(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの乗場の乗降口を閉じた状態の乗場ドアを、前記乗場ドアの前記エレベータの昇降路とは反対側で覆う覆位置と、前記乗場ドアが開き状態にされることにより開放された前記乗降口を、開放する開放位置と、に移動可能に設けられたカバーと、
前記カバーを駆動する駆動部と、
前記乗場ドアが開かれるのに伴い前記カバーが前記開放位置に移動し、前記乗場ドアが閉じられるのに伴い前記カバーが前記覆位置に移動するように、前記駆動部を制御する制御部と、
一対の支持部材と、
ストッパ部と、
を備え、
前記駆動部は、前記乗場ドアの開閉方向における前記カバーの端部に設けられた永久磁石と、磁力によって前記永久磁石を移動させる電磁石と、を有したリニアモータであり、
前記一対の支持部材は、前記開閉方向に互いに間隔を空けて位置されるとともに前記乗場ドアの正面視で互いの間に前記乗降口が位置され、上下方向に延び、
前記一対の支持部材に、前記電磁石が固定され、
前記ストッパ部は、前記支持部材に設けられ上下方向に延び、
前記永久磁石は、前記カバーが前記覆位置に位置した状態で、前記ストッパ部と接触する、エレベータ乗場装置。
前記カバーには、前記カバーが前記覆位置に位置された状態で人の通り抜けが可能な開口部と、前記開口部を開閉する扉部と、が設けられた、請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のエレベータ乗場装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成や制御、ならびに当該構成や制御によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成や制御以外によっても実現可能である。また、本発明は、基本的な構成や制御によって得られる派生的な効果も含む種々の効果を得ることが可能である。なお、以下の例示的な複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。
【0008】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態のエレベータ1の構成例を示す概略図である。
図1に示されるように、エレベータ1は、乗りかご10と、運転制御部20と、エレベータ乗場装置130と、を備えている。乗りかご10および運転制御部20は、昇降路30内に設置されている。また、エレベータ乗場装置130は、乗場100に設置されている。なお、機械室(不図示)が設けられる場合には、運転制御部20は、機械室に設置されてもよい。運転制御部20は、エレベータ制御部や制御部とも称される。
【0009】
乗りかご10は、利用者が乗降するものである。乗りかご10は、昇降路30内に設置された不図示の一対のかご用ガイドレールの間に設置されている。乗りかご10は、かご用ガイドレールに沿って昇降することで、昇降路30内を昇降する。乗りかご10は、不図示の移動装置に駆動されて昇降する。移動装置は、運転制御部20の制御によって、乗りかご10を昇降させる。
【0010】
乗りかご10には、かごドア11が開閉自在に設置されている。かごドア11は、乗りかご10に設けられたかご乗降口12を閉塞および開放するものである。本実施形態では、乗りかご10に、二つのかごドア11が設けられている。二つのかごドア11は、乗りかご10における互いの反対側に設けられている。かごドア11は、乗りかご10の昇降時は閉状態を維持し、乗りかご10が着床した場合に、不図示の駆動装置により閉状態から開状態となる。また、乗りかご10には、不図示の開閉センサなどが設置されている。これらのセンサは、運転制御部20と接続されており、かごドア11と乗場ドア110とを含むドアDの開閉状態を、運転制御部20に入力する。なお、かごドア11は、一つであってもよい。
【0011】
エレベータ1が設置される建物には、乗場100が設置されている。乗場100は、例えば、建物の外部に露出して設置されている。乗場100は、乗りかご10が停止可能な階に設置されている。乗場100には、乗場ドア110が開閉自在にそれぞれ設置されている。乗場ドア110は、三方枠105に支持されている。乗場ドア110は、乗場100の乗降口である乗場乗降口103を閉塞、開放(開閉)するものである。乗場乗降口103は、乗りかご10が着床した際にかご乗降口12と対向する位置に形成されている。乗場ドア110は、乗りかご10が着床していない場合は、閉状態であり、不図示のロック機構により、開状態への動作が制限されている。乗場ドア110は、乗りかご10が着床して、かごドア11が閉状態から開状態に動作するのに連動して、ロック機構によるロックを解除すると共に、閉状態から開状態となる。
【0012】
