(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るコントロールバルブ装置1Aの断面図である。このコントロールバルブ装置1Aは、自動変速機2Aに駆動用のオイルを供給する装置である。
図1に示すように、コントロールバルブ装置1Aは、バルブボディ10Aとセンサユニット20Aとを有する。
【0013】
バルブボディ10Aは、内部に設けられた第1油路15Aと、第1油路15Aを開閉する電磁弁16Aと、を有する。また、バルブボディ10Aは、自動変速機2Aに対向する対向部17Aを有する。対向部17Aには、オイル受渡口18Aが配置されている。オイル受渡口18Aは、第1油路15Aの端部に設けられた開口である。
【0014】
センサユニット20Aは、第2油路22Aとセンサ素子23Aとを有する。第2油路22Aの下端部は、オイル受渡口18Aに接続される。センサ素子23Aは、第2油路22A内のオイルの状態を検出する。第2油路22Aおよびセンサ素子23Aは、一体化されたセンサユニット20Aとして、バルブボディ10Aの対向部17Aに配置される。
【0015】
このように、このコントロールバルブ装置1Aでは、第1油路15Aの途中ではなく、第1油路15Aの端部であるオイル受渡口18Aを有する対向部17Aに、一体化されたセンサユニット20Aが配置される。これにより、バルブボディ10Aに対するセンサの取り付け作業が容易となる。また、第1油路15Aよりも自動変速機2A側においてオイルの状態を検出する。このため、自動変速機2A内のオイルの状態に近い検出結果を得ることができる。
【0016】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図2は、第2実施形態に係るコントロールバルブ装置1の斜視図である。
図3は、第2実施形態に係るコントロールバルブ装置1の上面図である。
図4は、第2実施形態に係るコントロールバルブ装置1の側面図である。
【0017】
このコントロールバルブ装置1は、自動車などの輸送機器に搭載され、輸送機機内の自動変速機にオイル(オートマチック・トランスミッション・フルード、ATF)を供給することにより、自動変速機の駆動を制御する装置である。
図2〜
図4に示すように、コントロールバルブ装置1は、バルブボディ10とセンサユニット20とを有する。
【0018】
バルブボディ10は、複数の部材11〜14により形成される。本実施形態のバルブボディ10は、最下段に配置されるロワ部材11と、ロワ部材11の上側に配置されるミドル部材12と、ミドル部材12のさらに上側に配置されるアッパ部材13と、最上段に配置される4つの接触部材14と、を含む。これらの各部材は、例えば、アルミニウム等の金属のダイカストにより形成される。また、ロワ部材11、ミドル部材12、アッパ部材13、および接触部材14は、上下方向にねじ止めされることによって、互いに固定される。
【0019】
ロワ部材11、ミドル部材12、およびアッパ部材13の内部には、オイルの流路となる複数の第1油路15が形成される。複数の第1油路15は、ロワ部材11、ミドル部材12、およびアッパ部材13の内部において、複雑に入り組んでいる。
図4では、複数の第1油路15のうちの1本のみが、例示的に破線で描かれている。
【0020】
また、バルブボディ10は、第1油路15の途中に端部の弁部分が介挿された複数の電磁弁16を有する。各電磁弁16は、棒状のプランジャ161を有する。プランジャ161は、輸送機器内のシフトレバーの操作状態や、車両の速度、エンジンの回転数などの諸条件に応じて入力される駆動電流に基づいて、上下に移動する。プランジャ161の先端が第1油路15内に突き出ると、第1油路15の当該部分におけるオイルの流れが堰き止められる。一方、プランジャ161の先端が第1油路15から退避すると、第1油路15の当該部分が開放されて、オイルが流動可能となる。
【0021】
一例として、このコントロールバルブ装置1は、自動変速機の下方に配置される。このため、本実施形態では、バルブボディ10の上面が、自動変速機の下面に対向する対向部17となる。対向部17は、自動変速機に接触する接触面171と、自動変速機に接触しない凹部172とを含む。以下、本実施形態における接触面171および凹部172の構成について、説明する。
【0022】
図2および
