(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層とヒートシール層とから成り、前記導電層が切断線によって区画され、ヒューズ機能部を備える誘導加熱発熱体の製造装置であって、
前記導電層に前記ヒートシール層を積層してなるラミネートフィルムを繰り出しながら、レーザー光を照射して前記ヒートシール層の非接着部の幅方向両端に沿ってハーフカット処理を施し、次いで、前記非接着部を前記ヒートシール層から引き剥がして被加工領域を形成するピール機構、
前記導電層にレーザー光を照射して前記切断線を所定のパターンで形成する切断線パターン形成機構、
前記ラミネートフィルムから発熱体形成片を打ち抜くトリミング機構、
前記発熱体形成片のヒートシール層側を対向させて重ね合せ、前記被加工領域側のヒートシール層をヒートシールし、次いで、前記発熱体形成片の上端部同士を部分的に溶着して前記ヒューズ機能部を形成するヒューズ機能部形成機構
を含むことを特徴とする誘導加熱発熱体の製造装置。
前記ピール機構と前記切断線パターン形成機構の間にダンサーローラを設け、前記ダンサーローラを直線的に上下動自在、且つ自転自在に支持し、自重によって前記ラミネートフィルムにかかる張力を、前記ダンサーローラにウェイトを取り付けて調節可能とした請求項1に記載の誘導加熱発熱体の製造装置。
前記受け台が、前記受け台の上面に穿設された吸引孔から吸引して、前記受け台上に供給された前記ラミネートフィルムを固定し、前記ラミネートフィルムから打ち抜かれた発熱体形成片を、前記受け台上に保持する吸引機構を有する請求項3に記載の誘導加熱発熱体の製造装置。
前記合掌ユニット、第一トランスファーユニット、第一ハンドリングチャックユニット、第二トランスファーユニット、及び第二ハンドリングチャックユニットに櫛歯状の保持部を設け、前記保持部を開閉させる請求項5に記載の誘導加熱発熱体の製造装置。
高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電層とヒートシール層とから成り、前記導電層が切断線によって区画され、ヒューズ機能部を備える誘導加熱発熱体の製造方法であって、
前記導電層に前記ヒートシール層を積層してなるラミネートフィルムを用意し、前記ヒートシール層の非接着部を前記ヒートシール層から引き剥がして被加工領域を形成するピール工程、
前記導電層に前記切断線を所定のパターンで形成する切断線パターン形成工程、
前記ラミネートフィルムから発熱体形成片を打ち抜くトリミング工程、
前記発熱体形成片のヒートシール層側を対向させて重ね合せ、前記被加工領域側のヒートシール層をヒートシールし、次いで、前記発熱体形成片の上端縁部側同士を部分的に溶着して前記ヒューズ機能部を形成するヒューズ機能部形成工程
を含むことを特徴とする誘導加熱発熱体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
本実施形態が製造対象とする誘導加熱発熱体3は、非導電性材料からなる容器本体2に取り付けて、電磁調理器による誘導加熱が可能な誘導加熱容器1とするためのものである。
【0015】
容器本体2は、水などの液状の被加熱物を収容できるように、内底面21の周りを囲むようにして側壁を立設したものとすることができ、誘導加熱発熱体3は、このような容器本体2の内底面21側に取り付けられる(
図1及び
図2参照)。そして、誘導加熱発熱体3は、電磁調理器などが備える電磁誘導加熱コイルが発する高周波磁界により渦電流が誘起され、その電気抵抗によりジュール熱が生じて発熱する導電性材料からなる導電層30と、容器本体2に対してヒートシール性を有するヒートシール層31とを含む積層体とすることができる(
図5参照)。
【0016】
導電層30を形成する導電性材料としては、例えば、アルミニウム,ニッケル,金,銀,銅,白金,鉄,コバルト,錫,亜鉛などの金属、又はこれらの合金など、高周波磁界による誘導加熱によって発熱する種々の導電性材料を用いて形成することができる。より具体的には、例えば、導電性材料としてアルミニウムを用いる場合、好ましくは0.10〜100μm程度、より好ましくは1〜40μm程度の厚みのアルミニウム箔を用いて導電層30を形成することができる。
【0017】
ヒートシール層31は、容器本体2に対してヒートシール性を有するものであれば特に限定されず、容器本体2を形成する非導電性材料に応じて適宜選択することができる。前述した導電層30と積層し易く、ヒートシール性が良好で、適度な耐熱性を有する樹脂が好ましく、特に、後述する容器本体2と同種の樹脂が好ましい。
【0018】
容器本体2を形成する非導電性材料としては、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂などの合成樹脂材料を好適に使用できる。容器本体2は、単層、又はこれらの樹脂同士或いは他の機能性樹脂と組み合わせた多層構成であっても良い。非導電性材料としては、紙、ガラスなども使用できるが、誘導加熱発熱体3のヒートシール層31とのヒートシール性を考慮して、上記した合成樹脂材料が容器内面にラミネート又はコートされているのが好ましい。これらの材料にて容器本体2を形成することにより、電磁調理器を用いた加熱調理が可能な誘導加熱容器1を安価に提供することが可能となる。
