特許第6283084号(P6283084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283084乾式振動磁気フィルタ用の改良物質分離回収マトリックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283084
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】乾式振動磁気フィルタ用の改良物質分離回収マトリックス
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/025 20060101AFI20180208BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B03C1/025
   B03C1/00 B
   B03C1/00 J
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-207680(P2016-207680)
(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公開番号】特開2017-121622(P2017-121622A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】62/246,286
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511048948
【氏名又は名称】エリーズ マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】丹野 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】丹野 光弘
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−203654(JP,A)
【文献】 特表2007−516069(JP,A)
【文献】 特開2007−181771(JP,A)
【文献】 特開平04−087609(JP,A)
【文献】 特開2011−143346(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第00480586(GB,A)
【文献】 特開昭62−258763(JP,A)
【文献】 特開昭58−143856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/00−1/32
B01D 35/06
C02F 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式振動磁気フィルタであって、
積層マトリックススタックを含むキャニスタアセンブリと、
前記キャニスタアセンブリをつるすスプリングサスペンションと、
前記キャニスタアセンブリを振動させる振動駆動と、
を備え、
前記積層マトリックススタックは、複数の磁化可能なマトリックスグリッドを備え、それぞれの前記磁化可能なマトリックスグリッドは、
第1の長さを有する外周リングであって、前記外周リングは、フェライト系ステンレス鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの1つを備える外周リングと、
複数の被切断管と、
を備え、
前記複数の被切断管は、
それぞれの前記被切断管が、前記第1の長さ未満である第2の長さを有し、
それぞれの前記被切断管が、前記外周リング内につるされる縦方向に単層で配置され、前記外周リングの断面領域を充填し、前記外周リングの外縁と、それぞれの前記被切断管の上下と、の間に間隙を作り出し、
それぞれの前記被切断管が、少なくとも1つの他の被切断管に、または外周リングに、取り付けられ、
前記積層マトリックススタックは、前記磁化可能なマトリックスグリッドの交互層を備え、前記磁化可能なマトリックスグリッドの交互層は、フェライト系ステンレス鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼のいずれか一方を備える、乾式振動磁気フィルタ。
【請求項2】
請求項1の乾式振動磁気フィルタであって、前記キャニスタアセンブリは、前記積層マトリックススタックを含むマトリックスケースをさらに備える、乾式振動磁気フィルタ。
【請求項3】
請求項1の乾式振動磁気フィルタであって、前記被切断管は、円形、正方形、または長方形のうちの1つである断面を有する、乾式振動磁気フィルタ。
【請求項4】
乾式振動磁気フィルタ用の磁化可能なマトリックスグリッドであって、
第1の長さを有する外周リングと、
複数の被切断管と、
を備え、
前記複数の被切断管は、
それぞれの前記被切断管が、前記第1の長さ未満である第2の長さを有し、
それぞれの前記被切断管が、前記外周リング内につるされる縦方向に単層で配置され、前記外周リングの断面領域を充填し、前記外周リングの外縁と、それぞれの前記被切断管の上下と、の間に間隙を作り出し、
それぞれの前記被切断管が、少なくとも1つの他の被切断管に、または外周リングに、取り付けられる、
磁化可能なマトリックスグリッド。
【請求項5】
請求項4の磁化可能なマトリックスグリッドであって、前記外周リングは、フェライト系ステンレス鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの1つを備える、磁化可能なマトリックスグリッド。
【請求項6】
請求項4の磁化可能なマトリックスグリッドであって、前記被切断管は、円形、正方形、または長方形のうちの1つである断面を有する、磁化可能なマトリックスグリッド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
