(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6282981
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】鋼板材の熱処理用の炉のためのノズル装置およびこのようなノズル装置を備えた炉
(51)【国際特許分類】
C21D 1/74 20060101AFI20180208BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20180208BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20180208BHJP
F27B 9/04 20060101ALI20180208BHJP
C21D 9/56 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
C21D1/74 R
F27D7/02 A
F27B9/02
F27B9/04
C21D1/74 H
C21D9/56 101A
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-547890(P2014-547890)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-506412(P2015-506412A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】EP2012075770
(87)【国際公開番号】WO2013092479
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】102011056823.9
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】マーチン ノルデン
(72)【発明者】
【氏名】マルク ブルメナウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアチム ハルシュトルンク
(72)【発明者】
【氏名】カーステン マヒァリッツァ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ シェーンベルグ
【審査官】
鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−003953(JP,A)
【文献】
米国特許第3285317(US,A)
【文献】
特開2004−207225(JP,A)
【文献】
特開2011−006753(JP,A)
【文献】
実開昭62−110254(JP,U)
【文献】
特開2005−272896(JP,A)
【文献】
特開2010−174262(JP,A)
【文献】
特開平09−287880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/02− 1/84
C21D 9/52− 9/66
F27B 9/00− 9/40
F27D 7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板材(B)の熱処理用の炉(100)のためのノズル装置であって、前記ノズル装置は中心供給管(42)を有し、前記中心供給管(42)には少なくとも1つのノズル開口部(46a〜46c)と、前記ノズル装置(41)をガス供給部に接続するためのフィード接続部(45’、45”)とが設けられ、前記ガス供給部は、ガス(G4a、G4b)を前記ノズル装置(41)に供給し、前記ガス(G4a、G4b)は前記ノズル装置(41)を通って前記少なくとも1つのノズル開口部(46a〜46c)から噴出し、前記ノズル装置(41)は第1の区間を有し、前記第1の区間の有効ノズル開口断面は、対応する前記フィード接続部(45’、45”)から噴出して前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、当該フィード接続部(45’、45”)からより遠くに配置された第2の区間の有効ノズル開口断面より小さい前記ノズル装置において、すべてのノズル開口部(46a〜46c)の有効開口断面の合計は、前記供給管(42)の横断面の半分以下であり、前記ノズル装置(41)の少なくとも2つの隣接区間において、一方の区間の前記ノズル開口部(46a〜46c)から噴出するガス噴射(GS)が、隣接する他方の区間の前記ノズル開口部(46a〜46c)から噴出するガス噴射(GS)とは異なって配列されるように、前記一方の区間の領域における前記ノズル開口部(46a〜46c)の配列は、前記隣接する他方の区間における前記ノズル開口部(46a〜46c)の配列とは異なることを特徴とする前記ノズル装置。
【請求項2】
