【文献】
山根 弘, 外3名,QoSを考慮した位置情報プライバシー保護手法の検討,情報処理学会研究報告 2005-CSEC-30,日本,社団法人情報処理学会,2005年 7月22日,Vol.2005, No.70,pp.451-458
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンやタブレットコンピュータなどのスマートデバイスにおいてもアプリケーションプログラムの実行中に広告を表示することが行われているが、スマートデバイスの識別情報(端末ID)は外部に送出しないことが求められている。したがって、1台のスマートデバイスにインストールされた複数のアプリから広告の配信要求を受けた場合でも、それらが同じスマートデバイスで実行されているか否かを判定することができず、複数のアプリにわたって行動ターゲティング広告を提供することが困難であった。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、通信端末の識別情報が取得できない場合でも複数の通信端末が同一であるかどうかを推定することのできる広告配信装置、広告配信方法、端末推定装置、端末推定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、ユーザの行動に応じた広告を配信する装置であって、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信する関連情報取得手段と、前記関連情報取得手段により取得した関連情報を用いて前記関連情報の送信元を一の通信端末と推定して当該通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信する広告配信手段と、を備えることとする。
【0007】
また、本発明の広告配信装置では、前記関連情報は、前記通信端末からのパケットを転送するゲートウェイのアドレス、前記通信端末において実行されるプログラムのバージョン、前記通信端末の現在位置、ならびに前記アドレス、前記バージョンおよび前記現在位置の少なくともいずれかを取得した日時の少なくともいずれかであるようにしてもよい。
【0008】
本発明の他の態様は、広告配信方法であって、ユーザの行動に応じた広告を配信するコンピュータが、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信するステップと、複数受信した関連情報を用いて前記関連情報の送信元を一の通信端末と推定して当該通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信するステップと、を実行することとする。
【0009】
本発明の他の態様は、プログラムであって、コンピュータに、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信するステップと、複数受信した関連情報を用いて前記関連情報の送信元を一の通信端末と推定して当該通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信するステップと、を実行させることとする。
【0010】
本発明の他の態様は、端末推定装置であって、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信する関連情報取得手段と、前記関連情報取得手段により取得した関連情報を用いて前記関連情報の送信元が同一の通信端末であることを推定する端末推定手段と、を備えることとする。
【0011】
また、本発明の端末推定装置は、第1の前記通信端末から受信した前記関連情報のそれぞれについて当該関連情報に対応する、第2の前記通信端末から受信した前記関連情報が一致する数をカウントし、前記一致する数が所定の閾値以上である場合に前記第1および第2の通信端末が同一の通信端末であると推定する類似度判定手段を備えることとする。
【0012】
また、本発明の端末推定装置では、前記関連情報取得手段は、複数の期間のそれぞれにおいて前記通信端末から前記関連情報を複数受信し、前記類似度判定手段は、前記期間ごとに前記関連情報の類似度を判定し、前記類似度が所定値よりも高い前記期間の数に応じて前記関連情報の送信元が同一の通信端末であると推定するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の端末推定装置では、前記関連情報は、前記通信端末からのパケットを転送するゲートウェイのアドレス、前記通信端末において実行されるプログラムのバージョン、前記通信端末の現在位置、ならびに前記アドレス、前記バージョンおよび前記現在位置の少なくともいずれかを取得した日時の少なくともいずれかであるようにしてもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、端末推定方法であって、コンピュータが、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信するステップと、複数受信した関連情報を用いて前記関連情報の送信元が同一の通信端末であることを推定するステップと、を実行することとする。
【0015】
本発明の他の態様は、プログラムであって、コンピュータに、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数受信するステップと、複数受信した関連情報を用いて前記関連情報の送信元が同一の通信端末であることを推定するステップと、を実行させることとする。
