(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283034
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】薬剤送達装置内での混合を可能にする弁
(51)【国際特許分類】
A61M 5/28 20060101AFI20180208BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20180208BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
A61M5/28 520
A61M5/24 530
A61M5/315 580
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-544106(P2015-544106)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2016-501585(P2016-501585A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013070935
(87)【国際公開番号】WO2014081785
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年7月27日
(31)【優先権主張番号】61/729,824
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー フェリッター
(72)【発明者】
【氏名】フランク マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ジェイ.サリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】スコット エヌ.ダンホフ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジー.ハッセンプフルーク
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−159328(JP,A)
【文献】
特開平08−308928(JP,A)
【文献】
特開2004−147959(JP,A)
【文献】
特開2001−104482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/315
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分の、医療バレル内での混合を可能にするための弁であって、
前記バレル内に配設された、前記バレルの内面と摺動可能に係合するように構成され、かつ第1の位置と第2の位置の間で移動可能であるストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、ストッパと、
前記バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体であって、前記ステムは、前記ストッパが前記第2の位置にあるときに前記ストッパの前記チャネル内に配設される、静止本体と
を備え、
前記ストッパが前記第1の位置にあるとき、前記ステムは、前記ストッパの前記チャネル内に配設され、前記チャネルと共働してこれと共に液密シールを形成することによって、前記チャネルを通る流体の流れが、防止され、
前記ストッパの、前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記ステムの外面と前記チャネルの内面との間に連通路を形成し、当該チャネルを通る流体連通を確立することを特徴とする少なくとも2つの成分の、医療バレル内での混合を可能にするための弁。
【請求項2】
前記少なくとも2つの成分は、少なくとも1つの液体成分および少なくとも1つの乾燥成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記チャネルは、第1の直径を有する近位端部と、第2の直径を有する遠位端部とを含み、前記第1の直径は、前記第2の直径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の弁。
【請求項4】
近位端部および遠位端部を有するバレルと、
前記バレル内に配設された弁であって、
前記バレル内に配設された、前記バレルの内面と摺動可能に係合するように構成され、かつ第1の位置と第2の位置の間で移動可能であるストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、ストッパと、
前記バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体であって、前記ステムは、前記ストッパが前記第2の位置にあるときに前記ストッパの前記チャネル内に配設される、静止本体と、
を備える、弁と、
を備え、
前記ストッパが前記第1の位置にあるとき、前記ステムは、前記ストッパの前記チャネル内に配設され、前記チャネルと共働してこれと共に液密シールを形成することによって、前記チャネルを通る流体の流れが、防止され、