図3に示すように、本実施形態のバルブボディ10は、4つの接触部材14を有する。コントロールバルブ装置1の使用時には、自動変速機の下面に、4つの接触部材14の上面が接触する。これにより、自動変速機に対してバルブボディ10が、上下方向に位置決めされる。すなわち、本実施形態では、4つの接触部材14の上面が、上述した接触面171となる。
【0023】
アッパ部材13の上面は、接触部材14に覆われた部分と、接触部材14に覆われていない露出面131と、を有する。アッパ部材13の当該露出面131は、接触部材14の接触面171よりも、下側に位置する。このため、アッパ部材13の露出面131と、自動変速機の下面とは、互いに接触することなく、空間を介して上下方向に対向する。本実施形態では、アッパ部材13の当該露出面131と、接触部材14の側面とで構成される溝が、上述した凹部172となる。
【0024】
なお、本発明における「凹部」は、接触面よりも自動変速機から離れた部分であればよい。したがって、「凹部」の形状は、必ずしも完全な溝状または穴状でなくてもよい。
【0025】
図4に示すように、アッパ部材13の露出面131には、4つのオイル受渡口18が設けられている。各オイル受渡口18は、第1油路15内のセンサユニット20側の端部に設けられた開口である。これらのオイル受渡口18には、センサユニット20の後述する第2油路22が、それぞれ接続される。コントロールバルブ装置1の使用時には、第1油路15と第2油路22との間で、オイル受渡口18を介してオイルが流動する。
【0026】
一方、ロワ部材11の下面には、1つまたは複数のオイル導入口19が設けられている。オイル導入口19は、第1油路15のオイル受渡口18とは反対側の端部に設けられた開口である。コントロールバルブ装置1の使用時には、図示しないオイルポンプによって加圧されたオイルが、オイル導入口19から第1油路15内へ導入される。
【0027】
センサユニット20は、オイルの圧力や温度などの状態を検出するためのユニットである。センサユニット20は、バルブボディ10の凹部172内に配置され、アッパ部材13の露出面131に、例えばねじ止めにより固定される。
図5は、
図4のA−A位置から見たセンサユニット20の断面図である。
図2〜
図5に示すように、センサユニット20は、樹脂部21、4本の第2油路22、4つのセンサ素子23、信号線24、およびコネクタ25を有する。
【0028】
樹脂部21は、耐熱性を有する固形の樹脂により形成される。樹脂部21の材料には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が用いられる。樹脂部21の耐熱限界温度は、内部を通過するオイルの温度よりも十分に高いことが好ましい。具体的には、樹脂部21の耐熱限界温度を、例えば、200℃以上とすることが好ましい。樹脂部は、4つのセンサ素子23および信号線24をインサート部品とする樹脂モールドにより成型される。すなわち、樹脂部21の成型時には、金型の内部に4つのセンサ素子23および信号線24を配置した状態で、金型内の空間に溶融樹脂を流し込む。そして、流し込まれた溶融樹脂を固化させることにより、樹脂部21を得る。
【0029】
樹脂部21は、略直方体状のユニット本体210と、4本の下突起211と、4本の上突起212とを有する。4本の下突起211は、それぞれ、ユニット本体210の下面から、下方へ向けて突出する。4本の上突起212は、それぞれ、ユニット本体210の上面から、上方へ向けて突出する。4本の第2油路22は、上述した樹脂成型時に形成される。各第2油路22は、下突起211からユニット本体210を通って上突起212まで、樹脂部21を上下に貫通する。
【0030】
バルブボディ10にセンサユニット20を取り付けるときには、バルブボディ10の4つのオイル受渡口18に、4本の下突起211が、それぞれ挿入される。これにより、バルブボディ10内の第1油路15と、センサユニット20内の第2油路22とが、接続される。また、自動変速機にコントロールバルブ装置1を取り付けるときには、自動変速機側に設けられたオイル受入口に、4本の上突起212が、それぞれ挿入される。これにより、センサユニット20内の第2油路22と、自動変速機内のオイルの流路とが、接続される。
【0031】