【0019】
また、誘導加熱発熱体3は、ほぼ円形の平板状の主部を有しており、かかる主部から径方向に沿って立ち上がるヒューズ機能部32が設けられている(
図1乃至
図5参照)。
【0020】
さらに、誘導加熱発熱体3の主部は、導電層30を周方向に沿って同心円状に切断する切断線33a、33eによって、切断線33aよりも内側の中央部領域と、切断線33a、33eの間に位置する主加熱領域と、切断線33eよりも外側の周縁部領域とに区画されている。さらに、主加熱領域は、同様の切断線33b、33c、33dによって、複数の領域に区画されている(
図1、
図3及び
図4参照)。
このような切断線33a、33b、33c、33d、33eを形成することによって、導電層30に誘起された渦電流は、切断線33a、33b、33c、33d、33eを横切る方向には流れなくなる。このため、切断線33a、33b、33c、33d、33eによって区画された、それぞれの領域ごとに渦電流が誘起される。
【0021】
渦電流は、電磁調理器の電磁誘導加熱コイルの形状に則して誘起されるため、通常、切断線33aよりも内側の中央部領域に誘起される渦電流はそれほど強くはならないが、電流密度の分布がやや不安定で、より外側を流れる渦電流を乱す場合がある。このため、切断線33aによって中央部領域と主加熱領域とに区画することで、主加熱領域への影響を低減することができる。
【0022】
また、誘起される渦電流の電流密度分布は、半径方向に対して均一ではなく、半径方向中央よりもやや外周寄りに電流密度のピークを有し、導電層30の対応する位置が強く加熱される。このため、前述した主加熱領域を複数の領域に区画する切断線33b、33c、33dは、半径方向に均等に配置するよりも、渦電流が外周寄りに集中しないように外周寄りに密に設けるのが好ましい。このようにすることで、誘起される渦電流を整えて加熱の均等化を図り、加熱ムラを抑制して水などの液状の被加熱物が局所的に急激に加熱されないようにし、突沸の発生を抑止することができる。
【0023】
さらに、切断線33a、33b、33c、33d、33eの端縁は、水などの液状の被加熱物が沸騰して気泡が発生する際の起点となる。このため、加熱時には沸騰石を入れた時のように小さな気泡が継続的に多数生成されて、突発的に大きな気泡が発生するのを防止する効果もあり、これによっても突沸の発生が抑止される。これにより、突沸によって飛散した被加熱物により使用者が火傷を負ってしまったり、電磁調理器周辺を汚したりするような事態を避けることができる。
【0024】
また、切断線33aよりも内側の中央部領域は、径方向に延在する切断線34aにより周方向に複数に区画されている。同様に、切断線33eよりも外側の周縁部領域は、径方向に延在する切断線34cにより周方向に複数に区画されている。これらの領域を周方向に複数に区画することで、電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの中心回りの強い渦電流は誘起されなくなり、複数の小さな領域に区画されたそれぞれの領域は、それほど高温にならない。したがって、これらの領域におけるヒートシール層31でヒートシールして、誘導加熱発熱体3を容器本体2に取り付ければ、容器本体2への伝熱を抑制でき、容器本体2の損傷を防止することができる。
【0025】
さらに、主加熱領域に形成した切断線33b、33cとの間の領域にあっても、径方向に延在する切断線34bにより周方向に複数に区画し、当該領域での発熱を抑制し、当該領域におけるヒートシール層31で容器本体2とヒートシールしている。
【0026】
このように、誘導加熱発熱体3の中央部領域と周縁部領域だけでなく、主加熱領域の切断線33b、33cとの間の領域に発熱が抑制された領域を形成し、当該領域におけるヒートシール層31でも容器本体2とヒートシールすることで、被加熱物の対流や流動、又は電磁誘導加熱コイルとの斥力による誘導加熱発熱体3の浮き上がり、又は波打ちを有効に抑止することができ、より安定した加熱が可能になる。
【0027】
また、容器本体2の損傷を防止するため、誘導加熱発熱体3の裏面側に被加熱物が停滞せずに対流を促すように、誘導加熱発熱体3には、対流孔として抜き孔、又は貫通するスリット35が形成されている。
【0028】
さらに、前述した誘導加熱発熱体3の主部から径方向に沿って立ち上がるヒューズ機能部32は、加熱調理に際して、液状の被加熱物が沸騰して減少していく過程で、容器内の被加熱物が所定量よりも少なくなったときや、容器内に被加熱物が収容されておらず、被加熱物への熱移動がなされない空焚きの状態となったときに、選択的に過剰に発熱して破断する部位として設けられる。このようにヒューズ機能部32を設けることで、空焚きを防止したり、加熱時間を制御したりすることができる。
【0029】
ヒューズ機能部32は、例えば、径方向に沿って立ち上るように導電層30が谷折りされた一対のヒューズ機能部形成片32a,32bを形成し、
図3乃至
