることを意味する。
【0037】
また、本形態では、周方向で隣り合う突極61の各間隔は、突極61aを起点にすると、
図3に向かって時計周りに56.25°、56.25°、67.5°、67.5°、56.25、56.25°である。
【0038】
このように本形態のモータ装置100において、モータ1では、マグネット50はS極とN極とが等角度間隔に4対形成され、ステータコア60では、突極61が6個形成されている。かかる構成の場合、突極61を等角度間隔に配置すると、ロータ5の回転に十分な励磁トルクを得ることができないが、ステータコア60では、複数の突極61のうち、コイル9が巻回された突極61f、61bは、一方の突極の周方向の中心がS極とN極との間に対向するとき、他方の突極の周方向の中心がS極の周方向の中心またはN極の周方向の中心と対向するように配置されている。このため、ロータ5の回転に十分な励磁トルクを得ることができる。
【0039】
また、本形態のモータ装置100に用いたモータ1に対して電気角に対するディテントトルクの変化を検証したところ、周方向で隣り合う突極61の各間隔を上記の条件に設定すると、ディテントトルクの変化が小さい。このため、本形態のモータ装置100では、ロータ5の振動が少ない。従って、ロータ5の回転時に発生する音を低減することができ、低騒音化を図ることができる。また、ロータ5の回転軸51に対する軸受部分(ケース2において回転軸51を支持している部分)の寿命低下を抑制することができる。
【0040】
(突極61とマグネット50とのエアーギャップの構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。
【0041】
本形態では、
図4に示すように、複数の突極61のうち、180°未満の第1角度範囲θ1に位置する2つの突極61f、61bは各々、コイル9が周りに配置された主極とされている。これに対して、複数の突極61のうち、2つの突極61f、61b(主極)が位置する側とは反対側で第1角度範囲θ1を二等分する仮想の二等分線Laの延長線Lbを中心とする180°の第2角度範囲θ2に位置する突極61c、61d、61eは、コイル9が周りに配置されていない第1補極になっている。また、突極61f、61bの間に位置する突極61aは、コイル9が配置されていない第2補極になっている。
【0042】
本形態では、主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bがマグネット50の周面と対向するエアーギャップの構成と、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eがマグネット50の周面と対向するエアーギャップの構成とを相違させてある。
【0043】
より具体的には、6つの突極61の先端部610a〜610fの面積は同一であり、6つの突極61の先端部610a〜610fとマグネット50との対向面積は同一であるが、主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bとマグネット50の外周面との第1間隔g1と、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eとマグネット50の外周面との第2間隔g2とが相違している。本形態では、主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bとマグネット50の外周面との隙間はいずれも第1間隔g1であり、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eとマグネット50の外周面との隙間はいずれも第2間隔g2であり、第1間隔g1と第2間隔g2とは相違している。本形態では、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eが、2つの主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bに内接する仮想円Cの径方向外側にあり、第1間隔g1は、第2間隔g2より狭い。
【0044】
このため、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力と、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力とが相違しており、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力は、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力より大である。
【0045】
また、本形態では、2つの主極(突極61f、61b)の間には、コイル9が配置されていない突極61a(第2補極)が設けられているが、かかる第2補極(突極61a)の先端部610aとマグネット50の外周面との隙間は第1間隔g1であり、主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bとマグネット50の外周面との隙間(第1間隔g1)と等しい。このため、マグネット50と第2補極(突極61a)との磁気吸引力は、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力より大である。
【0046】
従って、
