(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のサンプルレーンの各々は、他のサンプルレーンから独立して、1つ又は2つ以上のポリヌクレオチドを増幅させるように構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ用の基体。
前記入口は、逆円錐台形構造を有し、前記逆円錐台形構造において、高さは少なくとも1mmであり、ピペット先端部の導入を受入れる最も幅が広い箇所の直径は1〜5mmである、請求項4に記載のマイクロ流体カートリッジ用の基体。
前記複数のサンプルレーンの入口は、多ピペットヘッドディスペンサからの同時供給を可能にするように互いに間隔をあけている、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ用の基体。
さらに、前記マイクロ流体カートリッジと相補的な形状を有する診断装置が前記マイクロ流体カートリッジを単一の向きで受入れることを確保する位置合わせ部材を有する、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ用の基体。
前記マイクロ流体ネットワークの各々は、前記反応チャンバ、前記入口、及び前記反応チャンバを隔離する前記第1のバルブ及び前記第2のバルブを含み、単一の基体内に構成される、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ用の基体。
複数のサンプルを前記複数の反応チャンバの中に隔離する前記ステップは、複数のサンプルをそれぞれ前記複数の反応チャンバの中に互いに独立に移動させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
複数のサンプルを前記複数の反応チャンバの中に隔離する前記ステップは、さらに、前記反応チャンバの中の複数のサンプルの存在を検出するステップと、前記反応チャンバの各々の下流側のバルブを閉じて、前記反応チャンバの各々の上流側のバルブを閉じるステップと、を含む、請求項18に記載の方法。
前記反応チャンバの中の複数のサンプルの存在を検出する前記ステップは、LED及びフォトダイオードを前記反応チャンバと光学的に連通させるように位置決めするステップを含む、請求項19に記載の方法。
複数のサンプルを前記マイクロ流体カートリッジの中に別々に導入する前記ステップは、複数のサンプルを収容した複数のピペットを前記マイクロ流体カートリッジの複数の入口の中に配置するステップと、複数のサンプルを前記複数のピペットから前記複数の入口の中に個別に且つ独立に小出しするステップと、を含む、請求項15に記載の方法。
増幅されたポリヌクレオチドからの蛍光信号を検出する前記ステップは、走査読取りヘッドを前記マイクロ流体カートリッジ上に通過させるステップを含み、前記走査読取りヘッドは、LED及びフォトダイオードを含む複数の検出器を有する、請求項26に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で用いる「核酸試験(NAT)」は、DNA(デオキシリボ核酸)試験とRNA(リボ核酸)試験の両方を含む一般的な用語である。RNA及びDNAに特有の例示のプロトコルについて、本明細書において説明する。理解すべきことは、一般化された説明は、RNAに特有でもなく、DNAに特有でもない場合、いずれも各々に同様に当てはまるものであり、又は、当業者に受入れることができる本明細書の説明に僅かな変更を加えることによっていずれかに容易に適合可能である。また、核酸及びポリヌクレオチドという用語は、本明細書においては区別なく用いられていることを理解すべきである。
【0021】
従って、本明細書において説明する装置は、任意の目的のためのサンプルを含む任意の核酸の分析に利用でき、かかる目的は、限定するわけではないが、遺伝診断や人における種々の感染症のための臨床試験を含む。臨床分析が現在において対象としており、且つ、本明細書における装置及び方法を用いるために試験できる目的物は、細菌(バクテリア)又はウイルスである場合があり、限定するわけではないが、クラミジア・トラコーマチス(CT)、淋菌(GC)、B群レンサ球菌、HSV、HSV型別、CMV、インフルエンザA及びB、MRSA、RSV、TB、トリコモナス、アデノウィルス、ボルダテラ、BK、JC、HHV6、EBV、エントロウィルス及びマイコプラズマ肺炎を含む。
【0022】
本明細書において説明する装置は、実験室の台上で、又は、これに類似した環境で作動するように構成されるのがよく、しかも、通常の作動日にわたって連続作動すると、1時間当たり約45個のサンプルを試験することができる。この数を本明細書における説明から明らかになるように、単一のバッチで対応できる試験の数に応じて増大させることができる。個々の生のサンプルからの結果は、典型的には、1時間かからないで利用できる。
【0023】
本明細書で用いられる「モジュール」という用語は、構成要素の組立体を意味するものとすべきであり、構成要素の各々は、別々の、独特の且つ/或いは独立した機能を有していてもよいが、所望の結果を生じさせるよう一緒に作動するように構成される。モジュール内の構成要素のどれもが、他のすべての構成要素と直接的に接続され又は直接的に通信することは必要ではない。さらに、種々の構成要素の間の接続状態を、モジュールの外部に位置する構成要素、例えばプロセッサにより達成してもよい。
【0024】
〔装置概要〕
本明細書において更に説明する種々の構成要素を有する装置は、少なくとも2つのフォーマットになるように構成され、2つのフォーマット、即ち、準備フォーマットと診断フォーマットをそれぞれ、
図1A及び
図1Bに示す。本明細書において更に説明するサンプル準備を実施する準備装置981の概要を
図1Aに示す。診断装置971の概要を
図1Bに示す。
図1A及び
図1Bに示すシステム971,981の構成要素の幾何学的配列は、例示であり、限定されるものではない。
【0025】
プロセッサ980、例えばマイクロプロセッサが、図示のシステムの種々の構成要素の機能を制御するように構成されており、それにより、制御を必要とする各構成要素と通信状態にある。理解すべきことは、多くのかかる制御機能を、選択的に、プロセッサの制御下でなく、手動で実施してもよいことである。以下に説明する種々の機能の順序は、装置が作動しているときにプロセッサが命令を実行する順序を制限していない。かくして、プロセッサ980は、分析すべきサンプルについてのデータを、例えば、サンプルリーダ990から受取るように構成されるのがよく、かかるサンプルリーダは、バーコードリーダであってもよいし、光学式文字リーダであってもよいし、RFIDスキャナ(高周波タブリーダ)であってもよい。また、単一のプロセッサ980が装置971,981の作動の全てを制御するものとして示されているけれども、かかる作動を都合よく2つ以上のプロセッサに分配されてもよいことを理解すべきである。
【0026】
プロセッサ980は、ユーザの命令を入力部984から受取るように構成されるのがよく、かかる命令は、サンプルの分析開始命令、及び、作動条件の選択を含む。
図1A及び
図1Bに示していないが、種々の実施形態において、入力部984は、1つ又は2つ以上の入力装置を含み、かかる入力装置は、キーボード、タッチセンサ式表面、マイクロホン、トラックパッド、網膜スキャナ、入力装置のホログラフィー投影、及びマウスから成る群から選択されるのがよい。適当な入力装置は、更に、フォーマット済み電子メディアのリーダ(読取り装置;reader)を有するのがよく、かかる電子メディアは、限定するわげではないが例えば、フラッシュメモリカード、メモリスティック、USBスティック、CD、又はフロッピー(登録商標)ディスクである。入力装置は、更に、システムのユーザが実際に行為権限のあることを、権限のあるユーザの予め記憶させておいた識別特徴に従って保証するための安全機能部を有するのがよく、かかる安全機能部は、例えば、指紋リーダ、網膜スキャナ、磁気ストリップリーダ、又はバーコードリーダである。入力装置は、追加的に且つ同時に、サンプル分析と関連したデータを書込むための出力装置として機能するのがよい。例えば、入力装置がフォーマット済み電子メディアのリーダ(読取り装置)である場合、この入力装置がかかる電子メディアの書込み装置でもある。かかるメディアにかかる装置によって書込まれるデータは、限定する訳ではないが、分析に関係する環境情報(例えば、温度、湿度)、診断結果、及び問題になっているサンプルの識別データを含む。
【0027】
プロセッサ980はまた、ディスプレイ982と通信するように構成されるのがよく、その結果、例えば、分析に関する情報がディスプレイに送信され、それがシステムのユーザに伝えられる。かかる情報は、限定する訳ではないが、装置の現在の状態、PCR熱サイクルの進展、及びシステム又はカートリッジのいずれかの誤作動の場合の警告メッセージを含む。加えて、プロセッサ980は、ディスプレイ982に表示すべき1つ又は2つ以上の質問を送信するのがよく、かかる質問により、ユーザが質問に対する応答を入力することを促される。かくして、或る実施形態では、入力部984とディスプレイ982は、互いに一体化される。
【0028】
プロセッサ980は、オプションとして更に、分析の結果を出力装置に送信するように構成されるのがよく、出力装置は、例えば、プリンタ、ビジュアルディスプレイ、ホログラフィー投影を利用するディスプレイ、スピーカ、及びこれらの組合せを含む。
【0029】
プロセッサ980は、オプションとして更に、ネットワークインタフェース等の通信インタフェースを介してコンピュータネットワーク988に接続されるのがよい。通信インタフェースは、シリアル接続、パラレル接続、ワイヤレスネットワーク接続、USB接続及び回線ネットワーク接続から成る群から選択された1つ又は2つ以上のインタフェースであるのがよい。それにより、システムがネットワーク上で適切にアドレス指定されるとき、遠隔のユーザは、プロセッサにアクセスして、命令を送り、データを入力し、又はデータを取出すことができ、かかるデータは、例えば、プロセッサに接続されたメモリ(図示せず)に記憶されていてもよいし、プロセッサと通信状態にあるいくつかの他のコンピュータ読取り可能なメディアに記憶されていてもよい。それにより、インタフェースはまた、遠隔箇所へのデータの抽出を可能にするのがよく、かかる遠隔箇所は、例えば、パーソナルコンピュータ、パーソナルデジタル補助装置(携帯情報端末)、又はコンピュータサーバ又はディスクファーム等のネットワーク記憶装置である。本装置は、更に、ユーザが分析結果を複数の第三者にeメールを送ることを可能にするように構成されるのがよく、かかる第三者は、例えば、健康管理提供者、診断施設、又は患者である。
【0030】
加えて、種々の実施形態では、本装置は、更に、プロセッサ、入力装置及び通信インタフェースのうちの1つ又は2つ以上からデータを受取るように構成されたデータ格納又は記憶メディアを有するのがよく、データ記憶メディアは、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュカード及びCD−ROMから成る群から選択された1つ又は2つ以上のメディア(媒体)である。
【0031】
プロセッサ980は、概要及びそれに引き続いて本明細書において更に詳細に説明するように、更に、サンプル準備及び診断の種々の側面を制御するように構成されるのがよい。
図1A及び
図1Bでは、装置981(又は971)は、相補ラック970と関連して作動するように構成されている。ラックはそれ自体、本明細書において更に説明するように、精密検査及び診断の分析に適した形態の多数の生物学的サンプル996、及び種々の試薬、ピペット先端部、及び入れ物を備えた多数のホルダ972を受入れるように構成されている。ラックは、サンプル精密検査中、サンプルがそれぞれのホルダ内で処理されるように構成され、かかる処理は、サンプルがヒータ組立体977を介する加熱及び冷却を個々に受けることを含む。ヒータ組立体の加熱機能は、プロセッサ980によって制御されるのがよい。ヒータ組立体977は、磁気セパレータ等のセパレータ978と関連して作動し、かかるセパレータはまた、ホルダ972と結合し且つ磁性粒子等の粒子が入っている1つ又は2つ以上の処理チャンバに近づいたりそれから離れたりするように、プロセッサ980によって制御されるのがよい。
【0032】
液体ディスペンサ976が、同じようにプロセッサ980によって制御されるのがよく、サンプルからの核酸の抽出を達成するために、ホルダ972内のそれぞれのサンプル、流体、及び試薬に対して種々の吸引操作及び小出し操作を実施するように構成されている。液体ディスペンサ976は、多数のホルダに対してかかる吸引操作及び小出し操作を同時に実施するのがよい。サンプルリーダ990が、サンプルに関する、場合によってはホルダに関する識別情報をプロセッサ980に送信するように構成されている。幾つかの実施形態では、サンプルリーダは、液体ディスペンサに取付けられ、それにより、液体ディスペンサの下に位置するサンプルに関する標識を読取るのがよい。他の実施形態では、サンプルリーダは、液体ディスペンサに取付けられずに、プロセッサの制御下で独立に移動可能である。液体ディスペンサ976はまた、1つ又は2つ以上のサンプルから抽出された核酸を含む流体の複数のアリコート(alquots)を取り、それらを貯蔵領域974に差し向けるように構成され、貯蔵領域974は、クーラであるのがよい。領域974が、例えば、各サンプルに対応するPCR管を収容している。他の実施形態では、別の領域974はなく、抽出された核酸が別の箇所に移送されないで現場で冷却され且つ貯蔵されるように、クーラが1つ又は2つ以上のホルダ972を冷却するように構成される。
【0033】
図1Bは、診断装置971の概略実施形態を示し、診断装置971は、
図1Aの装置981と共通の要素を有しているが、貯蔵領域974に代えて、カートリッジ994が受入れられる受入れベイ992を有している。受入れベイは、ヒータ998と通信状態にあり、ヒータ998はそれ自体、カートリッジの特定領域が分析中に特定の時間で加熱されるように、プロセッサ980によって制御されるのがよい。かくして、液体ディスペンサ976は、1つ又は2つ以上のサンプルから抽出された核酸を含む流体の複数のアリコートを取り、それらをカートリッジ994のそれぞれの入口に差し向けるように構成されている。カートリッジ994は、例えばそれぞれの核酸にPCRを実施することによって、増幅を行うように構成されている。プロセッサはまた、カートリッジ994からの診断の命令を受取る検出器999を制御するように構成されている。診断は、上述したように、出力装置986及び/又はディスプレイ982に送信されるのがよい。
【0034】
適当なプロセッサ980は、当該技術分野において知られている設計上の原理に従って設計され、半導体処理方法によって製造されるのがよい。
【0035】
図1A及び
図1Bに概略を示した装置の実施形態が、本明細書において説明する他の例示の実施形態と同様に有利であるのは、装置が、その中に、試薬の貯蔵に適しているように構成された箇所を必要としないからである。このシステムの実施形態も、本明細書で説明する他の例示の実施形態も、試薬を外部貯蔵容器(例えば、瓶、キャニスタ、リザーバ)から受入れるように構成された入口ポート又は出口ポートを必要としない。従って、
図1A及び
図1Bの装置は、自己完結式であり、ホルダ972と関連して作動し、ホルダ内の例えば装置内の試薬貯蔵専用箇所に、試薬が予め包装されている。
【0036】
図1A及び
図1Bの装置は、実験設備等の単一の箇所で作動を実行するように構成されていてもよいし、例えば様々な箇所の患者を訪問する外科医又は他の健康管理専門家に同伴させることができるように持ち運び可能であってもよい。装置は、典型的には、電力コードを有し、AC電力を電源又は発電機から受取ることができる。各装置内に組込まれ又は電力ソケットとシステムの間に且つ外部に位置する選択的な変圧器(図示せず)が、AC入力電力を、装置が使用可能なDC出力に変換する。本装置はまた、1つ又は2つ以上の電池を用いることによって作動するように構成されていてもよく、従って、典型的には、電池充電システムと、電池電力が低くなりすぎて診断分析を確実に開始し又は完了させることができない場合にユーザに警報を出す種々の警告装置とを有する。
【0037】
図1A及び
図1Bの装置は、他の実施形態では、更に、多重化されたサンプル分析及び/又は多数バッチのサンプルの分析を行うことができるように構成さるのがよく、この場合、例えば、単一のラックが、単一バッチのサンプルを保持する。1つのかかる形態では、
図1Bに概略が示されているシステムの複数の例は、多数のマイクロ流体カートリッジ994を受入れてそれらを処理するように構成される。従って、種々の構成要素が共通のハウジング内に設けられてもよいけれども、
図1A及び
図1Bに示す各構成要素は、サンプルのバッチの回数と同じ倍数だけ存在するのがよい。
【0038】
さらに別の形態では、システムが、多数のカートリッジを受入れてそれらを処理するように構成されているが、
図1A及び
図1Bの1つ又は2つ以上の構成要素は、多数のカートリッジに共通である。例えば、単一の装置は、多数のカートリッジ受入れベイを備えるが、種々のカートリッジの並行制御、連続制御又は同時制御を可能にするよう適切に構成された共通のプロセッサ、検出器、及びユーザインタフェースを備えるのがよい。かかる実施形態はまた、単一のサンプルリーダ及び単一の出力装置を利用することも可能である。
【0039】
さらに別の形態では、
図1Bに示すシステムは、単一のカートリッジを受入れるように構成され、単一のカートリッジは、2つ以上、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのサンプルを並行して且つ互いに独立に処理するように構成される。多数のサンプルを取扱うことができるカートリッジを作製する例示の技術は、本明細書以外、例えば、米国特許出願第60/859,284号明細書に記載され、この米国特許出願を本明細書に援用する。
【0040】
サンプルの追跡を容易にすると共にサンプルの取り違えの危険を最小にするために、カートリッジに、例えばサンプルの分子バーコード指標を有するタグを付けることは、現在の技術に更に合致している。かかるタグを付ける方法は、本明細書以外、例えば、米国特許出願公開第10/360,854号明細書に記載されており、この米国特許出願公開を本明細書に援用する。
【0041】
装置971、981内に実装されており且つ
図2のブロックダイアグラムに概略的に示す制御電子装置840が、種々の実施形態において1つ又は2つ以上の機能部を含むのがよく、かかる機能部は、例えば、主制御装置900、多重化装置902、ディスプレイ制御装置904、検出器制御装置906のためのものである。主制御装置の機能は、
図1A及び
図1Bの装置内の制御電子装置840のハブとして使用されることであり、種々の電子機能の通信及び制御を管理するのがよい。主制御装置の機能はまた、ユーザ又は出力装置920(例えば、プリンタ)との電気的な通信インタフェース908を支援することであり、オプションとして、診断機能及び安全機能を支援することである。主制御装置機能900と関連して、多重化機能部902は、ヒータ組立体977の制御を助けるセンサデータ914及び出力電流916を制御するのがよい。ディスプレイ制御装置機能部904は、タッチスクリーンLCD846への出力を制御し、場合によってはタッチスクリーンLCD846からの入力を解釈することができ、それにより或る実施形態では、タッチスクリーンLCDは、グラフィックインタフェースをユーザに提供することができる。検出器機能906は、典型的な制御及び処理回路を用いて制御電子装置840内に具体化され、それにより、検出器999、例えば1つ又は2つ以上の蛍光検出器からのデータを集め、ディジタル化し、濾波すると共に/或いは送信することができるようになっている。
図2に示していない追加の機能は、限定する訳ではないが、液体小出しヘッド、セパレータ、クーラ等の
図1A及び
図1Bの要素を制御する機能部を制御すること、及び、サンプルリーダからデータを受取ることを含む。
【0042】
図1A又は
図1Bに従う機能を有する例示の装置を
図3A及び
図3Bに示す。
図3A及び
図3Bの例示の装置は、ハウジング985及びカバー987を有し、カバー987は、
図3Aでは閉鎖位置で示され、
図3Bでは、内部特徴995を示すために開放位置で示されている。カバー987は、オプションとして、取っ手989を有し、長円形であり且つカバーの表面から隆起している取っ手989が示されているけれども、取っ手は、正方形、長方形又は円形等のその他の形状であってもよいし、カバーの表面から凹んでいてもよいし、それと面一であってもよい。ヒンジを有するカバー987が示されているけれども、スライドカバー等の他の形態も可能である。バンパ991が、カバーが後方に行き過ぎて落ちることを防止するために、且つ/又は、カバー987を開放位置に安定して保持するために使用される。ハウジング985が、更に、1つ又は2つ以上の通信ポート983及び1つ又は2つ以上の電源ポート993を有するものとして示されており、これらポートは、その他の箇所、例えば装置の後部に設けられていてもよい。
【0043】
図1A及び
図1Bの装置は、1つ又は2つ以上の安定用脚を有するのがよく、それにより、装置本体が、システム100が載せられている表面よりも上に持上げられ、その結果、システム100の下の通気を可能にし、ユーザがシステム100を持上げやすくする。システム100のサイズに応じて、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ若しくは7つ以上の脚が設けられるのがよい。かかる脚は、好ましくは、ゴム、プラスチック、又は金属で作られ、或る実施形態では、システム100の本体を、それが載せられている表面よりも約2〜10mmだけ上方に持上げられてもよい。
【0044】
図4は、
図3A及び
図3Bに示すような例示の装置の内部の一部分の例示の形態を示す。
図4では、多数の試薬ホルダ972及び患者サンプル996を収容したラック970と、ラック970に密接した受入れベイ992が示され、受入れベイ992は、サンプルから抽出されたポリヌクレオチドについてPCRを行うためのカートリッジ994を有している。
【0045】
〔ラック〕
本装置は、更に、1つ又は2つ以上のラックを有し、ラックは、装置に挿入可能であり且つ取出し可能であるように構成されると共に、ラックは各々、複数の試薬ホルダを受入れ且つ複数のサンプル管を受入れるように構成され、試薬ホルダとサンプル管とは、1対1で対応し、試薬ホルダは各々、サンプルからポリヌクレオチドを抽出してポリヌクレオチドをPCRのための準備ができた形態にするのに十分な試薬を収容している。例示の試薬ホルダについては、本明細書の他の箇所で更に説明する。
【0046】
本装置は、1つ、2つ、3つ、4つ又は6つのラックを有するのがよく、各ラックは、2、4、6、8、10、12、16又は20個のサンプルと、サンプルと同数のホルダ804を受入れ、サンプルは、例えばサンプル管802内に入れられ、各ホルダは、少なくとも、1つ又は2つ以上のピペット先端部と、試薬のための1つ又は2つ以上の容器とを有している。
【0047】
ラックは、典型的には、多数の試薬ホルダ804を受入れるように構成され、本明細書において更に説明するように、ホルダ内に貯蔵され即ち本装置の専用領域に位置する試薬へのアクセスを実験室の台上において可能にするように、又は、本装置の1つ又は2つ以上の他の機能部がホルダにアクセスすることを可能にするように、1つ又は2つ以上の試薬ホルダを保持するように構成されており、他の機能部は、例えば、自動化されたピペット操作、プロセス管の加熱、及び親和性ビーズの磁気分離を行う。
【0048】
例示のラック800の斜視図を
図5に示し、ラック800は、12本のサンプル管及びそれに対応する12個の試薬ホルダを12本のレーン内に受入れるように構成されている。ラックとの関係で本明細書において用いられるレーンは、1つのサンプル管及びそれに対応する1つの試薬ホルダを受入れるように設計されたラックの専用領域である。ヒータユニットと関連した同じ例示のラックの2つの斜視図を
図6に示す。
【0049】
第2の例示のラック800の種々の図を、
図7及び
図8A〜
図8Kに示し、第2の例示のラック800は、12本のサンプル管及び12個の試薬ホルダを受入れるように構成されている。
図8A〜
図8Kは、具体的には、側面図(
図8A)、サンプル管を示す正面図(
図8B)、試薬ホルダを示す背面図(
図8C)、試薬ホルダを背面側から見た図(
図8D)、サンプル管を正面側から見た図(
図8E)、試薬ホルダの挿入を上方から見た図(
図8F及び
図8G)、試薬ホルダを挿入するためのスロットを上方から見た図(
図8H)、試薬ホルダの位置合わせ部を上方から見た図(
図8I)、装置に対する部分的な挿入/取出し状態にあるラックの拡大図(
図8J)、取っ手によって保持され、装置から取出されたラックを示す図(
図8K)である。
図7の例示の取出し可能なラックを受入れるための診断又は準備装置の凹み領域を、
図9に示し、本明細書において更に説明する。異なる機能ではなく、異なる形状、外観及び形態を有する他のラックを受入れるように適当に構成された他の凹み領域は、本明細書における説明と合致する。
【0050】
図示の2つの例示のラックは、本明細書内で意図する非限定的な一般的な特徴を有するラックであり、2つのラックを例示として用いて説明する。例えば、図示の実施形態では、少なくとも第1のレーンと第2のレーンは、互いに平行であり、形態は、ピペット操作効率を向上させる。典型的には、互いに平行である場合、対をなす隣り合うサンプルレーンは、それぞれの中心点において24mm分離されている(他の距離、例えば18mm間隔、又は27mm間隔も可能である)。中心点と中心点の間の距離は、本明細書において更に説明するように、液体小出しヘッドのノズルのピッチで決まる。間隔を9mmの倍数に保つことにより、ラックから96ウェル型プレート(典型的には、ウェルは、9mm間隔である)への容易な移動又はローディングが可能である。また、典型的には、ラックは、複数のレーンに設けられている複数の試薬ホルダが互いに対して同じ高さに維持されるラックである。
【0051】
ラックは、試薬ホルダを受入れるように構成され、その仕方は、試薬ホルダが適所に解除可能にスナップ留めされ又はロックされ、且つ、試薬ホルダ内の試薬へのアクセスの間、及び、ラックを1つの箇所から別の箇所に運ぶ間、即ち、ラックを本装置内に挿入し又は本装置から取出す間、安定状態のままである仕方である。各実施形態では、第2の場所の各々は、機械式キーを有し、機械式キーは、試薬ホルダを単一の向きで受入れるように構成されている。
図5では、試薬ホルダが、試薬ホルダ1つにつき1つずつラックに設けられた上下方向スロットに水平方向に滑り込むことが示されている。かかる実施形態では、試薬ホルダに設けられている連結部材の縁部は、スロットの上方部分の相補溝と嵌合する。
図8F、
図8G及び
図8Iでは、試薬ホルダが、機械式キーを介してラックと嵌合することが示され、かかる機械式キーは、試薬ホルダを安定に且つ適所に保つ。例えば、機械式キーは、隆起部分又は凹み部分を有し、かかる隆起部分又は凹み部分は、試薬ホルダの相補部分と嵌合するときに試薬ホルダを第2の場所にスナップ式に留めることを可能にする。また、図示の実施形態では、試薬ホルダが第1の端部及び第2の端部を有し、機械式キーが、試薬ホルダを誤った仕方で挿入することができないように、第1の端部に嵌合するように形成された第1の特徴部と、第2の端部に嵌合するように形成された第2の特徴部を有することが分かる。
【0052】
或る実施形態では、ホルダは各々、カムロック機構又は機械式キー等を用いて、ラック内の適所にロックされ、カムロック機構は、ロックされたことを可聴的に及び/又は物理的に認識させる。ラックは、本明細書において更に説明するように、ホルダがラック内に位置決めされたときに、液体ディスペンサを用いて、ホルダが適正なピペット先端部のピックアップのために整列されるように構成されるのがよい。さらに、各レーンの第2の場所は、1つ又は2つ以上のピペット先端部を受入れるのに十分深いのがよく、ピペット先端部は、例えば、ピペット先端部シース内に収容されている。
【0053】
或る実施形態では、ラックは、サンプルを個々のサンプル管802内に受入れるように構成され、サンプル管802の各々は、それに対応するホルダ804に隣接して、例えばラック800の一方の側部に取付けられる。サンプル管は、本明細書において更に説明するように、バーコードリーダ等のサンプル識別確認装置にアクセス可能であるのがよい。
図5では、サンプル管は、その底部のところで、円筒形受入れ部材によって保持されている。
図7では、サンプル管が、その頂部とその底部の両方のところで、例えばサンプル管の底部を受入れるように構成された凹み部分803とサンプル管の上方部分を保持するように構成された孔805とによって保持されることが示されている。孔は、リング又は開放ループであってよいし、金属シートに設けられた孔であってもよい。凹み部分は、
図7に示すようなものであるのがよく、この場合、凹み部分は、サンプル管を受入れるのに十分大きい孔を備えた山形金属シートハウジングである。
【0054】
ラックは、それを装置から容易に取出すことができるように設計され、それを、装置の外部に位置する台又は卓等の実験室環境から及びそこに、及び、ラック内へのサンプル管及び試薬ホルダの容易な搭載又はローディングを可能にする装置から及びそこに、容易に運ぶことができるように設計されるのがよい。或る実施形態では、ラックは、水平面上で安定性があり、運搬中、容易には取れないように設計されており、このために、ラックは、1つ又は2つ以上(例えば、2、3、4、6、8つ)の脚809を有している。或る実施形態では、ラックは、持上げ及び移動を容易にする取っ手806を有し、
図5に示すように、取っ手は、運搬中、ラックが倒れる恐れを減少させるために、垂直位置にロック可能である。取っ手は、オプションとして、その中央に軟らかいグリップ808を有するのがよい。
図7の実施形態では、運搬用取っ手は、ローディングされ又は搭載されたときにラックの重心を通る軸線から変位した軸線の周りに位置決めされ、その自重でラックの上面と面一をなす位置に自由に落下するのがよい。
【0055】
図5の実施形態は、金属製のベース部材810を有し、ベース部材810は、ラックを装置の専用部分に挿入したときに位置突き止め装置として使用される4つの脚811を有している。取っ手は、ベース部材810に取付けられている。サンプル及びホルダを受入れるラックの部分812は、プラスチックで作られ、12個のスロットを有し、使い捨てであるのがよい。
【0056】
図7の実施形態では、ラックは、ハウジングと、ハウジングに設けられた複数のレーンと、を有し、複数のレーンの各レーンは、サンプル管を受入れるように構成された第1の場所と、試薬ホルダを受入れるように構成された第2の場所を有し、ラックは、更に、診断装置の受入れベイと相補関係をなす位置合わせ部材を有する。典型的には、ハウジングは、金属、例えばアルミニウムで作られ、これは、軽量であると共に厳密な公差で機械加工でき、しかも診断装置の上に配置されたときにラックが安定なままである程度に頑丈である。
図7の位置合わせ部材は、ラックのコーナー部毎に1つずつ配置された4つの厳密公差のペグ815を有する。かかるペグ815は、これらが装置の受入れベイに設けられた相補関係をなす孔の中にぴったりと且つ緊密に嵌まり込み、それによりラックを安定化させる。例えば2つ又は3つ若しくは5つ以上のかかるペグを有する他の実施形態は、本明細書の実施形態とは矛盾しない。
【0057】
特に、
図7の実施形態のハウジングは、水平方向部材821と、水平方向部材に連結された2つ又は3つ以上の上下方向部材822を有し、かかるハウジングは、それぞれのレーンの第2の場所が水平方向部材の凹み部分であるようなものである。
図7の実施形態の2つ又は3つ以上の上下方向部材809は、ラックがこれら上下方向部材の上で支えなしで立つことができるように構成されている。ハウジングは、第1及び第2の上下方向部材に対称に取付けられ、実験室の台上に位置決めされたときにラックに追加の安定性を与える2つ又は3つ以上の脚又はランナを更に有するのがよい。
【0058】
さらに、
図7の実施形態では、ハウジングは、複数のスペーサ部材825を更に有し、スペーサ部材825の各々は、隣り合うレーンとレーンの間に配置されている。オプションとして、かかるスペーサ部材は、レーンとレーンの間に上下方向に配置されてもよい。
【0059】
図示していないが、ラックは、各レーンと関連したレーン識別子を更に有するのがよい。レーン識別子は、永続的な又は一時的なマーク、例えば唯一の数又は文字であってもよいし、RFIDであってもよく、バーコードであってもよいし、特定のレーンに固有の着色タグであってもよい。
【0060】
ラックは、これを装置内の適当な箇所に容易に配置でき、ユーザにこれが正しく配置されたという確実なフィードバックを、例えば可聴的に又は物理的に与えるように構成されるのがよい。或る実施形態では、ラックは、適所にロック可能である。ラックは、正しく位置決めされ、その後に移動することがないことが望ましく、その結果、液体ディスペンサの運動が液体取扱い操作中に損なわれることがない。従って、ラックは、正しい位置決めを確保するための位置合わせ部材を有する。
図7の実施形態では、位置合わせ部材は、ラックを診断装置内で単一の向きにしか配置することができないようにし、診断装置内に配置されると、ラックに安定性を提供するように構成された2本又は3本以上の位置決めピンを有する。
図7の実施形態は、オプションとして、診断装置内へのラックの適正な配置を指示するように構成されたセンサアクチュエータ817を有する。かかるセンサは、ラックが正しく着座していない場合、プロセッサ980と通信してユーザにインタフェースを介して送られた警告、例えば可聴警告又は視覚的警告を与えることができる。センサはまた、着座エラーが検出された場合にサンプル準備プロセスが開始し又は続行するのを阻止するように構成されるのがよい。
【0061】
或る実施形態では、種々のホルダ内のプロセス管の配置箇所周りのラックの内部は、本明細書において更に説明するように、ヒータ組立体及び/又は磁気セパレータのためのスペースを有するように構成されている。例えば、ラックは、個々のホルダのプロセスチャンバが本明細書において更に説明するように、ヒータ組立体内のヒータユニットによって受入れられるように構成されている。
【0062】
取外し可能なラックを設けることにより、ユーザは、前のラックのサンプルが本装置によって準備されている間、次のラックにサンプルを一列に搭載したままにすることができ、従って、装置の使用時間を最大にする。
【0063】
ラックはまた、有利には、サンプルがラックからこぼれた場合又は実験室内製品のまさに日常保守として装置の外部でクリーニングできる。
【0064】
或る実施形態では、ラックは、1つ又は2つ以上の使い捨て部品を有する。
【0065】
〔ホルダ〕
図10A及び
図10Bは、本明細書において更に説明する例示のホルダ501の図である。
図11は、本明細書において更に説明する別の例示のホルダ502の平面図である。
図12Aは、例示のホルダ503の斜視図であり、
図12Bは、同じホルダの断面図である。
図12Cは、
図12A及び
図12Bに示すのと同じホルダの分解斜視図である。次に、これら例示のホルダの全て、並びに、特定の実施形態としては図示していないが本明細書における説明と矛盾しない他のホルダにつき説明する。
【0066】
図10A、
図10B、
図11、
図12A、
図12B及び
図12Cに示された例示のホルダを各々、「ユニット化された使い捨てストリップ」又は「ユニット化されたストリップ」という場合がある。というのは、これらホルダは、サンプル準備を実施するのに必要な試薬及び入れ物の全てを収容するように構成された単一ユニットとして用いられるようになっているからであり、しかも、これらホルダは、ストリップフォーマットの形態にレイアウトされるからである。しかしながら、種々の入れ物の他の幾何学的配列が想到され、この説明が直線又はストリップ配列状態には限定されず、円又は格子配列状態を含む場合があることは本明細書の説明とは矛盾しない。
【0067】
ホルダ内に収容された試薬の中には、液体として提供されているものがあれば、固体として提供されているものもある。幾つかの実施形態では、固体を貯蔵した容器又は管とは異なるタイプの容器又は管が液体を貯蔵するために用いられる。
【0068】
ホルダは、使い捨てであるのがよく、例えば、1回使用向きであり、その後ホルダは破棄される。
【0069】
ホルダは、典型的には、プラスチック、例えばポリプロピレンで作られる。このプラスチックは、これが本明細書において更に説明するように、ラック内への配置を容易にするほどの幾分かの可撓性を有するようなものである。しかしながら、このプラスチックは、典型的には硬質であり、その結果、ホルダは、その自重でそれ程たるんだりたわんだりするむことがないようになっており、しかも、日常的な取扱い及び運搬中に容易には変形せず、かくして、試薬がこれから漏れ出ることがないようになっている。
【0070】
ホルダは、次のように1つ又は2つ以上の特性を備えた連結部材510を有している。連結部材510は、ホルダの種々の他の構成要素を互いに連結するのに役立つ。連結部材510は、上部512と、その反対側の下部514を有している。
図10Bでは、連結部材のリムをソケット、プロセス管及び試薬管に様々な仕方で連結する種々のストラット597を有する下部514の図が示されている。ストラット597は、オプションであり、これらストラットは、全て又は部分的に省くことができ、或いは、これらストラット又は全て一部に代えて、ホルダを互いに結合状態に保つ他の部品を用いてもよい。
【0071】
ホルダは、連結部材に固定され且つ連結部材に位置する孔522を含むプロセス管520と、連結部材に配置され且つ使い捨てピペット先端部580を受入れるように構成された少なくとも1つのソケットと、連結部材の下部に設けられ且つ連結部材に位置するそれぞれの入口孔542を含む2つ又は3つ以上の試薬管540と、連結部材に設けられた1つ又は2つ以上の入れ物550とを有するように構成され、1つ又は2つ以上の入れ物は各々、連結部材の受け側512から挿入される相補形の容器、例えば試薬管(図示せず)を受入れるように構成されている。
【0072】
ホルダは、典型的には、連結部材、プロセス管、及び2つ又は3つ以上の試薬管が単一品、例えばポリプロピレンの部品から作られるようなものである。
【0073】
ホルダはまた、典型的には、少なくともプロセス管及び2本又は3本以上の試薬管が半透明であるようなものである。
【0074】
1つ又は2つ以上の入れ物550は各々、ホルダと関連したサンプルからの核酸の抽出を行うための、典型的には凍結乾燥形態等の固体の形態をした、十分な量の1つ又は2つ以上の試薬を収容した試薬管を受入れるように構成されている。入れ物は、全て同一サイズ及び同一形状のものであってもよいし、互いに異なる形状及び寸法のものであってもよい。入れ物550は、開放した底部を有するものとして示されているが、かかるトポロジーには限定されず、入れ物は、連結部材510の上部に設けられた入口522を除き閉鎖されていてもよい。好ましくは、入れ物550は、実験室分析分野において一般に用いられている容器、又は、ホルダを収納した状態でこれに用いられるよう適当に構成された容器を受入れるように構成される。容器は、典型的には、サンプル取扱いを容易にするためにホルダとは別個に貯蔵される。というのは、固体試薬は、通常、液体試薬とは異なる貯蔵条件を必要とするからである。特に、多くの固体試薬は、水分に極めて敏感な場合がある。
【0075】
互いに異なる試薬を収容したスナップ嵌め試薬管は、ユーザによる容易な識別が可能であるように互いに異なる色のものであり又は色分けされているのがよい。例えば、かかる試薬管は、互いに異なる色の材料、例えば着色プラスチックで作られてもよいし、試薬管に取付けられたある種の識別タグ、例えばカラーストライプ又はカラードットを有してもよい。試薬管は、側面に印刷されたラベルを更に有すると共に/或いは頂部のシール層に施された識別子又は識別手段、例えばバーコードを有してもよい。
【0076】
入れ物550によって受入れられる容器554は、変形例として、ホルダの一体部分であってもよく、又、廃棄物チャンバ及び/又は試薬管と同一タイプの容器であってもよいし、これらとは異なっていてもよい。
【0077】
一実施形態では、入れ物550内に配置されていて凍結乾燥試薬を収容した容器554(例えば
図12A及び
図12Cに示す)は、0.3mlの管であり、これら管は、更に、それぞれの底部内面に施された星状パターン(
図13A及び
図13Bを参照されたい)を有するように構成されている。これは、流体を凍結乾燥試薬(これらは、当初のパッケージ内では乾燥している)に添加したときに、核酸抽出プロセス中、
図14に示すように、ピペット先端部が管の底をついて依然として管から流体のほぼ全てを取出すことができるようなものである。星状パターンの設計については、本明細書の別の箇所で更に説明する。
【0078】
例えば凍結乾燥試薬を収容した試薬管の頂部全体を、プラスチック内張り層が設けられていない金属箔、例えばアルミ箔でシールするのがよく、これについては本明細書において更に説明する。
【0079】
実施形態501,502,503は、連結部材の上部に設けられた入口孔562を有する廃棄物チャンバ560を備えた状態で示されている。廃棄物チャンバ560は、オプションであり、これが設けられる実施形態では、使用済み液体試薬を受入れるように構成されている。これが設けられない他の実施形態では、使用済み液体試薬をホルダ、例えば内容物が分析されている元のサンプルを収容したサンプル管に移送してその外部に位置する箇所で処分するのがよい。廃棄物チャンバ560は、2本又は3本以上の試薬管540を更に有する組立体の一部として示されている。理解すべきことは、かかる構成は、例えば製造の便宜上行われており、廃棄物チャンバの他の配置箇所が可能であることであり、例えば、廃棄物チャンバが試薬管に隣接して位置しているが、連結部材以外のものを介してそれに連結されている場合である。
【0080】
ホルダは、典型的には、連結部材、プロセス管、2本又は3本以上の試薬管及び廃棄物チャンバ(もし設けられている場合)が例えばポリプロピレンのような材料で作られた単一品から作られるようなものである。
【0081】
実施例501,503は、ピペットシース570を有するものとして示されている。これは、本明細書において説明するホルダのオプションとしての構成要素である。ピペットシースは、永続的に又は取外し可能に連結部材510に取付けられてもよいし、ホルダのための単一品組立体の一部として形成され、例えば成形されてもよい。例えば、
図12Cのホルダ503の分解図では、取外し可能なピペットシース570の上面に設けられた突起状取付け部574が示されており、これら突起状取付け部は、連結部材510の下部514に設けられた相補関係をなす凹み部分又は孔と嵌合する。他の形態の取付け具の採用が可能である。ピペットシース570は、ピペット先端部が少なくとも1つのソケット内に配置されるときに、典型的には、少なくとも1つのソケット並びにピペット先端部及び下方部分を包囲するように構成されている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのソケットは、4つのソケットから成る。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのソケットは、2つ、3つ、5つ又は6つのソケットから成る。
【0082】
ピペットシース570は、典型的には、底部576及びこの底部と連結部材との間に位置する壁付き部分578を有するように構成されている。ピペットシース570は、オプションとして更に、壁578又は底部576に設けられた1つ又は2つ以上の切欠き部分572を有するのがよい。かかる切欠きは、ピペット先端部の換気を可能にすると共に更に、ホルダの製造の際に用いられる材料の全量を減少させる。実施形態503は、かかる切欠きが設けられていないピペットシースを有している。実施形態501では、かかる切欠きは、シースの上方部分に設けられた二等辺三角形として示されており、これに類似した形状の切欠きが
図10Aの図からは見えにくいピペットシースの反対側に設けられた対応の部分に設けられるのがよい。他の切欠きは、他の形態の三角形、円形、長円形、正方形、長方形又は他の多角形若しくは不規則な形状のものであってよく、数が数個、例えばこれよりも多くてもよい。ピペットシース570の壁578は、窓又は隙間を有するメッシュ又はフレーム状構造を更に有するのがよい。ピペットシースを備えた実施形態では、ピペットシースの目的は、使用済みピペット先端部からのしずくを捕捉し、それにより、或る1つのホルダの使用から同じような箇所にある別のホルダの使用へのサンプル相互汚染、及び/又は、ホルダが収納されている支持ラックへのサンプル相互汚染を阻止することにある。典型的には、この場合、底部576は、中実且つボウル形状(凹状)のものであり、従って、しずくは、この中に保持されるようになる。ピペットシースを備えていない実施形態、例えば実施形態502は、例えば、同じ目的で1つ又は2つ以上のソケット内に位置するピペット先端部の下に適当に配置されたしずくトレイ又は排出出口を利用するのがよい。しずくを捕捉することに加えて、ピペット先端部シースは、他の試薬ホルダの先端部(例えば、本明細書において更に説明するラック内の目的とするホルダ先端部に隣接して位置するホルダ先端部)が何らかの液体処理ステップの実施前又は実施後において先端部をピックアップし及び/又は落とした際、互いに触れるのを阻止し又は禁止する。隣り合うホルダの先端部同士の接触は、一般に、ホルダに対するサンプルの並行処理を制御する自動化小出しヘッドによって意図されておらず、ピペット先端部は長く、これらピペット先端部は、落下の際に先端部の角度が垂直(鉛直)から僅かに逸れた場合に近くのストリップの先端部に容易に触れることができる。
【0083】
実施形態501,502,503のホルダは、全て、少なくとも1つのソケット、1つ又は2つ以上の入れ物並びにプロセス管及び2つ又は3つ以上の試薬管のそれぞれの孔が全て、互いに対して直線状に配置される(即ち、これらの中点が、同一軸線上に位置する)ように構成された連結部材を有する。しかしながら、本明細書において説明するホルダは、入れ物、廃棄物チャンバ、プロセス管、ソケット及び試薬管の特定の形態には限定されない。例えば、ホルダは、幾つかの孔が互いに対して互い違いに配置され、“軸外し”位置を占める場合、短く作られてもよい。種々の入れ物等も又、
図12A及び
図12Bに示すように互いに対して同じ位置を占める必要はなく、この場合、プロセス管は、ホルダの中央のほぼ近くに位置し、液体試薬は、プロセス管の一方の側に取付けられた入れ物内に貯蔵され、固体試薬を収容した入れ物は、プロセス管の他方の側に取付けられる。かくして、
図10A、
図10B及び
図11では、プロセス管は、連結部材の一端部に位置し、ピペットシースは、その他端部のところで、内部位置において廃棄物チャンバ及び2つ又は3つ以上の試薬管に隣接して位置する。さらに別の配置状態、例えば、プロセス管をホルダの一端部に取付けること、プロセス管をピペット先端部及びピペット先端部シース(本明細書において更に説明する)に隣接して取付けること及び廃棄物管をプロセス管に隣接して取付けることが考えられる。理解すべきことは、ホルダの種々の部分の別の形態によっては、変形例が生じるに過ぎず、かかる別の形態を説明する装置の他の変形例の範囲内で対応することができ、かかる変形例としては、本明細書において更に説明する液体小出しピペットヘッド、ヒータ組立体及び磁気セパレータのための別の命令セットが挙げられるが、これらには限定されない。
【0084】
プロセス管520は、一体部品の一部ではなく、スナップ嵌め管であってもよい。プロセス管520は、典型的には、サンプル準備中に起こる種々の混合及び反応プロセスに用いられる。例えば、細胞溶解が、核酸の抽出が生じるのと同様に、プロセス管520内で生じる場合がある。この場合、プロセス管520は、有利には、プロセス管520への液体の移送に関与する全体的なピペットヘッド移動操作を最小にする箇所に位置決めされる。
【0085】
試薬管540は、典型的には、管1本当たり1つの液体試薬を収容するように構成されている。例えば、実施形態501,502,503では、それぞれ洗浄緩衝液、遊離緩衝液、中和緩衝剤を収容した3つの試薬管が示されており、これらの管は各々、サンプル準備プロトコルで用いられる。
【0086】
液体又は液体試薬を収容した試薬管540をラミネート構造体598でシールするのがよい。ラミネート構造体は、典型的には、ヒートシール層、プラスチック層、例えばポリプロピレン層及び金属、例えばアルミ箔の層を有し、ヒートシール層は、1つ又は2つ以上の試薬管に隣接して位置する。液体試薬を収容した入れ物のためのラミネート(積層材)に用いられる追加のプラスチックフィルムは、典型的には、液体がアルミニウムに接触するのを阻止するためのものである。
【0087】
ラミネート構造体が互いに異なるラミネート構造体の2つの実施形態を
図15に示す。両方の実施形態において、例えばラッカ又は融点の低いかかるポリマーで作られたヒートシール層602は、堆積される場合、ホルダの頂部に隣接して最下部に位置する。プラスチック層604は、典型的には、ヒートシール層の上面上に位置し、典型的には、厚さが10〜50ミクロンのポリプロピレンで作られる。金属層608は、典型的には、プラスチック層の上面上に位置し、
図15の第1の実施形態の場合のように、接着剤層606によってプラスチック層に結合されたアルミ箔の層であってもよいし、プラスチック層に直接蒸着され又はプラスチック層上の適所に直接蒸着され又はスパッタリングされた金属層であってもよい。それぞれの層の例示の厚さが
図15に示され、理解すべきことは、厚さの2倍までのばらつきは、本明細書において説明する技術と矛盾しないことである。特に、一実施形態では、アルミ箔の厚さは、0.1〜15ミクロンであり、ポリマー層の厚さは、15〜25ミクロンである。別の実施形態では、アルミニウムの厚さは、0.1〜1ミクロンであり、ポリマー層の厚さは、25〜30ミクロンである。
【0088】
本明細書において提供される積層材(ラミネート)は、長期間にわたる貯蔵を容易にする。というのは、ホルダ内には、密封状態の凍結乾燥試薬並びにこれに近接して密封された液体が存在しているからであり、このことは、達成するのが通常は困難である。
【0089】