図5に示すように、一方のヒューズ機能部形成片32aと他方のヒューズ機能部形成片32bとを重ね合わせるとともに、部分的に溶着することによって形成される。
このとき、ヒューズ機能部32が破断する際の熱によるヒートシール層31の損傷を防ぐために、ヒューズ機能部形成片32a,32bの基部320側を残してヒートシール層31を除去し、ヒューズ機能部形成片32a,32bの基部320同士をヒートシールすることで、ヒューズ機能部32の形状を保持することができる。
【0030】
そして、ヒューズ機能部32の形状を保持し、導電層30同士を確実に接触させて渦電流の導通を確保するため、ヒューズ機能部32の上端縁部側に超音波溶着によって、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士を部分的に溶着した溶着部323を形成する(
図3乃至
図5参照)。
尚、
図3は、誘導加熱発熱体3をヒューズ機能部形成片32a側から見た斜視図であり、
図4は、誘導加熱発熱体3をヒューズ機能部形成片32b側から見た斜視図である。
【0031】
また、導電層30の主加熱領域を複数の領域に区画する切断線33b、33c、33dは、ヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32aに、その上端縁部に向かって延び、0.5〜1mm程度の残部を残して延長して形成する(
図3及び
図4参照)。ヒューズ機能部32のヒューズ機能部形成片32aに、切断線33b、33c、33dを延長して形成することにより、複数の領域に区画されたそれぞれの領域ごとに渦電流が誘起され、前述したヒューズ機能部32の溶着部323に効率良く導通させることができる。
【0032】
一方、他方のヒューズ機能部形成片32bに、主加熱領域の切断線33a、33bで区画される領域と、切断線33c、33dで区画される領域と、切断線33d、33eで区画される領域のそれぞれに、両側辺が弧状又はテーパ状、上辺が直線状で、ヒューズ機能部形成片32aよりも0.5〜1mm程度低い導電層30から成る突片38を形成する(
図4参照)。
さらに、ヒューズ機能部形成片32bの突片38を除く導電層30を、前述したヒートシール層31の残部の高さと同等、又は若干高い導電層30とし、ヒューズ機能部32のヒートシール部からの樹脂の飛び出しを防止する。
【0033】
このようにヒューズ機能部32の導電層30を部分的に除去してヒューズ機能部形成片32bを形成することにより、当該ヒューズ機能部形成片32bの突片38に誘起されるとともに増加する渦電流よって、前述したヒューズ機能部32の溶着部323に効率良く、安定して確実に導通させることができる。
【0034】
また、ヒューズ機能部32には、誘導加熱発熱体3の主部において主加熱領域を区画する切断線33a、33eの延長上に、スリット321、322を形成し、ヒューズ機能部32のうち主加熱領域上に位置する部分に、主加熱領域で誘起された渦電流が集中するようにして、当該部分におけるヒューズ機能部32の機能を効率よく発現することができる。
【0035】
次に、このような誘導加熱発熱体3を製造対象とする本発明の実施形態に係る誘導加熱発熱体の製造装置及び製造方法について説明するが、本発明の製造対象は前述した誘導加熱発熱体3に限定されるものではない。
【0036】
本実施形態において、誘導加熱発熱体3を製造するには、ヒューズ機能部32を形成する被加工領域30aが、好ましくは4〜30mmの幅W
1で導電層30に帯状に設けられる。そして、導電層30を形成する導電性材料(例えば、アルミニウム箔)と、ヒートシール層31を形成する樹脂フィルム(例えば、ポリプロピレン樹脂フィルム)との少なくとも一方に、当該被加工領域30aを除いて形成した接着剤層31bを介して、両者を積層したラミネートフィルム10を用意する。かかるラミネートフィルム10において、被加工領域30aにおけるヒートシール層31の非接着部31aは、ヒートシール層31から取り除かれる(
図6参照)。
【0037】
本実施形態にあっては、先ず、ロール状に巻き取られた長尺のラミネートフィルム10を連続的に繰り出しながら、導電層30の被加工領域30aにおけるヒートシール層31の非接着部31aを、ヒートシール層31から取り除くピール工程、導電層30に前述した切断線33a、33b、33c、33d、33e、34a、34b、34cを所定のパターンで形成し、さらに、ラミネートフィルム10を貫通するスリット35を形成する切断線パターン形成工程、ラミネートフィルム10から誘導加熱発熱体3の製造に必要な部分を切り抜くトリミング工程を行い、次いで、導電層30の被加工領域30aに、ヒューズ機能部32を形成するヒューズ機能部形成工程を行うことによって誘導加熱発熱体3を製造する。
このようなピール工程、切断線パターン形成工程、トリミング工程、ヒューズ機能部形成工程は、本実施形態に係る誘導加熱発熱体の製造装置のピール機構、切断線パターン形成機構、トリミング機構、ヒューズ機能部形成機構で行われる。
【0038】
[ピール機構]