図5を参照して以下に説明するように、ロータ5は、主極(突極61f、61b)が位置する第1角度範囲θ1の側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音を低減することができ、低騒音化を図ることができる。また、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転軸51に対する軸受部分(ケース2において回転軸51を支持している部分)の寿命低下を抑制することができる。
【0047】
(評価結果)
図5は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100に用いたモータ1においてロータ5が受けるラジアル方向の力(側圧)の評価結果を示すグラフである。
図5(a)は、全ての突極61において、マグネット50の外周面との間隔を等しい状態から、第1間隔g1の間隔を狭めた場合の量をマイナス(−)の偏芯距離とし、第1間隔g1の間隔を広げた場合の量をプラス(+)の偏芯距離として、偏芯距離とロータ5が第1角度範囲θ1の二等分線Laの方向(Y方向)で受ける力(ラジアル方向力)との関係を示すグラフである。かかるグラフでは、側圧が第1角度範囲θ1の側に作用する場合には、ラジアル方向力をプラスとし、側圧が第2角度範囲θ2の側に作用する場合には、ラジアル方向力をマイナスとしてある。
【0048】
図5(b)は、
図5(a)において偏芯距離を−0.05mmとした場合において、ロータ5を1回転させる間にロータ5に作用する電磁力を、第1角度範囲θ1の二等分線方向(Y方向)で受ける力を縦軸とし、第1角度範囲θ1の二等分線La方向(Y方向)と直交する方向(X方向)で受ける力を横軸として示したリサージュ図である。また、
図5(c)は、
図5(a)において偏芯距離を0mmとした場合において、ロータ5を1回転させる間にロータ5に作用する電磁力を、第1角度範囲θ1の二等分線Laの方向(Y方向)で受ける力を縦軸とし、第1角度範囲θ1の二等分線方向(Y方向)と直交する方向(X方向)で受ける力を横軸として示したリサージュ図である。
【0049】
図5(a)において、実線LMAXで示す値は、
図5(b)、(c)に示すようなリサージュ図における最大値に相当し、実線LMINで示す値は、
図5(b)、(c)に示すようなリサージュ図における最小値に相当し、実線LAVEで示す値は、上記のリサージュ図で得られた結果の平均値に相当する。
【0050】
図5(a)に示す偏芯距離が0mmの結果、および
図5(c)に示す結果からわかるように、全ての突極61において、マグネット50の外周面と間隔が等しい場合には、ロータ5に加わる力の方向が反転する。これに対して、
図5(a)に示す偏芯距離が−0.05mmの結果、および
図5(b)に示す結果からわかるように、全ての突極61において、マグネット50の外周面と間隔を等しい状態から、第1間隔g1の間隔を0.05mm
狭めると、ロータ5には、常に第1角度範囲θ1が位置する側の力が加わり、加わる力の方向が反転しない。それ故、ロータ5の振動を抑制することができる。
【0051】
また、第1間隔g1の間隔を狭めた場合には、0.05mm狭めるという比較的小さな偏芯量で、ロータ5に加わる力の方向の反転を防止できる。これに対して、第1間隔g1の間隔を広げた場合、ロータ5に加わる力の方向の反転を防止するには、第1間隔g1の間隔を0.17mm広げるという比較的大きな偏芯量を必要とする。その結果、ロータ5に対するトルクが低下するという欠点がある。逆に、第2間隔g2の間隔を0.17mm狭めた構成では、マグネット50と第1補極(突極61c、61d,61d)との間に異物が挟まってロータ5の回転に支障が発生するおそれがある。それ故、第1間隔g1の間隔を狭めた構成の方が好ましいといえる。
【0052】
[実施の形態1の変形例]
図6は、本発明の実施の形態1に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0053】
図5(a)に示す結果からわかるように、ロータ5に加わる力の方向の反転を防止するには、第2間隔g2を第1間隔g1より狭めてもよいことから、本形態では、
図6に示すように、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eが、2つの主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bに内接する仮想円Cの径方向内側にある。
【0054】
このため、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力と、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力とが相違しており、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力は、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力より大である。また、本形態では、第2補極(突極61a)の先端部610aとマグネット50の外周面との隙間は第1間隔g1であり、主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bとマグネット50の外周面との隙間(第1間隔g1)と等しい。このため、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力は、マグネット50と第2補極(突極61a)との磁気吸引力より大である。
【0055】