4つのセンサ素子23は、各第2油路22の内部を流れるオイルの状態を検出する素子である。センサ素子23は、例えば、圧力や温度などのオイルの状態を示すパラメータを、少なくとも1つ検出する。各センサ素子23は、上述した樹脂モールドによって、ユニット本体210内に埋め込まれている。本実施形態では、センサ素子23のセンシングポート231を、第2油路22側へ突出させて、第2油路22内に覗かせている。ただし、第2油路22から水平に分岐した検出路を設け、当該検出路にセンサ素子23を接続してもよい。
【0032】
信号線24は、センサ素子23とコネクタ25とを電気的に接続する、導電性の部材である。信号線24は、センサ素子23とともに、ユニット本体210内に埋め込まれている。コネクタ25は、ユニット本体210から側方へ向けて突出する。コネクタ25は、センサユニット20の外部に露出する複数の端子を有する。センサ素子23の検出信号は、信号線24およびコネクタ25を通って、センサユニット20の外部へ出力される。
【0033】
このように、本実施形態では、4本の第2油路22、4つのセンサ素子23、信号線24、およびコネクタ25が、センサユニット20として一体化されている。そして、一体化されたセンサユニット20が、バルブボディ10に取り付けられる。また、センサユニット20の第2油路22は、第1油路15の端部であるオイル受渡口18に、接続される。このため、第1油路15の途中にセンサを介挿する場合よりも、センサの取り付け作業が容易となる。
【0034】
また、本実施形態のセンサユニット20は、バルブボディ10と自動変速機との間に、配置される。このため、4つのセンサ素子23は、第1油路15よりも自動変速機に近い位置で、オイルの状態を検出する。したがって、第1油路15の途中にセンサを介挿する場合よりも、自動変速機内のオイルの状態に近い検出結果を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、4本の第2油路22と、4つのセンサ素子23とが、1つのセンサユニット20内に集約されている。このようにすれば、バルブボディ10に対するセンサの取り付け作業が、より容易となる。また、複数のセンサ素子23をばらばらに配置する場合よりも、コントロールバルブ装置1を小型化できる。
【0036】
また、本実施形態では、凹部172内の空間に、センサユニット20が収容される。このように、凹部172内の空間に、センサユニット20の少なくとも一部分を収容すれば、凹部172内の無駄な空間を減らし、コントロールバルブ装置1を小型化できる。
【0037】
特に、本実施形態では、ユニット本体210の上面が、接触部材14の上面と同等またはそれよりも低い位置に、配置される。すなわち、センサユニット20の上突起212を除く全体が、凹部172内に収容される。このようにすれば、凹部172内の無駄な空間がより低減されるため、コントロールバルブ装置1をより小型化できる。また、センサユニット20のユニット本体210が、接触部材14の上面よりも上側に突出しないため、自動変速機へのコントロールバルブ装置1の取り付けに、制限が生じにくい。
【0038】
また、
図2および
図3に示すように、バルブボディ10の凹部172内には、電気配線部としての配線プレート30が配置されている。配線プレート30は、アッパ部材13の上面に配置された略板状の底上げ部材31の上に、載置されている。ただし、底上げ部材31を省略し、アッパ部材13の上面に、配線プレート30が直接載置されていてもよい。
【0039】
配線プレート30には、複数の電磁弁16およびセンサユニットと電気的に接続される複数の電気配線が、組み込まれている。また、配線プレート30は、センサユニット20のコネクタ25に接続される端子を有する。コネクタ25を用いることによって、センサユニット20と配線プレート30とを、ワンタッチで容易に接続できる。
【0040】