被加工領域30aは、誘導加熱発熱体3の導電層30にヒューズ機能部32を形成するために設けられるものであり、ヒューズ機能部32を形成するに先立ち、ピール機構では、被加工領域30aにおけるヒートシール層31の非接着部31aを、ヒートシール層31から取り除き、被加工領域30aを剥き出し状態にするピール工程が行われる。このため、本実施形態にあっては、ロール状に巻き取られたラミネートフィルム10を、供給装置500にセットして連続的に繰り出し、レーザー照射装置507からレーザー光を照射してヒートシール層31の非接着部31aの幅方向両端に沿ってハーフカット処理を施し、ヒートシール層31に
図6(b)に示す切り込みを入れる(
図7及び
図8参照)。レーザー照射装置507としては、ヒートシール層31を形成する樹脂材料を溶断し、導電層30に影響を与えない特性を有するレーザー、例えば、CO
2レーザー等のガスレーザーを利用することができる。
なお、図示する例では、二機のレーザー照射装置507を、非接着部31aの幅方向両端に沿ってレーザー光を照射する際に、互いに干渉し合わないように、ラミネートフィルム10の繰り出し方向に沿ってずらして配置してある。
【0039】
供給装置500からラミネートフィルム10を繰り出すにあたり、ラミネートフィルム10の巻芯502にはブレーキモータが接続されている。ラミネートフィルム10は、送りローラ503を介して、駆動モータに接続されたフィードローラ504によって繰り出され、巻芯502とフィードローラ504との間でラミネートフィルム10に適度の張力をかけた状態でハーフカット処理を施す。
また、供給装置500から繰り出されたラミネートフィルム10の蛇行を検知カメラ501が検知すると、供給装置500全体が繰り出し方向の直交方向に移動してラミネートフィルム10の蛇行を抑止し、これによって、ハーフカット処理の位置ズレが防止される(
図6及び
図8参照)。
【0040】
幅方向両端に沿ってハーフカット処理が施されたヒートシール層31の非接着部31aは、ヒートシール層31から引き剥がされる。非接着部31aをヒートシール層31から引き剥がす際の振動等によって、ラミネートフィルム10に蛇行が生じないように、非接着部31aの引き剥がしは、フィードローラ504を通過してから行う。このようにして、フィードローラ504とニップローラ505とで挟まれた部位よりも送り方向上流側に、非接着部31aを引き剥がす際の振動等による影響が及ばないようにし、ラミネートフィルム10の蛇行を抑止することができる。そして、フィードローラ504通過後に、リングブロワー508で非接着部31aを吸い込んで、ヒートシール層31から引き剥がし、フィードローラ504を通過したラミネートフィルム10は、ダンサーローラ506によって、ラミネートフィルム10を繰り出す際のフィードローラ504による連続送りと、後述するトリミング機構の送り機構706のフィードローラ760による間欠送りとの送り量の差が吸収される。
【0041】
ラミネートフィルム10の送り量の差を吸収するダンサーローラ506は、ピール機構と切断線パターン形成機構との間に設ける。そして、このダンサーローラ506はアキュームレーター機能を備え、
図9に示すように、直線的に上下動自在、且つ自転自在に支持される。
本実施形態においては、ダンサーローラ506の両端部を回転自在に支持する軸受506aを、直動ガイドレール506bにより上下方向に移動可能に配置することで、ダンサーローラ506は滑らかに上下に平行移動する。このダンサーローラ506の上下動により、ラミネートフィルム10の前述した送り量の差が吸収され、その自重によってラミネートフィルム10に張力がかかる。
また、軸受506aの支持は、特に直動ガイドレール506bに限定するものではなく、その他の直線スライド機構等によりダンサーローラ506が直線的に上下動自在、且つ自転自在に支持され、ダンサーローラ506が滑らかに平行移動できれば良い。
【0042】
そして、軸受506aに、支持プーリ506dに巻き掛けた荷重調節用ワイヤ506cの一端を取り付けると共に、荷重調節用ワイヤ506cの他端に、ウェイト506eを取り付ける。ウェイト506eは、ダンサーローラ506とこれを支持する軸受506aの自重により、これらに鉛直方向下向きに作用する力とのバランスを取るために取り付けられる。これにより、ウェイト506eの重量を増減させることによって、ラミネートフィルム10にかかる張力を調節することができ、複雑な張力変動吸収機構や張力制御装置が不要となる。
尚、条件に応じて、荷重調節用ワイヤ506cの軸受506a側にウェイト506eを取り付けても良い。
【0043】
[切断線パターン形成機構]
導電層切断線パターン形成機構では、
図10に示すように、ラミネートフィルム10の誘導加熱発熱体3の主部となる位置に、切断線33a、33b、33c、33d、33e、34a、34b、34cを所定のパターンで形成すると共に、被加工領域30aにヒューズ機能部形成片32a,32bの上端縁部の形状が形成されるように搬送方向に沿って二ヶ所で溶断(分断)し、さらに、前述した抜き孔、又は貫通するスリット35を形成する導電層切断線パターン形成工程が行われる。
導電層切断線パターンは、導電層30の導電性材料を溶断し、ヒートシール層31の樹脂材料を透過する特性のレーザー、例えば、YAGレーザー、ガラスレーザー等の固体レーザーを利用して導電層30を選択的に切断することによって形成される。
