(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は本実施形態における光センサの外観斜視図である。
図2は本発明の実施形態である光センサの一例の断面図である。
【0016】
図1に示す通り、光センサ1は、ベース基板2と、ベース基板2に接合膜35を介して接合されたリッド基板3と、リッド基板3の下面に形成された外部電極38、39とで構成される。
【0017】
また、
図2(a)に示す通り、光センサ1において、リッド基板3には、キャビティ用の凹部3aが形成されている。また、リッド基板3は、凹部3aをベース基板2に対向させた状態でベース基板2に接合する。
【0018】
また、ベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に収納された状態で、ベース基板2の上面2aに設置され、光を受光する受光素子28と、ベース基板2の下面2bに形成された外部電極38、39と、ベース基板2の上面2aに形成され、接合された受光素子28及び外部電極38、39と電気的に接続する内部電極36、37と、を備える。
【0019】
また、ベース基板2は、光透過性を有する透明体で形成されるとともに、ベース基板2の下面2bの露出する部分に形成される光入射部と上面2aの露出する部分に形成される光出射部とで構成される光透過部を有する。
また、リッド基板3は、光透過部からの入射光を反射する金属で形成されるとともに凹部の内面を覆う反射膜40で構成される反射部を有する。
また、反射部の反射面の表面粗さは、凹部3aの内面より表面粗さより小さい。
【0020】
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる基板であり、リッド基板3と同等の外形で略板状に形成されている。ベース基板をガラスからなる基板で構成することにより、ベース基板から光を入射することができる。なお、ベース基板2は、光透過性を有すればよい。これにより、入射する光が可視光の場合、ベース基板2自体により光を入射することができる。また、ベース基板全体を同一材料で形成するため、ベース基板の製造が容易になる。なお、入射する光によって、ベース基板2は透明体である必要はない。
【0021】
また、このベース基板2には、ベース基板2を厚さ方向に貫通する、一対の貫通電極32,33が形成されている。貫通電極32,33は、ベース基板2との溶着によって固定されており、キャビティC内の気密を維持している。貫通電極32,33は、例えば、コバールやFe−Ni合金(42アロイ)等の、熱膨張係数がベース基板2のガラス材料と近い(好ましくは同等か高め)材料により円柱状に形成された導電性の金属芯材で、両端が平坦で且つベース基板2の厚さと同じ厚さである。
【0022】
ベース基板2の上面2a側(リッド基板3との接合面側)には、一対の内部電極36,37が形成されている。各内部電極36,37は、例えば下層のCr膜及び上層のAu膜の積層体によって形成されている。
ベース基板2の下面2b側(リッド基板3との接合面と反対側)には、一対の外部電極38、39が形成されている。各外部電極38、39は、各内部電極36、37と、各貫通電極32、33を介して電気的に接続する。
【0023】
すなわち、ベース基板は、光透過部と、受光素子を形成する素子形成部と、リッド基板と接合する接合部、内部電極、外部電極及び貫通電極を形成する電極形成部で構成される。
なお、外部電極38、39と内部電極36、37とは、必ずしも貫通電極32、33で導通する必要はなく、例えば各基板の接合面の間に引き出し電極を形成して、各電極間を導通してもよい。なお、各電極は、素子の電極数に応じて変更することができる。
【0024】
リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる陽極接合可能な基板であり、略板状に形成されている。リッド基板3をベース基板2と同様のガラス材料で構成すれば、両基板は、同様の熱膨張係数を有するため、接合時の加熱等により反りが発生しない。これにより、歩留まりを向上できる。
【0025】
さらに、ベース基板をガラスで形成した場合、光透過性を有しつつ、内部電極から外部電極への配線も容易である。また、上記の構成の場合、各基板の接合も容易に行うことができる。また、リッド基板3におけるベース基板2との接合面側には、受光素子28を収容するキャビティCが形成されている。
【0026】
なお、リッド基板3は、受光素子28を収容できる材料であればよく、シリコン等でも形成することができる。また、リッド基板3は、接合方法によっては、陽極接合可能である必要もなく金属、セラミック等で形成されてもよい。また、リッド基板3は、プレス加工で形成することができる材料であればよい。
【0027】
リッド基板3におけるベース基板2との接合面側の全体に、陽極接合用の接合膜35が形成されている。すなわち接合膜35は、キャビティCの凹部表面3aの周囲の額縁領域に形成されている。本実施形態の接合膜35はアルミ膜で形成されているが、接合膜35をシリコンで形成することも可能である。後述するように、この接合膜35とベース基板2とが陽極接合されることにより、キャビティCが真空封止されている。