一実施形態では、試薬管の頂部は、アルミ箔を頂部にヒートシールしたときに、プラスチックメルトが管のリムを越えて延びないよう斜切縁部を有している。これは、プラスチックメルトが管の内径を減少させる場合、それにより操作中にピペット先端部との干渉が生じるので有利である。他の実施形態では、隆起平坦部分599が、積層材598の堆積及び除去を容易にする。連結部材の上側に設けられ、試薬管の入口孔及びオプションとして廃棄物チャンバを包囲している隆起面599は、ホルダのオプションとしての特徴である。
【0090】
液体をピペット操作により取出す仕方は、箔を穿し通したピペット先端部が
図16に示すように、ピペット先端部の周りにシールを生じさせないで素早く動かすようなものである。ピペット操作には或る量の空気流が望ましいので、ピペット操作中に先端部周りにかかるシールが生じることは、不都合である。この場合、ラミネート構造体により、穿し通された箔がその当初採用された位置に留まるので、シールは作られない。
図16の上側の5つの図は、本明細書において更に説明するように積層材でシールされた試薬管からのピペット操作による試薬の取出しを示す。Aにおいて、ピペット先端部は、試薬707を収容した試薬管の上方でほぼ中心に位置決めされる。Bにおいて、ピペット先端部を試薬管内に下降させ、通常は制御可能に下降させ、このようにする際、箔598を穿し通す。この領域の破断図は、ピペット先端部が試薬管を穿し通す幅の最も広い部分のところでピペット先端部と接触状態にある、穿し通し後の積層材の縁部を示す。Cにおいて、ピペット先端部は、僅かに引っ込められ、それによりは、試薬707のバルク内に維持される。破断図は、穿し通し後の箔が、ピペット先端部が箔を穿し通して試薬管内の最深位置まで下降していたときに形成された形態を保持していることを示す。Dにおいて、ピペット先端部は、試薬707を吸い上げ、場合によっては、年を取った人がかかる試験を行う場合その高さが変えられる。Eにおいて、ピペット先端部は、試薬管から完全に取出されている。
【0091】
種々の管及びチャンバの材料は、これへのDNA及び他の高分子の結合度を減少させるような少なくとも内面滑らかさ及び表面被膜を有するように構成されるのがよい。DNAの結合は、感度の低下に鑑みて望ましくなく、感度の低下の結果として、次に、ホルダの表面上に捕捉されていないDNAの検出及び分析が行われる恐れがある。
【0092】
プロセス管はまた、結合度の低い表面を有するのがよく、かかるプロセス管により、磁気ビーズが、内壁にくっつかないでこの内壁を上下に容易に滑ることができる。さらに、プロセス管は、流体の低いスティクション(静摩擦)及びそれ故に核酸及び他の分子の低い結合度を可能にする疎水性表面被膜を有する。
【0093】
幾つかの実施形態では、ホルダは、位置合わせ部材、例えば機械式キーを有する。典型的には、かかる機械式キーは、連結部材510の一部である。機械式キーにより、ホルダは、例えば、ホルダ内の試薬に対するピペット操作を制御する装置の支持ラック又は受入れベイ内に設けられた相補部材によって受取られるようになる。機械式キーは、通常は、受入れ装置に設けられた切欠き又は突出部と対応関係をなして合致する特定の形状の切欠きである。かくして、実施形態501は、機械式キー592を有し、この機械式キーは、連結部材の一端部に設けられた一対の長方形の形をした切欠きから成る。図示のこの特徴は、更に、ホルダを別の装置のラック内に入れたり出したりする際に、ユーザが適当な引っ掛かりを得ることができるタブを提供する。実施形態501,502も又、連結部材510の他端部のところに機械式キー590を有している。機械式キー590は、ラック内へのホルダの挿入を容易にすると共にホルダを受入れるよう形作られた凹み領域に設けられている相補山形切欠きに当接したときにラック内での良好な位置合わせを保証する山形切欠きである。当然のことながら、機械式キーの他の変形例は、本明細書における説明とは矛盾せず、例えば、湾曲した切欠き又は切欠き若しくは突出部の種々の組合せは全て、ホルダの確実な位置合わせを容易にする。
【0094】
図10A、
図10B、
図11又は
図12A〜
図12Cには示していない幾つかの実施形態では、ホルダは、連結部材に取付けられた識別子を更に有する。識別子は、ラベル、例えば書込み可能なラベル、バーコード、二次元バーコード又はRFIDタグであるのがよい。識別子は、例えば、試薬のどのような組合せがホルダ内に存在しているか及びかくして試薬の対象としてのどのようなタイプのサンプル準備プロトコルであるかを迅速に明らかにするためのものであるのがよい。識別子はまた、品質管理又は記録保持目的のためにホルダの関連バッチを指示するのがよい。また、識別子により、ユーザは、特定のホルダを特定のサンプルに合わせることができる。
【0095】
また、本明細書における説明と一致して考慮すべきこととして、ホルダは、更に、サンプルを例えばサンプル管内に受入れるように構成されているのがよい。かくして、本明細書の別の箇所で説明する実施形態では、ラックは、サンプル管及びホルダへの装填を互いに独立に行うことができるような仕方で多数のサンプル管及びこれと対応した数のホルダを受入れる。それにもかかわらず、他の実施形態では、ホルダはまた、サンプルを例えばサンプル管内に受入れるように構成されているのがよい。かくして、相補ラックは、多数のホルダを受入れるように構成されているのがよく、各ホルダは、サンプル並びに試薬及び他のアイテムを有する。かかる実施形態では、ホルダは、サンプルがサンプル識別試験機構に接近可能であるように構成されている。
【0096】
〔キット〕
本明細書において説明するホルダは、空気及び水分がホルダ内の試薬と接触する恐れを減少させるよう密閉パウチ内に入れられて提供されるのがよい。かかる密閉パウチは、本明細書において説明するホルダのうち1つ又は2つ以上、例えば、2、4、6、8、10、12、16、20又は24個のホルダを収納するのがよい。
【0097】
ホルダはまた、サンプル準備を実施するためのキットの一部として提供されてもよく、キットは、本明細書において説明するホルダのうちの1つ又は2つ以上を収納した第1のパウチを有し、ホルダの各々は、
図17に示すように、溶解、洗浄及び遊離のための液体試薬を備え、キットは、内部に不活性雰囲気を備えた第2のパウチを更に有し、1つ又は2つ以上の試薬管は、凍結乾燥PCR試薬を収容している。かかるキットはまた、多数のサンプルの分析を可能にすると共にかかるサンプルを処理するのに十分なPCR試薬(又は例えばRT‐PCR、転写媒介増幅、SDA(strand displacement amplification)、NASBA、ヘリカーゼ依存性増幅、当業者にはよく知られている増幅及び本明細書において説明する他の増幅のための他の増幅試薬)及び多数の個々のホルダ、例えば2、4、6、8、10、12、16、20又は24個のホルダを収容するように構成されているのがよい。
【0098】
〔試薬管〕
本明細書の別の箇所で言及するように、凍結乾燥試薬を収容した容器554は、0.3ml管であり、これら管は、これらのそれぞれの底部内面に施された星の形をした、即ち、星状のパターン(
図13A及び
図13Bを参照されたい)を有するように構成されている。本明細書において説明した使用並びに本明細書においては説明していない他の使用のための更に別の管を同様に構成することができる。かくして、例えば、星状パターンにより得られる利点はまた、試薬管から直接ピペット操作で取出される液体サンプルを収容した試薬管(並びにピペット操作に先立って液体の形態に構成される固体を当初収容した試薬管)から生じる。かかる星状パターンの恩恵を受ける他の管のサイズは、例えば、0.1ml〜0.65mlである。
【0099】
星状パターンは、流体を管から取出す際に、ピペット先端部が管内の底に届き、
図14に示すように、管から流体全部を又はほぼ全部を取出すことができるようにする。これは重要であるが、その理由は、かかる僅かな量で使用する場合、及び目的とするDNAが非常に僅かな複製で存在している場合があるとき、ピペット操作の不備に起因するサンプルの喪失は、可能な限り最小にすべきだからである。
【0100】
星状パターンの設計は、特に、臨床サンプル中に非常に僅かな数で存在するDNA/RNAの回収のために用いられる場合に重要である。星状パターンは、ピペットが管の底に突き当たった状態で用いられる場合、液体の殆ど(残留量<1マイクロリットル)のピペット操作を可能にすべきである。加えて、星状パターンは、2つの望ましくない作用効果を有する傾向がある表面領域並びにデッドエンド溝、即ち、液体を捕捉する傾向があると共に吸着によるポリヌクレオチドの望ましくない保持量を増大させる傾向のある表面領域並びにデッドエンド溝を最小にするように設計すべきである。
【0101】
以下において、
図14について次のように説明する。
図14は、各々がピペット操作における段階を連続して示す多数の
図A〜Gを有している。Aにおいて、液体2211(例えば、緩衝溶液)を収容したピペット先端部2210が、試薬管2200の中心の真上又はほぼ上方に位置決めされる。試薬管は、多数の凍結乾燥ペレット2212を収容し、箔等の層2214によってシールされている。箔は、試薬管の上面にヒートシールされるのがよい。本明細書において更に説明する積層材を試薬管に配置するのがよいが、典型的には、アルミ箔の層が適しており、この場合、試薬管は、固体、例えば凍結乾燥試薬を収容する。幾つかの実施形態では、試薬管の頂部は、そこへの箔のヒートシール中における試薬管の頂部リムの膨張を減少させるために、面取り縁部を有している。試薬管は、頂部に施された識別可能なコード、例えば1次元又は2次元バーコードを更に有するのがよい。かかるバーコードは、管内に貯蔵されている試薬の組成及び/又はその調製のためのバッチ数及び/又は有効期限日を識別するのに有用である。バーコードは、例えばインクジェットプリンタ又は転写プリンタを用いて印刷されるのがよい。
【0102】
試薬管2200の底部内面に施された星状パターン2203が示されている。ステップBにおいて、ピペット先端部を下降させてシール2214を穿し通し、そして粒子2212の上方の位置に至らせる。ステップCにおいて、液体2211をピペット先端部から送り出して粒子にかけ、ステップDにおいて示すようにこれを溶解させる。粒子が完全に溶解して溶液2218が形成された後、ピペット先端部をこれが星状パターン2203と接触する位置まで下降させる。ステップEにおいて、ピペット先端部は、溶液2218を吸込み、ステップFにおいて、ピペット先端部は、オプションとして、この溶液を試薬管の中に送り戻すのがよい。ステップE,Fを所望に応じて繰り返し実施し、それにより凍結乾燥構成要素の溶解及び溶液中へのこれの混合を容易にするのがよい。ステップGでは、ピペット先端部内に実施できるように大部分の溶液2218の吸込んだ後、ピペット先端部を試薬管から取出す。理想的には、ステップGにおいて、溶液2218の100容量%がピペット先端部の中に吸上げられる。他の実施形態では、溶液2218の性状に応じて、溶液の少なくとも99容量%が吸上げられる。さらに別の実施形態では、溶液の少なくとも98容量%、少なくとも97容量%、少なくとも96容量%、少なくとも95容量%及び少なくとも90容量%が吸上げられる。
【0103】
星状又は星状パターンの設計は、底突き当たりピペット、例えばp1000ピペットと星状パターンとの間の隙間を通る液体の流量を最大にするよう最適化されているのがよく、これについては、2007年7月13日に出願された米国特許仮出願第60/959,437号明細書に更に記載されており、この米国特許仮出願を本明細書に援用する。理解すべきことは、本明細書における説明は、典型的には生物学的サンプルのサンプル調製に用いられるピペット及びピペット先端部に関するが、この設計の原理及び詳細な側面は、他タイプのピペット及びピペット先端部に適合可能であり、そのように改造できることである。
【0104】
図13Aは、側壁2201及び底部2202を備えた試薬管2200の断面斜視図である。底部の内面2204が見える。星状切欠き2203が、3つの尖った溝として部分的に示す。
【0105】
典型的には、星状パターンは、試薬管の底部内面上に設けられた隆起部分として存在する。かくして、例えば射出成形による試薬管の製造中、金型の外側部分は、管の外部形状を定めるキャビティである。試薬管の内側形状は、金型の外側部分と同心状に位置決めされ、その先端部にフライス加工された星状構造を有する金型によって形成される。かくして、液体プラスチックを金型の2つの部分の間の空間内に射出すると、星状が試薬管の底部内面上の隆起部分として形成される。
【0106】
図13Bに平面図で示す例示の星状パターン2203は、「船の舵輪」に似ており、中心部2209と、中心部2209上に心出しされた円形リング2207と、半径方向溝2205として形成された8つの半径方向セグメントとを有している。各半径方向溝は、中心部2209のところで他の半径方向溝に出会うが、理解すべきことは、これよりも少ない又はこれよりも多い数の半径方向溝、例えば3、4、6,10又は12個の半径方向溝を備えた星状パターンは、本発明における設計と矛盾しないことである。星の半径方向溝の数は、有効液体ピペット操作と一致して最小であるべきであり、しかも、液体取扱い用途に用いるべき任意のピペット先端部を捕捉しない程度の間隔を置いて配置すべきである。
【0107】
中心部2209は、典型的には、試薬管2200の底部の幾何学的中心と一致して位置決めされている。試薬管は、典型的には、断面が円形であり、従って、その中心(例えば、2つの直径の交差点のところ)が、通常は、明瞭であることが分かる。中心部2209は、
図13Bに示す大きさよりも大きいものであるのがよく、例えば、半径方向溝2205の合体箇所により形成される領域の直径を超える円形切欠き又は隆起部分であるのがよい。
【0108】
リング2207は、星状パターン2203のオプションとしての特徴である。典型的には、リング2207の中心は、中心部2209に合わされ、かかるリングは、典型的には、ピペット先端部の底面に相当する寸法を有している。かくして、ピペット先端部が試薬管2200の底に「突き当たる」と、ピペット先端部の底部は、リング2207と接触状態のままとなる。かくして、リング2207は、好ましくは、ピペット先端部を受入れ、管の底部のところの中心にその位置決めを案内するのを助けることができる切欠き又は凹み特徴部である。他の実施形態では、2つ以上、2つ、3つ又は4つの同心リング2207が設けられる。
【0109】
星状パターンは、試薬管から適当に位置決めされたピペット先端部内への最適流量の液体を与える寸法を有するよう形作られている。星状パターンは、
図13Bでは、試薬管の最も幅の広い箇所の直径よりも直径が著しく小さいものとして示されている。星状パターンは、種々の実施形態では、試薬管の5〜20%の直径(中心部2209から溝2205の頂点まで測定して)、試薬管の直径の10〜25%、試薬管の直径の15〜30%、試薬管の直径の20〜40%、試薬管の直径の25〜50%、試薬管の直径の30〜50%、試薬管の直径の40〜60%、試薬管の直径の50〜75%又は試薬管の直径65〜90%を有するのがよい。
【0110】
かくして、半径方向溝2205は、隆起部(隣り合う溝相互間の空間を占めている)によって互いに分離されている。図示の実施形態では、半径方向溝は、それらの間の距離よりも幅が狭い(小さな半径方向角を占めている)。他の実施形態では、半径方向溝は、それらの間の距離と比例関係をなして幅が広いのがよい。かかる実施形態では、半径方向溝を、溝ではなく隆起部を有するものとして説明することが妥当な場合がある。他の実施形態では、半径方向溝及びそれを互いに分離する隆起部は、中心からそれぞれ半径方向距離を置いたところで等しい幅のものである。
【0111】
星の頂点を形成する半径方向溝は、その下面が丸くなっており、例えば断面が半円形であるのがよいが、典型的にはV字形である。これら溝は、断面が台形であってもよく、例えば、平らな底部よりも幅の広い上側部分を有してもよく、上側部分と底部は、傾斜した壁によって互いに連結されている。
【0112】
幾つかの実施形態では、製造を容易にするために、半径方向溝は、試薬管の底部内で同一レベルで終端している。かくして、半径方向端部は、全て、円の円周上に位置している。他の実施形態では、半径方向溝は、全てが同一レベルで終端しているわけではない。例えば、半径方向溝は、互いに異なるレベルで交互に終端していてもよく、かくして、端部は、互いに空間内において互いに異なる平面を占める2つの円のそれぞれの円周上に位置する。
【0113】
半径方向溝2205は、
図13Bには、等しい長さ(中心部2209から頂点まで測定して)を有するものとして示されている。これは、必ずしもそうする必要はない。変形実施形態では、半径方向溝は、互いに異なる長さを有してもよく、例えば、交互に位置する半径方向溝に交互の長さを有してもよく、この場合、半径方向溝は偶数個設けられる。さらに、頂点は、尖っているのではなく、丸くなっていてもよい。
【0114】
典型的には、半径方向溝は、中心部2209からそれぞれの頂点まで幅及び深さが一様にテーパしている。さらに別の形態、例えば、特定の半径方向広がり、例えば半径方向溝の長さの30〜60%まで一定の幅又は深さを辿り、次にその頂点に向かって幅が狭くなり又は浅くなる半径方向溝の採用が可能である。変形例として、半径方向溝は、中心部2209のところで幅が狭い状態で始まり、長さのその中点の近くの最も幅の広い領域まで広がり、次に、その頂点に向かって狭まってもよい。本明細書には説明しない更に別の手段は、星状パターンと矛盾しない。
【0115】
0.3ml管では、各半径方向溝2205のその幅の最も広い箇所のところの幅は、典型的には、約50ミクロンであり、この幅は、典型的には、中心部2209の最も近くに位置する最も幅の広い箇所又は中心部2209のところから頂点まで一様にテーパしている。
【0116】
0.3ml管では、半径方向溝の最深箇所における深さは、典型的には、約25〜50ミクロンであり、この深さは、典型的には、中心部2209の最も近くに位置する深さの最も深い箇所又は中心部2209のところから頂点まで一様にテーパしている。
【0117】
0.3ml管では、半径方向溝で形成された星の半径(中心部2209から頂点まで最も短い距離として測定される)は、典型的には、約0.5mmであるが、0.1〜1mm又は0.3〜2mmであってもよい。
【0118】
別の実施形態では、0.3ml管では、溝は、丸みをつけられるのがよく、そして深さが100ミクロン、若しくは深さが50ミクロン未満又は深さが25ミクロン未満であるべきである。
【0119】
星状パターンは、典型的には、管の底部に垂直に位置すると共に中心部2209を通る軸線である回転対称軸線を有し、従って、半径方向溝は、回転中心に関して対称に配置されるようになっている。このことは、n個の溝の場合、中心軸線(回転軸線)回りの2π/nの回転により、各半径方向溝は、これに隣接して位置する半径方向溝に一致することができることを意味している。
【0120】
図13Bに示された星状形状は、これが多数の半径方向に配置された半径方向溝2205及びオプションとしての円形リング2207を有している点において、本発明を限定するものではない。他の星状の幾何学的形状を用いることができ、これらは、製造の容易さに応じて、好ましい場合がある。例えば、単に共通中心を備えているが、中心軸線回りに互いに対して回転的にずれている2つ又は3つ以上の多角形を重ね合わせることにより星を作ることができる。(これについては、例えば、インターネットサイトmathworld.wolfram.com/StarPolygon.html.)に記載されている「星状多角形」を参照されたい。星状パターンを形成するかかる別の仕方は、本発明において利用可能である。
【0121】
〔液体ディスペンサ〕
種々の実施形態では、本明細書によって更に説明する装置を用いた次の診断の際に用いられるPCR対応のサンプルの調製は、次のステップ、即ち、中和化ポリヌクレオチドサンプルとポリメラーゼ酵素及び複数のヌクレオチドを含むPCR試薬混合物の接触のうちの1つ又は2つ以上を含むのがよく(幾つかの実施形態では、PCR試薬混合物は、陽性対照プラスミド及びこのプラスミドの少なくとも一部分について選択された蛍光ハイブリッド形成プローブを更に有するのがよい)、幾つかの実施形態では、PCR試薬混合物は、ホルダに設けられた入れ物内に貯蔵される1つ又は2つ以上の凍結乾燥ペレットの形態をしていてもよく、この方法は、PCRペレットを液体で再構成してPCR試薬混合物溶液を作るステップを更に有するのがよい。上述のステップと関連した種々の、例えば1つ又は2つ以上の液体移送操作を自動化ピペットヘッドによって達成できる。
【0122】
本明細書において説明する装置に用いられる適当な液体ディスペンサは、1つ又は2つ以上のセンサと、マニホルドと、マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上のポンプと、マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上の小出しヘッドと、外部コントローラ(制御装置)から電気信号を受取る電気接続部とを有し、液体ディスペンサは、1つ又は2つ以上のポンプによる以外は、流体の入口又は出口を備えていない。
【0123】
例示の液体ディスペンサの断面図を
図18に示す。液体ディスペンサは、2つ又は3つ以上のホルダに対して流体移送操作を同時に実施するように構成されている。
図18に示すように、液体ディスペンサ2005は3つの並進自由度を備えた台(gantry)に取付けられるのがよい。別の実施形態は、3つよりも少ない数の並進自由度を備えた台を有してもよい。取付け方法は、
図18の左側の図に示すように、機械式締結により、例えば、1本又は2本以上のねじを用いて行われるのがよい。適当な台は、符号化ステッピングモータにより作動されるベルト駆動スライダの3つの軸線を有する。台スライダを構造的山形アルミニウム又は他のこれと同等の材料、特に金属又は金属合金のフレーム構造に取付けるのがよい。x方向及びy方向に位置合わせされたスライダ(これらの方向は、それぞれ、
図18の平面から出る方向及び入る方向である)により、ホルダのアレイを横切り且つそれぞれ所与のホルダに沿う方向に台の運動が容易になる。
【0124】
台のz軸は、可変力センサと関連しているのがよく、この可変力センサは、先端部ピックアップ及び流体小出し操作中、ヘッドの垂直運動の程度を制御するように構成されているのがよい。例えば、
図18に示すように、ピペットヘッド1803は、ヘッドに上向きに働く力をヘッドと力センサとの間の相対運動により検出することができるよう設けられているのがよい。例えば、ピペットヘッド1803がこの下に位置するラック内の使い捨てピペットに力を及ぼしたとき、上向きの力が伝えられ、それによりピペットヘッド1803がピボット箇所2102周りのトルクを加え、それにより止めねじ2104が力センサに圧接するようにする。この場合、力センサは、少なくとも液体ディスペンサの垂直運動を制御するプロセッサ又はコントローラと通信状態にあり、それにより、プロセッサ又はコントローラが力センサからの適切な信号を受取ると、液体ディスペンサの垂直運動を止める命令を出すことができるようになっている。本発明で用いるのに適した例示の力センサは、ハネウェル(Honeywell)社から入手でき、その仕様は、本明細書の付録に示す。
図18に示す力センサ機構は、例示であり、ピックアップ及び流体小出し操作中にヘッドに指令を出すことができる多くの考えられる機構のうちの1つである。例えば、力センサの代替手段として、サンプル管又は試薬ホルダとの接触時に1つ又は2つ以上の小出しヘッドの垂直運動の中断を検出する停動センサを用いてもよい。従って、当業者が理解すべきことは、本明細書において説明する液体ディスペンサは、
図18に示す特定の機構には限定されない。
【0125】
液体ディスペンサは、多数の個々のばね付きピペットヘッド1803を更に有し、各ピペットヘッドは、1つ又は2つ以上のピペット先端部の内から1つのピペット先端部をホルダ内に受入れるように構成されている。液体ディスペンサは、2つのピペットヘッドが同一ホルダからピペット先端部を受入れることがないよう更に構成されているのがよい。
図19A〜
図19Cは、例えば、4つの個々のばね付きピペットヘッド1803を示すが、理解すべきことは、ディスペンサは、この数には限定されない。例えば、他の数としては2、3、5、6、8、10又は12が挙げられる。さらに、個々のばね付きヘッド1803は、互いに平行に配列された状態で示されているが、他の配列状態になっていてもよい。
【0126】
液体ディスペンサは、関連のコンピュータ制御式バルブ装置を備えた分配マニホルド1802に連結されたコンピュータ制御式ポンプ2100を更に有するのがよい。分配マニホルド1802は、ピペット先端部を通る空気の流量を制御するように構成された多数のバルブ、例えば電磁バルブ1801を有するのがよく、例示の実施形態では、各ピペットについて2つのバルブが設けられると共にポンプをガス抜きするための1つの追加のバルブが設けられている。かくして、4つのピペットヘッドを備えた液体ディスペンサの場合、9つのバルブが存在する。別の実施形態では、各ピペットについてたった1つのバルブが設けられると共にポンプをガス抜きするための1つの追加のバルブが設けられている。しかしながら、分配マニホルドは、厳密に9つの電磁バルブを有する形態には限定されない。
【0127】
液体ディスペンサは、更に、2種類又は3種類以上のサンプルの溶液の分析又は調製と関連して流体を吸引し又は小出しするように構成されている。液体ディスペンサはまた、液体をマイクロ流体カートリッジ中に小出しするように構成されている。加えて、液体ディスペンサは、1回の操作で1.0ml未満の量の流体、例えば10nl〜1mlの量の流体を受入れ又は小出しするように構成されている。
【0128】
液体ディスペンサは、ポンプ2100が空気を分配マニホルドにポンプ作用で出し入れするように構成されている。分配マニホルドは、空気を1つ又は2つ以上のバルブ相互間にわたり均等に分配するマイクロ流体ネットワークを有する。かくして、マニホルド及び種々のバルブを通る空気の流量を制御することにより、ピペットヘッドの上方の圧力を変化させて液体がそれぞれピペットヘッドに取付けられているピペット先端部内に引き込まれ又はこれから放出されるようにすることができる。このように、空気ホースを通って圧縮空気を液体ディスペンサに供給することは必要ではない。小出しヘッドに通じる液体ラインを設けることも必要ではない。さらに、マニホルドを含む液体ディスペンサの任意の部分に流入するホルダからの液体試薬又は液体サンプルは存在しない。この側面により、気泡がサンプル又は液体試薬中に導入される原因となる厄介な問題が減少する。分配マニホルドの例示の形態を
図20に示す。
【0129】
種々の図に示すように、z軸に沿って上下に動く液体ディスペンサ全体は、プロセッサ又はコントローラへの電気的接続部及び台への機械的連結部しか備えていない自己完結式ユニットである。液体ディスペンサの三次元における並進移動をマイクロプロセッサ、例えばプロセッサ980により制御することができる。ディスペンサと関連した流体取扱いラインは存在していない。この設計により、装置の組立の単純化が可能であり、装置の汚染、及び装置の互いに異なる作動と作動の間におけるサンプルの相互汚染が最小になり、ポンプ輸送効率が高められ(死空間が最小になり)、しかも装置の容易な保守及び補修が可能である。また、この構成により、小出し装置における種々の特徴、例えば、各ディスペンサに関する個々の且つ独立したポンプ制御、個々のピペット取付け又は取外し、ピペットのピッチの制御能力等の容易なアップグレードが可能になる。
【0130】
装置のもう1つの側面は、多くの核酸含有サンプルの各々がどういうものであるかを点検するように構成されたサンプル識別検査機構に関する。かかるサンプル識別検査機構は、光学式文字リーダ、バーコードリーダ若しくは高周波タグリーダ又は当業者に利用可能な他の適当なリーダであるのがよい。サンプル識別検査機構をこれが液体ディスペンサと一緒に動くよう台に取付け又は液体ディスペンサに取付けるのがよい。変形例として、サンプル識別検査機構を別個に設けて、液体ディスペンサとは独立して移動可能であるようにしてもよい。例えば、
図21及び
図22では、サンプル識別検査機構1701は、液体ディスペンサに取付けられたバーコードリーダである。バーコードスキャナ1701の視界は、非線形であり、それにより、バーコードスキャナは、使い捨てラック2302内のバーコード付き臨床サンプル管2301から鏡2300により反射された光を検出することができる。バーコードスキャナは、臨床サンプル管に付けられているバーコードを読取り、かくして、サンプル管の存在及び詳細を識別する。鏡を使用しているので、スキャナは、鏡映像形態で印刷された(即ち、かくして、通常の形態に反射される)バーコードを読取るか或いは、通常のバーコードの鏡映像を読取り、この鏡映像をコンピュータアルゴリズムにより非反射形態に変換するように構成されている。
【0131】
サンプル識別検査機構は、これが検出し又は読取ったラベルの詳細を装置内のプロセッサ又はコントローラに送るように構成されており、それにより、サンプル識別情報を診断結果及びサンプル調製並びにサンプル内の核酸の抽出及び増幅に関連した他の情報に関連づけることができる。
【0132】
図23では、サンプル識別検査機構は、マイクロ流体カートリッジから標識を読取るよう位置決めされている。
【0133】
或る実施形態では、液体ディスペンサは、各々がラック内のピペット先端部の存在を検出する1つ又は2つ以上のセンサ2001(例えば、赤外線センサ)を更に有するのがよい。
図24では、例えば、赤外線センサ2001と反対側に赤外線エミッタが配置されるのがよく、使い捨てピペット先端部2000が存在することにより、エミッタと検出器との間のエミッタとセンサ(検出器)との間の視線が遮られ、かくして、ピペット先端部の存否の判定が可能になる。使い捨てピペットは、本明細書において更に説明するように、ピペットストリッパ及び位置合わせプレート2003に垂直に構成されるのがよい。
【0134】
液体ディスペンサはまた、本明細書において更に説明するように、マイクロ流体カートリッジ内への流体の小出し中、ピペットを取外してピペットを位置合わせするように構成された電動式プレートと関連して作動するのがよい。
【0135】
図25A及び
図25Bは、本明細書において更に説明するように、ピペット先端部を液体ディスペンサから取外す例示の装置を示す。ピペット先端部は、ホルダ内のそれぞれのソケット上に(ピペット先端部シースを覆って)、全て同一ピッチで位置合わせされている。細長い孔が設けられた金属プレートが、ソケット上に位置している。ピペット先端部を、細長い孔を通ってシース内に途中まで下方に差し込まれ、金属プレートをピペット先端部が孔の細長い部分によってクランプされるような仕方で先に進める。液体ディスペンサを先に進めると、ピペット先端部は、これらのそれぞれのヘッドから離脱状態になる。次に、金属プレートをその初期位置に戻すと、ピペット先端部は、これらのそれぞれのソケット内に適所に位置したままである。
【0136】
〔ヒータ組立体及び磁気セパレータ〕
例示のヒータ組立体1401のヒータユニットの断面図を
図26(右側のパネル)に示す。ヒータ組立体は、各々が加熱ブロックを有する1つ又は2つ以上の独立に制御可能なヒータユニットを有する。或る実施形態では、ヒータ組立体内に2、3、4、5、6、8、10、12、16、20、24、25、30、32、36、40、48又は50個のヒータユニットが設けられる。さらに別の数、例えば6〜100個の間の任意の数のヒータユニットは、本明細書における説明と矛盾しない。1つ又は2つ以上の加熱ブロックは、金属又は他の材料の単一片から形成でき又は互いに別々に作られ、互いに独立に取付けられ、又は何らかの仕方で互いに連結されてもよい。かくして、ヒータ組立体という用語は、ひとまとまりのヒータユニットを意味しているが、互いに直接的に又は間接的に取付けられるべきヒータユニット又はこれらのそれぞれの加熱ブロックを必要としない。ヒータ組立体は、各ヒータユニットが独立に、例えば1つ又は2つ以上の加熱ブロックを本明細書に更に説明するように、独立に制御可能であるようにすることにより1つ又は2つ以上のプロセス管1402の各々を加熱するように構成されているのがよい。
図26の形態では、ヒータ組立体は、各々がプロセス管1402と整列し、熱をこのプロセス管に送り出すように構成された1つ又は2つ以上の加熱ブロック1403を有する。各加熱ブロック1403は、オプションとして、ストリップ1408及び1本又は2本以上のねじ1407又は他の接着手段を用いて装置の残部に固定されたり連結されたりするのがよい。この固定機構は、かかる形態には限定されない。
【0137】
1つの加熱ブロック1403の断面図を
図26に示すが、理解すべきことは、これは、互いに平行に位置合わせされた多数の加熱ブロックを設けることと矛盾しておらず、これらの幾何学的中点は全て、単一の直線状の軸線上に位置するようになっているが、形態に関し、これには限定されない。かくして、1つ又は2つ以上の加熱ブロックを互いに異なる高さ位置で、群をなし又は変形例として個々に位置決めしてもよいし、
図26(右側のパネル)において左から右に群をなして又は変形例として個々に互いに対して互い違いに配置してもよい。加えて、他の実施形態では、加熱ブロックは、互いに平行に位置合わせされず、互いに対して角度をなして配置され、かかる角度は、180°以外である。さらに、
図26に示す加熱ブロックは、サイズが互いに同じ数個の加熱ブロックのうちの1つであってもよいが、1つ又は2つ以上の加熱ブロックが互いに異なるサイズのプロセス管を受入れてこれを加熱するように構成されていることは、本発明における技術とは矛盾しない。
【0138】
図26の例示の加熱ブロック1403(右側の図)は、プロセス管1402の下方部分を部分的に包囲するが内部キャビティを有するように構成されている。
図26の加熱ブロックでは、内部キャビティは、プロセス管1402の下方部分をその前側(磁石1404から遠い方の側)でも後側(磁石1404に隣接した側)でもなく、2つの側部について包囲している。他の実施形態では、加熱ブロック1403は、プロセス管1402の底部をその前側を含む3つの側部について包囲するように構成されている。さらに別の形態の加熱ブロック1403は、プロセス管1402の内容物の迅速且つ一様な加熱を達成するという目的とは矛盾しない。或る実施形態では、加熱ブロックは、プロセス管の加熱中、プロセス管と接触状態にある加熱ブロックの表面積を増大させるようプロセス管1402の形状とぴったりと一致するような形状になっている。かくして、例示の加熱ブロック1403は、相補形状をなすプロセス管が嵌め込まれる円錐形の底部が湾曲したキャビティを有するものとして示されているが、加熱ブロック1403の他の実施形態は、例えば、平らな底部を備えた円筒形のキャビティを有する。加熱ブロック1403の更に他の実施形態は、例えばキュベット(cuvette)を収容する直線状内部キャビティを有してもよい。
【0139】
さらに、加熱ブロック1403は、
図26では発熱体1501からの熱の伝達を助けると共に本装置の残部への1つ又は2つ以上の加熱ブロックの固定を助けるL字形として示されているが、本明細書において更に説明するように、加熱ブロックは、必ずしもそうである必要はない。例えば、或る実施形態では、発熱体1501は、プロセス管1402の真下に位置決めされてもよい。
【0140】
各加熱ブロック1403は、依然として高い構造的一体性を保つと共に磁石が加熱ブロック及びプロセス管を容易に越えて摺動することができる状態で低い熱質量を有するように構成されている。低い熱質量は、これにより、熱を迅速に送り届けたり消散したりすることができ、かくして、ヒータ組立体が収納されている装置の加熱及び冷却効率を高めることができるので有利である。低い熱質量に寄与する要因としては、加熱ブロックの構成材料及びこれが採用する形状が挙げられる。従って、加熱ブロック1403は、例えばアルミニウム、銀、金及び銅並びにこれらの合金のような材料で作られるのがよいが、これらに限定されるわけではない。
【0141】
一実施形態では、加熱ブロック1403の質量は、約10グラムであり、この加熱ブロックは、容積又は容量が1.2ml〜10μlの液体サンプルを昇温させるように構成されている。1ml生物学的サンプルに関して室温から65℃までの加熱は、3分未満で達成でき、10μlの水性液、例えば遊離緩衝液について最高85℃までの(50℃から)加熱は、2分以内に達成できる。加熱ブロック1403は、3分以内に50℃から85℃まで冷えることが可能である。加熱ブロック1403は、1mlのサンプルを昇温させるのに65±4℃の温度一様性を有すると共に10μlの遊離緩衝液を昇温させるには85±3℃の温度一様性を有するように構成されているのがよい。これらの範囲は、一般的であるが、加熱ブロックは、他の量の液体を上述した速度よりも遅い又は早い速度で加熱するよう適切にスケール変更できる。この技術のこの側面は、本明細書において更に説明するように、液体処理ステップの組合せによる多数のサンプルの迅速な核酸抽出、溶解のための迅速な加熱、DNAの捕捉及び遊離並びに磁気分離の達成に寄与する一側面である。
【0142】
図26には示していないが、ヒータ組立体1401は、オプションとして、加熱ブロック1403を包囲するエンクロージャ内に収納されるのがよい。エンクロージャは、プロセス管の周りの十分な空気の流れを可能にするが、冷却速度をそれほど妨げないように構成されているのがよい。エンクロージャは、このエンクロージャと加熱ブロックとの間に冷却を容易にするための隙間を有するのがよい。エンクロージャは、プラスチックで作られるのがよいが、これには限定されない。エンクロージャは、典型的には、ユーザにとって見栄えがするように形作られるのがよい。
【0143】
図26に示すように、ヒータ組立体1401は、各々が加熱ブロック1403と熱的にインタフェースを取り、熱をこれに消散させるように構成された1つ又は2つ以上の発熱体(例えば、電力抵抗器)1501を更に有するのがよい。例えば、一実施形態では、電力抵抗器は、最高25ワットの電力を消散させることができる。電力抵抗器は、これが典型的には、発熱体の低コストの代替手段であるので、有利である。また、他の在庫品としての電子部品、例えば電力トランジスタを用いると、温度と熱の両方を検出することができる。発熱体1501は、加熱ブロック1403の底部のところに配置された状態で示されているが、理解すべきことは、他の形態は、本明細書において説明する組立体とは矛盾せず、例えば、発熱体1501は、各加熱ブロック1403の頂部又は側部のところ或いはプロセス管1402の真下に配置されてもよい。他の実施形態では、発熱体は、他の形状を有し、断面が長方形ではなく、湾曲してもよく、例えば、球形又は楕円形であってもよい。加えて、発熱体は、これがプロセス管の底部の形状とぴったりと又はほぼ一致するよう成形され又は形作られるのがよい。
図26には示していないが、ヒータ組立体は、ヒータ組立体1501と加熱ブロック1403との間に設けられていて、発熱体と加熱ブロックの良好な熱的接触を可能にするインタフェース材料(例えば、バークイスト(Berquist)q−パッド又はサーマルグリース)を更に有するのがよい。
【0144】
図26に示す実施形態では、ヒータ組立体は、各加熱ブロック1403のそれぞれの温度を検出する1つ又は2つ以上の温度センサ1502、例えば抵抗温度検出器を更に有している。温度センサ1502は、加熱ブロック1403の底部のところに配置された状態で示されているが、理解すべきことは、他の形態は、本明細書において説明する組立体とは矛盾せず、例えば、温度センサは、各加熱ブロック1403の頂部又は側部のところに配置されてもよいしプロセス管1402の底部に近接するが、その一様な加熱を妨げないほど近くに配置されてもよいことである。
図26の実施形態に示すように、ヒータ組立体は、センサ1502と加熱ブロック1403との良好な熱的接触を可能にし、それにより正確な読みを保証するように構成されたインタフェース材料(例えば、バークイストq−パッド)1503を更に有するのがよい。
【0145】
本明細書における診断又は調製装置の或る実施形態は、本明細書において更に説明するように2つ以上のヒータ組立体を有する。例えば、単一のヒータ組立体は、6本又は12本のプロセス管を独立に加熱するように構成されているのがよく、装置は、2つ又は4つのかかるヒータ組立体を備えるのがよい。
【0146】
本明細書における開示内容に係る装置は、磁性粒子を互いに分離するように構成された磁気セパレータを更に有し、この磁気セパレータは、支持部材に取付けられた1つ又は2つ以上の磁石、1つ又は2つ以上の磁石が固定された軸線に沿って前後に動き、少なくともこの運動の一部分中、1つ又は2つ以上の磁石が、溶液中に磁性粒子を収容している1つ又は2つ以上の入れ物に密接して位置したままであるように支持部材を動かすように構成された電動式機構及び電動式機構を制御する制御回路を有する。
【0147】
本明細書における開示内容にかかる装置は、一体形磁気セパレータ・ヒータを更に有し、この一体形磁気セパレータ・ヒータは、各々が複数のプロセス管の各々をそれぞれ受入れてこれを加熱するように構成されている複数の独立に制御可能なヒータユニットを有するヒータ組立体、支持部材に取付けられた1つ又は2つ以上の磁石、1つ又は2つ以上の磁石が固定された軸線に沿って前後に動き、少なくともこの運動の一部分中、1つ又は2つ以上の磁石が、ヒータ組立体内のプロセス管のうちの1本又は2本以上(1本又は2本以上のプロセス管は、磁性粒子を収容しており)との密接状態を維持するように支持部材を動かすように構成された電動式機構及び電動式機構を制御すると共にヒータユニットの加熱を制御する制御回路を更に有する。
【0148】
典型的には、1つ又は2つ以上の入れ物の各々は、例えば、生物学的反応を実行するためのプロセス管である。幾つかの実施形態では、近接性は、磁石がプロセス管と接触状態になく、プロセス管の外面から2mm以内の距離だけ離れて位置する作用面を有するものとして定義できる。近接性は、更に、プロセス管と接触していない状態で1mm未満の距離だけ離れ又は1〜2mm離れて位置していることであると定義できる。
【0149】
典型的には、磁性粒子は、1つ又は2つ以上の生体分子、例えばポリヌクレオチドを結合できる微小粒子、ビーズ又は微小球である。溶液の状態で粒子を分離することは、典型的には、粒子を1つ又は2つ以上の入れ物の内部の一箇所に集めると共に集中させ又は寄せ集めることを含む。
【0150】
例示の磁気セパレータ1400が
図27に示されており、この磁気セパレータは、ヒータ組立体1401と関連して作動するように構成されている。磁気セパレータ1400は、1つ又は2つ以上の磁石を1本又は2本以上のプロセス管1402に対して動かすように構成されている。
図27に示す磁石1404は、長方形ブロックとして示されているが、かかる磁石は、形状がこれに限定されるわけではない。さらに、
図27の形態は、加熱ブロック1403全てを横切って延びる単一の磁石を有すること又は一斉に作動すると共に加熱ブロックのサブセットをまたがるよう位置合わせされており、例えば、支持ブロック上で同一直線上に位置合わせされた多数の磁石を有することとは矛盾しない。磁石1404は、ネオジミウム(例えば、ケー・アンド・ジェイ・マグネチックス・インコーポレイテッド(K&J Magnetics, Inc.)から入手できる)で作られると共に5,000〜15,000ガウスの磁気強度(Brmax)を有するのがよい。磁石1404の磁極は、一方の磁極が加熱ブロック1403に近い方に向き、他方の磁極が加熱ブロックから遠い方に向くように配置されるのがよい。
【0151】
さらに、
図27に示す実施形態では、磁石1404は、支持部材1505に取付けられており、この支持部材は、電動式シャフト1405を用いて固定軸線に沿って上下に運動可能である。
図27に示す実施形態では、歯車装置1406により、モータ1601をシャフト1405に垂直に配置することができ、それにより、磁気セパレータ1400が収納される装置内の空間が節約される。他の実施形態では、モータは、シャフト1405の下に配置される。理解すべきことは、他の形態は、プロセス管に対する磁石との運動とは矛盾せず、かかる運動としては、磁石を左右に動かすこと又は磁石を上から下に動かすことが挙げられるが、これらには限定されないことである。モータは、特定の速度、例えば、1〜20mm/sの磁石の垂直運動をもたらす回転速度で回転するようコンピュータ制御可能である。かくして、磁気セパレータは、同一軸線に沿って数回、例えば上下に、左右に又は前後に繰り返し動くように構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、電動式制御下で作動する2本以上のシャフトが設けられる。少なくとも第2のシャフトを設けることにより、セパレータをよりスムーズに動かすことができるという作用効果が得られる。幾つかの実施形態では、支持部材は、支持部材が動いている際に例えばひっくり返ることがなく、捩れることがなく、偏揺れすることがなく或いは他の内部運動(軸線に沿う制御された運動以外の運動)を行うことがなく、それにより、分離効率を減少させることがないよう1つ又は2つ以上の案内部材上に載っている。
【0152】
支持部材はまた、磁石を1つ又は2つ以上の入れ物から離れて位置する第1の位置と1つ又は2つ以上の入れ物に密接して位置する第2の位置との間で動かすように構成されているのがよく、この支持部材は、更に、シャフトに沿って測定した第1の位置と第2の位置との間の距離よりも短い振幅で第2の位置周りに動くように構成されている。
【0153】
図26及び
図27に示すように、ヒータ組立体1401及び磁気セパレータ1400は、例えばプリント回路板1409に実装されている電子回路によって制御可能である。電子回路1409は、ヒータ組立体1401が熱を独立にプロセス管1402に加えて加熱及び検出費を最小にするように構成されているのがよい。この電子回路はまた、磁気セパレータ1400が繰り返しプロセス管1402に対して動くように構成されているのがよい。電子回路1409は、単一のプリント回路板(PCB)中に組込まれるのがよい。組立中、プラスチック案内部品は、個々の加熱ブロック1403相互間に或る間隔を維持するのを助けることができる。この設計は、特注構成の加熱ブロック1403を制御する在庫品としての電子装置の使用の恩恵を受けることができる。
【0154】
図26及び
図27には示していないが、エンクロージャが、磁気セパレータ1400及びヒータ組立体1401を下からのサブアセンブリの保護及び美観のために覆うのがよい。エンクロージャはまた、加熱及び冷却効率を確保するよう加熱ブロック1403を互いに間隔を置いた状態に保つように設計されているのがよい。磁気セパレータ及びヒータ組立体は、変形例として、別々のエンクロージャによって包囲されていてもよい。1つ又は2つ以上のエンクロージャは、プラスチックで作られるのがよい。
【0155】
有利には、ヒータ組立体と磁気セパレータは、加熱又は分離を行うために1本又は2本以上のプロセス管内の液体材料又はプロセス管を別々の箇所に運搬することなく、1本又は2本以上のプロセス管内の液体材料に対して連続した加熱及び分離操作を行うことができるよう互いに作動する。かかる操作はまた、このことが互いに独立であるが、共にサンプル調製に利用される加熱機能と分離機能をコンパクト且つ効率的な装置で実施できるということを意味しているので有利である。
【0156】
〔カートリッジオートローダ〕
マイクロ流体カートリッジに用いられるPCR増幅・検出システム2900の例示の実施形態を
図28に示す。システム2900は、多数の核酸含有サンプルに対して並行して行われるPCRのプロセスを実行すると共に自動化する。システム2900は、未使用のマイクロ流体カートリッジの貯蔵箇所2907と、カートリッジオートローダと、マイクロ流体カートリッジの受入れベイと、検出器と、使用済みマイクロ流体カートリッジを受入れるように構成された廃棄物トレイ2903とを有している。一実施形態では、カートリッジオートローダは、カートリッジパック2901及びカートリッジプッシャ2904を有している。
【0157】
システム2900は、説明の目的のため、マイクロ流体カートリッジが貯蔵箇所から受入れベイに、そして廃棄カートリッジ貯蔵箇所に平面内で且つ直線状に動くように構成されているが、必ずしもそのように構成される必要はない。例えば、廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903は、受入れベイに直角に又はこれと任意の角度をなして位置合わせされるのがよく、例えば、その後ろに配置されるのがよい。変形例として、各要素(カートリッジオートローダ2901、受入れベイ2902及び廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903)は、カートリッジがマイクロ流体PCR増幅・検出システム2902と同一高さ位置、これよりも高い高さ位置又はこれよりも低い高さ位置に位置すると共にマイクロ流体PCR増幅・検出システム2902が廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903と同一高さ位置、これよりも高い高さ位置又はこれよりも低い高さ位置に位置するよう階段状に構成されてもよい。別の形態として、3つの要素の各々は、同一平面内に位置するが、直線状には配置されず、互いに角度をなして配置されてもよい。
【0158】
図28は、受入れベイの平面の下に位置するカートリッジパック2901及び廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903を示すと共にこの平面の上方に位置する検出システム2908を有している。この形態は、例示であり、理解すべきことは、これら要素は、他の実施形態では、この平面の上に又は下に位置決めされてもよい。
【0159】
図29は、未使用のマイクロ流体カートリッジの貯蔵箇所を示す。貯蔵箇所は、多数の個々に積み重ねられると共に個々に装填されたカートリッジを受入れるように構成されているのがよく又はカートリッジのパックを受入れるように構成されているのがよい。例示のカートリッジパックは、24個のカートリッジを有している。貯蔵箇所は、透明であってもよく又は透明でなくてもよい任意の材料のケージ2910から成るのがよい。例えば、貯蔵箇所は、金属又はプラスチックで作られるのがよい。カートリッジパック2901は、パック1つ当たり24個のカートリッジ106には限定されず、2個から100個までの間の任意の数を収容することができる。例えば、他の数、例えば、2、4、8、10、12、16、20、30、36、40、48、50又は64個は、パック1つ当たりのカートリッジ106の考えられる数である。同様に、貯蔵箇所は、個々に積み重ねられた場合、これら個数のカートリッジを受入れるように構成されるのがよい。一実施形態では、