このように、本実施形態では、バルブボディ10の凹部172内に、配線プレート30が配置されている。これにより、コントロールバルブ装置1の上面から配線プレート30が上方へ突出することが、防止されている。その結果、コントロールバルブ装置1の全体の高さが抑えられている。なお、凹部172内に、配線プレート30に代えて、複数の導線が配置されていてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、複数の電磁弁16の各々の上端部が、アッパ部材13の上面から上方へ突出している。したがって、電磁弁16の一部分も、凹部172に収容される。これにより、凹部172内の無駄な空間がより低減される。その結果、コントロールバルブ装置1をより小型化できる。また、本実施形態では、3つ以上の電磁弁16が、バルブボディ10の最も長い辺に沿う方向である長手方向に、一列に配列されている。このようにすれば、各電磁弁16に接続される配線プレート30の形状を単純化できる。その結果、コントロールバルブ装置1をより小型化できる。
【0042】
また、本実施形態では、センサユニット20内において、4本の第2油路22が、それぞれ上下方向に延びている。そして、4本の第2油路22は、互いに平行に一列に配列されている。また、4つのセンサ素子23も、同じ高さ位置に一列に配列されている。また、本実施形態のセンサ素子23は、略直方体状の外形を有する。そして、各センサ素子23の最も長い辺が、第2油路22に対して垂直となる水平方向に、配置されている。これにより、センサユニット20内において4つのセンサ素子23が占める領域の上下方向の高さ寸法が、抑えられる。また、このように、ユニット本体210内に、4本の第2油路22と、各第2油路22に接続されるセンサ素子23とを、効率よく配置することで、センサユニット20を小型化できる。その結果、コントロールバルブ装置1をさらに小型化できる。
【0043】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態には限定されない。
【0044】
図6は、一変形例に係るコントロールバルブ装置1Bの分解斜視図である。
図6の例では、バルブボディ10Bが、ロワ部材11B、ミドル部材12B、アッパ部材13B、および接触部材14Bを有する。また、アッパ部材13Bの上面のうち、接触部材14Bから露出した露出面131Bと、接触部材14Bの側面とで、凹部172Bが形成されている。また、当該露出面131Bに、4つのオイル受渡口18Bが配置されている。そして、4本の第2油路22Bと4つのセンサ素子23Bとを持つセンサユニット20Bが、バルブボディ10Bの凹部172B内に、配置される。
【0045】
また、
図6の例では、接触部材14Bの上面に、下方へ向けて凹む溝部141Bが設けられている。そして、当該溝部141Bに、電気配線部としての配線プレート30Bが、配置されている。配線プレート30Bは、上面視において、凹部172Bを取り囲むように、略L字状に延びている。このように、接触部材14Bの溝部141B内に、配線プレート30Bを配置すれば、接触部材14Bを複数に分けて分散配置する必要がない。また、上記の第2実施形態のように、アッパ部材の上面に底上げ部材を配置する必要もない。したがって、コントロールバルブ装置1の組み立て作業が、容易となる。
【0046】
上記の第2実施形態および変形例では、オイル受渡口、第2油路、およびセンサ素子が、それぞれ4つずつ設けられていた。しかしながら、オイル受渡口、第2油路、およびセンサ素子の数は、それぞれ、1〜3個であってもよく、あるいは、5つ以上であってもよい。
【0047】
また、上記の第2実施形態および変形例では、バルブボディに設けられた凹部内に、センサユニットが配置されていた。しかしながら、バルブボディに凹部を設けることなく、バルブボディの平らな対向部にセンサユニットを配置してもよい。その場合、自動変速機側に、センサユニットを収容するための凹部が設けられていてもよい。
【0048】
また、上記の各実施形態のコントロールバルブは、自動変速機の下方に配置されるものであった。したがって、上記の各実施形態では、バルブボディの上面が、自動変速機の下面に対向する対向部となっていた。しかしながら、本発明のコントロールバルブ装置は、自動変速機の側方や上方に配置されるものであってもよい。その場合、バルブボディの側面や下面が、対向部となっていてもよい。
【0049】
また、上記の第2実施形態では、センサユニットの樹脂部内に、信号線が埋め込まれていた。しかしながら、センサの検出信号を無線で出力するなどして、信号線を省略してもよい。
【0050】
また、コントロールバルブ装置の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。