【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例を示すCADシステム100のシステム構成を例示する図である。
図1に示すように本実施例のCADシステム100は、情報処理装置101、サーバ102を有し、それら装置がLAN(Local Area Network)等のネットワーク103を介して相互にデータ通信可能に接続されている。なお、
図1のネットワーク103上に接続される各種端末あるいはサーバの構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0020】
情報処理装置101は、後述する
図3に示すように、オペレーティングシステム320上でCADアプリケーション310と検図支援プログラム300を実行する装置(例えば、パーソナルコンピュータ)である。CADアプリケーション310と検図支援プログラム300は、後述する
図2のROM202または外部メモリ211に記憶されており、ユーザからの指示に応じて、CPU201がRAM203に読み出して実行し各種動作を行う。
【0021】
CADアプリケーション310は、ユーザからの操作に応じて、設計物の立体形状を示す3次元モデルの作成や構築、また3次元モデルに基づく2次元図面の作成を行う3DCADアプリケーションである。CADアプリケーション310は、様々なAPI(Application Programming Interface)を備えており、後述する検図支援プログラムからの指示に応じてAPIを実行し、必要に応じてその結果を検図支援プログラムに返すことができる。
【0022】
検図支援プログラム300は、CADアプリケーション310に表示された3次元モデルから生成された2次元図面の検図を行うため、CADアプリケーション310のAPIに指示を出し、その結果を受け取るためのプログラムである。検図支援プログラムは、CADアプリケーションのアドオンであってもよいし、別個の独立したプログラムであってもよい。また、検図支援プログラム300は、CADアプリケーション310の1機能として実現されていてもよい。
【0023】
サーバ102は、情報処理装置101で作成された各種データを記憶管理する装置である。サーバ102には、例えば、PDM(Product Data Management)がインストールされており、PDMにより3次元モデルを一元管理している。3次元モデルは、情報処理装置101にて作成される。また、サーバ102は、PDMにより3次元モデルから生成された2次元図面を管理している。この2次元図面をCADアプリケーション310で読み込み表示させ、検図支援プログラムを用いて、検図処理を実行する。
【0024】
なお、情報処理装置101が、サーバ102の構成を含んでもよいし、サーバ102が情報処理装置101の構成を含んでもよい。また、本実施例においては、情報処理装置101に各種データが記憶され、ユーザからの操作によって動作させる形態に基づいて説明を行う。
【0025】
図2は、情報処理装置101、サーバ102を適用可能な装置のハードウェア構成を例示する図である。
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各装置の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0026】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボードや不図示のマウス等のポインティングデバイス等の入力デバイス209からの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)206は、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御する。表示器の種類は、液晶ディスプレイやCRT等を想定するが、これに限らない。
【0027】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0028】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。通信I/FC208は、例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0029】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0030】
本実施例の情報処理装置101が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ211等に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされてCPU201によって実行されるものである。さらに、本発明に係るプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルも外部メモリ211等に格納されている。