本発明の他の態様は、ユーザの行動に応じた広告を配信する装置であって、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数種類受信する関連情報取得手段と、前記複数種類の関連情報を用いて各関連情報の送信元である通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信する広告配信手段と、を備えることとする。
本発明の他の態様は、広告配信方法であって、ユーザの行動に応じた広告を配信するコンピュータが、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数種類受信するステップと、前記複数種類の関連情報を用いて各関連情報の送信元である通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信するステップと、を実行することとする。
本発明の他の態様は、プログラムであって、コンピュータに、通信端末に関する情報である関連情報であって当該関連情報からは前記通信端末を特定することのできない関連情報を前記通信端末から複数種類受信するステップと、前記複数種類の関連情報を用いて各関連情報の送信元である通信端末におけるユーザの行動に応じた広告を当該通信端末に配信するステップと、を実行させることとする。
【0016】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信端末の識別情報が取得できない場合でも複数の通信端末が同一であるかどうかを推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
==(1)システム構成==
図1は本発明の一実施形態に係る広告配信システムの全体構成を示す図である。本実施形態の広告配信システムは、広告配信装置20を含んで構成され、複数のユーザ端末10が広告配信装置20とは通信ネットワーク30を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク30はインターネットを想定しており、たとえば携帯電話回線網や無線通信網、公衆電話回線網、専用線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0020】
ユーザ端末10(本発明の通信端末に該当する。)は、ユーザが操作するスマートフォンやタブレットコンピュータなどのスマートデバイスである。ユーザ端末10では各種のアプリケーションプログラムが実行される。本実施形態の広告配信システムでは、アプリケーションプログラムの実行中に表示される広告を配信することを想定している。
図2はユーザ端末10に表示される広告の一例を示す図である。画面1では、アプリケーションプログラムが実行されたプロセス(以下、アプリという。)からの出力2とともに広告3が表示されている。
【0021】
広告配信装置20は、ユーザ端末10に広告を提供する、たとえばワークステーションやパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。広告配信装置20は、ユーザ端末10からの広告のリクエスト(以下、広告配信要求という。)に応じて広告を送信する。本実施形態では、広告配信装置20からユーザ端末10に配信される広告は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)により送信されるものとし、広告配信要求は所定の広告配信用のURL(以下、配信URLという。)を指定したHTTPのリクエストとして実現することができる。
【0022】
本実施形態の広告配信システムは、ユーザ端末10を識別する識別情報(たとえば契約者固有IDや端末IDなど)をアプリから取得できなくても、ユーザ端末10を識別できないながらもユーザ端末10に関する情報(以下、関連情報という。)に基づいて、複数のアプリからの広告配信要求が同じユーザ端末10から送信されたものであることを推定しようとするものであり、これにより行動ターゲティング広告を効果的に行おうとしている。
【0023】
==(2)ユーザ端末10のハードウェア構成==
図3はユーザ端末10のハードウェア構成例を示す図である。ユーザ端末10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、タッチパネルディスプレイ105およびGPS受信機106を備える。
【0024】
記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶するフラッシュメモリである。なお記憶装置103は、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブとすることもできる。記憶装置103には、複数のアプリケーションプログラム11、広告ライブラリ12およびシステムプログラム13が記憶される。
【0025】
システムプログラム13はオペレーティングシステムを実現するためのプログラムである。アプリケーションプログラム11はたとえばゲームプログラムやショッピングプログラム、メールプログラム、ユーティリティプログラムなどのユーザプログラムである。広告ライブラリ12は、アプリケーションプログラム11の実行時に表示する広告3を取得するためのルーチンが記述されたプログラムである。アプリケーションプログラム11の実行時に広告ライブラリ12が提供する広告取得用のルーチンを呼び出すことにより、アプリから容易に広告を取得することができる。本実施形態では、広告ライブラリ12はアプリケーションプログラム11からは独立したプログラムとして記憶されているものとし、アプリが動的に広告ライブラリ12のルーチンを呼び出すことにより広告を取得可能としているものとする。なお、広告ライブラリ12は、たとえば広告配信装置20の運営者からSDK(Software Development Kit)として提供し、アプリケーションプログラム11の一部として組み入れられるようにしてもよい。
