(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体本体が360度回転することが、前記スタイレットを、前記基準マーカ針の前記遠位端からの所定の数の基準マーカの留置に対応する所定の増分だけ遠位方向に移動させるのに有効である、請求項14に記載の医療機器のためのハンドル。
【背景技術】
【0003】
医療処置には、患者の体内で標的領域の位置を特定し、そこを治療することが必要となる場合が多い。焦点を絞った放射線治療では、高精度に標的の位置を特定し、標的周辺の正常組織への損傷を限定する必要がある。放射線腫瘍学においては、標的の正確な位置を知り、または推定することが特に重要であり、これは、すでに癌により消耗している患者の体内の隣接部位の放射線曝露を制限することが望ましいからである。しかしながら、放射線治療か否かを問わず、すべての治療処置において、治療対象利用域に正確に標的を絞れることが最も望ましい。
【0004】
多くの用途において、何らかの方法で作用を加える必要のある標的またはその一部(例えば、癌性腫瘍、嚢胞、仮性嚢胞、またはその他の標的)を直接見ることは不可能である。一例として、肺また膵臓腫瘍を放射線で治療する場合、患者の体内の実際の腫瘍を放射線治療直前に見ることは不可能であろう。したがって、腫瘍の位置を正確に特定し、放射線治療を腫瘍に集中させて行い、同時に正常組織への損傷を回避できるようにする何らかの機構を有することが非常に有利である。
【0005】
CAT(コンピュータ援用トモグラフィ)スキャン、MRI(磁気共鳴画像検査)、X線、超音波、またはその他の技術を使って可視化可能な標的領域であっても、治療の焦点を絞ることにおいては問題が生じる。これは特に、患者の胴体および軟部組織領域内の標的領域に当てはまる。軟部組織領域内の組織の可動性(例えば、呼吸および/または消化中の内蔵の動き、体位を変えた場合の胸部組織の動き、その他)により、標的領域が解剖学的目印および/またはこれらの可視化手順の1つで患者の体の外表面に設置可能なマークに対して固定されたままでいない場合がある。
【0006】
この問題に対処するために、いくつかの技術が開発されてきた。このような技術の1つが、患者の体内の標的領域の周縁に沿ってマーカを設置することである。これらのマーカは、能動的でも(例えば、治療の標的を絞るのに有益なある種の信号を発する)または受動的でも(例えば、超音波、X線、その他の標的特定技術の下での標的特定に使用可能な、治療機器に含めることのできる、基準マーカ(fiducial)と呼ばれる非強磁性金属マーカ)よい。
【0007】
基準マーカは典型的にX線不透過材料で形成され、それにより、基準マーカをX線検出による位置マーカとして使い、ある部位を標的とする機器で、有効にその標的の位置を特定し、治療することができる。典型的に、基準マーカは簡単な手術で患者の体内に挿入されてもよい。経皮的留置が最も一般的に利用される。しかしながら、近年、患者の内蔵の中に基準マーカを留置するための内視鏡による低侵襲的留置の使用が開発された。例えば、膵臓腫瘍の周縁に沿って基準マーカを経皮的に留置することは、複雑で苦痛を伴うものである可能性がある(針サイズが必然的に大きくなる肥満の患者の場合は特に)。患者の体内に経皮的に移植される物体を使用する別のプロセスは小線源療法である。小線源療法では、放射線源、すなわち「種」が腫瘍の中および/または付近に移植され、高線量の放射線が腫瘍に照射されるが、腫瘍周辺の正常組織には照射されない。
【0008】
図1Aおよび1Bは、小線源療法用の種または基準マーカの留置に有益な先行技術の2部式イントロデューサ100の縦断面図を示している。まず、
図1Aを参照すると、イントロデューサ100は針102と、針102の内部に摺動可能に配置されたスタイレット104と、を含む。スタイレット104は、第一のハンドル101と、鈍先端106と、を含む。針102は、第二のハンドル103と、第二のハンドル103を通って延びるベベルチップカニューレ108と、を含む。カニューレ108は、種/基準マーカ110を保持するように構成されている。カニューレ108は、種/基準マーカ110を患者の体内に経皮的に移植するように構成された先端105有する。
【0009】
「装填済み構成」では、種/基準マーカ110は、カニューレ108の中に、ボーンワックスまたはその他の適当な生体適合材料から製作されたプラグ112により保持される。これは典型的に、「前装」方式により実現され、基準マーカが針の遠位側の中にセットされてから、その位置にボーンワックスプラグによって保持される。これにより、いくつかの課題が生じる可能性があり、それは、ボーンワックスプラグ112が患者の体内でアーチファクトとして見えてしまうことがあり、それが体内構造または治療機器の鮮明な可視化の障害となりうるからである。このような構成では、種/基準マーカ110を送達するたびにカニューレ108を抜いて再装填しなければならない。基準マーカのための標的箇所が大きく離れている場合、1つの経皮的イントロデューサカニューレ/トロカールをカニューレ108の複数の導入個所に使用することは不可能な場合がある。このような状況では、患者は何度も経皮的穿刺(およびそのたびに増大する付随的感染リスク)に耐えなければならない。
【0010】
種/基準マーカ110の所望の装置を患者の体内の標的箇所に移植するために、オペレータはカニューレ108を第一の方向(矢印A)に押して、先端105を患者の体内に挿入する(典型的には蛍光顕微鏡での可視化方式)による。オペレータは次に、第二のハンドル103をさらに第一の方向に押し、先端105を種/基準マーカ110を移植先となる患者の体内の所望の深さに位置付ける。この動作を通じて、オペレータは針102とスタイレット104を単体として一緒に移動させる。所望の深さ/位置において、オペレータは第一のハンドル101を片方の手で、第二のハンドル103を反対の手で持つ。すると、オペレータは第一のハンドル101を動かないように保持しながら、第二のハンドル103を第二の方向(矢印B)に、第一のハンドル101に向かって後方にスライドさせる。
図1Bに示されるように、このように移動させることにより、カニューレ108は種/基準マーカ110の周囲で引き戻され、それを患者の体内に移植する。あるいは、オペレータは、第一のハンドル101を第一の方向(矢印A)に移動させ、それと同時に、第二のハンドル103を第二の方向(矢印B)に戻すようにスライドさせてもよい。これによって、スタイレット104は種110をカニューレ108の外に押し出す。その後、この手順を繰り返して、他の種/基準マーカ110が配置される。放射線療法の標的特定のために使用される場合、典型的には少なくとも3つの基準マーカが必要である。