【0031】
次に、情報処理装置101の機能構成について説明する。
図3は、情報処理装置101の機能構成を例示する図である。なお、
図3の機能構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。また、情報処理装置101は、図面の寸法を表す寸法オブジェクトを含む2次元図面を表示する情報処理装置である。
【0032】
図3の検図支援プログラム300において、項目表示部301は、検図においてチェックする項目を後述するチェックリストのファイルから読み出し、一覧表示する表示機能部である。
項目指定部302は、チェック対象の項目である項目一覧から検図者が所定の項目(寸法オブジェクトを割り当てる対象の項目)を指定するための機能部である。
オブジェクト指定部303は、表示されている2次元図面で、検図者がチェックした寸法となる寸法オブジェクトを指定するための機能部である。
【0033】
記憶制御部304は、項目指定部302で指定されたチェック対象の項目を、チェック済み項目として、オブジェクト指定部303で指定された寸法オブジェクトと対応付けて、記憶装置への記憶制御を実行する機能部である。
なお、項目表示部301は、指定した項目に対して、チェックした寸法オブジェクトを割り当てて表示する機能部でもある。
【0034】
図3に例示する301〜304は、検図支援プログラムにおける機能部であり、検図支援プログラム300は、CADアプリケーション310と連携するプログラムを、情報処理装置101のCPU201が必要に応じて外部メモリ211から読み出して実行することにより実現されるものである。なお、CADアプリケーション310では、検図の際、2次元図面が表示される。検図支援プログラム300のオブジェクト指定部303は、CADアプリケーション310で表示されている2次元図面で寸法オブジェクトが指定されると、CADアプリケーション310から寸法オブジェクトの属性情報を受け付ける。なお、CADアプリケーション310は、オペレーティングシステム320上で動作するものである。なお、検図支援プログラム300がクラウド環境で動作する形態の場合には、設計図面システムとして、各種機能がサーバで実行される構成であってもよい。この場合、例えば、情報処理装置101にインストールされたWebブラウザ等を介して、クラウド環境の設計図面システムにアクセスするものとする。
【0035】
次に、本実施例における情報処理装置101によって行われる処理について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
図4は、本実施例における情報処理装置101によって行われる処理を例示するフローチャートである。なお、
図4、及び後述する
図5、
図6に示す処理は、情報処理装置101におけるCPU201が必要に応じて外部メモリ211から読み出して実行することにより実現されるものである。
図4〜
図6において'S'を付した符号は各ステップを示す。また、
図4〜
図6に示す処理を行う際には、情報処理装置101のCPU201は、サーバ102のPDMと通信可能な状態にある。本実施例では、操作者の扱う情報処理装置101のCPU201がサーバ102のPDMで管理される3DCADファイルを取得して処理を行う。
【0036】
まず、S101では、情報処理装置101のCPU201は、操作者によるコマンド起動処理を受け付けることによって、処理の対象となる図面ファイル(PDMで管理されている2次元図面)を開き、3DCADアプリケーション上で表示する。
次に、S102では、情報処理装置101のCPU201は、上記S101で開いたファイル内からドキュメントビュー(具体的には正面方向や平面方向など特定の視線方向から3Dモデルを投影した輪郭線などを表示する単位で、一般的な3DCADアプリケーションに備わっている表示機能)の一覧を取得し、RAM203又は外部メモリ211上に
図9(a)に示すビューテーブルを作成し、S103へ処理を移行する。
【0037】
図9(a)は、ビューテーブルの一例を示す図である。
図9(a)に示すように、ビューテーブル900は、図面上のビューの名前を格納するビュー名901を含む。ここにS102の具体的な結果として、S102後のビューテーブル900を
図10に示す。
【0038】
図10は、
図4のS102後のビューテーブル900の状態を例示する図である。
図10に示すように、ビューテーブル900に、
図4のS101で開いたファイル内から取得されたドキュメントビューの一覧に対応するビュー名のレコードが追加されている。
【0039】