なお、リッド基板3とベース基板2とは、必ずしも陽極接合で接合する必要はなく、例えば、接着剤や溶接部材を用いて接合してもよい。
【0028】
内部電極36,37の表面に、金ワイヤー10,11を介して、受光素子28の電極が接続されている。受光素子28は、ベース基板2の上面に塗布された導電性接着剤を介して設置されている。また、受光素子28の表面に、外部からの光を受光する受光部28aが形成されている。
【0029】
受光素子28は、例えば、光透過性を有する透明体を透過する可視光や紫外光を受光するものである。例えば、受光素子28は、カラーセンサ、イメージセンサ、照度センサなどに用いる半導体素子で構成される。
【0030】
反射部は、反射鏡(鏡面)を形成するように、反射膜40としてアルミニウムや銀といった金属等を成膜している。
図2(b)に示す通り、反射部の反射面の表面粗さが、凹部3aの内面より表面粗さより小さい。これにより、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子の受光部へ受光することが可能となる。
【0031】
また、凹部3a内面の表面粗さの平均が1μm以下程度のため、反射膜40の厚みは、キャビティCの凹部3a内面の表面粗さを最小限とするように1μm以上とする。この厚さ以上に形成することで凹部3a内面の表面粗さに依存せずに反射膜40の反射面の表面粗さを小さくすることができる。すなわち、
図2(b)に示す通り、反射部40の膜厚は、凹部3aの凹凸の差より、厚く形成される。なお、凹部3aの形成方法によって凹部3aの表面粗さは変わってくるため、反射膜の厚さは必ずしも1μm以上である必要はなく、反射部の反射面の表面粗さが、凹部3aの内面より表面粗さより小さくなればよい。この場合でも、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子の受光部へ受光することが可能となる。
【0032】
さらに、
図2においては、反射部は、ベース基板2の上面2aの光出射部に対して傾斜する傾斜部を有し、傾斜部は、凹部3aの開口端部に向かって広くなる方向に傾斜し、さらに凹部の開口端部から前記光センサに対向する位置まで傾斜する。また、
図2においては、傾斜部は平面状に形成されている。
【0033】
次に受光部28aへの光の受光について説明する。
ベース基板2の下面2bの入射部より入射した入射光L1は、ベース基板2を透過してベース基板2の上面2aの光出射部から出射し、キャビティC内に侵入する。入射光L1は、反射部により反射され、反射光L3となる。反射光L3は、反射部の傾斜部により入射光L1に対して所定の角度を有して進行される。その後、反射光L3は、受光部28aへ受光される。
以上により、入射光L1は凹部によって散乱せずに反射され反射光L3となり、受光部28aへより効率的に導光することができる。
【0034】
すなわち、プレス加工によって凹部形成を簡便に行うことができるとともに、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子の受光部へ受光することが可能となる。これにより、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。
【0035】
なお、反射部は、少なくとも一部にベース基板2の上面2aの光出射部に対して傾斜する傾斜部を有し、傾斜部は、凹部3aの開口端部に向かって広くなる方向に傾斜していればよい。この場合でも、反射光L3を受光部28aへより効率的に導光することができる。
【0036】
また、
図3および
図4に光センサの別の一例を示す。
図3および
図4は、本発明の実施形態である光センサの一例の断面図である。
図3の光センサにおいて、反射部の傾斜は、凹部の開口端から底部まで2段階の傾斜角度で形成されている。
図3においては、傾斜部は、多角形状に形成されている。これにより、入射光を受光部28aへ効率的に導光することに効果的であるため、反射光L3をより増加させることができる。なお、傾斜部は、2段階である必要はなく、複数段設けることでもよい。その場合でも、さまざまな角度の傾斜部が増えるため、反射光L3をより増加させることができる。
【0037】
また、
図4の光センサにおいて、反射部の傾斜部は、凹部の開口端から底部まで曲面で形成されている。
図4においては、傾斜部は、扁球面状に形成されている。これにより、さまざまな角度の傾斜部が増えるため、反射光L3をより増加させることができる。なお、傾斜部は、少なくとも一部に曲面を有していればよい。その場合でも、さまざまな角度の傾斜部が増えるため、反射光L3をより増加させることができる。
【0038】
また、傾斜部は必ずしも平面または曲面で構成される必要はなく、ベース基板2の上面2aの光出射部に対して傾斜し、凹部3aの開口端部に向かって広くなる方向に傾斜していればよい。
【0039】