【0011】
開示されている構造からわかるように、1つの基準マーカを留置した後に、上記の代わりに、イントロデューサ100に近位端から最装填してもよく、これは、スタイレット104を完全に引き抜き、その後、別の基準マーカを針ルーメンの中にセットし、その中でそれを、針遠位端105がすでに案内されている第二の位置まで進めることによって行われる(「後装」方式)。基準マーカ標的部位がこの方式を用いるのに十分に相互に近い距離にあれば、これは経皮的穿刺の数または、複数の基準マーカをセットするために必要なその他のアクセス手順を減らすことができる。しかしながら、これは、超音波が使用されているか、その後すぐに使用される予定であるような処置については問題が生じ、それは、組織および関連する流体の中にエアポケットが取り込まれるからである。このようなエアポケットは組織および/または流体とともにエコー源性であり、標的領域および/またはその領域の中/周囲の診断または治療に使用されている道具の超音波可視化を妨害しうる。小線源療法の技術の中には、一連の基準マーカが、別々に、または縫合糸または類似の手段によって接続されて、針の中に事前に装填され、その後、かなり接近して一緒に留置できる方式があるが、このような技術は典型的に、3つまたはそれ以上の基準マーカを、例えば腫瘍の周縁に関して治療の標的を特定するために使用するのに十分に離れた位置に留置するには有効でない。これはまた、基準マーカの保持において遠位側のプラグに依存し、その後自由に解放される複数基準マーカシステムにも当てはまり、それと対照的に、本発明によるシステムでは、制御しながら連続的に放出されるように構成される(例えば、1回に1つ、1回に2つ、またはその他、保持し、放出する基準マーカの数を使用者が制御)。
【0012】
このプロセスは、ごく最近開発された方法で内視鏡下で実行されるときも、針とスタイレットが、内視鏡の作業チャネルを通じて使用するものとして当該技術分野で知られている種類のものである点を除き、同様である。現在の内視鏡技術の1つの限界は、導入可能な基準マーカの大きさである。内視鏡作業経路の大きさに限界があることにより、内視鏡から体内標的へと進めている間に針(内部スタイレットまたはその他の支持部を持たない)を折り曲げ、押し曲げ、湾曲させ、またはその他の方法で損傷を与えるリスクを伴わずに典型的に使用可能な最大の針は19ゲージ針である。これによって現在の円筒形の基準マーカを使った場合に、針ルーメン内に導入可能な基準マーカの大きさが限られる。内視鏡法には一般に、上述のものと同じ再充填の問題が伴う。外部経皮穿刺は問題ではないが、引き抜き、再装填しなければならないことは、貴重な時間をとり、手順を複雑にし、「後装」のためにスタイレットだけが引き抜かれるか、「前装」のために装置全体が引き抜かれるかを問わず、追加の人員が必要となる可能性がある。
【0013】
基準マーカのナビゲーションと留置には、超音波、および特に内視鏡超音波(endoscopic ultrasound)(EUS)を使用することが望ましいであろう。そのため、その大きさとエコー源性プロファイルに基づいて改善されたエコー源性を提供する、できるだけ大きい基準マーカを提供し、使用することが望ましいであろう。各基準マーカを留置した後に手作業で再装填しなければならないのではなく、制御された連続的な方法で(1回に1つ、または他の所定の数)で導入可能な複数の基準マーカを針内に提供することが望ましいであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「近位」および「遠位」という用語は、本明細書において、これらがそれぞれ機器または関連する物体のハンドル/医師側端と、機器または関連する物体のツール/患者側端を指す、一般的に使用される意味で用いられている。
【0017】
本願の実施形態には、基準マーカおよび針の各種の構成を使用してもよく、これにはDucharmeらへの特許出願公開第2010/0280367号明細書、同第2011/0152611号明細書、McHugoらへの同第2013/0006101号明細書、Lavelleらへの同第2013/0006286号明細書、およびMurrayらへの同第2013/0096427号明細書に記載されているものが含まれ、これらの各々の全体を参照によって本願に援用する。
図2A〜2Cに関して示されている基準マーカ400の1つの実施形態は略柱状の本体を有し、これは断面が略円形形状の略円筒形状である。本体の縦方向面には、それが超音波を反射する能力を向上させ、所望のエコー強度プロファイルを提供するように窪みが施されていてもよい。この窪みの特徴は、あるいは、異なる不規則的な、パターン付の、または凹凸のある表面特徴(例えば、ぎざぎざまたはリブ状)として実施されてもよく、これが基準マーカ400のエコー源性を改善させることができ、これはEUSにより案内される留置中にそれを可視化するのに役立ち、1つまたは複数の基準マーカ400によりマークされる標的部位(例えば、腫瘍)を超音波により可視化するためにそれを使用することが可能となる。
【0018】
このような基準マーカ400は好ましくは、例えば金、プラチナ、パラジウム、イリジウム、またはその合金等の放射線不透過非強磁性材料で形成され、1つの好ましい実施形態はパラジウムとレニウムの合金を含む(その利点としては、望ましい放射線不透過性、金より市販価格が安定していること、および密度による超音波−反射性/エコー源性が含まれていてもよい)。放射線不透過性によって、基準マーカを蛍光顕微鏡による留置方式で使用することが可能となるだけでなく、1つまたは複数の基準マーカの位置が分かっていることが望ましい場合がある治療または他の処置の中で、X線を用いる手段によって検出可能/可視化可能とすることができる。非強磁性であることにより、例えばMRI等、磁場を使用する可視化技術またはその他の処置によって基準マーカの向きが変わるか、またはその他の方法でずれるような可能性が低くなる。基準マーカまたは針のエコー源性構成は、表面テクスチャにより向上する場合があるが、その周辺物質とは異なる超音波反射性を提供する、埋め込まれた気泡またはビーズなどの構造包含物によっても提供されうる。基準マーカはまた、X線撮影中の後方散乱を軽減させるように構成された材料(例えば、パリレン)でコーティングされてもよい。
【0019】
好ましい実施形態において、基準マーカ400は、針ルーメンの中を通過させ、そこから放出されるように構成され、そのような大きさとされる。内視鏡装置付システムでは、基準マーカ本体402(突起を含まない)は針ルーメンの内径(ID)と略同じまたはそれより小さい外径(OD)を有することが好ましいが、基準マーカ本体のODは、針のIDより大きくないことが好ましい。本明細書で使用されるかぎり、基準マーカのODとは、その最も外側の境界が針ルーメンのID内にすべて適合する仮想上の円(またはその他の幾何学形状)を指す。換言すれば、基準マーカが、スロット内に突出する突起を除き、針ルーメンの中にスライド可能に適合する大きさであることが好ましい。