前記ストッパの、前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記ステムの外面と前記チャネルの内面との間に連通路を形成し、当該チャネルを通る流体連通を確立することを特徴とする薬物含有装置。
【請求項5】
前記バレルは、前記バレルの前記遠位端部に隣接する内側ショルダをさらに含み、前記本体の前記基部は、前記バレルの前記内側ショルダと接触することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記弁は、少なくとも2つの成分を前記バレル内で混合するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの成分は、少なくとも1つの液体成分および少なくとも1つの乾燥成分を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ステムは、前記ステムの近位端部から前記基部まで延びる、前記ストッパが前記第2の位置にあるときに前記ストッパの前記チャネルから前記バレルの遠位部分までの流体の流れを可能にするためのポートをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
最初に前記バレルの前記近位端部内に配設されるプランジャをさらに備え、前記プランジャを前記バレルの前記遠位端部に向かって前進させることは、前記ストッパを前記第1の位置から前記第2の位置まで遠位に移動させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記プランジャの連続された遠位移動は、前記ストッパを第3の位置まで前進させ、前記第3の位置では、前記ストッパは、前記本体の前記基部と当接することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、注射器であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、薬物カートリッジであることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項13】
薬物送達装置であって、
近位端部および遠位端部を有するバレルを備える、薬物送達装置と、
前記バレル内に配設された弁であって、前記弁が、
前記バレル内に配設された、前記バレルの内面と摺動可能に係合するように構成され、かつ第1の位置と第2の位置の間で移動可能であるストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、ストッパと、
前記バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体であって、前記ステムは、前記ストッパが前記第2の位置にあるときに前記ストッパの前記チャネル内に配設される、静止本体と、
を備え、
前記ストッパが前記第1の位置にあるとき、前記ステムは、前記ストッパの前記チャネル内に配設され、前記チャネルと共働してこれと共に液密シールを形成することによって、前記チャネルを通る流体の流れが、防止され、
前記ストッパの、前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記ステムの外面と前記チャネルの内面との間に連通路を形成し、当該チャネルを通る流体連通を確立する、弁と、
前記バレル内の前記弁の遠位に配設された乾燥成分と、
前記バレル内の前記弁の近位に配設された、前記乾燥成分を再構成するための液体成分と
を備えることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
最初に前記バレルの前記近位端部内に配設されるプランジャをさらに備え、前記プランジャを前記バレルの前記遠位端部に向かって前進させることは、前記ストッパを前記第1の位置から前記第2の位置まで遠位に移動させることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記プランジャの連続された遠位移動は、前記ストッパを第3の位置まで前進させ、前記第3の位置では、前記ストッパは、前記本体の前記基部と当接し、それによって再構成された乾燥成分および液体成分を前記バレルの前記遠位端部に位置するノズルから排出させることを特徴とする請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記装置は、注射器であることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記装置は、薬物カートリッジであることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤再構成装置に関し、より詳細には、少なくとも2つの物質の、医療注射器または薬物カートリッジ内での混合を可能にするための弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の薬物または薬剤(これらの用語は本明細書では交換可能に使用される)は、好ましくは、(凍結乾燥された形態などの)粉末または乾燥形態で提供され、投与前に再構成を必要とする。凍結乾燥された薬物は、たとえば、通常、物質を注射に適した形態に再構成するために希釈剤と混合される必要があるフリーズドライ形態で供給される。薬剤はまた、再構成を必要とする他の乾燥または粉末形態でも提供され得る。