図29に示すように、個々に積み重ねられた各カートリッジ2906は、ケージ2910から突き出た棚部2911上に載っている。しかしながら、他の形態が可能である。例えば、カートリッジ2906は、ケージ2910の内面に設けられた凹み溝の上に載ってもよい。さらに、カートリッジパック2901は、ケージ2910内に配置される必要はない場合がある。カートリッジパック2901は、それ自体、カートリッジ2906に装填するよう装置にしっかりと結合とするのに必要な連結部を有するのがよい。
【0160】
図30は、サンプルが貯蔵箇所内のカートリッジパック2901中の最も上に位置するカートリッジ内に装填されたときのかかるカートリッジパック2901の例示の初期装填位置を示す。
図30は、カートリッジプッシャを含む平面の下に位置するカートリッジパック2901を示す。他の実施形態では、カートリッジパック2901は、カートリッジプッシャが最も下に位置するカートリッジをホルダから押し出すようカートリッジプッシャの平面の上方に位置してもよく又はカートリッジプッシャがカートリッジをカートリッジパック2901の真ん中から押し出すようホルダ2920内において部分的に上方に且つ部分的に下方に位置してもよい。図示の実施形態では、最も上に位置するカートリッジ106は、2つの案内レール2905に沿って押される。変形例として、これよりも多い数又は少ない数の案内レール(例えば、1つ又は3つ)が設けられてもよいし、カートリッジ2906が他の所要の位置まで移動可能である限り、案内レールが全く設けられなくてもよい。
【0161】
例示のカートリッジプッシャ2904を
図31に示す。カートリッジプッシャ2904は、案内レール2905に沿ってカートリッジ2906を押し、それにより、カートリッジ2906がステップモータ2930の機構によってあらかじめ較正された位置まで移動することができる。しかしながら、カートリッジ2906を運搬する機構は、ステップモータ2930には限定されず、かくして、他の機構も又、本明細書において説明するようにカートリッジプッシャ2904と矛盾しないことは理解されよう。
【0162】
図32は、PCRプロセスの完了後、カートリッジプッシャ2904により廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903内に押し込まれた使用済みカートリッジ2906を示す。この実施形態は、廃棄カートリッジ貯蔵箇所2903の取扱いを容易にし、例えば空にしやすくするリップ付き取っ手2940を示す。しかしながら、取っ手2904は、図示のタイプ及び形状には限定されないことは理解されよう。
【0163】
多数のPCRプロセスを完了する前後における例示のカートリッジパック2901が、
図33に示す。カートリッジプッシャ2904がカートリッジ2906をカートリッジパック2901から押し出した後、カートリッジパックの底部のところに設けられたばね2950が、カートリッジのスタック(積み重ね体)の下面を押し、それにより最も上に位置するカートリッジがサンプル注入に利用できるようにする。ばね2950は、数又はタイプが限定されているわけではない。かくして、単一のコイルばね又は巻きばねが示されているが、2つ以上、例えば2つ、3つ又は4つのコイルばね又は巻きばねを用いること及び変形例としてばね金属ストリップ又は数個のストリップを用いてもよいことは、本明細書における説明とは矛盾しない。変形例として、カートリッジを上方に押す別の機構を配備してもよく、例えば、空気圧、油圧又はインフレート可能な加圧容器を利用することができる。
【0164】
注目すべきこととして、パック又はオートローダ内への積み重ね及び/又は貯蔵を容易にすることができるよう縁部に沿って隆起リップを備えた本明細書において更に説明するマイクロ流体カートリッジが特に有利であり、その理由として、隆起リップはまた、剛性をカートリッジに与えると共に貯蔵及び運搬中、1つのカートリッジに設けられている流体入口が別のカートリッジの流体入口から遠ざけたままにするのを助けるからである。カートリッジの各縁部に沿って設けられたリップだけである必要はない隆起領域はまた、1つのカートリッジの下面と別のカートリッジの上面との間の摩擦を最小限にするのを助ける。
【0165】
〔カートリッジ受入れベイ〕
本技術は、生物学的サンプルからのヌクレオチドを増幅し、これらヌクレオチドに対して診断分析を実施する装置及び関連の方法に関する。この装置は、多数のサンプルレーンを備えた使い捨てマイクロ流体カートリッジに並行して作用するように構成されており、かかる装置は、カートリッジ操作を作動させることができ、レーンの各々内のPCR増幅の生成物を別々に、全て同時に又は群をなして同時に検出して分析することができ、オプションとして、グラフィックユーザインタフェース上に結果を表示することができる再使用可能な機器プラットホームを有する。
【0166】
図34は、多数のサンプルレーンを備えた例示のカートリッジ200及びカートリッジ200からの信号を読取る検出装置を収納した例示の読取りヘッド300の斜視図である。また、
図34にはトレイ110が示されており、このトレイは、オプションとして、受入れベイ内へのカートリッジの挿入に先立って、カートリッジ200を受入れることができる。本明細書において説明する装置は、カートリッジ200内の多くのサンプルに対して同時にリアルタイムPCRを実施することができる。好ましくは、サンプルの数は、例示のカートリッジ200に示すように12個のサンプルであるが、他の数、例えば4、8、10、16、20、24、25、30、32、36、40及び48個のサンプルは、本発明の範囲に含まれる。この装置の好ましい作動において、サンプルを含み、オプションとして1つ又は2つの分析物専用試薬(ASR)を含むPCR実施準備のできた溶液は、カートリッジ200内への導入に先立って、本明細書において更に説明するこの装置の他の構成要素を用いる。
【0167】
幾つかの実施形態では、装置は、マイクロ流体カートリッジと、選択的に受入れるように構成されたベイと、ベイに熱的に結合されると共に本明細書において更に説明するようプロセッサに結合された少なくとも1つの熱源とを有し、熱源は、カートリッジ内の個々のサンプルレーンを加熱するように構成され、プロセッサは、熱を個々のサンプルレーンに別々に、全て同時に、又は群をなして同時に付与することを制御するように構成されている。
【0168】
幾つかの実施形態では、装置は、個々のサンプルレーンのうちの1つ又は2つ以上のサンプル中のポリヌクレオチド(核酸)を別々に又は同時に検出するように構成された少なくとも1つの検出器を更に有し、プロセッサは、検出器を制御すると共に検出器から信号を受取るように検出器に結合される。
【0169】
ベイは、マイクロ流体カートリッジを選択的に受入れるように構成された装置の一部分であるのがよい。例えば、ベイとマイクロ流体カートリッジは、マイクロ流体カートリッジが例えば単一の向きで選択的に受入れられるように、相補関係をなす形状を有しているのがよい。例えば、マイクロ流体カートリッジは、ベイの相補関係をなす特徴部内に嵌まり込む位置合わせ部材を有するのがよい。位置合わせ部材は、例えば、カートリッジの縁部に設けられた切欠きであり、例えば、切取られたコーナー部、又は、1つ又は2つ以上の側部に設けられた1つ又は2つ以上の切り込みである。ベイは、カートリッジを選択的に受入れることにより、装置がカートリッジに対して正しく作動することができるようユーザがカートリッジを配置することを助けることができる。このように、カートリッジの誤りのない位置合わせを達成することができる。さらに、カートリッジは、カートリッジの容易な配置及び取出しのために、約200〜300ミクロンだけ受入れベイよりも僅かに小さいものであるように設計されるのがよい。この装置は、マイクロ流体カートリッジが選択的に受入れられたかどうかを検出するように構成されたセンサを更に有するのがよい。
【0170】
ベイはまた、マイクロ流体カートリッジに作用する装置の種々の構成要素(熱源、検出器、力部材等)がマイクロ流体カートリッジに対して正しく作用するように位置決めされるように構成されているのがよい。例えば、接触熱源をベイ内に位置決めして、これが受入れベイ内に選択的に受入れられたマイクロ流体カートリッジのところの別個の箇所に熱的に結合されるようになっているのがよい。
【0171】
変形例として、ヒータモジュール内のマイクロヒータと、それに対応する熱を必要とするマイクロ構成要素(例えば、バルブ、ポンプ、ゲート、反応チャンバ等)との位置合わせと関連して、マイクロヒータは、熱を必要とするマイクロ流体構成要素よりも僅かに大きいものであるように設計されているのがよく、従って、カートリッジがヒータから心ずれ状態になった場合であっても、個々の構成要素は、依然として、効率的に機能することができる。
【0172】
検出器300は、本明細書において更に説明するように、例えば光検出器であるのがよい。例えば、検出器は、蛍光色素の吸光帯に属する光を選択的に放出する光源、及び、蛍光色素の発光帯に属する光を選択的に検出する光検出器を含むのがよく、蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に一致している。変形例として、例えば、光検出器は、蛍光色素の吸光帯に属する光を選択的に放出する帯域濾波ダイオード、及び、蛍光色素の発光体に属する光を選択的に検出する帯域濾波フォトダイオードを含んでいてもよいし、例えば、光検出器は、互いに異なる蛍光発光スペクトルを有する複数の蛍光色素を独立に検出するように構成されていてもよいし、各蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に一致していてもよいし、例えば、光検出器は、マイクロ流体カートリッジ上の複数の互いに異なる位置に設けられた複数の蛍光色素を独立に検出するように構成されていてもよいし、各蛍光色素は、別のサンプル中の蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に一致していてもよい。
【0173】
熱源は、例えば、抵抗加熱器又は抵抗加熱器のネットワークのような熱源、可逆的熱源、例えば液体入り熱伝達回路又は熱電素子、放射式熱源、例えばキセノンランプ等であるのがよい。
【0174】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱源は、抵抗加熱器(又はそのネットワーク)、放射器(ラジエータ)、流体熱交換器、及びペルチェ素子から選択された接触熱源であるのがよい。接触熱源は、ベイ内に受入れられたマイクロ流体カートリッジの1つ又は2つ以上の別々の箇所に熱的に結合されるよう受入れベイのところに構成されるのがよく、それにより、別々の箇所が選択的に加熱される。少なくとも1つの追加の接触熱源を設けるのがよく、接触熱源は、各々、ベイ内に受入れられたマイクロ流体カートリッジ内の別の箇所に独立に熱的に結合されるようにベイのところに構成され、それにより、別々の箇所が独立に加熱される。接触熱源は、ベイ内に受入れられたマイクロ流体カートリッジの別の箇所と直接的な物理的接触状態にあるように構成されるのがよい。種々の実施形態では、各接触熱源は、二次元における平均直径が1ミリメートル(mm)〜約15mm(典型的には、約1mm〜約10mm)である明確な箇所又は表面積が約1mm
2〜約225mm
2(典型的には、約1mm
2〜約100mm
2又は幾つかの実施形態では、約5mm
2〜約50mm
2)の明確な箇所を加熱するように構成されるのがよい。
【0175】
種々の実施形態において、少なくとも1つの熱源は、受入れベイ内に受入れられたマイクロ流体カートリッジの明確な箇所に熱を差し向けるように構成された放射式熱源であるのがよい。
【0176】
種々の実施形態では、本装置は、力を及ぼして少なくとも1つの熱源をベイ内に受入れられたマイクロ流体カートリッジの少なくとも一部分に熱的に結合するように構成された1つ又は2つ以上の力部材を有する。1つ又は2つ以上の力部材は、マイクロ流体カートリッジのところ機械式部材を作動させるように構成されるのがよい。少なくとも1つの力部材は、手動で作動されるのがよい。少なくとも1つの力部材は、受入れベイのところの蓋に機械的に結合されるのがよく、それにより、蓋の操作により、力部材が作動される。
【0177】
種々の実施形態では、力が1つ又は2つ以上の力部材によって加えられると、その結果として、受入れベイの一部分とマイクロ流体カートリッジの一部分との間のインタフェースのところに約1psiの平均圧力を生じさせることができる。力を加えることは、マイクロ流体カートリッジ内のヒータウェーハとPCR反応器とマイクロバルブとの間の一貫した熱的接触を確保する上で重要である。
【0178】
種々の実施形態では、本装置は、受入れベイのところに蓋を更に有するのがよく、蓋は、ベイからの周囲光を少なくとも部分的に遮ることができる。蓋は、例えば、スライド蓋であるのがよい。蓋は、光検出器を有するのがよい。ベイの蓋の主要面は、平面性から見て、約100マイクロメートル以下、例えば約25マイクロメートル以下だけばらつきがあってもよい。蓋は、装置から取外し可能であるように構成されているのがよい。蓋は、増幅反応をカートリッジ内のサンプルに及ぼす前に、蓋がしっかりと閉鎖されるようにするラッチ部材を有するのがよい。
【0179】
図35は、本明細書において説明する装置の一部の概略断面図であり、自動化小出しヘッドに取付けられたピペット先端部10(例えば、使い捨てピペット)を介するカートリッジ200内へのサンプルの入力及び入口202を示す。図示していないが、カートリッジ200内に入力すべきサンプルと同数の入口202が設けられる。入口202は、好ましくは、ピペット又はPCR管の下端部を受入れ、それにより、無駄を最小限にすると共に空気の導入を最小量に抑えた状態でサンプルを分析のために受入れるように構成されている。カートリッジ200は、ヒータ基板400の上面の上に配置されると共にこのヒータ基板と接触状態にある。読取りヘッド300が、カートリッジ200の上方に位置決めされ、光学部品のためのカバー310が、読取りヘッドによって検出可能な周囲光の量を制限する。
【0180】
種々の実施形態では、本明細書において説明するシステムは、マイクロ流体カートリッジと診断装置の両方を有するのがよい。
【0181】
〔マイクロ流体カートリッジ〕
本技術の一側面は、第1の層、第2の層及び第3の層を有するマイクロ流体カートリッジに関し、これら層は、一緒になって、複数のマイクロ流体ネットワークを構成し、各ネットワークは、存在を判定すべき1つ又は2つ以上のポリヌクレオチドを含むサンプルに対してPCRを実施するように構成された種々の構成要素を有する。カートリッジは、互いに平行な1つ又は2つ以上のサンプルレーンを有し、各レーンは、同時処理のために、決められたサンプルと独立的に作用し、各レーンは、独立に構成されたマイクロ流体ネットワークを有する。かかる構成を有する例示のカートリッジを
図36に示す。かかるカートリッジは、製造が簡単であり、かかるカートリッジは、濃縮反応量(約4μl)でのPCRを可能にすると共に1サイクル当たり約20秒の迅速な熱サイクル作動を可能にする。
【0182】
同等な性能を有すると共に製造が容易なカートリッジ中に他の層が見受けられるが、本明細書において説明するカートリッジは、構造に関して3つの層だけを有する実施形態を含み、3つの層は、上面及びこれと反対側の下面を備え且つ複数のサンプルレーンを有するマイクロ流体ネットワークを構成する基体と、マイクロ流体ネットワークの構成要素を密封し且つマイクロ流体ネットワーク中の専用発熱体と構成要素との間の効果的な熱伝達層を構成するように下面に取付けられた積層(ラミネート)材と、上面に取付けられ且つマイクロ流体構成要素、例えばバルブへの装填を行う製造プロセス中に用いられる孔を覆ってこれを密封するラベルとを有する。かくして、本明細書において開示する実施形態は、3つの層からなる、即ち、基体、ラミネート、及びラベルからなるマイクロ流体カートリッジを含むが、層以外の他の追加の特徴は、かかる特徴づけと矛盾しないのがよい。本明細書において開示する実施形態は、本質的に3つの層からなる、即ち、基体、ラミネート、及びラベルからなるマイクロ流体カートリッジを更に含むが、層以外の他の追加の特徴は、かかる特徴づけとは矛盾しないのがよい。さらに、本明細書において開示する実施形態は、3つの層、即ち、基体、ラミネート、及びラベル等を有するマイクロ流体カートリッジを更に有する。
【0183】
マイクロ流体ネットワークは、ゲート、バルブ、例えば熱作動式バルブ、チャネル、通気部、及び反応チャンバから成る群から選択された互いに流体的に連通した1つ又は2つ以上の構成要素を有するのがよい。例示のマイクロ流体ネットワークの特定の構成要素は、本明細書の別の箇所で更に説明されている。カートリッジは、典型的には、求めるべきポリヌクレオチドの濃度を増大させることによりサンプルを処理する。
【0184】
サンプルレーンは、別のサンプルレーン中の要素とは独立に制御可能な1組の要素であり、かかる要素により、サンプルを本明細書において説明する方法に従って受入れて分析することができる。レーンは、マイクロ流体カートリッジと関連して本明細書において更に説明するサンプル入口及びマイクロ流体構成要素を少なくとも有する。幾つかの実施形態では、各マイクロ流体ネットワークは、カートリッジ内に小出しされた余分の液体を収容するオーバーフローリザーバを更に有する。
【0185】
種々の実施形態では、レーンは、サンプル入口ポート、第1の熱作動式バルブ、第2の熱作動式バルブ、PCR反応チャンバ、第1のバルブを介して入口ポートをPCR反応チャンバに連結するチャネル、及び第2のバルブを介してPCR反応チャンバを出口通気部に連結するチャネルを有するのがよい。サンプル入口バルブは、約100〜5000Paの周囲圧力と比較した差圧を有する所与の量のサンプルを受入れるように構成されているのがよい。注目すべきことは、装填圧力が低ければ低いほど、反応混合物のアリコートがマイクロ流体ネットワークを満たすのに要する充填時間がそれだけ一層長くなることである。より大きな圧力を及ぼすことにより、充填時間が短縮されるが、圧力を加える時間が正しく求められない場合、サンプルは、マイクロ流体カートリッジを通って噴出する場合がある(端部疎水性通気部が設けられていない場合)。従って、圧力を加える時間は、充填不足又は充填過剰を阻止するために例えば当業者に利用可能な方法により正しく求めるべきである。一般に、充填時間は、溶液の粘度に反比例する。例えば、
図37は、サンプルを独立に(同時に又は連続的に)処理することができる12個の独立したサンプルレーンを有するマイクロ流体カートリッジを示す。
【0186】
各レーン中のマイクロ流体ネットワークは、典型的には、PCRの実施準備ができたサンプル、例えば、本明細書において更に説明する装置の他の側面を用いて生の生物学的サンプルから抽出された核酸(DNA又はRNA)を含むサンプルに対してPCRを実施するように構成されている。かくして、PCR実施準備のできたサンプルは、典型的には、中和化ポリヌクレオチドサンプルからPCRアンプリコン(単位複製配列)を作る熱サイクル作動条件を受けるのに適したPCR試薬と、中和化ポリヌクレオチドサンプルとを含む混合物である。例えば、PCR実施準備のできたサンプルとしては、ポリメラーゼ酵素と、陽性対照プラスミドと、プラスミドの少なくとも一部分及び複数のヌクレオチドについて選択的である蛍光ハイブリッド形成と、ポリヌクレオチドシーケンス(配列順序)について選択的な少なくとも1つのプローブとを含むPCR試薬混合物が挙げられる。
【0187】
典型的には、マイクロ流体ネットワークは、サンプルの微小液滴が入口から第2のバルブに至るのに必要な時間が、サンプルが入口から出口通気部まで移動するのに必要な時間の50%未満であるように構成されている。典型的には、マイクロ流体ネットワークは、ネットワークの第1のバルブから出口通気部まで満たすのに必要な量と比較して、マイクロ流体ネットワークの全容積を増大させないで、2つのバルブの下流側に増大した流れ抵抗を有するように設計されている。
【0188】
図38Aは、本技術による例示のマイクロ流体カートリッジ200の一部分の斜視図である。カートリッジを、専用ピペット入口202を備えたマルチレーン型PCRカートリッジと称する場合がある。
図38Aには、カートリッジ200の種々の典型的な構成要素が示されている。例えば、サンプル入口202は、注射器、ピペット又はPCR実施準備のできたサンプルを収容したPCR管を受入れるように構成されている。2つ以上の入口202が示されており、1つの入口は、単一のレーンと関連して作動する。各レーン中のマイクロ流体回路の種々の構成要素も見ることができる。例えば、マイクロバルブ204,206及び通気部208は、所与のレーン中のマイクロ流体回路の部分である。また、超高速PCR反応器210が示されており、この超高速PCR反応器は、本明細書において更に説明するように、PCRがサンプル中で生じることができるのに十分に長いマイクロ流体チャネルである。PCR反応器210の上方には、窓212が設けられており、この窓は、検出器を窓212の上方に位置させると、PCR反応器210内の光検出、蛍光物質、例えば蛍光ハイブリッド形成プローブからの蛍光の検出を可能にする。
【0189】
マルチレーンカートリッジは、多数のサンプル、特定の実施形態では、12個のサンプルを受入れるように構成されており、サンプルは、少なくとも、第1のサンプル及び第2のサンプルを含み、第1のサンプル及び第2のサンプルは各々、1つ又は2つ以上のポリヌクレオチドを増幅に適した形態で含む。目的とするポリヌクレオチドは、カートリッジの互いに異なるレーンにおいて互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。マルチサンプル型カートリッジは、互いに隣接した少なくとも第1のマイクロ流体ネットワークと第2のマイクロ流体ネットワークを有し、第1のマイクロ流体ネットワーク及び第2のマイクロ流体ネットワークは各々、本明細書の他の箇所に説明されており、第1のマイクロ流体ネットワークは、第1のサンプルを受取り、第2のマイクロ流体ネットワークは、第2のサンプルを受取る。
【0190】
隣り合うレーンのサンプル入口は、ユーザがサンプルを任意の1つのカートリッジの中に導入するときに、1つのサンプル入口における別のサンプルからの汚染を阻止するよう互いに十分に間隔を置いて位置している。幾つかの実施形態では、サンプル入口は、サンプルが既に所与のレーン中に導入された後、この所与のレーン中へのサンプルの次の不用意な導入を阻止するように構成されている。
【0191】
幾つかの実施形態では、マルチサンプル型カートリッジは、当該技術分野において慣例的に用いられている96ウェル型プレートのサイズと実質的に同じサイズを有する。この場合、有利には、カートリッジは、当該技術分野において別のところで用いられるプレートハンドラと共に使用されるのがよい。しかしながら、更に好ましくは、マルチサンプル型カートリッジは、サンプル入口の図心(セントロイド)と図心の間隔が9mmであるように設計され、この間隔は、業界で認められている規格である。このことは、或る実施形態では、本明細書において更に説明するように、PCR管からサンプルを受入れるカートリッジの入口孔同士の間の中心間距離が9mmであることを意味している。入口孔は、適当な円錐角を備えた円錐台形に作られており、その結果、業界標準のピペット先端部(2μl、20μl、200μlの量等)が、入口の最も幅の広い部分から入ってぴったりと嵌まるようになっている。かくして、或る実施形態では、入口は、高さが少なくとも1mmであり、ピペット先端部の導入を可能にする幅の最も広い箇所の直径が1〜5mmである逆円錐台形構造を有する。本明細書において説明する装置は、本明細書において別段の説明がなければ、ピペット先端部について他の工業規格、後で生じる工業機械に合うようになっているのがよい。典型的には、入口を介してサンプルレーン中のマイクロ流体ネットワーク内に受入れられるサンプルの量は、1〜20μlであり、好ましくは、3〜5μlである。入口孔は、ピペット先端部を入口孔の円錐内にぴったりと嵌まり込み、そしてピペット先端部周りに良好なシールを形成するように設計されるのがよい。しかしながら、円錐は、シールが可逆的であるように設計されており、その理由は、シールを緊密にすると、ピペット先端部を小出し操作後に持上げたときに、カートリッジをそのトレイから又は受入れベイ内の箇所から引き離すことがあり、そのことが望ましくないからである。
【0192】
図37は、12個のレーンを備えた例示のマイクロ流体カートリッジの平面図である。入口ポートは、6mmの間隔を有し、従って、9mmの等間隔を置いた4つのヘッドを備える自動化サンプルローダと関連して用いられる場合、入口を4つの入口の3つのバッチ、例えば、12個の入口にカートリッジの一方の側から他方の側まで連続的に番号が付けられているとき、入口1、4、7、10を一緒にしたバッチ、次に入口2、5、8、11を一緒にしたバッチ、そして最後に入口3、6、9、12を一緒にしたバッチで充填される。
【0193】
図39Aは、例えば
図38A及び
図38Bに示すマルチレール型カートリッジの1つのレーンに見られる典型的なマイクロ流体回路の平面図である。
図39Bは、例えば
図36に示すマルチレーンカートリッジの1つのレーンに見られる別の典型的なマイクロ流体回路の別の平面図(左側の図)であり、回路がカートリッジ構造を通してどのように見えるか(右側の図)を示す。他の形態のマイクロ流体ネットワークは、本明細書において説明するカートリッジ及び装置の機能とは矛盾しない。操作順序において、サンプルを液体入口202から導入し、オプションとして、気泡除去通気部チャネル208(これにより、流入中にサンプル内に導入された偶発的な気泡が逃げ出ることができる)に流入させ、そしてチャネル216に沿って流れ続ける。典型的には、液体サンプルのロボット式ディスペンサを用いた場合、その量は、気泡の形成がそれほど問題ではないほど十分に正確に小出しされ、通気部チャネル208を設けることは不要である。
【0194】
カートリッジ200の作動全体を通じ、流体は、微小液滴として操作される(
図39A及び
図39Bには示していない)。バルブ204,206が、これらバルブが位置しているチャネルの各側に熱応答材料(これは、温度応答物質とも呼ばれる)の源を備えた二重バルブとして
図39Aに示す。しかしながら、バルブ204,206はいずれか一方又は両方が、それぞれのチャネルの一方の側にのみ熱応答材料の源を備えた単一のバルブであってもよい。バルブ204,206は、当初開いており、従って、サンプル含有流体の微小液滴を入口孔202からPCR反応器210内に圧送できるようになっている。処理の開始時、PCR反応器の頂部上に設けられている検出器は、PCR反応器内に液体が存在しているかどうかをチェックし、次に、バルブ204,206を閉鎖してPCR反応混合物を各側のチャネルから隔離する。
【0195】
PCR反応器210は、本明細書において更に説明するように、サンプル中のヌクレオチドの増幅を実施するよう一連のサイクルにより加熱されるマイクロ流体チャネルである。典型的には、PCR反応器は、3〜5μl、特に4μlの容積を有する。PCR反応器内のチャネルの内壁は、非常に滑らかに作られ、製造中、光沢仕上げ状態まで研磨されている(例えば、SPIA1、SPIA2、SPIA3、SPIb1又はSPIB2から選択された研磨法を用いて)。これは、PCR反応器の表面に捕捉される顕微鏡的空気を最小にすることを目的としており、かかる空気捕捉が生じると、熱サイクル作動ステップ中に気泡が発生する場合がある。PCR反応器の特に検出領域内に気泡が存在すると、PCR反応について誤った読みが生じる恐れがある。さらに、PCR反応器210は、チャネルの深さ方向の温度勾配を最小にするよう浅く作られている。PCR反応器210の上方のカートリッジ212の領域により、検出器が、反応の進展状況をモニタすることができ、しかも、所与の量の増幅されたヌクレオチドに結合するプローブからの蛍光を検出することができる。領域212は、PCR反応器が加熱サイクルに一層応動することができ(例えば、変性及びアニーリングステップに適した温度相互間で迅速に加熱したり冷却したりするため)、又、グレア、自己蛍光及び蛍光の過度の吸収を減少させるためにカートリッジの残部よりも薄い材料で作られている。バルブ204,206の両方は、液体の蒸発、気泡発生又はPCR反応器からの流体の移動を阻止するために熱サイクル作動に先立って閉鎖される。
【0196】
出口通気部219は、ユーザが過剰量の液体をマイクロ流体カートリッジ内に導入するのを阻止すると共に、サンプルがカートリッジの意図しない部分にこぼれることがないようにサンプルを収容する役割を果たす。ユーザは、気泡除去通気部からPCR反応器の中央まで又はバルブ204まで若しくはバルブ204を越えて充填する量とほぼ同じほど少ないサンプル量を入力することができる。マイクロバルブの使用により、液体又は蒸気の両方の損失が阻止され、それにより、部分的に充填された反応器であっても、これがPCR熱サイクル作動反応を首尾よく完了させることができる。カートリッジを機器のヒータに接触させるために圧力(例えば、約1psi)を加えることは、ヒータとカートリッジの熱受入れ可能部分との間の良好な熱的接触を達成するのを助けると共にPCRチャネルが液体で部分的に満たされ、取り込まれた空気が熱サイクル作動中に熱膨張する場合に生じる底部積層構造の膨張を阻止する。
【0197】
種々の実施形態では、マイクロ流体ネットワークは、オプションとして、出口通気部に加えて、少なくとも1つの疎水性通気部を有するのがよい。
【0198】
PCRをサンプルに対して実施し、目的とするポリヌクレオチドの存否を判定した後、増幅されたサンプルがカートリッジ上に位置したままであること、及び、カートリッジが再び用いられるか(1つ又は2つ以上のレーンが開放状態のままである場合)処分されるかのいずれかであることが好ましい。ユーザがもし万が一増幅後分析、例えばゲル電気泳動法を実行したいと思った場合、ユーザは、カートリッジのラミネートに孔をあけ、所与の量、典型的には約1.5マイクロリットルのPCR生成物を回収するのがよい。ユーザはまた、バルブ内でワックスを溶融させる温度状態に保たれた特別の幅の狭い加熱プレート上に個々のPCRレーンを配置し、次に、そのPCRレーンの入口孔から反応後のサンプルを吸引することができる。
【0199】
種々の実施形態では、マイクロ流体ネットワークは、オプションとして、廃棄物を収容するように構成された少なくとも1つのリザーバを有するのがよい。
【0200】
種々の実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、ラベル、例えばコンピュータにより読取り可能な又は走査可能なラベルを更に有するのがよい。例えば、ラベルは、バーコード、高周波タグ又は1つ若しくは2つ以上のコンピュータにより読取り可能な若しくは光学的に走査可能な文字であるのがよい。ラベルは、これを本明細書において更に説明するようにサンプル識別検査機構によって読取ることができるよう位置決めされるのがよい。
【0201】
種々の実施形態では、運搬及び貯蔵中、マイクロ流体カートリッジを密閉パウチによって更に包囲するのがよい。マイクロ流体カートリッジを不活性ガス入りのパウチ内に封入するのがよい。マイクロ流体カートリッジは、使い捨てであるのがよい。
【0202】
マイクロ流体カートリッジ200を所望に応じて製作することができる。典型的には、マイクロ流体カートリッジ層は、感圧接着剤付きのポリプロピレン又は他のプラスチックラベルの層(典型的には、厚さが約50〜150ミクロン)を含み、この層は、バルブのワックス装填孔をシールし、バルブ作動のために用いられる空気を捕捉し、オペレータのマーク付けのための箇所として役立つように構成される。この層は、別々の2片で設けられてもよい。但し、多くの実施形態において、単一片の層が妥当であることは当業者には理解されよう。
【0203】
マイクロ流体基体層は、典型的には、プラスチック、好ましくは、ゼオノール(zeonor;登録商標)プラスチック(環状オレフィンポリマー)で射出成形され、この層は、第1の側にPCRチャネル及びバルブチャネルを有すると共に、第2の側(ラベルに向いて配置されている)に通気部チャネル及び種々の入口孔を有し、かかる入口孔は、ワックス装填孔及び液体入口孔を含む。典型的には、PCR反応器、入口孔、及びPCR反応チャンバを隔離するバルブを含むマイクロ流体ネットワークの全ては、単一基体中に構成される。基体は、剛性を基体及びカートリッジに与え、空気又は液体を通さない材料で作られ、その結果、カートリッジの作動中における空気又は液体の出入りは、入口又は通気部を通ってのみ可能であるようになっている。
【0204】
カートリッジ200のレーン中のマイクロ流体ネットワークのチャネルは、典型的には、少なくとも1ミリメートル未満の断面寸法を有する。例えば、かかるネットワークのチャネルは、約1mm以下(例えば、約750ミクロン以下、約500ミクロン以下、約250ミクロン以下)の幅及び/又は深さを有するのがよい。
【0205】
カートリッジは、例えば熱的結合、圧力結合又はこれらの組合せを用いてマイクロ流体基体の底面に取付けられたヒートシール可能なラミネート222(典型的には、厚さが約100〜約125ミクロン)を更に有するのがよい。ラミネート222はまた、片側にのみ接着剤被膜を備えた材料で作られてもよく、この側は、マイクロ流体基体の下面に接触する側である。この層は、3M社により製造された接着剤の層420を有する単一の被覆テープで作られるのがよい。例示のテープとしては、製品番号9783、9795及び9795Bであり、3M社から入手できる両面テープの片面変形例が挙げられる。他の受入れ可能な層としては、マイクロカプセルを利用した接着剤に基づくテープが挙げられる。
【0206】
使用にあたり、カートリッジ200を典型的には、装置の構成要素(例えば、バルブ、ゲート及び処理領域210)を作動させるように構成された熱源のアレイに熱的に結合させる。幾つかの実施形態では、熱源は、使用中、装置を作動させる作動システムによって作動される。作動システムは、所望のプロトコルに従って熱源を作動させるように構成されたプロセッサ(例えば、コンピュータ)を有する。マイクロ流体装置を作動させるように構成されたプロセッサは、例えば、2001年3月28日に出願された米国特許出願第09/819,105号明細書に記載されており、この米国特許出願を本明細書に援用する。
【0207】
表1は、マイクロ流体カートリッジの種々の構成要素と関連した量、ポンプ圧力及び作動時間の概要を記載している。
【0209】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、カートリッジが相補診断装置により単一の向きで、例えば、装置の受入れベイ内に受入れられるようにする位置合わせ部材を更に有する。位置合わせ部材は、カートリッジ(
図38Aに示す)の縁部又はコーナー部からの単純な切欠きであってもよいし、装置内において一義的な配置向きを必要とする形状の一連の切り込み又は他の何らかの形態であってもよい。
【0210】
幾つかの実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、バルブに熱応答材料を充填する際に用いられる2つ又は3つ以上の位置決め要素又は指標を有する。位置決め要素は、基体上、典型的にはその上面上に設けられるのがよい。
【0211】
マイクロ流体カートリッジはまた、例えば容易な貯蔵又は運搬のために積み重ね可能であるのがよいし、本明細書において更に説明するように装填装置により受入れられるように構成されるのがよく、かかる装填装置は、複数個のカートリッジを互いに接触させないで互いに近接した状態に保持する。これらの特性のうちのいずれか一方又は両方を達成するため、基体は、2つの隆起部を有するのがよく、各隆起部は、それぞれ、カートリッジの2つの互いに反対側の縁部の各々に沿って位置し、これら隆起部は、基体の上側に設けられる。かくして、カートリッジが長方形のアスペクト(位置合わせ部材又は機械式キーを無視した場合)を有する場合、2つの隆起部をカートリッジの長い方の側部に沿って又は短い方の側部に沿って位置決めするのがよい。
【0212】
〔バルブ〕
バルブは、材料がチャネルに沿ってバルブの一方の側の位置(例えば、バルブの上流側の位置)からバルブの他方の側の位置(例えば、バルブの下流側の位置)まで移動することができる常開状態を有するマイクロ流体構成要素である。例示の二重バルブを
図40Aに示す。二重バルブは、2つのチャネルを有し、これらチャネルは、バルブが流れを調製するチャネルの両側に1つずつ設けられる。これに対し、単一バルブは、それが調製する流れのチャネルの一方の側にだけ1つのチャネルを有する。
【0213】
例えば熱を加えることによる作動時、バルブは、材料、例えばPCR実施準備のできたサンプルの微小液滴がチャネルに沿ってバルブの一方の側から他方の側に流れるのを阻止する閉鎖状態に移行する。例えば、バルブは、第1の温度では比較的動かず、第2の温度では移動可能である熱応答物質(TRS)の1つ又は2つ以上の凝集体を有する。TRSの凝集体は、本質的には、作動時に通路を閉塞するよう協働する小さな粒子の固体の塊又は凝集体であるのがよい。TRSの例としては、共融合金(例えば、はんだ)、ワックス(例えば、オレフィン)、ポリマー、プラスチック及びこれらの組合せが挙げられる。第1の温度及び第2の温度は、バルブが収納されているマイクロ流体カートリッジの材料、例えばポリマー層を損傷させるほどには高くない。一般的に言って、第2の温度は、約90℃以下であり、第1の温度は、第2の温度未満である(例えば、約70℃以下である)。
【0214】
バルブと関連した各凝集体に関し、チャンバは、この凝集体とガス連通状態にある。ガス(例えば、空気)はチャンバ内で加熱すると共にTRSの1つ又は2つ以上の凝集体を第2の温度まで加熱すると、チャンバ内のガス圧力は、それに対応する凝集体をチャネル中に動かし、それにより材料がチャネルに沿って流れるのを妨げる。ネットワークの他のバルブは、本明細書において説明したバルブと同一構造を有すると共に同じ仕方で作動する。
【0215】
バルブの密封を非常に頑丈に且つ確実にするために、バルブ接合部のところの流れチャネルは、狭く作られ(幅が150μm、深さ又は狭さが150μmである)、細くされたチャネルは、長さが少なくとも0.5又は1mmに作られ、従って、ワックスは、長くて狭いチャネルをシールし、それにより、チャネルの壁を通る漏れを減少させる。不良シールの場合、チャネルの壁周りにワックスを越えて流体の漏れが生じる。従って、流れチャネルは、できるだけ狭くなっていると共に長く作られ、例えば約1mmという長い長さに作られている。バルブは、空気をワックス充填ポート内で加熱することによって作動し、それにより、ワックスは、これがその元の位置に戻ることがないような仕方で前方に動く。このように、空気とワックスの両方が、バルブの作動中に加熱される。
【0216】
種々の実施形態では、マイクロ流体ネットワークは、カートリッジ上のバルブの投影面積(フットプリント)を減少させ、それにより、高密度のマイクロ流体基体を製造する際の部品1つ当たりのコストを減少させるために、
図32Bに(単一バルブとして)示す曲がりバルブを有するのがよい。
図40Bのバルブでは、TRSの装填孔は、バルブの中央に位置し、各端部の構造は、入口及び出口であり、説明目的のためにのみ示されている。単一のバルブが示されている。
【0217】
種々の実施形態では、ネットワークは、マイクロバルブの有効断面積を減少させ、それにより安価な高密度マイクロ流体装置の製造を可能にするために、単一バルブとして
図40Cに示す湾曲したバルブを有していてもよい。
【0218】
〔通気部〕
疎水性通気部(例えば、
図41の通気部)は、液体がチャネルから出るのを制限しながら(例えば、阻止しながら)ガスがチャネルから出ることができるようにする構造である。典型的には、疎水性通気部は、チャネルの壁を構成する多孔質疎水性材料(例えば、多孔性フィルタ、例えばオスモニクス(Osmonics)社製の多孔質疎水性メンブレン)の層を有する。本明細書において説明するように、疎水性通気部は、サンプルの微小液滴をマイクロ流体ネットワーク内の所望の箇所に位置決めするために使用されるのがよい。
【0219】
カートリッジの疎水性通気部は、好ましくは、これら通気部を通って逃げ出る空気の量を最大にする一方で、通気部表面の下のチャネルの容積を最小にするように構成されている。従って、通気部は、広い表面積の疎水性メンブレン及び通気部表面の下の浅い断面のマイクロチャネルを有するように構成されることが好ましい。
【0220】
気泡除去疎水性通気部は、典型的には、チャネルに沿う長さが少なくとも約2.5mm(例えば、少なくとも約5mm、少なくとも約7.5mm)である。疎水性通気部の長さは、疎水性通気部の長さは、疎水性通気部内のチャネル深さの少なくとも約5倍(例えば、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍)である。例えば、幾つかの実施形態では、疎水性通気部内のチャネル深さは、約300ミクロン以下(例えば、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約150ミクロン以下)である。気泡通気部は、オプションとして、本明細書において説明するマイクロ流体カートリッジのマイクロ流体ネットワーク内に設けられる。
【0221】
疎水性通気部内のチャネルの深さは、典型的には、疎水性通気部の上流側及び下流側に位置するチャネルの深さの約75%以下(例えば、約65%以下、約60%以下)である。例えば、幾つかの実施形態では、疎水性通気部内のチャネル深さは、約150ミクロンであり、疎水性通気部の上流側及び下流側に位置するチャネル深さは、約250ミクロンである。
【0222】
疎水性通気部内のチャネルの幅は、通気部から見て上流側及び通気部から見て下流側に位置するチャネルの幅の少なくとも約25%増し(例えば、少なくとも約50%増し)である。例えば、例示の実施形態では、疎水性通気部内のチャネルの幅は、約400ミクロンであり、通気部から見て上流側及び下流側に位置するチャネルの幅は、約250ミクロンである。
【0223】
〔高多重化実施形態〕
本明細書において説明する装置及びカートリッジの実施形態は、単一カートリッジ上に実装された高密度マイクロ流体回路を有し、それにより、単一カートリッジ上で多数のサンプルの並行処理又は連続処理を可能にするように構成されるのがよい。かかる多数のサンプルの好ましい数は、36、40、48、50、64、72、80、96及び100を含むが、理解すべきことは、更に別の数も、好都合であり且つ実用的であると考えられる限り、本明細書において説明する装置及びカートリッジとは矛盾しないことである。
【0224】
従って、単一カートリッジ上のかかる数のサンプルの処理を容易にすることができるレーン、サンプル入口、及びそれと関連するヒータネットワークの種々の形態が考えられ、それらも本発明の範囲に含まれる。同様に、かかる高多重化カートリッジと関連して用いられる変形形態の検出器も又、本発明の範囲に含まれる。
【0225】
例示の実施形態では、高多重化カートリッジは、48個のPCRチャネルを有すると共に
図43に示すように1つのチャネル当たり2列の熱サイクル作動プロトコルの状態でチャネル内の各バルブの独立制御を実施する。
図43の実施形態では、ヒータは、3つのアレイをなして配列されている。2つの別のガラス領域内のヒータは、熱を各レーン内のマイクロ流体ネットワーク内のバルブに加えるに過ぎない。ガラスの熱伝導率が低いので、個々のバルブを互いに別々に加熱することができる。これにより、サンプルを別々の時点でカートリッジ内に装填することができ、そして互いに独立にPCR反応チャンバに移すことができる。PCRヒータは、シリコン基体上に実装され、個々に容易には加熱されないが、それによりPCRサンプルのバッチ処理を可能にし、この場合、互いに異なるレーンからの多数のサンプルは、同じ組をなす加熱/冷却サイクルにより増幅される。PCRヒータを2列に配列することが好ましく(左側及び右側のヒータアレイは、互いに通電状態にはない)、それにより別個のサンプル制御程度を可能にする。
【0226】
図42は、48サンプル型カートリッジの入口形態を表した典型的なカートリッジを示す。入口形態は、9mm間隔で位置する小出しヘッドを備えた自動ピペット操作機械と適合性がある。例えば、4つのヘッドを備えたかかる機械は、
図42のカートリッジについて、4つの入口に一度に装填することを、12回の別のステップで行う。
【0227】
図44は、マルチサンプル型マイクロ流体カートリッジの隣り合うレーン中のバルブ及びレーンの例示の間隔の拡大図である。
【0228】
図45及び
図46は、それぞれ、
図44に示す例示のカートリッジのヒータアレイ及び入口の拡大図である。
【0229】
図47A〜
図47Cは、多数の入口、マイクロ流体レーン及びPCR反応ゾーンを備えた半径方向に構成されている高多重化カートリッジの一実施形態の種々の図である。
【0230】
図42〜
図47Cに示す種々の実施形態は、本明細書において説明する特定の実施例とは異なる構成の液体ディスペンサ、受入れベイ及び検出器と適合性がある。
【0231】
別の好ましい実施形態(図示せず)では、カートリッジ及び装置は、読取りヘッドがサンプル入口を覆っておらず、それにより別々のサンプルの装填を可能にし、その間、他のサンプルは、PCR熱サイクル作動を受けているようにするように構成されている。
【0232】
〔一領域の一様な加熱を保証するヒータ形態〕
本明細書において説明する装置の別の側面は、1つ又は2つ以上のマイクロ流体構成要素を含むが、これらには限定されないマイクロ流体ネットワークの一領域の加熱を一様に制御する方法及び装置に関する。例示の実施形態では、多数のヒータが、マイクロ流体カートリッジの一領域、例えばPCR反応ゾーンを同時且つ一様に加熱するように構成されるのがよい。
【0233】
好ましい実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロ流体構成要素を有するマイクロ流体ネットワークを備えたマイクロ流体カートリッジは、適当に構成された装置内の熱源と接触状態に置かれる。熱源は、特定の発熱体がカートリッジのマイクロ流体ネットワークの特定の構成要素を加熱するよう位置するような形態になっている。
【0234】
図48は、カートリッジが機器内に配置されたときの、ヒータに対するPCRチャネルの相対配置箇所を示すための例示のマイクロ流体カートリッジの断面図である。
図48に示す図をヒータウェーハ上に位置するカートリッジの断面斜視図ともいう。カートリッジ内のPCRチャネルの上方に位置する窓903が、斜視図で示されている。PCRチャネル901(例えば、深さ150μ×幅700μ)を、カートリッジの上層中に示す。カートリッジのラミネート層905(例えば、厚さ125μ)が、PCRチャネル901の真下に位置している。カートリッジに堆積されている別の熱的インタフェースラミネート層907(例えば、厚さ125μ)が、ラミネート層905の真下に位置している。ヒータは、熱的インタフェースラミネートの真下に位置する別の層913中に位置している。ヒータは、リソグラフィにより作られてエッチングされた金から成る金属層(典型的には、厚さ約3,000Å)である。TiWの400Åの層が、接着層としての役目を果たすように金層の上面及び下面に堆積されている。用いられる基体は、厚さ0.4mm、0.5mm又は0.7mm若しくは1mmのガラス、溶融シリカ、又は石英ウェーハである。2μm酸化シリコンの薄い電気絶縁性層が、金属層の上面に堆積された絶縁層としての役目を果たす。例えば2〜4μmのパリレン(Parylene)から成る追加の薄い電気絶縁層も又、酸化シリコンの表面の上に堆積されるのがよい。本明細書において更に説明する2つの長いヒータ909,911も、図示されている。
【0235】
図49A及び
図49Bを参照すると、典型的には容積が約1.6μlのPCR反応ゾーン1001は、長い側部及び短い側部を備えており、各側部は、それと関連した発熱体を備えている。従って、この装置は、好ましくは、
図38Aの例示の実施形態に示すように、PCR反応ゾーンの側部に沿って設けられると共にこれを加熱するように構成された4つのヒータ、即ち、長い上側ヒータ1005、長い下側ヒータ1003、短い左側ヒータ1007及び短い右側ヒータ1009を有している。長い上側ヒータ1005と長い下側ヒータ1003との間の僅かな隙間の結果として、温度勾配が無視できることであり(PCR反応ゾーンの長さに沿う任意の箇所においてPCRチャネルの幅を横切って1℃未満)、従って、PCR反応ゾーン全体にわたる温度が効果的に一様になる。PCR反応器の短い縁部に設けられているヒータは、2つの長いヒータによって反応器の中心から反応器の縁部まで作られる勾配に対抗する熱を提供する。当業者が理解すべきことは、PCR反応ゾーンの周りに位置する1つ又は2つ以上のヒータの更に別の形態は、本明細書において説明する方法及び装置と矛盾しないことである。例えば、反応ゾーンの「長い」側部は、2つ又は3つ以上のヒータによって加熱されるように構成されていてもよい。ヒータの特定の向き及び形態は、熱伝導率が貧弱な基体上でも一様な加熱ゾーンが作られるように用いられる。その理由は、ガラス、石英又は溶融シリカ基体の貧弱な熱伝導率は、種々のマイクロ流体構成要素、例えばバルブの独立作動及び種々のPCRレーンの独立作動を助けるために利用されるからである。
【0236】
好ましい実施形態では、各ヒータは、それと関連の温度センサを備えている。
図49Aの実施形態では、単一の温度センサ1011が、両方の長いヒータに用いられている。短い左側ヒータのための温度センサ1013及び短い右側ヒータのための温度センサ1015も、図示されている。反応器の中央の温度センサは、2つの長いヒータに供給される電力の大きさのフィードバック及び制御を可能にするために用いられ、短いヒータの各々は、短いヒータを制御するためにそのヒータに隣接して配置された専用温度センサを有している。本明細書において更に説明するように、温度センサは、好ましくは、例えばヒータが加熱を行うような電流を受取っていない時点でこれら温度センサの付近の温度に関する情報をプロセッサに送るように構成されている。これは、電流サイクルの適当な制御で達成できる。
【0237】
PCRヒータを制御するのに必要なセンサ又は発熱体の数を減少させるため、本発明者は、ヒータを用いて検出並びに加熱を行い、それにより、各ヒータに別々の専用センサを設ける必要性をなくすことができた。別の実施形態では、4つのヒータの各々は、適当なワット数を有し、4つのヒータを直列に又は並列に接続して電子的に制御可能な要素の数を4から丁度1つに減らし、それにより電子装置に加わる重荷を減少させるように設計されるのがよい。
【0238】
図49Bは、