【0020】
本体部分が突起の遠位側において、より長いことは、針を通して留置する間に、この第二の基準マーカ遠位側にある第一の基準マーカが針から完全に出てから、第二の基準マーカが次に留置可能な位置になるのを確実にするのに役立つことができ、このことは
図7〜8Dに関して後に明らかにされる。したがって、多くの好ましい実施形態において、(第二および後続の基準マーカの)基準マーカ突起は、その遠位端よりその近位端に近く、それによって基準マーカ本体遠位部分が十分に遠位側に突出し、基準マーカ本体遠位部分がそれに先行する第一の基準マーカを前進させて、第二の基準マーカが次に留置される位置に来るまでに針ルーメンから完全に出るようにする(
図4A〜4C、7〜8D、およびそれに対応する説明文を参照のこと)。理解すべき点として、基準マーカ中央部分402と突起408のすべての表面が略平滑であったとしても、基準マーカ400を形成するのに好ましい材料と突起408の存在が、患者の体内で位置を特定し、および/またはナビゲートするのに十分な解像度で超音波により容易に可視化できるような所望のエコー源性プロファイルを提供できることがある。
【0021】
基準マーカ400は、その近位および遠位端断面に沿って略円形の横断面を有する塊として形成された略円筒形の本体402を有する。突起408は、基準マーカ本体402の縦方向の円周面406から突出する。上から見ると、突起408は略楕円形である。不規則形状および(プラグで端が止められたシステムおよび/またはルーメンに入り込むある種の爪を有するシステムで使用される典型的な円筒形基準マーカと比較して)より大きな表面積は好ましいことに、一部に、好ましいことにその組成によって既に高い基準マーカのエコー源性を向上させる。
【0022】
突起408は突起端面407を含み、これは本体402の外面406につながる、斜角面を有し、面取りされ、およびアールのついた移行部のうちの1つまたは複数を提供してもよい。本体402は、突起408を除き、略直円柱である。この実施形態において、突起408は丸く、基準マーカ本体の縦中心軸に実質的に平行であり、これは本体402の長さの約半分であり、本体の長さに中心が合わされている。好ましい実施形態において、基準マーカ400は、針ルーメンの中を通り、そこから放出されるように構成され、そのような大きさである。内視鏡送達システムの場合、基準マーカ本体の(突起を除く)外径(OD)は、針ルーメンの内径(ID)と略同じまたはそれより小さいことが好ましいが、基準マーカ本体のODは針IDを超えないことが好ましい。突起408は、針スロットと係合し、そこに嵌ってそれに沿って移動する。
【0023】
1つの例示的実施形態の寸法も、
図2A〜2Cに関して説明する。1つの例示的実施形態において、本体402は、長さ約0.12インチ(3.05mm)、OD約0.034インチ(0.86mm)である。突起408は、長さ約0.06インチ(1.5mm)であり、本体の中心線に沿って整列される。突起408は本体402のODを約0.008インチ(0.2mm)超え、幅約0.011インチ(0.28mm)である。これらの測定値と比率は、他の実施形態では異なっていてもよく、それも本願で特許請求されている内容の範囲を逸脱しない。例えば、突起は、より遠位側または近位側に位置付けられてもよく、中心線に対して、それが本体の外面の周囲で螺旋状になるような角度であってもよい。
【0024】
図2Cは、
図2Aの線2C−2Cに沿って切断した横断面の端面図を示す。これは、本願のシステムの基準マーカ本体と突起の全体的な比率の1つの実施形態を示す。
【0025】
図3は、基準マーカ導入針800のある実施形態を示す。針800は、ベベル遠位端802を有するように描かれている。その管状カニューレ本体804は、カニューレ804の遠位端領域に沿って縦方向の針スロット806を含む。スロット806は好ましくは、少なくとも1つの爪表面を含む少なくとも1つの爪、より好ましくは2つの爪を含む。スロット806は、カニューレ804の壁を貫通して開放しているように示されているが、理解すべき点として、スロットは針壁の厚さより浅く、溝として実施されてもよいことがある。
【0026】
図3の実施形態において、爪はスロット806の、2つのタブ808に間の狭小部807として形成されている。タブ808は略台形であるが、他の実施形態では別の形状を有していてもよい。
図3Aに示されるように、特定の好ましい実施形態において、タブ808は遠位側ベベルに直に隣接するように位置付けられていてもよい(例えば、基準マーカが前進してそこを通過し、針から出て、それと同時に、留置された基準マーカが針遠位端のベベル部との重複したままになるのを最小限にするため)。針スロット806の縁806a、タブ近位縁808a、タブ中央縁808b、およびタブ遠位縁808cの間の移行部の各々は、角ばっていても(例えば、斜角面または面取り部)、丸みが付けられていても(例えば、アールが付けられて)いてもよい。タブ808は、好ましくは、スロット806の遠位端付近にある。
【0027】
カニューレ本体壁804は略円周方向に針ルーメン810を画定し、これは例えば、基準マーカ(例えば、
図2A〜2Cに示されているもの、針ルーメン810の中を、好ましくはタブ808により基準マーカを制御可能に保持しながら、容易に通過できるようなその他)が容易に通過できるように構成される。針は、ニッケルチタン合金、コバルトクロム(CoCr)合金、ステンレス鋼、または他のあらゆる適当な材料から構成されてもよい。その先端は、図のべベル形状とは異なる形状を有していてもよい。ある代替的実施形態において、タブ808は、これらが強制的に上方および/または外側により大きく曲がり、基準マーカ上の突起が通過できるように付き合わされていてもよい。また、針の外面には、改善されたエコー源性を提供するために、窪みまたはその他の凹凸が設けられていてもよい。
【0028】
ある例示的な針の実施形態についても、
図3に関して説明するが、この例示的な針の実施形態は、