図2は、本実施形態のエレベータ1の乗場100を示す正面図であって、乗場100に設けられたカバー133が開いた状態を示す図である。
図3は、本実施形態のエレベータ1の乗場100を示す正面図であって、乗場100に設けられたカバー133が閉じた状態を示す図である。
図2,3に示されるように、各乗場100には、乗場操作盤120が設置されている。乗場操作盤120は、利用者がエレベータ1の乗りかご10を呼ぶ際に操作されるものであり、運転制御部20に接続されている。乗場操作盤120は、エレベータ1の各階における乗場100の三方枠105に設置されている。乗場操作盤120は、押釦121と、表示部122と、を有している。
【0013】
押釦121は、各階にエレベータ1の乗りかご10を呼ぶためのボタンである。本実施形態では、押釦121は、上階呼びボタンまたは下階呼びボタンである。上階呼びボタンは、乗場100にいる利用者が当該乗場100よりも上の階の乗場100へ移動する際に用いられる。下階呼びボタンは、乗場100にいる利用者が当該乗場100よりも下の階の乗場100へ移動する際に用いられる。乗場操作盤120は、押釦121が利用者により操作されると、乗りかご10が呼ばれたことを示す呼び登録信号を運転制御部20に出力する。なお、3階以上の建物の場合、中間階の乗場操作盤120には、上階呼びボタンとしての押釦121と、下階呼びボタンとしての押釦121とが、設けられうる。
【0014】
運転制御部20は、押釦121が押下されることにより乗場操作盤120から呼び登録信号を入力して呼び登録を行い、当該乗場操作盤120が設置された乗場100の階床に乗りかご10を呼ぶように制御する。例えば、運転制御部20は、1階の乗場100に配設された乗場操作盤120から呼び登録信号を入力すると、乗りかご10の1階への呼び登録を行って、1階の乗場100の階床に乗りかご10を呼ぶように制御する。また、運転制御部20は、昇降方向への乗りかご10の移動に応じて、乗りかご10が位置する階床を示す表示データを乗場操作盤120に出力する。
【0015】
乗場操作盤120の表示部122は、乗りかご10の階層等の乗りかご10の運転状況を表示するものであり、押釦121の上方に設置されている。表示部122は、例えば液晶パネルである。表示部122は、運転制御部20から入力された表示データに基づいて、階層等の情報を表示する。表示部122は、インジケータとも称される。
【0016】
図4は、本実施形態のエレベータ乗場装置130の構成例を示す斜視図である。
図5は、本実施形態のエレベータ乗場装置130の構成例を示す断面図である。
図6は、本実施形態のエレベータ乗場装置130の一部を示す断面図である。
図7は、本実施形態のエレベータ乗場装置130の一部を示す断面図である。
【0017】
図4〜7に示されるように、エレベータ乗場装置130は、筐体131と、一対の支持部材132と、カバー133と、駆動部134と、制御部136と、を備えている。エレベータ乗場装置130は、三方枠105に取り付けられている。また、エレベータ乗場装置130は、乗場100に設けられた庇107の下方に配置されている。エレベータ乗場装置130は、カバー装置とも称される。
【0018】
図2,3に示されるように、筐体131は、乗場ドア110の上方に配置されている。
図2〜4に示されるように、筐体131は、ドアD(乗場ドア110、かごドア11)の開閉方向(以降、ドア開閉方向とも称する:
図2の左右方向)に長い中空の直方体状に構成されている。筐体131の底壁には、乗場ドア110の開口部131a(貫通孔)が設けられている。開口部131aは、ドア開閉方向に長いスリット状に形成されている。
【0019】
また、
図5に示されるように、筐体131の内部には、支軸137が設けられている。支軸137は、ドア開閉方向に延びている。支軸137は、回転可能に筐体131に支持されている。また、筐体131には、カバー133や制御部136、スピーカ135(
図8)が収容されている。
【0020】
一対の支持部材132は、ドア開閉方向(左右方向)に互いに間隔を空けて設けられるとともに、筐体131の底壁から下方に延びている。各支持部材132は、三方枠105と重ねられた状態で筐体131の底壁と乗場100の床面101とに渡って設けられている。正面視(
図2)で、一対の支持部材132の間に、乗場ドア110および乗場操作盤120が位置されている。支持部材132は、例えば鉄等の磁性を有した金属材料によって構成されている。
【0021】
各支持部材132は、ベース部132aを有している。ベース部132aは、中空の略直方体状に形成されている。ベース部132aは、筐体131の底壁から下方に延びている。ベース部132aは、三方枠105と重ねられた状態で筐体131の底壁と乗場100の床面101とに渡って設けられている。ベース部132aの内部は、開口部131aと通じている。