【0003】
加えて、薬物は、投与前に混合を必要とする複数部分システムとして提供され得る。たとえば、1または複数の液体(たとえば流動可能な(スラリーまたは液体))成分および/または乾燥(たとえば粉末状または顆粒の)成分が、薬物容器または送達装置内に提供されてよく、これら成分は、投与前に混合を必要とする。ゴナドトロピンおよびインターフェロンは、通常、患者に投与される直前に混合される、そのような複数成分物質の例である。
【0004】
湿潤成分(たとえば液体)および乾燥成分(たとえば粉末)を共通容器の別個の室内に提供する従来技術の装置が、開発されており、このとき容器は、注射用の投与可能な溶液を調製する際に湿潤成分の乾燥成分への流れを可能にしてそれらの混合を引き起こすように構成される。従来の装置は、通常、容器内に形成されたバイパスチャネルを含み、したがって、装置は、詳細には、混合するように構成されなければならない。
【0005】
あるいは、湿潤成分および乾燥成分をシリンジバレルまたは薬物送達カートリッジ内で混合することを容易にするための従来装置は、最初に閉位置にあり、液体成分から弁にかけられた圧力に応答して開位置に移行する弁を開示する。詳細には、液体成分からの力が、弁の要素間の摩擦力に打ち勝って、液体成分が通り抜けるように弁内のチャネルを開く。しかし、これらの従来の弁は、弁要素間の摩擦係合が、弁上に及ぼされた流体力によって克服されるには大きすぎる場合、開かないことがある。この場合、弁は、正しく開く代わりにバレルを通って摺動することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、2つまたはそれ以上の成分の、単一のシリンジバレルまたは薬物送達カートリッジ内での混合、およびその後のその注射を可能にする再構成装置に対する必要性が存在する。カートリッジまたはバレルは、詳細には、混合するように構成される必要がないようにしなければならない。加えて、装置は、高い信頼性を有さなければならず、詳細には、弁を閉位置から開位置に移行させるために摩擦力差に頼ってはならない。最終的には、装置は、十分な障壁特性を有して、長期の保管のために湿潤成分および乾燥成分の分離を維持しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、シリンジバレルまたは薬物送達カートリッジ内に受け入れられるように構成された、再構成される薬物の1または複数の成分間の長期的な分離を維持するための弁であって、再構成された流体の排出前に、1または複数の成分の、バレルまたは注射器内での混合を可能にする、弁が提供される。弁と、再構成される薬物の成分を弁を通して推進し、再構成された流体を装置から排出するための排出要素とを含む薬物送達装置もまた、提供される。追加的に、薬物送達装置と、弁と、再構成される薬物の乾燥成分と、再構成される薬物の湿潤成分とを含む薬物送達アセンブリもまた、提供される。
【0008】
本発明の1つの実施形態によると、少なくとも2つの成分の、バレル内での混合を可能にするための弁は、バレル内に配設された、バレルの内面と摺動可能に液密係合するように構成されたストッパを含む。ストッパは、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であり、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを含む。弁は、さらに、バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体を含み、ステムは、ストッパが第2の位置にあるときにストッパのチャネル内に配設される。ストッパが第1の位置にあるとき、チャネル内に液密のシールが存在し、それにより、チャネルを通る流体の流れが、防止される。ストッパの第2の位置への移動は、液密シールを終わらせ、それによってチャネルを通る流体連通を確立し、前記ストッパの近位端部からバレルの遠位端部までの液体流路を画定する。本体の基部は、バレルの遠位端部に位置する内部ショルダ上に着座することができる。
【0009】
特定の構成では、ストッパは、ストッパのチャネル内に位置する、液密シールを創出する突き刺し可能なセプタムを含む。さらに、ステムの近位部分は、ストッパが第2の位置に移動されるときに突き刺し可能なセプタムを突き刺すための先端部を有することができる。
【0010】