図2A〜2Cに関して上で説明した基準マーカの例示的実施形態と使用するように構成され、そのような寸法とされてもよい。このような針の1つの例示的実施形態において、針ルーメンのIDは少なくとも0.034インチ(0.86mm)である。針のODは約0.042インチ(1.07mm、約19ゲージ)、壁厚は約0.008インチ(0.2mm)である。タブの近位側のスロット部分は、幅約0,02インチ(0.5mm)、長さ約0.42インチ(約10.7mm)である。タブの各々は、スロットの縁から約0.06インチ(0.15mm)だけ外まで延び、その、スロットに面する縁は、長さ約0.02インチ(0.5mm)である(スロットの縁からの近位および遠位側の斜めの移行部は含まず、これらは約0.005インチ(0.13mm)のアールが付けられている)。これらの測定値と比率は、図示されているもの含め、他の実施形態において異なっていてもよく、それも本願で特許請求されるものの範囲を逸脱しない。例えば、スロット、タブ、および基準マーカの具体的な寸法は、柔軟性と堅さとの所望のバランスを有するほか、針遠位端のベベルが約30°、スロット幅約0.014インチ(約0.36mm)、スロットタブがスロットを横切って約0.006インチ(約0.15mm)だけ離間され、針の外面に沿って、スロットの少なくとも遠位側長さに隣接し、それと略平行に配置された、エコー源性を強化するための表面窪みを含む22ゲージ針で使用するように構成されてもよい。
【0029】
基準マーカ留置システム1000の遠位端部分を、外面図である
図4、上述の針800および基準マーカ400を使用している、
図4の4A−4Aに沿って切断した縦断面図である
図4A、および
図4Aの4B−4Bに沿って切断した横断面図を示す
図4Bを参照しながら説明する。システム1000は、柔軟な長尺状針シース1002を含む。針800は、より柔軟な本体近位部分820を含み、シースルーメン1004の中に延びる。ここでは複数の基準マーカ400として示されている少なくとも1つの基準マーカ400が、針のカニューレ本体の針ルーメン810の遠位領域でスライド可能、取り外し可能に配置される。本体の縦方向中央部分402は、針ルーメン810の内径を実質的に占有する。各基準マーカ400の突起408の高さは、その中に突起408が突出するスロット806を含む針壁の厚さと同じとすることができる。
【0030】
最も遠位側の基準マーカ400の突起408は、針800のタブ808に当たって捕捉される。押し棒として使用するように構成されたスタイレット1006が、針ルーメン810の一部に配置され、好ましくは、近位端から作動されるように構成され、それによって、基準マーカを遠位方向に前進させ/押し出し、および/または針がそれらの周囲から引き抜かれる際にそれらを所定の位置に保持するためにこれを使用できる。針800の中に基準マーカとスタイレットが存在することは、好ましくは、その長軸方向の強度を増大させ、それが内視鏡の作業チャネル(図示せず)を通じて、その遠位端から出るように案内されている際に、それが曲がり、押し曲げられ、またはそれ以外に損傷を受ける可能性を低減させる。
【0031】
図4Bは、針800(
図3と同様)および基準マーカ400(
図2A〜2Cと同様)の一部の横断面の端面図を示す。この図は、針ルーメン810に関する基準マーカ本体と針スロット806に関する突起408の好ましい精密公差と好ましい向きを示す。
【0032】
1つまたは複数の基準マーカを前進させ、放出するために、いくつかの異なるハンドルの実施形態を使用してもよい。特定のハンドルの実施形態を
図4〜4Bおよび5A〜5Cに関して後述する構造と方法も参照しながら、
図7〜8Dに関して以下に説明する。
【0033】
図4〜4Bの基準マーカ留置針の使用方法を
図4〜4Bにより詳しく示されている構造に関して、
図5A〜5Cを参照しながら説明する。好ましい使用方法において、作業チャネル1102を含む内視鏡1100が提供される。1つの好ましい方法において、内視鏡は、超音波画像撮影のように構成された遠位側超音波アレイ1104を含むEUS内視鏡である。内視鏡1100は、ビデオ要素1106(例えば、CCD、光学カメラ、または光学視覚化のためのその他の手段)も含んでいることが好ましい。以下の方法は、患者の膵臓1150の腫瘍1152の縁に基準マーカ400を設置することに関して説明され、針本体は、患者の消化管を通って標的部位まで経口的に案内するのに十分な長さと操縦可能性(例えば、押し込み性と柔軟性)を有し、これには、胃内視鏡、大腸内視鏡、肛門内視鏡、またはその他の可視化/処置支援機器等の内視鏡の作業チャネルを介してそのように行うことが含まれる。
【0034】
内視鏡1100は
図5Aにおいて、患者の十二指腸1140を通って、その遠位端部分がオディ括約筋1142に隣接するまで案内されているように示され、これが総胆管1144へのアクセスを提供し、そこから膵管1146が分岐し、膵臓1150に至る。
【0035】
図5Aに示されるように、シース1002は十二指腸の壁まで進められており、針800はその中をすでに貫通し、膵管1146の付近を、膵臓1150の腫瘍1152に隣接する位置まで延びている。
図5Bに示されるように、針800は腫瘍1152の縁にある第一の標的部位へと案内される(好ましくは超音波による案内に基づくが、蛍光顕微鏡または他の可視化技術をその代わりに、その補足として、および/またはその検証のために使用できる)。針800の遠位端802が第一の標的に位置付けられると、その中の最も遠位側の基準マーカ400が留置される。1つの態様において、留置は、針遠位端802とその中の基準マーカ400を第一の標的に位置付け、その後、スタイレット1006の位置を保持しながら針800を後退させて、基準マーカが所望の第一の位置の中に留まるようにすることによって遂行されてもよい。他の実施形態において、留置は、針遠位端802とその中の基準マーカ400を第一の標的に隣接して位置付け、その後、スタイレット1006を前進させながら、針800をその位置に保持し、基準マーカ400を所望の第一の標的位置へと前進させることによって遂行されてもよい。
【0036】
図4〜4Bに示されるように、針800と基準マーカ400の構造からわかるように、使用者は好ましくは、基準マーカを1回に1つ前進させ/留置するように制御でき、それによって、複数の基準マーカを(スペーサを使用せずに)連続的に、ただし個別に独立して異なる位置へと案内してもよい。次に、基準マーカ400は、「次回留置可能」位置にあり、その突起遠位面408aがタブ近位縁808aに当たり、それと係合する。この基準マーカ400を留置するために、使用者は、突起408をタブ808の間を通して前進させるに十分な力で、スタイレット1006または針800のうちの一方を他方に対して移動させなければならない。
【0037】
使用者は、好ましくは、突起408がタブ808を通過する際に抵抗を触覚で感じ、この抵抗は、突起がタブを通過するとすぐに小さくなる。次に、使用者は、好ましくは、スタイレットと針の相対移動を、再び抵抗を感じるまで続け、これは最も遠位側のものの背後にある次の基準マーカがタブの近位縁808aに当たったことを示す。
【0038】