図49AのPCR反応ゾーンと関連して用いられるヒータ及び温度センサの拡大図である。温度センサ1001,1013は、約200〜300オームの室温抵抗を有するように設計されている。この抵抗値は、堆積された金属層(例えば、400ÅTiW/3000Å Au/400ÅTiW)のサンドイッチ)の厚さを調節し、幅が約10〜25μm、長さが20〜40mmの曲がりくねった金属ラインをエッチングすることにより定められる。この層に金属を用いることにより、この層に0.5〜20℃/オーム、好ましくは1.5〜3℃/オームのオーダの抵抗温度係数が与えられる。高い温度で抵抗を測定することにより、これらセンサの配置箇所の正確な温度の測定が可能になる。
【0239】
単一のPCR反応ゾーンについて
図49Aに示す一様な加熱形態を多数の独立したPCR反応が生じるマルチレーン型PCRカートリッジに適用することができる。
【0240】
各ヒータは、本明細書において説明する装置と関連して用いられるプロセッサ及び/又は制御回路によって独立に制御できる。
図50は、各ヒータを次のように作動させたとき、即ち、(A)長い上面ヒータのみ、(B)長い下側ヒータのみ、(C)短い左側ヒータのみ、(D)短い右側ヒータのみ、(E)4つ全てのヒータをオンにしたときの
図49A図49Bに示すように構成されたヒータを有するマイクロ流体カートリッジを上方から見た熱的画像を示す。(F)は、
図50の他の画像パネルと同じ縮尺で反応ゾーン及びヒータを示す。また、温度バーが図示されている。
【0241】
〔PCRサイクル作動中における冷却速度を向上させるためのカートリッジ基体に対する切除部の使用〕
ヌクレオチドサンプルのPCR増幅中、多数回の熱サイクルが実施される。効率を向上させるため、熱を加える間ごとに行われる冷却は、好ましくは、できるだけ迅速に行われる。冷却速度の向上は、
図51A〜
図51Cに示すように、加熱基体に種々の改造を加えることによって達成できる。
【0242】
迅速な冷却を達成する一手法は、
図51Aに示すように、マイクロ流体カートリッジ基体を部分的に切除することである。
図51Aの上側の図は、
図51Aの下側の図の破線A−A′における例示のマイクロ流体カートリッジの断面図である。PCR反応ゾーン901及び典型的なヒータ1003が示されている。また、2つの切除部分が示されており、これら切除部分のうちの一方は、符号1201で示されており、これら切除部分は、PCR反応ゾーンの長い側部に沿って位置したヒータのそばに位置している。切除部分、例えば切除部分1201は、カートリッジの熱質量を減少させると共に空気が切除部分内を循環することができるようにする。これら側面の両方により、熱を、PCR反応ゾーンのすぐ近くから迅速に取除くことができる。切欠き又は切除部分の例えば形状、位置及び数に関する他の形態は、本技術とは矛盾しない。
【0243】
迅速な冷却を達成するもう1つの手法は、
図51Bに示すように、ヒータ基体を部分的に切除することである。
図51Bの下側の図は、
図51Bの上側の図の破線A−A′における例示のマイクロ流体カートリッジの断面図である。PCR反応ゾーン901及び典型的なヒータ1003が示されている。また、4つの切除部分が示されており、これら切除部分のうちの1つは、符号1205で示されており、これら切除部分は、PCR反応ゾーンの長い側部に沿って位置したヒータのそばに位置している。切除部分、例えば切除部分1205は、カートリッジの熱質量を減少させると共に空気が切除部分内を循環することができるようにする。これら側面の両方により、熱を、PCR反応ゾーンのすぐ近くから迅速に取除くことができる。4つの別々の切除部分が、
図51Bに示されており、その結果、種々のヒータへの制御回路が妨げられないようになっている。切欠き又は切除部分の例えば形状、位置及び数に関する他の形態は、本技術とは矛盾しない。これら切欠きは、次の方法、即ち、ウェットエッチング法を用いた選択的エッチング、ディープ反応性イオンエッチング、CO
2レーザ又はフェムト秒レーザを用いたエッチング(表面亀裂又は表面近くの応力の発生を阻止するため)、選択的機械孔あけ、選択的超音波孔あけ又は選択的研磨粒子ブラスチングから選択された方法により形成できる。ヒータの機械的一体性を維持する一方でできるだけ多くの材料を減少させる注意を払う必要がある。
【0244】
図51Cは、切欠きと熱サイクル作動の冷却段階中に冷却サイクルを増大させるための周囲空気冷却の使用の組合せを示す。相当な量の冷却が、ヒータの底面から周囲空気への対流による熱の損失によって起こる。この対流による熱の損失のための駆動力は、ガラス表面と周囲空気の温度差である。例えばペルチェ型冷却器の使用による周囲空気温度の減少により、冷却速度を増大させることができる。対流による熱の損失はまた、空気をゼロよりも高い速度に保つことによって増大できる。
【0245】
本明細書において説明するような形態で得られる熱サイクル作動性能の一例を
図52に示し、この場合のプロトコルは、92℃まで加熱し、1秒間放置し、次に62℃まで冷却し、そして10秒間放置するように設定されている。サイクル時間は、約29秒であり、62℃から加熱し、92℃で安定化させるのに8秒必要であり、92℃から冷却し、62℃で安定化させるのに10秒必要である。
【0246】
〔カートリッジの製造方法〕
図53は、本明細書において更に説明する例示のカートリッジの組立方法のフローチャート2800を示す。当業者が理解すべきことは、
図53に記載されている順序と異なる順序で種々のステップを実施することができると共に、更に、図示の方法に代わる方法によって任意所与のステップを実施できることである。また、理解すべきことは、別々のステップが2つ又は3つ以上の機能を実施するために示す場合、かかる機能は、同期して実施してもよいし、単一のステップに組合せてもよく、このことは、本明細書に記載したプロセス全体とは矛盾しないことである。
【0247】
ステップ2802において、ラミネート層をマイクロ流体ネットワークが組込まれるようあらかじめ製作されたマイクロ流体基体に堆積させ、基体の境界部をはみ出た縁部をラミネートからトリムする。
【0248】
ステップ2804において、ワックスを小出しし、それをマイクロ流体基体中のマイクロ流体ネットワークのマイクロバルブ中に装入する。これを実施する例示のプロセスを本明細書において更に説明する。
【0249】
ステップ2806において、カートリッジを検査して、ステップ2804によるワックスが正しく装入されたこと確認すると共に、ステップ2802によるラミネートがマイクロ流体基体に正しくくっついていることを確かめる。基体がこれら試験のうちのいずれか一方又は両方を満足していない場合、これを破棄する。基体が繰り返しこれら試験のいずれか一方又は両方に合格しない場合、ワックス小出し又はラミネート堆積ステップを該当する場合には再検討する。
【0250】
ステップ2808において、疎水性通気部メンブレンをワックスバルブ上で且つラミネートから見てマイクロ流体基体の反対側の面上で、マイクロ流体基体の上面に配置すると共にヒートシールする。基体の境界部を越えているメンブレンの縁部をトリムする。
【0251】
ステップ2810において、組立体を検査してマイクロ流体チャネルを熱により詰まらせないで疎水性通気部メンブレンがマイクロ流体基体に良好に結合されていることを確認する。チャネルのうちの任意のものが遮断されている場合、又は、メンブレンと基体との結合が不完全である場合、組立体を破棄し、破棄状態が繰り返される場合には、先のプロセスステップを再検討する。
【0252】
ステップ2812において、熱伝導性パッド層をカートリッジの下部ラミネートに堆積させる。
【0253】
ステップ2814において、2つのラベルストリップをマイクロ流体基体の上面に配置し、一方のラベルストリップがバルブを覆うようにし、もう一方のラベルストリップが通気部メンブレンを保護するようにする。単一のラベルストリップを工夫して用いれば、これら役割の両方を果たすことができるということは理解されよう。
【0254】
ステップ2816において、カートリッジに関する識別特性、例えば、バーコード番号、ロット番号及び失効記述を示す追加のラベルを印刷し又は配置する。好ましくは、これらラベルのうちの1つ又は2つ以上は、ユーザが識別のための注記をラベル上に手で付与することができるようにするスペース及び書込み可能な表面を有する。
【0255】
ステップ2818において、顧客への運搬及び送達を容易にするため、組立状態であり且つラベルが付けられた状態であるカートリッジは、群をなした、例えば25の群をなし、10の群をなし、20の群をなし又は50の群をなした積重ね状態で且つ詰込み状態のカートリッジである。好ましくは、包装は、不活性メディア及び/又は水分のないメディアを介して行われる。
【0256】
〔例示のワックス堆積方法〕
例えばステップ2804におけるマイクロ流体ネットワークのバルブ内へのワックスの堆積を
図54A及び
図54Bに示す例示の機器により実施するのがよい。ディスペンスジェット・シリーズ(DispenseJet Series)DJ−9000(
図54A及び
図54B)は、種々の接着剤の高速送り出し及び例外的容積測定制御を提供する非接触型ディスペンサであり、かかる流体としては、表面実装接着剤、アンダーフィル、封入剤、コンフォーマルコーティングで、UV接着剤及び銀エポキシが挙げられる。DJ−9000は、200μmという狭い気密の空間内に噴射し、基体、例えばダイの小出し側上に300マイクロメートルという小さなフィレット浸潤幅を生じさせる。DJ−9000は、流体を別々のドットとしてか迅速な連続したドットしてかの状態で小出ししてノズルから流体の100ミクロン(4ミル)直径の流れを生じさせる。かかるDJ−9000は、他の市販のシステム、例えばAsymtek Century C-718/C720、Millennium M-2000及びAxiom X-1000 Series Dispensing Systemsと完全に適合性がある。
【0257】
DJ−9000は、Asymtek社により正確且つ確実な性能を提供することを目的とした製造品質管理基準を受けた状態で製造されている。この装置の典型的な仕様は、次の通りである。
【0260】
〔DJ−9000の作動原理〕
DJ−9000は、常閉の空気作動式ばね戻り機構を有し、この機構は、運動量輸送原理を利用して正確な量の材料を放出する。圧縮空気は、ニードル組立体を受座から引っ込めるよう高速ソレノイドによって調節される。流体チャンバ内に送り込まれた流体は、受座の上を流れる。空気を排出すると、ニードルは、迅速に閉鎖位置に移動し、液滴の形態で受座及びノズルを通る流体を押しやる。連続して発射される多数の液滴を用いると、ディスペンサロボットの運動と組み合わされたときに、多くの小出し量及びラインを形成することができる。
【0261】
この機器は、次のように種々の調節可能な特徴を有している。即ち、以下の特徴は、DJ−9000の性能に影響を及ぼし、典型的には、特定のプロセス条件に合うように調節される。
【0262】
流体圧力は、流体が受座まで一杯になるよう設定すべきであるが、受座及びノズルを通って流体を押し進めるほど影響を及ぼすべきではない。一般に、高い流体圧力の結果として、多量の材料がジェット噴射される。
【0263】
ストローク調節は、ニードル組立体の移動距離を制御する。制御を反時計回りの方向に向けてニードル組立体の移動量を増大させ又は時計回りの方向に向けてその移動を減少させる。移動距離の増大の結果として、多量の材料がジェット噴射される場合が多い。
【0264】
電磁バルブは、バルブ作動を制御する。付勢されると、電磁バルブにより、ジェット空気チャンバ内の空気がばねを圧縮し、それによりニードル組立体を上昇させる。消勢されると、空気は解放され、ばねは、ピストンを押下げてニードル先端部が受座に接触するようになる。
【0265】
受座及びノズル幾何学的形状は、典型的には、小出しされる材料の量を制御する主要な要因である。受座及びノズルのサイズは、用途及び流体特性に基づいて定められる。他のパラメータは、受座及びノズルの選択に従って調節される。利用可能な受座及びノズルのサイズは、上述の表に一覧表示されている。
【0266】
熱的制御組立体:流体温度は、流体粘度及び流れ特性に影響を及ぼす場合が多い。DJ−9000は、一定の流体温度を保証する熱的制御組立体を備えている。
【0267】
ドット及びラインパラメータ:DJ−9000ハードウェア形態及び設定に加えて、ドット及びラインパラメータは、小出しされるドット及びラインのサイズ及び量を制御するようソフトウェアプログラム(FmNTと呼ばれている)で設定される。
【0268】
〔バルブ内へのワックス堆積〕
図55A及び
図55Bは、正しい寸法形状の加熱型マイクロチャネル装置の中に小出しされる制御された高温液滴の組合せをどのように用いると、ワックスをマイクロ流体カートリッジのマイクロチャネルの中に正確に装入してバルブを形成するかを示す。加熱型ディスペンサヘッドは、マイクロ流体装置内のマイクロチャネルの入口孔上に正確に位置決め可能であり、溶融ワックス小滴を20%という精度で75nlという少ない量で小出しすることができる。マイクロチャネル装置の入口孔は、例えば圧縮空気を用いて又はインクジェット印刷法に類似したやり方で75nlの液滴を入口孔の底部に正確に射出することができるように寸法決めされている。マイクロチャネル装置は、ワックスの融点よりも高い温度に維持され、それにより、ワックスは、これが小出しされた直後において溶融状態のままである。液滴が入口孔の底部に落下した後、溶融状態のワックスは、毛管作用により細いチャネル中に吸込まれる。細い部分の容積は、入口孔中に小出しされる典型的な最大量にほぼ等しいように設計される。
【0269】
〔ヒータ89(ソフトウェア制御下)〕
本明細書において説明する装置の別の側面は、
図56に示すように、システム及びその構成要素内の熱を制御する方法に関する。この方法は、本明細書において説明する装置のエネルギー効率の向上をもたらす。というのは、全てのヒータが同時に加熱を行っているわけではなく、所与のヒータが一部の時間しか電流を受取っていないからである。
【0270】
一般に、マイクロ流体構成要素、例えばPCR反応ゾーンの加熱は、適当に構成された微細加工ヒータ中に電流を流すことにより制御される。加熱は、様々なパルス幅変調(PWM)で電流を定期的にオンオフにすることにより更に制御可能であり、このパルス幅変調は、電流についてオンタイム/オフタイム比を意味している。電流は、微細加工ヒータを高電圧源(例えば、30V)に接続することにより供給でき、この高電圧源は、PWM信号によってゲート作動できる。幾つかの実施形態では、装置は、48PWM信号発生機を有する。PWM発生機の作動では、選択されたプログラム可能な周期(終了カウント)及びグラニュール数を備えた信号を発生させる。例えば、この信号は、4000μs(マイクロ秒)であるのがよく、グラニュール数は1μsであり、この場合、PWM発生機は、カウンタがゼロで始まり、これが4000μsに達するまで1μsの増分で進む状態を保つことができ、なお、カウンタは、4000μsに達すると、ゼロに戻る。かくして、熱の生成量を終了カウンタの調節によって調節することができる。高い終了カウントは、微細加工ヒータが電流を受取る長い時間に対応しており、従って、熱の高い生成量に対応している。
【0271】
種々の実施形態では、PWM発生機の作動はまた、上述の終了カウント又はグラニュール数に加えて、プログラム可能な開始カウントを更に含むのがよい。かかる実施形態では、多数のPWM発生機は、高い電圧電力の電流容量を超えないように選択的に重なり合わない状態でいることができる(例えば、種々のヒータのオンタイムを多重化することにより)信号を生じさせることができる。多数のヒータを様々な開始カウント及び終了カウントを持つ種々のPWM信号発生機によって制御することができる。ヒータを列に分割することができ、それにより、1つの列は、同一開始カウントのヒータ群を構成する。例えば、36PWM発生機を各々がPWMサイクルの或る部分(この場合、500ms)に対応した6つの互いに異なる列に群分け可能である。各PWM発生機に関する終了カウントは、6つ以下のヒータが任意所与の時点でオンであるように選択的にプログラム可能である。PWMサイクルの一部分は、加熱が行われないデッドタイム(この場合、カウント3000〜4000)として選択でき、敏感な温度検出回路は、この時間を用いて温度を検出することができる。以下の表は、上述の例に関するPWMサイクルを表している。
【0273】
〔PCRチャンバ内における流体を測定/検出するための検出システムの使用〕
本装置は、オプションとして、マイクロ流体カートリッジのPCRチャンバ210からの蛍光を集めることができる非常に感度の高い蛍光検出器を有する。この検出器は、チャンバ内の液体の存在を検出し、PCRサイクルを実施すべきかどうかを判定する測定を行うために用いられる。チャンバを液体で満たす前に、バックグラウンドの読みを取る。結果としてPCRチャンバへの液体の充填が行われるべきマイクロ流体操作を実施した後に別の読みを取る。液体が存在していると、チャンバから蛍光の読みが変わる。プログラム可能なしきい値が、プロセッサにプログラムされたアルゴリズムを調製するために用いられる(例えば、第2の読みは、第1の読みを20%だけ超えなければならない)。2つの読みがプログラムされたマージンを超えて互いに異なっていない場合、液体は、チャンバに流入していないと見なされ、PCRサイクルは、そのチャンバについては開始されない。その代わり、警告がユーザに出される。
【0274】
〔コンピュータプログラム製品〕
種々の実施形態において、本明細書において説明する装置に用いられるコンピュータプログラム製品としては、これに格納されていて、装置を作動させるコンピュータにより読取り可能な命令が挙げられる。
【0275】
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、システムが、ベイ内におけるマイクロ流体カートリッジの配置の指標を出力し、サンプルラベル又はマイクロ流体カートリッジラベルを読取り、ユーザがサンプル識別子を入力するための命令を出力し、ユーザがサンプル移送部材をPCR実施準備のできたサンプルと共に装填するための命令を出力し、ユーザがPCR実施準備のできたサンプルをマイクロ流体カートリッジ中に導入するための命令を出力し、ユーザがマイクロ流体カートリッジを受入れベイ内に配置するための命令を出力し、ユーザが蓋を閉めて力部材を作動させるための命令を出力し、ユーザがPCR実施準備のできたサンプルを約0.5mL〜約5mLの量の空気で射出することによりマイクロ流体カートリッジ内のPCR実施準備のできたサンプルを加圧するための命令を出力し、カートリッジの1つ又は2つ以上のレーンからのサンプルの進捗状況に関する状態情報を出力するようにする1つ又は2つ以上の命令を含むのがよい。
【0276】
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、システムが、中和化ポリヌクレオチドからPCRアンプリコンを作るのに適した熱サイクル作動条件下においてPCR実施準備のできたサンプルを加熱し、中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコンをポリヌクレオチドシーケンスについて選択的な少なくとも1つのプローブに接触させ、中和化ポリヌクレオチドサンプル及び陰性対照ポリヌクレオチドの各々を、中和化ポリヌクレオチドサンプルのPCRアンプリコン及び陰性対照ポリヌクレオチドのPCRアンプリコンを独立に作るのに適した熱サイクル作動条件下においてPCR試薬混合物に独立に接触させ、中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコン及び陰性対照ポリヌクレオチド又はそのPCRアンプリコンを、ポリヌクレオチドシーケンスについて選択的である少なくとも1つのプローブに接触させ、生物学的サンプル中のプリヌクレオチドシーケンス、プローブが中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコン中に検出させた場合、プローブに相当するポリヌクレオチドシーケンスの存在の判定を出力すると共に/或いはプローブが陰性対照ポリヌクレオチド又はそのPCRアンプリコン中に検出された場合に、汚染結果の判定を出力するようにする1つ又は2つ以上の命令を含むのがよい。
【0277】
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、システムが本方法のステップのうちの1つ又は2つ以上自動的に実施するようにする1つ又は2つ以上の命令を含むのがよい。
【0278】
種々の実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、2つ又は3つ以上のサンプルレーンを有し、各レーンは、サンプル入口バルブ、気泡除去通気部、熱的作動式ポンプ、熱的作動式バルブ、及びPCR反応ゾーンを有し、コンピュータにより読取り可能な命令は、互いに独立に且つ検出器がPCR反応ゾーンから蛍光を測定するようにするために、システム中の各レーンの1つ又は2つ以上の構成要素を独立に作動させるように構成されている。
【0279】
〔サンプル〕
種々の実施形態では、サンプルは、ポリメラーゼ酵素及び複数のヌクレオチドを含むPCR反応混合物を含むのがよい。PCR反応混合物は、1つ又は2つ以上の凍結乾燥ペレットの形態をしているのがよく、PCR実施準備のできたサンプルを調製するステップは、PCRペレットを液体に接触させてPCR試薬混合物溶液を生じさせるステップを含むのがよい。さらに別の実施形態では、PCRレーンの各々は、ユーザが調製されたポリヌクレオチドサンプルをPCR中に入力するだけで済むようにあらかじめ装填された乾燥又は凍結乾燥状態のASR試薬を有するのがよい。別の実施形態では、PCRレーンは、特定用途向けプローブ及びあらかじめ測定されてあらかじめ装填されたプライマしか備えなくてもよく、ユーザは、PCR試薬と混合されたサンプルを入力する。
【0280】
種々の実施形態では、マイクロ流体ネットワークは、中和化ポリヌクレオチドサンプルからPCRアンプリコンを作るのに適した熱サイクル作動条件下において、熱を外部熱源からPCR試薬と中和化ポリヌクレオチドサンプルを含むサンプル混合物に結合するように構成されているのがよい。
【0281】
種々の実施形態では、PCR実施準備のできたサンプルは、陽性対照プラスミド及びこのプラスミドの少なくとも一部分について選択的な蛍光凍結乾燥プローブを更に含むのがよい。種々の実施形態では、PCR実施準備のできたサンプルは、サンプル緩衝溶液及びポリヌクレオチドシーケンス、例えば、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母菌、真菌、原生動物及びウイルスから成る群から選択された病原菌の特徴を示すポリヌクレオチドシーケンスについて選択的である少なくとも1つのプローブを更に含む。
【0282】
種々の実施形態では、マイクロ流体カートリッジは、陰性対照ポリヌクレオチドを含有するのがよく、マイクロ流体ネットワークは、中和化ポリヌクレオチドサンプルのPCRアンプリコン及び陰性対照ポリヌクレオチドのPCRアンプリコンを独立に生じさせるのに適した熱サイクル作動条件下において、中和化ポリヌクレオチドサンプル及び陰性対照ポリヌクレオチドの各々に対してPCR試薬混合物でPCRを独立に実施するように構成されているのがよい。本明細書で説明しているようなマルチレーンカートリッジの各レーンは、レーン1つ当たりに2つの蛍光検出システムが設けられているので、2種類の反応を実施することができる。種々の組合せの反応をカートリッジ内で実施することができ、例えば、2つのサンプル反応を1つのレーンで実施し、陽性対照及び陰性対照を2つの他のレーンで実施し、或いは、サンプル反応及び内部対照を1つのレーンで実施し、陰性対照を別のレーンで実施することができる。
【0283】
種々の実施形態では、サンプルは、ポリヌクレオチドシーケンスについて選択的であるのがよい少なくとも1つのプローブを含むのがよく、PCR実施準備のできたサンプルを調製するステップでは、中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコンをプローブに接触させる。プローブは、蛍光ハイブリッド形成プローブであるのがよい。蛍光ハイブリッド形成プローブは、蛍光レポータ色素及び蛍光クエンチャ(quencher)色素に結合されたポリヌクレオチドシーケンスを含むのがよい。PCR試薬混合物は、陽性対照プラスミド及びプラスミドの少なくとも一部分について選択的であるプラスミド蛍光ハイブリッド形成プローブを更に含むのがよく、マイクロ流体カートリッジは、蛍光ハイブリッド形成プローブ及びプラスミド蛍光ハイブリッド形成プローブの独立の光学検出を可能にするように構成されているのがよい。
【0284】
種々の実施形態では、プローブは、有機体、例えばデオキシリボ核酸又はリボ核酸ポリヌクレオチドを用いる任意の有機体の特徴を示すポリヌクレオチドシーケンスについて選択的であるのがよい。かくして、プローブは、任意の有機体について選択的であるのがよい。適当な有機体としては、哺乳類(ヒトを含む)、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、家畜類、野生動物、消滅有機体、細菌、真菌、ウイルス、植物等が挙げられる。プローブはまた、それ自体のポリヌクレオチド、例えば、ミトコンドリアを用いる有機体の構成要素にとっても選択的であるのがよい。幾つかの実施形態では、プローブは、微生物、例えば、食品製造に用いられる有機体(例えば、発酵食品に用いられる酵母菌、チーズに用いられるカビ又は細菌等)又は病原菌(例えば、ヒト、家畜哺乳類、野生哺乳類、家畜鳥又は野生鳥等の病原菌)にとって選択的である。幾つかの実施形態では、プローブは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母菌、真菌、原生動物及びウイルスから成る群から選択された有機体にとって選択的である。
【0285】
種々の実施形態では、プローブは、ブドウ球菌属、例えば、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌;レンサ球菌属(例えば、Q‐溶血性、D−溶血性、O−溶血性、A群、B群、C群、D群又はG群)、例えば、化膿レンサ球菌、群溶レン菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・デュランス及びエンテロコッカス・フェシウム(以前は、ストレプトコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・デュランス、ストレプトコッカス・フェシウム);ノンエンテロコッカルD群レンサ球菌、例えば、ストレプトコッカス・ボリス及びストレプトコッカス・イクアインス;緑色レンサ球菌、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・サングイス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・マイティオア、ストレプトコッカス・ミレリ、ストレプトコッカス・コンステラタス、ストレプトコッカス・インターメディウス、及びストレプトコッカス・アンギノーサス;ストレプトコッカス・イニアエ;肺炎レンサ球菌;ナイセリア属、例えば、髄膜炎菌、淋菌、腐生性ナイセリア菌属;エリジペロトリックス属、例えば、ブタ丹毒菌;リステリア菌属、例えば、リステリア・モノサイトゲネス、まれに、リステリア・イバノビイ及びリステリア・シーリジェリー;バシラス属、例えば、炭疽菌、バシラス・セレウス、枯草菌、バチルス・サブティリス・ニジェール、バチルス・チューリンギエンシス;ノカルジア・アステロイデス;レジオネラ属、例えば、レジオネラ・ニューモフィラ、ニューモシスチス、例えば、ニューモシスチス・カリニイ;腸内細菌科、例えば、サルモネラ属、赤痢菌属、大腸菌属(例えば、大腸菌、大腸菌O157:H7);クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ属、プロビデンシア属、エルシニア属等、例えば、サルモネラ属、例えば、チフス菌、パラチフス菌A、パラチフス菌B(サルモネラ・ショトゥムエレリ)、及びパラチフス菌C(サルモネラ・ハイルシュフェルディ)、サルモネラ・ダブリン、豚コレラ菌、腸炎菌、ネズミチフス菌、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・ニューポート、サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・モンテビデオ、及びサルモネラ・セントポール;赤痢菌属、例えば、A、B、C及びD亜群、例えば、フレクスナー赤痢菌、ソンネ赤痢菌、ボイド赤痢菌、志賀赤痢菌;プロテウス属(プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、及びプロテウス・ミクソファシエンス)、モルガネラ属(モルガネラ・モルガニイ);プロビデンシア属(プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・アルカリファシエンス、及びプロビデンシア・スチュアーティイ);エルシニア属、例えば、ペスト菌、腸炎エルシニア;ヘモフィルス属、例えば、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、ヘモフィルス・アフロフィルス、軟性下疳菌;ブルセラ属、例えば、ウシ流産菌、マルタ熱菌、ブタ流産菌、イヌ流産菌;フランシセラ属、例えば、野兎病菌;シュードモナス属、例えば、緑膿菌、シュードモナス・パウシモビリス、シュードモナス・プチダ、蛍光菌、シュードモナス・アシドボランス、類鼻疽菌、鼻疽菌、バークホルデリア・セパシア及びステノトロフォモナス・マルトフィリア;カンピロバクター属、例えば、カンピロバクター・フィタス・フィタス、カンピロバクター・ジェジュニ、カンピロバクターピロリ(ヘリコバクターピロリ);ビブリオ属、例えば、コレラ菌、腸炎ビブリオ、ビブリオ・ミミカス、ビブリオ・アルギノリティカス、ビブリオホリサー、ビブリオ・バルニフィカス、及び非凝集性ビブリオ(the nonagglutinable vibrios);クロストリジウム、例えば、ウェルシュ菌、破傷風菌、クロストリジウム・ディフィシレ、ボツリヌス菌;放線菌属、例えば、イスラエル放線菌;バクテロイデス属、例えば、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、バクテロイデス・ディスタソニス、バクテロイデス・ブルガータス、バクテロイデス・オバツス、バクテロイデス・カカエ、及びバクテロイデス・メルダエ;プレボテラ属、例えば、プレボテラ・メラニノジェニカ;フソバクテリウム属;トレポネーマ属、例えば、梅毒トレポネーマ亜種エンデミクム、梅毒トレポネーマ亜種ペルテヌエ、トレポネーマ・カラテウム、及び梅毒トレポネーマ亜種パリーダム;ボレリア属、例えば、ボレリア・ブルグドルフェリ;レプトスピラ属;ストレプトバシラス属、例えば、ストレプトバシラス・モニリフォルミス;スピリルム属、例えば、鼡咬症スピリルム;マイコバクテリウム属、例えば、ヒト型結核菌、ウシ型結核菌、アフリカ型結核菌、トリ型結核菌、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ、マイコバクテリウム・カンサシイ、マイコバクテリウム・ゼノピ、マイコバクテリウム・マリヌム、マイコバクテリウム・ウルセランス, マイコバクテリウム・フォルトゥイタム複合(体)(the M. fortuitum complex)(マイコバクテリウム・フォルトゥイタム及びマイコバクテリウム・ケロネイ)、癩菌、マイコバクテリウム・アジアティカム、マイコバクテリウム・ケロネイ亜種アブセサス、マイコバクテリウム・ファラックス、マイコバクテリウム・フォルトゥイタム、マイコバクテリウム・マルモエンス、マイコバクテリウム・シモイデイ、マイコバクテリウム・シミアエ、マイコバクテリウム・スルガイ、マイコバクテリウム・ゼノピ;マイコプラズマ属、例えば、マイコプラズマ・ホミニス、マイコプラズマ・オラーレ、マイコプラズマ・サリバリウム、マイコプラズマ・フェルメンタンス、肺炎マイコプラズマ、マイコプラズマ・ボービス、マイコプラズマ・ツベルクローシス、マイコプラズマ・アビウム、マイコプラズマ・レプラエ;マイコプラスマ属、例えば、性器マイコプラスマ;ウレアプラスマ属、例えば、ウレアプラズマ・ウレアリチカム;トリコモナス属、例えば、膣トリコモナス;クリプトコッカス属、例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス;ヒストプラズマ属、例えば、ヒストプラズマ・カプスラーツム;カンジダ属、例えば、カンジダアルビカンス;アスペルギルス菌属;コクシジオイデス属、例えば、コクシジオイデス・イミチス;ブラストミセス属、例えば、ブラストミセス・デルマティティディス;パラコクシジオイデス、例えば、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス;ペニシリウム属、例えば、肺感染症;スポロトリックス属、例えば、スポロトリックス・シェンキイ;リゾープス属、リゾムーコル属、アブシジア属、及びバシディオボールス属;ビポラーリス属、クラドフィアロフォラ、クラドスポリウム属、ドレクスレラ属、エキソフィアラ属、フォンセカエア属、フィアロフォラ属、キシロハイファ、オクロコニス、リノクラディア、スコレコバシディウム、及びワンギエラ;トリコスポロン属、例えば、バイゲル毛芽胞菌;ブラストシゾミセス属、例えば、ブラストシゾミセス・カピタトゥス;プラスモジウム属、例えば、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、及び四日熱マラリア原虫;バベシア属;トリパノソーマ属の原虫類、例えば、クルーズ・トリパノソーマ;リーシュマニア、例えば、ドノヴァン・リーシュマニア、メジャー・リーシュマニア、熱帯リーシュマニア、メキシコ・リーシュマニア、ブラジル・リーシュマニア、ビアンニア・ブラジル・リーシュマニア;トキソプラズマ属、例えば、トキソプラズマ;ネグレリア属又はアカントアメーバ属のアメーバ;赤痢アメーバ;ランブル鞭毛虫;クリプトスポリジウム属、例えば、クリプトスポリジウム・パルブム;戦争イソスポーラ;サイクロスポーラ・カエタネンシス;回虫;鞭虫;ズビニ鉤虫又はアメリカ鉤虫;糞線虫;トキソカラ属、例えば、イヌ回虫、ネコ回虫;バイリスアスカリス属、例えば、アライグマ回虫;旋毛虫属、例えば、旋毛虫;蛇状線虫属、例えば、メジナ虫;フィラリア上科;バンクロフト糸状虫;ブルギア属、例えば、マレー糸状虫、又はチモール糸状虫;回旋糸状虫;ロア糸状虫;イヌ糸状虫;住血吸虫属、例えば、日本住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫(インテルカラトゥム)、ビルハルツ住血吸虫(ハエマトビウム);肺吸虫属、例えば、ウエステルマン肺吸虫、パラゴニムス・スクリアビニ;肝吸虫;肝蛭;オピストルキス属;肥大吸虫;広節裂頭条虫;テニア属、例えば、無鉤条虫、有鉤条虫;エキノコックス属、例えば、単包条虫、多包条虫;ピコルナウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、コクサキエウイルス、インフルエンザウイルス;パラミクソウイルス、例えば、1型、2型、3型及び4型;アデノウイルス(adnoviruses);ヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)及び単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2);水痘‐帯状疱疹ウイルス;ヒトTリンパ増殖性ウイルス(I型及びII型);アルボウイルス及びアレナウイルス属;トガウイルス科、フラビウイルス科、ブニヤウイルス科、レオウイルス科;フラビウイルス属、ハンタウイルス属;ウイルス性脳炎(アルファウイルス属[例えば、ベネズエラウマ脳炎、東部ウマ脳炎、西部ウマ脳炎]);ウイルス性出血熱(フィロウイルス[例えば、エボラ、マールブルグ]及びアレナウイルス属[例えば、ラッサ、マチュポ]);天然痘(痘瘡);レトロウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型及び2型;ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)6型、11型、16型、18型、31型、33型及び35型から成る群から選択された有機体の特徴を示すポリヌクレオチドシーケンスについて選択的であるのがよい。
【0286】
種々の実施形態では、プローブは、緑膿菌、プロテウス・ミラビリス、クレブシエラ・オキシトカ、肺炎桿菌、大腸菌、アシネトバクター・バウマンニイ、セラチア・マルセッセンス、エンテロバクター・アエロゲネス、エンテロコッカス・フェシウム、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑色レンサ球菌、リステリア・モノサイトゲネス、エンテロコッカス属菌、レンサ球菌B群、レンサ球菌C群、レンサ球菌G群、レンサ球菌F群、エンテロコッカス・フェカリス、肺炎レンサ球菌、表皮ブドウ球菌、ガルデネレラ・バギナリス、ミクロコッカス菌属(Micrococcus sps.)、インフルエンザ菌、淋菌、モラクセラ・カタラリス、サルモネラ菌属(Salmonella sps)、トラコーマクラミジア、ペプトストレプトコッカス・プロダクツ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、発酵乳酸杆菌、ユーバクテリウム・レントゥム、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・アルビカンス、クラミジア菌属、カンピロバクター菌属、サルモネラ菌属、天然痘(大痘瘡)、エルシナ・ペスティス、単純ヘルペスウイルスI型(HSV I)、及び単純ヘルペスウイルスII型(HSV II)から成る群から選択された有機体の特徴を示すポリヌクレオチドシーケンスについて選択的であるのがよい。
【0287】
種々の実施形態では、プローブは、B群レンサ球菌(GBS)の特徴を示すポリヌクレオチドシーケンスについて選択的であるのがよい。
【0288】
PCRをPCR実施準備のできたサンプルに対して実施するステップは、中和化ポリヌクレオチドからPCRアンプリコンを作るのに適した熱サイクル作動条件下においてPCR混合物及び中和化ポリヌクレオチドを加熱するステップ、中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコンをポリヌクレオチドシーケンスについて選択的な少なくとも1つのプローブに接触させるステップ、中和化ポリヌクレオチドサンプル及び陰性対照ポリヌクレオチドの各々を、中和化ポリヌクレオチドサンプルのPCRアンプリコン及び陰性対照ポリヌクレオチドのPCRアンプリコンを独立に作るのに適した熱サイクル作動条件下においてPCR試薬混合物に独立に接触させるステップ及び/又は中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコン及び陰性対照ポリヌクレオチド又はそのPCRアンプリコンを、ポリヌクレオチドシーケンスについて選択的である少なくとも1つのプローブに接触させるステップを含むのがよい。
【0289】
種々の実施形態では、PCRサンプルに対して実施する方法は、次のステップ、即ち、生物学的サンプルをマイクロ流体カートリッジ内で加熱するステップ及び生物学的サンプルを周囲気圧と比較して約20キロパスカル〜200キロパスカル又は幾つかの実施形態では約70キロパスカル〜110キロパスカルの圧力差においてマイクロ流体カートリッジ内で加圧するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むのがよい。
【0290】
種々の実施形態では、本明細書において説明する装置を用いる方法は、次のステップ、即ち、生物学的サンプル中のポリヌクレオチドシーケンスの存在を判定するステップ(ポリヌクレオチドシーケンスは、プローブが中和化ポリヌクレオチドサンプル又はそのPCRアンプリコン中で検出された場合、プローブに対応している)、プローブが陰性対照ポリヌクレオチド又はそのPCRアンプリコン中に検出された場合、汚染結果を判定するステップのうちの1つ又は2つ以上を更に含むのがよく、且つ/或いは、幾つかの実施形態では、PCR試薬混合物が、陽性対照プラスミド及びプラスミドの少なくとも一部分について選択的なプラスミドプローブを更に含む場合、この方法は、プラスミドプローブが検出された場合、PCR反応が生じたと判定するステップを更に含む。
【0291】
〔レンズ及びフィルタを含む蛍光検出システム及びマルチレーンカートリッジのための多並行検出〕
例えばPCRのような核酸増幅方法の基礎である生化学反応からの蛍光をモニタする小形で高感度の蛍光検出システムが組込まれるのがよい。
【0292】
従って、本装置の別の側面は、生化学反応からの蛍光をモニタするシステムを含む。このシステムは、例えば、蛍光色素の吸光帯に属する光を選択的に放出する光源(例えば、LED)を備えた光検出器、光を合焦させるレンズ及び蛍光色素の発光帯に属する光を選択的に検出する光検出器(例えば、フォトダイオード)を含むのがよく、蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に対応している。変形例として、光検出器は、蛍光色素(蛍光プローブ)の吸光帯に属する光を選択的に放出する帯域濾波ダイオード及び蛍光色素の発光体に属する光を選択的に検出する帯域濾波フォトダイオードを含むのがよく、又は、例えば、光検出器は、互いに異なる蛍光発光スペクトルを有する複数の蛍光色素を独立に検出するように構成されるのがよく、各蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に対応し、或いは、例えば、光検出器は、マイクロ流体カートリッジ上の複数の互いに異なる位置に設けられた複数の蛍光色素を独立に検出するように構成されるのがよく、各蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に対応している。
【0293】
幾つかの実施形態では、本明細書において説明する装置に用いられる所与の検出器は、ナノリットル規模のPCR反応からの蛍光信号を検出することができる。有利には、検出器は、可動部品の無い安価な構成要素から形成される。検出器はまた、本明細書において更に説明するマイクロ流体カートリッジと結合するように構成され、この検出器はまた、好ましくは、カートリッジを適所に保つ圧力印加システム、例えばスライディング式蓋の一部である。検出器は、2色又は3色の検出可能手段を更に有し、この検出器は、検出器からの情報をサンプリングするように構成されたソフトウェア、好ましくは特注ソフトウェアにより制御される。
【0294】
図57〜
図59は、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード及びフィルタ/レンズを含んでいて、マイクロ流体カートリッジから出た1つ又は2つ以上の蛍光信号をリアルタイムでモニタする高感度蛍光検出システムの一実施形態を示す。
図57〜
図59の実施形態は、単一レーン型マイクロ流体カートリッジに合致するモジュール設計を備えた2色検出システムを有する。検出器は、2つのLED(青色LED及び赤色LED)及び2つのフォトダイオードを有する。2つのLEDは、合焦光のビームをカートリッジの特定の領域に送るように構成されている。2つのフォトダイオードは、カートリッジの領域から放出された光を受取るように構成されている。一方のフォトダイオードは、放出された赤色光を検出するように構成され、他方のフォトダイオードは、放出された青色光を検出するように構成されている。
【0295】
図60及び
図61は、マルチレーン型マイクロ流体カートリッジと結合するように構成された多重化2色検出システム、例えば
図57〜
図59に示す検出システムの多色型を有する例示の読取りヘッドを示す。
図60は、多重化読取りヘッドの外部を示す図である。
図61は、種々の検出器が例示の多重化読取りヘッド内に電子回路板と連絡関係をなしてどのように構成されているかを示す分解図である。
【0296】
図60及び
図61のモジュールは、12レーン型カートリッジの各レーンからの蛍光を検出するように構成されており、従って、12対の同一検出要素として構成された24個の独立制御可能な検出器を有する。要素の各対は、この場合、所定の組をなす蛍光プローブの2色検出が可能である。当業者が理解すべきことは、検出器の対の他の数は、本明細書において説明する装置と矛盾しない。例えば、4、6、8、10、16、20、24、25、30、32、36、40及び48の対も又、かかる装置と矛盾せず、当業者によって理解される方法及び基準に従って構成できる。
【0297】
〔例示の光学素子組立体〕
例示の実施形態では、光学シャーシ/圧力組立体が、マルチレーン型マイクロ流体カートリッジを覆うよう位置決め可能なエンクロージャ(或る実施形態ではプラスチックで作られている)内に収容されている。エンクロージャは、オプションとして、ユーザが容易に掴むことができ、滑らかに且つ容易に押したり引いたりすることができるよう案内される取っ手を有するのがよい。取っ手は、圧力ロック装置としても役立つのがよい。エンクロージャの水平位置は、全開放位置と全前方位置の両方で検出され、制御ソフトウェアに報告される。エンクロージャ及び光学シャーシ圧力組立体は、マイクロ流体カートリッジの下で0.010インチ(0.254mm)以内に位置決めされたヒータカセットモジュールを位置が合っている。適正なヒータ/カートリッジインタフェース接続のためには厳密な嵌合が重要である。エンクロージャ組立体は、10,000サイクルの寿命全体を通じて性能が劣化せず、サイクルは、後方位置でスライダで始まり、次に前方に摺動して取っ手をカートリッジ上にロックし、取っ手をロック解除し、取っ手を元の後方位置に戻す手順として定義される。全ての光路部分は、非反射性であるべきであり(陽極化され、塗装され、成形されている等)、10,000サイクルにわたりこの特徴を失わない。光学素子ユニットは、光貫通が最も起こりそうな角度をなして装置から12インチ(30.48cm)のところに配置された源からの≦9,000フートカンデラの光強度によっては影響を受けない。10,000サイクル後に光検出器のところでの性能の低下は、測定されない。
【0298】
検出器組立体を製作する際、2つのLED源(青色及び琥珀色)を収容した単一のチャネルが作られ、更に、各々が1つのフォトダイオード検出器を収容した2つの追加のチャネルが作られる(全部で4つの開けられた孔)。2つの対をなすチャネル(源及び検出器)は、光軸から測定して互いに43°の角度をなして差し向けられており、同じ43°の向きをなした他の対をなすチャネルとインライン状態にある。光学シャーシに設けられた孔は、適当なスペーサを備えたフィルタ及びレンズを収容し、これらの仕様については、本明細書において更に説明する。LEDは、機械的位置合わせが良好な源の照明に沿って重要なので、運動を阻止するよう適所に保持される。LEDは、2つの「ホットスポット」がカートリッジの読取りチャネルと位置合わせされるまで回される。この位置は、LEDを動かすことができないようなるまで維持されなければならない。光学シャーシは、アルミニウムで作られるのがよく、この光学シャーシは、黒色陽極化されるのがよい。光学シャーシの底部圧力面は、表面全体にわたり±0.001インチ(0.0254mm)の状態まで平らである。光学シャーシは、光学シャーシ力の中心が試薬カートリッジの中心の近くに位置するよう中心のバランスが取られている。圧力組立体(光学シャーシの底部)は、試薬カートリッジの全てのヒータ区分全体にわたり最低1psiの一様な圧力を提供する。光学組立体をカートリッジ取外し及び配置のために試薬カートリッジ領域から遠ざけることができる。光学シャーシを適当に接地することにより、疑似信号が光学PCボードに出るのを阻止することが好ましい。
【0299】
LED光源(琥珀色及び青色)は、帯域フィルタ及び合焦レンズを通ってマイクロ流体カートリッジに入射する。これらLED光源は、2800ミリカンデラ(青色)及び5600ミリカンデラ(緑色)の最小出力を有し、中心波長は、470ナノメートル(青色)及び575ナノメートル(琥珀色)であり、半値幅は、75ナノメートル以下である。
【0300】
LED光は、カートリッジに設けられている単一のチャンバ内の少なくとも1つの蛍光分子(当初、オリゴヌクレオチドプローブに取付けられている)を励起し、これを発光させる。この発光は、通常、密な間隔のクエンチャ分子によって効果的に遮断される。TAQ酵素によるDNA増幅は、蛍光及びクエンチング分子をオリゴヌクレオチドプローブから分離し、クエンチング実施不能にする。DNA増幅は、プローブの標的分子(DNAシーケンス)がサンプルチャンバ内に存在している場合にのみ生じる。蛍光は、或る波長が標的分子に当たったときに生じる。放出される光は、入射光とは同一ではない。青色入射光は、緑色のみ発光フィルタにより検出器から遮断される。緑色入射光は、同様に、黄色発光フィルタにより検出器から遮断される。蛍光は、捕捉され、経路を経て合焦レンズ中に入り、フィルタを通って非常に敏感なフォトダイオードに伝搬する。検出される光の量は、DNAの増幅の量が増大するにつれて増大する。信号は、用いられる発光色素で異なるが、背景ノイズは、1mmピークトュピーク未満であるべきである。光学シャーシに固適所で永続的に取付け可能な光検出器は、5年間又は10,000サイクルにわたり安定であるべきであり、極めて低い光レベルに対して敏感であると共に60mV以下の暗値(dark value)を有するべきである。加えて、光検出器は、少なくとも10年間にわたって市販されていなければならない。レンズは、平凸(6mm検出器及び12mm源焦点距離)であり、平坦な側部は、両方のレンズ上の試験カートリッジに向けられる。フィルタは、通常の作動湿度及び温度範囲にわたり安定したままである必要がある。
【0301】