他の構成では、ステムの少なくとも一部分は、第1の位置にあるストッパのチャネル内に配設され、チャネルと係合して液密シールを形成する。さらに、本体のステムは、ステムの近位端部から基部まで延びる、ストッパが第2の位置にあるときに液体流路に従ってストッパのチャネルからバレルの遠位部分までの流体の流れを可能にするためのポートをさらに含むことができる。追加的に、チャネルの近位端部は、チャネルの遠位端部より大きい直径を有し、それにより、ストッパの第2の位置への移動は、ステムをチャネルから外し、ステムをチャネル内でさらに遠くに前進させる。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、薬物含有装置は、近位端部および遠位端部を有するバレルと、前記バレル内に配設された弁とを含む。弁は、バレル内に配設された、バレルの内面と摺動可能に液密係合するように構成され、かつ第1の位置と第2の位置の間で移動可能であるストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、ストッパと、バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体であって、ステムは、ストッパが第2の位置にあるときにストッパのチャネル内に配設される、静止本体とを含む。ストッパが第1の位置にあるとき、チャネル内に液密シールが存在し、それにより、チャネルを通る流体の流れが、防止される。ストッパの第2の位置への移動は、液密シールを終わらせ、それによってチャネルを通る流体連通を確立し、前記ストッパの近位端部からバレルの遠位端部までの液体流路を画定する。バレルは、バレルの遠位端部上に位置する内側ショルダを含むことができる。本体の基部は、バレルの内側ショルダ上に着座することができる。
【0012】
特定の構成では、ストッパは、ストッパのチャネル内に位置する、液密シールを創出する突き刺し可能なセプタムを含む。さらに、ステムの近位部分は、ストッパが第2の位置まで移動されたときに突き刺し可能なセプタムを突き刺すための先端部を有することができる。
【0013】
他の構成では、ステムの少なくとも一部分は、第1の位置にあるストッパのチャネル内に配設され、チャネルと係合して液密シールを形成する。さらに、本体のステムは、ステムの近位端部から基部まで延びる、ストッパが第2の位置にあるときに液体流路に従ってストッパのチャネルからバレルの遠位部分までの流体の流れを可能にするためのポートをさらに含むことができる。追加的に、チャネルの近位端部は、チャネルの遠位端部より大きい直径を有し、それにより、第2の位置へのストッパの移動は、ステムをチャネルから外し、ステムをチャネル内でさらに遠くに前進させる。
【0014】
薬物含有装置は、注射器でよく、または薬物送達カートリッジでよい。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、バレルおよび弁を備える薬物送達装置を含むアセンブリが、提供される。弁は、バレル内に配設された、バレルの内面と摺動可能に液密係合するように構成され、かつ第1の位置と第2の位置の間で移動可能であるストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、ストッパと、バレル内に少なくとも部分的に配設された、基部およびステムを備える静止本体であって、ステムは、ストッパが第2の位置にあるときにストッパのチャネル内に配設される、静止本体とを含む。ストッパが第1の位置にあるとき、チャネル内に液密シールが存在し、それにより、チャネルを通る流体の流れが、防止される。ストッパの第2の位置への移動は、液密シールを終わらせ、それによってチャネルを通る流体連通を確立し、前記ストッパの近位端部からバレルの遠位端部までの液体流路を画定する。アセンブリは、さらに、前記バレル内の前記弁の遠位に配設された乾燥成分と、前記バレル内の前記弁の近位に配設された、前記乾燥成分を再構成するための液体成分とを含む。
【0016】
特定の構成では、アセンブリは、さらに、最初にバレルの近位端部内に配設されるプランジャを含み、この場合、プランジャをバレルの遠位端部に向かって前進させることは、ストッパを第1の位置から第2の位置まで遠位に移動させる。任意選択では、プランジャの連続された遠位移動は、ストッパを第3の位置まで前進させ、この第3の位置では、ストッパは、本体の基部と当接し、それによって再構成された乾燥成分および液体成分をバレルの遠位端部に位置するノズルから排出させる。
【0017】
本発明の別の実施形態によると、少なくとも2つの成分の、バレル内での混合を可能にするための弁は、バレル内に配設された、バレルの内面と摺動可能に液密係合するように構成された移動可能なストッパであって、近位端部と、遠位端部と、それらの間を延びるチャネルとを有する、移動可能なストッパを含む。弁は、さらに、基部およびピンを備える取り外し可能なキャップを含み、ピンは、基部に連結された遠位端部と、ストッパの流体チャネル内に配設された近位端部とを有する。ストッパが第1の位置にあるとき、キャップのステムは、ストッパのチャネル内に液密シールを形成し、それにより、チャネルを通る流体の流れが、防止される。キャップがバレルから取り外されたとき、流体チャネルを通る流体連通が確立され、それによって前記ストッパの近位端部からバレルの遠位端部までの液体流路を画定する。
【0018】