【0044】
本実施形態にあっては、二つのレーザー照射装置601、602を併設しているが(
図7及び
図8参照)、一方のレーザー照射装置601でラミネートフィルム10の導電層30に、切断線33a、33b、33c、33d、33e、34a、34b、34cを形成する。また、ラミネートフィルム10の中央部のヒートシール層31を取り除いた導電層30の被加工領域30aに、後述するトリミング機構を経て二片の発熱体形成片S
0とするための切断線C、C(
図10参照)を、図示するように、ヒューズ機能部形成片32a,32bの上端縁部の形状が形成されるように、その搬送方向に沿って二か所形成する。その後、他方のレーザー照射装置602によって、ラミネートフィルム10の導電層30とヒートシール層31を貫通するスリット(対流孔)35を形成する。このように二つのレーザー照射装置601、602で分担してレーザー照射を行うことで、効率的に切断線パターンを形成することができる。
【0045】
[トリミング機構]
トリミング工程では、打ち抜き切断装置700によって、誘導加熱発熱体3の製造に必要な部分が、発熱体形成片S
0としてラミネートフィルム10から打ち抜かれるトリミング工程が行われる(
図7、
図8及び
図11参照)。
【0046】
打ち抜き切断装置700は、切断刃としてのトムソン刃721が取り付けられた切断型702と、トムソン刃721を受ける受け台703とを備えている。トムソン刃721は、帯状の刃を折り曲げ加工して所定の打ち抜き形状に形成したものであり、切断型702の受け台703との対向面に取り付けられている。
【0047】
また、打ち抜き切断装置700には、フィードローラ760とニップローラ761とからなる送り機構706が、切断型702、受け台703を間に挟んでラミネートフィルム10の供給方向の上流側と下流側にそれぞれ設けられている。ラミネートフィルム10の打ち抜きを行なうにあたり、ラミネートフィルム10は、このような二つの送り機構706によって、弛みの無い緊張状態で受け台703上に間欠的に供給される。
【0048】
切断型702は、油圧シリンダなどの駆動機構720によって昇降可能とされ、切断型702に取り付けられたトムソン刃721の刃先が、ラミネートフィルム10の表面に平行になるように、受け台703の上方に配置されている。これにより、切断型702を下降させて、受け台703上でトムソン刃721の刃先の全長をラミネートフィルム10に対して押し付けることによって、ラミネートフィルム10から所定の打ち抜き形状の発熱体形成片S
0が、後述する受け台703の搬送方向と直交方向に分断された二片に打ち抜かれる。
【0049】
受け台703の上面には吸引孔730が穿設されており、図示しないバキューム装置が、ホース707を介して当該吸引孔730に連通する通気口731に接続されている(
図12及び
図13参照)。これにより、受け台703には、受け台703の上面に穿設された吸引孔730から吸引して、受け台703上に供給されたラミネートフィルム10を固定する。そして、その状態でトムソン刃721を押し付けてラミネートフィルム10を打ち抜き切断した後に、打ち抜かれた発熱体形成片S
0を、捲れ、或いは位置ずれを生じること無く、そのままの状態で受け台703上に保持する。
【0050】
また、受け台703は、例えば、高精度のリニアガイドからなるガイドレール708に案内されて移動して、受け台703上で打ち抜かれた二片の発熱体形成片S
0を、そのままの状態で受け台703上に保持しながら搬送する搬送機構を有している。そして、ラミネートフィルム10を打ち抜く際には、切断型702の打ち抜き荷重を受ける受け台703の負荷が、ガイドレール708にダメージを与えないように、受け台703がガイドレール708から浮き上がった状態となるように、受け台703を荷重受けブロック705に支持させる。このため、受け台703の下方には、エアシリンダなどを備えた昇降機構704が設置されており、昇降機構704を上昇作動させて受け台703を持ち上げつつ、その下方に荷重受けブロック705を受け台703に摺接することなく移動させ、次いで、昇降機構704を下降作動させることによって、受け台703が荷重受けブロック705に着座し支持される。
【0051】
受け台703を次工程に移動するための駆動手段は特に限定されないが、図示する例では、スライダ型電動シリンダ(例えば、ロボシリンダ(登録商標))709を駆動手段として備え(
図7参照)、このスライダ型電動シリンダ709のスライダに固定された台座791を介して受け台703を取り付けてある。台座791には、受け台703を昇降させる昇降機構704の動作を妨げないように逃げ部792が設けられているとともに、受け台703の四隅に穿設された挿通孔732に挿通されるガイドピン793が垂直に立設されている。台座791に立設されたガイドピン793を受け台703に穿設された挿通孔732に挿通することにより、受け台703が台座791を介してスライダ型電動シリンダ709に取り付けられ、これによって、受け台703を昇降させる際の水平方向の位置ズレを抑止しつつ、スライダ型電動シリンダ709による受け台703の移動を可能にしている。
