【実施例1】
【0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
図1の後方から見た外観図または
図2の断面図に示すように、自動車などの車両には、車室1内の前部に、フロントウインドウガラス2が設けられている。このフロントウインドウガラス2の下方には、インストルメントパネル3が設けられている。
【0012】
そして、車両に対して、ヘッドアップディスプレイ装置4を取付ける。このヘッドアップディスプレイ装置4は、表示装置5(
図2参照)の表示6を前方に投影させるようにしたものである。
【0013】
この実施例では、ヘッドアップディスプレイ装置4は、上記したインストルメントパネル3の内部に設置するものとしている。そして、ヘッドアップディスプレイ装置4の内部に設けられた表示装置5の表示6(表示情報)をインストルメントパネル3に形成された開口部7(
図2参照)を通して、開口部7の上方に配設されたコンバイナ8に投影させるようにする。
【0014】
ここで、インストルメントパネル3の運転席側の部分には、計器装置(メータユニット9)やステアリングホイール(ハンドル)などが設置されている。この場合には、右ハンドル車とされているが、左ハンドル車であっても良い。
【0015】
ヘッドアップディスプレイ装置4は、上記したように、正面を向いて運転している乗員の視界内(のメータユニット9よりも高い位置)に、運転に必要な情報を表示させるようにしたものである。表示装置5は、情報を表示するための装置であり、例えば、液晶パネルや有機ELパネルなどのように画像を表示できるようにした表示パネルを用いることが可能である。この実施例で使用する表示装置5については後述する。開口部7は、表示装置5の表示6を通すために、インストルメントパネル3の乗員側の部分における、ヘッドアップディスプレイ装置4の設置位置の上部に予め形成される。
【0016】
コンバイナ8は、表示装置5の表示6を投影させるための反射板である。コンバイナ8は、投影された表示装置5の表示6を、コンバイナ8と表示装置5の間の距離の分だけコンバイナ8の前方側の位置(奥方)に虚像を結像させて視認させるものとなっている(
図2参照)。なお、コンバイナ8の角度は、表示装置5のほぼ上向きに配置される表示面(
図5参照)と、前方に結像されるほぼ縦向きの表示6の中間の角度に設定される。また、表示装置5の表示6は、コンバイナ8に前後反転して投影されることになる。
【0017】
このヘッドアップディスプレイ装置4は、
図3〜
図5に示すようなものであり(主に、
図4の分解斜視図を参照)、表示装置5を収容するケーシング11と、このケーシング11の上端側の開口に設置される枠状のフィニッシャー12と、このフィニッシャー12の上部に開閉可能に設置される上記コンバイナ8と、ケーシング11の下端側の開口に取付けられるカバー部材13(底部カバー)で主に構成されている。ヘッドアップディスプレイ装置4は、インストルメントパネル3の内部に前傾状態で設置される(角度31)。このようにヘッドアップディスプレイ装置4を前傾配置とすることにより、インストルメントパネル3の内部に下方から上方へ抜ける空気の流れ(
図2の矢印x,y参照)が発生されるようになり、ヘッドアップディスプレイ装置4(の光源22)が発した熱などの放熱性を向上することが期待できる。インストルメントパネル3の内部では、前傾されたヘッドアップディスプレイ装置4の前後のスペースには、空調ダクト39や電子ユニット35などが設置される。
【0018】
この場合、表示装置5は、ほぼ上向きの真っ直ぐな光路によってコンバイナ8に表示6を直接投影させるようにするために、上記したようにケーシング11の底部に上向きに設置されている。これにより、ケーシング11内の光路を短くして、ケーシング11の小型化や構造簡略化を図ることができる。ケーシング11は、前後左右の側壁部(即ち、前壁部11a、後壁部、左壁部、右壁部)を有する平面視ほぼ横長矩形状の中空筒体などとされる。ケーシング11は、内部に光路を曲げるための反射部や光路屈折部などを有さないものとされる。更に、ケーシング11は、内部に拡大光学系などを設けないようにして、表示装置5の表示6を等倍で結像させ得るようにしている。