また、傾斜部は必ずしも必要なく、凹部3aの側壁がベース基板2の上面の光出射部に対して垂直でもよい。光入射部に対してある角度を有して入射した入射光L1の場合、凹部3aの側壁または底部に形成された反射部で反射される反射光L3は、反射部の傾斜部により入射光L1に対して所定の角度を有して進行される。この場合でも、受光部28aへ反射光L3を受光させることができる。
【0040】
(光センサの製造方法)
次に、上述した光センサの製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る光センサの製造方法のフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、本実施形態に係る光センサの製造方法は、光センサ作成工程(S10)と、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)と、ベース基板用ウエハ作製工程(S30)と、を主に有している。なお、光センサ工程(S10)、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)及びベース基板用ウエハ作製工程(S30)は、並行して実施することが可能である。
【0042】
初めに、光センサ作成工程を行って
図2に示す受光素子28を作製する(S10)。シリコンウエハをフォトリソグラフィ技術により複数の受光素子28を作製する。
【0043】
(リッド基板用ウエハ作製工程)
リッド基板用ウエハ作製工程S20では、後にリッド基板となるリッド基板用ウエハを作製する。まず、ソーダ石灰ガラスからなる円板状のリッド基板用ウエハを、所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチングなどにより最表面の加工変質層を除去する(S21)。次いで、凹部形成工程S22では、リッド基板用ウエハにおけるベース基板用ウエハとの接合面に、キャビティ用の凹部3aを複数形成する。キャビティ用凹部Sの形成は、成形型を使用しての加熱プレス成型等のプレス加工によって行う。次に、接合面研磨工程S23では、ベース基板用ウエハとの接合面を研磨する。
【0044】
次に、接合膜形成工程S24では、ベース基板用ウエハとの接合面に、
図2に示す接合膜35を形成する。なお、接合膜形成工程S24の前に接合面研磨工程S23を行っているので、接合膜35の表面の平面度が確保され、ベース基板用ウエハとの安定した接合を実現することができる。
【0045】
その後、反射膜形成工程S25で、凹部3aの内面に反射鏡となるように反射膜40を形成する。このとき、反射膜40を形成開始後、凹部3aの内面の表面粗さを転写した状態で成膜されていく。しかし、反射膜40の膜厚が厚くなるにつれて凹部3aの内面の転写は小さくなっていく。これにより、反射膜40の表面粗さが、凹部3aの内面の表面粗さより小さくなる。この反射膜40により反射部を形成する。この工程において、反射部は、凹部3aの内面全面に形成されている。なお、反射部は、必ずしも凹部3aの内面全面に形成される必要はなく、光を反射する部分にのみ形成されていてもよい。
【0046】
また、反射膜40のスパッタ等の成膜によっては、凹部3aの底面から側面に向かって滑らかに傾斜させてもよい。この場合、反射膜40において、光が反射する部分を滑らかな曲面で形成することも可能なため、受光素子の受光効率が向上する反射経路を形成することが可能になる。
【0047】
なお、接合膜35をアルミニウムにすることで、接合膜35と凹部3aの内面に形成する反射膜40とを一括で一体形成することも可能である。すなわち、反射膜形成工程S25と同一工程で、接合膜形成工程S24を行う。この場合、接合膜35を形成するためのパターニングが不要になり、製造コストを低減することができる。また、接合膜35の形成は、スパッタやCVD等の成膜方法によって行うことができる。なお、接合膜35と反射膜40との膜厚は同一でも異なっていてもよい。
【0048】
また、反射膜40の膜厚は、凹部3aの側面から底面に向かって厚く形成される。この場合、凹部3aの側面に形成された反射膜40の表面粗さが、凹部3aの内面の表面粗さより小さくなるまで反射膜40をスパッタ等により成膜する。これにより、反射膜40がスパッタ等で形成しやすくなる。
【0049】
(ベース基板用ウエハ作製工程)
次に、リッド基板用ウエハ作製工程(S20)と同時、または前後のタイミングで、後にベース基板2となるベース基板用ウエハを製作するベース基板用ウエハ作製工程S30を行う(S30)。まず、ベース基板用ウエハを形成する。具体的には、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去する(S31)。
【0050】
(貫通電極形成工程)
続いて、ベース基板用ウエハに貫通電極32,33を形成する貫通電極形成工程(S30)を行う。
【0051】