前記ノズル装置は、前記ノズル装置(41)の長手方向に、前記供給管(42)の長さの少なくともかなりの部分にわたって延在するノズル開口部を有することと、前記ノズル開口部はスリット形状であり、搬送路に対して直角に位置合わせされることと、前記ノズル装置(41)は互いに隣接して配置された少なくとも2つの区間を有し、前記ノズル装置(41)から流れる前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、前記割り当てられたフィード接続部(45’、45”)のより近くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間の有効ノズル断面は、当該フィード接続部(45’、45”)からより遠くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間の有効ノズル断面より小さいことと、を特徴とする請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記ノズル装置は、複数のノズル開口部(46a〜46c)を有することと、前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、互いに隣接して配置された区間が少なくとも2つ存在し、前記割り当てられたフィード接続部(45’、45”)のより近くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間に存在する前記少なくとも1つのノズル開口部(46a〜46c)の有効ノズル開口断面は、当該フィード接続部(45’、45”)からより遠くに配置された前記ノズル装置(41)の区間に存在する前記少なくとも1つのノズル開口部(46a〜46c)の有効ノズル開口断面より小さいことを特徴とする請求項1に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記複数のノズル開口部(46a〜46c)は前記ノズル装置(41)の長手方向に並べて分散配置されることと、前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、前記割り当てられたフィード接続部(45’、45”)のより近くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間に配置された前記ノズル開口部(46a〜46c)は、当該フィード接続部(45’、45”)からより遠くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間に配置された前記ノズル開口部(46a〜46c)より小さいことと、を特徴とする請求項3に記載のノズル装置。
【請求項5】
前記ノズル開口部(46a〜46c)は前記ノズル装置(41)の長手方向に並べて分散配置されることと、前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、前記割り当てられたフィード接続部(45’、45”)からの距離が増すにつれて、隣接ノズル開口部(46a〜46c)間の間隙が狭まることと、を特徴とする請求項3または4に記載のノズル装置。
【請求項6】
前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に測定された、前記ノズル装置(41)の前記区間の長さは同じであり、前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に見て、前記割り当てられたフィード接続部(45’、45”)のより近くに配置された前記ノズル装置(41)の前記区間に配置されたノズル開口部(46a〜46c)の数は、当該フィード接続部(45’、45”)からより遠くにある前記ノズル装置(41)の前記区間に配置されたノズル開口部(46a〜46c)の数より少ないことを特徴とする請求項3に記載のノズル装置。
【請求項7】
前記ノズル装置(41)の前記区間に設けられた前記ノズル開口部(46a〜46c)は同一サイズであることを特徴とする請求項6に記載のノズル装置。
【請求項8】
前記ノズル装置(41)の少なくとも1つの区間の前記ノズル開口部(46a〜46c)は、前記ノズル装置(41)を通る前記ガス(G4a、G4b)の流れ方向に延在する2つ以上の列に配置されることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載のノズル装置。
【請求項9】
前記一方の列の前記ノズル開口部(46a〜46c)から噴出する複数のガス噴射(GS)は、前記他方の列の前記ノズル開口部(46a〜46c)から噴出する複数のガス噴射(GS)とは異なって配列されるように、前記一方の列の前記ノズル開口部(46a〜46c)の配列が前記他方の列の前記ノズル開口部(46a〜46c)の配列とは異なることを特徴とする請求項8に記載のノズル装置。
【請求項10】
前記フィード接続部(45’、45”)は、前記供給管(42)の長さの中心に配置されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のノズル装置。
【請求項11】
フィード接続部(45’、45”)が前記供給管(42)の各端に配置されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のノズル装置。
【請求項12】
前記ノズル開口部(36a’〜36c”)は、その断面が、何れの場合も、前記供給管(32)の内部(37)からその外面(38)の方向に円錐状に狭まることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のノズル装置。
【請求項13】