【0019】
コンバイナ8には、フロントウインドウガラス2を利用したもの(例えば、フロントウインドウガラス2下部の黒プリント部分やフロントウインドウガラス2に貼付けた反射膜に表示6を投影させるようにしたもの)も存在しているが、この場合には、コンバイナ8は、熱に強い樹脂製またはガラス製の平坦な板状のものとして、フロントウインドウガラス2とは別に設けられる。コンバイナ8は、その反射面に、高価なハーフミラーや多層膜誘電体などの増反射膜を施して表面反射率を30%〜60%程度に上げるのが一般的である。これに対し、この場合には、増反射膜などを施さないことで表面反射率を低いまま(例えば、7%程度)にしている。このコンバイナ8は、ケーシング11内部に設置された開閉駆動装置37によって開閉される。
【0020】
フィニッシャー12は、ヘッドアップディスプレイ装置4をインストルメントパネル3の開口部7内へ上方から挿入することで、開口部7の縁部を覆い隠すように設置される。そのために、フィニッシャー12は、開口部7よりも一回り大きなものとされると共に、その下面側に、インストルメントパネル3の曲面形状に合わせた3次元形状の合わせ部分(下縁部)を有するものとされる。
【0021】
カバー部材13は、ケーシング11とは別体に設けられて、ケーシング11の底壁部を構成するように設置される。この場合には、カバー部材13は、表示装置5を構成する文字板23や回路基板24やランプハウジング25を一体に組付けた状態にして(表示ユニット)、ケーシング11に一度に取付けるものとされている。但し、カバー部材13は、構造的に可能であれば、ケーシング11と一体のものとしても良い。
【0022】
以上のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
(1)
図6(および、
図7A、
図7B)に示すように、上記表示装置5が、向きの異なる複数の表示面を有するものとされる。
そして、少なくとも1つの表示面が、表示6を縦向きに投影させる基準表示面とされる。
また、他の表示面が、上記基準表示面の表示6に対して、傾斜した表示6を投影させる立体視用傾斜表示面とされる。
【0023】
ここで、表示装置5の表示面は、例えば、文字板23などとされる。向きの異なる複数の表示面は、文字板23を複数に分けて設けることによって形成される(第一文字板26および第二文字板27など)。この場合、縦向きに表示6を投影させる基準表示面を、第一文字板26とし、基準表示面の表示6に対して、傾斜した表示6を投影させる立体視用傾斜表示面を第二文字板27としている。縦向きは、ほぼ上下方向および左右方向へ向いた面の向きのことであるが、必ずしも鉛直方向に向いている必要はなく、見難くならない範囲内で前傾または後傾させても良い。なお、例えば、表示装置5に上記した有機ELパネルを用いた場合、有機ELパネルは、理論上、折ったり曲げたりして使用することが可能なので、一枚の有機ELパネルによって2つ以上の表示面を形成することも可能である。
【0024】
(2)上記立体視用傾斜表示面(第二文字板27)が、走行経路を表示可能な経路表示部17を有するものとされる。
【0025】
ここで、経路表示部17は、点や線や矢印などによって各種の走行経路を表示可能にしたものとされる。この場合、走行経路は、少なくとも、交差点を示す中心の点21a(第一層表示)と、この交差点を取り囲んで交差点に出入りする前後左右斜めの8本の道路を示す線21b(第二層表示)と、これらの外側に位置して手前側の自車位置を示す1本の線21cおよび進行方向を示す7本の矢印21d(第三層表示)を有する、三重構造を備えたものとされる。但し、経路表示部17は、
図8の表示例に示すように、上記以外の点や線や矢印やそれ以外の図形などを含んでいても良い。
【0026】
(3)上記立体視用傾斜表示面(第二文字板27)が、上記基準表示面(第一文字板26)の表示6に対して、上記走行経路を前傾した状態に表示可能な立体視用傾斜角度19を有して傾斜配置される。
【0027】
この場合、第二文字板27を、第一文字板26に対し、後縁部の位置をほぼ等しくし、前縁部の位置を後縁部の位置よりも高くなるように、立体視用傾斜角度19を有して後傾させることで、走行経路を前傾した状態に寝かせて表示させるようにしている。これにより、走行経路は、前側が後側よりも狭くなったような遠近感を有する形状に変形して投影されることになる。