【0022】
また、
図4〜6に示されるように、ベース部132aには、開口部132b(貫通孔)が設けられている。開口部132bは、一対のベース部132aの互いに対向した一対の側壁に設けられ、当該側壁を貫通している。開口部132bは、ベース部132aの上端と下端とに渡って設けれ、筐体131の開口部131a(
図5)と通じている。
【0023】
また、
図6,7に示されるように、ベース部132aには、ストッパ部132cが設けられている。ストッパ部132cは、板状に形成され、上下方向およびドア開閉方向に延びている。ストッパ部132cは、ベース部132aの開口部132bの縁部からベース部132aの内部に延びている。ストッパ部132cは、ベース部132aの上端と下端とに渡って設けられている。
【0024】
カバー133は、柔軟性を有したシートによって構成されている。また、カバー133は、例えば、防煙性を有している。すなわち、カバー133は、煙の通過を制限する。具体的には、カバー133は、繊維状のシートやビニールクロスや、不燃性シート等によって構成されうる。カバー133の上端部(一端部)は、支軸137に固定されている。また、カバー133の左右の端部(ドア開閉方向の両端部)は、一対の支持部材132の内部に入れられている。詳細には、カバー133の左右の端部は、開口部132bを貫通して、ベース部132aの内部に入れられている。カバー133は、スクリーンとも称される。
【0025】
カバー133は、開放位置(
図2)と覆位置(
図3)とに移動可能に、支軸137に支持されている。開放位置は、カバー133が乗場ドア110が開き状態にされることにより開放された乗場乗降口103を、開放する位置である。カバー133は、支軸137に巻き取られることにより、開放位置に位置される。覆位置は、カバー133が、乗場乗降口103を閉じた状態の乗場ドア110を、乗場ドア110のエレベータ1の昇降路30とは反対側で覆う位置である。カバー133は、支軸137から引き出されることにより、覆位置に位置される。カバー133は、覆位置に位置された状態で、乗場ドア110に、雨水や雪、塩等が掛かることを抑制するとともに、昇降路30内への雨水や雪、塩等の進入を抑制する。
【0026】
カバー133は、駆動部134によって駆動されて、覆位置と開放位置との間を移動する。また、本実施形態では、支軸137には、不図示のばね部材によって、カバー133を巻き取る方向の力が付与されている。駆動部134は、ばね部材の付勢力に抗して、カバー133を開放位置から覆位置に移動させる。
【0027】
また、
図3,4に示されるように、カバー133は、不透明な不透明部133aと、透明な透明部133bと、を有している。不透明部133aは、カバー133が覆位置(
図3)に位置された状態で、乗場操作盤120に面さず、乗場操作盤120を覆わない位置に設けられている。透明部133bは、カバー133が覆位置(
図3)に位置された状態で、乗場操作盤120に面し、乗場操作盤120を覆う位置に設けられている。すなわち、カバー133は、乗場100に設けられエレベータ1の状態を表示する表示部122を覆う部分(透明部133b)と、乗場100に設けられ操作を受ける操作部である押釦121を覆う部分(透明部133b)とが、透明である。なお、カバー133は、全体が透明であってもよい。
【0028】
また、カバー133は、ベース部133cと、扉部133dと、を有している。ベース部133cは、支軸137に固定されたカバー133の上端部と、カバー133の下端部(他端部)の一部と、カバー133の左右の端部と、を含んでいる。ベース部133cには、カバー133が覆位置に位置された状態で人の通り抜けが可能な開口部133eが設けられている。開口部133eは、カバー133の厚さ方向にベース部133cを貫通するとともに、カバー133の下端部に開口している。扉部133dは、開口部133eを開閉可能にベース部133cに取り付けられている。扉部133dは、ベース部133cに面ファスナ等の取付部によって、着脱可能に取り付けれている。扉部133dは、ベース部133cに取り付けられた状態では、開口部133eを閉塞し、ベース部133cから取り外されることにより、開口部133eを開放する。なお、扉部133dは、開口部133eを開閉可能であれば、一部(例えば上端部)がベース部133cと連続して形成されていてもよく、この場合には、当該連続して形成された部分(上端部)が、ヒンジ部として機能する。この場合、扉部133dは、くぐり戸とも称される。
【0029】