鋼板材を熱処理するための炉であって、前記炉は、処理対象の前記鋼板材が、何れの場合も、専用に組成されたゾーン雰囲気下で、搬送路を搬送されて通過する炉ゾーンを少なくとも1つ有し、ノズル装置(41)が前記炉ゾーンに設けられ、前記ノズル装置(41)は、前記ゾーン雰囲気を形成するガス(G4a、G4b)を前記ノズル装置(41)に少なくとも1つのフィード接続部(45’、45”)を介して送り込むガス供給部に接続される炉において、前記ノズル装置(41)は請求項1〜12の何れか1項により設計され、前記炉内の前記鋼板材の前記搬送路に対して直角に配置されることを特徴とする炉。
【請求項14】
前記炉は間接的に加熱されることを特徴とする請求項13に記載の炉。
【請求項15】
前記ガス供給部は、前記ガス(G4a、G4b)を予め混合する混合装置を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の炉。
【請求項16】
前記炉は、処理対象の鋼板材が、何れの場合も、次々と通過する、互いに隣接する複数の炉ゾーンを備え、何れの場合も、請求項1〜12の何れか1項により設計された少なくとも1つのノズル装置(41)が前記複数の炉ゾーンに割り当てられることを特徴とする請求項13〜15の何れか1項に記載の炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板材の熱処理用の炉のためのノズル装置に関する。ノズル装置はノズルバー風に設計され、中心供給管を備える。この中心供給管には、少なくとも1つのノズル開口部と、ガスをノズル装置に送り込むガス供給部にノズル装置を接続するためのフィード接続部とが設けられ、ガスはノズル装置を通って少なくとも1つのノズル開口部から噴出する。
【0002】
本発明は、鋼板材を熱処理するための炉にも関する。この炉は炉ゾーンを少なくとも1つ備え、何れの場合も、処理対象の鋼板材が専用に組成されたゾーン雰囲気下において搬送路経由で炉ゾーンを通過する。ノズル装置が炉ゾーンに設けられ、少なくとも1つのフィード接続部を介してガス供給部に接続される。ガス供給部は、ゾーン雰囲気を形成するガスをノズル装置に送り込む。
【背景技術】
【0003】
自動車の車体構造には、熱間圧延または冷間圧延された、鋼ストリップまたは薄鋼板などの鋼板材が用いられる。このような鋼板材には、さまざまな要求が課せられる。一方では、容易に変形可能でなければならず、他方では、高い強度を有する必要がある。高い強度は、Mn、Si、Al、およびCrなどの特定の合金成分を鉄に追加することによって得られる。このように合金化された鋼板材には、腐食を防止するために、金属製の保護被覆が施される。ここで、通過中の対応する鋼板材がめっき浴を通過し、この工程でZnまたはAlベースの被覆が施される溶融めっきは、工業規模での使用に特に費用効果の高いプロセスであることが実証されている。
【0004】
実際に、このような溶融めっき工程を特に効果的に実施する可能性が、例えば特許文献1に記載されている。公知の各方法に共通の事実は、鋼板材は、めっき浴に浸漬される前に、熱処理にかけられ、その表面が、溶融めっき中に施される金属被覆の最適付着が保証される状態にされるということである。
【0005】
このような熱処理の一変形例によると、被覆対象のストリップを直熱式予熱器(直火炉(DFF:Direct Fired Furnace))に通す。この予熱器によって、鋼板材に直接作用するガスバーナによって当該ストリップの周囲雰囲気中に酸化力を生じさせることができる。酸素力が高まると、ストリップ表面の鉄が酸化する。以降の炉区間では、こうして形成された酸化鉄層が還元される。酸化鉄層の厚さは、鋼板材が酸化性雰囲気にさらされた時間の長さに直接依存するので、ストリップ表面の酸化物層の厚さを目標どおりに設定することは、実際には困難である。層の厚さの精密な設定が容易ではない結果として、以降の還元雰囲気下での酸化物層の還元中に、明確に規定されたストリップ表面品質を保証することが難しい。好ましくない表面品質は、ストリップ表面への被覆の付着問題に至ることもある。
【0006】
ラジアントチューブ路(RTF:Radiant Tube Furnace)予熱器を備えた最近の溶融めっきラインでは、DFF型の炉とは異なり、ガス加熱式オープンバーナが一切用いられない。RTF装置では、代わりに、ストリップの完全な焼鈍処理が保護ガス雰囲気下で行われる。ただし、より高い合金成分を有する鋼ストリップをこのように焼鈍処理すると、これら合金成分はストリップ表面で拡散して還元不能な酸化物を形成し得る。これら酸化物があると、めっき浴での亜鉛および/またはアルミニウムによるストリップ表面の被覆を欠陥なしに行えない。
【0007】
アルミニウムによる鋼ストリップの連続溶融めっきのためのプロセスが特許文献2から公知である。このプロセスでは、ストリップは連続炉内で加熱される。表面不純物が第1のゾーンで除去される。このために、炉雰囲気の温度は極めて高い。ただし、ストリップはこのゾーンを高速で通過するため、ストリップはこの雰囲気の温度の約半分までしか加熱されない。以降の第2のゾーンでは、保護ガス下において、ストリップは被覆材料であるアルミニウムの温度にまで加熱される。
【0008】
また、クロムを含有する鋼合金ストリップための2段階の溶融めっきプロセスが特許文献3から公知である。このプロセスによると、ストリップ表面に鉄濃縮を得るために、ストリップは第1段階で焼鈍される。その後、ストリップは非酸化性雰囲気中で被覆金属の温度にまで加熱される。
【0009】