S103では、情報処理装置101のCPU201は、上記S101で開いたファイル内からドキュメントレイヤーの一覧を取得し、RAM203又は外部メモリ211上に、
図9(b)に示すレイヤーテーブル1000を作成し、S104へ処理を移行する。なお、ドキュメントレイヤーは、具体的には図面上の表示グループであり、表示される線や寸法は必ずいずれかのレイヤーに帰属し、そのレイヤーに対して指定した表示/非表示などは帰属する全ての要素(例えば寸法や直線等)に一律で反映される。なお、一般的にレイヤーは、ビューの影響を受けない。CAD図面は、複数のレイヤーからなっており、この複数のレイヤーを用いてCAD図面が表示される。CAD図面のレイヤーについては、既知の技術であるため説明を省略する。
【0040】
図9(b)は、レイヤーテーブル1000を例示する図である。
レイヤーテーブル1000は、図面に登録されているレイヤー名を格納するレイヤー名1001と、レイヤーの表示状態(主に表示/非表示)を格納する表示状態1002を有する。ここにS103の具体的な結果として、S103後のレイヤーテーブル1000を
図11に示す。
【0041】
図11は、
図4のS103後のレイヤーテーブル1000を例示する図である。
図11に示すように、レイヤーテーブル1000に、
図4のS101で開いたファイル内から取得されたドキュメントレイヤーの一覧に対応するレイヤー名1001と表示状態1002を含むレコードが追加されている。
表示状態1002がオンのレイヤーに記憶されているデータが画面上に表示される。一方、表示状態1002がオフのレイヤーのデータは画面上に表示されない。
【0042】
S104では、情報処理装置101のCPU201は、
図7のメインダイアログ700をディスプレイ210に表示する。さらに、情報処理装置101のCPU201は、上記S102で作成したビューテーブル900のレコードを、レコードNo順(例えば
図10の例では上から順)に対象ビュー名703へリストとして全て登録する。さらに、情報処理装置101のCPU201は、上記S103で作成したレイヤーテーブル1000のレコードをレコードNo順(例えば
図11の例では上から順)に全て格納レイヤー704へリストとして登録する。そして、情報処理装置101のCPU201は、S105へ処理を移行する。ここにS104までの具体的な結果として、S104後のメインダイアログ700を
図12に示す。
【0043】
図7は、メインダイアログ700を例示する図である。
図12は、
図4のS104後のメインダイアログ700の状態を例示する図である。
図12の1401に示すように、ビューテーブル900やレイヤーテーブル1000に登録された値がメインダイアログ700に表示される。なお、この時点では、チェックリストは表示されていないものとする。
なお、操作者による対象ビュー名703の選択操作に応じて、情報処理装置101のCPU201は、3DCADアプリケーション上で表示されている2次元図面を、選択されたビューに対応する2次元図面の表示に更新するように制御する。なお、3DCADアプリケーション上で表示される2次元図面は、例えば、後述する
図20、
図23、
図25、
図27に示すようなものである。
【0044】
S105では、情報処理装置101のCPU201は、操作者によるチェックリストの受付処理を行う。具体的には、
図7の参照ボタン702の操作者による押下に応じて、情報処理装置101のCPU201が、ファイル選択ダイアログをディスプレイ210に表示し、このダイアログによって選択されるファイルをチェックリストとして受け付け、ファイルパスを
図7のチェックリスト701へ表示する。
【0045】
チェックリストとは、検図でチェックする箇所を示すデータを記憶するものであり、予め準備がされ、例えば情報処理装置101の外部メモリ211等に記憶されているものである。チェックリストは、テキスト形式のファイルでもXML形式のファイルでも、その他の形式のファイルでも構わない。チェックリストでは、
図9(c)に示すビュー名1101〜項目名1102に対応するデータが予め記憶されている。このチェックリストは、検図処理(後述するS111の寸法受付処理)によって、
図9(c)に示す寸法名1103〜内部ID1105が記憶(追記)されるものである。情報処理装置101のCPU201は、受け付けたチェックリストを読み込むことで、
図9(c)に示すレコードテーブル1100を、RAM203又は外部メモリ211上に作成する。
【0046】
図9(c)は、レコードテーブル1100を例示する図である。
情報処理装置101のCPU201は、ビュー名1101に図面上のビュー名を格納し、項目名1102に寸法が示す項目名を格納し、寸法名1103に図面内での寸法名を格納し、レイヤー名1104に図面内でのレイヤー名を格納し、内部ID1105に図面内での寸法固有の内部IDを格納し、S106へ処理を移行する。
【0047】
