特許第6282927号(P6282927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282927
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20180208BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20180208BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B60N2/28
   B60N2/14
   A47C3/18 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-100273(P2014-100273)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-217696(P2015-217696A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0084650(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2295287(EP,A1)
【文献】 特表2004−504218(JP,A)
【文献】 特開平10−250426(JP,A)
【文献】 特開2005−193775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 2/72
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回経路と、前記周回経路の少なくとも一部に形成された凹部とを有する回転ベースが付帯された取付台座と、
前記周回経路に沿った移動と前記凹部への嵌合を可能に配置されたロック部と、前記ロック部を前記凹部を形成した面側へ付勢させる付勢手段と、前記ロック部に接続されて前記ロック部を前記付勢手段による付勢方向と反対側へ移動させることで前記ロック部と前記凹部との嵌合を解除するロック解除部とを有する複数の操作手段を備え、前記回転ベースに対して回転可能に組付けられる回転板が付帯された着座シートと、
を有することを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記凹部は、前記周回経路上で、前記取付台座の前方側に対応する位置に設けられ、
前記複数の操作手段は、少なくとも前記着座シートの前方側に対応する位置と後方側に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記回転板の回転中心を基点として放射状に複数の前記凹部を設け、
前記回転中心を基点とした前記複数の凹部間の配置角度を前記回転中心を基点とした前記操作手段の配置角度よりも小さくしたことを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記周回経路を構成する壁面に前記ロック部の摺動抵抗を変化させる切欠き部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシートに係り、特に車両に取り付ける取付台座に対して着座シートを回転させる回転機構を備えたチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に対する取付台座に対して、着座シートを回転可能に構成するチャイルドシートは種々提案されている。取付台座と着座シートとの間の回転機構に関しては、回転を止めるためにロックしたり、ロックを解除して回転可能にするための操作手段を台座側に設けるタイプと、着座シート側に設けるタイプに大別することができる。
【0003】
前者は、例えば特許文献1に開示されているような構成のチャイルドシートである。このような構成のチャイルドシートでは、着座シートが車両の進行方向に対してどの方向を向いている場合であっても、常に同じ方向から操作手段を操作することができるという利点がある。
【0004】
また、後者としては、例えば特許文献2、3に開示されているような構成のチャイルドシートが知られている。特許文献2に開示されているチャイルドシートは、着座シートの着座部分の下側に、操作手段を設けている。一方、特許文献3に開示されているチャイルドシートは、着座シートの背もたれ部分の後方に、操作手段を設けている。いずれの構成であっても、回転ロックの解除と、回転操作を同時に行うことができるため、片手での操作が可能となり、子供を抱えた状態で操作できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−180349号公報