多段階プロセスでの鋼ストリップの亜鉛メッキは、特許文献4からも公知である。この目的のために、予め清浄化されたストリップが非酸化性雰囲気中で約820℃の温度で処理される。その後、ストリップは、弱酸化性雰囲気中で約400℃乃至700℃で処理されてから、その表面が還元雰囲気中で還元される。その後、約420℃乃至500℃にまで冷却されたストリップは、通常の方法で亜鉛メッキされる。
【0010】
最後に、連続炉内で鋼板を熱処理するプロセスが特許文献5から公知である。このプロセスにおいて、処理対象の鋼板材は、何れの場合も、酸化性ガス雰囲気にさらされる。このガスは、複数の中ぐり穴が設けられたドージングチューブまたはラジアントチューブから対応する炉ゾーンに吹き込まれる。
【0011】
特許文献5に記載のラジアントチューブ版の場合、燃焼ガスがラジアントチューブに流入し、炉雰囲気またはその露点を調節するガスまたはガス混合気が追加される。酸化に作用する諸ガスに加え、材料の浸炭、ひいては材料の特性変化、を引き起こすことができる一酸化炭素または二酸化炭素がラジアントチューブの中ぐり穴から炉室に進入できる。また、この変形例では、炉の負荷に応じて雰囲気を設計する必要がある。その理由は、炉室の温度および材料の加熱、すなわち厚さに依存するプロセス、が燃焼ガスによって調節されるからである。
【0012】
同じく特許文献5から公知のドージングチューブ版の場合は、対照的に、炭素を含まないガス混合気を送り込むガス供給部に接続された穴明き管またはスリット管で構成されたノズル装置が用いられている。この変形例は、炉雰囲気中への燃焼ガスの導入という欠点を回避しているが、実際には、対応する炉ゾーンにおける焼鈍ガスと金属との反応の一様性が不十分であるという欠点を有する。これは、鋼板材の幅全体にわたる酸化媒質の分布に関してばかりでなく、それぞれの炉ゾーン内での酸化媒質の分布に関しても、当てはまる。したがって、ノズル装置の直近において過度に強い酸化が発生し得る一方で、遠方においては酸化力が低すぎる。したがって、特許文献5から公知の種類のノズル装置を用いると、その基本的な諸利点にも拘らず、被覆の欠陥が同じく発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第2 010 690(B1)号
【特許文献2】独国特許出願公告第689 12 243(T2)号
【特許文献3】独国特許出願公告第695 07 977(T2)号
【特許文献4】特開平02−285057号
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0173072(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上で説明した従来技術を背景として、本発明の目的は、対応する熱処理のために最適に一様な結果を保証できるノズル装置と、このようなノズル装置を備えた炉とを簡易な方法で製作することを伴う。
【0015】
ノズル装置に関して、この目的は、本発明によると、請求項1に記載の特徴を有するノズル装置によって達成される。
【0016】
他方、熱処理炉に関して、本発明の上記目的は、請求項12に記載の特徴を有する、このような炉によって達成される。
【0017】
本発明の有利な複数の実施形態は、従属請求項に記載されており、本発明の一般概念と共に以下に説明されている。
【0018】
鋼板材の熱処理用の炉のための本発明によるノズル装置は中心供給管を備え、この中心供給管に少なくとも1つのノズル開口部と、ノズル装置をガス供給部に接続するためのフィード接続部とが設けられ、ガス供給部はガスをノズル装置に送り込み、このガスはノズル装置を通って少なくとも1つのノズル開口部から噴出する。
【0019】
本発明によるノズル装置は、同時に、第1の区間を有し、第1の区間のノズル開口部の有効断面は、対応するフィード接続部から噴出するガスの流れ方向に見て、当該フィード接続部からより遠くに配置された第2の区間のノズル開口部の有効断面より小さい。
【0020】
本発明によるノズル装置の実施形態は、フィード接続部からの距離が増すにつれ、ノズル装置に流入するガスの圧力が下がるという事実を考慮している。本発明によると、この圧力降下は、割り当てられたフィード接続部からの距離が増すにつれ、ノズル装置の少なくとも1つのノズル開口部の出口断面積を大きくすることによって補償される。ノズル開口部の拡大は、ガスを搬送してノズル装置のノズル開口部に供給する管の内部の圧力降下に直接比例して最適に行われる。
【0021】
本発明によるノズル装置に存在するそれぞれのノズル開口部への常時十分な供給は、存在するそれぞれのノズル開口部から噴出するガス噴射の十分に高い衝撃と共に、全てのノズル開口部の開口面積の合計を供給管の断面の半分以下にすることによって保証される。
【0022】
本発明によるドージングチューブの形状寸法の設計は、炉ゾーンへの流入量を最適化することによって酸化媒質の供給の一様性を大幅に向上させる。これは、鋼ストリップの幅に関して、および対応する炉ゾーンの内部における酸化媒質の分布に関して、当てはまる。これは、同じく、被覆の欠陥を減少させ、プロセスの確実性を向上させる。
【0023】
本文でガスに言及するときは、ゾーン雰囲気下での熱処理によって意図された目的を達成するために適した、あらゆる純粋ガスおよびあらゆるガス混合気を意味するものとする。実際には、これらのガスは、何れの場合も、取り扱われる鋼板材に対して不活性な性質を有するガスであってもよく、あるいは当該炉ゾーン内でそれぞれ優勢な温度において鋼板材の表面に特定の反応を引き起こすガスであってもよい。実際に一般的に用いられるガスとして、鋼板材の特定の合金要素に対して還元作用するガス混合気、例えば窒素−水素混合気、またはN