従って、ロータ5は、主極(突極61f、61b)が位置する第1角度範囲θ1とは反対側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音量を低減することができ、低騒音化を図ることができる等の効果を奏する。
【0056】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、本形態では、第1間隔g1を第2間隔g2より狭めるにあたって、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610e、および第2補極(突極61a)の先端部610aは、2つの主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bに内接する仮想円C上に位置するが、ロータ5の回転中心軸線L0が仮想円Cの中心Coから2つの主極(突極61f、61b)に接近する方向にずれてい
る。本形態では、ロータ5の回転中心軸線L0は、二等分線La上で仮想円Cの中心Coから第2補極(突極61a)が位置する側に寸法R分、ずれている。
【0058】
かかる構成では、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eとマグネット50の外周面との第2間隔g2は、第1補極(突極61c、61d、61e)によって相違する。また、主極(突極61f,61b)とマグネット50の外周面との第1間隔g1は、2つの主極(突極61f,61b)において同一であるが、第2補極(突極61a)とマグネット50の外周面との間隔g3と相違する。それでも、第1間隔g1および第3間隔g3は、第2間隔g2より狭い。このため、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力は、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力より大である。
【0059】
また、本形態では、第2補極(突極61a)の先端部610aとマグネット50の外周面との間隔g3は、第1間隔g1より狭く、第2間隔g2よりも狭い。このため、マグネット50と第2補極(突極61a)との磁気吸引力は、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力より大である。
【0060】
従って、実施の形態1と同様、ロータ5は、主極(突極61f、61b)が位置する第1角度範囲θ1の側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音を低減することができ、低騒音化を図ることができる等の効果を奏する。
【0061】
[実施の形態2の変形例]
図8は、本発明の実施の形態2の変形例に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、本形態では、第2間隔g2を第1間隔g1より狭めるにあたって、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610e、および第2補極(突極61a)の先端部610aは、2つの主極(突極61f、61b)の先端部610f、610bに内接する仮想円C上に位置するが、ロータ5の回転中心軸線L0が仮想円Cの中心Coから2つの主極(突極61f、61b)から離間する方向にずれている。本形態では、ロータ5の回転中心軸線L0は、二等分線Laの延長線Lb上で仮想円Cの中心Coから第1補極(突極61d)が位置する側に寸法R分、ずれている。
【0063】
かかる構成では、第1補極(突極61c、61d、61e)の先端部610c、610d、610eとマグネット50の外周面との第2間隔g2は、第1補極(突極61c、61d、61e)によって相違する。また、主極(突極61f,61b)とマグネット50の外周面との第1間隔g1は、2つの主極(突極61f,61b)において同一であるが、第2補極(突極61a)とマグネット50の外周面との間隔g3と相違する。それでも、第2間隔g2は、第1間隔g1および第3間隔g3より狭い。このため、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引は、マグネット50と主極(突極61f、61b)との間の磁気吸引力より大である。
【0064】
また、本形態では、第2補極(突極61a)の先端部610aとマグネット50の外周面との間隔g3は、第1間隔g1より広く、第2間隔g2よりも広い。このため、マグネット50と第1補極(突極61c、61d、61e)との間の磁気吸引力は、マグネット50と第2補極(突極61a)との磁気吸引力より大である。
【0065】
従って、実施の形態1の変形例と同様、ロータ5は、主極(突極61f、61b)が位置する第1角度範囲θ1の側とは反対側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音を低減することができ、低騒音化を図ることができる等の効果を奏する。
【0066】
[実施の形態3]
図9は、本発明の実施の形態3に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0067】
図9に示すように、本形態において、マグネット50は、外周面にS極とN極とが周方向で交互に等角度間隔に設けられている。本形態において、マグネット50では、S極とN極とが5対形成されている。このため、マグネット50では、S極とN極とが計10極、等角度間隔で形成されていることから、周方向で隣り合うS極とN極とは、角度位置が36°ずれている。
【0068】