【0052】
このように、受け台703の上面に吸引して保持された発熱体形成片S
0はラミネートフィルム10から打ち抜かれ、二片に分断された状態のまま、捲れ、位置ずれを生じること無く所定の方向に搬送される。このため、当該発熱体形成片S
0を、次工程で精度良く位置決めされるように搬送することができる。
尚、本トリミング機構において、前述した切断線パターン形成機構のレーザー照射装置602によるラミネートフィルム10へのスリット(対流孔)35の形成を行なっても良い。
【0053】
[ヒューズ機能部形成機構]
ヒューズ機能部形成機構では、次のようなヒューズ機能部形成工程が行われる。
すなわち、ヒューズ機能部形成機構では、まず、トリミング工程を終え、受け台703によって搬送、保持されている二片に分断(受け台703の搬送直交方向)された発熱体形成片S
0を、合掌ユニット810で受け取ってヒートシール層31側を対向させ、
非接着部31aが取り除かれたヒートシール層31の残部の端縁(当該端縁を
図6中鎖線で示す)を揃えて二片に分断された発熱体形成片S
0を重ね合せる(
図15参照)。次いで、重ね合された二片の発熱体形成片S
0は、第一トランスファーユニット820を介して第一ハンドリングチャックユニット830に受け渡されて(
図16及び
図17参照)、ヒートシール層31の当該端縁側、すなわち、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320に相当する部分(
図5参照)をヒートシールして第一中間体S
1とする。
【0054】
次に、第一中間体S
1は、第二トランスファーユニット840を介して第二ハンドリングチャックユニット850に受け渡されて(
図18及び
図19参照)、ヒューズ機能部32の上端縁部側の相当する部位に、超音波溶着によって、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士を部分的に溶着した溶着部323(
図3乃至
図5参照)が形成されて第二中間体S
2とされる。これに続いて、第二中間体S
2は第三トランスファーユニット860を介して展開ユニット870に受け渡されて(
図20及び
図21参照)、第二中間体S
2を展開して、ヒューズ機能部32が形成された誘導加熱発熱体3とする(
図5、
図21及び
図22参照)。
【0055】
そして、前述した合掌ユニット810は、一対の保持アーム811を有している。保持アーム811の先端側には、基部812を介して櫛歯状の保持部813が取り付けられており、図示する例では、五本の櫛歯が列設されている。それぞれの保持部813の保持面には内部に連通する吸引孔が穿設され、図示しないバキューム装置によって当該吸引孔から吸引することによって、発熱体形成片S
0を保持できるようになっている。
【0056】
このような合掌ユニット810は、保持部813が水平に開いた状態で待機する。発熱体形成片S
0を保持する受け台703が所定の位置に達すると(
図15(a)参照)、合掌ユニット810は下降して、受け台703上に保持された発熱体形成片S
0を吸引する(
図15(b)参照)。そして、これと入れ替わりに受け台703からの吸引を停止することによって、発熱体形成片S
0の受け渡しがなされ、合掌ユニット810は、発熱体形成片S
0を保持して上昇する(
図15(c)参照)。次いで、所定の位置まで合掌ユニット810が上昇すると、保持部813が合掌するように一対の保持アーム811を対称に回動して、二片の発熱体形成片S
0を重ね合せて(
図15(d)参照)、吸引を停止する。
【0057】
次に、第一トランスファーユニット820は、合掌ユニット810によって重ね合された発熱体形成片S
0を、第一ハンドリングチャックユニット830に受け渡すために、合掌ユニット810と第一ハンドリングチャックユニット830との間を往復移動し、その移動方向に直交して近接、離間する一対の基部821を有している。かかる基部821には、櫛歯状に垂下する保持部822の櫛歯が、合掌ユニット810の保持部813に列設された櫛歯の間に入り込んで、互いに干渉し合わない配列で設けられ、図示する例では、四本の櫛歯が列設されている。
【0058】
この第一トランスファーユニット820は、その基部821を離間させて保持部822が開いた状態で(
図16(a)参照)、当該保持部822を構成する櫛歯が、合掌ユニット810の保持部813の櫛歯と互い違いとなる位置まで移動する(
図16(b)参照)。次いで、基部821を近接させて保持部822を閉じることにより、当該保持部822の櫛歯が、合掌ユニット810の保持部813の櫛歯の間に入り込んで、互いに干渉することなく重ね合された発熱体形成片S
0を保持する(
図16(c)参照)。これに続いて、合掌ユニット810の保持アーム811を回動させて保持部813を開いて、合掌ユニット810を退避させる(
図16(d)参照)。その後、第一トランスファーユニット820を移動させて(
図16(e)参照)、第一ハンドリングチャックユニット830の待機位置まで発熱体形成片S