2−H
2−O
2ガス混合気など鋼製品の表面の酸化をもたらすガス混合気、または、熱処理中に周囲雰囲気中で複数の反応性ガスに対して鋼板材を保護する場合は、窒素自体、が挙げられる。
【0024】
本発明によるノズル装置は、何れの場合も、当該ノズル装置に割り当てられた炉のゾーンにガス噴射を吹き込むノズル開口部を少なくとも1つ有する。当該ノズル装置のノズル開口部が供給管の長さの少なくともかなりの部分にわたって、ノズル装置の長手方向に延在する場合、このノズル開口部はスリット形状であり、かつ搬送路に対して直角に位置合わせされると好都合である。同時に、当該ノズル開口部は、この場合も、互いに隣接する少なくとも2つの区間を有し、これら区間のうち、ノズル装置を通るガスの流れ方向に見て、割り当てられたフィード接続部のより近くに配置されたノズル装置の区間の有効ノズル断面は、当該フィード接続部からより遠くに配置されたノズル装置の区間の有効ノズル断面より小さい。
【0025】
勿論、上で説明した本発明の変形例では、スリットノズルとして形成されたノズル開口部の有効開口断面を、供給管を通るガスの流れ方向に見て、連続的に広げることが可能である。したがって、有効開口断面をこのように連続的に広げる場合、スリット形状のノズル開口部は、無制限数の隣接区間を有し、これらの区間のうち、ガスの流れ方向にフィード接続部からより離れた区間ほど、フィード接続部のより近くに配置された区間より、大きな開口断面を有する。
【0026】
本発明の別の変形例によると、ノズル装置は、何れの場合も、複数のノズル開口部を有し、ノズル装置を通るガスの流れ方向に見て、少なくとも2つ区間が互いに隣接して存在し、これらの区間のうち、割り当てられたフィード接続部のより近くに配置されたノズル装置の区間に存在する少なくとも1つのノズル開口部の有効ノズル開口断面は、当該フィード接続部からより遠くに配置されたノズル装置の区間に存在する少なくとも1つのノズル開口部の有効ノズル開口断面より小さい。
【0027】
互いに隣接配置されたノズル開口部がそれぞれ異なる開口直径を有するように、ノズル開口部の開口直径をガスの流れ方向に段々と大きくすることによって、これらノズル開口部から噴出するガス噴射の最適な一様性を得ることができる。
【0028】
実際には、ノズル開口部の開口断面をこのように連続的に拡大することに伴う製造時間および手間は、複数のノズル開口部を設けることによって削減可能であるが、同じ断面を有する2つ以上のノズル開口部を1つの群に組み合わせてノズル装置の各区間に割り当てることによっても削減可能であることは言うまでもない。この場合、各ノズル開口部は、その開口断面のサイズに関して、それぞれ最も隣接するノズル開口部と異ならない。代わりに、対応する区間の境界に割り当てられたノズル開口部のみが隣接区間の同じ境界に割り当てられたノズル開口部とは異なる開口断面を有する。
【0029】
したがって、実際に重要な、本発明の別の実施形態によると、複数のノズル開口部が存在する場合、これらノズル開口部はノズル装置の長手方向に並んで分散配置され、ノズル装置を通るガスの流れ方向に見て、割り当てられたフィード接続部のより近くに配置されたノズル装置の区間に配置されたノズル開口部は、当該フィード接続部からより遠くに配置されたノズル装置の区間に配置されたノズル開口部より小さい。
【0030】
空間分布とノズル装置の区間当たりに噴出するガス体積流量とに関する一様性は、複数のノズル開口部をノズル装置の長手方向に並べて分散配置することによっても維持され得るが、ノズル装置を通るガスの流れ方向に見て、割り当てられたフィード接続部からの距離が増すほど隣接ノズル開口部間の間隙を狭めることによっても維持され得る。この場合、フィード接続部からより離れたノズル装置の区間のノズル開口部同士は、フィード接続部により近い区間より、平均して、より近付けて配置される。
【0031】
したがって、各ノズル開口部の開口断面が同一であるか、または割り当てられたフィード接続部からの距離が増すほど大きくなると想定すると、拡大する開口断面はノズル装置の区間当たりの合計になる。ノズル装置を流れるガスの流れ方向に測定されたノズル装置の各区間の長さが同じであると想定すると、特に、何れの場合も、各ノズル開口部の開口断面サイズが同一である場合は、ノズル装置を通るガスの流れ方向に見て、割り当てられたフィード接続部のより近くに配置されたノズル装置の区間にあるノズル開口部の数は、当該フィード接続部からより遠い区間にあるノズル開口部の数より少ない。この実施形態の利点は、本発明によるノズル装置を特に容易に製造可能であることである。これは、各ノズル開口部が別個に予め製作された同一のノズルインサートで形成される場合に、特に当てはまる。
【0032】
専用に決められたガス流量を炉室内にもたらそうとする場合、またはそれぞれの構造体条件を考慮して流動障害を補おうとする場合は、この目的のために、ノズル装置の少なくとも2つの隣接区間において、一方の区間の領域において放出される複数のガス噴射の配列をその隣接区間において放出される複数のガス噴射の配列と異なる配列にすることができる。これらノズル開口部を相応に配列することによって、例えば、主流と副流とを生じさせることができる。主流は、炉内を搬送される製品を覆う役割を果たし、副流は対応する炉ゾーンを外部雰囲気による浸透から保護するための阻止流として使用できる。