【特許文献2】特開2002−301961号公報
【特許文献3】特開2012−30625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、台座側に操作手段を備えるチャイルドシートと、着座シート側に操作手段を備えるチャイルドシートとには、それぞれ構成に特化した利点が存在する。一方で、それぞれの構成のチャイルドシートには、各構成特融の課題が存在する。
【0007】
例えば、台座側に操作手段を備えた場合、回転ロックを解除する動作と、着座シートを回転させる動作とを同時に行う場合、両手を使わざるを得ず、子供を抱えた状態での操作は困難となる。
【0008】
また、着座シート側に操作手段を備えた場合、着座シートを回転させると、操作手段の位置が変わってしまう。このため、操作手段が車両シートの背もたれ側に位置してしまうと、手元の確認がし難い、解除のための力が入り難いといった問題が生じることがある。
【0009】
そこで本発明では、回転機構を備えたチャイルドシートにおいて、回転ロック解除と回転操作を片手で行うことが可能であり、かつ着座シートがどの方向を向いている場合であっても操作手段が操作し易い位置に存在することとなるチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るチャイルドシートは、周回経路と、前記周回経路の少なくとも一部に形成された凹部とを有する回転ベースが付帯された取付台座と、前記周回経路に沿った移動と前記凹部への嵌合を可能に配置されたロック部と、前記ロック部を前記凹部を形成した面側へ付勢させる付勢手段と、前記ロック部に接続されて前記ロック部を前記付勢手段による付勢方向と反対側へ移動させることで前記ロック部と前記凹部との嵌合を解除するロック解除部とを有する複数の操作手段を備え、前記回転ベースに対して回転可能に組付けられる回転板が付帯された着座シートと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記のような特徴を有するチャイルドシートにおいて前記凹部は、前記周回経路上で、前記取付台座の前方側に対応する位置に設けられ、前記複数の操作手段は、少なくとも前記着座シートの前方側に対応する位置と後方側に対応する位置に設けるようにすると良い。
【0012】
このような特徴を有することによれば、着座シートの回転動作がロックされている状態では、常に操作手段が取付台座の前方側に位置することとなる。
【0013】
また、上記のような特徴を有するチャイルドシートでは、前記回転板の回転中心を基点として放射状に複数の前記凹部を設け、前記回転中心を基点とした前記複数の凹部間の配置角度を前記回転中心を基点とした前記操作手段の配置角度よりも小さくすることが望ましい。
【0014】
このような特徴を有することによれば、任意の位置で着座シートの回転をロックすることが可能となる。また、1つの操作手段により回転ロックを解除して回転操作を行っている最中に、他の操作手段により回転がロックされてしまう虞が無い。
【0015】
さらに、上記のような特徴を有するチャイルドシートでは、前記周回経路を構成する壁面に前記ロック部の摺動抵抗を変化させる切欠き部を設けるようにすると良い。
【0016】
このような特徴を有することによれば、切欠き部において着座シートの回転を仮ロックすることが可能となる。さらに、仮ロック状態からは、力を加えるだけで回転動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
上記のような特徴を有するチャイルドシートによれば、回転機構を備えたチャイルドシートにおいて、回転ロック解除と回転操作を片手で行うことが可能であり、かつ着座シートがどの方向を向いている場合であっても操作手段が操作し易い位置に存在させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係るチャイルドシートの正面、平面、及び右側面の構成を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るチャイルドシートの右側面の構成を示す図である。
図3図2におけるA−A断面の構成を示す図である。
図4図2におけるB−B断面の構成を示す図である。
図5図3におけるC−C断面の構成を示す図である。
図6】取付台座の平面構成を示す図である。
図7】回転板の平面構成を示す図である。
図8図7におけるD方向矢視の構成を示す図である。
図9図7におけるE方向矢視の構成を示す図である。
図10】実施形態に係るチャイルドシートにおける第1の応用形態の特徴的構成を示す模式図である。