0を重ね合された状態で搬送し、退避した合掌ユニット810は待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
【0059】
次に、第一ハンドリングチャックユニット830は、二片の発熱体形成片S
0の搬送方向に直交して近接、離間すると共に、対称に回動して開閉する一対の基部831に櫛歯状の保持部832を有している。かかる保持部832の櫛歯は、第一トランスファーユニット820の保持部822の櫛歯の間に入り込んで互いに干渉し合わないように、前述した合掌ユニット810の保持部813と同じ配列で設けられている。
【0060】
そして、第一ハンドリングチャックユニット830は、保持部832が水平に開いた状態で待機して(
図17(a)参照)、発熱体形成片S
0を重ね合された状態で保持する第一トランスファーユニット820が、その保持部822の櫛歯と、第一ハンドリングチャックユニット830の保持部832の櫛歯とが互い違いとなる位置まで移動してくると(
図17(b)参照)、保持部832が合掌するように閉じる(
図17(c)参照)。これにより、第一ハンドリングチャックユニット830は、その保持部832の櫛歯が、第一トランスファーユニット820の保持部822の櫛歯の間に入り込んで、互いに干渉することなく二片の発熱体形成片S
0を保持する。
次いで、第一トランスファーユニット820の基部821を離間させて保持部822を開いて(
図17(d)参照)、第一トランスファーユニット820を退避させる(
図17(e)参照)。これによって、第一ハンドリングチャックユニット830への発熱体形成片S
0の受け渡しが完了し、退避した第一トランスファーユニット820は待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
【0061】
そして、第一ハンドリングチャックユニット830に受け渡された発熱体形成片S
0は、ヒートシール装置に搬送されて、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320に相当する部分(
図5参照)がヒートシールされて第一中間体S
1とされる。このとき、第一ハンドリングチャックユニット830は、ヒートシール装置のヒートシールバーと干渉しないように、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士の基部320に相当する部分を含む発熱体形成片S
0の上端縁側を残して二片の発熱体形成片S
0を保持している。
その後、第一ハンドリングチャックユニット830は、第一中間体S
1を第二トランスファーユニット840まで搬送する。
【0062】
次に、第二トランスファーユニット840は、固定された位置で第一ハンドリングチャックユニット830から第二ハンドリングチャックユニット850への第一中間体S
1の受け渡しを行うが、これ以外は、第一トランスファーユニット820と同様の構成を備えている。
【0063】
この第二トランスファーユニット840は、その基部841を離間させて保持部842が開いた状態で待機し(
図18(a)参照)、第一中間体S
1を保持する第一ハンドリングチャックユニット830が、その保持部832と、第二トランスファーユニット840の保持部842を構成する櫛歯とが互い違いとなる位置まで移動してくると(
図18(b)参照)、基部841を近接させることによって保持部842を閉じる。これにより、第二トランスファーユニット840は、その保持部842の櫛歯が、第一ハンドリングチャックユニット830の保持部832の櫛歯の間に入り込んで、互いに干渉することなく第一中間体S
1を保持する(
図18(c)参照)。
【0064】
次いで、第一ハンドリングチャックユニット830の保持部832を開いて(
図18(d)参照)、第一ハンドリングチャックユニット830を退避させる(
図18(e)参照)。退避した第一ハンドリングチャックユニット830は、待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
【0065】
次に、第二ハンドリングチャックユニット850は、第一ハンドリングチャックユニット830と同様の構成とされ、櫛歯状の保持部852が水平に開いた状態で(
図19(a)参照)、その保持部852の櫛歯が、第二トランスファーユニット840の保持部842の櫛歯と互い違いとなる位置まで移動する(
図19(b)参照)。次いで、保持部852が合掌するように閉じることにより(
図19(c)参照)、保持部852の櫛歯が、第二トランスファーユニット840の保持部842の櫛歯の間に入り込んで、互いに干渉することなく第一中間体S
1を保持する。
次いで、第二トランスファーユニット840の基部841を離間させて保持部842を開くことによって(
図19(d)参照)、第二ハンドリングチャックユニット850への第一中間体S
1の受け渡しが完了する。
【0066】
そして、第二ハンドリングチャックユニット850に受け渡された第一中間体S
1は、超音波融着装置に搬送されて、ヒューズ機能部32の上端縁部側の部位を超音波溶着し、ヒューズ機能部形成片32a,32b同士を部分的に溶着した溶着部323(
図3乃至
図5参照)を形成して第二中間体S