多くの場合好ましいのは、基準マーカ(およびその上の突起)の比率が、最も遠位側の基準マーカが完全に留置されたというとき、それが実質的に針遠位端802を通過しており、次に最も遠位端の基準マーカの突起がタブ近位縁808aと当たるのと一致することである。そのため、基準マーカのいくつかの実施形態においては、突起を基準マーカ本体の、より近位側に位置付けて、基マーカ本体の、突起より遠位側部分が、本体の、突起より近位側部分より長くすることが有利である場合がある。理解すべき点として、本発明の原理に沿ったほとんどすべての基準マーカの実施形態の突起を近位端の付近に、基準マーカ本体の近位端まで、それと平らになることを含めて、配置されてもよいことがある)。
図5Cは、所定の位置に設置された基準マーカを示しており、針は引き戻され、それから離れされている。
【0039】
次に、使用者は、針800をシース1002の中に、それを第二の標的部位まで再伸展させるのに十分な距離だけ引き戻してもよく、そこで上述の手順を繰り返すことができる。これらのステップは、第三、第四、およびそれ以降の基準マーカの留置のために繰り返されてもよい。当該技術分野で知られているように、これらの基準マーカは、放射線療法などの治療の「プラスターゲット」および/または「マイナスターゲット」として使用されてもよい(「プラスターゲット」は「ここを治療する」を意味し、「マイナスターゲット」は「ここを治療しない」を意味する)。本願のシステムには多数の利点がある。例えば、患者がすでに、位置が特定されたが診断が付けられていない組織腫瘤の生検のために内視鏡による処置を受けている場合を考える。内視鏡による生検を行い、直ちに組織スライドを準備できる。(入手可能で関連性のある他のあらゆるデータと共に)その組織腫瘤は基準マーカ留置が有効であることと診断された場合、医師は直ちに上述の方法で基準マーカを留置できる。
【0040】
蛍光顕微鏡をほとんど、またはまったく使用せずに直接/ビデオおよび超音波画像撮影を使った方法を実行できることは、患者の被爆量を最小化する点で(例えば、放射線治療を受けており、総被爆線量が治療および診断上、必要最小限にとどめることが望ましい場合)有利である。患者、医師、およびその他の治療/診断に関わる人員並びに治療を行う機関にとっての時間と費用上の利点も得られる可能性があり、これは、本発明の方法の利用によって、これらの実体のすべてが、2回目の内視鏡手順の予定を立て、実行し、および/または、上述のように先行技術において現在利用可能な、時間のかかる方法と材料を用いる当初の診断手順を延長する必要性がなくなる場合があるからである。また、理解すべき点として、本開示により教示を受けると、当業者は、本願で開示されている実施形態を経皮的な用途に利用し、および/または適合させてもよく、それも1つまたは複数の特許請求項の範囲から逸脱しないことがある。
【0041】
略円柱形またはそれ以外の一般的な規則的形状を有する基準マーカは、所望の位置に留置された後に移動する可能性があり、例えば、基準マーカにより範囲が定められる標的領域を何度も治療する過程で、これらが周囲の組織の状態の変化と共に移動する場合がある。移動を最小限にすることが有利である状況では、1つまたは複数の固定用突出部を含む基準マーカが使用されてもよい。
【0042】
図6A〜6Bは、基準マーカ留置システムに使用できるハンドルの実施形態1600を示す。ハンドル1600は、シース取付用ハンドル部材1602を含み、針取付用ハンドル部材1604がその近位端に、縦方向にスライド可能に取り付けられている。ハンドル部材1606(スコープ取付用に構成されていてもよい)は、シース取付用ハンドル部材1602の遠位端にスライド可能に取り付けられている。シース取付用ハンドル部材1602は針シース1612に取り付けられ、針取付用ハンドル部材1604は針1614(これは、本明細書で開示されている、または今後本開示の原理にしたがって開発される針の何れのように構成されてもよい)に取り付けられる。スコープ取付用ハンドル部材1606は、例えばねじ山付空洞1616を使って、内視鏡の作業チャネル(図示せず)の外面に、増加的に固定され、(他のハンドル構成要素に対して)縦方向に調整可能に取り付けられるように構成される。スコープ取付用ハンドル部材1606によって、使用者はシース1612が標準長さの内視鏡から延びる距離を決定でき、これは、その相対長さに対応する数字またはその他の表示手段1617と、調整可能な係合構造1618を含んでいてもよく、それによって使用者は、スコープ取付用ハンドル部材1606の長さを選択し、相応に係合させることができる。理解すべき点として、本願で説明され、特許請求されるハンドルの実施形態は、スコープ取付部材を含めなくても、本発明の範囲内で実施できることがある。
【0043】
シース取付用ハンドル部材1602は、数字の目盛り1608と、針取付用ハンドル部材1604の動きを限定し、針1614がシース1612から外に延びることのできる距離を選択するための方法を提供する調整可能なリング1609と、を含む。例示として、
図6Aに示される構成では、シースは内視鏡作業チャネルの遠位端開口部から外に5単位(例えば、インチ、cm)分延びることができ、針1614はシース1612の遠位端から少しも出ない。
図6Bに示される構成では、シースは内視鏡作業チャネルの遠位端開口部から外に3単位(例えば、インチ、cm)分延びることができ、針1614はシース1612の遠位端から外に最大6単位分延びることができるが、その現在の位置はシース1612の遠位端から外に約4単位分だけ延びている。
【0044】
スタイレット1610は、針1614のルーメンを通って延び、スタイレットキャップ1611がその近位端に固定されている。スタイレット1610は、
図6Aでは近位側に引き戻されているように示されており、
図6Bでは針1614の遠位端の外に延びている。スタイレット1610は、スタイレット1006について(
図4〜4Bに関して)説明したのと同じ方法で針ルーメンの中で遠位方向に手で進められてもよい。そのため、使用者はスタイレットを使って基準マーカを針1614の遠位端から押し出してもよい。この方法(例えば、
図4〜5Cに関する基準マーカの留置について上述した方法)が使用される場合、使用者は触覚によるフィードバックに頼って、基準マーカが何れかの爪を通過したか否かを判断してもよいが、これは、長いスタイレットの場合、特に爪が丸く、前進運動が比較的スムーズである場合、困難である場合がある。したがって、スタイレットの前進をよりよく制御できるようにするための、ハンドル1600に取り付けられる(それと一体化することを含む)ように構成された推進機構を提供することが有利である場合がある。
【0045】
図7〜7Eは、