例えばオメガ・オプティカル(ブラットレボロ(Brattleboro),VT05301)により供給されているフィルタは、Mil−C−48497Aに準拠して表面品質がF/Fの光学ガラスの基体である。個々のフィルタは、6.0±0.1mmの直径、6.0±0.1mmの厚さ及びAOIを有し、1/2円錐AOIは、それぞれ、0°及び±8°である。開放口は、≧4mm直径であり、エッジ処理は、黒色の陽極化金属リングへの嵌め込み前に、黒色処理される。FITC励起フィルタは、例えば、オメガ・オプティカル社によって供給される(PN481AF30−RED−EXC)。これらフィルタは、466±4nmのカットオフ周波数及び496±4nmのカットオン周波数を有する。透過は、≧65%ピークであり、遮断は、理論上、503nmから580nmについては≧OD8、501nmから610nmまでは≧OD5、651nmから1000nmでは≧OD4平均及び439nm以下では、≧OD4UV−439nmである。FITCH発光フィルタは、例えばオメガ・オプティカルによって供給される(PN534AF40−RED−EM)。これらフィルタは、514±2nmのカットオフ周波数及び554±4nmのカットオン周波数を有する。透過は、≧70%ピークであり、遮断は、理論上、400nmから504nmについては≧OD8、≧OD5UV‐507nm、≧OD4UV4平均593‐765nmである。琥珀色エキサイタフィルタは、例えばオメガ・オプティカルによって供給される(PN582AF25−RED−EXC)。スペーサは、作動範囲全体にわたって不活性であり且つ温度安定性があるべきであり、フィルタを厳密な位置に且つ厳密な位置合わせ状態に維持すべきである。用いられるエポキシは、光学的に黒色且つ不透明な材料及び粘着性残留物の無い乾燥固体を含むべきである。加えて、かかるエポキシは、温度安定性及び水分安定性を有し、保持状態の構成要素の圧力を及ぼさず、PCBが回転又は垂直高さ変化の恐れがない状態で固定されると共に安定するようにPCBを取付けるべきである。照明の50%は、幅0.1インチ(2.5mm)、検出チャネルの軸線に沿って0.3インチ(7.5mm)の領域内でサンプル平面上に当たるべきである。対照チップの蛍光は、対照チップの通常の高さから±0.0010の領域を通って0.001インチの高さにつき、測定信号のうちの0.5%よりも多い量を変化してはならない。
【0302】
例示の光学素子ボードが
図62に示されており、この光学素子ボードは、マイクロ流体カートリッジ上で首尾よく生じる化学反応の蛍光サインを検出して増幅するために用いられると共にパルス幅変調(PWM)を用いてLEDの強度を制御してカートリッジサンプルを各々が2つの色のオプションを備えた最高4つまでのチャネル上で照明する。加えて、光学素子ボードは、LVDS(小電圧差動信号伝送方式)SPI(シリアル周辺インタフェースにより命令を受取ったり結果としてのデータを送り戻したりする。電圧ボードシステムは、次のように構成された+12V入力、+3.3V出力、+3.6V出力、+5V出力及び−5V出力を含み、+3.3V出力は、リニアレギュレータを収容し、LVDSインタフェースに電力供給するために用いられ、±5%精度を維持すべきであり、0.35Aの出力電流を供給し、+3.6V出力は、リニアレギュレータを収容し、MSP430に電力供給し、±5%精度を維持すべきであり、0.35Aの出力電流を供給し、+5V出力は、リニアレギュレータを収容し、オペアンプ用のプラスレールに電力供給するために用いられ、±5%精度を維持すべきであり、0.35Aの出力電流を供給し、−5V出力は、+5V供給部からその電力を受取り、オペアンプ及び光検出器バイヤス用のマイナスレールに電力供給するために用いられ、±1%電圧精度を維持すべきであり、6.25mA±10%の出力電流を供給する。加えて、電力ボードは、80オーム源抵抗を有し、主ボードソフトウェアは、レギュレータ出力をイネーブル/ディスエーブルにすることができる。
【0303】
主ボードインタフェースは、ボード相互間を連絡させるようLVDS規格の単一チャネルを用いる。これは、制御プロセッサの主SPIポートに接続されたLVDSインタフェースを介してSPI信号伝送方式を用いて行われる。インタフェースは、システム内プログラミング用のシリアルポートを更に有する。
【0304】
図62の例示の光学式検出システムは、制御プロセッサと、LEDドライバと、光検出システムとから成る。例示の実施形態では、制御プロセッサは、デュアルSPI(主ボードインタフェースについて1つ及びADCインタフェースについて1つ)と、データ格納のための拡張SRAMとから成っている。この制御プロセッサは、電力モニタ、PWM・LED制御及びADC及び主ボードへのSPI結合の機能を有する。LEDドライバは、NPNトランジスタスイッチを収容し、制御プロセッサのPWM出力に接続され、LED1個当たり12Vで10mAを消費することができ(全部で80mA)、消費する場合があり、2つのLED(各色のうちの1つ)が接続された単一チャネルである。光検出システムは、2つのチャネルを有し、この光検出システムは、光検出器と、高感度フォトダイオード検出器と、高利得電流−電圧変換器と、単位利得電圧反転増幅器と、ADCとから成る。加えて、光検出システムは、制御プロセッサの第2のSPIポートに接続された16チャネルシグマ−デルタ(最初の8つのチャネルしか利用しない)を有する。当業者が理解すべきことは、機能を発揮する検出システムを本明細書の開示内容と矛盾しないようにするために他の選択肢及び要素の組合せを結合することができる。
【0305】
〔本明細書において説明する技術の追加の利点及び特徴〕
小さな容積の実現を可能にする表面被膜及び材料特性を有する使い捨てプロセスチャンバ及びできる限り少ない容積でサンプル濃度を最大にする開放管加熱リリースの使用することができる。
【0306】
一体化磁気熱セパレータは、多数のサンプルを独立に加熱することができるが、単一の可動プラットホームを用いて分離することができる。
【0307】
読取り装置/トレイ設計が、マイクロ流体カートリッジの容易な配置及びロボット式ディスペンサの1つの位置で用いた多数の液体サンプルピペット操作を可能にし、別の箇所に対する相対偏差が生じ、次の迅速な熱インキュベーションステップ及び光検出を可能にする圧力の印加が行われる。カートリッジの底面は、加熱面と結合する。さらに、典型的には、カートリッジ及びヒータを適所に動かしたりこれから離脱させたりすることが、検出器よりも容易である。
【0308】
マイクロ流体PCRチャネルからの蛍光検出のための可動読取りヘッドが設けられている。
【0309】
密封凍結乾燥試薬並びに密接して密封された液体の存在(これは、通常は、達成しがたい)を含むホルダの側面、例えばユニット化使い捨てストリップが設けられている。本明細書において開示するラミネートは、貯蔵を容易にする。
【0310】
ホルダは、多数のASR管のスナップ嵌め及びサンプル相互汚染を最小にする関連の液体小出しプロセスを可能にするが、多数のPCR調整を単一の臨床サンプルから実施することができる。
【0311】
ソフトウェアの特徴により、ユーザは、24個全てのサンプルから結果を得るか、最初に12個のサンプルをできるだけ迅速に最初の12個のサンプルから結果を得て、次に後で12個のサンプルの結果を得るかのいずれかを行うことができる。
【0312】
本明細書において説明する準備及び診断機器により、互いに異なるタイプのサンプル(例えば、血液、尿、スワッブ等)を各々が互いに異なる温度、時間又は化学試薬を必要とする場合であっても、同時に全て処理することができる。これは、1つには、個別化されているが適合性のあるホルダを用いることによって達成される。
【0313】
マイクロ流体カートリッジをカートリッジオートローダによりPCR読取り装置内に自動的に供給することは、ユーザの時間を節約し、更に、全体的作業の効率の増大をもたらす。
【0314】
液体管状におけるフィルムの孔あけ及び液体をピックアップする確実な方法が提供される。
【0315】
可動読取りヘッドは、これと共に動くポンプ、センサ(ピペット検出、力検出)、サンプル識別検査機構等を有し、従って、使用中、機器を横切って動く制御ラインの数を最小にする。
【0316】
電動式位置合わせプレートを用いたカートリッジ入口孔を有するピペット先端部の正確且つ迅速な位置合わせが得られる。
【0317】
〔実施例〕
〔実施例1:試薬ホルダ〕
本明細書の説明と矛盾しない例示の試薬ホルダは、以下の寸法及び能力を有している。
・長さ180mm×幅22mm×高さ100mm
・ポリプロピレン製
・プロセス管として機能する1本のスナップ嵌め低曲げ性1.7ml管
・次のように試薬の入れ物として機能する3本の組込み管
○200〜1000μlの洗浄緩衝液(0.1mMTris,pH8)を収容した1本の管
○200〜1000μlの遊離溶液(40mMNaOH)を収容した1本の管
○200〜1000μlの中和化容器(330mMTris,pH8.0)を収容した1本の管
・廃棄物チャンバ(約4mlの液体廃棄物を収容する)として機能する1本の組込み管 ・固体試薬の溶液を受入れる3つの入れ物 スナップ嵌め0.3ml又は0.65mlのPCR管(典型的には、試薬ホルダとは別個に貯蔵される)が、これらの箇所の各々に配置され、次のものを収容する。
○凍結乾燥サンプル調製試薬(溶解酵素混合物及び磁気親和性ビーズ)
○第1の標的分析物検出のための第1の凍結乾燥PCRマスター混合物、プローブ及びプライマ
○第2の標的分析物検出のための第2の凍結乾燥PCRマスター混合物、(選択された場合、例えば、尿からのクラミジア及び淋病の検出の場合にのみ実施される)
・4つのソケット内に配置された4つのピペット先端部
・ピペット先端部シース:ピペット先端部は、使用後におけるピペット先端部からしずくを捕捉するのを助けると共に器具の望ましくない汚染を阻止するよう下に設けられたシース/しずくトレイを有する
・取っ手及びフレックス‐ロック(Flex- Lock)が、ラック内への全ての容易な挿入、取出し及び確実な配置
・1つ又は2つ以上のラベル:ラベルは、目及び/又は例えばバーコードリーダによる読取りを容易にするよう上向きに位置決めされており、1つ又は2つ以上のラベルは、実施すべき分析に関する人間及び機械により読取り可能な情報を含む。
【0318】
これらの寸法形状は例示であることを理解すべきである。しかしながら、試薬ホルダを収容したラック及び装置が不都合なほど大きい状態にならず、実験室内、例えばベンチトップ上に適切に位置決めできるようホルダが上述の寸法を超えないようにすることが特に望ましい。
【0319】
〔実施例2:使い捨て試薬ホルダ製造〕
簡単な固定具が、多数のストリップの取扱い及び処理を可能にするように設計されると共に機械加工されるのがよい。この構成要素を製作するために5つのステップを実施するのがよい。使い捨て試薬ホルダは、固定具内に配置され、手動/電気式多数回ピペット操作を用いてこれに液体を充填する。ストリップ中に全ての液体を小出しした直後、例示のヒートシール機器(Hix FH-3000-D Flat Head Press)を用いてフィルムをプラスチックにヒートシールし、フィルムを必要に応じてトリムする。液体を入れたままヒートシールした後、管内の全てのペレットをストリップ中にスナップ嵌めし、ピペット先端部をこれらのそれぞれのソケット内に挿入し、バーコードラベルを取付けるのがよい。乾燥剤パックを12個のホルダを収容するように設計された吹き込み成形又は熱成形ラック中に配置するのがよい。12個の使い捨てストリップをラック中に装入し、次にフィルムで密封する。密閉さされた袋をカートン内に入れ、輸送のためにラベル表示する。
【0320】
〔実施例3:緩衝液収容試薬管のフィルム密封〕
緩衝液を収容した管は、液体を長期間にわたって保持するためには高い防湿性層材料で密封される必要がある。使い捨てホルダは、1〜2年の保存寿命を有する必要があり、従って、これらホルダは、所要量の液体を維持し、溶液中に存在する種々の分子の濃度を維持するためにはかかる期間にわたって液体容量の例えば10〜15%以上を失ってはならない。さらに、管並びに密封ラミネートの構成に用いられる材料は、液体緩衝液と反応してはならない。特性のプラスチックラミネートは、防湿層を提供するが、非常に厚く(厚さ300μmを超える)ならざるを得ず、その穿通力又は特性の高価なポリマー(例えば、エクレール(Aclar)の穿通力は、極めて大きくなる。たとえ数百オングストロームの薄いフィルムであっても、アルミ箔は、効果的な防湿層を提供するが、裸のアルミニウムは、何種類かの液体緩衝液、例えば水酸化ナトリウムと反応し、非反応性ポリマーの溶射被膜を備えたアルミ箔は、長時間にわたって腐食蒸気に耐えることができない場合がある。これらフィルムは、被膜に存在する非常に小さなピンホールを介して反応する場合があり、時間の経過につれて防湿層としては不合格になる場合がある。
【0321】
これらの理由で、ラミネート構造を備えたアルミ箔は、適当な防湿層として扱われ、その例示の特性は以下の通りである。
1.密封
ユニット化ポリプロピレンストリップへのヒートシール(密封温度約170〜180℃)
密封後におけるフィルムのしわ無し、亀裂無し及びひび無し
2.透湿度(MVTR)
周囲温度及び周囲圧力で貯蔵された(有効輸送面積は、約63mm
2)場合1年間にわたり10%未満(200マイクロリットルの容積から20マイクロリットル)の液体の損失。MVTRの近似値は、約0.8cc/m
2/日
3.化学的性質
40mMの水酸化ナトリウム(pH<12.6)と反応しない性質:フィルムは、密封流体の近くに厚さ少なくとも15ミクロンのプラスチックラミネートを有するべきである。
マイルドな洗浄液を含む他の緩衝液と反応しない性質
4.孔あけ
p1000ピペットを用いて3lb未満の力で孔あけする能力
孔あけ前においては、直径8mmの完全裏付きメンブレンは、直径方向に5mm以上は遠心しない。
孔あけ後においては、フィルムは、ピペットの周囲に沿ってピペット先端部を密封することはない
5.他の特徴
ピンホール無し
多ラミネート構造の場合気泡無し
【0322】
〔実施例4:可塑化ラミネートを穿孔し、液体緩衝液を抜き取る機構〕
本明細書の他の箇所において説明するプラスチックフィルムを含むアルミニウムラミネートは、腐食性試薬、例えばNaOHを含む緩衝液とは反応せず、好ましい穿通性を備えると共に防湿層として働くのに良好に役立つ。しかしながら、このアルミニウムラミネートは、穿通の際、幾つかの追加の困難をもたらす。アルミ箔は、ピペットの直径よりも大きな不規則な多角形パターンの状態に破裂する傾向があり、これに対し、プラスチックフィルムは、ピペットとプラスチックフィルムとの間に最小限の隙間が生じた状態でピペット先端部に巻き付く傾向がある。プラスチックフィルムの孔の直径は、ラミネートを横切って通過したピペットの最大直径とほぼ同じである。ピペットのこの巻き付きにより、もし通気部孔が圧力を管の外部と管の内部の空気との間で並行させることができなければ、小出し及びピペット操作が困難になる。
【0323】
流体を首尾よくピペット操作する方式は次の通りである。
1.ラミネート構造体を穿通し、ピペットを試薬管の底部の近くに持って行き、ラミネートに作られた孔がピペットの最大直径(例えば、p1000ピペットについては約6mm)とほぼ同じ大きさになるようにする。
2.ピペットを短い距離上方に引き抜き、小さな環状通気部孔がピペットとラミネートとの間に残るようにする。p1000ピペットは、1mmの最も小さな外径及び6mmの最も大きな外径を有し、ピペットの円錐形部分は、長さが約28mmである。百ミクロンの通気部孔厚さは、信頼性のある通気部孔を作るのに十分である。これは、5.8mmの直径まで挿入されるピペットに対応しており、後には、その周りに0.1mmのアニュラス部が残る。
3.流体を管から抜き取る。管は、サンプル調製手順のために管から抜き取るのに必要な量よりも多くの流体を保持するように設計されていることに注目されたい。
【0324】
〔実施例5:フィルム穿通及び凍結乾燥試薬の溶解〕
本明細書において説明するホルダと関連して提供される凍結乾燥試薬の容器は、典型的には、非可塑化アルミ箔(即ち、試薬管を密封するために用いられるラミネートではない)によって密封される。アルミ箔は、ピペットを穿通したときに不規則な多角形パターンの状態に破裂し、ピペットを管の底部まで動かした場合であっても後に空気通気部が残る。試薬を節約するため、試薬を溶解させ、管から抜き取られる量を最大にすることが望ましい。これを達成するため、星状隆起付き(星状)パターンを容器の底部に設けて液体の抜き取り量及び隆起部相互間の流速を最大にする。
【0325】
流体を溶解させて抜き取る例示のステップは、次の通りである。
1.ピペットを穿通し、流体を凍結乾燥材料から遠くに小出しする。ピペットが凍結乾燥材料の高さ位置よりも下に進んだ場合、凍結乾燥材料はピペット内に入り、ピペットからの液体の流れの詰まりを生じさせる場合がある。
2.凍結乾燥材料を数秒間で溶解させる。
3.ピペットを下方に動かして管の隆起部付き底部に当てる。
4.適当な回数(4〜10回)の吸引及び分割操作を実施して試薬と液体緩衝液を完全に混合させる。
5.全ての試薬を抜き取り、ピペットを動かして試薬を次の処理管内に小出しするようにする。
【0326】
〔実施例6:溶解管の材料及び表面特性〕
材料、表面特性、表面仕上げは、実施されるアッセイの感度に甚大な影響を及ぼす。臨床用途では、50コピー/サンプルという少ない(約1mlの量)DNA/RNAは、何十億という他の分子の背景中で確実に検出される必要があり、これら分子のうちの何割かは、PCRを強く阻止する。これら高レベルの感度を達成するため、反応管の表面及び表面の材料は、ポリヌクレオチドの最小限の結合を有するよう選択されなければならない。これらプラスチック管を作るための射出成形ツールの製作の際、機械加工により作られた固有の表面は、数十ミクロンという大きな山部及び谷部という切断マークに起因して広い表面積を有する場合がある。これら表面は、顕微鏡的表面でこぼこを除去するためにSPI:A1/A2仕上げ(鏡面仕上げ)まで研磨される必要がある。さらに、これら顕微鏡的谷部の存在は、磁気ビーズ(0.5〜2μ)を意図しない箇所で捕捉し、不規則な性能を生じさせることになる。実際の表面粗さに加えて、表面疎水性/表面分子が存在しているので、ポリヌクレオチドは、意図しない箇所にくっつき、試験全体の感度を低下させる場合がある。ベース材料の使用、例えば均一ポリプロピレン及び他のポリマーに加えて、これら管の成形中に用いられる特定の材料、例えば離型化合物又は製作を助ける添加物は、反応の性能に甚大な影響を及ぼす場合がある。
【0327】
〔実施例7:液体小出しヘッド〕
図18、
図19A〜
図19C及び
図63を参照すると、例示の液体ディスペンサが、台に取付けられ、電気ケーブル1702を介して命令を受取る。バーコードスキャナ1701が、液体ディスペンサの一表面に取付けられている。台は、x方向の運動を提供するよう水平レール1800に取付けられている。y方向の運動を提供する水平に設けられたレールは示していない。液体ディスペンサは、コンピュータ制御電動式ポンプ1800を有し、このポンプは、関連のコンピュータ制御バルブ装置1801を備えた流体分配マニホルド1802及び個々にばね押しされたヘッド1803を備えた4‐アップピペットに連結されている。この流体分配マニホルドは、ピペット先端部を通る空気の流量を制御する9つのリー・カンパニー(Lee Co.)製電磁バルブ1801、各ピペットについて2つのバルブ及びポンプを通気する追加のバルブを有している。バーコードリーダ1701により、サンプル管、試薬使い捨て物品及びマイクロ流体カートリッジの確実な検出を可能にする。スキャナは、z軸に取付けられていて、このスキャナは、サンプル管、ストリップ及びカートリッジバーコードを読取るよう位置決めできるようになっている。
【0328】
〔実施例8:ユニット化ヒータ/セパレータ〕
図64では、例示のユニット化磁気セパレータ・ヒータ組立体が示されている。磁気セパレータ1400及びヒータ組立体1401は、互いに平行に位置合わせされた12個の加熱ブロックを有する状態で製作されたものである。各加熱ブロック1403は、アルミニウムで作られ、プロセスチャンバ1402を受入れるU字形入口をそなえたL字形の形をしている。各加熱ブロック1403は、金属ストリップ1408及びねじ1407により固定されると共に連結されている。磁石1404は、各加熱ブロック1403の後ろに配置されると共に支持部材に取付けられた長方形のブロックネオジウム(又は他の永久希土類物質、ケイ・アンド・ジェイマグネティックス(K&J Magnetics)、フォースフィールド・マグネティックス(Forcefield Magnetics))である。歯車1406は、モータ(図示せず)から回転エネルギーを伝えて電動式シャフト1405が磁石1404を各加熱ブロックに対して昇降するようにする。モータは、磁石を1〜20mm/sの速度で動かすようコンピュータ制御される。この装置は、ヒータ組立体が適当な命令を受取ったときに熱を独立に各プロセスチャンバ1402に及ぼすように構成されたプリント回路板(PCB)1409を更に有している。例示の実施形態では、この装置は、各ヒータブロックと関連している温度センサ及び電力抵抗器を更に有している。
【0329】
〔実施例9:例示のソフトウェア〕
本明細書において説明する装置の使用を伴う例示のソフトウェアは、2つのボード部分、即ち、ユーザインタフェース及び装置ファームウェアを有するのがよい。ユーザインタフェースソフトウェアは、ユーザとの相互作用の側面、例えば、患者/サンプル情報の入力、試験の進捗状況のモニタ、エラー警告、試験結果の印刷、データベースへの結果のアップロード及びソフトウェアのアップデートを可能にする。装置ファームウェアは、実際に試験を実行する低レベルソフトウェアであるのがよい。ファームウェアは、試験独立性であるのがよい一般的部分及び実施すべき試験に特有の部分を有するのがよい。試験特有部分(「プロトコル」)は、マイクロ流体操作及びこれらの順序を特定して試験を実行することができる。
【0330】
図65A及び
図65Bは、プログラミングインタフェース並びにリアルタイム加熱センサ及び光学検出器のモニタからのスクリーン取り込み画面を示す。このリアルタイム装置性能モニタは、試験目的のためであり、最終形態ではユーザには見えない。
【0331】
〔ユーザインタフェース〕
医用LCD及びタッチスクリーン組立体は、容易な操作及び小規模なトラブルシューティング命令を提供するグラフィックユーザインタフェースを介してユーザインタフェースとしての役目を果たすことができる。LCD及びタッチスクリーンは、ありふれた洗浄剤との全ての表面の適合性を保証するよう特定されている。分析装置と一体のバーコードスキャナは、カートリッジのバーコード(カートリッジ種類、ロット番号、有効期限)を走査し、更に、利用できる場合には、1つ又は2つ以上のサンプル管からの患者及びユーザIDを走査するように構成されているのがよい。
【0332】
〔実施例10:例示の準備装置〕
この製品は、24個の臨床サンプルを自動的に処理して約30分で精製な核酸(DNA又はRNA)を生じさせることができる装置である(
図66)。精製核酸は、或る標的核酸の存在を検出する別個の増幅‐検出機械で処理されるのがよい。サンプルは、サンプル調製化学的性質があらかじめ入れられたユニット化使い捨てストリップで処理され、最終の精製核酸がPCR管内に小出しされる。流体の取扱いは、xyz台によりピペット操作ヘッドを動かすことによって実行可能になる(
図67)。
【0333】
システムは次のサブシステムを有する。
・2つのサンプル処理ラック(各ラックは、ユニット化使い捨てストリップ中で最高12個までの臨床サンプルを処理する)
・磁気セパレータと管ヒータ組立体(24個の加熱ステーション)
・4プローブ液体小出しヘッド
・ピペットヘッドを動かすための3軸台
・精製DNA/RNAを受入れるペルチェ冷却式PCR管保持ステーション
・制御電子装置
・バーコードリーダ
【0334】
作動原理:ユーザは、自分が各臨床サンプルからDNAを抽出したいにせよRNAを抽出したいにせよいずれにせよ、各サンプルについて作業リストを得る。サンプル管をラック上に載せ、各サンプル種類(DNA又はRNA)に関し、ユーザは、サンプル管をユニット化試薬使い捨て物品(DNA又はRNA処理)中でラックの対応のレーン中に滑らせる。ユニット化使い捨て物品(ホルダ)は、サンプルプレプ試薬、プロセス管並びに既にこの中にあらかじめパッケージ化された使い捨てピペットを全て有する。全ての使い捨て物品がいったんラック中に装入されると、ラックは、装置上のその適所に配置される。開放状態のPCR管は、最終の精製核酸が小出しされるペルチェ冷却式管ホルダ内に配置される。すると、ユーザは、装置のドアを閉じ、次にGUI(グラフィックユーザインタフェース)を用いてサンプル処理を開始する。
【0335】
装置は、全てのサブシステムの機能をチェックし、次のサンプル管のバーコード及びユニット化試薬使い捨て物品を読取る。既存の作業リストとの不一致があると、これが判定され、必要ならばエラーがフラグ立てされる。装置は、次に、一連の液体処理、加熱、磁気分離に進み、臨床サンプルの各々についてサンプル調製ステップを完了し、精製核酸をPCR管中に出力する。各サンプル処理に関与する基本的ステップは、サンプル溶解、磁気親和性ビーズ中への核酸捕捉、不純物を除去するための磁気ビーズの洗浄、磁気ビーズからの核酸の放出、放出されたDNAの中和化及び最終のPCR管中への小出しである。これら管は、全てのサンプルが処理されるまで4℃で維持され、ユーザは、核酸の下流側における処理のために管を取り去る。
【0336】
〔実施例11:例示の診断装置〕
この装置は、関連の消耗品と組合せた状態で、核酸試験の全ての側面を自動的に実行し、かかる側面としては、サンプル調製、増幅及び1時間当たり最高48個までのサンプルの検出が挙げられ、最初の24個の結果は、1時間未満で利用できる。システムは、使用が容易である。オペレータは、単に患者サンプルの一部分を、あらかじめパッケージ化された緩衝溶液を収容した専用管中にアリコートする。オペレータは、専用管をサンプルラック上の適所に置く。オペレータは、次に、ラック内での適当な試験のために使い捨てプラスチック試薬ストリップを装填する。装置内で用いられる唯一の他の消耗品は、増幅及び検出を行うマイクロ流体PCRカートリッジであり、各カートリッジは、最高12個までのPCR試験を実施することができ、2つのカートリッジを一度に分析装置内に装填することができる。この装置があらたなPCRカートリッジを万が一必要とする場合、分析装置は、オペレータに促してカートリッジを装填させる。分析装置は、次に、オペレータを促して蓋を閉じて試験を開始させる。全ての消耗品及びサンプル管を確実なサンプル識別のためにバーコード確認する。
【0337】
サンプル溶解及びDNA調製は、24個のサンプルの完全操作のために約30本必要とし、かかるサンプル溶解及びDNA調製は、ユニット化使い捨てプラスチックストリップ中に入っているプロトコル及び試薬を用いる分析装置のロボット式構成要素及び液体取扱い構成要素によって自動的に実行される。本装置は、次に、サンプルとPCR試薬を自動的に混合し、混合物をカートリッジ中に注入し、このカートリッジは、一体形PCR機械によって自動的に処理される。迅速なリアルタイムPCR及び検出では、20分以内の時間が必要である。PCRの完了時に自動的に利用できる結果は、装置のタッチスクリーン上に表示され、プリントされ又はユーザ(又はユーザのスーパーバイザー)により指定された病院情報システムに送られる。
【0338】
各装置は、最初の実行後1時間当たり48個のサンプルの全スループットで一度に最高24個のサンプルを処理することができる。分析装置は、幅が1mよりも僅かに短く、標準型実験室ベンチ上に容易に納まる。付属のバーコードワンド及びタッチスクリーンを用いてユニットの操作全体を命令することができる。4つのUSBインタフェース及びイーサネット(Ethernet)(登録商標)ポートを介して分析装置を実験室情報システム、病院ネットワーク、PC、プリンタ又はキーボードとインタフェースすることができる。
【0340】
感度:本装置は、検出限度がDNA又はRNAの約50コピーである(検出限度は、DNA/RNAの25〜30コピーという小さい場合がある)。
【0341】
試験1回当たりのコスト:ハンディラボ(HandyLab)試薬、カートリッジ及び他の消耗品の性状が小形且つ単純化されているので、試験1回当たりの物品のコストは、比較的安価であり且つ非常に競合量があるであろう。
【0342】
自動化:現在の「自動化」NATシステムとは対照的に(これらシステムは全て、サンプル抽出、調製、増幅及び検出のユニット化試験及び完全一体化によりシステムとの或る程度のかなり大々的な技術者の相互作用を必要とする)、本明細書において説明する装置は、高レベルの自動化及びこれに対応した技術者の時間及び必要な技能のレベルの減少をもたらし、それにより全体的人件費に好ましい影響を及ぼす。
【0343】
スループット:スループットは、システムを所与の長さの時間内においてどれほど多くの試験を実施できるかとして定められる。装置は、平均で1時間当たり45回の試験を実施することができる。
【0344】
最初の結果が得られるまでの時間:病院環境においては、最初の結果が得られるまでの時間は、特に重要な検討事項である。装置は、1時間未満で最初の24個の結果を生じ、その後30分ごとに追加の24個の結果をもたらすであろう。
【0345】
ランダムアクセス及びSTAT:ランダムアクセスは、種々の試験を一緒に1回のランで実行し、サンプルを分析装置上の非割り当て箇所に配置する機能である。また、化学的性質及び免疫測定システムでは、作動が開始した後、試験を追加することができるようにすることが望ましい。これは、「真のランダムアクセス」と呼ばれる場合が多い。というのは、ユーザには、分析装置上にどの上でいつ新たなサンプルを作動に追加でき、どのような試験を実行できるかに関して完全な融通性が与えられるからである。STATは、できるだけ迅速な結果を必要とし、分析装置上で試験の手がかりにおいて優先的に扱われるサンプルである。今日、本質的に全ての化学的性質及び免疫測定分析装置は、真のランダムアクセスであり、STAT機能を提供する。しかしながら、NATの場合、ランダムアクセス又はSTAT機能を与えるシステムはほんの僅かしかない。本明細書において説明する装置は、ランダムアクセス及びSTAT機能をもたらす。
【0346】
メニュー:分析装置に利用できる試験の数及びタイプは、システム選択における非常に重要な要因である。本明細書において説明する装置は、新規且つ高い値の試験と組み合わされる大容量「標準」核酸試験の組合せを含む発射メニュー方式を採用している。
【0347】
本装置により、24個の臨床サンプルを自動的に処理して核酸を精製し、精製DNA/RNAとPCR試薬を混合し、リアルタイムPCRをマイクロ流体カートリッジで実行してサンプルの結果を1時間で得ることができるようにする。例示の装置は、専用の2色光学検出システムを備えた光学システムを利用して12レーン型マイクロ流体カートリッジを作動させることができる2つのPCR読取り装置を有している(
図68及び
図69)。
【0348】
装置は次のサブシステムを有する。
・2つのサンプル処理ラック(各ラックは、ユニット化使い捨てストリップ中で最高12個までの臨床サンプルを処理する)
・磁気セパレータと管ヒータ組立体(24個の加熱ステーション)
・4プローブ液体小出しヘッド
・ピペットヘッドを動かすための3軸台
・各PCRレーンについて各々が12レーン型マイクロ流体カートリッジ及び専用2色光学検出システムを稼働させることができる2つのPCR増幅−検出ステーション
・制御電子装置
・バーコードリーダ
【0349】
外部(フェースオン)及び内部の概略図をそれぞれ、
図70及び
図71に示す。
【0350】
作動原理:ユーザは、自分が各臨床サンプルから或る標的分析物抽出したいにせよいずれにせよ、各サンプルについて作業リストを得る(例えば、GBS、クラミジア、淋菌)。サンプル管をラック上に載せ、各サンプルについて、ユーザは、サンプル管をユニット化試薬使い捨て物品(分析物専用)中でラックの対応のレーン中に滑らせる。ユニット化使い捨て物品は、サンプルプレプ試薬、プロセス管並びに既にこの中にあらかじめパッケージ化された使い捨てピペットを全て有する。全ての使い捨て物品がいったんラック中に装入されると、ラックは、装置上のその適所に配置される。次に、ユーザは、2つの12レーン型マイクロ流体カートリッジをPCRリーダの2つのトレイ内に配置する。次に、ユーザは、装置のドアを閉じ、次にGUI(グラフィックユーザインタフェース)を用いてサンプル処理を開始する。
【0351】
装置は、全てのサブシステムの機能をチェックし、次のサンプル管のバーコード及びユニット化試薬使い捨て物品を読取る。既存の作業リストとの不一致があると、これが判定され、必要ならばエラーがフラグ立てされる。この装置は、次に、一連の液体処理、加熱、磁気分離に進み、それにより臨床サンプルの各々についてサンプル調製ステップを完了し、精製核酸をPCR試薬と混合し、最終の混合物をマイクロ流体カートリッジのレーン中に小出しする。マイクロ流体カートリッジに最終PCR混合物を装填した後、カートリッジトレイは、カートリッジを読取り装置内に動かして位置合わせし、光学検出システムは、カートリッジをマイクロ流体PCRヒータ表面に押し付ける。オンチップバルブを作動させて反応混合チャンバを閉鎖し、熱サイクル作動を開始させてPCR反応を開始させる。PCRの各サイクルにおいて(最高45サイクルまで)、各PCRレーンからの発光を光学検出システムによって検出し(PCRレーン1つ当たり2色)、最終結果をしきいサイクル(Ct)に基づいて判定する。
【0352】
24個のサンプルに関するサンプル調製ステップを約40分で実行し、PCR反応を約20分で実行する。
【0353】
〔サンプルリーダ(読取り装置)〕
リーダは、ハンディラボマイクロ流体(試験)カートリッジと関連して用いられたとき、PCRプロセス(リアルタイムPCR)により最高12個までの適正に調製された患者サンプルの試験機能を果たす。各ユニットは、全部で24回までの試験について2つのリーダモジュールを用いる(
図72A及び
図72B)。試験装置の作動原理は、試験カートリッジのみの出し入れを必要とする最小限の顧客相互作用向きに設計されている。「装填使い捨て物品」シーケンス中、リーダは、使い捨てカートリッジの取付け可能にモータ作動トレイを提供する。トレイの前部内に配置された小さなノブを摺動すると、ばね押し保護カバーは、持ち上がって試験カートリッジを適所に適正に嵌め込むことができる。次に、カバーを下降させ、ついには、ノブがトレイフレーム内に自動ロックし、カートリッジを固定し、サンプル装填シーケンス中の運動を阻止する。
【0354】
調製されたサンプルをピペットにより試験カートリッジ中にいったん小出しすると、トレイは、リーダ内に引っ込み、試験カートリッジを光学組立体のシャーシの下に正確に位置決めする。次に、光学組立体を捕捉されたねじ駆動式ステップモータにより下降させ、ついには、試験カートリッジとの接触が生じるようにする。この時点において、試験カートリッジは、ヒータ組立体上の標的箇所よりも1/8インチ(3.175mm)上方に配置される。下方温度が続くと、トレイ内の試験カートリッジ及びそのホルダは、トレイフレーム上のばねを圧縮する(これらばねは、後でカートリッジをその通常の位置に戻すために用いられ、トレイ作動中、ヒータ組立体上に配置されたカプセル化ワイヤ結合部を通過することができる)。試験カートリッジ及び光学組立体の運動は、ヒータ組立体との接触がいったん生じると完了し、最低2psiがPCRチャネル及びこれらの制御ゲート周りでカートリッジ領域の2/3前後に得られる。この時点において、カートリッジの試験は、ヒータ組立体を用いて実施され、搭載光学素子により測定され、類似のハンディラボ装置上で現在作動されているのと極めてほぼ同じ仕方でソフトウェア及び電子装置によって制御される。
【0355】
機能試験がいったん完了すると、主要運動により、光学組立体が持ち上がり、試験カートリッジに加わる圧力が除かれて試験カートリッジがその通常の位置に戻る。指令を受けると、ラックピニオン装置のように作動するトレイモータは、トレイをカートリッジ取出し及び処分のために顧客に提供する。トレイが伸長位置にあるとき、トレイを装置シャーシに取付けられた支持ブロックの上方に吊り下げる。このブロックは、カートリッジが装填中トレイ内のホルダを通って滑るのを阻止し、サンプルがピペット操作で使い捨てカートリッジ内に入れられている間、支持体としての役目を果たす。また、この支持ブロック内には、使い捨てカートリッジを取出し中、持上げたり掴んだりするための支援レバーが設けられている。トレイの全ての構成要素並びに支持ブロック及びカートリッジの持上げ支援手段は、ツールがなくても、クリーニングのために顧客によって取外し可能であり、容易に再取付け可能である。
【0356】
〔マイクロ流体PCRヒータモジュール〕
マイクロ流体PCRヒータモジュールは、バルブの作動及びリアルタイムPCR反応を実施するのに必要な熱サイクル作動を実施するための熱を正確に提供するようリソグラフィにより構成されたマイクロヒータ及びセンサを備えたガラスウェーハを有する。ウェーハ表面は、マイクロ流体カートリッジ中のPCRレーンの各々について専用の個々に制御される加熱ゾーンを有する。12‐アップカートリッジの場合、12個のPCRゾーンが存在し、24‐アップカートリッジの場合、24個のPCR加熱ゾーンが存在する。個々のヒータ及びセンサは、金又はアルミニウムのワイヤ結合部を用いたプリント回路板に電気的に接続されている。熱柔軟性封入材が、ワイヤ結合部の物理的保護を可能にする。本装置は、ガラスウェーハ上に設けられているが、ヒータは、ガラス上Si実装型ウェーハ及び他のポリマー基体上に作製可能である。各基体は、その熱的特性及び機械的特性に関連した特定の利点を提供することができる。また、リソグラフィプロセスを利用する他に、かかる加熱基体を又、在庫品の電子部品、例えば電力抵抗器、ペルチェ素子、トランジスタを用いて組み立てることができ、構成要素の各々の上側加熱面を同一レベルに維持してマイクロ流体カートリッジに対する加熱を可能にする。各温度センサの温度較正値をヒータPCB内に同時に配置されたEEPROM又は他の記憶装置に記憶させるのがよい。
【0357】
〔12レーン型カートリッジ〕
この12チャネル型カートリッジは、2006年11月14日に出願された米国特許出願第60/859,284号明細書に記載されたとの同じ基本設計のものであり、これに次の変更が加えられており、即ち、PCR容量を2μlから4.5μlに増大し、それにより入力容量が4μlから6μlに増大している。入口孔は、カートリッジの縁から数ミリメートル遠ざけられ、それによりカートリッジ中に2mm位置合わせ棚部のためのスペースが作られている。同様な位置合わせ棚部が、カートリッジの他方の縁にも設けられている(
図31A及び
図31B)。
【0358】
〔エンクロージャ〕
本装置のエンクロージャの設計は、次の要件即ち、作動中の顧客の安全のため、電力及び通信インタフェースへの接近を可能にし、空気流入、空気流出及び空気濾過を可能にし、材料の取付け及び除去のために片手による開放作動を可能にし、市場向きの美観を備えるという要件を満足しなければならない。
【0359】
〔冷却〕
本装置の冷却は、空気を必要とする全ての組立体が流路内に位置し又は逸らされた空気を受入れるようにするためにエンクロージャ及びシステム全体と関連して設計されている。
【0360】
現在の技術的思想は、空気入口を前下パネルの底部に設けるということである。この場合、空気は、クリーニング可能なフィルタを通り、その後装置に流入する。板金で作られた構成要素は、空気を使い捨てラックと主電源の両方に差し向ける。次に、空気は、カードケージを通ってリーダの周りに差し向けられ、そしてエンクロージャの頂部に設けられたスロットを通って出る。
【0361】
〔ベースプレート〕
XYZステージ及びフレームは、ステージとカートリッジと使い捨て物品との間に位置合わせ不良が生じないような仕方でベースプレートに取付けられている。エンクロージャは、ベースプレートに取付けられている。エンクロージャの最終設計により、取付けのためのボルト孔パターンが定められる。バックプレーンボードは、スタンドオフによりベースプレートに取付けられている。他の全てのボードは、バックプレーンボードに取付けられている。使い捨て物品は、ベースプレートに取付けられているブラケットから取り外せるラックに取付けられている。リーダブラケットは、ベースプレートにボルト止めされている。リーダブラケットの最終設計により、ボルト孔パターンが定められる。電源は、ベースプレートに取付けられている。ベースプレートは、装置全体の下に幅方向及び長さ方向に延びる。
【0362】
〔実施例12:例示の高効率診断装置〕
また、高多重化実施形態により、24個の臨床サンプルを自動的に処理して核酸を精製し、精製したDNA/RNAをPCR試薬と混合し、マイクロ流体カートリッジ内でリアルタイムPCRを実行することができる。この製品は、PCRレーンの各々から最高4色の互いに異なる色を読取ることができる走査型読取りヘッドを備えた単一のPCRリーダである。カートリッジは、単一のカートリッジが全部で24個の臨床サンプルについて実施することができるようにする24PCRチャネルを有する。加えて、この製品は、カートリッジオートローダを有し、それにより、装置は、カートリッジのパックからPCRのリーダを装置内に自動的に送り込み、使用済みのカートリッジを廃棄物トレイに破棄する。概略図を、
図73及び
図74に示す。
【0363】
装置は次のサブシステムを有する。
・2つのサンプル処理ラック(各ラックは、ユニット化使い捨てストリップ中で最高12個までの臨床サンプルを処理する)
・磁気セパレータと管ヒータ組立体(24個の加熱ステーション)
・4プローブ液体小出しヘッド
・ピペットヘッドを動かすための3軸台
・各PCRレーンから最高4つまでの色を検出するよう各々が24レーン型マイクロ流体カートリッジ及びスキャナユニットを稼働させることができる単一のPCR増幅−検出ステーション
・24レーン型マイクロ流体カートリッジをボックスからPCR検出ユニット内に送り込むためのオートローダユニット
・制御電子装置
・バーコードリーダ
【0364】
作動原理:ユーザは、自分が各臨床サンプルから或る標的分析物抽出したいにせよいずれにせよ、各サンプルについて作業リストを得る(例えば、GBS、クラミジア、淋菌)。サンプル管をラック上に載せ、各サンプルについて、ユーザは、サンプル管をユニット化試薬使い捨て物品(分析物専用)中でラックの対応のレーン中に滑らせる。ユニット化使い捨て物品は、サンプルプレプ試薬、プロセス管並びに既にこの中にあらかじめパッケージ化された使い捨てピペットを全て有する。全ての使い捨て物品がいったんラック中に装入されると、ラックは、装置上のその適所に配置される。次に、ユーザは、装置のドアを閉じ、次にGUI(グラフィックユーザインタフェース)を用いてサンプル処理を開始する。
【0365】
装置は、全てのサブシステムの機能をチェックし、次のサンプル管のバーコード、ユニット化試薬使い捨て物品及び24レーン型マイクロ流体カートリッジの存在を読取る。既存の作業リストとの不一致があると、これが判定され、必要ならばエラーがフラグ立てされる。この装置は、次に、一連の液体処理、加熱、磁気分離に進み、それにより臨床サンプルの各々についてサンプル調製ステップを完了し、精製核酸をPCR試薬と混合し、最終の混合物を24レーン型マイクロ流体カートリッジのレーン中に小出しする。マイクロ流体カートリッジに最終PCR混合物を装填した後、カートリッジを読取り装置内に動かして位置合わせし、光学検出システムは、カートリッジをマイクロ流体PCRヒータ表面に押し付ける。オンチップバルブを作動させて反応混合チャンバを閉鎖し、熱サイクル作動を開始させてPCR反応を開始させる。PCRの各サイクルにおいて(最高45サイクルまで)、各PCRレーンからの発光を光学検出システムによって検出し(PCRレーン1つ当たり2色)、最終結果をしきいサイクル(Ct)に基づいて判定する。次に、使用済みカートリッジを自動的に廃棄物カートリッジ貯蔵箇所内に押し出す。
【0366】
マイクロ流体カートリッジ(最大24個のカートリッジ)をカートリッジパック内に貯蔵し、装置は、カートリッジパックから全てのカートリッジをいったん使用し尽くすと、カートリッジパックを交換し、廃棄物カートリッジ貯蔵箇所を空にするようユーザに警告を出す。
【0367】
〔24レーン型カートリッジ〕
24レーン型カートリッジは、2つの列をなす12PCRレーンを有する。種々の図を、
図75〜
図77に示す。カートリッジは、3つの層、ラミネート、基体及びラベルを有する。ラベルは、2つの小片の状態で示されている。各レーンは、使い捨てピペットとインタフェースを取る液体入口ポート、4マイクロリットルPCR反応チャンバ(幅1.5mm、深さ300ミクロン及び長さ約10mm)、PCR反応器の各側に設けられた2つのマイクロバルブ及び出口通気部を有する。マイクロバルブは、常開であり、作動時にチャネルを閉鎖する。出口孔は、6μlを超える流体がカートリッジ内に小出しされる場合、余分の液体(約1μl)を流体チャネル中に流入させることができる。
【0368】
カートリッジの入口孔は、形状が円錐形に作られ、その直径は、ピペットを円錐形孔内に流体小出しヘッドによって容易に収納することができるようにするために頂部のところが3〜6mmである。ピペットが円錐内にいったん嵌まり込むと、円錐形の形により、ピペットが案内され、機械的に封止されてカートリッジ内への流体の誤りのない小出し又は引き込みを可能にする。孔が大きければ大きいほど、孔はピペットと一層良好に位置合わせされるが、カートリッジの幅の中における入口ポートの数を最大にすると共に孔相互間のピッチをピペット間距離と適合性があるよう保つ必要がある。この特定の設計では、ピペット間距離は、18mmであり、カートリッジ内における装填孔相互間の距離は、8mmである。従って、レーン1,4,7,11が1回の小出し操作中にピペット操作され、次にレーン2,5,8,12がピペット操作される等する。
【0369】
円錐形孔の高さは、カートリッジを棚部上に積み重ねることができるようにするためにカートリッジの棚部の高さよりも低く保たれる。カートリッジの2つの長い縁部の棚部により、2つの積み重ね状態のカートリッジ相互間の表面接触を最小限に抑えた状態でカートリッジの積み重ねが可能であると共にカートリッジがカートリッジパックからリーダ内に案内されるのが助けられる(
図28〜
図33を参照されたい)。
【0370】
〔カートリッジオートローダ〕
カートリッジオートローダは、ばね押しボックス内にあらかじめ積み重ねられた24個のマイクロ流体カートリッジのパックを確実にロックする箇所から成る(例えば、
図33参照)。ボックスは、オートローダ内へのボックスの一方向位置決め及びロックを可能にするよう側部に構造要素を有している(
図33)。新たなボックスを装填するため、ユーザは、摺動要素をオートローダの左側に動かし、ボックスをスロット内に配置すると共にこの中に押し込み、摺動ロックを解除してボックスをその正しい箇所に保持する。ボックスの底部に設けられたばねは、ボックスの交換が必要な場合、ボックスを上方に押すのを助ける。カートリッジパックの底部に設けられたコイルばねは、カートリッジに押し付けられ、カートリッジを4〜20ポンド(1ポンドは、約0.455kgである)の力でカートリッジを連続的に押すことができる。
【0371】
カートリッジの存否は、もし設けられていればカートリッジの頂部のバーコードを読取ることにより検出される。
【0372】
PCR作動を開始させるため、ピペットヘッドは、PCR反応混合物をオートローラの頂部カートリッジの必要の数のレーン中に小出しする(
図28)。プッシャは、頂部カートリッジをオートローダボックスから2本のレール中に押し込み、これらレールは、カートリッジをPCRリーダ内に案内する。カートリッジは、リーダ下の較正箇所に押され、次に、光学素子ブロックがステップモータを用いて下方に動かされてカートリッジをマイクロヒータ表面に押し付ける。光学素子ブロック(孔付きプレート)の底部は、カートリッジを孔に対して正確に位置決めすることができるよう側部に突出部を有している。ステップモータは、カートリッジをあらかじめ較正された位置まで押し(例えば、
図30)、それによりマイクロ流体カートリッジの加熱面上で1psiの最低接触圧力が生じる。
【0373】
PCR反応の完了後、ステップモータは、カートリッジから5〜10mm遠ざかり、接触圧力を解除し、カートリッジがその案内レール内で移動することができるようにする。プッシャが作動され、プッシャは、カートリッジをカートリッジ廃棄物ビンに押し出す(例えば、
図32)。このステップの実施後、プッシャは、そのホームポジションに戻る。その戻り移動中、プッシャは、カートリッジパック内のカートリッジの頂部上に上昇することができる。というのは、プッシャは、角度に関する自由度を有しているからである(図示されている)。捩じりばねにより、プッシャは、水平位置に戻って列状態にある次のカートリッジを押すことができる。プッシャは、タイミングベルトに機械的に取付けられている。タイミングベルトを歯車モータの回転によりいずれかの方向に動かすことができる。プッシャは、スライダ構造体が一軸方向にのみ動くようにするためにスライダ構造体に取付けられている(例えば、
図31を参照されたい)。
【0374】
カートリッジ押圧機構はまた、カートリッジをオートローダボックスから検出位置に押すように構成されているだけでなくカートリッジを自動装填位置に戻すためにも使用できる。これにより、マイクロ流体カートリッジ中の未使用のレーンを次のPCR作動に用いることができる。
【0375】
カートリッジ自動装填ボックスはまた、全てのカートリッジがいったん用いられると、ボックスを容易にリサイクルし又は新たなカートリッジをこれに追加することができるように設計されている。これにより、顧客及び製造業者にかかるコストは減少する。
【0376】
〔リーダ(読取り装置)〕
リーダは、PCRレーンと光学的にインタフェースを取ると共にカートリッジをマイクロ流体ヒータ基体(
図78)に押し付けるよう24レーン型マイクロ流体カートリッジに圧接可能な光学検出ユニットから成っている。光学素子ブロックの底部は、カートリッジの最も近くに位置するPCR反応器の寸法と類似した24個の孔(2つの列をなす12個の孔)を有する。孔プレートは、低蛍光材料、例えば陽極化黒色アルミニウムで作られ、作動中、全背景蛍光を最小にしながら、PCR反応器からだけの蛍光の集まり具合を最大にする(
図79A及び
図79B)。孔プレートの底部は、孔がPCR反応器と一線をなすよう(
図80及び
図81)カートリッジの2つの縁部を適当に位置合わせするのを助ける2つの斜切縁部を有している。
【0377】
光学検出ユニット(全部で8つの検出ユニット)は、光学ボックス内で摺動レール上に組立状態で取付けられており、従って、光学ユニットを孔上で走査することができるようになっている(
図82)。各ユニットは、或る光の波長を励起し、これをPCR反応器上に合焦させ、放出された特定波長の蛍光を光検出器中に集めることができる。4つのチャネルの頂部上で4つの互いに異なる色を用い、底部チャネル内で4色を繰り返すことにより、スキャナ全体は、PCRレーンの各々について最高4色までを走査することができる。
【0378】
光学素子ブロックをアルミニウムから機械加工して形成し、低蛍光黒色プラスチック(
図83)を用いて陽極化し又は射出成形するのがよい。射出成形は、ユニット1つ当たりのコストを劇的に減少させることができると共に光学素子の組立を容易にする。設計されたユニットを背部と背部を突き合わせた状態で積み重ねることができる。