図11】実施形態に係るチャイルドシートにおける第2の応用形態の特徴的構成を示す模式図である。
図12】実施形態に係るチャイルドシートにおける第3の応用形態の特徴的構成を示す模式図である。
図13】実施形態に係るチャイルドシートにおける第4の応用形態の特徴的構成を示す模式図である。
図14】実施形態に係るチャイルドシートにおける第5の応用形態の特徴的構成を示す模式図である。
図15図14におけるF−F断面の構成を示す模式図である。
図16】実施形態に係るチャイルドシートにおける第6の応用形態の特徴的構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のチャイルドシートに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施形態に係るチャイルドシート10は、図1、および図2に示すように、取付台座12と、着座シート22を主体として構成されている。なお、図1は、実施形態に係るチャイルドシートの正面、平面、および右側面の構成を示す斜視図であり、図2は、実施形態に係るチャイルドシートの右側面の構成を示す図である。また、図3には図2におけるA−A断面を示し、図4には、同図B−B断面を示す。さらに、図5には、図3におけるC−C断面を示すこととする。
【0021】
実施形態に係るチャイルドシート10において、取付台座12は、車両のシート(不図示)に固定される部材であり、着座シート22を回転させるための回転機構におけるベース(回転ベース14と称す)が備えられている。図6に、取付台座12の平面図を示す(図2の状態を基本としたアングル)。
【0022】
回転ベース14は、支持面16と、周回経路18、及び凹部20を基本として構成されている。支持面16は、詳細を後述する回転板26(図5参照)を含む着座シート22の重量を支える面であり、図6に示す形態では、その平面形状は、略円形としている。支持面16の中央には、回転板26に備えられる回転軸30を挿通させるための軸受け孔16aが形成されている。周回経路18は、詳細を後述する回転板26の下部側に突出させるロック部34(図5参照)を周回させるための経路である。本実施形態では、周回経路18は、支持面16の外周形状に沿って設けている。周回経路18は、支持面16に搭載される回転板26から突出するロック部34が配置されるため、支持面16に対して凹状の溝となるように形成されている。このため、周回経路18は、内周側壁面18aと外周側壁面18b、および底面18cといった3つの壁面により構成されることとなる。
【0023】
本実施形態では、凹部20を周回経路18に設けるようにしている。具体的には、周回経路18を構成する壁面のうち、内周側壁面18aに形成している。また、凹部20は、回転ベース14において、取付台座12の正面に対応する位置(前方側)に設けている。また、本実施形態では、図6から読み取れるように、内周側壁面18aの一部であって、取付台座12の側面に対応する位置に、前述した凹部20とは別に、略円形を成す支持面16の平面視形態の一部直線状に切り欠く切欠き部16bを備えている。
【0024】
詳細を後述する回転板26に備えられるロック部34は、凹部20を形成している内周側壁面18aに対して付勢されることとなる。このため、周回経路18を移動するロック部34が凹部20の形成位置に至った場合には、ロック部34が内周側壁面18aに形成された凹部20に引き寄せられて嵌合することとなる。また、ロック部34が、切欠き部16bに至った場合、切欠き部16bと円弧状の部分との間には角部が形成されることとなるため、ロック部34が角部を乗り越える際に摺動抵抗が変化し、大きな力が必要となる。このため、切欠き部16bを設けることにより、回転板26を回転させる際に、仮ロック作用を得ることができるようになる。
【0025】
着座シート22は、背もたれ部24aと着座部24bとを有するシート本体24と、シート本体24を構成する着座部24bの下部備えられる回転板26を有する。ここで、図7には、回転板の平面図を示し、図8図9にそれぞれ図7におけるD方向矢視、E方向矢視の構成を示す。
【0026】
シート本体24は、チャイルドシート10を使用する子供を座らせる座席である。回転板26は、プレート本体28と回転軸30、および操作手段32を備えている。プレート本体28は、一方の面が上述した回転ベース14の支持面に当接して摺動すると共に、他方の面によりシート本体24を支持する役割を担う。プレート本体28における一方の面側には、回転軸30が突設されている。回転軸30は、回転ベース14の支持面16に形成された軸受け孔16aに挿入される。図8図9に示す例の場合、回転軸30の先端には、軸受け孔16aとの係合を担う抜け止め30aが設けられている。尚、軸受け孔16aに対する回転軸30の抜け止め構造は、本実施例に限定されず、他の既存の抜け止め構造を使用することができる。また、プレート本体28には、その板面に、詳細を後述する操作手段32を配置するための開口部28a(図5参照)が設けられている。