【0028】
また、上記した角度差や向きの違いにより、コンバイナ8に対して、第一文字板26と第二文字板27の距離が異なることになるので、前方に投影される第一文字板26の表示6(例えば、後述するような数値表示部15や目盛表示部16)が奥側となり、第二文字板27の前傾状態に投影される表示6(例えば、経路表示部17)が手前側となるように、両表示6に異なる距離感や奥行感を持たせることができる。
【0029】
なお、第二文字板27を第一文字板26に対して大きく傾け過ぎると、両者の表示6が干渉して見えなくなる部分が発生するので、第一文字板26(または垂直面)に対する第二文字板27の傾斜角度は、干渉して見えなくなる部分が気にならない程度に小さくなる所要の角度(例えば、30°±15°程度以内の立体視用傾斜角度19)に抑えるのが好ましい。
【0030】
(4)上記経路表示部17は、走行経路の手前側の輝度が奥側の輝度よりも高くなる輝度差を有するものとされる。
【0031】
ここで、手前側は自車側、奥側は進路側である。なお、上記したように、表示装置5の表示6は、コンバイナ8に前後反転して投影されるので、表示装置5では、走行経路の手前側は、乗員から見て奥側(第二文字板27の前縁部側)となり、走行経路の奥側は、乗員から見て手前側(第二文字板27の後縁部側)となる。
【0032】
輝度差は、後述するように、表示装置5に光源22を用いている場合には、輝度の異なる光源22を用いるようにしても良いし(高輝度光源22aや低輝度光源)、輝度が同じ光源22を輝度が異なるように調光して用いても良いし、或いは、これらを組合わせるようにしても良い。
【0033】
(5)上記経路表示部17は、走行経路の手前側が奥側よりも線が太くなる線幅差を有するものとされる。
【0034】
ここで、線幅差は、例えば、遠近法などを使って奥側が手前側よりも細くなるように変形した走行経路の図形を用いることによって付けることができる。線幅差は、経路表示部17の傾斜に応じたものなどとするのが、自然な遠近感を出す上では好ましい。但し、より強調して見せられるようにしても良い。
【0035】
(6)少なくとも上記経路表示部17が、複数の表示形成部21の点灯・消灯によって複数種類の表示を作り出せるようにしたセグメント型表示部18とされる。
【0036】
ここで、セグメント型表示部18またはこれと同等な表示装置5には、蛍光管式のものや、セグメント型液晶パネルやパッシブマトリクス型液晶パネルなどが存在しているが、この場合には、上記したものと比べて安価となり、また、コストをかけずに輝度を高くできるものとして、セグメント型表示部18に、上記したような、複数の光源22(
図7A、
図7B参照)と、複数の表示形成部21を有する文字板23を用いるようにしている。
【0037】
表示形成部21は、上記した各種の表示6を形成できるようにするために文字板23に複数設けられた光透過部(セグメント)である。表示形成部21は、その表示目的や表示内容に応じて、(個別にまたは全体的に)無色透明のものとしたり、有色透明のものとしたりすることができる。
【0038】
光源22は、点灯によって複数の表示形成部21を個別に表示させるもの(個別光源)とされる。光源22には、例えば、LED(発光ダイオード)が用いられる。LEDは、白色LEDやRGBフルカラーLEDなどを使用することができる。LEDは、回路基板24に取付けるようにして設置される。
【0039】
この場合、光源22を取付ける回路基板24は、
図4に示すように、1枚とされている。この回路基板24は第一文字板26やカバー部材13とほぼ平行に設置される(
図7A参照)。なお、表示形成部21の明るさは、光源22と文字板23との間の距離に応じて変化する(即ち、距離が近いと明るくなり、距離が遠いと暗くなる)ため、1枚の回路基板24で傾斜角度が異なる2枚の文字板23を同時に照明しようとした場合、第一文字板26や第二文字板27(この場合には、