【0379】
〔実施例13:本明細書で説明する準備及び診断装置に用いられる例示の電子装置〕
専用ハードウェア上で作動する多数の独立ソフトウェアモジュールが設けられる。本明細書においては、診断(PCR)システムに用いられる電子装置の例示の仕様を説明する。PCRシステムに関連した追加の情報は、本明細書の別の箇所において説明される。幾つかの実施形態では、PCRシステムは、9つの互いに異なるタイプの自由発光のプリント回路板(PCB)を有する。
図86を参照すると、システムは、3つの多重(MUX)ボード100a〜100cを有するのがよく、これらのうちの2つ(マイクロヒータMUXボード100a,100bは各々、マイクロヒータボード110a,110bを作動させるよう使用でき、第3のもの(溶解ヒータMUXボード100c)は、1つ又は2つ以上の溶解ヒータボード116,117を作動させることができる。3つのMUXボード100a〜100cの各々は、イーサポートを介してPCプロセッサボードにより制御できる。各々がMUXボード100a,100bのうちの一方により制御される2つのマイクロヒータボード110a,110bは、マイクロ流体カートリッジ上のマイクロゾーンを加熱する。幾つかの実施形態では、システムは、溶解ヒータMUXボード100cにより制御される2つの溶解ヒータボード116,117を有し、これら溶解ヒータボードは、2つの12サンプル型ラックの各々の中の溶解管を加熱する。
【0380】
依然としてPCRシステム中に設けられたPCBを参照すると、このシステムは、マイクロ流体カートリッジの化学的性質により放出される光学的蛍光を各々検出することができる2つの12チャネル型光学検出ボード130a,130bを有するのがよい。光学検出ボードをRS−422インタフェースを介してSPIの使用によりMUXボード100〜100cのうちの1つ又は2つ以上によって制御できる。このシステムは、3つのモータ制御ボード140a〜140cを有するのがよく、この場合、1つのボード(例えば、モータ制御ボード140c)は、2つの磁気分離モータ(図示せず)を制御でき、残りの2つのモータ制御ボード(例えば、モータ制御ボード140a,140b)は、各々、1つのリーダトレイモータ(図示せず)及び1つのリーダ圧力モータ(図示せず)を作動させることができる。磁気分離モータ(例えば、モータ制御ボード140c)を作動させるモータ制御ボードを溶解ヒータMUXボード100cからRS−485インタフェースを介して制御することができ、1つのリーダトレイモータ及び1つのリーダ圧力モータを各々作動させる2つのモータ制御ボード140a,140bをマイクロヒータMUXボード100a,100bによりRS−485インタフェースを介して制御することができる。このシステムは、システムの全体的順序づけを命令し、外部イーサネット(登録商標)及びUSBインタフェースを介して制御可能な1つのPCプロセッサボード150及びPCプロセッサボード150のための内部インタフェースをこのシステムの残部及び外部インタフェースに提供する1つのPCプロセッサベースボード160を更に有するのがよい。このシステムは、全てのシステムボードを互いに接続する1つの主バックプレーン180、モータ制御ボード140a〜140cを主バックプレーン180及び台(図示せず)に相互接続する1つのモータ制御バックプレーン190及び2つのドアセンサボード(図示せず)を有するのがよい。一方のドアセンサボードは、フロントドアソレノイドロックとPCプロセッサベースボード160との間の相互接続を可能にし、他方のドアセンサボードは、位置センサとPCプロセッサ利用ボード160との間の相互接続を可能にする。
【0381】
幾つかの実施形態では、PCRシステムは、在庫品PCプロセッサボード150を有するのがよい。PCプロセッサボード150は、ETXフォームファクタボードであるのがよく、このETXフォームファクタボードは、1つの10/100BASE−Tイーサポート、4つのUSBポート、1つのアナログVGAディスプレイポート、2つのURATポート、1つのリアルタイムクロック、1つのパラレルポート、1つのPS2キーボードポート、1つのPS2マウスポート、ステレオオーディオ出力、1つのIDEインタフェース及び1つの12Cインタフェースを有する。
【0382】
図87を参照すると、このシステムは、PCプロセッサベースボード160を更に有するのがよく、このPCプロセッサベースボードは、内部通信のための5つのポート10/100BASE−Tイーサブリッジ161を有し、これらのうちの1つは、PCプロセッサボード150の10/100BASE−Tイーサポートに接続可能であり、これらのうちの別のものは、診断使用のためのものであり(システムカバー内部にコネクタを備えている)、これらのうちの3つは、バックプレーン180を介して3つのMUXボード100a〜100cと通信可能である(各MUXボード100a〜100cについて1つずつポートが設けられている)。PCプロセッサベースボード160は、外部イーサネット(登録商標)接続のための1つのUSB−10/100BASE−Tイーサポート162、外部接続のための1つの4ポートUSBハブ163、1つの外部VGAコネクタ116、1つの内部PS2マウスコネクタ165(システムカバー内にコネクタを備えている)及び1つの内部PS2キーボードコネクタ166(システムカバー内にコネクタを備えている)を更に有するのがよい。PCプロセッサベースボード160は、搭載スピーカ168上に設けられた1つの内部ステレオオーディオ出力167、IDEポートからの1つの内部コンパクトフラッシュ(登録商標)コネクタ169(システムカバー内部にコネクタを備えている)及びUARTポートからの1つの内部RS−232インタフェース170(システムカバー内にコネクタを備えている)を更に有するのがよい。PCプロセッサ利用ボード内に設けられた追加の構成要素としては、UARTポートからの1つの内部RS−485インタフェース171(システムカバー内にコネクタを備えている)、12Cインタフェースに接続された1つの内部温度センサ172、リアルタイムクロック用の電池及び1つのパラレルポート173が挙げられる。システムカバー内にコネクタを備えたパラレルポート173は、次のように内部接続可能であり、即ち、1つのビットは、2つのドアソレノイド用の大電流ローサイドスイッチを駆動するために使用でき、1つのビットは、いずれかのドアセンサがドアが開かれていることを指示したときに、プロセッサの中断状況を発生させるために使用でき、3つのビットは、イーサネット(登録商標)ブリッジ161をコンフィグするEEPROMをプログラムするために使用でき、2つのビットは、イーサネット(登録商標)ブリッジ管理インタフェース(図示せず)に接続可能である。残りのビットは、オプションとしてプルアップ及びプルダウン抵抗器を備えた状態で非割り当て状態のままであってよく、かかるビットは、10ピンフェニックス(Phoenix)接触ヘッダに出される。
【0383】
次に
図88を参照すると、幾つかの実施形態では、このシステムは、3つのMUXボード100a〜100cを有するのがよい。
図88は、例示のMUXボード100aを示すが、3つのMUXボード100a〜100cの各々は、以下に説明する特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。MUXボード100aは、最大電流が約800mAで20又は24ボルト(外部から提供される電圧)駆動装置を支持することができるヒータ(約33オーム〜約150オーム)を有する96パルス幅変調(PWM)制御加熱チャネルを有するのがよい。各PWMは、プログラム可能な開始及び停止点を備えた12ビットであるのがよく、1マイクロ秒解像力を有し、約75%の最大デューティサイクルを有するのがよい。各PWM周期は、プログラム可能であり、好ましくは、4msに設定される。MUXボードは、精度1mA検出センサの4ワイヤRTD/ヒータ接続部を有するのがよく、この接続部は、約50オーム〜約2500オームの抵抗温度装置を受入れることができ、測定精度が±0.5オームである。MUXボードの熱測定サンプル周期は、32msであり、これは、12個の16ビッドADC101aが各々8つの連続したチャネルをサンプル採取する8XPWM周期を含む。MUXアドレスをADCデータにタグ付けすることができる。
【0384】
依然として
図88に示すMUXボード100aを参照すると、バックプレーン180により相互接続が行われ、局所ハンドシェーク信号及び中断を用いて4ワイヤSPIインタフェースによりデータを伝送するRS−422光学素子ボードインタフェース102aをMUXボード100aに設けるのがよい。MUXボード100aは、バックプレーン180によりシステムに相互接続された10/100BASE−Tイーサネット(登録商標)インタフェース103a及びバックプレーン180によりモータコントローラ140aに相互接続されたRS−485インタフェース104aを更に有するのがよい。
【0385】
次に
図89を参照すると、幾つかの実施形態では、このシステムは、光学検出ボード130a,130bを有するのがよい。
図89は、例示の光学検出ボード130aを示すが、光学検出ボード130a,130bの各々は、以下に説明する特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。光学検出ボード130aは、RS−422インタフェース131aを用いるよう改造された12チャネル光学素子ボード設計を有するのがよい。光学検出ボード130aは、最高約625mAで約6Vによって駆動される12個の3ワット青色LED132aを有するのがよい。検出ボード130aで用いられる例示のLEDは、700mAで約27mWを用いて約470nmの波長で青色光を出すLuxeonK2である。光学検出ボード130aは、最高約625mAで約6V、最高約625mAで駆動される12個の3ワット琥珀色LED133aを更に含むのがよい。検出ボード130aで用いられる例示のLEDは、700mAで約60mWを用いて約590nmの波長で琥珀色を出すLuxeonK2である。検出ボード130aは、12個のレンズ付きシリコンフォトダイオード検出器134aを有するのがよく、その一例は、HamamatsuS2386-18Lである。これらフォトダイオード検出器134aは、共通のTO‐18パッケージ内に設計されている。検出ボード130aは、2つのPWMチャネルを備えたMSP430プロセッサ135aを更に有するのがよく、かかるPWMチャネルは、青色チャネルにつき1つ、琥珀色チャネルについて1つ設けられている。ボード130aは、ローカルSPIバスにより設定される12色の対の各々について個々のLEDイネーブル136a,137aを有するのがよい。
【0386】
PCRシステムは、溶解管に対する加熱を可能にすると共にこれをモニタする溶解ヒータボードを有するのがよい。ヒータボードは、MUXボード100a〜100cのうちの1つ又は2つ以上(例えば、MUXボード100c)から24Vが給電されるように設計された12〜70ワットTO‐247電力抵抗器(溶解管に熱を提供する)及び溶解管の温度をモニタする12〜2000オーム抵抗温度装置(RTD)を有するのがよい。RTDのフルスケールレンジを変更するオプションとしての抵抗器を設けるのがよい。溶解ヒータボードには、シリアルEEPROMが設けられ、このEEPROMは、ボードシリアル番号を保持することができ、かかるシリアルEEPROMを用いると、ボードタイプ及びソフトウェアの改定レベルを確認することができる。
【0387】
次に
図90を参照すると、幾つかの実施形態では、本システムは、マイクロヒータボード110a,110bを有するのがよい。
図90は、例示のマイクロヒータボード110aを示すが、マイクロヒータボード110a,110bの各々は、以下に説明する特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。幾つかの実施形態では、システムは、シリアルEEPROM及び2つの光学インタラプタを含むマイクロヒータボード110aを有するのがよい。シリアルEEPROMは、ボードシリアル番号を保持することができ、RTD較正データを保持することができ、そしてボードタイプ及びソフトウェアの改定レベルを確認するために使用できる。光学インタラプタは、モータ制御ボード140aのためのリーダトレイ位置を検出するために使用でき、情報をブルー・コブラ(Blue Cobra)(モータコントローラ)に送り、このブルー・コブラは、リーダトレイの位置に関する情報を処理し、それに応じて、エミッタに対してモータ制御ボード140aにより供給される電力を制御する。マイクロヒータボード110aは、96チャネル型マイクロヒータプレートへの接続を提供することができ、96多重化ヒータ/RTD装置を制御してカートリッジ特徴温度を調節することができる。ヒータ/RTD装置は、約50オーム〜約500オームであるのがよい。マイクロヒータボード110aは、RS−422インタフェースを例えばMUXボード100aから光学検出ボード130aにブリッジすることができる。マイクロヒータボード110aからMUXボード100aへの接続は、バックプレーン180により行われ、これに対し、光学素子ボード130aへの接続は、40ピンFFCケーブルにより行われる。
【0388】
次に
図91を参照すると、幾つかの実施形態では、システムは、モータ制御ボード140a〜140cを有するのがよい。
図91は、例示のモータ制御ボード140aを示すが、モータ制御ボード140a〜140cの各々は、以下に説明する特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。幾つかの実施形態では、システムは、モータ制御ボード140aを有するのがよく、このモータ制御ボードは、2つのマイクロステップモータ141aを制御することができ、RS−485を介してかかるモータ制御ボード140aをバックプレーン180に接続することができる。モータへの出力は、バックプレーン180を介して外部から供給される最高24Vまでであるのがよい。出力電流は、ジャンパにより選択可能であるのがよい。ジャンパ設定により選択可能な例示の出力電流としては、約700mA、約1.0A又は2.3Aが挙げられる。モータ制御ボード140aは、MUXボード100aへのオープンコレクタTTLインタラプト出力及びフラグ入力を有する。フラグ入力は、センサに対して1.5Vの電力出力を提供することができ、かかるフラグ入力をソフトウェアによりオンオフに切り替えることができる。
【0389】
リミットスイッチが、各軸線の最も端の箇所、例えば、x−最小、及び、x−最大のところに配置され、かかるリミットスイッチは、誤作動が起きた場合やピペットヘッドが設計された作業距離からはみ出た場合にその軸線を駆動するモータへの電力をターンオフする。オプションとしてのプルアップ及びプルダウンが光学インタラプタの出力に用いられる。
【0390】
幾つかの実施形態では、システムは、1つ又は2つ以上の相互接続ボード、例えば主バックプレーン180を有するのがよい。主バックプレーン180は、他のPCB、例えばMUXボード100a〜100c、PCプロセッサベースボード160及びヒータ相互接続ボードを互いに接続することができる。主バックプレーン180は、モータ制御バックプレーン190及び2つの溶解ヒータボードにケーブル接続可能である。主バックプレーン180は、電力及びシグナリングを分配し、バックプレーン180により10/100BASE−Tイーサネット(登録商標)及びRS−485を実行することができ、そして外部コネクタから電圧を供給する。供給される例示の電圧としては、+3.3V、+5.0V、+12.0V、−12.0V、+20.0V及び+24.0Vが挙げられる。
【0391】
本システムは、モータ制御ボード140a〜140cの全てのための電力及びシグナリングを分配することができるモータ制御バックプレーン190を有するのがよい。モータ制御バックプレーン190は、外部コネクタから+5.0V及び24.0Vを供給することができる。モータ制御バックプレーン190は、2つのMUXボード100a,100bの各々からのRS−485シグナリングのための1つのスロット(全部で2つのスロット)、溶解ヒータ制御MUXボード100cからのRS−485シグナリングのための6つのスロット及びRS−485シグナリング及び電力を台に提供する1つのコネクタを有するのがよい。モータ制御バックプレーン190は、浮動バスを取扱うためにプルアップ及びプルダウン抵抗器となることができる。
【0392】
幾つかの実施形態では、本システムは、ヒータ相互接続ボード及びドアセンサボードを有するのがよい。ヒータ相互接続ボードは、物理的相互接続手段のみを用いて(例えば、能動的回路無しで)マイクロヒータボード110a,110bを主バックプレーン180に接続することができる。ドアセンサボードは、光学インタラプタからケーブルインタフェース及びミキシング論理を提供することができ、かかる光学インタラプタは、ドアが開いていることを検出し、ドアロックソレノイドに取付け及びケーブリングインタフェースを提供する。
【0393】
〔実施例14:本明細書において説明する準備及び診断装置用の例示のソフトウェア〕
次の専用ハードウェア、即ち、
リーダ(2)、
サンプル‐プレップ(1)、
ユーザインタフェース(1)、
検出器(2)、
モータ制御装置(8)
上で多数の独立ソフトウェアが作動する。
【0394】
モジュール間通信は、中でも、内部イーサネット(登録商標)バスにより行われ、ユーザインタフェースとの通信は、高速SPIバスにより行われ、モータ制御装置との通信は、RS−485シリアルバスを介して行われる。
【0395】
リーダ及びサンプル・前処理(準備)ソフトウェアは、同じハードウェア上で作動し、従って、同じものであり、以下の機能を含む
スクリプトエンジン(プロトコルのパラメータ化形態)
プロトコルエンジン
温度制御装置(マイクロ流体ス、溶解、遊離)
モータ制御(外部モータ制御モジュールを介する)。モータ制御ソフトウェアの顕著な特徴は次の通りである。
ASCIIにおける指令/応答及び通信リンクのディジーチューニングを可能にするアドレス指定機能。
検出(外部検出器モジュールによる)。検出器モジュールは、LED照明及び光検出器ディジタル化を制御する。
【0396】
ユーザインタフェースは、埋め込み式x86準拠PC上で作動するリナックス(Linux)(登録商標)下で走るプログラムとして具体化される。以下の機能がアドレス指定される。
グラフィックユーザインタフェース
試験制御装置及びモニタ
イーサネット(登録商標)を介する試験結果格納及び検索ネットワーク接続性(ラボ情報システムに対する)
USBインタフェース
プリンタ
スキャナ(内部及び外部)
キーボード
マウス
ドアロック及び検出
【0397】
〔実施例15:例示の化学的性質及び使用方法〕
〔化学的性質の概要〕
化学プロセスの中心は、臨床材料又は検体の検出及び識別にあり、そのための手段として、目的とする有機体からの核酸を検出する。これには、臨床材料中に含まれている標的有機体からの核酸の隔離を行い、次に、特定の核酸シーケンス(配列順序)の存在を検出するプロセスを実施する。標的検出に加えて、内部陽性対照核酸が収集緩衝液に添加され、抽出及び検出プロセス全体により標的核酸と一緒に取り込まれる。この陽性対照は、プロセス全体の有効性をモニタし、誤った否定的な結果が得られる恐れを最小にする。
【0398】
〔核酸抽出及び精製〕
核酸抽出手順は、調製された検体収集溶液への臨床検体の添加で始まる。これは、検体収集箇所か試験箇所かのいずれかで行われるのがよい。2つの収集溶液フォーマット、即ち、体液に関するフォーマット及びスワブ検体に関するフォーマットが利用可能である。収集箇所のところで用いられる収集溶液は、検体運搬溶液としての役目を果たし、従って、この溶液は、検体と分析物の一体性を維持しなければならない。
全体として自動化される抽出及び精製手順は、次のように進む。
洗浄液含有収集溶液を加熱することにより標的有機体を溶解させる。
磁気ビーズを検体/収集溶液混合物に添加し、溶液中に遊離されたDNA全てを非特異的に結合する。
磁気ビーズを隔離し、これらを洗浄して汚染要因物を除去する。高pH及び熱を用いてビーズからDNAを遊離させる。
DNA含有溶液を取出し、これを緩衝液で中和化する。
【0399】
〔核酸増幅〕
磁気ビーズにより捕捉され、洗浄され、高pH中で遊離され、そして緩衝液で中和化された核酸を緩衝液、塩及び管中で凍結乾燥させた酵素の混合物に添加する。混合物を急速に再水和し、次に、溶液の一部をマイクロ流体カートリッジ上に載せる。次に、カートリッジを増幅機械モジュール中に装填し、このモジュールは、熱サイクル作動を行うことができる加熱ユニット、光学検出システムとから成っている。標的核酸の検出は、次のように進む。
【0400】
液体を反応チャンバ内に封入する。
迅速熱サイクル作動方式を用いてポリメラーゼ鎖反応(PCR)を増強させ、このPCRは、特定標的DNAを増幅するために利用される。
増幅したDNAは、蛍光を出し、この増幅DNAを光学センサにより検出することができる。
蛍光プローブ「テール」をDNAの各増幅片中に組込む。
特定の温度では、プローブは、蛍光を出すコンフォメーションを採用する(これは、「サソリ」反応と呼ばれる。これについは、
図84を参照されたい)。
蛍光を検出し、反応全体にわたってこれをモニタする。
【0401】
〔抽出及び増幅/検出プロセス〕
大々的なベンチスケール試験を実施して核酸抽出化学作用を最適化し、かかる化学作用としては、収集緩衝液、洗浄緩衝液配合物、遊離溶液配合物及びPCR試薬混合物が挙げられる。完全自動化抽出方法を実施し、次に12型アップPCRを実施することにより、150コピー/サンプルで非常に高い感度を終始一貫して提供することができた。
【0402】
〔実施例:尿中のクラミジア(50/50)、尿中の淋菌、結晶中のGBS〕
種々の検出化学作用、例えば、Taqman、Scorpion(スコーピオン)、SYBRg Greenは、マイクロ流体カートリッジ中で高信頼度で役立つ。
【0403】
〔試薬製造〕
2μl凍結乾燥ペレットの使用に加えて、PCR試薬をPCR管中で凍結乾燥させることができるがどうかを判定するために実現可能性に関する研究を行った。かかる試験結果の示すところによれば、管凍結乾燥試薬を用いて実施した反応の感度は、湿潤状態の試薬又は2μlペレット試薬の感度に等しく、従って、実現可能性が証明されたこのフォーマットに関する安定性に関する研究により、同様な安定性のデータが示された。本発明者は、2マイクロリットルの凍結乾燥PCRペレットがいったん窒素雰囲気内に封入されると、室温で最高2年まで安定であることを見出した。
【0404】
製造の概要:本システムの構成要素の製造は、ミシガン州アンアーバ所在のハンディラボ・インコーポレイテッド(HandyLab, Inc.)で実施できる。製造作業は、化学作用手段の製造と、使い捨てストリップと、収集キット、カートリッジと、分析装置とから成る5つの分野に分割されている。
【0405】
化学作用手段製造:現在、本明細書において説明するシステムに潜在的に使用可能なものとして特定された個々の配合化学作用構成要素は7つ存在する。試薬/化学薬品を混合し、配合し、そして処理することは、既存の機器が既に適所にある状態でハンディラボ・インコーポレイテッド(HandyLab, Inc.)で実施できる。追加の工具類及び取付け具は、製品が仕上がるにつれて必要になり、本発明者は、大量生産を実施することができるが、初期費用は最小限であろう。
【0406】
収集緩衝液、洗浄液、遊離液及び中和化液は、危険性が非常に低い単純な処方であり、混合/配合の人件費を標的見積もりに又はそれ以下に保つよう大きなバッチで作られるのがよい。これらは、混合され、備蓄のために中間容器内に入れられ、次に、小出しのために使い捨てストリップ製造に送られる。十分に練られたSOPは、先のプロジェクト活動から見て適所に存在する。
【0407】
親和性ビーズ(AB)は、ストリップ中に液体として貯蔵されると共に使用される高い可能性を備えているが、凍結乾燥ペレットを用いる設計上の偶然性は、バックアップとして適している。ビーズを小出し中、溶液中に懸濁した状態に保つことが重要である。小出し中、連続懸濁のための攪拌を行う小出し機器(例えば、イノバダイン(Innovadyne)社により製造されている)は、ストリップ中の液体AB貯蔵の安全性がいったん証明されると、購入用に識別された。親和性ビーズを製造して磁化するプロセスは、2,000アリコートのバッチを製造するのに9時間のサイクル時間にわたるが、同じ期間は、本発明者がいったん大量生産に踏み切ると、処方のバッチのスケールアップのために使用できる。このアイテムは、現在本装置に必要な全ての化学作用構成要素の製造の最も高い人件費内容を含む。
【0408】
PCR試薬/酵素は、本発明者の既存の凍結乾燥チャンバ(バーティス・ジェニシス(Virtis Genesis))内で凍結乾燥されるが、球形ペレット形成体を必要としない。その代わり、混合物は、最終用途管内に小出しされ、次に、この内部で凍結乾燥される。先ず最初に、化学作用手段を確立されたSOPに従って混合し、次に、以下のステップを実施して凍結乾燥を達成する。即ち、個々の管をラック/取付け具内に配置し、既存の機器(イーエフデー・ウルトラ・ディスペンス・ステーション(EFD Ultra Dispense Station))を用いて各々の中に小出しする。充填状態のラックをステンレス鋼気密箱(蓋の中にストッパを受入れるよう改造されている)内に配置し、次に、凍結乾燥チャンバ内に配置し、乾燥サイクルが無人状態で始まる。凍結乾燥中、ストッパは、空気/窒素がバイアルのステンレス鋼箱保持ラック中に循環すると共に水分がこれから出ることができるようにする上昇位置に存在する。サイクルの終わりに、本発明者の凍結乾燥チャンバの棚が、ストッパを蓋内に封入するよう下降し、依然として密閉チャンバ内に位置した状態で水分のない窒素雰囲気中にシールを形成する。次に、ステンレス鋼製箱をチャンバから取出し、内部の各ラックを1回の作業で処理してそのラック内の全てのバイアルを密封する。密封直後に、バイアルを1回の作業でフィルムからダイカットし、個々のバイアルを使い捨て製造領域に送ってストリップ内に配置できるようにする。内部対照が既存の溶液に添加されるか収集緩衝液、洗浄溶液、中和化溶液及び遊離溶液の仕方でそれ自体のキャビティ中に小出しされるかのいずれかが行われる。凍結乾燥が必要な場合、これは、PCR化学作用物質と同じ仕方で達成され、後で、ストリップ中にスナップ嵌めされる。貯蔵安定性に関する研究は、進行中である。
【0409】
〔収集キット製造〕
収集キットは、初期の量について所内で手動で処理される。初期の量は、資本的支出を必要としないであろう。というのは、本発明者は、2008年中の計画を賄うことができるのに必要な全ての機器を備えているからである。本発明者は、収集バイアルを充填するために本発明者の既存の機器(EFD 754-SS Aspetic Valve & Valvemate 7000 Digital Controller)を用いる。バイアルは、トルクが加えられるツイストオン型頂部を有し、バイアルは、各バイアルに設けられた所有権付きIDバーコードを有する。24個のバイアルが、再密閉可能なプラスチック袋内に配置され、輸送のためにカートン内に配置される。
【0410】
バイアルをラック内に配置する。
溶液をバイアル中に小出しする。
キャップを取付けてこれにトルクを加える。
バイアルをラベル表示する。
バイアルを袋詰めし、袋をラベル表示する。
バイアル袋及び取扱い説明/挿絵をカートン内に入れ、密閉してラベル表示する。
【0411】
〔カートリッジ製造〕
積層材及びワックス供給のための既存の半自動化機器(それぞれ、シンク・アンド・ティンカー(Think & Tinker DF-4200)及びアシムテック・アキショム・ヒーティッド・ジェット・プラットホーム(Asymtek Axiom Heated Jet Platform))を利用して全てのカートリッジ製造上の要件を満たす。12‐アップ使い捨て物品のフットプリントは、RTa10カートリッジと同一であり、従って、追加の取付け具は不要である。
【0412】
マイクロ基体を積層し、過剰分をトリムする。
バルブに高温ワックスを充填し、点検する。
ラベルを貼り、バーコードを付ける。
24個の小片を互いに結束する。
結束されたカートリッジを袋詰めして密封し、袋をラベル表示する。
袋及び挿絵をカートン内に入れ、密封してラベル表示する。
【0413】
製品のこの部分は、比較的単純である。ただし、自動化12‐アップカートリッジ(本明細書において用いられている)とスタンドアロン型12‐アップカートリッジとの間には差がある。通気は、このカートリッジについては不要であり、それにより、完全一体形自動化のための最も高い危険性及び最も高いコストと共に、カートリッジ製造のための最も時間のかかるプロセスが不要になる。通気により12‐アップの1,000を超える小片が首尾よく作られた。
【0414】
〔実施例16:例示の化学作用プロセス〕
〔サンプル予備処理〕
尿サンプルに関し、0.5mlの尿を取り、これを0.5mlのハンディラボ社の収集緩衝液と混合する。サンプルをハンディラボ・インコーポレイテッドの前置フィルタ(10ミクロン孔径と3ミクロン孔径の2種類のメンブレンを有する)により濾過する。サンプル管を12‐アップラック中の外部のサンプル管について特定された位置に配置する。
【0415】
血漿サンプルに関し、0.5mlの血漿を取り、これを0.5mlのハンディラボ社の収集緩衝液と混合する。サンプル管を12‐アップラック中の外部のサンプル管について特定された位置に配置する。
【0416】
GBSスワブサンプルに関し、スワブサンプルを取り、これを1mlのハンディラボ収集緩衝液中に漬ける。サンプル管を12‐アップラック中の外部サンプル管について指定された位置に配置する。
【0417】
ハンディラボサンプル収集緩衝液は、陽性対照DNAの100個のコピーに加えて、50mMTrispH7、1%TritonX‐100、20mMシトレート、20mMボレート、100mMEDTAを含む。
【0418】
〔器械への装填及びサンプル処理の開始〕
1.PCRマスター混合物を収容したPCR管をユニット化使い捨て物品の指定されたスナップ嵌め箇所のうちの1つに装入する。
2.検討対象の標的分析物に関するPCRプローブ及びプライマを収容したPCR管をユニット化使い捨て物品の指定された箇所に装入する。
3.2種類の分析物の試験の場合、第2の分析物に関するプローブ及びプライマを収容したPCR管をユニット化使い捨て物品の指定された箇所に装入する。
4.ユニット化使い捨て物品を検討対象のサンプル管と同じレーン内の12‐アップラック内に装入する。
5.検討対象の他のサンプルに関するユニット化試薬ストリップを調製して装入する。
6.12‐アップラックを器械内の箇所うちの1つの中に装入する。
7.12‐アップカートリッジをカートリッジトレイ装填位置に装入する。
8.操作を開始する。
【0419】
〔液体処理ステップ〕
1.ピペット先端部1番を用いて、ロボットは、臨床サンプルを外部サンプル管からユニット化使い捨てストリップの溶解管に移送する。
2.同じピペット先端部を用いて、ロボットは、約100μlのサンプルを取り上げ、凍結乾燥酵素と親和性ビーズを混合し、試薬を溶解管に移送する。混合は、5回の吸引及び小出し操作により溶解管内で行われる。
3.ロボットは、ピペット先端部1番を、ユニット化使い捨てストリップ内のその指定された箇所に置く。
4.溶解管を60℃まで加熱し、これを10分間維持する。
5.5分間の溶解後、ロボットは、ピペット先端部1番をピックアップし、3回の吸引及び小出し操作により内容物を混合する。
6.ロボットは、ピペット先端部1番をユニット化使い捨てストリップ中のその指定された箇所に置く。
7.10分間の溶解後、磁石を溶解管の側部に沿ってサンプルの中間高さまで移動させ、そして1分間その位置に保持し、それにより全ての磁気ビーズを管の壁に吸着捕捉する。
8.磁石をゆっくりと下げて捕捉状態のビーズを管の底部の近くに(底部ではない)滑らせる。
9.ピペット先端部2番を用いて、全ての液体を吸引し、これを廃棄物管中に捨てる。
10.もう一度吸引してできるだけ多くの液体を溶解管から除去する。
11.同じピペット先端部2番を用いて、100μlの洗浄緩衝液を抜き取り、これを溶解管中に小出しする。この小出し中、磁石を下方に移動させて溶解管から遠ざける。
12.15回の混合ステップを実施して磁気ビーズを洗浄緩衝液と完全に混合する。
13.30分間待機する。
14.磁石を上方に移動させて磁気ビーズを側部に捕捉し、15分間保持する。
15.ピペット先端部2番を用いて、洗浄緩衝液を2回吸引してできるだけ多くの液体を除去し、これを洗浄管中に戻し入れる。
16.磁石を下方に移動させて溶解管から遠ざける。
17.ピペット先端部2番をユニット化使い捨てストリップのその指定された箇所に配置する。
18.新たなピペット先端部(先端部3番)をピックアップし、8〜10μlの遊離緩衝液を抜き取り、これを溶解管中のビーズに掛ける。
19.1分間待機し、次に45回の混合を行う。
20.遊離溶液を85℃まで加熱し、5分間その温度を維持する。
21.ピペット先端部3番をユニット化使い捨てストリップのその指定された箇所に配置する。
22.磁石を管に沿って上方に持上げ、ビーズの全てを管の壁に吸着捕捉し、これを上方に移動させて管の底部から遠ざける。
23.新たなピペット先端部(先端部4番)をピックアップし、遊離緩衝液を全て溶解管から抜き取り、次に3〜10μlの中和化緩衝液を抜き取り、これをピペット先端部内で混合し、これをPCR管中に小出しする。(2回の分析物検出の場合、中和化DNA溶液の半分を第1のPCR管中に小出しし、溶液の残部を第2のPCR管中に小出しする。)。
24.ピペット先端部4番を用い、中和化DNAを4〜5回の吸引及び小出し操作により凍結乾燥試薬と混合し、ピペット先端部内に溶液全体を抜き取る。
25.ピペット先端部4番を用い、6μlの最終のPCR溶液を12‐アップカートリッジのレーン内に装入する。
【0420】
種々のプロセス中におけるピペットヘッドの使用法が
図85A〜
図85Cに概略的に示す。
【0421】
〔リアルタイムPCR〕
PCRカートリッジの適当なPCRレーンの全てに最終のPCR溶液を装填した後、カートリッジを収容したトレイは、これをPCR分析装置内に移動させる。カートリッジは、光学検出読取りヘッドによりPCRヒータに押し付けられる。ヒータは、バルブを作動させてPCR反応器のいずれかの端部を閉鎖し、リアルタイム熱サイクル作動プロセスが始まる。適当なPCRサイクル(約45サイクル)の完了後、分析装置は、サンプルが出力蛍光データに基づいて標的DNAを有しているかどうかについて問い合わせる。
【0422】
〔ピペット検出〕
ピペットヘッドは、ピペットの存在を検出する4つの赤外線センサを有する。このことは、ピペットが存在しているか失われているかについてコンピュータが確実に知るようにする上で必要不可欠である。ピペットはピペットに機械的に力を及ぼすことによりピックアップをされ、そして更に、ストリッパプレートの機械的運動により小出しされるので、ピペット検出は、もしそうでない場合に起こるかも知れない誤りの発生を阻止するのに役立つ。
【0423】
〔ピペットヘッドの力検出〕
マルチピペットヘッドは、力センサがこれとインタフェースを取り、ピペットヘッドが使い捨てピペットに当たり若しくはピックアップされたピペットが試薬使い捨て物品内のラミネート中に押し込まれ或いはピペットが試薬使い捨て物品中の管の端部に押し付けられたときはいつでも、上向きの力がピペット保持ノズル又はピペットそれ自体を介してピペットヘッドに作用するように組み立てられる。ヘッド全体は、図示のように回動し、何らかの力がヘッドに作用することにより、ヘッドの上端部に設けられている止めねじが力センサに圧接する。この力センサは、非可動面に対してヘッドの垂直変位が可能であるよう較正される。この較正を利用して、ピペットが適正に嵌まっているかどうか又はピペットが管底部に当たっているかどうかを検出するためにz方向におけるヘッドの運動を停止させる時期を判定することができる。
【0424】
〔PCR試薬をマイクロ流体カートリッジ中に装入しながらピペット先端部の位置合わせ〕
本装置に用いられるピペットは、10μlという少ない容積から1mlという大きな容積までを有することができる。大きな容積のピペットは、95mmという長い長さのものであるのがよい(p1000ピペット)。4本の長いピペット先端部がヘッドからばね押しされている場合、嵌合中における1°の位置合わせ不良であっても、これにより、先端部は、1.7mmだけオフセンタ状態になる場合がある。先端部が先端部ホルダとインタフェースする頂部と底部の両方で先端部の完全な位置合わせを行うことは不可能なので、先端部の全てを底部の近くの別の箇所で機械的に拘束することが必要になる。本発明者は、先端部の全てを位置合わせするために用いられる規定された孔構造体を有するストリッパプレートを用いた。ストリッパプレートの孔は、4つのピペット先端部をピックアップしたときに、4つのピペット先端部全てを通過する。先端部を正しく着座させた後、モータを用いてストリッパプレートをx軸に動かしてピペット全てを動かしてストリッパプレートに設けられている切り込み(
図46Bを参照されたい)に当てる。今や、ピペット全ては、容易にカートリッジ入口孔上に載る。
【0425】
〔サンプル調製拡張〕
現在の技術は、ポリヌクレオチド(DNA/RNA)を抽出する臨床サンプルを処理する細部に関する。同じ生成物プラットホームを拡張すると、磁気ビーズ中に存在する親和性分子を変更することにより蛋白及び他の高分子を抽出するようサンプルを処理することができる。さらに、増幅‐検出プラットホームを用いると、他の酵素反応、例えば免疫PCR、逆転写酵素PCR、PMA、SDA、NASBA、LAMP、LCR、塩基配列決定反応等を実施することができる。サンプル調製はまた、高多重化マイクロアレイ検出を可能にするようサンプルを調製するためにも使用できる。
【0426】
〔実施例16:RNA‐親和性マトリックスのための例示の物質〕
例示のポリヌクレオチド捕捉物質は、ポリヌクレオチドを次のポリヌクレオチドの検出又は増幅を阻害する恐れのある他の化学種、例えば蛋白及びペプチドと混合状態で含む液体メディアと接触状態に置かれたときにその表面上にポリヌクレオチド、例えばRNAを優先的に保持する。
【0427】
例示のポリヌクレオチド捕捉物質は、シグマ−アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Sigma-Aldrich Chemical Company:以下、「シグマ−アルドリッチ(Siguma-Ardrich)」という)から製品番号412368で入手できるポリアミドアミン(PAMAM)0世代である。PAMAMは、分子がプライマと第三アミン群の混合物を含むデンドリマーである。PAMAM(0世代)は、本明細書において示された構造を有する。
【0428】
PAMAMは、使用中、固体支持体、例えばカルボキシル化ビーズ又は磁気ビーズ上に不動化される。ポリヌクレオチド捕捉物質は、ポリヌクレオチド捕捉操作中、ポリカチオン分子を含む。この物質とポリヌクレオチドとの間の親和性は、ポリヌクレオチド、例えばDNAやRNAが典型的には、溶液中に融けたポリアミンを含むので高い。
【0429】
ポリヌクレオチド分子を物質の表面上に捕捉し、溶液に溶けた残りの抑制因子及び他の化合物をアルカリ性緩衝溶液、例えば水性0.1mMTris(pH8.0)共に流し去った後、ポリヌクレオチドはそれ自体、例えば、かかる物質を第2の、よりアルカリ性の高い緩衝液、例えばpH9.0のTrisで洗浄することにより物質の表面から遊離可能である。
【0430】
核酸試験においてPAMAMを用いる例示のプロトコルは、2008年7月11日に出願された米国特許出願第12/172,214号明細書に見られ、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0431】
〔実施例17:DNA‐親和性マトリックスのための例示の物質〕
例示のポリヌクレオチド捕捉物質は、シグマ‐アルドリッチから製品番号408719で入手できるポリエチレンイミン(PEI)である。
【0432】
核酸試験におけるPEIを用いる例示のプロトコルは、2008年7月11日に出願された米国特許出願第12/172,208号明細書に見られ、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0433】
〔実施例18:例示の装置〕
PCRシステムの機械的設計のための例示の仕様を本明細書において説明する。幾つかの実施形態では、本システムは、深さが約28.5インチ(72.39cm)以下、幅が約43インチ(109.22cm)以下、重さが約250ポンド(113.4kg)以下であるのがよい。このシステムは、設計上の有効寿命が約5年(例えば、毎年16,000回の試験が行われると仮定して)であり、かかるシステムは、この器械に関する騒音レベル(作動中)があらゆる縦座標方向において器械から12インチ(30.48cm)のところで測定して50デシベルを超えないように設計されているのがよい。幾つかの実施形態では、システムの外部は、表面模様付きの白色であるのがよい。
【0434】
システム全体を参照すると、幾つかの実施形態では、システムの重要な構成要素は、互いに対して±0.04°の範囲内で直角又は平行(適宜)のままであるのがよい。例示の重要な構成要素としては、運動レール、ピペット、ノズル(例えば、個々のノズルとして軸方向に、4つのノズルセントロイドのアレイとしては直線状に、又はその他)、溶解ヒータ、リーダ(読取り装置)引き出し内に設けられたカートリッジホルダの主要な縁部、分離磁石の正面等が挙げられる。以下の説明において、X軸(又はX方向)は、システムの正面に向いたときに左から右に延びる軸線を指し、Y軸(又はY方向)は、システムの正面に向いたときに後ろから前に延びる軸線を指し、Z軸(又はZ方向)は、システムの正面に向いたときに下から上に延びる軸線を指している。器械の頂部から見て、Zペイロード上の最も左側に位置するピペットノズルのセントロイド(器械の正面から見て)は、最も外側の左のベースプレート縁から80mmの箇所から最も外側の左のベースプレート縁から608mmの箇所までX方向に非妨害状態で移動することができると共に最も外側の前側ベースプレート縁から60mmの箇所から最も外側の前側ベースプレート縁から410mmの箇所までY方向に非妨害状態で移動することができる。
【0435】
依然としてこのシステムを参照すると、器械の正面から見て、Zペイロード上のピペットノズルの最も下側の面は、ベースプレートの頂面よりも150mm上方の箇所からベースプレートの頂面よりも256mm上方の箇所までY方向に非妨害状態で移動することができる。1mlピペット先端部は、使い捨て試薬ストリップに設けられているフィルムカバーを穿通することができる。この穿通は、汚染を生じさせたり、関連の化学的性質に悪影響を及ぼしたり、或いはピペット先端部を損傷させたりすることはない。運動を必要に応じて機械的ヒステリシスをなくすような仕方で実施することができる。台の運動は、レーンの相互汚染及びキャリーオーバを阻止するよう最適化可能である。ラックは、試薬ストリップをX方向及びY方向において±0.010インチ(0.254mm)の公差に合わせて位置合わせすることができる。
【0436】
次の台を参照すると、幾つかの実施形態では、台は、ステップモータ作動式でベルト/スクリュ駆動式直角座標ロボットシステムから成るのがよい。台は、アタッチメント付きで又はアタッチメント無しで、モジュールの上方を自由に移動可能であり、モジュールは、Zペイロードが完全に引っ込められている限り、Zヘッドの後面の前方に位置すると共に最も下に位置する水平面の下に位置する。台は、X方向及びY方向において最高約500mm/秒の速度で且つZ方向に最高約100mm/秒までの速度で移動することができる。軸線の運動(例えば、Xホームセンサ、Yホームセンサ及びZホームセンサに対する)の正確さ及び精度は、各軸線について25mmよりも良好であるのがよく、保守期間全体を通じて保持できる。軸線駆動ベルトは、PCR及びサンプルを処理する箇所に残留物を残さない。台は、それ自体の且つ全てのZペイロードワイヤハーネスを引き回して器械に戻す手段を有するのがよい。X軸及びY軸にかかるベルト張力は、41.5±3.5ポンド(なお、1ポンドは、約0.4536kgである)に設定されるのがよい。
【0437】
次のZペイロードを参照すると。流体ヘッドは、中心間距離が24mmの状態で設けられた4つのピペット取付けノズルを有するのがよい。ピペットノズルが漏れなく捕捉することができる例示のピペット先端部としては、バイオロボティックス(Biorobotix)先端部PN23500048(50μL)、PN23500049(1.75μL)及びPN23500046(1ml)が挙げられる。Zペイロードは、ピペット先端部(例えば、上述のピペット先端部)を取外すことができるステッパ作動式ストリッパプレートを有するのがよい。本システムは、ポンプ・マニホルドシステムを有するのがよく、このポンプ・マニホルドシステムは、4つの個々の先端部の各々内への個々の流体容積のソフトウェアにより制御される吸引、小出し及び通気及びそれと同時に行われる全ての先端部に関する小出し及び通気を含む。ポンプ・マニホルドシステムは、20μL未満の容積について先端部1つ当たり約±2μLの正確さ及び精度並びに20μL以上の容積については±10%の正確さ及び精度を有することができる(例えば、個々の先端部の吸引又は小出しを行う場合)。ポンプストローク容積全体は、約8μL以上であり約1250μL以下であるのがよい。最小吸引及び小出し速度は、約10μL/秒〜約300μL/秒であるのがよい。各ピペット先端部の最も下の面のセントロイドは、0.2mmの範囲内でピペットノズルのノズルセントロイドの軸方向に整列するのがよい。最も下のピペット先端部面は、0.2mmの範囲内で同一平面内に位置するのがよい。Zペイロードは、約0ポンド〜4ポンドの力を超えることができるようソフトウェアにフィードバックできるZ軸力センサを有するのがよい。Zペイロードは、本明細書の別の箇所で説明するシステムバーコードを読取ることができる下向きバーコードリーダを有するのがよい。
【0438】
次にシステムに組込まれているラックを参照すると、使い捨て試薬ストリップ(例えば、器械の正面又は前部に垂直に差し向けられている)は、2つの12レーン型ラック内に収納されるのがよい。所与のラック中の12個の試薬ストリップは、ユーザによる挿入時に互いに位置が合ってラック中にロックできる。ラックは、12個のサンプル溶解管(例えば、PN23500043)のための領域を有し、管底部を同一平面内に保持することができ、それにより、ユーザは、バーコードが器械の後部に向くようこれを差し向けることができる。上述の特徴を含む或る特徴により、ラックを経験が殆どないユーザであっても器械内に挿入して配向することができる。適正なラックの配置は、ソフトウェアへのフィードバックによって確認できる。幾つかの実施形態では、ラックは黒色であり且つ色彩堅牢性を有するのがよく(例えば、色彩は、使用により又は10%漂白剤溶液による洗浄によってそれほど劣化しないのがよい)、ラック材料は、システムの作動範囲全体にわたって0.1mmの範囲内において寸法安定性があるのがよい。ラックは、設計上、ラックを器械まで運んだりこれから運んだりすることができ、平らな表面上に配置されたときにラックにより保持されている管からのこぼれが生じる恐れを最小限にし又はなくすための手段を備えるのがよい。
【0439】
1次に、本システムに組込まれているリーダ及びPCRヒータを参照すると、リーダは、例えば経験が殆どないユーザであってもかかるユーザによるカートリッジの挿入及び取出しを可能にする。カートリッジは、システム作動中、リーダ内に収納されたままの状態であるのがよい。幾つかの実施形態では、カートリッジバーコードは、カートリッジが不正確に(例えば、上下逆さまに又は前後反対に)挿入されている場合、バーコードスキャナによって正しく読取られることがなく、かくして、システムは、カートリッジが不正確に挿入されているときには、ユーザに指令を出してカートリッジをリーダ内に正しく再挿入するようにすることができる。リーダ引き出しは、ピペット先端部による装入のために0.5mmの範囲内においてカートリッジを繰り返し配置することができる。リーダは、ソフトウェア制御下において自動化引き出し機構によってカートリッジを装入位置から応動及び検出位置に運ぶことができる。カートリッジのPCRレーンをリーダトレイ及び引き出し機構によって光学システムとヒータの両方に位置合わせすることができる。カートリッジは、PCRチャネル及びワックスバルブの領域の平均圧力である約1psi以上でヒータに等しく接触することができる。ヒータワイヤ結合部は、システム運動と干渉しないよう損傷から保護できる。ヒータとカートリッジ及びカートリッジと光路の中心間位置合わせは、±0.010インチ以内であるのがよい。リーダは、故障なく最低約80,000回の機械的サイクル運動を行うことができる。
【0440】
次に、本システムに組込まれている1つ又は2つ以上の溶解ヒータを参照すると、24個の溶解ステーションの各々のためのヒータは、個々にソフトウェア制御できる。溶解ランプ(ramp)時間(例えば、溶解管内の水が約2.5℃の温度から所与の温度に上昇するのに要する時間)は、50℃まで上昇するのに120秒未満、75℃まで上昇するのに300秒未満であるのがよい。溶解温度(例えば、溶解管中に含まれている水で測定して)を溶解ヒータにより、所望の温度の±3℃以内に維持するのがよい。達成可能な溶解温度範囲は、約40℃〜約80℃であるのがよい。溶解ヒータの各々は、作動中、約16ワット以上の電力を消費する場合がある。溶解ヒータは、溶解管への熱伝達を最大にすると共に部品の公差に対応するように設計されているのがよい。溶解ヒータにより、溶解管は、磁石と直接的な接触関係をなすことができる(本明細書において詳細に説明する)。溶解ヒータは、組立の際、水平面において調節可能にあるのがよく、システムの取付けカバーの邪魔にならないのがよい。
【0441】
次に、本システムに組込まれている磁石を参照すると、溶解及び磁石関連機構は、ラックの下に嵌まることができ、ラック挿入又は位置合わせの邪魔にならないのがよい。磁石は、高線束磁石(例えば、所与の溶解管内で測定した磁束が1,000ガウス以上である)であるのがよく、900μLの容積まで充填された溶解管のうちの1本又は2本以上内での磁気ビーズ分離を達成するのに十分な距離移動可能である。磁石は、約1mm/秒〜約25mm/秒の運動速度でソフトウェアにより制御可能であるのがよい。ヒータ及びコントローラ組立体の一部として設けられた電線類は、収納されると共に潜在的なこぼれ(例えば、溶解管からのこぼれ)から保護されるのがよい。磁石は、使用していないとき、溶解管の底部から約1.25インチ(3.18cm)以上離れたところに設けられるのがよく、又、溶解管との接触具合を最大にする一方で詰まりを阻止するような仕方で保持されるのがよい。
