(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒体状の防振材に挿通させた取付ボルトを前記通風カバーに挿通させ、該通風カバーの内側から前記取付ボルトにナットを螺合して、固定することを特徴とする請求項1に記載の冷却ファンの取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、第1および第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造について説明する。
【0015】
第1および第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、サーボモータのケーシングと冷却用ファンとの間に防振材を介設している。したがって、本実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、サーボモータが駆動する負荷装置から加わる振動や、負荷装置の振動周波数と冷却ファン支持部の固有振動数との共振により発生する振動を低減することができる。その結果、第1および第2実施形態によれば、過大な振動による冷却用ファンの破損を回避可能な冷却ファンの取付構造を実現することができるようになる。
【0016】
〔第1実施形態〕
[冷却ファンの取付構造の構成]
まず、
図1から
図6を参照して、第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造の構成について説明する。
図1は第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造の正面図である。
図2は第1実施形態に係る冷却用ファンの取付構造の反出力側端面図である。
図3は第1実施形態に係る冷却用ファンの取付構造の要部拡大図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、サーボモータ10に、当該サーボモータ10を冷却するための冷却ファン20を取り付けるための構造である。
【0018】
サーボモータ10は、フレーム11内に不図示のステータおよびロータを備える。フレーム11の出力側端部には、出力側ブラケット12が設けられる。他方、フレーム11の反出力側端部には、反出力側ブラケット13が設けられる。
【0019】
サーボモータ10の回転軸14は、出力側ブラケット12から外部へ露出している。当該回転軸14は、減速機や油圧ポンプ等の負荷装置に接続される。サーボモータ10は、サーボ機構により、当該負荷装置の位置や速度等を制御する。
【0020】
冷却ファン20は、サーボモータ10のコイル(図示せず)の温度上昇を防止するための冷却装置である。冷却ファン20は、不図示のステータとロータを有し、ファンモータとも称される。冷却ファン20は、ロータに複数の羽根を備えた羽根車(図示せず)が取り付けられている。
【0021】
サーボモータ10の反出力側には、反出力側ブラケット13を覆うように、筒体状の通風カバー30が取り付けられている。本実施形態の通風カバー30は、たとえば、ほぼ八角形状の筒体として形成されているが、形状は限定されない。通風カバー30には、
図3に示すように、ベース板40、ファン取付板50および防振材60を介して、冷却ファン20が取り付けられる。
【0022】
図4を参照して、第1実施形態におけるベース板について説明する。
図4(a)、(b)は第1実施形態におけるベース板の平面図である。
【0023】
図4に示すように、ベース板40は、リング状の金属板材により形成されている。本実施形態のベース板40は、たとえば、反出力側ブラケット13と同一の材料のアルミニウムもしくはアルミニウム合金により形成される。ベース板40の材質は、必ずしもアルミニウムもしくはアルミニウム合金には限定されない。
【0024】
ベース板40の内径の一部には、位置決め溝部41が形成されている。また、ベース板40には、当該ベース板40を通風カバー30に不図示のビスで固定するための複数の挿通孔42が形成されている。本実施形態のベース板40には、4箇所の挿通孔42が形成されているが、挿通孔42の数は限定されない。
【0025】
さらに、ベース板40には、取付ボルト70を螺合させるための複数の雌ねじ部43が形成されている(
図3参照)。取付ボルト70を螺合するので、ベース板40は、後述のファン取付板50よりも厚肉に形成されている。雌ねじ部43の周囲には、凹状の座ぐり部44が形成されている。
図4(a)の座ぐり部44は、リング状の凹部として形成されている。また、
図4(b)の座ぐり部44は、ほぼ四角形状の凹部として形成されている。本実施形態のベース板40には、4箇所の雌ねじ部43が形成されているが、雌ねじ部43の数は限定されない。
【0026】
次に、
図5を参照して、第1実施形態におけるファン取付板について説明する。
図5は第1実施形態におけるファン取付板の平面図である。
【0027】
図5に示すように、ファン取付板50は、リング状の金属板材により形成されている。本実施形態のファン取付板50は、たとえば、SPCC等の冷間圧延鋼板により形成される。ファン取付板50の材質は、必ずしもSPCCに限定されない。
【0028】
ファン取付板50の内径の一部には、位置決め溝部51が形成されている。また、ファン取付板50には、冷却ファン20をファン取付板50にビスで固定するための複数の挿通孔52が形成されている。本実施形態のファン取付板50には、4箇所の挿通孔52が形成されているが、挿通孔52の数は限定されない。
【0029】
さらに、ファン取付板50には、筒体状の防振材60を支持させるための複数の切欠き孔53が形成されている(
図3参照)。本実施形態のファン取付板50には、4箇所の切欠き孔53が形成されているが、切欠き孔53の数は限定されない。
【0030】
ベース板40およびファン取付板50をそれぞれの位置決め溝部41,51を基準として位置決めすると、ベース板40の各挿通孔42とファン取付板50の各挿通孔52とが、およびベース板40の各雌ねじ部43とファン取付板50の各切欠き孔53とが、それぞれの孔の中心軸を一致させて軸線方向に連なるようになっている。
【0031】
次に、
図6を参照して、第1実施形態における防振材について説明する。
図6は第1実施形態におけるグロメットの軸方向断面図である。
【0032】
図1、
図3および
図6に示すように、筒体状の防振材60を介して、通風カバー30に冷却ファン20を固定する。本実施形態の防振材60は、たとえば、段付き防振材により形成されている。段付き防振材60は、
図6に示すように、円筒部61の両端にリング板部62,62を配したような形状を有している。段付き防振材60としては、たとえば、ゴム製グロメットが挙げられるが、防振性を有していれば、例示の材料に限定されない。
【0033】