図6,7に示される駆動部134は、リニアモータによって構成されている。詳細には、駆動部134は、電磁石138,139と、永久磁石140と、を有している。電磁石138,139は、各支持部材132に設けられ、永久磁石140は、カバー133の左右の端部に設けられている。すなわち、電磁石138,139および永久磁石140の組が左右一対設けられている。各組には、複数の電磁石138と、複数の電磁石139と、複数の永久磁石140とが設けられている。これらの左右一対の電磁石138,139および永久磁石140の組は、同様の構成であるので、一方の組(左側の組)について
図6,7を参照して詳細に説明する。
【0030】
複数の電磁石138(
図6,7では一つだけが図示されている)は、ベース部132aの内部で、互いに上下方向に間隔を空けて配置されている。これらの複数の電磁石138は、ベース部132aの内面に固定されている。また、複数の電磁石138(
図6,7では一つだけが図示されている)は、互いに上下方向に間隔を空けて配置されている。これらの複数の電磁石138は、ベース部132aの内面に固定されている。複数の電磁石138と複数の電磁石139とは、ドアDの厚さ方向(
図6の上下方向)に互いに間隔を開けて配置されている。
【0031】
複数の永久磁石140は、カバー133(ベース部132a)の左右の端部(
図6,7の例では左の端部)に設けられている。複数の永久磁石140は、カバー133に固定され、カバー133と一体となって移動する。複数の永久磁石140は、複数の電磁石138と複数の電磁石139との間に位置されている。
【0032】
駆動部134は、複数の電磁石138の磁力によって永久磁石140を移動させる。すなわち、駆動部134は、カバー133を移動させることができる。駆動部134は、支軸137に巻き取られたカバー133を筐体131の外部に引き出して、覆位置に移動させることが可能である。また、駆動部134は、カバー133を筐体131の内部に入れて、開放位置に位置させることが可能である。このとき、不図示のばね部材によって、支軸137がカバー133を巻き取る方向の力が支軸137に付与されているので、カバー133に弛みが生じるのが抑制される。
【0033】
また、駆動部134は、カバー133が覆位置に位置した状態で、永久磁石140がストッパ部132cに接触する位置に、永久磁石140およびカバー133を移動させる(
図7)。この移動は、永久磁石140に対する電磁石139の吸引力と、永久磁石140に対する電磁石138の反発力と、の少なくとも一方によって行われる。なお、永久磁石140がストッパ部132cと接触した状態では、接触状態が永久磁石140の磁力によって維持されるので、電磁石138の磁力の発生を停止させてもよい。このように、永久磁石140がストッパ部132cと接触した状態では、カバー133の左右の端部もストッパ部132cと接触した状態となる。これにより、ストッパ部132cとカバー133との間に隙間が無くなるかまたは小さくなる。これにより、ストッパ部132cとカバー133との間を煙(空気)が通り抜けることが制限される。よって、支持部材132とカバー133とによって、乗場100で発生した煙(空気)が支持部材132内を通過して昇降路30に入るのが制限される。また、駆動部134は、カバー133を移動させる場合には、電磁石138,139の磁力によって、永久磁石140をストッパ部132cから離間させる(
図6)。
【0034】
図8に示される制御部136は、CPU、記憶部、および通信インターフェース等を有している。制御部136の記憶部は、ROMおよびRAMを含んでおり、CPUが実行するプログラム等を格納している。制御部136には、駆動部134、スピーカ135、検出センサ141が接続されている。制御部136(CPU)は、記憶部に記憶されたプログラムに従ってエレベータ乗場装置130の各部を駆動制御することができる。また、制御部136には、運転制御部20が通信可能に接続されている。
【0035】
スピーカ135は、例えば、筐体131に取り付けられて、カバー133の動作の情報等の各種情報を音声で報知することが可能である。スピーカ135は、報知装置の一例である。また、検出センサ141は、カバー133が覆位置に位置されたことを検出するものである。検出センサ141は、例えば、光を用いてカバー133を検出するものや、カバー133が当該検出センサ141と接触することでカバー133を検出するもの等であってよい。検出センサ141は、例えば、支軸137の下端部に配置されている(
図5)。
【0036】
制御部136は、カバー開閉処理を行う。カバー開閉処理では、制御部136は、乗場ドア110が開かれるのに伴いカバー133が開放位置(
図2)に移動し、乗場ドア110が閉じられるのに伴いカバー133が覆位置(
図3)に移動するように、駆動部134を制御する。すなわち、制御部136は、乗場ドア110(ドアD)の開閉に連動してカバー133が開閉するように、駆動部134を制御する。
【0037】
次に、エレベータ乗場装置130の制御部136が実行するカバー開閉処理の一例を説明する。
【0038】
