(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283172
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】複合クラッチ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 47/00 20060101AFI20180208BHJP
F16D 47/04 20060101ALI20180208BHJP
F16D 47/06 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
F16D47/00
F16D47/04
F16D47/06 D
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-82176(P2013-82176)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-217498(P2013-217498A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】13/444,068
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599075531
【氏名又は名称】楊 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】楊 泰和
【審査官】
尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−121820(JP,A)
【文献】
特開2010−023702(JP,A)
【文献】
特開2004−347120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 47/00
F16D 47/04
F16D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と出力軸との間、または、入力軸とスリーブ状出力回転部との間に、連結および遮断機能を有する制御可能なクラッチ装置、および、比較的に小さいトルクのみを伝送する物理的の制限トルク装置が設置され、
クラッチ装置が連結機能を発揮するとき、クラッチ装置により入力軸と出力軸との間の回転運動エネルギーが伝達され、
クラッチ装置が遮断機能を発揮するとき、制限トルク装置が制限トルクをカップリングすることにより、比較的小さいトルクによって入力軸と出力軸との間の回転運動エネルギーが継続的に伝達され、又は、過トルクのスリップ回転速度差が形成され、
制限トルク装置(120)は、物理的の制限トルクがクラッチ装置の連結時のトルクより小さく形成されており、
入力軸(101)は、回転運動エネルギーの入力軸又は回転部構造であり、軸方向のクラッチ装置(110)の入力側と制限トルク装置(120)の入力側に接続され、
出力軸(102)は、回転運動エネルギーの出力軸又は回転部構造であり、軸方向のクラッチ装置(110)の出力側と制限トルク装置(120)の出力側に接続され、
軸方向のクラッチ装置(110)は、人力、遠心力、電力、磁力、機械力、気圧力、または水力のいずれかにより制御されるクラッチ装置または単一方向伝動装置より、連結機能を発揮するとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーを伝送し、遮断機能を発揮するとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーの伝送を終了し、
制限トルク装置(120)は、予圧摩擦力、粘性力、又は流体減衰力により構成されるトルクリミッタ装置、或いは、人力、遠心力、電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御する調整可能なトルクリミッタの構造により構成され、制限トルクの特性を有し、物理的の制限トルク装置により、制限トルクをカップリングすることにより、出力軸(102)と入力軸(101)との間のトルク差が制限トルク装置(120)の制限トルクよりも小さいときに、比較的小さいトルクで入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーを伝送し、又は、過トルクになったとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間でスリップ回転速度差を形成し、物理的の制限トルクが軸方向のクラッチ装置(110)の連結時のトルクより小さく形成されており、
出力軸(102)から回転運動エネルギーが入力され、入力軸(101)が回転運動エネルギーを出力することが可能であることを特徴とする複合クラッチ装置。
【請求項2】
同じ機能を有する複数の軸が並列に接続されている伝達構造を有し、
軸方向のクラッチ装置(110)は、両端がそれぞれ入力軸(101)および出力軸(102)に接続され、
制限トルク装置(120)は、両端がそれぞれリレー入力軸(111)およびリレー出力軸(112)に接続され、
能動側の伝動装置(113)により、入力軸(101)とリレー入力軸(111)との間の回転運動エネルギーが伝達され、
受動側の伝動装置(114)により、出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間の回転運動エネルギーが伝達され、
入力軸(101)は、出力軸(102)と同じ方向に回転し、
リレー入力軸(111)は、リレー出力軸(112)と同じ方向に回転し、
入力軸(101)とリレー入力軸(111)との間と、出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間との速度比は同じであり、入力軸(101)とリレー入力軸(111)との間と、出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間との速度比はニーズにより変更可能であり、
出力軸(102)から回転運動エネルギーが入力され、入力軸(101)が回転運動エネルギーを出力することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の複合クラッチ装置。
【請求項3】
制限トルク装置(120)は、
(1)予圧式制限トルク構造から構成され、トルクを設定する構成、
(2)渦電流式カップリング装置又はビスカスカップリング装置から構成され、回転差が大きくなると、漸増する構成、および、
(3)滑り摩擦ディスク又は水力継手装置から構成され、回転差が大きくなると、漸減する構成、のうち、少なくとも一つの構成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合クラッチ装置。
【請求項4】