【0033】
炉のそれぞれのゾーン内において本発明によるノズル装置から噴出するガス噴射の分布の更なる向上は、ノズル装置の少なくとも1つの区間内のノズル開口部を、ノズル装置を通るガスの流れ方向に延在する2つ以上の列に配置することによってもたらされ得る。同時に、一方の列の各ノズル開口部から噴出するガス噴射の配列を、もう一方の列の各ノズル開口部から噴出するガス噴射の配列とは異なる配列にすることによって、それぞれ異なるガス噴射とこれらガス噴射の最適な空間分布とを実現できる。
【0034】
本発明によるノズル装置のフィード接続部は、何れの場合も、流入するガスがノズル装置の供給管内でできる限り一様に分布されるように、配置される。第1の実施形態によると、この目的のために、フィード接続部は、供給管の長さの中央に配置される。この場合、供給管に流入するガスは、供給管の中央から両側の両領域にほぼ等しい割合で自動的に分布されるので、あまり手間をかけずに一様なガス分布が保証される。
【0035】
代わりに、または加えて、供給管の一方の端に配置されたフィード接続部を介してガスを供給することも可能である。供給管の各端にそれぞれ別のフィード接続部を設けることによって、ノズル装置の全てのノズル開口部に最適な方法で一様に供給することができる。この場合、ガスは、供給管の各端からノズル装置に流入するので、向かい合うガス流が供給管内に存在し、管のほぼ中央でぶつかる。これにより、供給管の中央に配置された、この実施形態では両フィード接続部から最も遠い、ノズル開口部にも十分な量のガスが確実に供給される。
【0036】
ノズル開口部の断面を、何れの場合も、供給管の内部からその外面の方向に円錐状に狭めることによって、高い運動エネルギーを実現でき、その結果としてノズル装置からそれぞれ放出されるガス噴射と対応する炉ゾーン内で優勢な雰囲気とを特に良好に混合できる。ノズル開口部を通るガス流は、何れの場合も、ノズル開口部が狭められることによって加速され、高い衝撃を有する集中ガス噴射として対応する炉ゾーン内の雰囲気に流入し、それ自体の流入エネルギーの結果として、この雰囲気と完全に混合される。同時に、ガス噴射の衝撃は、ノズル流路の開口部の入り口面積が大きいために、ガスがノズルに流入するときの流量損失が小さいことによってもたらされる。
【0037】
鋼板材を熱処理するための本発明による炉は、処理対象の鋼板材が、何れの場合も、専用に組成されたゾーン雰囲気下で搬送路を通過する炉ゾーンを少なくとも1つ備える。本発明により設計された、鋼板材の搬送路に対して直角に配置されたノズル装置が炉ゾーンに設けられ、ゾーン雰囲気を形成するガスをノズル装置に送り込むガス供給部に、少なくとも1つのフィード接続部を介して、接続される。本発明による炉は、一般的に、間接加熱式のRTF型炉である。
【0038】
炉の雰囲気とその露点とは、ガスを予め混合する、必要であれば加湿も行う、混合装置を備えた、炉へのガス供給部によって、特に精密に設定可能である。
【0039】
本発明により設計されたノズル装置は、処理対象の鋼板材が、何れの場合も、次々に通過する、互いに隣接した複数の炉ゾーンを備えた炉において特に好都合に利用可能であり、本発明により設計された少なくとも1つのノズル装置が、何れの場合も、各炉ゾーンに割り当てられる。同時に、各ノズル装置は、上で既に説明したように、主流と、対応する炉ゾーンを外部雰囲気による浸透から密閉するための阻止流として用いられる少なくとも1つの副流とを生じさせるように設計可能である。
【0040】
本発明によるノズル装置は、鋼板材が熱処理される間接加熱式連続炉での使用に、特段の程度まで、適している。この炉においては、鋼板材は、鋼板材が加熱雰囲気下で目標温度範囲内の目標温度まで加熱される加熱ゾーンと、鋼板材が保持雰囲気下で目標温度範囲内の保持温度に保持される保持ゾーンとを続けて通過する。加熱雰囲気と保持雰囲気とを維持するために、ガス混合気流が、何れの場合も、本発明による少なくとも1つのノズル装置を介して、何れの場合も、加熱ゾーンと保持ゾーンとに導かれる。
【0041】
以下において、複数の例示的実施形態によって本発明をより詳細に説明する。あらゆる図は模式的に示されており、縮尺は一定の比例ではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図4】第4のノズル装置を示す側面図であり、
図4aはX−X線断面図、
図4bはY−Y線断面図、
図4cはZ−Z線断面図。
【
図6】鋼ストリップを熱処理するための連続炉を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示されている、ノズルバー風に設計されたノズル装置1は、円形断面を有する中心供給管2を備える。供給管2は、その一方の先端4が密閉され、ガス流G1を供給管2内に導くフィード接続部5が反対側の先端3に配置される。
【0044】