2とする。
このような溶着部323は、例えば、超音波ホーンとアンビルとの間に第一中間体S
1のヒューズ機能部32の上端縁部側の相当する部位を挟み、超音波振動によって導電層30同士を部分的に溶融、圧着することによって形成することができる。
その後、第二ハンドリングチャックユニット850は、第二中間体S
2を第三トランスファーユニット860まで搬送する。
【0067】
次に、第三トランスファーユニット860は、第二中間体S
2の移送方向に直交して近接、離間する一対の基部861を有しているが、他のトランスファーユニットのように保持部862は櫛歯状になっていない。
このような第三トランスファーユニット860は、その基部861を離間させて保持部862が開いた状態で待機する(
図20(a)参照)。そして、第二中間体S
2を保持する第二ハンドリングチャックユニット850が、その待機位置まで移動してくると(
図20(b)参照)、基部861を近接させることによって保持部862を閉じて第二中間体S
2の上縁側を保持する(
図20(c)参照)。
次いで、第二ハンドリングチャックユニット850の保持部852を開いて(
図20(d)参照)、第二ハンドリングチャックユニット850を退避させる(
図20(e)参照)。退避した第二ハンドリングチャックユニット850は待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
【0068】
そして、この第三トランスファーユニット860は、第二中間体S
2を展開ユニット870に受け渡すために、第二ハンドリングチャックユニット850から受け取った第二中間体S
2を、展開ユニット870の待機位置まで搬送する。
次に、展開ユニット870は、前述した合掌ユニット810と同様の構成とされ、櫛歯状の保持部873が水平に開いた状態で待機する(
図21(a)参照)。次いで、展開ユニット870の保持部873の間に、第三トランスファーユニット860に保持された第二中間体S
2が搬送されてくると(
図21(b)参照)、保持部873が合掌するように一対の保持アーム871が対称に回動して、第二中間体S
2に保持部873が押し当てられる(
図21(c)参照)。次いで、その状態で吸引を開始して、保持アーム871を回動させて保持部873を開くことにより(
図21(d)参照)、第二中間体S
2は、第三トランスファーユニット860の下端縁に沿って
図5に示すように折り曲げられながら展開され、第三トランスファーユニット860で保持された上縁側の部分がヒューズ機能部32として形成される。
尚、展開ユニット870の保持部873は、必ずしも櫛歯状とする必要はない。
【0069】
この第二中間体S
2の展開が完了すると、第三トランスファーユニット860の基部861を離間させて保持部862を開いて(
図21(e)参照)、第三トランスファーユニット860を退避させる(
図22(a)参照)。退避した第三トランスファーユニット860は待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
【0070】
次いで、展開ユニット870は、ヒューズ機能部32が形成された誘導加熱発熱体3を吸引したまま下降して、搬出台880が誘導加熱発熱体3を吸引するのと入れ替わりに、展開ユニット870の吸引を停止して、当該誘導加熱発熱体3を搬出台880に受け渡す(
図22(b)参照)。その後、展開ユニット870は上昇し(
図22(c)参照)、待機位置まで戻って前述の動作を繰り返す。
また、搬出台880は、前述した打ち抜き切断装置700が備える受け台703と同様の構成とされ、搬出台880上に誘導加熱発熱体3を吸引して保持する。さらに、搬出台880は、図示しない搬送機構によって移動可能とされ、展開ユニット870から受け渡された誘導加熱発熱体3を、例えば、容器本体2に取り付けるヒートシール工程へと搬出する。
【0071】
そして、そのヒートシール工程は図示しないが、前述した誘導加熱発熱体3の、電磁調理器が備える電磁誘導加熱コイルの中心回りの強い渦電流が誘起されず、それほど高温とならない切断線33aよりも内側の切断線34aによって複数に区画された中央部領域、切断線33eよりも外側の切断線34cによって複数に分割された周縁部領域、及び発熱を抑制した切断線33b、33cとの間の切断線34bによって複数に分割された主加熱領域におけるヒートシール層31を、容器本体2にヒートシールする。
尚、容器本体2と誘導加熱発熱体3のヒートシールは、前述した中央部領域、周縁部領域、或いは主加熱領域を適宜選択して行ってもよい。
このように、誘導加熱発熱体3を容器本体2にヒートシールことにより、加熱時の容器本体2の損傷が防止される。
【0072】
このような本実施形態に係る誘導加熱発熱体の製造装置及び製造方法によれば、高周波磁界により渦電流が誘起されて発熱する導電性材料からなる導電層30を有し、かかる導電層30に、選択的に過剰に発熱して破断するヒューズ機能部32が形成された誘導加熱発熱体3を、工業的に再現性良く製造することができる。
【0073】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。