【0027】
操作手段32は、ロック部34と、ロック部34に連接されているロック解除部36を備える。操作手段32は、プレート本体28における他方の面に配置されているが、ロック部34は、開口部28aを介して、プレート本体28の一方の面側に突出するように配置されることとなる。このため、ロック部34とロック解除部36は、プレート本体28を介して、一方の面と他方の面にそれぞれ配置されることとなる。本実施形態においてプレート本体28は円形に形成されており、プレート本体28に設けられている開口部28aは、ロック部34を配置した状態で、操作手段32を半径方向へ移動させることができるように形成されている。操作手段32の移動幅は、少なくとも、ロック部34が、回転ベース14に形成された凹部20に嵌合する位置から、ロック部34と凹部20の嵌合が解除され、ロック部34が周回経路18に配置される位置の範囲であれば良い。
【0028】
操作手段32は図示しない付勢手段により、プレート本体28の中心側へ付勢されている。このため、ロック部34は常時、周回経路18における内周側壁面18aに付勢された状態となる。よって、ロック部34が凹部20の配置位置に面した場合には、ロック部34は凹部20に対して自動的に嵌合することとなる。
【0029】
ロック部34は、凹部20に嵌合可能な突起部であれば良い。一方、ロック解除部36は、付勢力に抗い、凹部20からロック部34を引き抜く必要がある。このため、本実施形態では、ロック解除部36には、指を掛けるための持ち手を形成するようにしている。
【0030】
本実施形態に係るチャイルドシート10では、プレート本体28に対して、少なくとも2つの操作手段32を配置する構成としている。具体的な配置位置としては、回転板26にシート本体24を搭載した際に、着座部24bの前方側となる位置と、着座部24の背もたれ部24a側となる位置にそれぞれ配置すると良い。このような配置形態とすることで、着座部24bの前方が取付台座12の前方を向いている場合であっても、背もたれ部24aが取付台座12の前方に位置する場合であっても、操作手段32が取付台座12の前方に位置することとなり、操作性を良好に保つことができる。
【0031】
上記のような構成の取付台座12に対して、上記のような構成の着座シート22を組み付けて構成されるチャイルドシート10では、取付台座12の前方側に位置している操作手段32のロック部34が、回転ベース14に設けられた凹部20に嵌合している。このため、取付台座12の前方側に位置している操作手段32のロック解除部36を前方側へ引っ張ることで、ロック部34と凹部20との嵌合が外れ、回転動作に関するロックが解除される。ロックが解除された状態で、着座シート22を回転させる方向に力を入れることで、着座シート22は、回転軸30を基点として回転することとなる。実施形態に係るチャイルドシート10では、操作手段32が着座シート22に付帯されているため、回転ロックの解除と回転動作の双方を片手で行うことが可能となる。このため、片手に子供や荷物を持った状態であっても、チャイルドシート10のロックを解除し、回転させるという動作を行うことが可能となる。
【0032】
凹部20との嵌合が外されたロック部34は、着座シート22の回転に従って、周回経路18の内周側壁面18aに沿って摺動することとなる。着座シート22を約90度回転させると、ロック部34は、周回経路18の内周側壁面18aに形成された切欠き部16bに到達し、仮ロック状態となる。着座シート22に対して回転方向に力を加えると、仮ロック状態が解除され、ロック部34は、再び周回経路18の内周側壁面18aに沿って摺動する。
【0033】
着座シート22を約180度回転させると、背もたれ部24a側に配置した操作手段32が取付台座12の前方に位置することとなる。このため、背もたれ部24a側の操作手段32におけるロック部34が、凹部20に嵌合し、着座シート22の回転をロックすることとなる。このように、実施形態に係るチャイルドシート10では、着座シート22の回転をロックする機能を果たす操作手段32が、着座シート22の回転がロックされる際、必ず取付台座12の前方側に位置することとなる。このため、ロック解除時の操作性が常に良好となる。なお、本実施形態では、凹部20の配置位置を取付台座12の前方側となる位置としたが、凹部20の配置位置は、これに限られるものでは無い。すなわち、操作手段32の操作性や、着座シート22を固定したい方向に合わせて定めるようにすれば良い。なお、凹部20の配置範囲は、取付台座12の前方側を基点として、回転中心回りに±90度の範囲とすることが望ましい。