初回実行時のチェックリストではビュー名1101〜項目名1102が読み込まれ、次回以降実行のチェックリストでは処理の過程でレコードテーブル1100に格納される寸法名1103〜内部ID1105が読み込まれる場合がある。ここにS102の具体的な結果として、S105後のレコードテーブル1100を
図13に示す。
図13は、
図4のS105後のレコードテーブル1100の状態を例示する図である。
【0048】
S106では、情報処理装置101のCPU201は、上記S105で作成したレコードテーブル1100のレコードの内で、対象ビュー名703で指定されているビュー名とビュー名1101が一致するレコードの項目名1102、寸法名1103、レイヤー名1104を
図7の項目グリッド706へ表示し、S107へ処理を移行する。ここにS106までの具体的な結果として、S106後のメインダイアログ700を
図14に示す。
図14は、
図4のS106後のメインダイアログ700の状態を例示する図である。
【0049】
S107では、情報処理装置101のCPU201は、操作者による処理項目(検図に際してチェックする項目)の受付処理を行う。具体的には、
図7の項目グリッド706から任意の項目の選択をクリック操作によって受け付け、S108へ処理を移行する。
【0050】
S108では、情報処理装置101のCPU201は、操作者による
図7の格納レイヤー704の変更受付処理を行う。具体的には、操作者による格納レイヤー704の変更を受け付け、S109へ処理を移行する。格納レイヤー704は、選択した項目に対して割り当てられた(操作者である検図者によりチェックされた)寸法データを移動する先のレイヤーである。格納レイヤーが上記101で開いた図面ファイルにない場合には、ここで、任意に作成することも可能である。また、格納レイヤーが上記図面ファイルにある場合には、操作者から指定を受け付けることなく、情報処理装置101のCPU201がその格納レイヤーを自動で設定するように構成してもよい。
【0051】
S109では、情報処理装置101のCPU201は、操作者の判断による項目グリッドへの項目編集要否の受付処理を行う。具体的には、情報処理装置101のCPU201は、操作者による
図7の項目編集707の押下を受け付ける。項目編集は、例えば、ユーザの操作によりチェックしたい項目を任意に追加する場合などで実行される。
【0052】
そして、項目編集707の押下を受け付けたと判定した場合(S109でYesの場合)、情報処理装置101のCPU201は、S110へ処理を移行する。一方、項目編集707の押下を受け付けなかったと判定した場合(S109でNoの場合)、情報処理装置101のCPU201は、そのままS111へ処理を移行する。
【0053】
S110では、情報処理装置101のCPU201は、
図7の項目グリッド706を変更するための処理を行い、S111へ処理を移行する。項目編集処理の詳細については、以下
図5を用いて説明する。
【0054】
図5は、
図4のS110の項目編集処理の詳細を例示するフローチャートである。
S201では、情報処理装置101のCPU201は、
図8(a)の項目編集ダイアログ800をディスプレイ210に表示し、
図7の項目グリッド706に表示されている項目の一覧を取得して項目リスト804へ表示し、S202へ処理を移行する。ここにS201の具体的な結果として、S201後の項目編集ダイアログ800を
図8(b)に示す。
図8は、項目編集ダイアログ800を例示する図である。
図8(b)は、現在登録されている項目の一覧が表示されている例である。
【0055】
S202では、情報処理装置101のCPU201は、操作者による項目名の受付処理を行う。具体的には、
図8の項目名801によって操作者による項目名の入力を受け付ける。そして、情報処理装置101のCPU201は、項目名801に項目名の入力があったと判定した場合、S203へ処理を移行する。
【0056】
S203では、情報処理装置101のCPU201は、上記S202で受け付けた項目名の重複確認処理を行う。重複確認処理では、情報処理装置101のCPU201は、項目リスト804へ表示されているリストの全てを対象として、項目名801で受け付けた文字列との比較を行い、項目名801で受け付けた文字列と一致する項目が項目リスト804に存在する場合は「名称が重複する」と判定し、存在しない場合は「名称が重複しない」と判定する。
【0057】
名称が重複すると判定した場合(S203でYesの場合)、情報処理装置101のCPU201は、S202へ処理を移行する。一方、名称が重複しないと判定した場合(S203でNoの場合)、情報処理装置101のCPU201は、S204へ処理を移行する。
【0058】