段付き防振材60は、ファン取付板50の切欠き孔53に支持される。段付き防振材60の円筒部61をファン取付板50の切欠き孔53に挿通させ、リング板部62,62で切欠き孔53の周囲のファン取付板50を挟持する。
【0034】
図3に示すように、ファン取付板50に支持された段付き防振材60に取付ボルト70を挿通し、ベース板40の雌ねじ部43に当該取付ボルト70を螺合する。段付き防振材60は、ベース板40の雌ねじ部43の周囲の座ぐり部44内に着座する。凹状の座ぐり部44内に段付き防振材60を着座させることにより、ベース板40とファン取付板50との隙間をなるべく小さくして、冷却用ファン20から通風カバー30に流れ込む空気が極力洩れないようにしている。その際、段付き防振材60の円筒部61内には、金属製のスリーブ71が挿着される。また、段付き防振材60の冷却ファン側のリング板部62は、取付ボルト70の座部となるため、金属製のワッシャ72が挿着される。段付き防振材60に金属製のワッシャ72および金属製のスリーブ71を挿着して、取付ボルト70を螺合するので、段付き防振材60の破損を防止することができる。また、スリーブ71の高さを調整することによって、段付き防振材60の潰し率も管理することができる。
【0035】
[ファンモータの防振構造の作用]
次に、
図1から
図5を参照して、第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造の作用について説明する。
【0036】
図1から
図3に示すように、第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、サーボモータ10の通風カバー30と冷却用ファン20との間に筒体状の防振材60を介設している。通風カバー30には、雌ねじ部42を有するリング板状のベース板40が取り付けられる。ベース板40には、挿通孔52を有するリング板状のファン取付板50が取り付けられる。防振材60は、ファン取付板50の切欠き孔53に挿通固定される。
【0037】
ベース板40とファン取付板50は、それぞれ位置決め溝部41,51を有する。ベース板40およびファン取付板50をそれぞれの位置決め溝部41,51を基準として位置決めすると、ベース板40の各雌ねじ部43とファン取付板50の各切欠き孔53とが、それぞれの孔の中心軸を一致させて軸線方向に連なるようになっている。
【0038】
防振材60は、
図6に示すように、たとえば、段付き防振材である。段付き防振材60は、円筒部61の両端にリング板部62,62を配したような形状を有している。したがって、ファン取付板50の各切欠き孔53に段付き防振材60の円筒部61を侵入させて、リング板部62,62で切欠き孔53の周囲の当該ファン取付板50を保持することができる。段付き防振材60としては、グロメットが好ましい。
【0039】
第1実施形態に係る冷却用ファンの取付構造は、サーボモータ10の通風カバー30と冷却用ファン20との間に防振材60を介設しているため、負荷装置から冷却ファン20への振動を減衰することができる。ゴム製グロメットを用いることにより、防振効果を向上させることができる。凹状の座ぐり部44内に段付き防振材60が着座するので、ベース板40とファン取付板50との隙間が小さくなり、冷却用ファン20から通風カバー30に流れ込む空気が洩れるのを防止することができる。
【0040】
また、防振材60の材質や大きさ、数量、およびベース板40やファン取付板50の材質を適切に選択することにより、冷却ファン支持部の固有振動数の調整が可能である。その結果、負荷装置からの振動周波数と冷却ファン支持部の固有振動数との共振を防止することができる。
【0041】
また、既に出荷したサーボモータ10にもそのまま取付可能な構造としている。仮に、ゴム製グロメット等の段付き防振材60が破損しても冷却ファン20は脱落しない。さらに、サーボモータ10のモータ全長が極力伸びないような構造としている。
【0042】
第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造によれば、ゴム製グロメット等の段付き防振材60の減振効果により、サーボモータ10が駆動する負荷装置から加わる振動や、負荷装置の振動周波数と冷却ファン支持部の固有振動数との共振により発生する振動を低減して、過大な振動による破損を防止できる。
【0043】
したがって、第1実施形態に係る冷却ファンの取付構造よれば、過大な振動による冷却用ファン20の破損を防止することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、
図7を参照して、第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造について説明する。
図7は第2実施形態に係る冷却用ファンの取付構造の要部拡大図である。なお、第1実施形態と同一構成の部材については、同一の符号を付して説明する。
【0045】
図7に示すように、第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、ベース板が存在しない点、および取付ボルト70をナット73で固定する点が、第1の実施形態と異なる。
【0046】
すなわち、第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、ベース板が存在しないので(
図1、
図3および
図4参照)、取付ボルト70を固定することができない。したがって、通風カバー30の冷却用ファン20側の端板31に、取付ボルト70を挿通させるための貫通孔(図示せず)を穿設している。そして、第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、ファン取付板50に支持された段付き防振材60および通風カバー30の端板31の貫通孔に取付ボルト70を挿通させ、当該端板31の内側から取付ボルト70にナット73を螺合している。
【0047】
その際、段付き防振材60の円筒部61内には、金属製のスリーブ71が挿着される。また、段付き防振材60の冷却ファン側のリング板部62は、取付ボルト70の座部となるため、金属製のワッシャ72が挿着される。
【0048】
第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造は、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。特に、第2実施形態に係る冷却ファンの取付構造によれば、アルミニウム製のベース板を廃止し、取付ボルト70を通風カバー30にナット73で固定しているので、第1実施形態に比して、製造コストを低減し、かつ、軽量化することができるという有利な効果を発揮する。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。