【0034】
次に、上記実施形態のチャイルドシート10に適用可能な応用形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す応用形態は、いずれも、その殆どの構成を上述した実施形態に係るチャイルドシート10と同様とする。よって、各応用形態を示す図面に開示する特徴的な構成以外の構成は、上記実施形態に係るチャイルドシート10の構成を援用することとする。また、以下に示す応用形態では、主に、取付台座12と着座シート22の間に位置する回転機構の構成を模式的に示し、これを各応用形態の特徴的構成とする
【0035】
まず、第1の応用形態について、図10を参照して説明する。本応用形態では、操作手段32の数を4つとしている。操作手段32を4つ設ける場合、各操作手段32間の配置角度は、約90度とすると良い。操作手段32をこのような形態で配置することで、着座シート22を約90度回転させる毎にロックがかかることとなる。本実施形態においても、ロックがかかる状態の時には、必ずロック解除に寄与することとなる操作手段32が取付台座12の前方に位置することとなる。また、ロック解除動作と着座シート22を回転させる動作を片手で同時に行うことも可能となる。
【0036】
なお、上記実施形態では、支持面16において、凹部20の形成位置から約90度の位置に、平面視形状を直線とした切欠き部16bを設け、着座シート22を回転させる際に仮ロックを生じさせる旨記載した。しかしながら、本応用形態では、約90度毎にロックがかかる構成とするため、支持面16に切欠き部16bを設ける必要性は無い。
【0037】
次に、第2の応用形態について、図11を参照して説明する。本応用形態では、凹部20の数を2つとしている。凹部20の数を増やす場合、その配置角度は、操作手段32の配置角度よりも小さくなるようにする。本応用形態では、2つの操作手段32の配置角度を約180度とし、2つの凹部20の配置角度を約90度としている(いずれも支持面16の中心を基点とする)。
【0038】
なお、凹部20の配置位置は、取付台座12の前方側の位置を基点として、±90度の範囲に配置することが望ましい。凹部20の配置位置は、操作手段32によるロック、あるいはロック解除が成される位置である。このため、取付台座12の前方側の位置を基点とした±90度の範囲に凹部20を設けることで、ロック解除操作を行う操作手段32は、取付台座12の前方側か、側面側に位置することとなり、操作性を損なう虞が無い。
【0039】
また、凹部20の配置角度を操作手段32の配置角度よりも小さくすることで、1つの操作手段32により凹部20とのロックを解除して着座シート22の回転操作を行っている最中に、他の操作手段32が凹部20に嵌合し、着座シート22の回転がロックされてしまうといった事態を生じさせる虞が無い。また、凹部20の数を増やすことで、着座シート22を回転させる際、任意の角度で着座シート22の回転をロックすることが可能となる。
【0040】
次に、第3の応用形態について、図12を参照して説明する。本応用形態では、凹部20の数、操作手段32の数を共に3つとしている。凹部20や操作手段32の数を2つ以上に増やす場合には、最も離れた位置にある2つの凹部20の間の角度θ1が、隣り合って配置されている2つの操作手段32の配置角度θ2よりも小さくなるように配置することが望ましい。1つの操作手段32により凹部20とのロックを解除して着座シート22の回転操作を行っている最中に、他の操作手段32が凹部20に嵌合し、着座シート22の回転がロックされてしまうといった事態を避けるためである。
【0041】
本応用形態では、隣り合う凹部20の配置角度をそれぞれ約30度、隣り合う操作手段32の配置角度をそれぞれ約120度としている。このような応用形態であっても、上述した第2の応用形態と同様の効果を発揮することが可能となる。
【0042】
次に、第4の応用形態について、図13を参照して説明する。本応用形態では、凹部20の配置位置と操作手段32の付勢方向を異ならせる構成とした。上記実施形態では、操作手段32を構成するロック部34は、周回経路18を構成する壁面のうち、内周側壁面18aに付勢する構成としていた。これに対し、本応用形態では、周回経路18を構成する壁面のうち、外周側壁面18bに、ロック部34を付勢させる構成とする。すなわち、操作手段32には、回転板26(図7参照)の回転中心から離間する方向へ向けた付勢力が働くように、付勢手段(不図示)を設けるようにする。