まず、ウエハを貫通電極形成用型の凹部に貫通電極用の金属体をセットした状態し、その上にベース基板用ウエハをセットした状態で加熱炉内に配置し、約900℃程の高温状態で加圧型によりベース基板用ウエハの厚さ方向に沿って圧力をかける。すると、ベース基板用ウエハに貫通電極用の金属体が溶着させ一体化させる。その後、ベース基板用ウエハを徐々に温度を下げながら冷却する。
【0052】
これにより、貫通電極形成用型の凹部形成位置と同じ位置に貫通電極が形成される。また、特にベース基板の厚みに支障がなければ、ベース基板用ウエハ作成工程S31を省いても良い。
【0053】
(研磨工程)
続いて、ベース基板用ウエハを研磨する(S33)。具体的には、貫通電極の突出部分を研磨して除去するとともに、所望の厚みまで研磨を行う。これにより、ベース基板用ウエハの表面と貫通電極32,33の表面とが、略面一な状態となる。このようにして、ベース基板用ウエハに貫通電極32,33が形成される。なお、貫通電極の突出した部分は除去せずに、そのまま使用してもよい。
【0054】
次に、ベース基板用ウエハの表面に導電性材料をパターニングして、内部電極形成工程を行う(S34)。その後、受光素子28をベース基板用ウエハ上に接着するために導電性樹脂などを塗布する。(S35)このようにして、ベース基板用ウエハ作製工程(S30)が終了する。
【0055】
そして、上述した光センサ作成工程(S10)で作製した複数の受光素子28を、ベース基板用ウエハ上に形成された導電性樹脂と接着させ、さらに各内部電極36,37上に、それぞれ金ワイヤー10,11を介して実装する実装工程を行う(S40)。
【0056】
そして、上述した各基板用ウエハの作製工程で作成されたベース基板用ウエハ及びリッド基板用ウエハを図示しない基準マークなどを指標としながら、両ウエハ40,50を正しい位置にアライメントし、重ね合わせる(S50)。これにより、実装された受光素子28が、リッド基板用ウエハに形成された凹部とベース基板用ウエハとで囲まれるキャビティC内に収納された状態となる。
【0057】
(接合工程以降)
両基板用ウエハの重ね合わせ工程S50後、重ね合わせた2枚の各基板用ウエハを図示しない陽極接合装置に入れ、図示しない保持機構により各基板用ウエハの外周部分をクランプした状態で、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。これにより、光センサをキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが接合したウエハ接合体を得ることができる。
【0058】
その後、ベース基板用ウエハの下面2b側に、一対の貫通電極32,33にそれぞれ電気的に接続する一対の外部電極38,39を形成する(S70)。そして、ウエハ接合体を所望の大きさに個片化する切断工程(S80)を行い、内部の電気特性検査(S90)を行うことで受光素子28を収容した光センサ1が作成される。
【0059】
本実施形態により、プレス加工によって凹部形成を簡便に行うことができるとともに、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子の受光部へ受光することが可能となる。これにより、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。
なお、光センサ1は、ウエハレベルパッケージによって複数形成する方法を示したが、1つの光センサを形成する方法でもよい。
【0060】
また、光センサ1の構造によっては、種々の形成工程を採用することができる。例えば、貫通電極ではなく、引き出し電極を形成する場合は、ベース基板用ウエハに引き出し電極をパターニングする。また、接合工程において、陽極接合でなく接着剤等を用いて接合してもよい。
なお、本発明に係る光センサは本実施形態に限定されず、種々の構成を採用することができる。
【0061】
本実施形態において、ベース基板の全体がガラスで形成されるため、光透過部で構成されるが、これに限られず、ベース基板の一部が光透過部を構成してもよい。例えば、ベース基板のうち、光を透過する領域のみ光透過部で構成してもよい。この場合、少なくとも光を透過する部分をガラスなどの光透過部で構成し、ベース基板の他の部分をセラミック、樹脂、シリコン基板などの半導体基板等で構成する。例えば、ベース基板が、光透過部に対応する部分に光透過部形成孔を形成する半導体基板で構成される。また、ガラスで構成される光透過部が光透過部形成孔に埋設される。この際、光透過部は、光透過部形成孔に溶融するガラスを充填させ、このガラスを冷却させて形成される。また、光透過部は、ガラスの他に、光透過部形成孔に透明樹脂を充填させて形成されるものでもよい。
【0062】
このように、ベース基板の光透過部と異なる部分を半導体基板で構成することにより、この半導体基板に受光素子以外の素子を形成することができる。例えば、ベース基板に、受光素子以外に、受光素子を駆動する駆動回路等を配置してもよい。これにより、キャビティの内部に複数の素子を設けることができる。従って、光センサと他の電子部品を一体化して形成することができるため、別々に形成する場合に比べ、全体として小型化が図れる。