以下の説明は、当業者が、本発明を実施するために企図された、説明される実施形態を実施し、使用することを可能にするために提供される。しかし、さまざまな改変形態、等価物、変形形態、および代替策が、当業者に依然として容易に明らかであろう。あらゆるそのような改変形態、変形形態、等価物、および代替策は、本発明の趣旨および範囲内に入るよう意図される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の実施形態による、シリンジバレル内に配設され、第1のまたは保管位置に構成される、再構成のための弁の断面斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態による、第2の、または混合される位置にある
図1Aの弁の断面斜視図である。
【
図1C】本発明の実施形態による、第3の位置にある
図1Aの弁の断面斜視図である。
【
図1D】本発明の実施形態による、ストッパを通る液体の流れを示す、第2の位置にある
図1Aの弁の拡大された部分的な断面斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、
図1Aの弁の弁本体の側面図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、
図1Aの弁の弁本体の底面図である。
【
図3A】本発明の第2の実施形態による、シリンジバレル内に配設され、第1のまたは保管位置に構成される、再構成のための弁の断面斜視図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、第2のまたは混合される位置にある
図3Aの弁の断面斜視図である。
【
図3C】本発明の実施形態による、第3の位置にある
図3Aの弁の断面斜視図である。
【
図3D】本発明の実施形態による、ストッパを通る液体の流れを示す、第2の位置にある
図3Aの弁の拡大された部分的な断面斜視図である。
【
図4A】本発明の実施形態による、
図3Aの弁の弁本体の側面図である。
【
図4B】本発明の実施形態による、
図3Aの弁の弁本体の底面図である。
【
図5A】本発明の第3の実施形態による、シリンジバレル内に配設され、第1または保管位置に構成された、再構成のための弁の断面図斜視図である。
【
図5B】本発明の実施形態による、第2のまたは混合される位置にある、
図5Aの弁の断面斜視図である。
【
図5C】本発明の実施形態による、第3の位置にある
図5Aの弁の断面斜視図である。
【
図5D】本発明の実施形態による、ストッパを通る液体の流れを示す第2の位置にある
図5Aの弁の拡大された部分的な断面斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態による、
図5Aの弁のキャップの一部分の部分的な断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の理解を容易にする目的のために、添付の図および説明は、その好ましい実施形態を例示し、本発明のその実施形態から、その構造体、構造、および作動方法のさまざまな実施形態、ならびに数多くの利点が、理解され認められ得る。
【0021】
これ以後の説明の目的のために、用語「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」、およびその派生語は、図に配向されるように本発明に関連付けるものとする。しかし、本発明は、そうではないと明示的に明記されない限り、代替の変形形態およびステップ順序をとることができることを理解されたい。また、添付の図に例示され以下の明細書に説明される特有の装置およびプロセスは、本発明の例示的な実施形態にすぎないことも理解されるものとする。故に、本明細書において開示される実施形態に関連付けられる特有の寸法および他の物理的特徴は、限定すると考えられるものではない。
【0022】
図1A〜1Cを参照すると、少なくとも2つの成分の混合を可能にするための弁10が、示される。以下でさらに論じられるように、弁10は、1つの成分が、乾燥(たとえば凍結可能された粉末)成分を再構成するのに適した湿潤(たとえば液体)成分である、1または複数の薬物の再構成で使用するのに特に良好に適合される。弁10は、シリンジまたはペン注射器などの注射器(たとえば医療注射器)のバレル内、または薬物カートリッジのバレル内において使用され配設され得る。
【0023】
図1Aに示されるように、バレル12は、細長い円筒状のバレルの一般的形態のものでよいが、送達のための流体を含有するための他の形態もまた、本発明によって企図される。追加的に、バレル12は、ガラスから形成されてよく、または当業者に知られている技法に従って、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの熱可塑性材料から射出成形されてよいが、バレル12が、他の適切な材料から、他の適用可能な技法に従って作製されてよいことが認められるものとする。バレル12は、その壁上に、バレル内に含有された流体のレベルまたは量に関する指示を提供するための、目盛りなどのマーキングを含むことができる。そのようなマーキングは、外部壁、内部壁上に提供されてよく、または一体的に形成されてよく、またはバレル12の壁内に別の形であってよい。あるいは、またはそれに加えて、マーキングは、当技術分野で知られ得るように、シリンジの内容物の説明または他の識別情報を提供することができる。ノズル16の側壁によって形成された、保持ショルダ18が、バレル12の遠位端部に位置する。
