特許第6283111号(P6283111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283111クランクシャフト・アイソレーティング・デカップラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283111
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】クランクシャフト・アイソレーティング・デカップラ
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/36 20060101AFI20180208BHJP
   F16D 41/20 20060101ALI20180208BHJP
   F16F 15/126 20060101ALI20180208BHJP
   F16F 15/12 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   F16H55/36 H
   F16D41/20 A
   F16F15/126 B
   F16F15/12 S
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-531781(P2016-531781)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公表番号】特表2016-529454(P2016-529454A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】US2014048278
(87)【国際公開番号】WO2015017284
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】13/952,886
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】サーク,アレクサンダー
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−516705(JP,A)
【文献】 特開2008−082508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/36
F16D 41/20
F16F 15/12
F16F 15/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動シャフトに連結するためのハブと、
前記ハブに軸支され、ベルト係合面を有するプーリと、
前記ハブとクラッチキャリアを連結し、負荷方向において径方向に拡張可能な捻りスプリングと、
前記クラッチキャリアに係合する前記捻りスプリングの径方向の内側に配設され、前記捻りスプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向において前記プーリに摩擦係合するラップスプリングとを備え、
前記ラップスプリングの端部は前記ハブに係合可能であり、これにより、前記捻りスプリングに作用する負荷トルクが所定値を越えると、前記ラップスプリングの直径が拡大して、前記ラップスプリングの前記プーリに対する摩擦係合の力が、負荷軽減方向に徐々に解放され、
ダンピング部材を介して前記ハブに係合する慣性部材を備える
アイソレーティング・デカップラ。
【請求項2】
前記ダンピング部材がエラストマ材料を備える請求項1に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項3】
前記プーリがブッシュにおいて前記ハブに軸支される請求項1に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項4】
前記捻りスプリングが巻き戻し方向に負荷を掛けられる請求項1に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項5】
前記ラップスプリングが巻取り方向に負荷をかけられることを特徴とする請求項1に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項6】
前記ラップスプリングがコイルスプリングである請求項1に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項7】
駆動シャフトに連結するためのハブと、
前記ハブに軸支され、ベルト係合面を有するプーリと、
前記ハブとクラッチキャリアを連結し、巻き戻し方向に負荷をかけられる捻りスプリングと、
前記クラッチキャリアに係合する前記捻りスプリングの径方向の内側に配設され、前記捻りスプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向において前記プーリに摩擦係合するラップスプリングとを備え、
前記ラップスプリングの端部は前記ハブに係合可能であり、これにより、前記負荷が所定レベルを越えて増加するに従って、前記ラップスプリングの直径が拡大して、前記ラップスプリングの前記プーリに対する摩擦係合の力が徐々に減少し、
ダンピング部材を介して前記ハブに係合する慣性部材を備える
アイソレーティング・デカップラ。
【請求項8】
