【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用されている匿名配送によれば、受取主の氏名や発送先の住所などを荷主が知らなくても荷物の発送が可能であり、その際、荷物の送り状には受取主に関する情報は表示されず、また、受取主に配達される荷物の送り状には受取主の氏名や住所のみが表示されて荷主に関する情報は表示されないので、荷主と受取主の双方に相手方の個人情報が知られることはない。
ネットオークションでは、届けられた商品が破損していたなどの理由で落札者が商品の返品を希望する場合にオークションサイトを通じて又は電子メールを利用して直接に出品者と連絡をとることで返品を可能とする手段を講じているため、落札者が匿名配送で届けられた荷物がネットオークションで落札した商品であることが判っていれば、取引相手方である出品者の個人情報を知らなくても不都合はない。
【0006】
しかし、匿名配送による荷物の受取主が届けられた荷物について全く心当たりがない場合、荷物の送り状に荷主についての情報や問い合わせ先の表示がされていないので、受取主は荷物を返品したり荷物について問い合わせしたりすることができないという問題がある。
匿名配送を利用して発送元が判らない荷物が一方的に送られてきたときは、荷物に関する問い合わせ先が判らない受取主は対処のしようがなく、荷物の中に荷物の代金の請求書や振込み用紙が封入されていたときには、その代金の支払処理を巡って荷主と受取主の間でトラブルを生じさせる虞もある。
荷物が送られてくることについて心当たりがなく、配達された荷物の送り状に受取主に関する情報のみが表示され、発送元の情報が表示されていないのでは、荷物の受取を躊躇したり拒否したりしたくなるのが受取主の自然な気持ちである。
【0007】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、匿名配送を利用して荷物を送る場合に、荷物が送られてくることにについて心当たりのない受取主であっても安心して荷物を受け取ることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、
通信回線に接続した配送受託者の管理サーバ、取引サーバ、荷物を送る荷主の情報処理端末、荷物を受け取る受取主の情報処理端末などのコンピュータ機器の間で荷物を配送するための情報を送受信して、匿名配送により荷物を荷主から受取主まで配送する方法において、
取引サーバが、荷主と受取主のそれぞれが所有する情報処理端末から匿名配送を行なう上で必要な荷主と受取主を特定する情報の入力を受付け、入力された情報を顧客情報としてデータベースに登録するステップと、
荷主と受取主の間で荷物の配送を匿名配送により配送受託者に委託することの同意がとれたときに、取引サーバが、荷物の品名や取引金額などの荷主と受取主の取引に関する情報を取引情報として受付番号とともにデータベースに登録するステップと、
取引サーバが、荷主と受取主を特定する情報、配送する物品の内容、受付番号などの情報を含む荷物配送に必要な情報を配送受託者の管理サーバに送信し、管理サーバは受信した情報を配送受託データファイルに登録するステップと、
取引サーバが、前記受付番号と暗証番号の情報を荷主の情報処理端末宛てに電子メールで通知するステップと、
通信回線を通じて管理サーバに接続した配送受託者の窓口店の情報処理端末が、当該窓口店に荷物を持ち込んだ荷主による前記取り引きサーバから通知された情報の入力を受け付け、入力された情報を管理サーバに送信するステップと、
管理サーバが、前記受信した情報に含まれる受付番号から配送受託データファイルに登録された該当の受付番号の前記荷物配送に必要な情報を抽出して窓口店の情報処理端末に送信するステップと、
窓口店の情報処理端末が、前記管理サーバから送信された荷物配送に必要な情報を取り込み、その表示ディスプレィに、受取主の個人情報は表示せずに、荷主の個人情報を表示させるとともに荷物の配達希望日と配達時間帯の入力を受け付け、入力された情報を管理サーバに送信するステップと、
管理サーバが前記受信した荷物の配達希望日と配達時間帯についての情報を該当の受付番号の配送受託データファイルに登録するステップと、
窓口店の情報処理端末が、荷主の操作に応じて、少なくとも
伝票番号とそのバーコードが表示された依頼主控票、貼付票及び売上票を含む送り状であって前記貼付票には受取主を識別する文字情報が表示されず、且つ
荷主及び受取主以外の第三者の識別情報と荷物の問い合わせ先の電話番号の文字情報が表示され、前記依頼主控票には荷主を識別する文字情報、売上票には受取主を識別する2次元コードがそれぞれ表示された送り状を発行するステップと、
配送受託者が所持する情報処理達末が、荷主から預けられた荷物に貼り付けられた前記送り状の伝票番号と2次元コードの情報を読み込んで受取主の氏名や住所、電話番号などの受取主を識別する文字情報が印字されたラベルを発行するとともに、前記読み込んだ情報を管理サーバに送信し、管理サーバは受信した情報を伝票番号に関連付けて配送情報ファイルに登録するステップと、