【0026】
記憶装置103には、アプリケーションプログラム11、広告ライブラリ12およびシステムプログラム13以外にも、各種のプログラムを記憶させることが可能であり、CPU101がこのプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能が実現される。
【0027】
通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、携帯電話回線網や無線通信網に接続するための無線通信機を想定している。通信インタフェース104は、ユーザ端末10が接続される通信路に応じて、たとえばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデムなどとすることができる。
【0028】
タッチパネルディスプレイ105は、データの入出力を行うための、複数箇所におけるタッチを検出可能なマルチタッチディスプレイである。ユーザはタッチパネルディスプレイ105をタッチし、タップし、スワイプするなどの操作を行うことによりデータの入力を行う。GPS受信機105は、GPS衛星からの測位信号を受信する受信機である。GPU受信機105が受信した測位信号を用いることによりユーザ端末10の現在位置を測定することができる。
【0029】
==(3)ユーザ端末10のソフトウェア構成==
図4はユーザ端末10のソフトウェア構成を示す図である。ユーザ端末10は、アプリ111、広告提供手段121、およびオペレーティングシステム(OS)131を備える。アプリ111、広告提供手段121およびオペレーティングシステム131はそれぞれ、CPU101が記憶装置103に記憶されているアプリケーションプログラム11、広告ライブラリ12およびシステムプログラム13をメモリ102に読み出して実行することにより実現される。
【0030】
アプリ111は、アプリケーションプログラム11を実行したプロセスである。アプリ11は、その実行中に広告提供手段121を呼び出すことにより広告3として表示するための情報(以下、広告情報という。)を取得して、
図2のような広告3を表示する。オペレーティングシステム131は、各種の機能をアプリ111および広告提供手段121に提供する。たとえば、オペレーティングシステム131が提供する通信機能を利用することにより、アプリ111および広告提供手段121は通信ネットワーク30を介した通信を行うことが可能になる。
【0031】
広告提供手段121は、アプリ111に広告情報を提供する。広告提供手段121は、現在位置取得手段122、バージョン取得手段123、広告配信要求送信手段124、および広告受信手段125を備える。
【0032】
現在位置取得手段122は、ユーザ端末10の現在位置を取得する。本実施形態では、オペレーティングシステム131がGPS受信機105の受信した測位信号に基づいてユーザ端末10の現在位置を算出するものとし、現在位置取得手段122はオペレーティングシステム131に問い合わせることによりユーザ端末10の現在位置を取得することができるものとする。
なお、現在位置取得手段122は、ユーザ端末10が携帯電話回線網に接続されている場合には基地局の位置情報のみに基づいて、もしくはGPSの測位信号と基地局の位置情報との両方に基づいてユーザ端末10の現在位置を算出するようにしてもよい。また、現在位置取得手段122は、設置位置が既知であるアクセスポイントにWiFi(Wireless Fidelity)によりユーザ端末10が接続している場合にはアクセスポイントの設置位置のみに基づいて、もしくはGPSの測位信号とアクセスポイントの設置位置との両方に基づいてユーザ端末10の現在位置を算出するようにしてもよい。さらに、GPSの測位信号、基地局の位置情報およびアクセスポイントの設置位置の全てに基づいて現在位置を算出するようにしてもよい。現在位置取得手段122は、その他各種の一般的な測位手法を用いてユーザ端末10の位置を測定することもできる。
また、現在位置取得手段122が取得する現在位置は、端末の同一性の推定に用いるためのものであって、厳密な現在位置を用いるものではない。したがって、現在位置の測位精度は低くてよく、ユーザのプライバシーを侵害しないと考えられる範囲のものを取得すればよい。たとえば、携帯電話の基地局からの信号のみに基づいて所定の誤差(たとえば300メートル〜1キロメートル程度)をもった現在位置を取得するようにしてもよい。また、現在位置取得手段122は、ユーザ端末10が現在している地図上のエリア(たとえば市町村やメッシュ状に設定した領域などとすることができる。)を現在位置として特定するようにしてもよい。
【0033】
バージョン取得手段123は、ユーザ端末10に記憶されているプログラムのバージョンを取得する。本実施形態では、バージョン取得手段123は、システムプログラム13のバージョンを取得するものとする。バージョン取得手段123は、たとえばオペレーティングシステム131に問い合わせることによりシステムプログラム13のバージョンを取得することができる。