ステータコア60には、周方向に3つの突極61が等角度間隔に形成されており、周方向で隣り合う突極61同士は、角度位置が120°ずれている。
【0069】
このように構成したステータコア60には、3個の突極61のうち、180°未満の第1角度範囲θ1に位置する2つの突極61a、61bは、コイル9が配置された主極として利用される。本形態において、2つの突極61a、61bは、120°の第1角度範囲θ1に形成されている。これに対して、複数の突極61のうち、2つの突極61a、61b(主極)が位置する側とは反対側で第1角度範囲θ1を二等分する仮想の二等分線Laの延長線Lbを中心とする180°の第2角度範囲θ2に位置する突極61cは、コイル9が周りに配置されていない第1補極になっている。なお、本形態では、突極61が3個であるため、2つの主極(突極61a、61b)の間には補極(第2補極)が存在しない。このため、連結部65では、2つの主極(突極61a、61b)に挟まれた部分で切断され、途切れ部分69が形成されている。
【0070】
このように構成したモータ1においても、主極(突極61a、61b)の先端部610a、610bとマグネット50の外周面との第1間隔g1と、第1補極(突極61c)の先端部610cとマグネット50の外周面との第2間隔g2とが相違している。本形態では、第1間隔g1は、第2間隔g2より狭い。このため、実施の形態1と同様、ロータ5は、主極(突極61f、61b)が位置する第1角度範囲θ1の側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音量を低減することができ、低騒音化を図ることができる等の効果を奏する。
【0071】
[実施の形態4]
図10は、本発明の実施の形態4に係るモータ装置100に用いたモータ1における突極61とマグネット50とのエアーギャップを模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0072】
図10に示すように、本形態において、マグネット50は、外周面にS極とN極とが周方向で交互に等角度間隔に設けられている。本形態において、マグネット50では、S極とN極とが4対形成されている。このため、マグネット50では、S極とN極とが計8極、等角度間隔で形成されていることから、周方向で隣り合うS極とN極とは、角度位置が
45°ずれている。
【0073】
ステータコア60には、周方向に10個の突極61が等角度間隔に形成されており、周方向で隣り合う突極61同士は、角度位置が36°ずれている。
【0074】
本形態では、10個の突極61のうち、180°未満の第1角度範囲θ1に位置する2つの突極61e、61gは、コイル9が配置された主極として利用される。本形態において、2つの突極61e、61gは、72°の第1角度範囲θ1に形成されている。なお、本形態では、2つの主極(突極61e、61g)が成す角度が狭いので、主極(突極61e、61g)にコイルボビン7を取り付けると、
図1に示す第1歯車41を配置するスペースがなくなる。従って、本形態において、主極(突極61e、61g)は、回転中心軸線L0に対して、
図1に示す第1歯車41とは反対側に位置する。
【0075】
一方、複数の突極61のうち、2つの突極61e、61g(主極)が位置する側とは反対側で第1角度範囲θ1を二等分する仮想の二等分線Laの延長線Lbを中心とする180°の第2角度範囲θ2に位置する突極61a、61b、61c、61i、61iは、コイル9が周りに配置されていない第1補極になっている。また、ステータコア60には、2つの突極61e、61g(主極)の間に、コイル9が周りに配置されていない突極61f(第2補極)が形成されている。また、ステータコア60には、第1角度範囲θ1と第2角度範囲θ2との間に、コイル9が周りに配置されていない突極61d、61h(第3補極)が形成されている。
【0076】
このように構成したモータ1においても、主極(突極61e、61g)の先端部610e、610gとマグネット50の外周面との第1間隔g1と、第1補極(突極61a、61b、61c、61i、61i)の先端部610a、610b、610c、610i、610i)の先端部とマグネット50の外周面との第2間隔g2とが相違している。本形態では、第1間隔g1は、第2間隔g2より狭い。
【0077】
また、第2補極(突極61f)の先端部610fとマグネット50の外周面との間隔は、第2間隔g2より狭い。なお、第3補極(突極61d、61h)の先端部610d、610hとマグネット50の外周面との間隔は、第2間隔g2と等しい。
【0078】
このような形態でも、実施の形態1と同様、ロータ5は、主極(突極61e、61g)が位置する第1角度範囲θ1の側に向かう側圧(矢印Fで示す)を受けた状態で回転する。それ故、ロータ5の振動が少ないので、ロータ5の回転時に発生する音量を低減することができ、低騒音化を図ることができる等の効果を奏する。
【0079】
[他の実施の形態]
上記実施の形態1〜4では、2つの主極において、主極の先端部とマグネット50の外周面との間隔が同一であったが、2つの主極において、主極の先端部とマグネット50の外周面との間隔が相違している構成を採用してもよい。
【0080】
上記実施の形態1、2等では、複数の第1補極において、第1補極の先端部とマグネット50の外周面との間隔が同一であったが、複数の第1補極において、第1補極の先端部とマグネット50の外周面との間隔が相違している構成を採用してもよい。
【0081】
上記実施の形態では、モータ装置100を指針式表示装置200に適用した例を挙げたが、指針式表示装置用のモータ装置100以外に本発明を適用してもよい。