制御部136は、乗場ドア110(ドアD、かごドア11)が開かれるかを判定する。制御部136は、運転制御部20から、当該エレベータ乗場装置130が設置された階の乗場100でドアDを開ける旨を表す開信号を受信した場合には、乗場ドア110が開かれると判定する。一方、制御部136は、運転制御部20から、上記開信号を受信しない場合には、乗場ドア110は開かれないと判定する。ここで、開信号は、乗りかご10が、当該エレベータ乗場装置130が設置された階に着く前に制御部136に入力される。開信号が出力されて、乗りかご10が当該エレベータ乗場装置130が設置された階に着いて停止した場合、ドアDが開かれる。ドアDを開ける開信号は、乗場ドア110やかごドア11を開ける旨を表す信号とも言える。
【0039】
制御部136は、乗場ドア110が開かれると判定した場合には、カバー133を開ける。詳しくは、制御部136は、乗場ドア110が開かれる時点の規定時間(一例として約3秒)前に開放位置へのカバー133の移動が完了するように、駆動部134を制御する。これにより、乗場ドア110が開く前に、カバー133が開放位置に移動する。その後、乗りかご10が当該エレベータ乗場装置130が設置された階に着いて停止すると、ドアDが開かれる。これにより、乗場乗降口103が開放され、利用者の出入りが可能となる。また、この際、制御部136は、カバー133が開放位置に移動する旨の音声をスピーカ135に出力させる。この音声の出力は、例えば、カバー133の移動が開始される前に行われてもよいし、カバー133の移動と同時に開始されてもよいし、カバー133が移動している間中行われてもよい。
【0040】
次に、制御部136は、乗場ドア110(ドアD、かごドア11)が閉じられるかを判定する。制御部136は、運転制御部20から、ドアDを閉じる旨を表す閉信号を受信した場合には、乗場ドア110が閉じられると判定する。一方、制御部136は、運転制御部20から、閉信号を受信しない場合には、乗場ドア110は閉じられないと判定する。ここで、閉信号は、乗りかご10が、当該エレベータ乗場装置130が設置された階に停止している状態で制御部136に入力される。また、閉信号が出力されると、ドアDが閉じられる。また、運転制御部20から移動信号が出力された場合には、乗りかご10が移動信号に応じた階へ移動する。ドアDを閉める閉信号は、乗場ドア110やかごドア11を閉める旨を表す信号とも言える。
【0041】
制御部136は、乗場ドア110が閉じられると判定した場合には、カバー133を閉じる。詳細には、制御部136は、乗場ドア110が閉じられた時点から規定時間(一例として約3秒)後にカバー133が覆位置に向けて移動を開始するように、駆動部134を制御する。これにより、乗場ドア110が閉じられた後に、カバー133が覆位置に移動する。また、この際、制御部136は、カバー133が覆位置に移動する旨の音声をスピーカ135に出力させる。この音声の出力は、例えば、カバー133の移動が開始される前に行われてもよいし、カバー133の移動と同時に開始されてもよいし、カバー133が移動している間中行われてもよい。
【0042】
上記のカバー開閉処理において、制御部136は、カバー133を覆位置に移動させる場合には、検出センサ141がカバー133を検出するまで、カバー133を移動させる。
【0043】
また、制御部136は、不図示の負荷検出用センサの出力に基づいて、移動中のカバー133に第一の規定量を超える負荷が作用したと判定した場合には、次の処理をおこなってもよい。すなわち、この場合、制御部136は、カバー133の移動先(覆位置、開放位置)に関わらずカバー133が開放位置に移動するように、駆動部134を制御してもよい。このとき、制御部136は、カバー133の速度が第一の速度から第一の速度よりも低速の第二の速度に落ちるように、駆動部134を制御する。これにより、例えば、覆位置に移動中のカバー133と床面101との間に利用者が入った場合であっても、開放位置にカバー133が移動するので、安全性が向上する。
【0044】
また、制御部136は、上記負荷検出用センサの出力に基づいて、移動中のカバー133に第一の規定量よりも大きい第二の規定量を超える負荷が作用したと判定した場合には、次の処理を行ってもよい。すなわち、この場合、制御部136は、カバー133の移動先(覆位置、開放位置)に関わらずカバー133が停止するように、駆動部134を制御してもよい。
【0045】
上記負荷検出用センサは、例えば、カバー133の位置を検出するセンサであってよい。この場合、制御部136は、駆動部134の制御によるカバー133の理論上の位置と、負荷検出用センサの出力に基づいて算出されるカバー133の実際の位置との差に基づいてカバー133に作用する負荷を算出する。この場合、例えば、駆動部134の制御によるカバー133の理論上の位置と、負荷検出用センサの出力に基づいて算出されるカバー133の実際の位置との差が大きいほどカバー133に作用する負荷は、大きな値となる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、制御部136は、乗場ドア110が開かれるのに伴いカバー133が開放位置(