【0034】
広告配信要求送信手段124は、広告配信要求を広告配信装置20に送信する。広告配信要求送信手段124は、広告提供手段121を呼び出したアプリ111を実現するアプリケーションプログラム11を特定するID(以下、アプリIDという。)と、現在位置取得手段122が取得したユーザ端末10の現在位置と、バージョン取得手段123が取得したシステムプログラム13のバージョンと、アプリ111におけるユーザの操作履歴やゲームのスコア、アプリ111を用いた商品またはサービスの購入履歴など、アプリ111を用いたユーザの行動履歴とを広告配信要求に設定して広告配信装置20に送信する。
【0035】
本実施形態では、広告配信要求送信手段124はHTTPにより広告配信要求を送信するものとし、アプリIDは、広告配信装置20からHTTPのクッキー(Cookie)として発行されるものとする。したがって、広告配信要求送信手段124が広告配信装置20に対して最初に広告配信要求を送信する際には、クッキーが存在していないためアプリIDは省略される。広告配信装置20からの最初の広告配信要求に応じて広告が配信される際に広告配信装置20からアプリIDが発行され、クッキーとして送信されてくることになる。行動履歴は、ユーザの行動に関する情報である。行動履歴は、たとえばアプリ111がゲームである場合にはゲームのスコア履歴、アプリ111がショッピング用のものである場合には購買履歴などとすることができる。なお、行動履歴は、一般的な行動ターゲティング広告において分析対象となるものであればどのような情報であってもよい。
【0036】
広告受信手段125は、広告配信要求に応じて広告配信装置20から送信される広告情報を受信する。広告受信手段125もHTTPにより広告情報を受信する。広告受信手段125は、HTTPのレスポンスにクッキー(Cookie)が設定されていた場合には、当該クッキーに設定されているデータ(以下、クッキーデータという。)を記憶装置103に記憶しておくものとする。上述したように、本実施形態ではクッキーデータとしてアプリIDが設定されることを想定している。広告配信要求送信手段124はクッキーデータが記憶装置103に記憶されている場合には当該クッキーデータを広告配信要求に設定して送信する。広告受信手段125は、受信した広告情報をアプリ111に提供する。この広告情報を受け取ったアプリ111が当該広告情報に基づいて画面1に広告3を表示する。
【0037】
==(4)広告配信装置20のハードウェア構成==
図5は広告配信装置20のハードウェア構成例を示す図である。広告配信装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。CPU201は記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信網に接続するための無線通信機などである。入力装置205は、データの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。広告配信装置20は複数の入力装置205及び出力装置206を備えるようにすることもできる。
【0038】
==(5)広告配信装置20のソフトウェア構成==
図6は広告配信装置20のソフトウェア構成を示す図である。広告配信装置20は、広告配信要求受信手段211、行動履歴更新手段212、端末推定手段213、配信広告決定手段214、広告送信手段215、広告記憶手段231、アクセス履歴記憶手段232、行動履歴記憶手段233、アプリ記憶手段234を備える。広告配信要求受信手段211、行動履歴更新手段212、端末推定手段213、配信広告決定手段214、広告送信手段215は、CPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、広告記憶手段231、アクセス履歴記憶手段232、行動履歴記憶手段233、アプリ記憶手段234は、メモリ102および記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0039】
広告記憶手段231は広告情報を記憶する。
図7は、広告情報記憶手段231に記憶される広告情報の構成例を示す図である。広告情報には、広告を識別する広告IDに対応付けて、カテゴリ、ランディングページのURL(Uniform Resource Locator)、表示データ、ならびに入札額が含まれる。カテゴリは、広告の対象物のカテゴリである。表示データは、ユーザ端末10において広告3として表示するためのデータである。表示データは、テキストデータとしてもよいし、画像データや音声データなどのバイナリデータとしてもよいし、テキストデータとバイナリデータとが混在してもよい。入札額は広告主が設定する、広告がクリックされた場合に支払われる金額の最高額である。
【0040】
アクセス履歴記憶手段232は、ユーザ端末10から広告配信装置20へのアクセスに関する情報(以下、アクセス情報という。)を記憶する。