図6A〜6Bのそれらと同様の基準マーカ留置システムのハンドルアセンブリ構成、またはその他のハンドル構成(例えば、Ducharmeらへの米国特許出願公開第2010/0280367号明細書および同第2011/0152611号明細書、McHugoらへの同第2013/0006101号明細書、Lavelleらへの同第2013/0006286号明細書、およびMurrayらへの同第2013/0096427号明細書において開示されているものを含む)に使用されてもよい推進機構の実施形態を示している。
図7〜7Eは、基準マーカ留置システムのためのねじ駆動式ハンドル構成要素1700を示している。この、およびその他の実施形態において、ハンドル構成要素1700は、ハンドルの近位端1605、例えば針取付用ハンドル部材1704に取り外し可能に、または永久的に取り付けられてもよく、これは、
図6A〜6Bに示されている針取付用ハンドル部材1604と同じであるか、または同様に動作してもよく、その場合、これが、スタイレットキャップ1611を案内し、および/または手で操作する代わりに、スタイレット(例えば、スタイレット1760または1610)を制御しなから前進させるための手段を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態において、ハンドル構成要素1700(これは、スコープ取付用に構成されてもよい)は、シース取付用ハンドル部材1602の近位端に取り外し可能またはスライド可能に取り付けられてもよく、針取付用ハンドル部材1604の代わりに使用されてもよい。シース取付用ハンドル部材1602は数字による表示手段1776と、針取付用ハンドル部材1704の移動を制限して、針がシースから外に出て延びることのできる距離を選択する方法を提供する調整可能なリング1609と、を含む。
【0047】
針取付用ハンドル部材1704は、中心縦軸と、ハンドルルーメンと、近位端と、を含み、画定する。針取付用ハンドル部材1704(これは、いくつかの実施形態において、針取付用ハンドル部材1604のように、ハンドルの近位端1605の代わりとされ、またはそれに取り付けられてもよい)は、針1714(これは、本明細書に開示されている、または本開示の原理に従って今後開発される針の何れかの方法で構成されてもよい)に取り付けられ、針は針取付用ハンドル部材1704とハンドルルーメンの少なくとも一部の中を通って、その中心縦軸に沿って、またはそれと略整列して延びる。針取付用ハンドル部材1704は針1714に、針コネクタ、例えば針取付用ハンドル部材1704の近位端に形成されるか、そこから横方向に突出していてもよいコネクタ1716によって取り付けられてもよい。針取付用ハンドル部材1704の少なくとも一部は、中心縦軸、筐体ルーメン、および内壁を含み画定する回転可能な筐体部材1706の少なくとも一部によって取り囲まれ、またはその中を縦方向に延びる。回転可能な筐体部材1706はまた、筐体の内壁上の螺旋状の溝または畝として形成される筐体ねじ山1706aを含み、それを画定する。
【0048】
いくつかの実施形態において、コネクタ1716は単独の一体型ハンドル部材の一部を形成してもよく、または針取付用ハンドル部材1704の遠位端に取り外し可能に取り付けられる個別の構成要素として形成されてもよい。他の実施形態において、コネクタ1716は針1714の近位端に取り付けられ、タブまたは爪1706b、例えば、回転可能な筐体部材1706の内壁の、縦方向に窪んだ部分として形成されるタブまたは爪1706bによって所定の位置に保持され、または保たれてもよいが、当業者であれば、針1714を回転可能な筐体部材1706および/または針取付用ハンドル部材1704に対して保持するためには、様々な手段を使用でき、それも本開示の範囲から逸脱しないことがわかるであろう。いくつかの実施形態において、回転可能な筐体部材1706の筐体ルーメンは実質的に中空で、針取付用ハンドル部材1704は、筐体ルーメンの中で近位方向に延びていてもよい。それに加えて、玉軸受またはその他の制御機構を筐体ルーメンの中に配置または提供して、回転摩擦を軽減し、基準マーカ留置中に針が回転しないようにしてもよい。
【0049】
スタイレット1760は、針取付用ハンドル部材1704の少なくとも一部の中で、その中心縦軸およびハンドルルーメンに沿って、またはそれと略整列して延びる。スタイレット1760は同様に、少なくとも部分的に針1714のルーメン内に延び、針1714の遠位端から1つまたは複数の基準マーカを留置するように動作可能である。スタイレット1760の近位端は、コネクタ1716の近位端に形成された開口部を通って延び、スタイレットねじ1720に取り付けられ、これは遠位端と、ネジの外側部分の螺旋状の溝または畝として形成されるねじ山1720aを画定する。ガイドバー1722はスタイレットねじ1720の遠位端に形成されるか、またはそこから実質的に近位方向に延びる。ガイドバー1722の少なくとも一部は、コネクタ1716の近位端に形成された第二の開口部を通り、また針取付用ハンドル部材1704の少なくとも一部の中で、その中心縦軸に沿って、またはそれと略整列して延び、それによってガイドバー1722とスタイレット1722は縦方向にスライド可能であり、基準マーカ留置中に、コネクタ1716と針取付用ハンドル部材1704に対して実質的に遠位方向に進められてもよい。
【0050】
開示されているこの構造により、当業者であれば使用方法がわかるであろう。
図7Aおよび7Cは、内部構成要素の図を示し、
図7Bおよび7Dはそれぞれ、この実施形態の内部構成要素の上から見た斜視図と縦方向の図を示す。基準マーカ留置またはその他のスタイレットの遠位方向への移動動作に対応するようにスタイレット1760を遠位方向に進めるために(例えば、
図5B〜5C参照)、回転可能なハンドル部材1706は、使用者によって針取付用ハンドル部材1704に対して横方向に操作または回転されてもよい。使用者が回転可能ハンドル部材1706の筐体を回転させると、筐体の内壁に形成された螺旋筐体ねじ山1706aはスタイレットねじ1720の外側部分に形成された螺旋ねじ山1720aと係合する。回転可能筐体とスタイレットねじの両方の螺旋ねじの角度とバイアスにより、使用者により加えられた回転力が線形力に変換され、それによってスタイレットねじ1720が回転可能ハンドル部材1706および針取付用ハンドル部材1704に関い実質的に遠位方向に進められ、または駆動される。
【0051】