供給管2に流入するガス流G1の流れ方向Sに並んで配置された複数のノズル開口部6a〜6kが供給管2に形成され、これらノズル開口部6a〜6kの開口中心点は、供給管2の長手方向軸線XLと同軸に位置合わせされたライン上に位置する。ノズル開口部6a〜6kは互いに等距離隔てて配置されるが、開口断面Qはそれぞれ異なり、流れ方向Sに次第に大きくなる。したがって、フィード接続部5に最も隣接して位置付けられたノズル開口部6aは、最小の開口断面Qaを有し、フィード接続部5から流れ方向Sに最も離れたノズル開口部6kは、最大の開口断面Qkを有する。すなわち、ノズル開口部6a〜6jの各々は、流れ方向Sにおいて最も隣接するノズル開口部6b〜6kより小さな開口断面をそれぞれ有する。この結果、フィード接続部5に割り当てられた長手方向区間LA1〜LA6からの供給管の長さが等しい長手方向区間LA1〜LA6にそれぞれ割り当てられたノズル開口部6a〜6kの有効開口断面Qa〜Qkの合計は、長手方向区間LA1〜LA5から長手方向区間LA2〜LA6まで、流れ方向Sに増やすことができる。
【0045】
図2に示されているノズル装置11は、同様にノズルバー風に設計されており、同じく断面が円形の中心供給管12を備えるが、その両先端13、14が閉じられている。中央フィード接続部15が供給管12に設けられる。中央フィード接続部15は供給管12の長さLの中央に位置合わせされ、中央フィード接続部15を介してガス流G2が、供給管12の長手方向軸線XLに垂直に位置合わせされた流れ方向S2に、供給管12に流入する。ガス流G2は、フィード接続部15に対向する供給管12の壁において、ほぼ同じ大きさの部分ガス流G2a、G2bに分割される。部分ガス流G2a、G2bの一方は、長手方向軸線XLと同軸に位置合わせされた流れ方向S2aに流れて一方の先端13に向かい、もう一方は、同様に長手方向軸線XLと同軸に位置合わせされた反対の流れ方向S2bに流れて、供給管12のもう一方の先端14に向かう。
【0046】
供給管12には、ノズル開口部16、16a’〜16d’、16a”〜16d”が並べて形成される。ノズル開口部16、16a’〜16d’、16a”〜16d”の開口中心点は、供給管12の長手方向軸線XLと同軸に位置合わせされたライン上に同じく位置する。ノズル開口部16、16a’〜16d’、16a”〜16d”は同じく等間隔で互いに隔てて配置されるが、開口断面はそれぞれ異なる。これら断面は、中央に配置されたノズル開口部16から、供給管12を通る部分ガス流G2a、G2bのそれぞれの流れ方向S2a、S2bに、徐々に大きくなる。これにより、中央ノズル開口部16の横に配置されたノズル開口部16a’、16a”の開口断面は、中央ノズル開口部16の開口断面より大きく、ノズル開口部16a’、16a”に、それぞれの流れ方向S2a、S2bにおいて、最も隣接して配置されたノズル開口部16b’、16b”のノズル開口断面は、ノズル開口部16a’、16a”のノズル開口断面よりより大きい。以降も断面が順次大きくなる。したがって、それぞれの先端13、14に最も隣接する、すなわちフィード接続部15から最も遠い、外側に配置されたノズル開口部16d’、16d”の開口断面は、最も大きい。
【0047】
図3に示されているノズル装置21は、同様にノズルバー風に設計されており、同じく断面が円形の中心供給管22を備える。ただし、この実施形態では、フィード接続部25’、25”が先端23、24の各々に設けられ、何れの場合も、ガス流G3a、G3bが、フィード接続部25’、25”を介して、供給管22の長手方向軸線XLと同軸に位置合わせされた流れ方向S3a、S3bに、供給管22に流入する。したがって、ガス流G3a、G3bは互いに向い合い、供給管22の中間点Mでぶつかる。
【0048】
ノズル開口部26a’〜26c’、26a”〜26c”が供給管22に設けられる。これらノズル開口部26a’〜26c’、26a”〜26c”は、供給管22に設けられた対応するスロットに配置されたノズルインサートによって形成される。ノズル開口部26a’〜26c’、26a”〜26c”は、何れの場合も、同一の開口断面を有する。ただし、各長手方向区間LAa’〜LAc”に設けられるノズル開口部26a’〜26c’、26a”〜26c”の数は、フィード接続部25’、25”の各々にそれぞれ割り当てられた長手方向区間LAa’、LAa”から供給管22の中間点に向かう方向に増加する。したがって、供給管22の長さLの中間点で互いに隣接する長手方向区間LAc’、LAc”は、何れの場合も、4つのノズル開口部26c’、26c”を有する。一方、それぞれ割り当てられたフィード接続部25’、25”の方向において長手方向区間LAc’、LAc”に最も隣接する長手方向区間LAb’、LAb”には、何れの場合も、3つのノズル開口部26b’、26b”のみが設けられる。以降も同様にノズル開口部の数が減少する。この結果、フィード接続部25’、25”に直接隣接する長手方向区間LAa’、LAa”は、ノズル開口部26a’、26a”の数が最も少なく、したがって、有効開口断面が最も小さい。一方、供給管22の中間点に配置された、対応するフィード接続部25’、25”から最も遠い長手方向区間LAc’、LAc”は、ノズル開口部26c’、26c”の数が最も多く、したがって有効ノズル開口断面が最大である。
【0049】
図4に示されている例示的実施形態において、ノズル装置31は同様に円形断面を有する供給管32と、ノズル装置1と同様に供給管32の一方の先端33に配置された単一のフィード接続部35とを有する。これに対し、供給管32のもう一方の先端34は閉じられる。
【0050】