図8は、アクセス履歴記憶手段23に記憶されるアクセス情報の構成例を示す図である。アクセス情報には、日時、アプリID、現在位置、IPアドレスおよびバージョンが含まれている。日時は、広告配信要求受信手段211が広告配信要求を受信した日時である。アプリIDおよび現在位置は、広告配信要求に設定されていたものである。IPアドレスは、広告配信要求の送信元を示すIPアドレスである。IPアドレスは、HTTPによる通信に係る送信元を示すものであるが、たとえばユーザ端末10がスマートデバイスや携帯電話端末である場合には、通信事業者のゲートウェイにおいてNAT(Network Address Translation)やPAT(Port Address Translation)が行われ、多数のユーザ端末10から送信されるパケットの送信元が同じゲートウェイのIPアドレスに設定される。また、ユーザ端末10がスマートデバイスなどである場合には、ユーザ端末10の移動にともなってIPアドレスが変わりうる。バージョンはユーザ端末10にインストールされているシステムプログラム13のバージョンである。
【0041】
行動履歴記憶手段233は、ユーザ端末10のユーザの行動履歴に関する情報(以下、行動情報という。)を記憶する。
図9は、行動履歴記憶手段233に登録される行動情報の構成例を示す図である。行動情報には、アプリIDに対応付けて行動履歴およびカテゴリが含まれている。カテゴリは、行動履歴に応じて推定されたユーザの興味を表す広告のカテゴリである。なお、以下の説明で「カテゴリ」とはユーザの興味を表す情報を総称するものとする。カテゴリはユーザの興味を表すものであればどのような情報であってもよい。たとえばユーザの興味を表すキーワードであってもよい。
【0042】
アプリ記憶手段234は、同一のユーザ端末10にインストールされたと推定されるアプリケーションプログラム11に関する情報(以下、アプリ情報という。)を記憶する。
図10は、アプリ記憶手段234に記憶されるアプリ情報の構成例を示す図である。アプリ情報には、アプリIDに対応付けて、当該アプリIDが示すアプリケーションプログラム11がインストールされたユーザ端末10に同じくインストールされたと推定される他のアプリケーションプログラム11を示すアプリID(同端末アプリID)が含まれている。
【0043】
広告配信要求受信手段211は、ユーザ端末10から送信される広告配信要求を受信する。また、広告配信要求受信手段211は、広告配信要求に応じてアクセス情報を作成し、作成したアクセス情報をアクセス履歴記憶手段232に登録する。
【0044】
行動履歴更新手段212は、ユーザの行動履歴を取得して行動履歴記憶手段233を更新する。本実施形態では、広告配信要求には行動履歴が含まれており、行動履歴更新手段212はこれを取得するものとする。広告配信要求にアプリIDが設定されていない場合には、行動履歴更新手段212は、新たなアプリIDを発行し、発行したアプリIDと行動履歴とを含む行動情報を作成して行動履歴記憶手段233に登録する。広告配信要求にアプリIDが設定されている場合には、当該アプリIDに対応する行動情報の行動履歴を、広告配信要求に含まれていた行動履歴で更新する。また、行動履歴更新手段212は、行動履歴を分析してユーザが興味のあるカテゴリを決定し、決定したカテゴリを、行動履歴記憶手段233に登録する上記行動情報に含めるようにする。なお、行動履歴に応じてカテゴリを決定する処理については、一般的な行動ターゲティング広告において行われている一般的な手法を用いることができる。
【0045】
端末推定手段213は、同一のユーザ端末10にインストールされたアプリケーションプログラム11を推定する。
【0046】
本実施形態では、広告配信要求にはユーザ端末10(またはユーザ端末10を操作するユーザ)を識別する識別情報が含まれていないことを想定しており、IPアドレスからもユーザ端末10を識別することはできないことを想定している。たとえば、広告配信要求の送信元のIPアドレスのみを用いてユーザ端末10を特定しようとしても、スマートデバイスのような可搬性のあるユーザ端末10であれば移動に伴ってIPアドレスは変化し、また携帯電話会社などの通信事業者のゲートウェイを多くのユーザ端末10が利用しているような場合には、これら多くのユーザ端末10は同じIPアドレスを用いて広告配信装置20と通信を行うことになる。したがって、異なるアプリから広告配信要求を受信した場合に、それらが同一のユーザ端末10から送信されたかどうかを判定することができないため、どのアプリケーションプログラム11が同一のユーザ端末10にインストールされているのかを確実に判定することはできない。そこで、本実施形態では、端末推定手段213は、ユーザ端末10を識別できないながらもユーザ端末10に関する情報(以下、関連情報という。)を各ユーザ端末10からそれぞれ複数取得し、関連情報の類似度に応じてユーザ端末10が同一であるかどうかを判定する。
【0047】
本実施形態では、関連情報は、広告配信要求を受信した日時、IPアドレス、ユーザ端末10の現在位置およびユーザ端末10にインストールされているシステムプログラム13のバージョンであり、類似度はこれらの関連情報が一致しまたはその差が所定値以内であった数である。
【0048】
配信広告決定手段214は、配信する広告を決定する。本実施形態では、配信広告決定手段214は、広告配信要求に設定されているアプリIDに対応するカテゴリを行動履歴記憶手段233から取得し、取得したカテゴリに対応する、広告記憶手段231に登録されている広告情報のうち、入札額の高いものから順に所定数を配信用の広告(以下、配信広告という。)として決定する。なお、配信する広告を決定する処理の詳細については後述する。
【0049】
広告送信手段215は、配信広告決定手段214が決定した配信広告を、広告配信要求の送信元のユーザ端末10に送信する。広告送信手段215は、HTTPにより配信広告を送信する。広告送信手段215は、広告配信要求にアプリIDが設定されていた場合には当該アプリIDをクッキーに設定し、そうでない場合には、行動履歴更新手段212が発行したアプリIDをクッキーに設定する。