粉末から微細な強磁性および常磁性粒子を除去するのに使用される多くの種類の磁気分離装置がある。1つの特定の種類の分離器である乾式振動磁気フィルタ(DVMF)は、マトリックスアセンブリを形成するように共に積み重ねられた様々な磁化可能なグリッドを利用する。このマトリックスアセンブリは、非常に強い磁場勾配を生成し、それは、DVMFを通る粉末から微細な強磁性および常磁性粒子を除去する。DVMFは、開口ボアを有する、鉄‐クラッド、DC、電磁コイルである。このボアにあるのは、マトリックスアセンブリを保持するキャニスタである。マトリックスアセンブリは、積み重ねられた一連の積層マトリックスを備え、それは、典型的に定位置に保持され、マトリックスアセンブリの中心を通る単一ロッドによってつるされる。キャニスタは、DVMFを通る微粉の流れを促進するように振動する。ボアに存在する磁場は、マトリックスアセンブリに高い磁場勾配を誘起し、それは磁性粒子を捕捉および保持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
提示されるものは、改良金属グリッドマトリックスおよびDVMFのマトリックスアセンブリ用容器を備える。マトリックスは、多数の回収点を提供する。マトリックスの開口断面領域は、高い処理能力を可能にする。容器は、汚れたまたは摩耗したマトリックスアセンブリの迅速な交換を可能にする。マトリックス構築は、自動構築技術に容易に適合するようになっている。
【0003】
提示されるのは、乾式振動磁気フィルタであって、積層マトリックススタックを含むキャニスタアセンブリと、キャニスタアセンブリをつるすスプリングサスペンションと、キャニスタアセンブリを振動させる振動駆動と、を備える乾式振動磁気フィルタである。積層マトリックススタックは、複数の磁化可能なマトリックスグリッドを備える。それぞれの磁化可能なマトリックスグリッドは、フェライト系ステンレス鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの1つである外周リングを備える。それぞれの磁化可能なマトリックスグリッドは、複数の被切断管を備え、それぞれの被切断管が、外周リング内につるされる縦方向に単層で配置され、外周リングの断面領域を充填する。外周リングは、第1の長さを有し、それぞれの被切断管は、前記の第1の長さ未満である第2の長さを有する。この長さの差は、外周リングの外縁と、それぞれの被切断管の上下と、の間に間隙を作り出す。それぞれの被切断管は、少なくとも1つの他の被切断管に、または外周リングに、取り付けられる。積層マトリックススタックは、磁化可能なマトリックスグリッドの交互層を備え、磁化可能なマトリックスグリッドの交互層は、フェライト系ステンレス鋼またはオーステナイト系ステンレス鋼のいずれか一方を備える。被切断管は、円形、正方形、長方形、または他の形状のうちの1つである断面を有する。乾式振動マトリックスフィルタのキャニスタアセンブリは、積層マトリックススタックを収容するマトリックスケースを備えてよい。
【0004】
当業者は、この発明が示されているのと異なる実施形態が可能であること、およびこの発明の範囲から逸脱することなく装置および方法の詳細を様々な仕方で変更できること、を理解する。従って、図面および説明は、この発明の趣旨および範囲を逸脱しないそのような同等の実施形態を含むと見なされる。
【0005】
この発明のより完全な理解と評価のために、およびその多くの利点について、添付図面と合わせられて以下の詳細な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】キャニスタアセンブリの内部部品を示す乾式振動磁気フィルタの切抜図である。
図2図1のキャニスタアセンブリの分解図である。
図3図1の積層マトリックススタックの斜視図である。
図4図1のキャニスタの斜視図である。
図5図1のマトリックスケースの斜視図である。
図6図1のアダプタの斜視図である。
図7図1の磁化可能なマトリックスグリッドの上面図である。
図8図7の磁化可能なマトリックスグリッドの断面図である。
図9】従来技術の磁化可能なマトリックスグリッドの上面図である。
図10】従来技術の磁化可能なマトリックスグリッドの上面図である。
図11】従来技術の磁化可能なマトリックスグリッドの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面に関し、符号は、図示および記載されているいくつかの実施形態および図面を通じて同じまたは対応する部分を示すのに使用されるものもある。対応する部分は、小文字を伴って異なる実施形態で表される。図に描かれている形態または機能において対応する部分の変形が、記載されている。実施形態における変形は、本発明から逸脱せずに一般に置き換えることができる。
【0008】
図1は、鉱業、調剤、素材、および食品産業で物質を処理するのに使用されるDVMF10を示す。処理物質は、通常は乾燥したままであり、典型的に微細な強磁性および常磁性汚染物を含有し、それは、DVMFが除去することを目的とするものである。物質は、ほとんどの場合微細であって自由に流れない。DVMF10は、スプリングサスペンション14からつるされているキャニスタアセンブリ12を備える。振動駆動16は、乾燥粉末がキャニスタアセンブリ12を通る際に、スプリングサスペンション14がキャニスタアセンブリ12を振動させるようにする。この振動は、乾燥粉末を分離する手段を提供する。DVMF10内の積層マトリックススタック22は、振動駆動16によってキャニスタアセンブリ12が振動する際に通過する物質内の強磁性および常磁性汚染物を引き付けて除去するように磁化される。本明細書で論じられるシステムは乾燥物質の分離に焦点を合わせているが、高粘度のスラリーに首尾よく適用され得ることが期待される。
【0009】