【0442】
幾つかの実施形態では、本システムエンクロージャは、ユーザが器械の機能を視認することができるよう器械の前に半透明の蓋(例えば、半透明な取付け具及び/又はハードウェア付き)を有する。蓋は、会社及び/又は製品ロゴ及び掴むことができる取っ手(例えば、ユーザが蓋を持上げることができるようにする)を有するのがよい。閉じられると、蓋は、15ポンド以下の開放力(例えば、取っ手の底縁部の中心のところでドア回転に対して接線方向に測定した場合)を有するのがよく、取っ手ロックに打ち勝って蓋を閉鎖位置に戻すのに約5ポンド以下の力(例えば、取っ手のところで且つドア回転に対して接線方向に加えられる)が必要であるように開放(例えば、「アップ」)位置にロック可能である。蓋は、電力が加えられていない場合常態ではロックされており、システムが蓋の状態(例えば、開放状態又は閉鎖状態)をモニタすることができるようにする2つの安全蓋ロックを有するのがよい。蓋は、蓋が開放位置と閉鎖位置との間に位置しているときに落下しないように設計されているのがよい。エンクロージャは、器械の右側に設けられた電力スイッチを有するのがよい。電力コードが、器械の位置決めによってはコードが損傷せず或いは偶発的な切り離しが生じないようエンクロージャから突き出るのがよい。エンクロージャは、ユーザが例えば可動部品、高い磁界、通電状態の電気接続部等に接触するのを阻止するのがよい。エンクロージャは、エンクロージャの下側とテーブルトップとの間に約0.75インチ(19.05mm)以上の隙間を提供するようエンクロージャの下面に設けられた4つの支持脚を有するものがよい。エンクロージャは、外部アクセサリ接続部、例えばディスプレイポート、イーサネット(登録商標)ポート、4USBポート等への接近を可能にする凹み領域を有するのがよい。
【0443】
次にPCRシステム中に組込まれた冷却サブシステムを参照すると、ユニットの前部には空気取り入れ口が設けられるのがよく、ユニットの頂部の後部には空気排出口が設けられるのがよい。取り入れ空気は、空気取り入れ口を通過し、そしてフィルタエレメント(例えば、取外し可能且つ洗浄可能なフィルタエレメント)を通ることができる。冷却サブシステムは、内部空気温度(例えば、試薬ストリップ、例えば、符号1,12,24で示された試薬ストリップの表面のところ、PCRカートリッジの表面のところ等で測定された温度)を周囲空気温度よりも約10℃以下高い温度状態に維持することができる。冷却サブシステムは、内部空気温度を約30℃又はそれ以下に維持することができる。冷却サブシステムの一部として設けられた1つ又は2つ以上の冷却ファンは、ファン1つ当たり約5.7ワット以下の電力を必要とする場合がある。
【0444】
幾つかの実施形態では、本システムは、内部サブアセンブリ(台を除く)に設けられたカバーを有するのがよい。カバーは、軟らかい布に浸した10%漂白剤溶液でそれほど劣化しないでクリーニング可能であるのがよい。カバーは、ユーザと本システムに組込まれた電子且つ可動機械的組立体との間に安全バリヤを提供することができる。内部サブアセンブリに設けられたカバーは、カバーの下の空気流を最大にすると共にカバーの上の空気流を最小にすることにより内部サブアセンブリの冷却具合を最大にするように設計されているのがよい。カバーは、修理係員によって取外し可能であるのがよく、かかるカバーは、エンクロージャの色及び表面模様とマッチしているのがよい。
【0445】
幾つかの実施形態では、本システムは、約15℃〜約30℃の温度範囲内で且つ非凝縮相対湿度範囲(例えば、約15%〜約80%の相対湿度)で作動するように設計されているのがよい。分析装置は、−20℃以上における24時間以内にわたる貯蔵、60℃以下における24時間にわたる貯蔵及び/又は約50,000フィート以下(例えば、水銀柱3.4インチ(8.64cm))における24時間にわたる貯蔵後においても損傷を受けないで作動するように設計されているのがよい。本システムは、設計上、輸送中、器械を損傷する恐れのある運動を阻止する手段を備えるのがよい。本システムは、ASTM D 4169-05,DC12に記載された輸送規格に合致するのがよく、本システムは、ベースプレートを輸送パレットにしっかりと取付けることができるように設計されているのがよい。器械のラック及びエンクロージャは、10%漂白剤溶液による毎日のクリーニングによっては劣化せず又は損傷を受けないように設計されている。システムのサブアセンブリへの電力は、内部電源により供給可能である。例示の電源は、入力として約47〜約63Hzにおいて約90〜約264V
acで約1590ワットを入力として受取ることができ、そして、1250ワットの出力をサブアセンブリに供給することができる。
【0446】
幾つかの実施形態では、本システムは、器械の右側に設けられた電力スイッチ(例えば、ロッカー型スイッチ)、1つ又は2つ以上のインタフェース構成要素及び/又は1つ又は2つ以上のインタフェースポートを有するのがよい。例えば、システムは、改造力が1280×1024画素であり、カラーが16ビットの15インチLCDディスプレイモニタを有するのがよい。システムはまた、他のディスプレイモニタ、例えばサイズ、解像力及び/又は色の深みが増大したディスプレイモニタを有してもよい。LCDディスプレイは、VGA接続方式によりシステムに接続されるのがよい。システムは、白色2ボタンUSBマウス、白色USBキーボード、黒色SJT電力ケーブル及び無停電電源を有するのがよく、USBを介してフィードバックが行われるのがよい。システムは、USBカラープリンタ、2本のUSBケーブル(例えば、プリンタに1本、UPSに1本)を更に有するのがよい。システムは、例示のインタフェースポート、例えば4つのUSBポート(例えば、プリンティング装置、プリンタ、キーボード、UPS、LISへの接続のため)、1つのVGAポート(例えば、LCDディスプレイへの接続のため)及びエンクロージャの左側に設けられた1つのイーサネット(登録商標)ポート(例えば、PC接続のため)を有するのがよい。IEC/EN 60320-11C14電力ポートをエンクロージャの右側に設けるのがよい。
【0447】
幾つかの実施形態では、本システムは、ユーザの安全を増すことを狙いとした特徴を有するのがよい。例えば、台が運動している間且つ/或いは他の無停電プロセスが実行中にユーザのアクセスを阻止するためにドアインターロックが設けられるのがよい。システムは、器械に設けられているユーザによる接近が可能な危険なコーナー部及び/又は縁の存在を最小限に抑え又は無くすように設計されるのがよく且つ金属部品が適切に電気的にアースされるように設計されているのがよい。ユーザを可動部品及び/又は通電状態の電気部品から保護すると共にシステム中に設けられている電子装置及びモータを例えばこぼれから保護するために板金又はプラスチックカバーを必要に応じて機械的及び電気的構成要素を覆って設けるのがよい。
【0448】
〔実施例19:例示の光学素子〕
PCR分析装置及び/又はシステムに用いられる光学素子の設計に関する例示の仕様を本明細書において説明する。PCRシステムに関する追加の情報は、本明細書の別の箇所に記載されている。PCRシステム中に設けられた光学検出システムは、12レーン型マイクロ流体PCRカートリッジからのPCR蛍光をリアルタイムでモニタする12レーン型2色検出システムであるのがよい。このシステムは、励起光(例えば、青色及び琥珀色LED光源)、1つ又は2つ以上の帯域フィルタ及び1つ又は2つ以上の合焦レンズを有するのがよい。PCR反応器(例えば、マイクロ流体カートリッジに組込まれている)からの放出蛍光は、経路を通って合焦レンズ中に捕捉され、そしてフィルタを通ってフォトダイオード上に捕捉される。各PCRレーンについて、問い合わせられた2つの色の各々のための個々の専用固定光学素子がシステム中に組込まれている。
【0449】
幾つかの実施形態では、検出限度は、入力PCR反応混合物と1.15の基線値までの最小信号との反応当たり20のDNAコピーである。2色蛍光システムを例えばFAM(又はその均等物)及びCal Red(又はその均等物)に用いるのがよい。このシステムは、約2秒ごとに1つのデータポイントの最大レートにおいて約100ms〜約600msで蛍光データを収集する能力を備えるのがよい。PCRレーンからデータを収集する際、隣り合うレーン中のLEDは、サンプル採取すべきレーン中の信号を約1%以下(例えば、0.5%)だけ増大させる。検出ノイズは、最大信号の約1%以下であるのがよい。蛍光規格(例えば、部品番号14000009)によるレーン相互間蛍光変動は、暗電流補正蛍光勾配(dark-current-corrected-fluorescence-slope)を用いて測定した場合に、FAMとCal Redの両方に関して30%のCv内に納まるのがよい。12レーン付き光学ブロックに関する平均暗電流補正蛍光勾配は、蛍光規格(部品番号14000009)を用いてFMAについて約30mV〜約90mV/(%青色LED電力当たり)であるのがよい。
12レーン付き光学ブロックに関する平均暗電流補正蛍光勾配は、標準型蛍光カートリッジ(部品番号14000009)を用いてCal Redについて約75mV〜約300mV/(%琥珀色LED電力当たり)であるのがよい。各チャネルに関する平均励起電力を独立にソフトウェアによって約5%から約100%まで変化させることができる。蛍光読取りに影響を及ぼす読取り装置内で作動される光源は存在しないのがよい。幾つかの実施形態では、室内灯をターンオンし又はターンオフすることによっては、光学読みに影響は生じない。
【0450】
幾つかの実施形態では、システムは、2色蛍光検出ユニットを約8mmのピッチで12回繰り返して設けた光学ブロックを有するのがよい。光学検出ブロックは、マイクロ流体カートリッジの頂部上に位置決めされるのがよく、励起光及び放出光は、マイクロ流体カートリッジのPCR窓を通って伝搬する。光学ブロックのアパーチュアは、約±200ミクロンの範囲内でPCR反応器と位置が合うのがよい。LED及び光検出器を収容した光学電子装置ボードは、光検出器の各々がその対応の光学レーンのボア内に引っ込められた状態で、光学ブロックの頂部と面一をなして結合されるのがよい。マイクロ流体カートリッジをシステム内に収納すると、光学ブロックは少なくとも約1psiの平均圧力で約20〜約30ポンドの力をマイクロ流体カートリッジのアクティブな領域に及ぼすために使用できる。
【0451】
光学ブロックは、アルミニウムで作られるのがよく、光路長中に存在する表面は、自己蛍光並びに光の散乱を最小にするよう陽極化されて黒色であるのがよい。各々の長さが約10mm、各々の幅が1mmの12個のスリットを備えたアパーチュアプレートは、例えば、励起光のサイズを制限すると共に背景蛍光を減少させるために利用できる。光学ブロックの厚さは、1.135±0.005インチ(28.83±0.13mm)であるのがよい。光学ブロックの底面は、マイクロ流体カートリッジに加わる圧力を一様にするために、±1ミルの範囲内で平らであるのがよい。アパーチュアは、光学ブロックの製造中及びシステム中への光学ブロックの組込み中、清浄な状態に保たれると共にデブリが無いようにすべきである。
【0452】
幾つかの実施形態では、システムは、励起路の角度がPCRカートリッジ表面の垂線に対して55±0.5インチ(139.7±1.27cm)に等しい励起光学系を有するのがよい。励起路中の光学素子の例示の1つの配列状態は、順番をいえば、LED、レンズ、フィルタ、アパーチュア及びPCRサンプルである。システムは、平坦な側部がPCRサンプルの方に向いた状態で差し向けられた平凸励起レンズ(例えば、PCX、6×9、MgF2TS)を用いるのがよい。光学系中には、レンズ及びフィルタをアパーチュアプレートよりも大きな光スポットを提供するようボア内に配置できるように設計可能なテーパを備えた1つ又は2つ以上の励起路が設けられている。LED及びサンプルの配置箇所は、設計が固定された利用可能な光学ブロック厚さを有しているので、固定されるのがよい。レンズ及びフィルタの配置箇所は、PCRレーンの長さに沿って約6mmの励起スポットサイズを提供するよう決定されるのがよい。励起光学系は、中心波長が約470nm(青色)であり、半値幅が約75ナノメートル以下(例えば、FAM励起の場合)のLED、例えばLuxeon部品番号LXK2-PB 14-NO0(例えば、FAM励起の場合)を有するのがよい。励起光学系は、中心波長が約575nm(琥珀色)であり、半値幅が約75ナノメートル以下(例えば、Cal Red励起の場合)のLED、例えばLuxeon部品番号LXK2-PL12-Q00 (例えば、Cal Red励起の場合)を有するのがよい。励起光学系で用いられるLEDは、約5年間以上又は約10,000サイクルにわたり安定したままであるのがよい。
【0453】
システムは、放出光路の角度がPCRカートリッジ表面の垂線に対し約15±0.5インチ(38.1±1.27cm)に等しい放出光光学系を有するのがよい。放出光経路中の光学素子の例示の1つの配列は、順序として、PCRサンプル、アパーチュア、フィルタ、レンズ及び光検出器である。放出光レンズは、平らな側部が光検出の方に向けて差し向けられた平凸(例えば、PCX、6×6、MgF2TS)であるのがよい。放出光光学系は、フィルタ及びレンズのぴったりとした配置を可能にしながら検出される光を最大にするように設計されているのがよいテーパを備えた放出光路用の1つ又は2つ以上のボアを含むのがよい。サンプルに対する光検出器の配置箇所は、設計が固定された利用可能な光学ブロック厚さを有することができるので固定可能である。レンズ及びフィルタの配置箇所は、PCRレーンの長さに沿って6mmの放出光スポットサイズを提供するよう決定できる。放出光光学系に使用できる例示の光検出器は、レンズS2386−18L付きのハママツ・シリコン・フォトデテクタ(Hamamatsu Silicon Photodetector)である。
【0454】
幾つかの実施形態では、システムは、直径が約6.0±0.1mm、厚さが約6.0±0.1mmであり、約4mm以下の直径を備えた透明なアパーチュアを有する1つ又は2つ以上のフィルタを有するのがよい。フィルタは、取付けリング内への嵌め込みに先立って実施された黒化エッジ処理部を有するのがよい。設けられる場合、取付けリングは、金属であり、陽極化されて黒色であるのがよい。フィルタは、表面品質がMil-C-48497Aに準拠したF/F、約0°のAOI、約+8°の1/2円錐AOIの光学ガラスで作られるのがよく、しかも、システムの推奨作動範囲内で湿度及び温度安定性があるのがよい。例示のフィルタは、バーモンド州05301所在のオメガ・オプティカル・ブラットルボロ(Omega Optical Brattleboro)から入手できる。
【0455】
本システムは、例えばFAM励起に用いられるオメガ部品番号481AF30‐RED‐EXC(例えば、図面番号2006662)を備えた1つ又は2つ以上のFITCを備えた1つ又は2つ以上のFITC励起フィルタ(Exciter Filters)(例えば、PN14000001)を有するのがよい。これらフィルタは、約466±4nmのカットオン波長及び約496+0/−4nmのカットオフ波長を有するのがよい。この種のフィルタの透過率は、ピークの約65%以上であるのがよい。これらフィルタは、約439nmまでの紫外線の波長についてはOD4以上、約651nm〜約1000nmの波長についてはOD4以上、約501nm〜約610nmの波長についてはOD5以上、約503nm〜約580nmの波長については理論上OD8以上の遮断移行率を有するのがよい。
【0456】
本システムは、例えばCal Red励起に用いられるオメガ部品番号582AF25−RED−EXC(例えば、図面番号2006664)を備えた1つ又は2つ以上のアンバー(Amber )・エクサイタ・フィルタ(例えば、PN2006664 )を有するのがよい。これらフィルタは、約569±5nmのカットオン波長及び約594+0/−5nmのカットオフ波長を有するのがよい。この種のフィルタの透過率は、ピークの約70%以上であるのがよい。これらフィルタは、約600nm〜約700nmの波長については理論上OD8以上の遮断移行率を有するのがよい。
【0457】
本システムは、例えばFAM励起に用いられるオメガ部品番号534AF40‐RED‐EXC(例えば、図面番号2006663)を備えた1つ又は2つ以上のFITCエミッタ・フィルタ(例えば、PN14000005)を有するのがよい。これらフィルタは、約514±2nmのカットオン波長及び約554+0/−5nmのカットオフ波長を有するのがよい。この種のフィルタの透過率は、ピークの約70%以上であるのがよい。これらフィルタは、約507nmまでの紫外線の波長についてはOD5以上、約400nm〜約504nmの波長については理論上OD8以上、約593nm〜約765nmの波長については平均OD4以上の遮断移行率を有するのがよい。
【0458】
本システムは、例えばCal Red励起に用いられるオメガ部品番号627AF30‐RED‐EXC(例えば、図面番号2006665)を備えた1つ又は2つ以上のアンバー・エミッタ・フィルタ(例えば、PN14000006)を有するのがよい。これらフィルタは
、約612+5/−0nmのカットオン波長及び約642±−5nmのカットオフ波長を有するのがよい。この種のフィルタの透過率は、ピークの約70%以上であるのがよい。 これらフィルタは、約605nmまでの紫外線の波長についてはOD5以上、約550nm〜約600nmの波長については理論上OD8以上、約667nm〜約900nmの波長については平均OD5以上の遮断移行率を有するのがよい。
【0459】
〔実施例20:例示の酸素カートリッジ〕
マイクロ流体カートリッジの設計及び組立に用いられる例示の仕様及び例えば本明細書において説明するシステムにおけるカートリッジの使用に関する例示の取扱い説明について本明細書において説明する。幾つかの実施形態では、一反応容積当たり20コピーに等しい最大検出限度(例えば、20コピー/4μ)を有するのがよく、標的検出は、一反応容積当たり10コピーである。カートリッジは、40分以内に45回の反応サイクル(例えば、40分で45サイクル、20分で45サイクル、15分で45サイクル等)を行うことができる。カートリッジは、例えばFAM(又はその均等物)及びCAL RED(又はその均等物)蛍光色素を用いる2色検出を利用するのがよい。かかるカートリッジを用いて得られた結果を標準型リアルタイムPCR器械を用いて得られた結果と比較した。
【0460】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、典型的な実験室手順に従って処分できる1回使用の使い捨てカートリッジであるのがよい。カートリッジは、長さが4.375インチ(11.113cm)、幅が2.800インチ(7.112cm)、厚さが0.094±0.005インチ(2.39±0.13mm)であるのがよい。カートリッジは、カートリッジが例えば本明細書において説明するシステムとインタフェースを取ることができるようにする特徴を有するのがよい。例示のインタフェースを取る例示の特徴としては、PCRチャネル壁及びPCR反応器(例えば、カートリッジ内に収納されている)と検出システム(例えば、分析装置)との間の励起光及び放出光の容易な伝搬を可能にする十分に研磨された(SPI A1/A2/A3)PCRチャネル上のマイクロ流体基体の頂部が挙げられる。カートリッジは、カートリッジの底部に設けられていて、分析装置とインタフェースを取る熱的インタフェースを有するのがよい。熱的インタフェースは、ヒータウェーハから例えばカートリッジのPCRチャネルへの熱伝達を促す薄いラミネート(例えば、厚さ150ミクロン未満、厚さ100ミクロン未満等)を有するのがよい。
【0461】
カートリッジは、例えば分析装置との1つ又は2つ以上の機械的インタフェースを有するのがよい。例えば、カートリッジは、コーナー部のうちの1つ又は2つ以上に設けられていて、分析装置のヒータモジュールに設けられた形状物と対応関係をなして嵌合することができる切り込みを有するのがよい。切り込み及びこれと対応した形状物により、カートリッジを例えば本明細書において説明するシステムのトレイ内に1つのやり方でのみ配置することができる。幾つかの実施形態では、カートリッジは、コーナー部のうちの1つに単一の切り込みを有し、残りの3つのコーナー部は、分析装置内へのカートリッジの配置を容易にするために1mmの最小アールを有する。使用の際(例えば、本明細書において説明するシステム内に配置されて、例えばPCRのような機能を実行する際)、カートリッジを光学ブロックにより一方の側部が約1psi以上(例えば、0.99psi、1.2psi等)の圧力でヒータウェーハ(反対側の側部に当てて位置決めされている)に押し付けられるのがよい。分析装置のトレイ内に配置されると、カートリッジは、ユーザがカートリッジを分析装置トレイ内に容易に配置したりこれから容易に取出したりすることができるよう±200ミクロンの位置合わせ勾配を有するがよい。カートリッジは、加熱面がトレイの基準面の下に延びることができるよう2つの棚部を有するのがよく、これら棚部は、各々、幅が1mmであり、カートリッジの2つの長い縁部に沿って設けられる。
【0462】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、以下の機能上の仕様を有するのがよい。カートリッジは、例えばカートリッジの頂面からの高さが1mmの円錐の形をした入口孔を有するのがよい。円錐は、円錐の頂部のところの内径が3mmであるのがよく、この円錐は、入口円錐が流体結合されたマイクロチャネル(例えば、入口チャネル)の幅にマッチする直径まで下方にテーパしているのがよい。入口チャネルは、入口孔を例えば内容積が約4.25μl〜4.75μl(例えば、4.22μl、4.5μl、4.75μl等)のPCR反応器に流体結合するのがよい。出口マイクロ流体チャネルは、PCR反応器をオーバフローチャンバに流体結合するのがよい。カートリッジは、出口通気部孔を更に有するのがよい。
【0463】
入力PCRサンプル(例えば、反応混合物)は、一PCRレーン当たり約6.0〜7.0μl(例えば、一レーン当たり5.9μl、一レーン当たり6.4μl、一レーン当たり7.1μl等)であるのがよく、かかる入力PCRサンプルは、例えばピペットによって入口孔を通りカートリッジ中に導入されるのがよい。反応混合物は、入口チャネルを経てPCR反応器に運ばれるのがよく、ここで、反応混合物を隔離して(例えば、バルブによって封止して)熱サイクル作動中、反応混合物の蒸発又は運動を阻止するのがよい。混合物をいったんチャンバ内に封入すると、分析装置は、反応混合物の何割か又は全て(例えば、4.5μl、反応チャンバの内容積部に等しい流体の量等)について多重化リアルタイムPCRを開始することができる。
【0464】
カートリッジのマイクロ流体基体は、以下の仕様のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。マイクロ流体基体の材料は、光学的に透明であるのがよく(例えば、ASTM D1003に準拠して約90%以上の光伝送率を有すると共に厚さが3mmであること等である)、厚さ2mmのZEONOR1420Rによって放出された自己蛍光より低い自己蛍光を有するのがよく、約1.53の屈折率(ASTM D542)を有するのがよい。マイクロ流体基体の材料は、カートリッジのマイクロ流体ネットワークに必要な特徴の射出成形に適している。かかる材料は、好ましくは、あらゆるPCR作用物質と適合性があり、撓んだり或いは溶けたりすることなく、最高約130℃までの温度に約5分間以上にわたり耐えることができる。カートリッジは、基体のコーナー部のうちの1つ又は2つ以上(好ましくは2つ)に設けられていて、ハンディラボ製造機器によって認識可能な指標を有するのがよい。カートリッジは、カートリッジの機能(例えば、PCR)を実行するのに必要な流体構成要素(例えば、マイクロチャネル、バルブ、エンド通気部、試薬入口孔、反応チャンバ等)を有するのがよい。
【0465】
基体材料の追加の特徴は、以下のに記載のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。約1mmの最小隙間を密封状の成功(例えば、分析装置に対する)を保証すると共に組立中における取付けを単純化することができるよう機能特徴部相互間に設計するのがよい。カートリッジは、例えば金型寿命を延ばすために小さい流体経路端部の下にドッグボーン(犬に与える骨の形をした部分)を有するのがよい。微小ツール表面の底部は、ざらざらにされているのがよい(例えば、蒸気噴射、EDM等により)。基体材料は、ラベルにより接着可能である。
【0466】
幾つかの実施形態では、カートリッジに用いられる密封テープは、次の仕様のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。ラミネートをマイクロ流体基体の底部に容易に堆積されるのがよい。ラミネートの材料は、好ましくは、ピンホールが無い。材料及び接着剤は、好ましくは、PCR反応化学的性質と適合性がある。用いられるラミネート材料及びグルーは、自己蛍光を起こしてはならない。かかる材料は、粘着性を失わず、撓まず、溶融せず、或いはカートリッジに過度の応力を加えることなく、最高130℃までの温度に5分間にわたり耐えることができる。気泡は、マイクロ流体基体への堆積後において加熱(例えば、5分間かけて130℃までの加熱)の際に接着剤装置用に生じてはならない。ラミネートは、例えば迅速な熱伝達を可能にするよう厚さが5ミル未満であることが必要である。
【0467】
カートリッジ中に設けられる耐熱性ワックスは、次の性質を有するのがよい。ワックスは、約90±3℃(例えば、87℃、90℃、93.1℃等)の融点を有するべきであり、PCR反応と生体適合性があるべきであり、マイクロ流体基体材料と湿潤性があるべきであり、しかも例えば、100℃で20mm
2/sの粘度のメルト(溶融体)粘度範囲及び25℃で8dmmの硬さを有するべきである。カートリッジの主ラベルは、以下の特徴を有するのがよい。かかるラベルは、2〜4ミルの厚さを有し、微小特徴部に対する適当な結合性を有すると共にバルブの周りを密封し、1つ又は2つ以上のPCR窓のための切れ目及び分析装置からのカートリッジの取出しを助けるタブ(接着剤が施されていない)を有するのがよい。主ラベルは、頂面に対する摩耗抵抗を有し、印刷可能であるのがよい。主ラベルは、このラベルがバルブの適正な作動のためにバルブ孔を完全に覆うための上側及び下側位置合わせパターンを有するのがよい。
【0468】
カートリッジは、カートリッジの頂部に堆積されていて、カートリッジが分析装置内に収納されている間にバーコード読取り装置(例えば、分析装置内に組込まれているバーコード読取り装置)によって読取り可能なバーコードラベルを有するのがよい。バーコードラベルは、製品名称、ロッド番号、使用期限、バーコード(2D)を有するのがよく、印刷可能であるのがよい。追加的に又は代替的に、バーコードは、レーザ又はインクジェット型プリンタを用いて主カートリッジラベルに直接施されてもよい。
【0469】
カートリッジが組込まれた包装材は、次のもの、即ち、パッケージラベル、カートン、カートンラベル及び/又は取扱い説明のうちの1つ又は2つ以上を有するのがよい。包装材は、印刷可能又はラベル取付け可能であるのがよく、プラスチック袋、収縮/引き伸ばしラップバッグ等の内部に配置可能であり、1つが24個から成る群をなして積み重ね可能である。重要なシール無しのカートリッジの袋詰めは、ほこりによる汚染がない状態に保たれる必要がある。
【0470】
カートリッジは、カートリッジ内部の物質の流れを開始させ、停止させると共に/或いは制御する1つ又は2つ以上のバルブ(例えば、温度制御ワックス含有バルブ)を有するのがよい。バルブの中に入っているワックスは、バルブチャネルの幅の半分よりも大きな直径を有する気泡の取り込みが生じないのがよい。バルブチャネルは、空気ポケットを有するのがよい。ワックスは、活性化に先立って流体経路中に入り込むことはない。流体経路へのフレアの開始に合わせて充填されるのがよい。
【0471】
カートリッジは、マイクロチャネル及び孔を有するのがよく、孔は、175μlピペット先端部と容易に且つ漏れなくインタフェースを取ることができる寸法形状のものである。幾つかの例では、孔のサイズは、直径が約200μm〜約4000μmである。マイクロチャネルは、幅が約50μm〜約1500μmであり高さが約50μm〜約1000μmであるのがよい。
【0472】
カートリッジは、カートリッジ内の流体の流れ(例えば、マイクロチャネル、反応器チャンバ等を通る)を制御するバルブを有するのがよい。バルブの縁部、段部及び全体的な幾何学的形状は、ワックスの装填中に必要な正確な流量及び/又は停止を促進するように設計されているのがよい。バルブの幾何学的形状は、ワックス小出し機器の制約(例えば、75nLの容積の=/−25%)に対応するように設計されているのがよい。幾つかの実施形態では、バルブに設けられているステップダウン空気チャンバは、ワックスの装填を助けるよう漏斗の形をしており、残りの幾何学的形状は、漏斗の底部からワックスが停止する終点まで減少している。バルブが使用中、ブロック内に流入するようにする経路は、十分に細いのがよく(例えば、幅及び深さが150〜200ミクロン)、バルブを使用中に作動させると、効果的に密封を行うのに十分な長さを有するのがよい。バルブ内のワックスの温度は、約90℃であるのがよい。使用中、マイクロチャネルの一部分を遮断するために、バルブは、熱サイクル作動中における流体の蒸発及び/又はPCRからの流体の物理的移動を阻止するよう密封を行うのがよい。
【0473】
カートリッジは、サンプルに対してPCRを行うための1つ又は2つ以上のPCR領域を有するのがよい。PCR領域(例えば、PCR反応器)内のチャネルは、チャネルの内容物の温度がアニール温度の約1℃の範囲内で一定のままであるように設計されているのがよい。チャネル壁は、SPI A1/A2/A3の研磨度を有するのがよい。
【0474】
幾つかの実施形態では、カートリッジは、約50°F〜約80°F(約15℃〜約30℃)の温度範囲内で且つ約15%相対湿度から約80%相対湿度までの湿度範囲内で診断試験を行うことができるように設計されている。カートリッジは、屋内使用時に安全且つ機能的であり、2000m以下の高度で用いられ、非凝縮湿度条件(例えば、最高31℃までの温度について80%の最大相対湿度から40℃における50%相対湿度まで)下において使用されるように設計されている。
【0475】
使用にあたり、カートリッジ中に作られたPCR生成物は、例えば相互汚染の恐れを最小にするために使用済みカートリッジ内に留まるのがよい。カートリッジは、カートリッジの包装の間、カートリッジの4フィート(1.22m)の落下であっても、カートリッジが損傷しないように設計されているのがよい。カートリッジは、以下の条件への暴露後であっても損傷なしに働くように設計されている。カートリッジは、定格保存寿命の間4℃〜40℃で貯蔵すべきである。−20℃〜4℃又は40℃〜60℃の温度への暴露が、24時間以下の期間にわたり生じるはずである。カートリッジは、航空輸送に典型的な空気圧力変化に耐えることができる。
【0476】
カートリッジは、以下の情報がラベル表示されるのがよい(例えば、カートリッジを識別するため、規則遵守するため等)。ラベルは、該当する場合には「研究のための使用に限られる(Research Use Only)」ラベル及び該当する場合にはCEマークを含むのがよい。ラベルは、会社名称及びロゴ(例えば、HandyLab(登録商標))、部品番号(例えば、55000009)、部品名称(12×カートリッジ‐通気部無し)、ロット番号(例えば、LOT123456)、有効期限日(例えば、06/2015)、書込みスペース、バーコード仕様(別の箇所に記載されている)によるバーコード及び/又は“HandyLab, Inc., Ann Arbor, MI 48108 USA”を有するのがよい。
【0477】
カートリッジは、例えば、部品番号(例えば、55000009)、部品名称(12×カートリッジ‐通気部無し)、量(例えば、25)、オプションとしてUPCコード“Manufactured by HandyLab, Inc., Ann Arbor, MI 48108 USA”、貯蔵限度を示すカートンラベル、CEマーク(該当する場合)及び/又はAR名称及び住所のような情報を含むのがよいカートン内に納められるのがよい。
【0478】
カートリッジ包装材は、多数のカートリッジを互いに固定するペーパーラップ及び例えば振動に起因する損傷を阻止するための清潔なパッケージ充填物を有するのがよい。カートリッジ輸送用カートンは、例えばASTM6159の遵守のような特徴を含むのがよく、任意の方向に貯蔵でき、カートンが冷凍物であり又は壊れ物であるというラベル表示は不要であり、追加の冷パックは不要であってよい。カートリッジの保存寿命は、12ヶ月以上である。
【0479】
カートリッジは、IEC61010(NRTL試験)に適合しているのがよく、FDA一覧表示は、臨床的配布に必要な場合がある。臨床的ラボ装置に用いられるカートリッジは、あらゆる品質上のシステム要件を満たすのがよい。市販の装置において研究だけに仕様されるカートリッジは、全てのハンディラボ品質システム件を満たすのがよい。研究のための使用だけ(アルはまたはベータ試験)用のカートリッジは、設計/製造に関しDHR(製造記録)に帰することができるのがよい。
【0480】
上述の説明は、本発明の種々の側面を説明することを意図している。本明細書において説明した例は、本発明の範囲を限定するものではない。今や技術を完全に説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、かかる技術の多くの変更及び改造を行うことができるということは当業者には明らかであろう。
例えば、以下のような形態であってもよい。
〔形態1〕
診断装置であって、
複数の核酸含有サンプルから核酸を同時に抽出するように構成された第1のモジュールと、
前記複数の核酸含有サンプルから抽出された核酸を同時に増幅するように構成された第2のモジュールと、を有し、
前記第1のモジュールは、1つ又は2つ以上のラックを有し、各ラックは、多数のサンプル及びそれに対応する数のホルダを受入れるように構成され、各ホルダは、プロセスチャンバと、廃棄物チャンバと、1つ又は2つ以上のピペット先端部と、及び1つ又は2つ以上の入れ物を有し、前記1つ又は2つ以上の入れ物は、入れ物ごとに、サンプルからの核酸の抽出を実行するのに十分な量の1つ又は2つ以上の試薬を収容し、
前記第1のモジュールは、更に、各前記ホルダのプロセスチャンバに対して移動するように構成された磁気セパレータと、前記プロセスチャンバの各々を独立に加熱するように構成されたヒータ組立体と、2つ又は3つ以上の前記ホルダにおける流体移送作業を同時に実行するように構成された液体ディスペンサと、を有し、
前記第2のモジュールは、1つ又は2つ以上のベイを有し、各ベイは、マイクロ流体カートリッジを受入れるように構成され、前記マイクロ流体カートリッジは、多数のサンプルから抽出された核酸を別々に受入れて別々に増幅するように構成され、
前記第2のモジュールは、更に、1つ又は2つ以上の検出システムを有する、診断装置。
〔形態2〕
前記多数の核酸含有サンプルの各々がどういうものであるかをチェックするように構成されたサンプル識別検査機構を更に有する、形態1に記載の装置。
〔形態3〕
前記サンプル識別検査機構は、光学式文字読取り装置、バーコード読取り装置、及び無線周波タグ読取り装置から選択される、形態2に記載の装置。
〔形態4〕
前記液体ディスペンサは、4つのヘッドを有し、各ヘッドは、ホルダ内の前記1つ又は2つ以上のピペット先端部からピペット先端部を受入れるように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態5〕
2つのヘッドが同じホルダからピペット先端部を受入れるわけではない、形態4に記載の装置。
〔形態6〕
前記液体ディスペンサは、3つの並進自由度を備えた台に取付けられる、形態1に記載の装置。
〔形態7〕
前記液体ディスペンサ、前記ヒータ組立体、及び前記磁気セパレータの作動を制御するように構成された電子回路を更に有する、形態1に記載の装置。
〔形態8〕
前記電子回路は、前記液体小出しヘッドの作動を制御する、形態7に記載の装置。
〔形態9〕
前記電子回路は、前記ヒータ組立体が前記プロセスチャンバに独立に熱を加えるようにするように構成されている、形態7に記載の装置。
〔形態10〕
前記電子回路は、前記磁気セパレータが各ホルダの前記プロセスチャンバに対して繰り返し動くようにするように構成されている、形態7に記載の装置。
〔形態11〕
前記ホルダは、取外し可能である、形態1に記載の装置。
〔形態12〕
前記ホルダは、1回使用に適しており、使い捨てである、形態1に記載の装置。
〔形態13〕
前記磁気セパレータは、前記プロセスチャンバに対して繰り返し動くように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態14〕
2つのラックを有する、形態1に記載の装置。
〔形態15〕
サンプルの数は、12個である、形態1に記載の装置。
〔形態16〕
前記第2のモジュールは、PCRによって前記核酸を増幅するように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態17〕
前記検出システムは、1色から4色までを検出する専用光学検出システムを含む、形態1に記載の装置。
〔形態18〕
前記検出システムは、標的核酸及び対照からの光を独立に検出するように構成された専用の2色光学検出システムを含む、形態1に記載の装置。
〔形態19〕
2つのベイ及び2つの検出システムを有する、形態1に記載の装置。
〔形態20〕
1つのベイ当たり1つの検出システムを有する、形態1に記載の装置。
〔形態21〕
単一の検出システムを有し、前記単一の検出システムは、マイクロ流体カートリッジ全体を走査する検出器を有する、形態1に記載の装置。
〔形態22〕
検出器装置が、蛍光色素の吸光帯に属する光を放出する光源と、前記蛍光色素の発光帯に属する光を検出する光検出器とを有し、前記蛍光色素は、蛍光ポリヌクレオチドプローブ又はその断片に結合する、形態1に記載の装置。
〔形態23〕
前記光検出器は、前記蛍光色素の前記吸光帯に属する光を選択的に放出し、前記蛍光色素の前記発光体に属する光を選択的に検出する、形態22に記載の装置。
〔形態24〕
前記電子回路は、前記検出器を作動させて前記ベイ内に受入れられた前記マイクロ流体カートリッジ内のポリヌクレオチド又はそのプローブを検出するようプログラム可能である、形態7に記載の装置。
〔形態25〕
前記ホルダの各々は、プロセス管と、サンプル調製試薬、PCR試薬、及び1つ又は2つ以上の液体試薬のための1つ又は2つ以上の入れ物と、廃棄物管と、1つ又は2つ以上のピペット先端部を保持するように構成された1つ又は2つ以上のソケットと、前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースとを有する、形態1に記載の装置。
〔形態26〕
前記ピペットシースは、4つのピペット先端部を保持するように構成されている、形態25に記載の装置。
〔形態27〕
前記ホルダの各々は、識別子を有する、形態1に記載の装置。
〔形態28〕
前記識別子は、バーコードである、形態27に記載の装置。
〔形態29〕
前記ホルダは、凍結乾燥PCR試薬を収容している、形態1に記載の装置。
〔形態30〕
前記ホルダは、第1の分析物を検出するのに適した第1の凍結乾燥PCR試薬と、第2の分析物を検出するのに適した第2の凍結乾燥PCR試薬とを収容している、形態1に記載の装置。
〔形態31〕
前記ホルダは、凍結乾燥サンプル調製試薬を収容している、形態1に記載の装置。
〔形態32〕
前記1つ又は2つ以上の液体試薬は、洗浄緩衝液、遊離緩衝液、及び中和化緩衝液を含む、形態25に記載の装置。
〔形態33〕
前記ホルダは、前記1つ又は2つ以上の液体試薬をこれらのそれぞれの入れ物の中に封入するよう配置されたラミネート構造体を有する、形態25に記載の装置。
〔形態34〕
前記ラミネートは、順番に、アルミ箔の層と、接着剤層と、ポリマー層と、ヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、前記1つ又は2つ以上の液体試薬に隣接して位置して、形態33に記載の装置。
〔形態35〕
前記アルミ箔は、厚さが0.1〜15ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが15〜25ミクロンである、形態34に記載の装置。
〔形態36〕
前記ラミネートは、順番に、蒸着され又はスパッタリングされたアルミニウムの層と、ポリマー層と、ヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、前記1つ又は2つ以上の液体試薬に隣接して位置している、形態33に記載の装置。
〔形態37〕
前記アルミニウム層は、厚さが0.1〜1ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが25〜30ミクロンである、形態37に記載の装置。
〔形態38〕
前記ポリマー層は、ポリプロピレンである、形態34又は36に記載の装置。
〔形態39〕
前記プロセスチャンバは、その底部内面に設けられた星状隆起部パターンを有する、形態1に記載の装置。
〔形態40〕
前記サンプルは、サンプル管内に保持され、各ホルダは、各サンプル管をそれぞれ受入れるように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態41〕
前記複数のサンプルの抽出、増幅、及び検出を1時間未満で実施するように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態42〕
前記第1のモジュールは、2つ以上のラックを有し、前記第2のモジュールは、単一のベイを有し、前記カートリッジは、前記複数のサンプルから抽出された前記核酸を別々に受入れると共に別々に増幅するように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態43〕
前記複数のサンプルは、前記サンプルの数の整数倍である、形態1に記載の装置。
〔形態44〕
前記1つ又は2つ以上のベイは、各々、一対の箇所相互間で移動可能であり、一方の箇所は、引っ込められる、形態1に記載の装置。
〔形態45〕
前記1つ又は2つ以上のラックは、取出し可能である、形態1に記載の装置。
〔形態46〕
前記1つ又は2つ以上のラックは各々、前記装置の外部に配置されたとき、前記多数のサンプル及びこれに対応した数のホルダを受入れるように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態47〕
前記電子回路は、プロセッサを有し、前記装置は、前記プロセッサに結合された少なくとも1つの入力装置を更に有し、前記少なくとも1つの入力装置は、キーボードと、キーパッドと、スタイラス又はユーザの指からの入力を受取るように構成された接触式表面と、マイクロホンと、トラックパッドと、網膜スキャナと、フィンガプリント読取り装置と、ホログラフィーにより投影されるインタフェースと、マウスとから成る群から選択される、形態7に記載の装置。
〔形態48〕
プロセッサ、入力装置、及び通信インタフェースのうちの1つ又は2つ以上からデータを受取るように構成されたデータ記憶メディアを更に有し、前記記憶メディアは、ハードディスクドライブと、光学ディスクドライブと、フラッシュカードと、USBドライブと、CD−ROMとから成る群から選択される、形態7に記載の装置。
〔形態49〕
前記プロセッサに結合された通信インタフェースを更に有し、前記通信インタフェースは、シリアル接続部と、パラレル接続部と、ワイヤレスネットワーク接続部と、ワイアード接続部と、1つ又は2つ以上のUSBポートとから成る群から選択される、形態7に記載の装置。
〔形態50〕
プロセッサに結合された少なくとも1つの出力装置を更に有し、前記少なくとも1つの出力装置は、視覚表示装置、プリンタ、ホログラフィーック投写、及びスピーカから選択される、形態7に記載の装置。
〔形態51〕
未使用マイクロ流体カートリッジのための貯蔵箇所と、使用済みマイクロ流体カートリッジを受入れるように構成された廃棄物トレイとを更に有する、形態1に記載の装置。
〔形態52〕
前記貯蔵箇所は、互いに隣接して積み重ねられたマイクロ流体カートリッジを受入れるフレーム構造を有する、形態50に記載の装置。
〔形態53〕
前記貯蔵箇所は、互いに上下に積み重ねられたマイクロ流体カートリッジを受入れるフレーム構造を有する、形態51に記載の装置。
〔形態54〕
前記マイクロ流体カートリッジは、該マイクロ流体カートリッジのの上面の2つ又は3つ以上の縁部に沿って隆起領域を有する、形態50に記載の装置。
〔形態55〕
前記1つ又は2つ以上のベイの各々の中に収納されると共に前記マイクロ流体カートリッジに熱結合された少なくとも1つの熱源を更に有し、前記熱源は、
1つ又は2つ以上のバルブを閉じ、それにより抽出された核酸の微小液滴を前記カートリッジ内の適所に閉じ込め、
前記抽出された核酸を増幅するのに十分に熱サイクル作動を適用するために熱を1回又は2回以上の選択された時点で前記マイクロ流体カートリッジの1つ又は2つ以上の選択された領域に加えるように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態56〕
プロセッサが、熱を1回又は2回以上の選択された時点で、前記マイクロ流体カートリッジの前記1つ又は2つ以上の選択された領域に加えるのを制御するように構成されている、形態54に記載の装置。
〔形態57〕
前記少なくとも1つの熱源は、少なくとも2つの接触熱源を含み、前記接触熱源は各々、前記マイクロ流体カートリッジの互いに異なる選択された領域に独立に熱結合されるように構成され、前記互いに異なる選択された領域は、独立に加熱される、形態54に記載の装置。
〔形態58〕
前記接触熱源のうちの少なくとも1つは、抵抗加熱器、ラジエータ、流体熱交換器、及びペルチェ素子から選択される、形態56に記載の装置。
〔形態59〕
前記少なくとも1つの熱源は、抵抗加熱器である、形態57に記載の装置。
〔形態60〕
前記接触熱源は、前記ベイ内に受入れられた前記マイクロ流体カートリッジの別々の選択された領域と直接的な物理的接触関係をなすように構成されている、形態54に記載の装置。
〔形態61〕
前記カートリッジの前記選択された領域のうちの少なくとも1つは、前記熱源との接触面積が、約1mm
2〜約225mm
2である、形態59に記載の装置。
〔形態62〕
前記面積は、約1mm
2〜約100mm
2である、形態60に記載の装置。
〔形態63〕
前記第2のモジュールは、PCRと、TMAと、SDAと、NASBAと、LCRと、及びローリングサイクル増幅(Rolling-Cycle Amplification)とから成る群から選択された方法によって前記核酸を増幅するように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態64〕
前記マイクロ流体カートリッジは、
前記ポリヌクレオチドのうちの1つ又は2つ以上を増幅し、
1つ又は2つ以上の増幅されたポリヌクレオチドの検出を可能にするように構成されている、形態1に記載の装置。
〔形態65〕
前記1つ又は2つ以上のベイは、前記マイクロ流体カートリッジと相補形の位置合わせ部材を更に有し、前記1つ又は2つ以上のベイは、対応のマイクロ流体カートリッジを単一の向きで受入れる、形態1に記載の装置。
〔形態66〕
前記マイクロ流体カートリッジがそれぞれの前記ベイ内に正しく受入れられたかどうかを検出するように構成されたセンサを更に有する、形態1に記載の装置。
〔形態67〕
前記装置は、携帯可能であり又は実験室の台上に載置できる、形態1に記載の装置。
〔形態68〕
前記装置は、単一ハウジング内に組込まれている、形態1に記載の装置。
〔形態69〕
前記多数のサンプルは各々、唾液と、尿と、血液と、精液と、粘液と、髄液とから成る群から独立に選択される、形態1に記載の装置。
〔形態70〕
診断装置であって、
1つ又は2つ以上のラックを有し、各ラック上には、多数の核酸収容サンプル及びこれに対応した数のホルダが取付けられ、各ホルダは、プロセスチャンバと、廃棄物チャンバと、1つ又は2つ以上のピペット先端部と、1つ又は2つ以上の入れ物を有し、前記1つ又は2つ以上の入れ物は、それぞれ、サンプルからの核酸の抽出を実施するのに十分な量の1つ又は2つ以上の試薬を収容し、
第1の位置から前記1つ又は2つ以上のホルダの各々の前記プロセスチャンバに隣接した第2の位置に移動可能である磁気セパレータを有し、
多数のヒータユニットを含むヒータ組立体を有し、各ヒータユニットは、前記プロセスチャンバの各々とそれぞれ熱的接触状態にあり、
1つ又は2つ以上のベイを有し、各ベイは、マイクロ流体カートリッジの形状と相補した形状を有し、前記カートリッジは、多数の入口を有し、各入口は、前記多数のサンプルのうちの1つから抽出された核酸を増幅する多数のチャネルの各々とそれぞれ流体連通状態にあり、前記カートリッジは、増幅された核酸の検出を可能にする1つ又は2つ以上の窓を更に有し、
1つ又は2つ以上の小出しヘッドを備えた液体ディスペンサを有し、前記液体ディスペンサは、第1のホルダの上方の第1の位置から第2のホルダの上方に第2の位置に移動可能であり、前記第1のホルダの上方の前記第1の位置から前記第1のホルダの上方の別の位置に移動可能であり、更に、前記ホルダのうちの1つの上方の位置から前記多数の入口のうちの1つの上方の位置に移動可能であり、
前記1つ又は2つ以上の窓に近接して位置決めされた1つ又は2つ以上の検出システムを有する、診断装置。
〔形態71〕
診断装置であって、
ユニット化試薬ストリップ中のサンプルから核酸を抽出する液体取扱いユニットと、
発熱体と関連していて、前記サンプルから抽出された核酸に対してリアルタイムPCRを実施するマイクロ流体カートリッジと、
前記サンプルが関心のあるヌクレオチドを含有しているかどうかの診断をユーザに提供する検出器とを有する、診断装置。
〔形態72〕
各々がサンプルを備えた複数のユニット化試薬ストリップを更に有し、核酸は、前記サンプルの各々から同時に抽出され、PCRは、前記サンプルの全てから抽出された前記核酸に対して同時に実施される、形態71に記載の診断装置。
〔形態73〕
ユニット化試薬ホルダであって、ストリップを有し、前記ストリップには、
単一のプロセス管が取付けられ、
1つ又は2つ以上の入れ物が取付けられ、各入れ物は、サンプル調製試薬と、第1の分析物に関するPCR試薬と、1つ又は2つ以上の液体試薬とから成る群から選択された試薬を収容し、
廃棄物管が取付けられ、