【0063】
また、ベース基板の素子形成部を半導体基板で構成することによって、素子形成部に直接受光素子を形成してもよい。これにより、キャビティの高さを低くすることができるため、光センサの低背化が図れる。
【0064】
本発明の実施形態である光センサの別の一例を説明する。
図6は、本発明の実施形態である光センサの別の一例の断面図である。なお、
図2と同様の構成については説明を省略する。
図6において、ベース基板2の構成が、
図2に示す一例と異なる。
【0065】
本例において、ベース基板2は、シリコンで形成されている。一般的にシリコンは赤外光を透過する特性を有する。すなわち、ベース基板2をシリコンで形成することにより、
図6に示すように赤外光の入射光L1がベース基板2の光透過部を透過する。また、受光素子28は、赤外光を検出する。
【0066】
また、ベース基板2は、貫通孔41、42を有する。また、貫通電極32、33がそれぞれ貫通孔41、42の内面に形成される。なお、各貫通電極は、図示しない絶縁膜を介して各貫通孔の内面に形成されている。また、各貫通電極は、各貫通孔内部を埋める図示しない封止部を有している。この封止部が、キャビティC内部を外部から封止する。なお、本例において、封止部は貫通孔のキャビティ側の開口を埋める構成であるが、貫通孔内部全体を埋める構成であってもよい。
【0067】
また、各内部電極及び各外部電極は、貫通電極上及びベース基板上に形成されている。なお、各内部電極及び各外部電極は、絶縁膜を介してベース基板上に形成されている。また、本例においては、各内部電極は、各貫通電極の封止部上に形成されている。
【0068】
また、反射部を構成する反射膜40は、赤外光の反射率が高い薄膜、例えば、アルミニウムや銀といった金属などで形成される。本例においても、反射膜40をリッド基板3の凹部3aの内面の表面粗さより小さい表面粗さに形成する。
これにより、反射部で反射された赤外光の反射光L3を受光素子28まで導光することができる。
【0069】
次に、本例に係る光センサの製造方法を説明する。なお、
図5に示すフローチャートと同様の工程は、説明を省略する。
光センサ作成工程S10において、赤外光を検出する受光素子を作成する。なお、受光素子は、ベース基板用ウエハ上でMEMS技術により形成してもよい。
【0070】
リッド基板用ウエハ作製工程S20において、研磨、洗浄、エッチングS21から接合面研磨工程まで
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。反射膜形成工程S25において、反射膜は、赤外線の反射率が高い薄膜、例えば、アルミニウムや銀といった金属などで成膜をする。特に、接合膜形成工程S24において、接合膜はアルミニウムを成膜した場合、反射膜形成工程S25と接合膜形成工程S24とを同一工程で行うことができる。
なお、リッド基板がガラスで形成され、ベース基板がシリコンで形成される場合、接合膜を形成せずに両基板を陽極接合することも可能である。
【0071】
ベース基板用ウエハ作製工程S30において、シリコンを用いてベース基板を作成する。
研磨、洗浄、エッチングS31を
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。
【0072】
貫通電極形成工程S32は、まず、ブラスト加工やレーザー加工などで、貫通孔41、42を形成する。その後、
図2に示す一例の製造方法と同様に、研磨を実施して、所望の厚みまで研磨を行う。なお、貫通孔41,42を形成する手法としては、種々の方法を採用できる。例えば、まずベース基板の一面から、ベース基板の厚み方向に対して途中までブラスト加工やレーザー加工で有底の窪みを形成する加工を行う。その後、ベース基板の一面と反対の面を研磨することにより、貫通孔41,42を形成することでも製作可能である。また、ベース基板がシリコンのため、エッチングにより貫通孔を形成することも可能である。
【0073】
次に、貫通孔の内面に絶縁膜を形成する。この際、ベース基板の表面のうち少なくとも内部電極と外部電極を形成する部分にも絶縁膜を形成する。その後、貫通孔の内面に金属膜を成膜する。また、金属膜上に、メッキ法によりメッキ膜を形成し、貫通電極の封止部を形成する。これにより、
図6に示す貫通電極32、33が、絶縁膜を介して貫通孔内部に形成される。
【0074】
次に接合面研磨工程S33からダイボンド形成工程S35まで
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。その後、実装工程(S40)以降を
図2に示す一例の製造方法と同様に行う。これにより光センサを製造する。
【0075】
本例においても、プレス加工によって凹部形成を簡便に行うことができるとともに、反射面による光の散乱を抑制させ、効率的に入射光を受光素子の受光部へ受光することが可能となる。これにより、製造コストの削減、製造方法の簡略化を図るとともに、効率的な受光が可能な光センサを形成することができる。