【0043】
また、本応用形態では、凹部20を外周側壁面18bに設ける構成としている。また、その配置位置は、取付台座12の前方側とすることが望ましい。
【0044】
このように本応用形態では、ロック部34の付勢方向を周回経路18を構成する外周側壁面18bの方向とすることで、着座シート22の回転がロックされる際には、周回経路18の外周側壁面18bに形成された凹部20にロック部34が嵌合することとなる。このため、着座シート22のロックを解除する際には、操作手段32のロック解除部36を回転板26の回転中心方向へ押し込むこととなる。
【0045】
次に、第5の応用形態について、図14図15を参照して説明する。なお、図14は、回転機構の平面構成を示す模式図であり、図15は、図14におけるF−F断面を示す模式図である。本応用形態では、周回経路18を構成する壁面のうちの底面18cに、凹部20を構成している。このような構成では、溝状に形成された周回経路18に沿って摺動する操作手段32のロック部34が、凹部20に落ち込むことで、着座シート22の回転がロックされることとなる。
【0046】
本応用形態の場合、着座シート22の回転ロックを解除する際には、操作手段32を構成するロック解除部36を上方へ引き上げれば良い。この動作により、凹部20に嵌合しているロック部34が引き抜かれることとなるからである。
【0047】
次に、第6の応用形態について、図16を参照して説明する。ここで、図16は、本応用形態に係るチャイルドシート10における断面構成(図3におけるC−C断面に対応)を示す図であり、説明を容易にするために、着座シート22と取付台座12を分解した状態で示している。
【0048】
本応用形態では、操作手段32のロック部34を本体34aと返し34bから成るフック形状に形成し、周回経路18も、このロック部34の形態に合わせた形状としている。ここで、フック部34を構成する本体34aは、本応用形態ではプレート本体28から取付台座側12側へ垂下する垂下部と、プレート本体28の回転中心に向けて突出している凸部とを有するL字状としている。返し34bは、本体34aの凸部からロック解除部36側へ向けて、前述した垂下部と平行に突出する突起部である。また、周回経路18の具体的形状の一例としては、ロック部34の本体34aが周回するL字溝19aと、L字溝19aの形成により構成される天井部16cに形成され、返し34bが周回することとなる天井溝19bから成る。そして、ロック部34が嵌合することとなる凹部20は、天井溝19bにおける取付台座12の前方側に対応する位置に設けられる。
【0049】
このような構成では、操作手段32は、凹部20が形成されている天井部16c側に付勢されることとなる。そして、着座シート22の回転と共に操作手段32が天井溝19bの凹部20形成位置に到達すると、ロック部34の返し34bが凹部20に嵌合する。返し34bが凹部20に嵌合すると、凹部20の深さ分だけ、操作手段32のロック解除部36が、シート本体24側(図面上側)に突出し、着座シート22の回転がロックされることとなる。着座シート22の回転ロックを解除する場合には、突出している操作手段32のロック解除部36をプレート本体28側(図中下側)へ押し込めば良い。このような操作により、ロック部34の返し34bと凹部20との嵌合外れ、ロックが解除されることとなる。
【0050】
このような構成であっても、操作手段32を片手で操作し、かつ着座シート22を回転させる力を加えることができる。このため、本発明の一部とみなすことができる。なお、図16においては、操作手段32や取付台座12をそれぞれ一体物として示しているため、組み付けが困難であるように見えるが、図16は、本応用形態の一例を模式的に示すものであり、各構成要素を適宜分割可能な構成とすれば、組み付け上の問題は生じない。
【符号の説明】
【0051】
10………チャイルドシート、12………取付台座、14………回転ベース、16………支持面、16a………軸受け孔、16b………切欠き部、18………周回経路、18a………内周側壁面、18b………外周側壁面、18c………底面、20………凹部、22………着座シート、24………シート本体、24a………背もたれ部、24b………着座部、26………回転板、28………プレート本体、28a………開口部、30………回転軸、30a………抜け止め、32………操作手段、34………ロック部、36………ロック解除部。
図1
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