【0024】
当業者によって認識されるであろうように、弁10は、液体、シロップまたはスラリー形態などの任意の流動可能な形態とすることができる1または複数の湿潤成分、および/または粉末または顆粒形態とすることができる1または複数の乾燥成分などのさまざまな成分の混合を可能にするために使用され得る。
【0025】
図1A〜2Bを参照すると、弁10は、一般的に、ストッパ20および本体30を含む。ストッパ20は、バレル12の側壁13の内部と摺動式の液密係合になるように構成される。ストッパ20は、弾性材料から形成されてよく、近位端部22と、遠位端部24と、それらの中に画定されそれらの間を少なくとも部分的に延びるチャネル26とを含むことができる。本発明の1つの非限定的な実施形態では、チャネル26は、ストッパ20の近位端部22においてより大きい直径D
1と、遠位端部24においてより小さい直径D
2とを画定する。1または複数のリブ28が、ストッパ20の周りに円周方向に形成されて、ストッパ20とバレル12の間に形成された液密シールの完全性を高めることができる。ストッパ20は、第1または保管位置(
図1Aを参照)から混合または第2の位置(
図1Bを参照)まで、分散または第3の位置(
図1Cを参照)までバレル12内で移動可能である。
【0026】
次に
図2Aを参照すると、弁10の本体30は、一般的に、基部32と、基部32に連結されたステム(弁棒)34とを含む。基部32は、剛性プラスチックを含むさまざまな材料から形成されてよく、技法のなかでもとりわけ、射出成形を用いて製造され得る。1つの実施形態では、基部32は、
図1A〜1Cに示されるように保持ショルダ18によって拘束される。ステム34はまた、剛性プラスチックから、あるいは金属から形成されてもよい。特定の構成では、基部32およびステム34は共に形成されてよい。ステム34は、近位端部36および遠位端部38を含む。近位端部36は、ストッパ20のチャネル26内に配設されるように適合される。遠位端部38は、基部32に連結される。1つの実施形態では、ステム34は、基部32からほぼ垂直の配向で延びる。ステム34は、さらに、ステム34の少なくとも一部分に沿って長手方向延びるポート40を含む。
【0027】
図1Aに示されるような第1の位置では、液密シールが、チャネル26内に形成されてチャネル26を通る流体の流れを防止する。本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、液密シールは、本体30のステム34とストッパ20のチャネル26との間の係合の結果として形成される。
図1Aに表されるように、ポート40の全体は、第1の位置にあるストッパ20から遠位に位置する。したがって、ポート40は、第1の位置にあるストッパ20のチャネル26内に配設されない。液密シールの完全性を高めるために、1または複数のシーリングリブ42が、ステム34の近位端部36上に画定されてよく、かつ/またはチャネル26の内面から延びることができる。
図2Bに表されるように、基部32は、さらに、基部の中央部分から径方向に外方向に延びるスリット44を含む。スリット44は、流体が基部32を通り抜けてノズル16を通ってバレル12から排出されることを可能にする。
【0028】
使用においては、弁10は、バレル12の内部内に配設され、バレル12を第1の室52と第2の室50に分離する。第1の室52は、弁10の遠位でよく、第2の室50は、弁10の近位でよい。乾燥薬剤などの乾燥成分が、第1の室52内に提供されてよく、乾燥成分を再構成するのに適した液体などの湿潤成分が、第2の室50内に配設されてよい。
図1Aを参照すると、弁10は、最初閉位置にある。閉位置では、ステム34は、液密シールをチャネル26内に画定し、それにより、チャネル26を通る液体の流れL(
図1D)が、防止される。加えて、ストッパ20とバレル12の間に画定された液密シールは、ストッパ20の周りの液体の流れを防止する。したがって、第1の室52内に収容された乾燥成分は、保管または輸送中、乾燥状態で維持され得る。
【0029】
使用の準備ができたとき、圧力が、手動または自動で力をかけることによるものを含む、任意の知られているやり方で、第2の室50内に収容された湿潤成分にかけられる。
図1Aを参照すると、本発明の1つの非限定的な実施形態では、圧力は、第2の室50内に収容された湿潤成分に対して近位位置に位置する、バレル12内に配設されたプランジャ60によってかけられる。プランジャ60は、任意選択で、連結ジョイント62においてプランジャ棒(図示せず)に連結されてよい。連結ジョイント62は、プランジャロッドが、プランジャ60に螺合するように構成され得る。
図1Dに示されるように、プランジャ60に下方向の力を矢印Fの方向にかけることは、プランジャ60をバレル12を通って遠位に前進させる。
【0030】