とを経て、送り状の貼付票に前記ラベルが貼られた荷物がラベルに表示された受取主を識別する情報に基づいて配送受託者により受取主まで配送されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、
取引サーバから荷主の情報処理端末に2次元データに変換された受付番号と暗証番号の情報が通知され、荷主の情報処理端末から前記通知された2次元データを窓口店の情報処理端末が読み込んで、受付番号と暗証番号の情報が入力されるステップを含むことを特徴とする。
【0010】
詳しくは、本発明の匿名配送による配送方法は、
図1に示されるように、インターネット回線や専用回線などの有線通信・無線通信のデータ伝送路からなる通信回線Nに接続した、配送受託者である配送業者の管理サーバ1、取引サーバ2、荷物を送る荷主の情報処理端末3、荷物を受け取る受取主の情報処理端末4などのコンピュータ機器の間で、荷物を配送するための情報を互いに送受信して行なわれるものである。
具体的には
図2に示されるように、荷物配送の受託、荷物の持ち込み、配送手続き、送り状の発行、荷物の引き渡し、ラベルの発行及び配送処理の各処理と手続きを通して荷主から受取主に荷物が配送される。
【0011】
荷物配送の受託処理は、配送受託者である配送業者の管理サーバ1に、荷主と受取主を特定する情報を含む、荷物を配送するのに必要な情報を登録する処理である。
荷主と受取主を特定する情報は、例えば個人であればその氏名、法人であれば会社名、住所や所在地、電話番号や電子メールアドレスなどの連絡先などの情報であり、予め、荷主と受取主のそれぞれが所有する情報処理端末3,4から通信回線Nを通じて取引サーバに2入力され、取引サーバ2のデータベースに顧客情報として登録される。取引サーバ2は、例えばオークションサイトなどの荷主と受取主の間で物品の売買取引の仲介を司る業者が保有するサーバなどであるが、荷主又は受取主から荷物配送の依頼を受ける配送業者が保有するサーバであってもよい。
【0012】
荷主から受取主に匿名配送による荷物配送を配送業者に委託することが決定したならば、取引サーバ2から荷物配送に必要な情報が通信回線Nを通じて管理サーバ1に送信され、管理サーバ1は受信した情報をデータベースの配送受託データファイルに登録する。取引サーバ2から管理サーバ1への情報の送信は、荷主又は受取主の情報処理端末3,4からの情報送信依頼の通知が取引サーバ2に入力されたタイミングで行なってもよい。
【0013】
或いは取引サーバ2がインターネット上にオークションサイトを開設しており、このサイトを通じて荷主(出品者)と受取主(落札者)の間で物品の売買取引を行なっていた場合、その取引が成立するとともに両者間で物品の配送を配送業者に委託することに同意し、その取引に関する情報、例えば売買する物品の品名や取引金額などの情報が取引情報として受付番号とともに取引サーバ2のデータベースに登録されたときに、取引サーバ2から荷物配送に必要な情報が管理サーバ1に送信されるようにしてもよい。
管理サーバ1に送信されて登録される荷物配送に必要な情報には、荷主の氏名や名称、住所、電話番号などの連絡先、受取主の氏名や名称、住所、連絡先、配送する物品の内容(品名)、前記受付番号などの情報が含まれる。
【0014】
荷物の持ち込み処理は、受取主に送る荷物を荷主が、配送を委託する配送業者の窓口店に持ち込む手続きである。
なお、荷主が窓口店に荷物を持ち込むことに代えて、荷主がコンビニエンスストアなどの配送業者の取扱店に荷物を持ち込み、配送業者がその取扱店に出向いて集荷する方法、或いは荷主の集荷依頼に基づいて配送業者が荷主宅に出向き、後述の通り、軒先で配送依頼の確定、送り状の発行処理を行なった上で配送業者が荷主から荷物を集荷する方法としてもよい。
【0015】
配送手続きのデータ処理は、管理サーバ1と通信回線Nを介して接続した窓口店の情報処理端末5を荷主が操作して送り状を発行するためのデータを確定する処理である。
詳しくは、管理サーバ1に登録された前記荷物の配送に必要な情報を、通信回線Nを通じて窓口店の情報処理端末5に取り込み、当該情報処理端末5の表示ディスプレィに、配送する荷物の内容や荷主の氏名、住所、電話番号などの個人情報を表示させるとともに、配達希望日と配達時間帯を情報処理端末5から入力することで、送り状を発行するためのデータ処理が確定する。この際、受取主の氏名や住所、電話番号などの個人情報は前記情報処理端末5の表示ディスプレィには表示されず、荷主が受取主の個人情報を知得することはない。
情報処理端末5を操作して情報を入力することで、送り状を発行するためのデータ処理が確定し、窓口店の情報処理端末5に入力された荷物の配達希望日と配達時間帯についての情報は管理サーバ1に送信され、管理サーバ1は該当の荷物についての配送受託データファイルに登録する。
【0016】