図2)に移動し、乗場ドア110が閉じられるのに伴いカバー133が覆位置(
図3)に移動するように、駆動部134を制御する。よって、本実施形態によれば、乗場ドア110の開閉に伴ってカバー133が自動で開閉されるので、カバー133の開閉に掛かる手間を抑制することができる。また、カバー133が自動で覆位置に移動するので、カバー133の閉め忘れが生じることが防止されるので、乗場ドア110等のエレベータ1の各部の保全が図られ、エレベータ1の長寿命化が図られる。
【0047】
また、本実施形態では、カバー133は、少なくとも、乗場100に設けられエレベータ1の状態を表示する表示部122を覆う部分(透明部133b)が、透明である。よって、本実施形態によれば、カバー133が覆位置に位置された状態でも、利用者が表示部122を視認しやすい。したがって、利用者は、エレベータ1が使用可能であることを認識しやすい。
【0048】
また、本実施形態では、カバー133は、少なくとも、乗場100に設けられ操作を受ける押釦121(操作部)を覆う部分(透明部133b)が、透明である。よって、本実施形態によれば、カバー133が覆位置に位置された状態でも、利用者が押釦121を視認しやすい。
【0049】
また、本実施形態では、カバー133には、カバー133が覆位置に位置された状態で人の通り抜けが可能な開口部133eと、開口部133eを開閉する扉部133dと、が設けられている。よって、本実施形態によれば、何らかの原因で、ドアDが開かれたにも関わらず、カバー133が開放位置に移動せずに閉位置に位置し続けた場合でも、扉部133dを開くことにより、開口部133eが開放される。したがって、利用者は、乗りかご10から開口部133eを通って乗場100に移動することができる。
【0050】
また、本実施形態では、カバー133は、煙の通過を制限する。よって、例えばある階に火災が発生した場合であっても、その火災による煙が昇降路30に入るのが抑制されるので、その煙が昇降路30を介した他の階に移動するのが抑制される。これにより、エレベータ1の各部の保全が図られる。
【0051】
また、本実施形態では、スピーカ135(報知装置)は、カバー133の動作の情報を報知する。よって、本実施形態によれば、カバー133の動作の上方を利用者に知らせることができる。なお、報知装置は、スピーカ135に限られるものではなく、例えば、カバー133の動作の情報を報知する表示部であってもよいし、スピーカ135および表示部の両方を備えたものであってもよい。この場合、表示部は、液晶ディスプレイやLED等であってよい。
【0052】
また、本実施形態では、カバー133を巻き取る支軸137には、不図示のばね部材によって、カバー133を巻き取る方向の力が付与されている。よって、利用者が手動でカバー133を開ける場合でも、カバー133が支軸137にスムーズに巻き取られる。したがって、何らかの原因で駆動部134に通電がされない場合でも、利用者が、容易にカバー133を開けることができる。
【0053】
また、本実施形態では、制御部136が、運転制御部20とは別に設けられているので、エレベータ乗場装置130を、単体で乗場100に設置することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、制御部136が、運転制御部20から開信号を受信した場合に、乗場ドア110が開かれると判定する例を説明したが、これに限られない。例えば、制御部136は、当該制御部136(エレベータ乗場装置130)が設置された階に設けられた押釦121が操作された場合に、乗場ドア110が開かれると判定してもよい。この場合、制御部136は、例えば、運転制御部20から、押釦121が操作された旨を表す信号を受信した場合に、押釦121が操作されたと判定する。
【0055】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。
図9は、本実施形態のエレベータ乗場装置130の構成例を示すブロック図である。
【0056】
本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。ただし、本実施形態は、エレベータ乗場装置130がカメラ142が撮影した画像を用いて処理を行う点が、第1の実施形態と主に相違している。
【0057】