S204では、情報処理装置101のCPU201は、項目リスト804への項目追加処理を行う。具体的には、情報処理装置101のCPU201は、操作者による項目追加ボタン802の押下を受け付けることにより、上記S203で重複しないと判定された項目名801の文字列を、項目名として項目リスト804へ追加表示し、S205へ処理を移行する。S204の具体的な結果として、S204後の項目編集ダイアログ800を
図15に示す。
図15は、
図5のS204後の項目編集ダイアログ800の状態を例示する図である。
図15は、「溝位置」が項目名として追加された例である。
【0059】
S205では、情報処理装置101のCPU201は、項目リスト804に表示するリストの削除処理を行う。具体的には、情報処理装置101のCPU201は、操作者による項目リスト804から項目の選択(例えばクリック操作など)を受け付け、処理対象を決定する。加えて、情報処理装置101のCPU201は、操作者による項目削除ボタン803の押下を受け付けることで、項目リスト804から前述で決定した削除対象の項目を削除し、S206へ処理を移行する。ここにS205の具体的な結果として、S205後の項目編集ダイアログ800を
図15に示す。
図16は、
図5のS205後の項目編集ダイアログ800の状態を例示する図である。
図16は、「上面穴径」の項目名を削除した例である。
【0060】
S206では、情報処理装置101のCPU201は、操作者による戻るボタン805の押下を受け付けることにより、項目リスト804の表示に基づいてレコードテーブル1100の更新処理を行い、続いて
図7のメインダイアログ700へ表示を切り替える際に項目グリッド706の表示内容更新処理を行う。
【0061】
レコードテーブル1100の更新処理では、情報処理装置101のCPU201は、レコードテーブル1100へのレコード追加処理とレコード削除処理をそれぞれに行う。レコード追加処理では、情報処理装置101のCPU201は、項目リスト804に表示している全ての項目を処理対処とし、その項目名と対象ビュー名703で、
図9(c)のレコードテーブル1100を検索し、該当するレコードがレコードテーブル1100に存在しない項目については、その項目名と対象ビュー名703を新規レコードとしてレコードテーブル1100へ追加する。レコード削除処理では、情報処理装置101のCPU201は、レコードテーブル1100における、対象ビュー名703に対応するビュー名1101の全てのレコードを対象として、項目名1102と項目リスト804を比較し、項目リスト804に項目名1102が存在しないレコードをレコードテーブル1100から削除する。
【0062】
レコードテーブル1100の更新処理の完了後、情報処理装置101のCPU201は、項目編集ダイアログ800の非表示にし、メインダイアログ700の項目グリッド706へ前述の更新処理で更新したレコードテーブル1100のレコードに基づいて
図4のS106と同様の処理(ダイアログ表示処理)を行い、項目編集処理を終了する。S206までの具体的な結果として、S206後のレコードテーブル1100を
図17、メインダイアログ700を
図18に示す。
【0063】
図17は、
図5のS206後のレコードテーブル1100の状態を例示する図である。
図17は、
図15で「溝位置」が追加され、
図16で「上面穴径」が削除された結果のレコードテーブルを示している。
図18は、
図5のS206後のメインダイアログ700の状態を例示する図である。
図18は、
図15で「溝位置」が追加され、
図16で「上面穴径」が削除された結果、メインダイアログに移行した場合の画面例を示している。この例は、「上面穴径」が削除され、「溝位置」が追加されたイメージである。
【0064】
なお、図示しないが、情報処理装置101のCPU201は、項目名801への項目名の入力の受け付け、項目追加ボタン802の押下を受け付け、項目リスト804から項目の選択の受け付け、項目削除ボタン803の押下の受け付け、及び、戻るボタン805の押下の受け付けを、項目編集ダイアログ800が表示されている間、任意のタイミングで行っている。即ち、情報処理装置101のCPU201は、項目名801への項目名の入力に応じてS202〜S203を実行し、項目追加ボタン802の押下に応じてS204を実行し、項目削除ボタン803の押下に応じてS205を実行し、戻るボタン805の押下に応じてS206を実行する。
以上でS110の項目編集処理の説明を終える。
【0065】
以下、
図4のフローチャートの説明に戻る。
S111では、情報処理装置101のCPU201は、上記S107又は後述するS113で受け付けた項目に対して寸法受付処理を行い、S112へ処理を移行する。寸法受付処理の詳細については以下
図6を用いて説明する。
【0066】
図6は、
図4のS111の寸法受付処理の詳細を例示するフローチャートである。
S301では、情報処理装置101のCPU201は、