前記ラップスプリングが巻取り方向に負荷をかけられることを特徴とする請求項に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項9】
前記プーリがマルチリブドベルト係合面を有する請求項に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項10】
ハブと、
前記ハブに軸支され、ベルト係合面を有するプーリと、
前記ハブとクラッチキャリアを連結し、駆動方向に作動するとき、巻き戻し方向に負荷をかけられる捻りスプリングと、
前記クラッチキャリアに係合する前記捻りスプリングの径方向の内側に配設され、前記プーリに摩擦係合するラップスプリングとを備え、
前記負荷が所定レベルを越えて増加するに従って、前記ラップスプリングの直径が拡大して、前記ラップスプリングの前記プーリに対する摩擦係合の力が徐々に減少し、
ダンピング部材を介して前記ハブに係合する慣性部材を備える
アイソレーティング・デカップラ。
【請求項11】
前記ダンピング部材がエラストマ材料を備える請求項10に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項12】
前記プーリがブッシュにおいて前記ハブに軸支される請求項10に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項13】
前記捻りスプリングが巻き戻し方向に負荷を掛けられる請求項10に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項14】
前記ラップスプリングが巻取り方向に負荷をかけられることを特徴とする請求項10に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【請求項15】
前記ラップスプリングがコイルスプリングである請求項10に記載のアイソレーティング・デカップラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリングキャリアに係合する捻りスプリングの径方向内側に配設され、捻りスプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向においてプーリに摩擦係合するラップスプリングを備え、ラップスプリングがハブに係合可能であり、これによりプーリに対する摩擦係合が解放される、アイソレーティング・デカップラに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車の分野で用いられるディーゼルエンジンは、燃費がよいという利点のために増加している。さらに、ガソリンエンジンは燃料効率を改善するために圧縮比を増加させている。この結果、ディーゼルおよびガソリンエンジンのアクセサリドライブシステムは、エンジンにおける上記変化のために、クランクシャフトに起因する大きな振動に打ち勝たなければならない。
【0003】
増加したクランクシャフトの振動に加えて、高い加速/減速比および高いオルタネータの慣性のために、エンジンのアクセサリドライブシステムはしばしば、ベルトのスリップによるベルトの軋み騒音を経験する。これはベルトの運転寿命を減少させる。
【0004】
クランクシャフト・アイソレータ/デカップラおよびオルタネータ・デカップラ/アイソレータは高い角振動を伴うエンジンに、エンジン作動域における振動を除去するため、またベルトの軋み音を制御するために広く用いられてきた。
【0005】
この技術の代表は、米国特許第7,591,357号明細書であり、これはエンジン駆動シャフトとサーペンタインベルトの間に回転運動を伝達するために設けられたデカップラを開示する。デカップラは回転駆動部材と、この回転駆動部材に対して共に相対回転するように、同軸的に設けられた回転被駆動部材とを有する。デカップリングアセンブリは駆動部材と被駆動部材の間に延びる。デカップリングアセンブリは、駆動部材が被駆動部材に対して回転するときに、第1の連結という意味で、駆動部材と被駆動部材を選択的に連結する。デカップリングアセンブリは、駆動部材が被駆動部材に対して回転するときに、第1の連結とは反対の第2の意味で、被駆動部材から駆動部材を切り離す。捻り振動ダンパは、エンジンにより生じる振動の一部を相殺するために、駆動部材と被駆動部材の一方とともに回転するように設けられる。
【0006】
必要なものは、スプリングキャリアに係合する捻りスプリングの径方向内側に配設され、捻りスプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向においてプーリに摩擦係合するラップスプリングを備え、ラップスプリングがハブに係合可能であり、これによりプーリに対する摩擦係合が解放される、アイソレーティング・デカップラである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一つの特徴は、スプリングキャリアに係合する捻りスプリングの径方向内側に配設され、捻りスプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向においてプーリに摩擦係合するラップスプリングを備え、ラップスプリングがハブに係合可能であり、これによりプーリに対する摩擦係合が解放される、アイソレーティング・デカップラである。