カメラ142は、例えば、筐体131や乗場100に設けられた支柱(不図示)等に設置され、乗場100を撮影する。カメラ142は、例えば、カバー133、乗場ドア110、乗場操作盤120を含む領域を撮影する。カメラ142は、制御部136と接続されており、撮影した画像(フレームデータ)を順次制御部136に送信する。
【0058】
制御部136は、カバー133が覆位置に位置されていると判定し、かつカメラ142が撮影した画像に基づいて乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいると判定した場合に、カバー133が開放位置に移動するように、駆動部134を制御する。
【0059】
制御部136は、カバー133が覆位置に位置されているかを、検出センサ141の出力に基づいて判定する。すなわち、制御部136は、検出センサ141からカバー133を検出した旨の信号を受信した場合には、カバー133が覆位置に位置されていると判定する。一方、制御部136は、検出センサ141からカバー133を検出した旨の信号を受信しない場合には、カバー133が覆位置に位置されていないと判定する。
【0060】
また、制御部136は、例えば、カメラ142が時系列に撮影した複数の画像(フレームデータ)に基づいて、乗場操作盤120に近づく人がいるかを検出する。制御部136は、例えば、乗場操作盤120に近づく人を検出した場合、当該人が乗場100から乗りかご10に乗る可能性が有ると判定する。すなわち、制御部136は、乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいると判定する。一方、制御部136は、乗場操作盤120に近づく人を検出しない場合、乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人はいないと判定する。画像中の人の検出は、パターンマッチング等の処理によって行われる。
【0061】
次に、エレベータ乗場装置130の制御部136が実行するカバー閉処理の一例を説明する。なお、本実施形態では、カバー閉処理は、制御部136が、カバー133が覆位置に位置されていると判定した場合に実行される。まず、制御部136は、カメラ142が撮影した画像を順次取得(受信)する。
【0062】
次に、制御部136は、取得した複数の画像に基づいて、乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいるかを判定する判定処理を行う。制御部136は、乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいると判定した場合には、カバー133を開ける。詳細には、制御部136は、カバー133が開放位置に移動するように、駆動部134を制御する。
【0063】
制御部136は、乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいないと判定した場合には、カバー133を開放位置に移動させない。
【0064】
以上のように、本実施形態では、制御部136は、カバー133が覆位置に位置されていると判定し、かつ乗場100から乗りかご10に乗る可能性の有る人がいると判定した場合には、カバー133が開放位置に移動するように、駆動部134を制御する。よって、本実施形態によれば、利用者が押釦121を操作する前にカバー133が開放位置に移動されるので、利用者はカバー133の存在を気にすることなく、エレベータ1の操作を行うことができる。
【0065】
なお、制御部136は、例えば、運転制御部20等から火災信号が入力された場合に、カメラ142が撮像した画像に基づいて乗場10に人がいると判定したときには、カバー133が覆位置に移動するように、駆動部134を制御してもよい。火災信号は、火災が発生した旨を表す信号である。
【0066】
なお、上記各実施形態では、カバー133が押釦121および表示部122を覆う構成を説明したが、カバー133は、乗場ドア110のみを覆う構成であってもよい。この場合でも、乗場ドア110に雨水や雪、塩等が掛かることを抑制されるとともに、昇降路30内への雨水や雪、塩等の進入が抑制される。
【0067】
また、上記各実施形態では、駆動部134がリニアモータによって構成された例を説明したが、駆動部134は、例えば、回転電機によって構成されていてもよい。
【0068】
また、上記各実施形態では、制御部136が駆動部134を制御したが、これに限られない。例えば、運転制御部20が駆動部134を制御してもよい。この場合、運転制御部20は、乗りかご10が着床する目的階に設置された駆動部134を制御する。この場合は、運転制御部20が、エレベータ乗場装置130に含まれる。
【0069】
以上の各本実施形態によれば、カバー133の開閉に掛かる手間を抑制することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。