図4のS107及び後述するS113で受け付けた処理項目、具体的にはメインダイアログ700の項目グリッド706で選択状態にある項目を取得し、S302へ処理を移行する。
【0067】
S302では、情報処理装置101のCPU201は、上記S301で取得した項目に対して寸法(寸法名1103、レイヤー名1104、内部ID1105)が割り当て済みか否かを判定する。そして、まだ寸法が割り当てられていないと判定した場合(S302でNoの場合)、情報処理装置101のCPU201は、S302へ処理を移行する。一方、すでに寸法が割り当て済みであると判定した場合(S302でYesの場合)、情報処理装置101のCPU201は、S307へ処理を移行する。
【0068】
S303では、情報処理装置101のCPU201は、操作者によって指定される寸法の受付処理を行う。具体的には、情報処理装置101のCPU201は、3DCADアプリケーションで表示された2次元図面(例えば
図20)上で、操作者による寸法オブジェクト(例えば
図20の2301)の指定を受け付け、S304へ処理を移行する。具体的には、情報処理装置101のCPU201が、
図19の2201のように「全幅」が選択された状態で、操作者による入力デバイス209を用いた、「全幅」に対応する寸法(
図20の寸法オブジェクト2301)の指定(例えばクリックによる選択等)を受け付ける処理である。
【0069】
S304では、情報処理装置101のCPU201は、上記S303で受け付けた寸法の情報をCADアプリケーション310から取得し、レコードテーブル1100を更新する。具体的には、情報処理装置101のCPU201により、CADアプリケーション310の図面上での指定イベントを、CADアプリケーション310から検図支援プログラム300が受け付ける。この受け付けに従って、検図支援プログラム300が、指定イベントが寸法を指定したイベントであると判定する。寸法を指定したイベントであると判定された場合に、検図支援プログラム300がCADアプリケーション310のAPIを用いて、指定された寸法オブジェクトの寸法情報の取得を行う。取得する寸法の情報として、寸法名、内部IDを取得し、選択中の項目に相当するレコードテーブル1100上のレコードの寸法名1103へ寸法名を、内部ID1105へ内部IDをそれぞれ格納する。レコードテーブル1100に格納した結果として、S304のレコードテーブル1100を
図21の2401に示す。さらに、情報処理装置101のCPU201は、メインダイアログ700の格納レイヤー704のレイヤー名を取得し、前述の処理を行ったレコードテーブル1100上のレコードのレイヤー名1104へ格納し、S305へ処理を移行する。
【0070】
図21は、
図6のS304後のレコードテーブル1100の状態を例示する図である。
例えば、
図21のように、ビュー名1101「上面図」、項目名1102「全幅」の寸法名1103、レイヤー名1104、内部ID1105の値が更新される。
【0071】
S305では、情報処理装置101のCPU201は、上記S303で受け付けたCADアプリケーション310上の寸法オブジェクトが帰属するレイヤーの変更制御処理を行う。具体的には、情報処理装置101のCPU201により、検図支援プログラム300からレイヤーを変更するためのAPI(変更するレイヤー名をパラメータに含む)を用いて、CADアプリケーション310に対して変更制御命令を出力する。これにより処理中の寸法が帰属するレイヤー名を上記S304で取得した格納レイヤー704のレイヤー名で更新し、S306へ処理を移行する。なお、格納レイヤーに寸法(寸法オブジェクト)を格納(変更)すると、
図20の2302のように、指定された寸法が非表示状態となって図面の表示が更新される。この格納レイヤーは上述の通り「非表示」設定となっているため、図面上では非表示となる。
図20は、
図6のS303での寸法オブジェクトの指定状態およびS305のレイヤー変更処理後の2次元図面の表示状態を例示する図である。
【0072】
S306では、情報処理装置101のCPU201は、
図4のS106と同様の手順により、レコードテーブル1100によって項目グリッド706の表示内容を更新し、寸法受付処理を終了する。表示内容の更新は、
図19の2202に示すように、取得した寸法情報のうち、寸法名とレイヤー名が表示される。
図19は、メインダイアログ700での項目の指定状態および
図6のS306のダイアログ更新処理後の項目グリッド706の表示状態を例示する図である。
【0073】
次に、S307〜310を用いて、既に寸法が割り当てられている項目が選択されている場合の表示切り替え処理を説明する。例えば、
図22の2501のように割り当て済みの項目が選択されている場合には、情報処理装置101のCPU201は、S307〜310の表示切り替え処理を実行する。