第2の室50内に収容された流体成分が非圧縮性であり、または全体的に非圧縮性である状態では、かけられた圧力は、流体成分を通ってストッパ20に伝えられる。かけられた力は、ストッパ20をバレル12を通って遠位に移動させるが、本体30は静止したままである。チャネル26の近位部分が、遠位部分より大きい直径を有する状態では、チャネル26と共に液密シールを最初に画定するステム34は、チャネル26との係合から外れる。ストッパ20の連続された遠位移動は、ステム34をさらにチャネル26内へともっていき、それによってストッパ20のチャネル26およびステム34のポート40を通る流体連通を確立する。したがって、液体流路L(
図1D)が、チャネル26およびポート40を通って画定される。
【0031】
図1Bを参照し続けると、圧力をさらにかけた状態下で、弁10は、ストッパ20とバレル12の間の接合面において生成された移動に対する摩擦抵抗により、バレル12に対して固定される。この時点において、第2の室50内に収容された流体成分は、
図1Dに示されるように、液体流路Lに従ってチャネル26およびポート40を通って押し出される。第2の室50内に収容された液体成分は、チャネル26およびポート40を通って押し出されて乾燥成分を収容する第1の室52に入る。このようにして、第2の室50内に収容された液体成分は、第1の室52内に収容された乾燥成分と共に再構成され、注射準備ができた溶液を生み出す。溶液は、薬学的に活性な薬剤を含むことができる。
【0032】
次に
図1Cを参照すると、第1の室52内に収容された液体成分がストッパチャネル26を通って押し出されると、プランジャ60は、ストッパ20の近位端部22と当接係合させられる。
図1Cに示されるように、矢印Fの方向に力を連続してかけることは、プランジャ60およびストッパ20を、バレル12を通って遠位方向に、再構成された流体に向かって移動させる。再構成された流体は、次いで、基部32のスリット44およびノズル16を通り抜けることによってバレル12から分散される。
【0033】
弁10は、類似のやり方で使用されて1または複数の湿潤成分、たとえば弁10の両側に位置する湿潤成分を混合することができる。一続きの弁10が使用されて、複数の湿潤成分および/または乾燥成分の混合を可能にすることもできる。
【0034】
次に
図3A〜4Bを参照すると、弁110が、本発明の別の非限定的な実施形態によって同様に提示される。この実施形態では、本体130のステム134は、先端部148を有する針146を備える。先端部148は、ストッパ120の突き刺し可能なセプタム128と係合するように適合される。基部132は、さらに、
図4Bに示されるように、再構成された流体が、バレル112からの分散のために基部132を通り抜けることを可能にするための複数の分散ポート144を含む。
図1A〜2Bを参照して上記で説明された本発明の実施形態と同様に、基部132は、バレル112の保持ショルダ118によって拘束される。
【0035】
第1の位置(
図3Aを参照)では、突き刺し可能なセプタム128は、チャネル126内に液密シールを形成する。
図1A〜2Bを参照して上記で説明された実施形態と同様に、使用準備ができたとき、プランジャ160をバレル112を通って押し進めることを含む任意の知られている手段によって、圧力が、第2の室150内に収容された液体成分にかけられて、ストッパ120をバレル112を通って遠位に降下させる。本体130、詳細にはステム134は、静止したままである。ストッパ120の遠位移動は、突き刺し可能なセプタム128をステム134の針146の先端部148に接触させる。さらなる圧力が、セプタム128を突き刺し、ストッパ120を通る液体流路L
1(
図3Dを参照)を確立する。
【0036】
図3Bを参照し続けると、圧力をさらにかけることは、第2の室150内に収容された流体成分をストッパ120を通って押し出し、それによって液体成分を、再構成のために第1の室152内に収容された乾燥成分に導入する。再構成された流体は、本発明の前述の実施形態に関して説明されたのと同じやり方でノズル116を通って分散される。
【0037】
図5A〜6を参照すると、本発明の弁210のさらなる非限定な実施形態が、示される。弁210は、ストッパ220および取り外し可能なキャップ230を備える。キャップ230は、基部232およびステム234を含む。最初の位置(
図5Aを参照)では、基部232は、バレル212の外側に位置する。ステム234は、ノズル216を通ってバレル212内に延び、それにより、ステム234の近位端部236は、ストッパ220のチャネル226内に配設されて液密シールを形成する。使用準備ができたとき、ユーザは、キャップ230を取り外し、それによってステム234をチャネル226から取り外してストッパ220のチャネル226を通る、液体流路L
2(
図5Dを参照)に沿った流体連通を確立する。第2の室250内に収容された液体成分に圧力をかけることは、液体成分を、チャネル226を通って通路L
2に沿って押し出し、それによって液体成分を、再構成のために乾燥成分を収容する第1の室252内に押し出す。圧力を連続してかけることは、ストッパ220をバレル212を通って遠位に前進させ、それによって再構成された流体をバレル212からノズル216を通して、本発明の前述の実施形態に関して上記で説明されたのと同じやり方で分散させる。