1つ又は2つ以上のピペット先端部を保持するように構成された1つ又は2つ以上のソケットが取付けられ、
前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースが取付けられている、ユニット化試薬ホルダ。
〔形態74〕
前記PCR試薬は、凍結乾燥されている、形態73に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態75〕
4つのソケットを有する、形態73に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態76〕
前記1つ又は2つ以上の液体試薬は、中和化緩衝液と、遊離緩衝液と、洗浄緩衝液とを含む、形態73に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態77〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物の各々の口を密封閉鎖するラミネートを更に有する、形態73に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態78〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物のうちの少なくとも1つは、取出し可能である、形態73に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態79〕
液体ディスペンサであって、
1つ又は2つ以上のセンサと、
マニホルドと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上のポンプと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上の小出しヘッドと、三次元の並進移動自由度を提供する台と、
外部制御装置から電気信号を受取る電気接続部とを有し、
前記液体ディスペンサは、前記1つ又は2つ以上のポンプを介する以外には、流体のための入口又は出口を備えていない、液体ディスペンサ。
〔形態80〕
磁性粒子のセパレータであって、
直線状に位置合わせされた1つ又は2つ以上の磁石を有し、
電動式シャフトを有し、前記1つ又は2つ以上の磁石が磁性粒子を収容した1つ又は2つ以上の入れ物に対して密接状態をなすように前記1つ又は2つ以上の磁石を上昇させ又は前記電動式シャフト上に落下させることができ、
前記電動式シャフトの運動を制御する制御回路を有する、セパレータ。
〔形態81〕
一体形セパレータ・ヒータであって、
ヒータ組立体を有し、前記ヒータ組立体は、複数の独立に制御可能なヒータユニットを有し、各ヒータユニットは、プロセスチャンバを受入れてこれを加熱するように構成され、
直線状に位置合わせされた1つ又は2つ以上の磁石を有し、
電動式シャフトを有し、前記1つ又は2つ以上の磁石が前記プロセスチャンバのうちの1つ又は2つ以上に対する密接性を達成するような仕方で前記1つ又は2つ以上の磁石を上昇させ又は前記電動式シャフト上に落下させることができ、
前記電動式シャフトの運動を制御する制御回路を有する、一体形セパレータ・ヒータ。
〔形態82〕
前記ヒータユニットの各々は、電力抵抗器を含む、形態81に記載の一体形セパレータ・ヒータ。
〔形態83〕
ラックであって、
ハウジングを有し、
前記ハウジング内に設けられた複数のレーンを有し、前記複数のレーンの各レーンは、サンプル管を受入れるように構成された第1の場所及び試薬ホルダを受入れるように構成された第2の場所を有し、
診断装置の受入れベイと相補した位置合わせ部材を有する、ラック。
〔形態84〕
前記位置合わせ部材は、
前記ラックが単一の向きでしか前記診断装置内に配置できないようにする共に前記診断装置内に配置されたときに前記ラックの安定性を提供するように構成された2本又は3本以上の位置決めピンを有する、形態83に記載のラック。
〔形態85〕
前記診断装置内における前記ラックの適正な配置を指示するように構成されたセンサアクチュエータを更に有する、形態83に記載のラック。
〔形態86〕
前記サンプル管及び前記試薬ホルダを前記ラック内に装入するために前記診断装置の前記受入れベイから取外されるように構成されている、形態83に記載のラック。
〔形態87〕
持ち運び取っ手を更に有する、形態83に記載のラック。
〔形態88〕
前記持ち運び取っ手は、装入時、前記ラックの重心を通る軸線から変位した軸線回りに位置決めされ、その自重で前記ラックの上面と面一をなす位置まで自由に落下することができる、形態87に記載のラック。
〔形態89〕
前記ハウジングは、アルミニウムで作られている、形態83に記載のラック。
〔形態90〕
前記ハウジングは、水平方向部材と、前記水平方向部材に連結された2つ又は3つ以上の上下方向部材とを有し、各レーンの前記第2の場所は、前記水平方向部材に設けられた凹み部分である、形態83に記載のラック。
〔形態91〕
前記2つ又は3つ以上の上下方向部材は、前記ラックが自立できるように構成されている、形態90に記載のラック。
〔形態92〕
前記第1及び前記第2の上下方向部材に対称に取付けられた2つ又は3つ以上の脚を更に有する、形態90に記載のラック。
〔形態93〕
前記ハウジングは、複数の垂直スペーサ部材を更に有し、各垂直スペーサ部材は、一対の隣り合うレーン相互間に配置されている、形態90に記載のラック。
〔形態94〕
少なくとも、前記第1のレーンと前記第2のレーンは、互いに平行である、形態83に記載のラック。
〔形態95〕
対をなす隣り合うサンプルレーンは、これらのそれぞれの中点が24mmだけ分離されている、形態83に記載のラック。
〔形態96〕
前記複数のレーンは、正確に12個のレーンから成る、形態83に記載のラック。
〔形態97〕
前記複数のレーンは、2、5、6、8、10、12、16、20、又は24個のレーンから成る、形態83に記載のラック。
〔形態98〕
各レーンと関連したレーン識別子を更に有する、形態83に記載のラック。
〔形態99〕
前記第1の場所は、サンプル管の底部を受入れるように構成された凹み部分と、前記サンプル管の上方部分を保持するように構成された孔とを有する、形態83に記載のラック。
〔形態100〕
前記第2の場所は、試薬ホルダが裏返し可能に滑り込むスロットである、形態83に記載のラック。
〔形態101〕
前記第2の場所は、1つ又は2つ以上のピペット先端部を受入れるのに足るほど深い、形態83に記載のラック。
〔形態102〕
前記第2の場所の各々は、前記試薬ホルダを単一の向きで受入れるように構成された機械的キーを有する、形態83に記載のラック。
〔形態103〕
前記機械的キーは、前記試薬ホルダの相補部分との係合時に、試薬ホルダが前記第2の場所にスナップ嵌合できるようにする隆起又は凹み部分を含む、形態102に記載のラック。
〔形態104〕
前記試薬ホルダは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記機械的キーは、前記第1の端部と係合するように構成された第1の特徴部及び前記第2の端部に係合するように構成された第2の特徴部を有する、形態102に記載のラック。
〔形態105〕
前記複数のレーン内の複数の試薬ホルダが、互いに対して同一高さに維持されている、形態83に記載のラック。
〔形態106〕
前記試薬ホルダは各々、前記サンプルからポリヌクレオチドを抽出し、前記ポリヌクレオチドをPCR実施準備のできた形態にするのに十分な試薬を収容している、形態83に記載のラック。
〔形態107〕
複数の試薬ホルダを受入れると共に複数のサンプル管を受入れるように構成されたラックであって、前記試薬ホルダは、前記サンプル管と1対1の対応関係をなし、前記試薬ホルダは各々、前記サンプルからポリヌクレオチドを抽出し、前記ポリヌクレオチドをPCR実施準備のできた形態にするのに十分な試薬を収容し、前記ラックは、前記PCR実施準備のできたポリヌクレオチドに対してPCRを実施する装置内に挿入可能であったりこれから取出し可能であったりするように構成されている、ラック。
〔形態108〕
試薬ホルダであって、
上側及び上側と反対側に位置する下側を備えた連結部材と、
前記連結部材に取付けられていて、前記連結部材に設けられた孔を有するプロセス管と、前記連結部材に設けられていて、ピペット先端部を受入れるように構成された少なくとも1つのソケットと、
前記連結部材の前記下側に設けられた2本又は3本以上の試薬管とを有し、前記試薬管の各々は、前記連結部材に設けられた入口孔及び前記連結部材に設けられた1つ又は2つ以上の入れ物を有し、前記1つ又は2つ以上の入れ物は各々、前記連結部材の前記上側から挿入された試薬管を受入れるように構成されている、試薬ホルダ。
〔形態109〕
1回使用だけのものとして構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態110〕
前記連結部材の前記下側に設けられていて、前記連結部材に設けられた入口開口部を備える廃棄物チャンバを更に有する、形態108に記載のホルダ。
〔形態111〕
4つのソケットを有し、各ソケットは、4つのピペット先端部の各々をそれぞれ保持するように構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態112〕
前記連結部材の下側に取外し可能に取付けられたピペット先端部のシースを更に有し、前記シースは、前記ピペット先端部が前記少なくとも1つのソケット内に収納されると、少なくとも1つのソケット及びピペット先端部の頂部及び下方部分を包囲するように構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態113〕
4つのソケットを有し、各ソケットは、4つのピペット先端部の各々をそれぞれ保持するように構成され、前記ピペットシースは、前記ピペット先端部がそれぞれの前記ソケット内に収納されると、4つの前記ソケットを包囲すると共にピペット先端部及び前記ピペット先端部の下方部分を包囲するように構成されている、形態12に記載のホルダ。
〔形態114〕
前記連結部材に取付けられた識別子を更に有する、形態108に記載のホルダ。
〔形態115〕
前記識別子は、バーコード、二次元バーコード、又はRFIDタグである、形態111に記載のホルダ。
〔形態116〕
前記連結部材は、前記ホルダが支持ラック内の相補部材によって受入れられるようにする機械的キーを更に有する、形態108に記載のホルダ。
〔形態117〕
少なくとも、前記連結部材は、前記ホルダを前記支持ラック内の相補部材中に裏返し可能にスナップ嵌合できるよう軟質材料で作られている、形態108に記載のホルダ。
〔形態118〕
前記連結部材は、前記少なくとも1つのソケット、前記1つ又は2つ以上の入れ物、前記プロセス管のそれぞれの前記孔、及び前記2つ又は3つ以上の試薬管が、全て、互いに対して直線状に配置されるように構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態119〕
前記廃棄物チャンバは、前記少なくとも1つのソケット、前記1つ又は2つ以上の入れ物、前記プロセス管のそれぞれの前記孔、及び前記2つ又は3つ以上の試薬管に対して直線状に配置されている、形態118に記載のホルダ。
〔形態120〕
前記2つ又は3つ以上の試薬管のうちの1つ又は2つ以上は各々、液体試薬を収容している、形態108に記載のホルダ。
〔形態121〕
前記液体試薬は、溶液中に溶けたPCR試薬と、サンプル調製試薬とから成る群から選択される、形態120に記載のホルダ。
〔形態122〕
前記PCR試薬は、第1の分析物を検出するのに適した第1のPCR試薬及び第2の分析物を検出するのに適した第2のPCR試薬を含む、形態121に記載のホルダ。
〔形態123〕
前記1つ又は2つ以上のサンプル調製試薬は、洗浄緩衝液、遊離緩衝液、及び中和化緩衝液を含む、形態121に記載のホルダ。
〔形態124〕
前記2つ又は3つ以上の試薬管の前記孔を覆うラミネート構造を更に有する、形態108に記載のホルダ。
〔形態125〕
前記ラミネートは、順番に、アルミ箔の層と、接着剤層と、ポリマー層と、ヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、前記1つ又は2つ以上の液体試薬に隣接して位置して、形態124に記載のホルダ。
〔形態126〕
前記アルミ箔は、厚さが0.1〜15ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが15〜25ミクロンである、形態125に記載のホルダ。
〔形態127〕
前記アルミニウム層は、厚さが0.1〜1ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが25〜30ミクロンである、形態125に記載のホルダ。
〔形態128〕
前記アルミニウム層は、蒸着又はスパッタリングされたアルミニウムの層である、形態125に記載のホルダ。
〔形態129〕
前記ポリマーは、ポリプロピレンである、形態125に記載のホルダ。
〔形態130〕
前記連結部材の前記上側に設けられていて、前記2本又は3本以上の試薬管の前記入口孔を包囲した隆起部分を更に有し、前記ラミネートは、前記隆起部分に取付けられている、形態125に記載のホルダ。
〔形態131〕
前記プロセス管は、その底部内面に設けられた星状隆起部パターンを有する、形態108に記載のホルダ。
〔形態132〕
前記ピペットシースは、底部を有し、前記底部は、該底部と前記連結部材との間に設けられた壁に連結され、前記壁は、1つ又は2つ以上の孔を有する、形態114に記載のホルダ。
〔形態133〕
前記連結部材、前記プロセス管、及び前記2本又は3本以上の試薬管は、単一品から作られている、形態108に記載のホルダ。
〔形態134〕
前記連結部材、前記プロセス管、前記2本又は3本以上の試薬管、及び前記廃棄物チャンバは、単一品から作られている、形態110に記載のホルダ。
〔形態135〕
前記連結部材、前記プロセス管、及び前記2本又は3本以上の試薬管は、ポリプロピレンで作られている、形態108に記載のホルダ。
〔形態136〕
前記連結部材、前記プロセス管、前記2本又は3本以上の試薬管、及び前記廃棄物チャンバは、ポリプロピレンで作られている、形態110に記載のホルダ。
〔形態137〕
少なくとも、前記プロセス管及び前記2本又は3本以上の試薬管は、半透明である、形態108に記載のホルダ。
〔形態138〕
種々の前記入口孔は、ピペット先端部を受入れるように構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態139〕
生物学的サンプルからのPCR実施準備のできたDNA又はRNAの自動化調製を行う装置に用いられるように構成されている、形態108に記載のホルダ。
〔形態140〕
形態108に記載のホルダのうちの1つ又は2つ以上を有する密閉パウチ。
〔形態141〕
キットであって、
形態108に記載のホルダのうちの1つ又は2つ以上を収容した第1のパウチと、
内部に不活性雰囲気を有すると共に凍結乾燥PCR試薬を収容した1本又は2本以上の管を有する第2のパウチとを有する、キット。
〔形態142〕
形態108に記載のホルダを24個有する、形態142に記載のキット。
〔形態143〕
ユニット化試薬ホルダであって、ストリップを有し、前記ストリップには、
単一のプロセス管が取付けられ、
1つ又は2つ以上の入れ物が取付けられ、各入れ物は、サンプル調製試薬と、第1の分析物に関するPCR試薬と、1つ又は2つ以上の液体試薬とから成る群から選択された試薬を収容し、
1つ又は2つ以上のピペット先端部を保持するように構成された1つ又は2つ以上のソケットが取付けられている、ユニット化試薬ホルダ。
〔形態144〕
前記PCR試薬は、凍結乾燥されている、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態145〕
4つのソケットを有する、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態146〕
前記1つ又は2つ以上の液体試薬は、中和化緩衝液と、遊離緩衝液と、洗浄緩衝液とを含む、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態147〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物の各々の口を密封閉鎖するラミネートを更に有する、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態148〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物のうちの少なくとも1つは、取出し可能である、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態149〕
前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースを更に有する、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態150〕
廃棄物管を更に有する、形態143に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態151〕
試薬ホルダであって、
プロセス管と、
1つ又は2つ以上のピペット先端部と、
1本又は2本以上の試薬管とを有し、前記1本又は2本以上の試薬管は、それぞれ、サンプルからのポリヌクレオチドの抽出を実施するのに十分な量の1つ又は2つ以上の試薬を収容し、前記プロセス管、前記1つ又は2つ以上のピペット先端部、及び前記1本又は2本以上の試薬管は、各々、単一の連結部材に接合されている、試薬ホルダ。
〔形態152〕
廃棄物管と、
前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースとを更に有する、形態151に記載のホルダ。
〔形態153〕
前記連結部材は、第1の端部及び第2の端部を有し、前記プロセス管は、前記第1の端部か前記第2の端部かのいずれか一方のところに設けられている、形態151に記載のホルダ。
〔形態154〕
試薬管であって、
前記管の内面の底部のところに心出しされた切欠き又は隆起部の星状パターンを有する、試薬管。
〔形態155〕
前記星状パターンは、3、4、5、6、8、9、10、又は12個から選択された数の頂点を有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態156〕
前記切欠きは各々、V字形断面を有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態157〕
前記切欠きは各々、幅を有し、前記幅は、最も幅の広い点から頂点までテーパしている、形態154に記載の試薬管。
〔形態158〕
前記最も幅の広い点は、前記星状パターンの中心の最も近くに位置する、形態157に記載の試薬管。
〔形態159〕
前記最も幅の広い点の幅は、50ミクロンである、形態157に記載の試薬管。
〔形態160〕
前記切欠きの各々は、深さを有し、前記深さは、最も深い点から頂点までテーパしている、形態154に記載の試薬管。
〔形態161〕
前記最も深い点は、前記星状パターンの中心の最も近くに位置している、形態160に記載の試薬管。
〔形態162〕
前記最も深い点の深さは、25〜50ミクロンである、形態160に記載の試薬管。
〔形態163〕
前記切欠きの各々は、その最も幅の広い点からその頂点までの最も短い距離として測定された長さを有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態164〕
前記長さは、0.5mmである、形態156に記載の試薬管。
〔形態165〕
前記星状パターンは、回転対称軸を有し、前記回転対称軸は、前記試薬管の底部に垂直に位置し、前記切欠きは、前記回転対称軸に関して対称に配置されている、形態154に記載の試薬管。
〔形態166〕
前記星状パターンは、前記試薬管の前記底部の中心のところに円形の切欠きを更に有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態167〕
0.3mlの容積を有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態168〕
0.1ml〜0.65mlの容積を有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態169〕
前記星状パターンは、液体を前記試薬管からピペット操作で取出すことができるように設計され、残留容積は、1マイクロリットル未満である、形態154に記載の試薬管。
〔形態170〕
前記試薬管の頂部は、前記試薬管の頂部上へのフィルムのヒートシール中、前記試薬管の頂部リムの膨張を減少させる面取り縁部を有する、形態154に記載の試薬管。
〔形態171〕
前記試薬管内に収容された試薬を更に有し、前記試薬管は、頂部がフィルムによって密封されている、形態154に記載の試薬管。
〔形態172〕
前記頂部に設けられた識別可能なコードを更に有する、形態171に記載の試薬管。
〔形態173〕
前記試薬は、液体又は凍結乾燥形態である、形態171に記載の試薬管。
〔形態174〕
液体ディスペンサであって、
1つ又は2つ以上のセンサと、
マニホルドと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上のポンプと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上の小出しヘッドと、
外部制御装置からの電気信号を受取る電気接続部とを有し、
前記液体ディスペンサは、前記1つ又は2つ以上のポンプを介する以外には、流体のための入口又は出口を備えていない液体ディスペンサ。
〔形態175〕
4つの小出しヘッドを有し、各ヘッドは、ピペット先端部を受入れるように構成されている、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態176〕
2つ又は3つ以上のサンプルの溶液の分析又は調製と関連して流体を吸引し又は小出しするように構成されている、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態177〕
前記1つ又は2つ以上のセンサは、サンプル管又は試薬ホルダとの接触時に前記1つ又は2つ以上の小出しヘッドの垂直運動の中断を検出する可変力センサ又は停動センサを含む、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態178〕
前記1つ又は2つ以上の小出しヘッドは、個々にばね押しされている、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態179〕
前記マニホルドは、少なくともn+1個のバルブを有し、nは、前記小出しヘッドの個数である、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態180〕
前記ディスペンサの通常の作動中、サンプルの溶液は前記マニホルドに流入しない、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態181〕
1回の操作で1.0ml以下の量の流体を受入れ又は小出しするように構成されている、形態174に記載の液体ディスペンサ。
〔形態182〕
1回の操作で10nl〜1ml以下の量の流体を受入れ又は小出しするように構成されている、形態181に記載の液体ディスペンサ。
〔形態183〕
1つ又は2つ以上のサンプルホルダから液体を小出ししたり吸引したりするシステムであって、前記システムは、形態174に記載の液体ディスペンサを有し、前記液体ディスペンサは、前記液体ディスペンサに三次元の並進自由度を提供する台に取付けられている、システム。
〔形態184〕
前記三次元並進移動は、マイクロプロセッサにより制御される、形態183に記載のシステム。
〔形態185〕
前記制御装置は、z寸法方向に対し、前記制御装置が前記ポンプと一緒に動くよう前記ポンプ−マニホルドシステムに取付けられている、形態174に記載のシステム。
〔形態186〕
前記センサは、個々のピペット先端部センサと、前記ポンプのエンコーダと、力センサと、及びイメージセンサとから成る群から選択される、形態174に記載のシステム。
〔形態187〕
バーコードセンサを更に有する、形態174に記載のシステム。
〔形態188〕
ピペット先端部を取外すストリッパプレートを更に有する、形態174に記載のシステム。
〔形態189〕
前記ストリッパプレートを前記ピペット先端部に垂直な平面内で動かすラック及びピニオン歯車を備えたステッパモータを更に有する、形態188に記載のシステム。
〔形態190〕
磁性粒子を分離する装置であって、
支持部材に取付けられた1つ又は2つ以上の磁石を有し、
前記1つ又は2つ以上の磁石が固定軸線に沿って前後に動くよう前記支持部材を動かすように構成された電動式機構を有し、
前記運動の少なくとも一部分の間、前記1つ又は2つ以上の磁石は、前記磁性粒子を収容した1つ又は2つ以上の入れ物に対して密接状態を維持し、
前記電動式機構を制御する制御回路を有する、装置。
〔形態191〕
前記1つ又は2つ以上の磁石は、永久磁石である、形態174に記載の装置。
〔形態192〕
前記1つ又は2つ以上の磁石は、ネオジミウムで作られていて、磁界強度が5,000〜15,000ガウスである、形態174に記載の装置。
〔形態193〕
前記1つ又は2つ以上の磁石は、前記支持部材上に同一直線状に位置合わせされている、形態174に記載の装置。
〔形態194〕
前記固定軸線は、垂直に差し向けられている、形態174に記載の装置。
〔形態195〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物の各々は、プロセス管である、形態174に記載の装置。
〔形態196〕
前記電動式機構は、前記支持部材が取付けられたシャフトと、前記支持部材を前記シャフトに沿って動かすように構成されたモータとを有する、形態174に記載の装置。
〔形態197〕
前記1つ又は2つ以上の磁石は、前記運動の少なくとも一部分の間、前記1つ又は2つ以上の入れ物から1〜2mm未満の距離を置いたところに位置している、形態174に記載の装置。
〔形態198〕
前記支持部材は、前記1つ又は2つ以上の入れ物から遠ざかって位置する第1の位置と、前記1つ又は2つ以上の入れ物に密接して位置する第2の位置との間で動くように構成され、前記支持部材は、更に、前記第2の位置の周りに所与の振幅で動くように構成され、前記振幅は、前記シャフトに沿って測定して前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離よりも短い、形態174に記載の装置。
〔形態199〕
前記電動式機構によって制御される運動の方向以外の方向における前記支持部材の内部運動を制限するように構成された1つ又は2つ以上の案内部材を更に有する、形態174に記載の装置。
〔形態200〕
前記磁性粒子は、前記1つ又は2つ以上の入れ物内で溶液中に懸濁状態にあり、前記磁性粒子を分離するには、前記磁性粒子を集めて前記1つ又は2つ以上の入れ物の一部分上に集中させる、形態174に記載の装置。
〔形態201〕
12個の入れ物が設けられている、形態174に記載の装置。
〔形態202〕
形態174に記載の装置を有する診断装置。
〔形態203〕
一体形セパレータ・ヒータであって、
ヒータ組立体を有し、前記ヒータ組立体は、複数の独立に制御可能なヒータユニットを有し、各ヒータユニットは、複数のプロセス管の各々をそれぞれ受入れてこれを加熱するように構成され、
支持部材に取付けられた1つ又は2つ以上の磁石を有し、
前記1つ又は2つ以上の磁石が固定軸線に沿って前後に動くよう前記支持部材を動かすように構成された電動式機構を有し、前記運動の少なくとも一部分の間、前記1つ又は2つ以上の磁石は、前記ヒータ組立体内の前記プロセス管のうちの1本又は2本以上に対して密接状態を維持し、前記1本又は2本以上のプロセス管は、磁性粒子を収容し、
前記電動式機構を制御したり前記ヒータユニットの加熱を制御したりするようにする制御回路を有する、一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態204〕
前記1本又は2本以上のプロセス管の加熱と前記1本又は2本以上のプロセス管内の磁性粒子の分離の両方は、前記1本又は2本以上のプロセス管が前記1つ又は2つ以上のヒータユニット内に位置しているときに起こり、この場合、前記1本又は2本以上のプロセス管を前記加熱後に取外し又は再位置決めする必要がない、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態205〕
前記1つ又は2つ以上のヒータユニットは、電力抵抗器を含む、形態204に記載の一体形ヒータ・セパレータ
〔形態206〕
前記1つ又は2つ以上のヒータユニットは、互いに同一直線状に位置合わせされている、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ
〔形態207〕
前記1つ又は2つ以上のヒータユニットは各々、前記複数本のプロセス管の各々の下方部分を部分的に包囲するように構成されている内部キャビティを備えた加熱ブロックを有する、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態208〕
前記内部キャビティは、前記磁石が前記プロセス管に密接して位置したときに、前記1つ又は2つ以上の磁石のうちの1つに隣接して位置する開放フェースを有する、形態207に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態209〕
前記1つ又は2つ以上のヒータユニットは各々、加熱ブロックを有し、前記加熱ブロックは、アルミニウム、銀、金、銅、及びこれらの合金から選択された材料で作られている、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態210〕
前記プロセス管のうちの1本の中に収容された1mlの生物学的サンプルを3分未満で室温から65℃まで加熱することができる、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態211〕
前記ヒータ組立体は、前記加熱ブロックの各々のそれぞれの温度を検出して記録するように構成された1つ又は2つ以上の温度センサを更に有する、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態212〕
前記1つ又は2つ以上の磁石は、前記支持部材上に同一直線状に位置合わせされている、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態213〕
前記固定軸線は、垂直に差し向けられている、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態214〕
前記電動式機構は、前記支持部材が取付けられたシャフトと、前記支持部材を前記シャフトに沿って動かすように構成されたモータとを有する、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態215〕
前記支持部材は、前記1つ又は2つ以上の入れ物から遠ざかって位置する第1の位置と、前記1つ又は2つ以上の入れ物に密接して位置する第2の位置との間で動くように構成され、前記支持部材は、更に、前記第2の位置の周りに所与の振幅で動くように構成され、前記振幅は、前記シャフトに沿って測定して前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離よりも短い、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態216〕
12個のヒータユニットが設けられている、形態203に記載の一体形ヒータ・セパレータ。
〔形態217〕
形態203に記載の一体形セパレータ・ヒータを有する診断装置。
〔形態218〕
マイクロ流体基体であって、
複数のサンプルレーンを有し、前記複数のサンプルレーンの各々は、マイクロ流体ネットワークを有し、前記マイクロ流体ネットワークは、
入口、
第1のバルブ及び第2のバルブ、
前記入口から前記第1のバルブを通って反応チャンバに通じる第1のチャネル、及び
前記反応チャンバから前記第2のバルブを介して通気部に通じる第2のチャネルを互いに連通状態で有する、マイクロ流体基体。
〔形態219〕
前記複数のサンプルレーンの各々は、他のレーンとは独立に1つ又は2つ以上のポリヌクレオチドを増幅するように構成されている、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態220〕
前記反応チャンバのうちの少なくとも1つの中でリアルタイムPCR実施するように構成されている、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態221〕
前記入口の各々は、ピペット先端部から所与の量のサンプルを受入れるように構成されている、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態222〕
サンプルの前記所与の量は、1〜20μlである、形態221に記載のマイクロ流体基体。
〔形態223〕
入口が、高さが少なくとも1mmであり、ピペット先端部の導入を受入れる最も幅の広い点の直径が1〜5mmの逆円錐台形構造を有する、形態221に記載のマイクロ流体基体。
〔形態224〕
前記複数のサンプルレーンのそれぞれの前記入口は、他ピペットヘッドディスペンサからの同時装填を可能にするよう互いに間隔を置いて位置している、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態225〕
前記第1のバルブ及び前記第1のバルブは、加熱時に溶け、反応チャンバと連通したチャネルを密封する温度感受性物質を含む、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態226〕
前記反応チャンバの容積は、3〜5μlである、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態227〕
前記複数のサンプルレーンは、12個のレーンである、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態228〕
前記反応チャンバの各々上に位置する蛍光検出窓を更に有する、形態218に記載のマイクロ流体基体。
〔形態229〕
形態218に記載のマイクロ流体基体を有するマイクロ流体カートリッジ。
〔形態230〕
前記カートリッジが相補形の診断装置によって単一の向きで受入れられるようにする位置合わせ部材を更に有する、形態229に記載のマイクロ流体。
〔形態231〕
前記PCR反応チャンバ、前記入口孔、及び前記PCR反応チャンバを隔離する前記バルブを含む前記マイクロ流体ネットワークの各々は、単一の基体内に構成されている、形態229に記載のマイクロ流体カートリッジ。
〔形態232〕
前記基体は、剛性基体であって、空気又は液体を通さず、前記カートリッジの作動中における空気又は液体の流入又は流出は、前記入口又は通気部を介してのみ可能である、形態218に記載のマイクロ流体カートリッジ。
〔形態233〕
マイクロ流体カートリッジであって、
上側及び反対側の下側を有すると共に複数のサンプルレーンを備えたマイクロ流体ネットワークを有する基体と、
前記下側に取付けられたラミネートと、
前記上側に取付けられたラベルとから成る、カートリッジ。
〔形態234〕
前記複数のレーンの各レーンは、マイクロ流体ネットワークを有し、前記マイクロ流体ネットワークは、
入口、
第1のバルブ及び第2のバルブ
前記入口から前記第1のバルブを経て反応チャンバに通じる第1のチャネル、及び
前記反応チャンバから前記第2のバルブを経て通気部に通じる第2のチャネルを互いに流体連通状態で有する、形態233に記載のカートリッジ。
〔形態235〕
各バルブは、前記基体の前記上側に開口した装入孔を有し、前記ラベルは、前記装入孔を覆ってこれを密封している、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態236〕
前記マイクロ流体ネットワークは、前記入口から前記第2のバルブまでを充填するのに必要な時間が前記出口通気部まで充填するのに必要な時間の50%未満であるように構成されている、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態237〕
各マイクロ流体ネットワークは、前記カートリッジ中に小出しされた余分な液体を収容するオーバーフローリザーバを有する、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態238〕
前記ラミネート材料は、少なくとも一方の面に接着剤被膜を備えた被覆テープである、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態239〕
2次元バーコードサンプル識別子が、前記ラベル上に存在している、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態240〕
前記バルブに感熱性材料を充填したときに使用される2つ又は3つ以上の位置決め要素を更に有する、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態241〕
積み重ね可能に構成されている、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態242〕
前記基体は、2つの隆起部を有し、前記隆起部は各々、前記カートリッジの2つの互いに反対側の縁部の各々に沿ってそれぞれ配置され、前記隆起部は、前記基体の前記上側に設けられている、形態234に記載のカートリッジ。
〔形態243〕
前記2つの隆起部は、前記カートリッジをトレイ上に水平に支持できるが、前記基体の前記下側を前記トレイの下に位置させたままにするように構成されている、形態242に記載のカートリッジ。
〔形態244〕
複数種類のポリヌクレオチド含有サンプルに対してPCRを独立に実施する方法であって、前記方法は、
前記複数のサンプルをマイクロ流体カートリッジ中に導入するステップを有し、前記カートリッジは、前記複数のサンプルの互いに独立の熱サイクル作動を可能にするように構成された複数のPCR反応チャンバを有し、
前記複数のサンプルを互いに独立に前記複数のPCR反応チャンバ内にそれぞれ移動させるステップを有し、
前記複数のPCR反応チャンバを隔離するステップを有し、
前記PCR反応チャンバに独立に連続した加熱サイクル及び冷却サイクルを適用することにより前記複数のサンプル内に含まれているポリヌクレオチドを増幅するステップを有する、方法。
〔形態245〕
準備装置であって、
多数の核酸含有サンプルから核酸を同時に抽出するように構成された第1のモジュールを有し、前記第1のモジュールは、
1つ又は2つ以上のラックを有し、各ラックは、多数のサンプル及び対応した数のホルダを受入れるように構成され、各ホルダは、プロセスチャンバ、廃棄物チャンバ、1つ又は2つ以上のピペット先端部、及び1つ又は2つ以上の入れ物を有し、前記1つ又は2つ以上の入れ物は、それぞれ、サンプルからの核酸の抽出を実行するのに十分な量の1つ又は2つの以上の試薬を収容し、
各ホルダの前記プロセスチャンバに対して動くように構成された磁気セパレータを有し、
前記プロセスチャンバの各々を独立に加熱するように構成されたヒータ組立体を有し、 2つ又は3つ以上のホルダに対する流体移送作業を同時に実行するように構成された液体ディスペンサを有し、
前記多数のサンプルから抽出された前記核酸を受入れてこれを貯蔵するように構成された第2のモジュールを有する、装置。
〔形態246〕
前記多数の核酸含有サンプルの各々がどういうものであるかをチェックするように構成されたサンプル識別検査機構を更に有する、形態245に記載の装置。
〔形態247〕
前記サンプル識別検査機構は、光学式文字読取り装置、バーコード読取り装置、及び無線周波タグ読取り装置から選択される、形態246に記載の装置。
〔形態248〕
前記液体ディスペンサは、4つのヘッドを有し、各ヘッドは、ホルダ内の前記1つ又は2つ以上のピペット先端部からピペット先端部を受入れるように構成されている、形態245に記載の装置。
〔形態249〕
2つのヘッドが同じホルダからピペット先端部を受入れるわけではない、形態248載の装置。
〔形態250〕
前記液体ディスペンサは、3つの並進自由度を備えた台に取付けられる、形態245に記載の装置。
〔形態251〕
前記液体ディスペンサ、前記ヒータ組立体、及び前記磁気セパレータの作動を制御するように構成された電子回路を更に有する、形態245に記載の装置。
〔形態252〕
前記電子回路は、前記液体小出しヘッドの作動を制御する、形態251に記載の装置。
〔形態253〕
前記電子回路は、前記ヒータ組立体が前記プロセスチャンバに独立に熱を加えるようにするように構成されている、形態251に記載の装置。
〔形態254〕
前記電子回路は、前記磁気セパレータが各ホルダの前記プロセスチャンバに対して繰り返し動くようにするように構成されている、形態251に記載の装置。
〔形態255〕
前記ホルダは、取外し可能である、形態245に記載の装置。
〔形態256〕
前記ホルダは、1回使用に適しており、使い捨てである、形態245に記載の装置。
〔形態257〕
前記磁気セパレータは、前記プロセスチャンバに対して繰り返し動くように構成されている、形態245に記載の装置。
〔形態258〕
2つのラックを有する、形態245に記載の装置。
〔形態259〕
サンプルの数は、12個である、形態245に記載の装置。
〔形態260〕
前記第2のモジュールは、前記サンプルの各々から抽出された核酸のための別々の箇所を有する、形態245に記載の装置。
〔形態261〕
前記別々の箇所の冷却は、電子回路によって制御される、形態260に記載の装置。
〔形態262〕
前記第2のモジュールは、前記サンプルの各々から抽出された核酸のための別個のPCR管を有する、形態245に記載の装置。
〔形態263〕
1本又は2本以上のPCR管が、凍結乾燥PCR試薬を収容している、形態262に記載の装置。
〔形態264〕
1本又は2本以上のPCR管が、第1の分析物を検出するのに適した第1の凍結乾燥PCR試薬及び第2の分析物を検出するのに適した第2の凍結乾燥PCR試薬を収容している、形態262に記載の装置。
〔形態265〕
前記第2のモジュールは、ペルチェ式冷却器を有する、形態245に記載の装置。
〔形態266〕
前記第2のモジュールは、前記サンプルから抽出された核酸を受入れる2つ以上の領域を有する、形態245に記載の装置。
〔形態267〕
前記2つ以上の領域は、互いに独立に冷却される、形態266に記載の装置。
〔形態268〕
前記第1のモジュールは、2つ以上のラックを有し、前記第2のモジュールは、2つ以上の領域を有する、形態266に記載の装置。
〔形態269〕
前記ホルダの各々は、プロセス管と、サンプル調製試薬、PCR試薬、及び1つ又は2つ以上の液体試薬のための1つ又は2つ以上の入れ物と、廃棄物管と、1つ又は2つ以上のピペット先端部を保持するように構成された1つ又は2つ以上のソケットと、前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースとを有する、形態245に記載の装置。
〔形態270〕
前記ピペットシースは、4つのピペット先端部を保持するように構成されている、形態269に記載の装置。
〔形態271〕
前記ホルダの各々は、識別子を有する、形態245に記載の装置。
〔形態272〕
前記識別子は、バーコードである、形態245に記載の装置。
〔形態273〕
前記ホルダは凍結乾燥サンプル調製試薬を収容している、形態245に記載の装置。
〔形態274〕
前記1つ又は2つ以上の液体試薬は、洗浄緩衝液、遊離緩衝液、及び中和化緩衝液を含む、形態266に記載の装置。
〔形態275〕
前記ホルダは、前記1つ又は2つ以上の液体試薬をこれらのそれぞれの入れ物の中に封入するよう配置されたラミネート構造体を有する、形態266に記載の装置。
〔形態276〕
前記ラミネートは、順番に、アルミ箔の層と、接着剤層と、ポリマー層と、ヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、前記1つ又は2つ以上の液体試薬に隣接して位置して、形態275に記載の装置。
〔形態277〕
前記アルミ箔は、厚さが0.1〜15ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが15〜25ミクロンである、形態276に記載の装置。
〔形態278〕
前記ラミネートは、順番に、蒸着され又はスパッタリングされたアルミニウムの層と、ポリマー層と、ヒートシール層とを有し、前記ヒートシール層は、前記1つ又は2つ以上の液体試薬に隣接して位置している、形態276に記載の装置。
〔形態279〕
前記アルミニウム層は、厚さが0.1〜1ミクロンであり、前記ポリマー層は、厚さが25〜30ミクロンである、形態278に記載の装置。
〔形態280〕
前記ポリマー層は、ポリプロピレンである、形態276又は278に記載の装置。
〔形態281〕
前記プロセスチャンバは、その底部内面に設けられた星状隆起部パターンを有する、形態245に記載の装置。
〔形態282〕
前記サンプルは、サンプル管内に保持され、各ホルダは、各サンプル管をそれぞれ受入れるように構成されている、形態245に記載の装置。
〔形態283〕
前記複数のサンプルの抽出を約30分で実施するように構成されている、形態245に記載の装置。
〔形態284〕
前記複数のサンプルは、前記サンプルの数の整数倍である、形態245に記載の装置。
〔形態285〕
前記1つ又は2つ以上のラックは、取出し可能である、形態245に記載の装置。
〔形態286〕
前記1つ又は2つ以上のラックは各々、前記装置の外部に配置されたとき、前記多数のサンプル及びこれに対応した数のホルダを受入れるように構成されている、形態245に記載の装置。
〔形態287〕
前記電子回路は、プロセッサを有し、前記装置は、前記プロセッサに結合された少なくとも1つの入力装置を更に有し、前記少なくとも1つの入力装置は、キーボードと、キーパッドと、スタイラス又はユーザの指からの入力を受取るように構成された接触式表面と、マイクロホンと、トラックパッドと、網膜スキャナと、フィンガプリント読取り装置と、ホログラフィーにより投影されるインタフェースと、マウスとから成る群から選択される、形態251に記載の装置。
〔形態288〕
プロセッサ、入力装置、及び通信インタフェースのうちの1つ又は2つ以上からデータを受取るように構成されたデータ記憶メディアを更に有し、前記記憶メディアは、ハードディスクドライブと、光学ディスクドライブと、フラッシュカードと、USBドライブと、CD−ROMとから成る群から選択される、形態245に記載の装置。
〔形態289〕
前記プロセッサに結合された通信インタフェースを更に有し、前記通信インタフェースは、シリアル接続部と、パラレル接続部と、ワイヤレスネットワーク接続部と、ワイアード接続部と、1つ又は2つ以上のUSBポートとから成る群から選択される、形態245に記載の装置。
〔形態290〕
プロセッサに結合された少なくとも1つの出力装置を更に有し、前記少なくとも1つの出力装置は、視覚表示装置、プリンタ、ホログラフィーック投写、及びスピーカから選択される、形態245に記載の装置。
〔形態291〕
前記装置は、携帯可能であり又は実験室の台上に載置できる、形態245に記載の装置。
〔形態292〕
前記多数のサンプルは各々、唾液と、尿と、血液と、精液と、粘液と、髄液とから成る群から独立に選択される、形態245に記載の装置。
〔形態293〕
診断装置であって、
1つ又は2つ以上のラックを有し、各ラック上には、多数の核酸収容サンプル及びこれに対応した数のホルダが取付けられ、各ホルダは、プロセスチャンバと、廃棄物チャンバと、1つ又は2つ以上のピペット先端部と、1つ又は2つ以上の入れ物を有し、前記1つ又は2つ以上の入れ物は、それぞれ、サンプルからの核酸の抽出を実施するのに十分な量の1つ又は2つ以上の試薬を収容し、
第1の位置から前記1つ又は2つ以上のホルダの各々の前記プロセスチャンバに隣接した第2の位置に移動可能である磁気セパレータを有し、
多数のヒータユニットを有するヒータ組立体を有し、前記ヒータユニットの各々は、プロセスチャンバと接触状態にあり、
第1のホルダの上方の第1の位置から第2のホルダの上方の第2の位置まで移動可能である液体ディスペンサを有し、
多数のコンパートメントを有する貯蔵コンパートメントを有し、各コンパートメントは、前記多数のサンプルの各々から抽出された核酸をそれぞれ貯蔵する、準備装置。
〔形態294〕
ユニット化試薬ホルダであって、ストリップを有し、前記ストリップには、
単一のプロセス管が取付けられ、
1つ又は2つ以上の入れ物が取付けられ、各入れ物は、サンプル調製試薬と、1つ又は2つ以上の液体試薬とから成る群から選択された試薬を収容し、
廃棄物管が取付けられ、
1つ又は2つ以上のピペット先端部を保持するように構成された1つ又は2つ以上のソケットが取付けられ、
前記1つ又は2つ以上のピペット先端部を包囲するように構成されたピペット先端部シースが取付けられている、ユニット化試薬ホルダ。
〔形態295〕
4つのソケットを有する、形態294に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態296〕
前記1つ又は2つ以上の液体試薬は、中和化緩衝液と、遊離緩衝液と、洗浄緩衝液とを含む、形態295に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態297〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物の各々の口を密封閉鎖するラミネートを更に有する、形態294に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態298〕
前記1つ又は2つ以上の入れ物のうちの少なくとも1つは、取出し可能である、形態294に記載のユニット化試薬ホルダ。
〔形態299〕
液体ディスペンサであって、
1つ又は2つ以上のセンサと、
マニホルドと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上のポンプと、
前記マニホルドと流体的に連通した1つ又は2つ以上の小出しヘッドと、三次元の並進移動自由度を提供する台と、
外部制御装置から電気信号を受取る電気接続部とを有し、
前記液体ディスペンサは、前記ポンプを介する以外には、流体のための入口又は出口を備えていない、液体ディスペンサ。