【0008】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記載と添付された図面により明確になる。
【0009】
本発明は、駆動シャフトに連結するためのハブと、ハブに軸支され、ベルト係合面を有するプーリと、ハブとスプリングキャリアの間に係合され、負荷方向に径方向に拡張可能なスプリングと、スプリングキャリアに係合するスプリングの径方向の内側に配設され、スプリングの負荷方向とは反対方向である負荷方向においてプーリに摩擦係合するワンウェイクラッチスプリングとを備え、ワンウェイクラッチスプリングはハブに係合可能であり、これによりワンウェイクラッチスプリングのプーリに対する摩擦係合が、負荷軽減方向に徐々に解放され、ダンピング部材を介してハブに係合する慣性部材を備えるアイソレーティング・デカップラである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここに組み込まれ、明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、その記述とともに、本発明の原理を説明するために役立つ。
図1】本装置の正面図である。
図2】本装置の背面図である。
図3】本装置の分解図である。
図4】本装置の断面図である。
図5】ハブに連結されたラップスプリングを示す断面図である。
図6】クラッチキャリアの詳細図である。
図7】クラッチキャリアの詳細図である。
図8】捻り振動ダンパの詳細図である。
図9】ハブと捻りスプリングの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本装置の正面図である。本装置はハブ6と慣性部材2とプーリ24とを備える。ハブ6は本装置をエンジンのクランクシャフト(図示せず)に取付けるために使用可能である。ダンパ4はハブ6と慣性部材2の間に配設される。ダンパ4は、慣性部材の振動を減衰させるために適したエラストマ材料である。プーリ24は、例えばVベルトやマルチリブドベルトのような動力伝達ベルトに係合するために適した輪郭形状を有する。慣性ダンパ4はエンジンシリンダの発火によって引き起こされるクランクシャフトの振動を減衰させる。
【0012】
図2は本装置の背面図である。慣性部材2の直径はプーリ24の直径とほぼ同じであり、これにより本装置なコンパクトになる。
【0013】
図3は本装置の分解図である。ハブ6は外側円筒部61と径方向部62を備える。捻りスプリング18の一端180は径方向部62のストッパ65に係合する。捻りスプリング18の他端182はクラッチキャリア20に係合する。クラッチキャリア20はブッシュ22においてプーリ24に軸支される。ブッシュ22はプーリ24の内側円筒部240に係合する。
【0014】
ラップスプリング16の一端160はクラッチキャリア20に係合する。ラップスプリング16の他端161はハブ6に一時的に係合する。図5参照。スリーブ8は円筒部240に圧入される。円筒部240はブッシュ14を介してハブ6に軸支される。ラップスプリング16はコイルスプリングである。
【0015】
保持リング12はハブ6内において溝63に係合する。スラストワッシャ10はリング12に力を加え、これによりスリーブ8とプーリ24をハブ6内の所定位置に保持する。スリーブ8とプーリ24はブッシュ14を介してハブ6に軸支される。他の実施形態において、ブッシュ14は、公知のボール軸受、ニードル軸受、ローラ軸受、あるいは他の適当な軸受に置き換えることができる。
【0016】
キャリア20はブッシュ22とともに、プーリ部240の外径部に装着され、これらはスリーブ8によって所定の位置に保持される。キャリア20とブッシュ22はプーリ24に対して自由に回転できる。スリーブ8はプーリ部240に圧入される。スラストワッシャ10はスリーブ8と保持リング12の間に装着され、これによりプーリ24をハブ6に固定する。プーリ24は、保持リング12、スラストワッシャ10、保持リング12のためのハブ6内の溝63の間の間隙と、スリーブ8とプーリ部240の間の空間との大きさの分だけ、ハブ6に対して軸方向に変位可能である。
【0017】
ラップスプリング16は、端部160がタブ23に対して固定された状態で、キャリア20のハブ21の周りに巻回される。図6参照。ラップスプリング16は、ラップスプリング16をキャリア20のハブ21の周りに摺接するように固定するために2つまたは3つのコイルを用いる。ラップスプリング端部160とクラッチキャリア20は、接続のために、他の部分に対して変位可能ではない。ラップスプリング16は捻りスプリング18の径方向内側にあり、捻りスプリング18とハブ6の間に配置されている。ラップスプリング16は捻りスプリング18とプーリ24の間において径方向に配置される。
【0018】
クラッチキャリア20は捻りスプリング18を受容する。作動において、捻りスプリング18は巻き戻し方向に負荷をかけられ、これは、負荷を受けてコイルが径方向に広がる傾向にあることを意味する。ラップスプリング16は締りばめによってスリーブ8に取付けられ、すなわち、ラップスプリングの内径とスリーブの外径との間の径の差は寸法的に異なり、これは約0.3mmから0.5mmの干渉を引き起こす。スリーブ8の材料は、ロッキングおよびオーバーランニングモードにおいて、ラップスプリングを適切に支持するように選定される。