図7Bの第二文字板27)に距離の変化による輝度のムラが生じるので、所要の輝度が得られるように各光源22の輝度を調整する。但し、回路基板24を、分割された第一文字板26や第二文字板27などに合わせて個別に設け、それぞれの距離を一定にすれば、上記した輝度調整の手間をなくすことができる。
【0040】
文字板23は、例えば、透明な樹脂製の板に、表示形成部21を残して不透光性の印刷層を形成したものとされる。
【0041】
なお、文字板23や回路基板24などについては、3つ以上に分けて、それぞれ異なる方向へ向けるようにしても良い。
【0042】
そして、上記光源22と文字板23との間には、各光源22からの光を上記各表示形成部21のそれぞれへ導くランプハウジング25が設けられる。
【0043】
ここで、ランプハウジング25は、回路基板24と文字板23の間に、回路基板24の上面と文字板23の下面とに対してそれぞれ隙間なく密着するようにして設置される。ランプハウジング25には、各光源22ごとに独立した複数の導光用孔部25aが形成される。このランプハウジング25は、例えば、反射率の高い滑らかな表面を有する白色樹脂によって構成される。上記した表示形成部21は、各導光用孔部25aと合致する位置に形成される。
【0044】
なお、文字板23を第一文字板26と第二文字板27、またはそれ以上に分けた場合、上記したランプハウジング25の上面も、第一文字板26や第二文字板27などのそれぞれに合わせた別々の当接面28,29(傾斜面部:
図4参照)を有するものとされる。
【0045】
更に、好ましくは、
図8に示すように、上記コンバイナ8に、不透光性の黒色板、または、半透光性の黒色系スモーク板を用いるようにする。黒色板は、光透過率が0%またはこれに近いものとされる。黒色系スモーク板は、無色透明ではないものとされる。但し、コンバイナ8には、無色透明のものを使用することができる。この場合には、無色透明のコンバイナ8の表面に増反射膜を形成するのが好ましい。
【0046】
(7)
図6に示すように、上記基準表示面(第一文字板26)に、数値を表示可能な数値表示部15が設けられる。
【0047】
ここで、数値表示部15は、数値によって車速やエンジン回転数などを表示可能なものとされる。例えば、数値表示部15の場合、表示形成部21は、数字の「8」字状に配置された7つのセグメントによって構成することができる(7セグメント型表示器)。
【0048】
また、基準表示面には、複数の目盛などを有する目盛表示部16を設けることもできる。目盛表示部16の場合、表示形成部21は、複数のセグメントを連続してバーグラフ状などに並べることによって構成することができる。例えば、
図6では、複数の目盛などによって燃料残量を示すようにしている。また、単独のセグメントによって警告表示部33を形成している。この警告表示部33は、上記した角度31を有して前傾配置された第一文字板26の上側となる位置に設けられている。
【0049】
また、
図8の表示例では、複数の(木の葉の図柄にした)セグメントを並べて、省エネ運転状況を示すようにしている。或いは、
図6に示すように、目盛表示部16は、立体視用傾斜表示面(第二文字板27)に対して設けるようにしても良い。この場合、目盛表示部16は、セグメントの点灯個数や点灯パターンなどによって目標までの距離を示すようにした距離カウンターなどとされている。
【0050】
なお、基準表示面や立体視用傾斜表示面に設けられる表示形成部21は、上記以外のもの(例えば、漢字やアルファベットによる表記(例えば、km/h)など)を含むこともできる。
【0051】
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0052】
この実施例のヘッドアップディスプレイ装置4は、表示装置5の表示6を、インストルメントパネル3に形成された開口部7を通して、開口部7の上方に配設されたコンバイナ8に投影させ、コンバイナ8の前方に虚像を結像させることで、乗員に表示6を視認させるようになっている。
このように、ヘッドアップディスプレイ装置4を用いて、運転中の乗員の視界内に情報を表示させることで、乗員は、視線移動や目の焦点調整をほとんど行うことなく表示された情報を得ることができる。
【0053】