【0050】
==(6)広告の配信処理==
図11は本実施形態の広告配信装置20による広告配信処理の流れを示す図である。
広告配信要求受信手段211がユーザ端末10から広告配信要求を受信すると(S401)、行動履歴更新手段212は、広告配信要求にアプリIDが含まれている場合には(S402:YES)、当該アプリIDに対応する行動情報の行動履歴を、広告配信要求に含まれている行動履歴で更新する(S403)。なお、広告配信要求には、行動履歴の差分のみが含まれるようにして、この差分を行動情報の行動履歴に追加するようにしてもよいし、広告配信要求には日時ごとの行動履歴を含めるようにして、行動情報に含まれていない日時の行動履歴のみを行動情報に追加するようにしてもよい。
【0051】
広告配信要求にアプリIDが含まれていない場合(S402:NO)、行動履歴更新手段212は、新たなアプリIDを広告配信要求の送信元に割り当てて(S404)、割り当てたアプリIDと広告配信要求に含まれている行動履歴とを含む行動情報を作成して、行動履歴記憶手段233に登録する(S405)。
【0052】
行動履歴更新手段212は、更新または作成した上記行動情報の行動履歴を解析してユーザの興味あるカテゴリを決定し、決定したカテゴリで上記行動情報のカテゴリを更新する(S406)。なお、カテゴリは複数決定してもよく、カテゴリの決定には行動ターゲティング広告に使われる一般的な処理を用いるものとする。
【0053】
広告配信要求受信手段211は、現在日時と、広告配信要求に含まれているアプリIDまたは行動履歴更新手段212が割り当てたアプリIDと、広告配信要求に含まれていた現在位置およびバージョンと、広告配信要求の送信元のIPアドレスとを含むアクセス情報を作成して、アクセス履歴記憶手段232に登録する(S407)。
【0054】
配信広告決定手段214は、上記決定されたカテゴリを含むカテゴリリストを作成する(S408)。配信広告決定手段214は、行動情報のアプリIDに対応する同端末アプリIDをアプリ記憶手段234から読み出し(S409)、読み出した同端末アプリIDに対応するカテゴリを行動履歴記憶手段233から読み出してカテゴリリストに追加する(S410)。配信広告決定手段214は、カテゴリリストに含まれているカテゴリに対応する広告情報のうち入札額の大きい順に所定数の広告情報を、配信する広告として広告記憶手段231から読み出す(S411)。
【0055】
広告送信手段215は、配信広告決定手段214が読み出した広告情報を、広告配信要求の送信元のユーザ端末10に送信する(S412)。
以上のようにして、同じ端末にインストールされていると推定された全てのアプリIDに対応するカテゴリに応じた広告情報がユーザ端末10に送信されることになる。
【0056】
==(7)同一端末の推定処理==
図12は、同一のユーザ端末10にインストールされているアプリケーションプログラム11を特定する処理の流れを示す図である。
【0057】
端末推定手段213は、アクセス履歴記憶手段232からアクセス情報に含まれているアプリIDを重複なく読み出してアプリリストとし(S421)、アプリリストからアプリIDを取り出して第1アプリIDとする(S422)。第1アプリIDが取り出せなかった場合には(S423:NO)処理を終了する。第1アプリIDが取り出せた場合(S423:YES)、端末推定手段213は、第1アプリIDに一致するアクセス情報をアクセス履歴記憶手段232から読み出して第1リストとし(S424)、第1リストに含まれているアクセス情報のそれぞれを第1アクセス情報として以下の処理を行う。
【0058】
端末推定手段213は、
図13に示す一致リストの作成処理を行う(S425)。すなわち、端末推定手段213は、空の一致リストを作成し(S441)、アクセス履歴記憶手段232から、アプリIDが第1アプリIDに一致しないアクセス情報を読み出して第2リストとし(S442)、第2リストから次のアクセス情報を取り出して第2アクセス情報とする(S443)。端末推定手段213は、第2アクセス情報を取り出せなかった場合には(S444:NO)、処理を終了する。
【0059】
第2アクセス情報を取り出せた場合に(S444:YES)、第2アクセス情報に含まれているアプリID(以下、第2アプリIDという。)が一致リストに含まれていなければ(S445:NO)、端末推定手段213は、変数Pに0(ゼロ)を設定し(S446)、第1アクセス情報の日時と第2アクセス情報の日時の差が所定の第1閾値(たとえば、5分、10分、1時間など任意の時間を設定することができる。)未満であればPをインクリメントし(S447)、第1アクセス情報の現在位置と第2アクセス情報の現在位置との間の距離が所定の第2閾値(たとえば、500m、1kmなど任意の値とすることができる。)未満であればPをインクリメントし(S448)、第1アクセス情報のIPアドレスと第2アクセス情報のIPアドレスとが一致すればPをインクリメントし(S449)、第1アクセス情報のバージョンと第2アクセス情報のバージョンとが一致すればPをインクリメントする(S450)。
【0060】
Pが所定の第3閾値(0〜3の任意の値を設定することができる。)を超えれば(S451:YES)、端末推定手段213は、第1アプリIDが示すアプリケーションプログラム11と、第2アプリIDが示すアプリケーションプログラム11とが同一のユーザ端末10にインストールされているものと判定して、一致リストに第2アプリIDを追加し(S452)、ステップS443からの処理を繰り返す。