図2は、キャニスタアセンブリ12の分解図であり、キャニスタアセンブリ12は、キャニスタ18と、キャニスタアセンブリ12をDVMF10に取り付けることができるようにするアダプタ20と、を備える。キャニスタアセンブリ12は、複数の磁化可能なマトリックスグリッド24(以下でより詳細に論じられる)を備える積層マトリックススタック22(図3に示されている)を保持する。この実施形態では、マトリックスケース26が追加され、積層マトリックススタック22が、清掃や交換のためにDVMF10から全体として取り付けおよび取り外しができるようになっている。積層マトリックススタック22を収容するこの配置は、利用できる断面領域を増加させ、乾燥粉末スループットを向上させる。積層マトリックススタック22を定位置に保持する他の方法があり得る。
【0010】
図3に示されるように、積層マトリックススタック22は、上下に重なった複数の磁化可能なマトリックスグリッドを備える。図4は、キャニスタ18の斜視図を示す。キャニスタ18は、フランジ付き上部30を有する中空円筒体28を備え、フランジ付き上部30は、マトリックスケースをDVMF10に取り付けるのに使用される一連のボルト32を収容する。図1に見られるように、キャニスタ18は、DVMF10の本体に直接取り付けられ、スプリングサスペンション14および振動駆動16に接続する。
【0011】
図5は、DVMF10に取り付けられるときの積層マトリックススタック22を保持するマトリックスケース26の斜視図を示す。マトリックスケース26は、保持管34を備え、保持管34は、キャニスタ18の中空円筒体28に入る寸法に作られている。マトリックスケース26は、一連のボルト開口38を有するフランジ36をさらに備える。フランジ36は、マトリックスケース26がキャニスタ18の上部に乗ることができるようにする。ボルト開口38はキャニスタ18のボルト32と整列し、ボルト32がボルト開口38を通り、フランジ36およびフランジ付き上部30が、DVMF10が完全に組み立てられたときに、共に固定されるようになっている。積層マトリックススタック22は、保持管34の直径に合う寸法に作られている。図5に示されている実施形態では、保持管34の下部は内側に波形40にされ、保持管34の直径を減少させ、積層マトリックススタック22が滑り落ちるのを防ぐ。これは、単にマトリックスケース26を取り外しおよび交換することによって、積層マトリックススタック22をDVMF10から迅速におよび簡単に取り外しおよび交換できるようにする。積層マトリックススタック22を保持する他の手段が、使用されてよい。
【0012】
図6は、キャニスタアセンブリ12の頂部を覆うアダプタ20の斜視図を示す。アダプタ本体42は、保持管34に収まる寸法に作られ、組立キャニスタアセンブリ12の積層マトリックススタック22の真上に乗る。上フランジ44は、一連のねじ46を有し、一連のねじ46は、キャニスタ18にあるボルト32と整列する。ねじ36は、アダプタ20をキャニスタ18に固定し、キャニスタアセンブリ12を封鎖する。
【0013】
図7は、磁化可能なマトリックスグリッド24の上面図を示し、図8は、図のように断面を示す。図7および8を比べることによって最も良く理解できるように、それぞれの磁化可能なマトリックスグリッド24は、外周リング48を備え、外周リング48は、外周リング48内に収まるように配置および固定された複数の被切断管50を有する。外周リング48は、第1の長さを有する管であり、それぞれの被切断管50は、第1の長さ未満である第2の長さであり、それぞれの被切断管50が、外周リング48内につるされる縦方向に単層で配置され、図7に示されるように外周リング48の断面領域を充填するようになっている。長さの差は、外周リング48の外縁と、それぞれの被切断管50の上下と、の間に間隙52を作り出す。それぞれの被切断管50は、少なくとも1つの他の被切断管50に、または外周リング48に、取り付けられる。これは、スポット溶接またはマトリックスを共に保持する他の手段によって実現されてよい。
【0014】
磁化可能なマトリックスグリッド24の機能にとって重要な特性は、強磁性、鋭角、表面積、充填密度、構造的一体性、コスト、および製品フロースルー能力である。強磁性は、軟鋼または400系ステンレス(フェライト系)ステンレス鋼の使用で充足されるが、しかしながらそれは適切に適用されなければならない。磁化可能なマトリックスグリッド24の層をそれらの間にスペースなく共にしっかりと重ねることは、磁力線のシャンティングをもたらし得る。これを防ぐために、積層マトリックススタック22にあるそれぞれの磁化可能なマトリックスグリッド24は、フェライト系およびオーステナイト系ステンレス鋼の交互の材料の外周リング48を有する。間隙52は、シャンティングをさらに防ぎ、磁気集中を増加させる。被切断管50のそれぞれ1つは、磁気分離ポテンシャルの強化となる多数の磁気集中点を作り出す。丸い被切断管50は、磁気集中のポイントを提供するのに使用されるが、正方形、長方形、または他の断面形状のような代わりの容易に利用できる管が、使用可能である。
【0015】
図9‐11は、構造化バーグリッド(図9)、ハニカム形状(図10)、およびエキスパンド金属メッシュ(図11)である、従来技術の磁化可能なマトリックスグリッドを示す。多くの試験が、エキスパンド金属メッシュ(図11)およびバーグリッド(図9)と比べて、被切断管(図7)である磁化可能なマトリックスグリッドの利点を示した。
【0016】
【表1】
【0017】
この発明は、いくつかの好ましい実施形態を参照して記載された。多くの変更および修正が、前述の明細書を読んで理解することにより他者に思い当たる。本発明は、添付の請求項またはこれらの請求項の同等の範囲内に入る限りにおいて、全てのそのような修正および変更を含むと解釈されるように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11