前記のようにオークションサイトで売買取引される物品を荷主から受取主に送る場合、取引が成立したときに取引サーバ2から荷主の情報処理端末3に受付番号と暗証番号を通知しておき、荷主が前記窓口店の情報処理端末5を操作する際に、情報処理端末5で前記受付番号と暗証番号の入力を受付け、入力された情報を情報処理端末5から管理サーバ1に送信し、管理サーバ1に登録された配送受託データファイルから該当の受付番号の荷物配送に必要な情報を抽出して情報処理端末5に取り込まれるようにしてもよい。
取引サーバ2から荷主の情報処理端末3に2次元データに変換された前記受付番号及びと暗証番号の情報を通知しておき、窓口店の情報処理端末5に装備された2次元データの読み込み及びテキストデータへの変換機能を利用して、荷主の情報処理端末3から前記通知された2次元データを情報処理端末5に取り込むようにすれば、受付番号と暗証番号の情報が一括して情報処理端末5に入力され、情報処理端末5の数字入力キーの操作を省くことができる。
この場合は窓口店の情報処理端末5に入力された荷物の配達希望日と配達時間帯についての情報は管理サーバ1に送信され、管理サーバ1は該当受付番号の配送受託データファイルに登録する。
【0017】
送り状の発行処理は、窓口店の情報処理端末5に有線又は無線で接続したプリンタで送り状を印刷する処理であり、前記荷物の配送手続きのデータ処理後、送り状の発行処理を実行することで行なわれる。
送り状は、例えばA4の台紙上に、荷主の控えとなる依頼主控票、発送手続きをする窓口店の控えとなる売上票、荷物に貼り付けられる貼付票、配達先である着店の控えとする配達票などの各票をレイアウトし、各票がミシン目に沿って互いに分離し得るように形成された構成のものが用いられ、これをプリンタにセットして送り状の発行処理をすると、前記窓口店の情報処理端末5に取り込まれた荷物の配送に必要な情報と入力された情報のうち、荷主控票に配送する荷物の品名の他に荷主の氏名、住所、電話番号などの荷主を識別する文字情報が印字され、売上票に受取主を識別する2次元コードが印字される。貼付票には、受取主を識別する文字情報は印字されない。
また、各票には予め印刷された又は送り状の印刷の際に印刷された送り状の伝票番号とそのバーコードが表示される。
配送する荷物が薄く、荷物を受取主に引き渡す際に受領証明をとらずに受取主の郵便受けに入れて配達処理を完了する配送形態の場合は、配達票を含まない送り状を用いることができる。
【0018】
送り状を発行したならば、配送業者が配送する荷物を荷主から預かるとともに、前記発行した送り状から依頼主控票を分離してこれを荷主に渡す荷物の引き渡し処理が行なわれ、このときに荷物の配送依頼が確定する。
前記の通り、送り状には受取主の個人情報は印字されないので、送り状の発行と荷物の引き渡し処理を通じて荷主が受取主の個人情報を知得することはない。
【0019】
窓口店での荷主との対応が終了したならば、窓口店において受取主の氏名などを表示したラベルの発行処理を行なう。
ラベルの発行は窓口店の配送受託者が所持する、バーコードと2次元コードの読み取り機能とラベル印字機能を装備したPP(携帯情報処理端末)6を用いて行なうことができ、前記送り状に表示された伝票番号のバーコードと売上票に表示された2次元コードをPP6で読み込んで、受取主の氏名や住所、電話番号などの受取主を識別する文字情報が印字されたラベルが発行される。
発行したラベルは、荷主から預かった荷物に貼り付けられた貼付票の所定の位置に貼り付けられる。
PP6で前記伝票番号と2次元コードを読み込み、ラベルを発行することで集荷処理が確定し、PP6に取り込まれた伝票番号と2次元コードの情報は、PP6と通信回線Nを介して接続した窓口店の情報処理端末5を経由して管理サーバ1へと送信され、管理サーバ1は前記配送受託データファイルに登録された荷物配送に必要な情報とともに伝票番号に関連付けて配送情報ファイルに登録する。
前記窓口店の情報処理端末5を操作して行なう配送手続きのデータ処理と送り状の発行の情報処理がPP6に装備されていれば、荷主の集荷依頼に基づいて配送業者が荷主宅に出向き、軒先でPP6を操作して配送依頼の確定、送り状の発行処理を行ない、配送業者が荷主から荷物を集荷するようにしてもよい。
【0020】
そして、貼付票のラベルに表示された受取主の識別情報に基づいて、荷物を受取主まで配送する。荷物に貼られた貼付票には、受取主の氏名や住所などを表示したラベルが貼られているが、荷主の氏名や住所などの情報は表示されていないので、荷物を受け取った受取主が貼付票を見ることで荷主の個人情報を知得することはない。
【0021】
さらに本発明では、前記送り状の発行処理の際に、荷主及び受取主以外の第三者の識別情報と荷物の問い合わせ先の電話番号の文字情報が貼付票に表示されるように設けてある。
これにより、表示された識別情報を見て、配達された荷物に心当たりがある受取主は荷主についての情報が不明でも安心して荷物を受け取ることができ、配達された荷物に心当たりがない受取主であっても、識別情報を基に表示された電話番号宛てに問い合わせをすることで、受け取った荷物を返品するなどの処置をスムーズに行なうことが可能である。