回転可能ハンドル部材1706が使用者の操作によって回転している間に、スタイレットねじ1720に取り付けられたガイドバー1722は、安定力を提供して、スタイレットねじが針取付用ハンドル部材1704に対して横方向に回転するのを防止するが、当業者であれば、スタイレットねじ1720が回転可能な筐体部材1706および/または針取付用ハンドル部材1704に対して回転しないようにすることは、様々な方法で実現されてもよく、これも本開示の範囲を越えない。スタイレットねじ1720の回転が阻止されると、筐体の回転力は効率的に直線力に変換されて、スタイレット1760とガイドバー1722を、コネクタ1716の近位端の開口部を通じて遠位方向に前進させる。スタイレット1760は、ハンドルルーメンの中で、その中心縦軸に沿って、またはそれと略整列して遠位方向に進められる。回転可能な筐体部材1706に制御された量の回転を加えると、スタイレットが、消化管内の標的部位(例えば、肝臓、膵臓)の中またはその付近、または(患者の自然の開口、例えば口、肛門、膣等を通じて導入された低侵襲性内視鏡を使って)内視鏡がアクセス可能なその他の箇所に設置されていてもよい針1714の遠位端に沿って前進し、1つまたは複数の基準マーカを針1714の遠位端から留置するのに必要な距離は、一部に、ハンドル部材1606およびシース取付用ハンドル部材1602の構成に依存し、これについては
図6Aおよび6Bに関してさらに説明されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、所定の数の基準マーカ(例えば、1つの基準マーカまたは2つの基準マーカ)の回転量(例えば、360度丸1回転)に対応してもよい。必要な回転が完了すると、スタイレット1760は遠位方向に、針1614の遠位端に向かって、所望の数の基準マーカを留置するのに十分な距離だけ前進している。いくつかの構成において、スタイレットは1つまたは複数の基準マーカを留置するのに十分な距離だけ移動しているが、少なくとも部分的に、針1614の中に留まってもよく、1つまたは複数のまた別の基準マーカが留置できるように針1614の中に配置されていてもよい。この場合、後続の基準マーカの数は、筐体部材1706をさらに、連続的に回転させることによって連続的に留置されてもよい。
図6Aおよび6Bに関して説明したものと同様の方法で基準マーカの留置を行うために、シース取付用ハンドル部材1602と針取付用ハンドル部材1704のその他の構成もまた使用されてよい。1つの態様において、他の増加的な(例えば、1回に1つ、または「1回に制御された複数」の)基準マーカ留置システムのための機構が代替的設計として考えられてもよく、その中では、スタイレットの前進および/または露出している数字による表示手段の変更に対応する各操作が所定の数の基準マーカの留置に対応し、これは例えば、その全体が参照によって本願に援用されるClancyらへの米国特許出願公開第2014/0243844号明細書の
図7A〜7Cに示されている。当業者であれば、本願の図面と説明を参照して、制御された基準マーカ送達(1回に1つ、または制御された所定の複数)のために本願の実施形態をどのように操作するかを理解するであろう。
【0053】
図8は、基準マーカ留置システムのための第二のねじ駆動式ハンドル構成要素1850の外面図を示す。この、およびその他の実施形態において、第二のハンドル構成要素1800は、
図6A〜6Bに示されているようなハンドルの近位端1605に取り外し可能また永久的に取り付けられてもよく、これは、スタイラスキャップ1611を直接および/または手で操作する代わりに、スタイレット(例えば、スタイレット1610)を制御しながら進めるための手段を提供する。いくつかの実施形態において、第二のハンドル構成要素1800(これは、スコープ取付用に構成されていてもよい)は、シース取付用ハンドル部材1602の近位端に取り外し可能またはスライド可能に取り付けられてもよく、針取付用ハンドル部材1604の代わりに使用されてもよい。シース取付用ハンドル部材1602は、数字の表示手段1608と、針取付用ハンドル部材1804の移動を限定し、針が針シース1622等の針シースから出て延びることのできる距離を選択する方法を提供する調整可能なリング1609と、を含む。
【0054】
図8A〜8Dは、基準マーカ留置システムのための推進機構の第二の実施形態の内部構成要素の図、2つの断面図、および内部構成要素の上から見た斜視図を示す。第二のハンドル構成要素1800は、針取付用ハンドル部材1804を含み、これは中心縦軸と、ハンドルルーメンと、近位端と、を含み、それらを画定する。針取付用ハンドル部材1804は針1814(これは本明細書において開示されている針または本開示の原理に従って今後開発される針の何れの方法で構成されていてもよい)に取り付けられ、これは針取付用ハンドル部材1804およびハンドルルーメンの少なくとも一部の中でその中心縦軸に沿って、または実質的にそれと整列して延びる。針取付用ハンドル部材1804は針1814に、ハンドル部材の横方向に突出する部分1804aによって取り付けられていてもよく、これは針取付用ハンドル部材1804の近位端上にまたはそこに形成されていてもよく、ハンドルの近位端の開口部を画定してもよい。いくつかの実施形態において、針は、1つの一体のハンドル部材の近位端に形成された、横方向に突出する区間または部分に取り付けられてもよい。他の実施形態において、針は、ハンドル部材1804に取り外し可能に取り付けられたコネクタプレートによって接続されてもよい。
【0055】
それに加えて、第二のハンドル構成要素1800はまた、回転可能な筐体部分1806も含み、これは中心縦軸、筐体ルーメン、および内壁を含み、これらを画定する。針取付用ハンドル部材1804の少なくとも一部は、回転可能筐体部分1806により取り囲まれ、これは筐体の内壁上の螺旋状の溝または畝として形成される筐体ねじ山1806aと筐体の遠位端に形成された横方向に突出する縁1806bを含み、これらを画定する。
図8Bに示される実施形態において、ハンドル部材の横方向に突出する部分1804aは、回転可能筐体部分1806の横方向に突出する部分1806bと係合して、回転可能筐体が針取付用ハンドル部材1804の近位端において所定の位置に保持される。
【0056】
スタイレット1860は、針取付用ハンドル部材1804の少なくとも一部を通って、その中心縦軸とハンドルルーメンに沿って、それと略整列して延びる。スタイレット1860は同様に、少なくとも部分的に針1814のルーメンの中に延び、1つまたは複数の基準マーカを針1814の遠位端から留置するように動作可能である。スタイレット1860の近位端は、針取付用ハンドル部材1804の近位端に形成された開口部を通って延び、スタイレットねじ1820に取り付けられ、これは遠位端と、ねじの外側部分に螺旋状の溝または畝として形成されるねじ山1820aを画定する。ガイドバー1822は、スタイレットねじ1820の遠位端に形成されるか、そこから実質的に遠位方向に延びる。ガイドバー1822の少なくとも一部は、コネクタ1716の近位端に形成された第二の開口部を通り、また針取付用ハンドル部材1804の少なくとも一部を通り、その中心縦軸に沿って、またはそれと略整列して延び、それによってガイドバー1822とスタイレット1822は縦方向にスライド可能であり、基準マーカ留置中に、針取付用ハンドル部材1804のハンドルルーメンの中心縦軸に沿って、または略整列して実質的に遠位方向に進められてもよい。