(1)この際、ヘッドアップディスプレイ装置4の表示装置5を、向きの異なる複数の表示面(文字板23)を有するものとして、複数の表示面が、少なくとも、基準表示面(第一文字板26)と、立体視用傾斜表示面(第二文字板27)とを有するものとした。これにより、基準表示面によって表示6を縦向きに投影させると共に、立体視用傾斜表示面によって、基準表示面の表示6に対して立体的に見えるような傾斜した表示6を投影させることができるようになる。その結果、基準表示面の表示6と立体視用傾斜表示面の表示6に全く異なった視覚効果を持たせることができ、表示装置5の表示6を多様化して単調でないものとすることができる。以って、ヘッドアップディスプレイ装置4の商品価値を高めることができる。
【0054】
(2)立体視用傾斜表示面(第二文字板27)が、経路表示部17を備えた。そして、経路表示部17による走行経路を基準表示面(第一文字板26)の表示6に対し、傾斜して投影させるようにした。これにより、走行経路を立体的に見せることができる。
【0055】
(3)立体視用傾斜表示面(第二文字板27)を立体視用傾斜角度19に傾けて、走行経路を前傾させて表示し得るようにした。これにより、走行経路に、前方に見える実際の道路状況と同じようなリアルな立体感や奥行感を持たせることができ、走行経路の距離感をつかみ易いものとすることができる。
【0056】
(4)経路表示部17の走行経路に輝度差を付けた。これにより、走行経路の立体感や奥行感を輝度差によって強調することができる。この際、この輝度差を走行経路の手前側の輝度が奥側の輝度よりも高くなるようにした。これにより、見易く、分かり易く、距離感をつかみ易い表示6とすることができる。
【0057】
(5)経路表示部17の走行経路に線幅差を付けた。これにより、走行経路の立体感や奥行感を線幅差によって強調することができる。この際、この線幅差を走行経路の手前側の線幅が奥側の線幅よりも太くなるようにした。これにより、見易く、分かり易く、距離感をつかみ易い表示6とすることができる。
【0058】
(6)少なくとも経路表示部17をセグメント型表示部18とした。セグメント型表示部18は、明度が高く輪郭がはっきりした表示を行うことができるので、車外の明るさや外光の状況などに拘わらず、経路表示部17の走行経路を見易いものとすることができる。そして、上記したように、表示に輝度差や線幅差を付ける場合に、輝度差や線幅差を効果的に見せることができる。
【0059】
更に、セグメント型表示部18と、不透光性の黒色板、または、半透光性の黒色系スモーク板によるコンバイナ8とを組み合わせることにより、上記効果を一層高めると共に、二重像の発生や、消灯しているセグメントが点灯しているかのように見える擬似点灯現象を抑制したり低減したりすることも可能となる。
【0060】
また、セグメント型表示部18による表示は、液晶パネルなどの表示パネルの表示とは異なり、走行経路なら走行経路のみしか表示できず、表示内容が一種類に限定される。そのため、特定の表示を行うセグメント型表示部18を上記したように傾斜配置しても、そのセグメント型表示部18は本来の目的でしか使用されないので、傾斜配置は有効に表示効果を発揮する。
【0061】
これに対し、液晶パネルなどの表示パネルの場合には、同じ画面で異なる内容の表示を行うことが可能であり、走行経路を表示する画面を使って走行経路以外の表示がなされる可能性がある。そのため、走行経路以外の表示を行う場合に、上記した傾斜配置によって生じる遠近感が、走行経路以外の表示にとって邪魔になるおそれがあり、液晶パネルなどの表示パネルについては、傾斜配置を行うのには向いていない。
【0062】
(7)基準表示面(第一文字板26)が、数値表示部15を備えた。これにより、縦向きの数値表示部15における、車速やエンジン回転数などの数値情報を見易く表示することができる。しかも、基準表示面に数値表示部15を設けることにより、数値表示部15の表示6(例えば、車速やエンジン回転数などの数値)との対比効果によって、立体視用傾斜表示面(第二文字板27)の表示(例えば、走行経路などの図形)の立体感や奥行感をより強調して見せることができるようになる。
【0063】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。