【0061】
以上のようにして、第1アプリIDが示すアプリケーションプログラム11と同一のユーザ端末11にインストールされているアプリケーションプログラム11を示すアプリIDが一致リストに追加される。
【0062】
図12に戻り、端末推定手段213は、第1アプリIDに対応付けて、一致リストに含まれているアプリIDをアプリ記憶手段234に登録する(S426)。
以上の処理を第1リスト中の第1アクセス情報のそれぞれについて行うことにより、第1アクセス情報に含まれている第1アプリIDが示すアプリケーションプログラム11と同一のユーザ端末10にインストールされているアプリケーションプログラム11を推定し、推定したアプリケーションプログラム11を示す第2アプリIDを、第1アプリIDに対応付けてアプリ記憶手段234に登録することができる。
【0063】
==(8)効果==
上述したように、本実施形態の広告配信システムによれば、複数の異なるアプリ111から送信された広告配信要求に含まれる関連情報の類似度に基づいて、当該広告配信要求が同一のユーザ端末10から送信されたか否かを推定することができる。したがって、たとえば端末IDなどユーザ端末10を識別する情報がユーザ端末10から送信されなくても、ユーザ端末10から送信されたデータの送信日時や、ユーザ端末10の現在位置、IPアドレス、ユーザ端末10にインストールされているシステムプログラム13のバージョンなど、ユーザ端末10に関する関連情報を用いて、複数の広告配信要求の送信元が同一であるか否かを推定することができる。よって、端末IDのようにユーザ端末10のユーザのプライバシーに関する情報を送信することなく、アプリケーションプログラム11のインストールされたユーザ端末10を推定することができる。
【0064】
また、IPアドレス、現在位置、システムプログラム13のバージョン、広告配信要求の送信日時など、容易に取得可能な関連情報を用いて、複数の広告配信要求の送信元が同一であるか否かを推定することができる。
【0065】
また、本実施形態の広告配信システムでは、複数の異なるアプリケーションプログラム11のそれぞれについての行動履歴をそれぞれ分析し、アプリケーションプログラム11ごとにユーザの興味のあるカテゴリを推定しており、広告の配信時には、同じユーザ端末10にインストールされていると推定された全てのアプリケーションプログラム11を示すアプリIDに対応する全てのカテゴリに応じた広告を配信することができる。したがって、結果として同一のユーザ端末10にインストールされた全てのアプリケーションプログラム11に関する行動履歴に基づいて解析したカテゴリに応じて広告を配信することができる。これにより、広告の配信にあたってユーザの興味を取りこぼすことがないようにすることができる。
【0066】
また、アプリ111の種類ごとに、収集できるユーザの行動履歴には偏りがあるところ、本実施形態の広告配信システムによれば、各種のアプリ111についての行動履歴を分析したユーザの興味(カテゴリ)を組み合わせることができる。したがって、より正確にユーザの興味あるカテゴリに応じて広告を配信することができる。
【0067】
また、本実施形態の広告配信システムによれば、IPアドレスのみでなく、現在位置やシステムプログラム13のバージョン、広告配信要求の送信日時などを用いているので、ユーザ端末10の移動に伴ってゲートウェイが変化し、ユーザ端末10から送信されるパケットの送信元のIPアドレスも変わることになっても、パケット(広告配信要求)の送信元のユーザ端末10が同一であるか否かを推定することができる。よって、携帯電話端末やスマートデバイスなどの可搬デバイスに対して行動ターゲティング広告を容易に配信することができる。
【0068】
==(9)変形例==
本実施形態では、広告配信装置20は1台のコンピュータであるものとしたが、複数のコンピュータにより構成するようにしてもよい。この場合、たとえば、広告記憶手段231、アクセス履歴記憶手段232、行動履歴記憶手段233、アプリ記憶手段234の少なくともいずれかをデータベースサーバに実現させ、広告配信装置20からアクセスするようにしてもよいし、複数のコンピュータにより1台の仮想的なコンピュータを実現させて当該仮想的なコンピュータにより広告配信装置20を実現するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、クッキーを用いて広告配信装置20がアプリIDを発行するものとしたが、これに限らず、たとえばアプリケーションプログラム11ごとにアプリIDを埋め込んでおき、アプリ111がアプリIDを自発的に送信するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、クッキーにアプリIDを設定するものとしたが、これに限らず、アプリIDを設定せずにユーザ端末10を特定するようにすることもできる。この場合、行動情報およびアクセス情報のアプリIDには、行動情報およびアクセス情報を紐付けるためのIDを設定するものとし、最新のアクセス情報と類似度の高い(すなわち、日時の差が所定時間内であり、現在位置の差が所定値以内であり、IPアドレスおよびバージョンが一致するかどうかを判定した結果が真である数が所定の閾値以上である)他のアクセス情報を特定し、最新のアクセス情報と特定したアクセス情報とに対応する行動情報の行動履歴に基づいてカテゴリを決定するようにすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、行動情報に含まれる行動履歴に基づいて、ユーザの興味(カテゴリ)を決定しているが、これに限らず、すべての行動履歴に基づいてユーザの興味を分析するようにしてもよい。