図22は、メインダイアログ700において寸法が割り当て済みの項目が選択されている場合の例を示す図である。
【0074】
S307では、情報処理装置101のCPU201は、上記S301で取得した項目の内部ID1105をレコードテーブル1100より取得し、該内部IDを持つ寸法の情報を、APIを用いてCADアプリケーション310から取得する。
【0075】
S308では、情報処理装置101のCPU201は、上記S307で取得した内部IDに従って、寸法が帰属するレイヤー(本実施例では格納レイヤー)を取得し、レイヤーテーブル1000(
図11)から、該取得したレイヤーのレイヤー名(例えば「チェック済み」)とレイヤー名1001が一致するレコードの表示状態1002を取得する。そして、該取得した結果が非表示(オフ)の場合には、情報処理装置101のCPU201は、APIによって、CADアプリケーション310の上記寸法が帰属するレイヤーを一時的に表示状態(オン)へ切り替える。これにより、格納レイヤーの寸法オブジェクトがCADアプリケーション310の2D図面に表示される。ここでは、
図23の2601のように、上記S307で取得した寸法の内部IDに従って、
図22の2501で指定された項目に対応する寸法オブジェクトの色が変更されて表示される(図中では、線は破線、数字は斜体で強調)。つまり、指定された寸法が他の寸法と識別できるように強調表示される。なお、寸法オブジェクトの強調表示は、該寸法オブジェクトを他のオブジェクトと識別可能な表示形態での表示であればよく、色の変更に限定されるものではない。このような強調表示により、操作者(即ち検図者)は、寸法が割り当て済みとなっている項目を選択するだけで、該項目に割り当てられている寸法を容易に目視確認することが可能となる。
図23は、
図6のS308での2次元図面の表示状態を例示する図である。
【0076】
そして、S308の完了後、情報処理装置101のCPU201は、S309へ処理を移行する。この際、レイヤーテーブル1000の該当レコードの表示状態1002が非表示(オフ)の場合でも、レイヤーテーブル1000の該当レコードの表示状態1002へは書込みを行わない(一時的にチェックした寸法を表示するため表示状態1002は「オフ」のままとしておく)。
【0077】
S309では、情報処理装置101のCPU201は、操作者による他項目の選択受付処理を行う。情報処理装置101のCPU201は、操作者からの受け付けが発生するまでは待機状態となり、上記S308の表示状態を保持する。操作者からの受け付けが発生した場合、情報処理装置101のCPU201は、S310へ処理を移行する。
図24の2701のように、寸法が割り当てられていない項目が選択された場合に、S310へ処理を移行する。
図24は、メインダイアログ700において寸法が割り当てられていない項目が選択されている場合の例を示す図である。
【0078】
S310では、情報処理装置101のCPU201は、次の割り当てを行うため、上記S308と同様の手順によりレイヤーテーブル1000の表示状態1002を取得し、該取得した結果が非表示(オフ)の場合には、APIによって、CADアプリケーション310の上記寸法が帰属するレイヤーを元の表示状態(オフ)へ切り替える。これにより、一時的に表示した格納レイヤーの寸法オブジェクトがCADアプリケーション310の2D図面で非表示となる。即ち、すでに項目に割り当てられている寸法は非表示となり、まだ項目に割り当てられていない寸法が表示されて、割り当てを継続することができる。具体的には、
図25に示すように、寸法オブジェクト2801が非表示となる。
【0079】
図25は、
図6のS310後の2次元図面の表示状態を例示する図である。
そして、S310の処理を完了すると、情報処理装置101のCPU201は、S301へ処理を戻す。
【0080】
また、
図6には示していないが、情報処理装置101のCPU201が、割り当て済みの項目の指定ではなく、メインダイアログ700の一時表示705に対する操作者から切り替え(具体的にはチェックの有効)を受け付けたと判定した場合には、格納レイヤー704のレイヤーの表示状態を一時的に表示状態(オン)へ切り替える処理を行う。この処理により、非表示に設定されている格納レイヤーへ格納した寸法が表示される。これにより、操作者は、対象ビューにおいて、項目へ割り当て済みの寸法オブジェクトの全てを容易に表示して一括して確認することができる。この場合、情報処理装置101のCPU201は、対象ビューにおいて項目へ割り当てられている寸法オブジェクトを全て強調表示する。よって、操作者は、割り当て済みの項目と寸法を効率的に確認できる。
【0081】
より具体的には、情報処理装置101のCPU201は、
図26の2901のように、ユーザにより一時表示705のチェック指示があると、格納レイヤーの表示状態を一時的にオンにして、