【0057】
開示されているこの構造により、当業者であれば使用方法がわかるであろう。
図8A〜8Dは、基準マーカ留置システムの第二実施形態の推進機構の、それぞれ内部構成要素の図と、内部構成要素の上から見た斜視図を示す。
図8Bおよび8Cは、基準マーカ留置システムのための第二の実施形態による推進機構の縦断面図を示す。基準マーカ留置またはその他の段階式/増加的な遠位方向へのスタイレット移動動作(例えば、
図5B〜5C参照)に対応するようにスタイレット1860を遠位方向に前進させるために、回転可能筐体部分1806が使用者によって針取付用ハンドル部材1804に対して横方向に操作され、または回転されてもよい。使用者が回転可能筐体部分1806の筐体を回転させると、筐体内壁上に形成された螺旋筐体ねじ山1806aがスタイレットねじ1820の外側部分に形成された螺旋ねじ山1820aと係合する。回転可能筐体とスタイレットねじの両方の螺旋ねじ山の角度とバイアスによって、使用者がかけた回転力が直線力に変換され、スタイレットねじ1820を回転可能筐体部分1806および針取付用ハンドル部材1804に対して実質的に遠位方向に前進させる。
【0058】
使用者の操作による回転可能筐体部分1806の回転中、スタイレットねじ1820に取り付けられたガイドバー1822は、安定力を提供して、スタイレットねじが針取付用ハンドル部材1804に対して横方向に回転するのを防止するが、当業者であれば、スタイレットねじ1820を回転可能筐体部分1806および/または針取付用ハンドル部材1804に対して回転しないようにするのは、様々な方法で実行してもよく、それも本開示の範囲から逸脱しないことがわかるであろう。スタイレットねじ1820の回転が防止されると、筐体の回転力は効率的に直線力に変換され、スタイレット1860とガイドバー1822を、横方向に突出する縁1804aにより形成された針取付用ハンドル部材1804の近位端の開口部を通じて遠位方向に前進させる。スタイレット1860は、ハンドルルーンの中で、その中心縦軸に沿って、またはそれと実質的に整列して進められる。回転可能な筐体部材1806に制御された量の回転を加えると、スタイレットが、消化器内の標的部位(例えば、肝臓、膵臓)の中またはその付近、または(患者の自然の開口、例えば口、肛門、膣等を通じて導入された低侵襲性内視鏡を使って)内視鏡がアクセス可能なその他の箇所に設置されていてもよい針1814の遠位端に沿って前進し、1つまたは複数の基準マーカを針1814の遠位端から留置するのに必要な距離は、一部に、ハンドル部材1606およびシース取付用ハンドル部材1602の構成に依存し、これについては
図6Aおよび6Bに関してさらに説明されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、所定の数の基準マーカ(例えば、1つの基準マーカまたは2つの基準マーカ)を留置するために必要な回転は、所定のハンドル回転量(例えば、360度丸1回転)に対応していてもよい。
図6Aおよび6Bに記載されているものと同様の方法で基準マーカの留置を行うために、シース取付用ハンドル部材1602および針取付用ハンドル部材1704のその他の構成も同様に使用されてよい。必要な回転が完了すると、スタイレット1860は針1614の遠位端に向かって、所望の数の基準マーカを留置するのに十分な距離だけ遠位方向に進められている。いくつかの構成において、スタイレットは1つまたは複数の基準マーカを留置するのに十分な距離だけ進められているが、針1614の中に少なくとも部分的に配置されたままであってもよく、また、針1614の中には1つまたは複数の追加の基準マーカが留置可能な状態で残っていてもよい。この場合、後続の数の基準マーカは、筐体物材1806をさらに、連続的に回転させることによって連続的に留置されてもよい。
【0060】
当業者であれば、上で開示された実施形態を参照し、レバー、ボタン、回転可能筐体、またはその他の作動部材を1回操作することによって、所定の数の基準マーカを所望の場所に放出できることが分かるであろう。所定の数は好ましくは1であるが、複数の基準マーカを含んでいてもよい。本実施形態の構成は、基準マーカを保持するために針の中に開放可能なエンドプラグを利用する、および/または本明細書に記載されているノッチ/タブの針設計および/または操作ハンドルほど洗練されていない基準マーカ放出制御方法を使用する先行技術の設計より明確な利点を提供する。各種の実施形態を示す素面の中の描写と具体的な特徴は必ずしも正確な縮尺によるとはかぎらない。いくつかの図は特定の詳細部が強調のために拡大されているかもしれず、部品のさまざまな数や比率は、1つまたは複数の特許請求項の中でそのように明記されていないかぎり、限定的と解釈すべきではない。当業者であればわかるように、本明細書において明確に例示されていない実施形態も、本発明の範囲内で実施されてよく、例えば、本明細書に異なる実施形態に関して説明されている特徴を相互に、および/または現在知られている、または将来開発される技術と組み合わせてもよく、それも提示されている特許請求の範囲から逸脱しない。例えば、本システムの針と基準マーカは、経皮的に使用されてもよく、これには、他の低侵襲性外科的処置、例えば腹腔鏡式処置等にも使用されてよく、それも特許請求されている発明の範囲から逸脱しない。例えば、標的部位は、消化管(例えば、肝臓、膵臓)の中またはその付近の位置、例えば(患者の自然な開口、例えば口、肛門、膣から導入される低侵襲性内視鏡を使って)内視鏡によりアクセス可能な箇所であってもよい。これには、より広く、NOTES(経管腔的内視鏡手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery)処置を通じて到達可能な部位も含まれる。本願の方法と機器はまた、経皮的内視鏡処置(例えば腹腔鏡処置)または経皮的非内視鏡下処置等のその他の低侵襲性外科手術で使用されてもよいが、より侵襲性の低い内視鏡処置で使用されることが最も好ましい。したがって、上述の詳細な説明は、限定ではなく、例示とみなされものとする。さらに、下記の特許請求の範囲が、すべての均等物を含め、本発明の趣旨と範囲を定義すると解釈すべきである。