【0019】
図4は本装置の断面図である。トルクが、例えばエンジンのクランクシャフト(図示せず)によってハブ6に作用するとき、捻りスプリング18は巻き戻し方向に負荷をかけられ、これによりクラッチキャリア20を駆動する。巻き戻し方向への負荷は、捻りスプリングのコイルが拡大するので、捻りスプリング18が径方向に大きくなることを意味する。次に、クラッチキャリア20はラップスプリング16をスリーブ8の周りに巻き付ける。ラップスプリング16は捻りスプリングの反対方向に負荷をかけられ、すなわちラップスプリング16は巻取り方向に負荷をかけられる。巻取り方向への負荷は、コイルが負荷を受けるので、スプリング16が径方向に小さくなることを意味する。負荷が増加するにしたがって、ラップスプリング16は、スリーブ8の周囲におけるラップスプリングのコイルの連続的な係合によって引き起こされる摩擦係合を徐々に大きくすることによって、スリーブ8を把持する。ラップラップスリング16の把持は、スリーブ8、延いてはプーリ24を、ハブ6と一体的に回転させる。この動作状態において、負荷の変動によって多少の振動が生じるが、クラッチキャリア20とプーリ24の間には相対運動がほとんど、あるいは全くない。
【0020】
エンジンが減速するとき、クランクシャフトのスピードは遅くなり、プーリ24は一時的に、プーリ24に係合するベルトによって駆動されるベルト駆動システムの慣性により(ベルトシステムは図示されない)、ハブ6よりも速く回転する。減速状態では、プーリ24とスリーブ8は一時的に、ハブ6とラップスプリング16よりも速く回転する。これはラップスプリング16を巻き戻し、これによりラップスプリング16は直径が大きくなり、これはスリーブ8に対する摩擦的な把持を解放させる。これによりプーリ24は一時的にハブ6よりもオーバーランする。オーバーラン状態では、ブッシュ14、スラストワッシャ10およびブッシュ22は全て、いくらかの相対運動をする。
【0021】
図5はハブに接続するラップスプリングを示す断面図である。作動において捻りスプリング18に作用する負荷トルクが所定の大きさを越えると、ハブ6はプーリ24に対して相対的に角度方向に進行し続ける。その動作において、ラップスプリング溝64の端部66はラップスプリング16の端部161に接触する(図5)。この接触によりラップスプリング16は、負荷が増加するので、部分的に巻き戻し、これによりラップスプリング16の直径を部分的に拡大する。ラップスプリング16の部分的な巻き戻しは、例えば極端なエンジン加速のように、入力トルクが増加したとき、スリーブ8とプーリ24との摩擦的な係合力(把持力)を徐々に解放する。ラップスプリング16の把持力の部分的な解放は、ハブ6をプーリ24に対して部分的にオーバーランさせ、これにより過大なトルクは少しずつ小さくなる。これは、さらなる負荷を制限し、これにより、本装置と本装置によって駆動される要素とを、過負荷状態から受ける可能性のある損傷から保護する。
【0022】
図6はクラッチキャリアの詳細図である。クラッチキャリア20は捻りスプリング18の渦巻き部分を支持する部分25a、25b、25cを備える。各部分25a、25b、25cは、ラップスプリングの螺旋形状を支持するために、クラッチキャリアに対して相対的に異なる高さを有する。ラップスプリング16の端部160は部材23に係合する。部分25cもまた、捻りスプリングのストッパとして機能する。捻りスプリングの端部182は作動中、捻りスプリングのストッパ25cに押し当たる。
【0023】
図7はクラッチキャリアの詳細図である。捻りスプリング18の端部182は駆動状態においてストッパ25cに係合する。ラップスプリング16の端部160は部材23に係合する。
【0024】
図8は捻り振動ダンパの詳細図である。破片通路200は破片を、ダンパ2とプーリ24の間を通って本装置から排出させる。通路200の迷路形状は、破片がダンパとプーリの間の空間に侵入することを妨げる。
【0025】
図9はハブと捻りスプリングの詳細図である。捻りスプリング18の端部180はハブ6においてストッパ65に係合する。作動中、捻りスプリング18は巻き戻し方向に負荷をかけられ、これにより端部180はストッパ65に押し当たる。
【0026】
本装置の利点は、プーリがラップスプリングに連結され、軸受の支持部材と慣性部材が本装置の中に配置されることを含む。本発明のさらなる利点は、ラップスプリング16が巻き戻し方向に負荷をかけられるラップスプリングと比較して実質的に高い負荷に耐えることができることである。例えば、米国特許第7,591,357号明細書に開示されたラップスプリングは、ラップスプリングが圧縮状態(巻き戻し方向)において形状と形態を維持するように、材料の強度や剛性に基づいて選定されなければならない。ある負荷において適切に設計されていなければ、従来技術のラップスプリングは「座屈」しうる。一方、本発明のラップスプリングは、実質的に高い応力を与える負荷状態において張力を受けるだけである。
【0027】
本発明の一形態を説明したが、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と関連した部分を変形することは当業者にとって自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9