この場合、たとえば、第1の行動情報のアプリIDに対応する同端末アプリIDをアプリ記憶手段234から取得し、取得した同端末アプリIDに対応する第2の行動情報の行動履歴を読み出し、読み出した第2の行動情報の行動履歴と、第1の行動情報の行動履歴とのすべてを解析して、ユーザの興味あるカテゴリを決定することができる。これにより、より多くの行動履歴に基づいてユーザの興味を分析することができるので、より正確にユーザの興味を特定することが可能となる。したがって、ユーザの興味に応じた広告効果の高い広告配信を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、行動履歴は広告配信要求に含めてユーザ端末10から送信されるものとしたが、広告配信要求とは別途ユーザ端末10から行動履歴を広告配信装置20に送信するようにしてもよい。また、行動履歴更新手段212は、たとえば電子商取引(EC)サイトにアクセスして購買履歴を取得するなどによりユーザの行動履歴を取得するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、関連情報は、アクセス情報に含まれている日時、IPアドレス、現在位置およびバージョンであるものとしたが、これに限らず、ユーザ端末10に関して広告配信要求に付帯される情報であれば何を用いてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、関連情報の類似度を算出するにあたり、日時の時間差、現在位置間の距離、IPアドレスが一致するか否か、バージョンが一致するか否かをそれぞれ等価に評価したが、それぞれに重みをつけて類似度を算出するようにしてもよい。また、ステップS442において、アプリIDが第1アプリIDと一致せず、かつ、日時と第1アクセス情報の日時との差が第1閾値未満であるものアクセス情報のみを読み出すようにしてもよい。
【0075】
また、
図13のステップS448において現在位置の間の距離に対する第2閾値は所定の定数であるものとしたが、これに限らず、たとえばステップS447で求めた日時の差に応じた値としてもよい。この場合、たとえば、日時の差を秒や分で表し、これに対して所定の距離(たとえば、10mや100mなど任意の距離とすることができる。)を乗じて第2閾値を算出するようにすることもできる。ここで、第1アプリIDに対応するアクセス情報の現在位置に基づいて過去所定時間における移動距離の単位時間(たとえば1秒や1分など)における平均値を算出し、この平均値を上記日時の差に乗じるようにしてもよい。また、第2閾値に現在位置の測位に係る誤差を加算してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、第2アプリIDに対応するアクセス情報のいずれかが類似していれば(すなわちPが第3閾値よりも高ければ)、第2アプリIDが示すアプリケーションプログラム11と、第1アプリIDが示すアプリケーションプログラム11とは同一のユーザ端末10にインストールされているものと推定したが、たとえば、類似するアクセス情報の数に応じて同一のユーザ端末10にインストールされているものと推定するようにしてもよい。この場合、
図13のステップS445を省略し、全ての第2アクセス情報を取り出した後(S444:NO)、端末推定手段213は、一致リストに含まれている第2アプリIDの数に応じて、第1アプリIDおよび第2アプリIDのそれぞれの示すアプリケーションプログラム11が同一のユーザ端末10にインストールされているか否かを推定するようにすることができる。これにより、推定の精度を向上することができる。また、
図13のステップS441において一致リストとともに不一致リストを作成しておき、Pが第3閾値以下であった場合に(S451:NO)、第2アプリIDを不一致リストに追加するようにし、一致リストに含まれる第2アプリIDの数と、不一致リストに含まれる第2アプリIDの数とに応じて、第1アプリIDおよび第2アプリIDのそれぞれの示すアプリケーションプログラム11が同一のユーザ端末10にインストールされているか否かを推定するようにしてもよい。これによりさらに推定の精度を向上することができる。
【0077】
また、本実施形態では、全てのアクセス情報を対象として同一のユーザ端末10の推定処理を行うものとしたが、これに限らず、所定の期間ごとに推定処理を行うようにしてもよい。この場合、たとえば、
図13の処理において、ステップS442で読み出した第2リストに含まれるアクセス情報を、所定の長さ(たとえば、5分、10分、1時間など)の期間ごとにグループ分けし、グループごとにステップS443−S452の処理を行うようにすることができる。この場合、所定の長さの期間ごとのアクセス情報に基づいて同一のユーザ端末10か否かを推定することができる。ユーザ端末10がスマートデバイスや携帯電話端末のように可搬デバイスである場合には、時間の経過により現在位置やIPアドレスは大きく変化することが想定されるので、期間ごとに推定処理を行うことにより、ユーザ端末10の移動による誤判断を防止し、より正確に推定処理を行うことが可能となる。
【0078】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。