図26の2902のように割り当て済みの寸法が、
図27の3001のように2次元図面上に強調表示されるように制御する。
【0082】
図26は、メインダイアログ700において一時表示705がチェックされた場合の様子を例示する図である。
図27は、メインダイアログ700において一時表示705がチェックされた場合の2次元図面の表示状態を例示する図である。
以上で寸法受付処理の説明を終える。
【0083】
以下、
図4のフローチャートの説明に戻る。
S112では、情報処理装置101のCPU201は、
図7の項目グリッド706に未処理(未割当)の項目があるか否かにより処理の終了を判定する。そして、未処理の項目があると判断した場合、情報処理装置101のCPU201は、処理は終了していないと判定し(S112でNoと判定し)、処理の対象を次のレコードに移行し(次レコードを有効化し)(S113)、S108から処理を継続する。
【0084】
一方、未処理の項目がないと判断した場合、情報処理装置101のCPU201は、処理は終了したと判定し(S112でYesと判定し)、レコードテーブル1100の全レコードを上記S105で受け付けたチェックリストへ反映し、S114に処理を移行する。即ち、情報処理装置101のCPU201は、レコードテーブル1100に記憶されているチェック済み項目と寸法オブジェクトとを対応付ける情報をチェックリスト(ファイル)として出力する。
【0085】
なお、上記S112の処理までが1つのビュー(対象ビュー名703で選択されたビュー)に対して行う処理の一例となる。情報処理装置101のCPU201は、操作者による対象ビュー名703の変更を任意のタイミングで受け付け可能であり、該変更を受け付けた場合、図示しないが、該変更されたビューに対する処理を、上記S106より前述の手順によって実行する。一般的な図面の場合、上面図、正面図、右側面図など、それぞれがビューに分かれて記憶されているため、検図者は、ビューを切り替え、検図を行うことになる。
【0086】
S114では、情報処理装置101のCPU201は、全てのビューに対してチェックを完了し、処理を終了する場合、
図6のS305で格納レイヤーにレイヤー変更した寸法オブジェクトを元のレイヤーと合わせて表示する設定を実行する。
即ち、S114の寸法戻し処理は、格納レイヤーに移動した寸法オブジェクトを表示状態とする(元の図面通りの表示にさせる)ための処理である。また、S114の寸法戻し処理は、チェック対象の項目がチェック済み項目となり、チェックを完了する場合に、前記所定のレイヤーに変更した寸法オブジェクトと前に帰属していたレイヤーと合わせて表示させるべく、前記所定のレイヤーを表示設定する表示設定処理である。
【0087】
なお、情報処理装置101のCPU201は、S114において、寸法戻し処理(格納レイヤー表示処理)を実行する前に、不図示のダイアログを表示し、格納レイヤーのレイヤーを表示させるか否かをユーザに選択させて処理を切り替えるように構成してもよい。格納レイヤーを表示させる設定が選択された場合には、APIを用いてCADアプリケーション310に格納レイヤーの表示設定制御を実行する。また、格納レイヤーを表示させない設定がされた場合には、デフォルトの設定が非表示設定であるため、APIを用いた表示設定制御を実行しないものとする。情報処理装置101のCPU201は、上述した寸法戻し処理を実行し、ファイルの保存処理を実行した上で本フローチャートの処理を終了する。この表示設定制御を実行することにより、図面ファイルを開いた際に、元の図面と同じ表示状態となり、図面全体を把握することが可能となる。
【0088】
なお、本フローチャートの処理を終了した際のチェックリストのファイルは検図のエビデンスとして利用されるものである。情報処理装置101のCPU201は、例えば本フローチャートの処理を終了する際、該チェックリストのファイルを、図面とともにサーバ102のPDMに登録し、PDMで管理されるにように制御する。
【0089】
以上説明したように、本実施例によれば、図面の検図にかかる作業を効率化することができる。
例えば、検図をチェックリストに基づいて実施することを正確かつ容易にすると共に、検図者への負担を軽減する効果が期待できる。また、その検図結果の記録を用いることで、客観的な検図への評価を高い信頼性をもって短時間で確認することができる等の効果を奏する。
【0090】
また、チェックリストに基づいてCADアプリケーション310上の検査対象の表示状態を切り替えながら検図を進めることができるため、検査漏れの抑制や検査対象の識別時間短縮の両面で効果が期待できる。
また、
図4のS112で更新するチェックリストは、図面ファイルへの検図結果として用いることができるため、他者が行う検図、具体的には項目に列挙された寸法の有無やその具体的な位置の特定作業、において一定の効果が期待できる。