供給管32は、この場合、長さが等しい3つの長手方向区間LAx、LAy、LAzに分割され、何れの場合も、各区間に2つのスリット形状のノズル開口部36a’、36a”、36b’、36b”、36c’、36c”が割り当てられる。フィード接続部35に最も隣接する長手方向区間LAxのノズル開口部36a’、36a”の開口断面は、供給管32を通るガス流G4の流れ方向S4において隣接する、供給管32の長さLの中間点にある長手方向区間LAyのノズル開口部36b’、36b”の開口断面より小さい。長手方向区間LAyのノズル開口部36b’、36b”の開口断面は、同様に、フィード接続部35から流れ方向S4に最も離れた長手方向区間LAzのノズル開口部36c’、36c”の開口断面より小さい。
【0051】
断面で見ると、ノズル開口部36a’〜36c”は、何れの場合も、供給管32の内部37からその外面38に向かう方向に円錐状に狭まるので、ノズル開口部36a’〜36c”を通るガス流は、何れの場合も、加速され、集中ガス噴射として対応する炉ゾーンの内部の雰囲気に強い衝撃で入る。これらガス噴射が周囲領域に入る際の高い運動エネルギーは、対応する炉ゾーン内で優勢な雰囲気との特に良好な混合を保証する。
【0052】
図5に示されているノズル装置41は、その基本設計においては、ノズル装置31に相当するが、互いに平行に配置されたノズル開口部46a、46b、46cから成る3つの列R1、R2、R3を有するほか、ガス流G4a、G4bをノズル開口部46a、46b、46cに供給するフィード接続部45’、45”をその先端43、44に有する。ノズル装置41の供給管42に形成されたノズル開口部46a、46b、46cの開口断面は、対応するフィード接続部45’、45”から供給管42の中間点に向かって徐々に大きくなる。したがって、列R1〜R3の各々において開口断面が最小のノズル開口部は、何れの場合も、割り当てられたフィード接続部45’、45”に最も隣接して配置され、開口断面が最大のノズル開口部は、供給管42の長さLの中間点M、すなわち中央、に配置される。
【0053】
個々の列R1、R2、R3に割り当てられたノズル開口部46a、46b、46cから噴出するガス噴射GSがそれぞれ異なる空間方向に分布されるように、ノズル開口部46a、46b、46cをそれぞれ異なる方向に配列することができる。
【0054】
図6に模式的に示されている連続炉100は、連続炉100内を搬送方向Fに搬送される鋼ストリップBを熱処理するために、一般的に、鋼ストリップBを、例えば平常雰囲気下で、予熱温度にまで予熱する予熱ゾーン101と、鋼ストリップBをN
2−H
2含有雰囲気下で加熱温度にまで加熱する加熱ゾーン102と、鋼ストリップBをN
2−H
2含有雰囲気下で加熱温度に保持する、または、必要であれば更に加熱する、保持ゾーン103と、鋼ストリップBをめっき浴浸漬温度にまで冷却する冷却ゾーン104と、鋼ストリップBをN
2−H
2含有雰囲気下でめっき浴浸漬温度に保持する均質化および過時効ゾーン105とを備える。
【0055】
周囲雰囲気に対して密封絶縁された鋼ストリップBは、均質化および過時効ゾーン105から、排出シュート106を介して、めっき浴107に導かれ、腐食に対して保護する金属被覆がそこで施される。
【0056】
N
2−H
2含有雰囲気を維持するために、
図5に示されている種類のノズル装置41は、何れの場合も、例えば加熱ゾーン102と、保持ゾーン103と、均質化および過時効ゾーン105と、排出シュート106とに配置される。各ノズル装置41は、乾燥したN
2−H
2ガスを運ぶ中心ガス供給管110に接続される。
【0057】
加熱ゾーン102および保持ゾーン103内で優勢な雰囲気の酸化力および露点の調節を可能にするために、何れの場合も、これらゾーン102、103に割り当てられた各ノズル装置41に接続される予混合装置111が設けられる。この装置によって、H
2Oおよび/またはO
2と混合されたN
2−H
2ガス混合気を形成できる。
【符号の説明】
【0058】
1 ノズル装置
2 供給管
3 供給管2の先端
4 供給管2の先端
5 フィード接続部
6a〜6k ノズル開口部
G1 ガス流
LA1〜LA6 供給管2の長手方向区間
Q ノズル開口部6b〜6jの開口断面
Qa ノズル開口部6aの開口断面
Qk ノズル開口部6kの開口断面
S 流れ方向
11 ノズル装置
12 供給管
13、14 供給管12の先端
15 フィード接続部
16〜16d” ノズル開口部
G2 ガス流
G2a、G2b 部分ガス流
S2、S2a、S2b 流れ方向
21 ノズル装置
22 供給管
23、24 供給管22の先端
26a’〜26c” ノズル開口部
25’〜25” フィード接続部
G3a、G3b ガス流
LAa’〜LAc” 長手方向区間
S3a、S3b 流れ方向
31 ノズル装置
32 供給管
35 フィード接続部
33、34 供給管32の先端
36a’〜36c” ノズル開口部
G4 ガス流
LAx〜LAz 長手方向区間
S4 流れ方向
37 供給管32の内部
38 供給管32の外面
41 ノズル装置
42 ノズル装置41の供給管
43、44 供給管42の先端
45’、45” フィード接続部
46a〜46c ノズル開口部
G4a、G4b ガス流
GS ガス噴射
R1〜R3 ノズル開口部の列
100 連続炉
101 予熱ゾーン
102 加熱ゾーン
103 保持ゾーン
104 冷却ゾーン
105 均質化および過時効ゾーン
106 排出シュート
107 めっき浴
110 ガス供給部
111 予混合装置
F 搬送方向
B 鋼ストリップ
L 供給管2、12、22、32、42の長さ
XL 供給管2、12、22、32、42の長手方向軸線
M 供給管2、12、22、32、42の長さLの中間点