入力軸(201)は、回転運動エネルギーの入力軸又は回転部構造であり、径方向のクラッチ装置(210)の内輪入力側と径方向の制限トルク装置(220)の内輪入力側に接続され、
スリーブ式出力回転部(202)は、出力回転運動エネルギーのスリーブ式回転部構造であり、径方向のクラッチ装置(210)の出力側と径方向の制限トルク装置(220)の出力側に接続され、
径方向のクラッチ装置(210)は、人力、遠心力、電力、磁力、機械力、気圧力、または水力のいずれかにより制御されるクラッチ装置または単一方向伝動装置より、連結機能を発揮するとき、径方向のクラッチ装置(210)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーを伝送し、遮断機能を発揮するとき、入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーの伝送を終了し、
径方向の制限トルク装置(220)は、予圧摩擦力、粘性力、又は流体減衰力により構成されるトルクリミッタ装置、或いは、人力、遠心力、電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御する調整可能なトルクリミッタの構造により構成され、制限トルクの特性を有し、物理的の制限トルク装置により、制限トルクをカップリングすることにより、スリーブ式出力回転部(202)と入力軸(201)との間のトルク差が径方向の制限トルク装置(220)の制限トルクよりも小さいときに、比較的小さいトルクで入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーを伝送し、又は、過トルクになったとき、入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間でスリップ回転速度差を形成し、物理的の制限トルクが径方向のクラッチ装置(210)の連結時のトルクより小さく形成されており、
スリーブ式出力回転部(202)から回転運動エネルギーが入力され、入力軸(201)が回転運動エネルギーを出力することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の複合クラッチ装置。
【請求項5】
径方向の制限トルク装置(220)は、
(1)予圧式制限トルク構造から構成され、トルクを設定する構成、
(2)渦電流式カップリング装置又はビスカスカップリング装置から構成され、回転差が大きくなると、漸増する構成、および、
(3)滑り摩擦ディスク又は水力継手装置から構成され、回転差が大きくなると、漸減する構成、のうち、少なくとも一つの構成を有することを特徴とする請求項4に記載の複合クラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合クラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御可能なクラッチ装置は、クローズド又は離脱の機能しか有していないので、シンプルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−310260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複合クラッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一種の離脱状態で制限トルクを備える複合クラッチ装置であり、制御可能な連結機能および遮断機能を持つクラッチ装置と相対的にトルクが比較的小さい物理的制限トルク装置が、軸方向に出入力軸と出力軸との間、又は、径方向に入力軸とスリーブ状出力回転部との間に設置される。クラッチ装置が連結機能を発揮するとき、クラッチ装置により、入力軸と出力軸との間の回転運動エネルギーが伝送され、クラッチ装置が遮断機能を発揮するとき、制限トルク装置によって、
出力軸と入力軸との間のトルク差が物理的制限トルク装置の制限トルクよりも小さいときに、トルクリミッタカップリングが行い、比較的小さい設定トルク
のみを伝送し、入力軸と出力軸との間の回転運動エネルギーが続けて伝送され、及び過トルクでスリップ回転速度差が形成される。制限トルク装置は、物理的の制限トルクがクラッチ装置の
連結時のトルクより小さく形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の第一実施形態による複合クラッチ装置を示す模式図である。
【
図2】本発明の第二実施形態による複合クラッチ装置を示す模式図である。
【
図3】本発明の第二実施形態による複合クラッチ装置の特性図である。
【
図4】本発明の第二実施形態による複合クラッチ装置の特性図である。
【
図5】本発明の第二実施形態による複合クラッチ装置の特性図である。
【
図6】本発明の第三実施形態による複合クラッチ装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
本発明の第一実施形態による複合クラッチ装置を
図1に示す。
図1に示すように、その主な構成は以下の通りである。
入力軸(101)は、回転運動エネルギーの入力軸又は回転部構造であり、軸方向のクラッチ装置(110)の入力側と制限トルク装置(120)の入力側に連結する。
出力軸(102)は、回転運動エネルギーの出力軸又は回転部構造であり、軸方向のクラッチ装置(110)の出力側と制限トルク装置(120)の出力側に連結する。
【0008】
軸方向のクラッチ装置(110)は、人力又は遠心力により制御され、又は電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御するクラッチ装置または単一方向伝動クラッチ装置を通して、連結機能を発揮するとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーを伝送し、遮断機能を発揮するとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーの伝送を終了させる。
【0009】
制限トルク装置(120)は、予圧摩擦力、粘性力、又は流体減衰力により構成されるトルクリミッタ装置、或いは人力又は遠心力により制御され、又は電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御する調整可能なトルクリミッタの構造により構成され、制限トルクの特性を備え、物理的制限トルク装置を通して、制限トルクをカップリングさせることにより、比較的小さいトルクによって入力軸(101)と出力軸(102)との間の回転運動エネルギーを伝送し、又は過トルクになったとき、入力軸(101)と出力軸(102)との間でスリップ回転速度差を形成する。上述の制限トルク装置(120)の物理的制限トルクは、軸方向のクラッチ装置(110)の閉トルクより小さい。
【0010】
応用するとき、上述の入力軸(101)と出力軸(102)の入力と出力機能を出力軸(102)の回転運動エネルギーを入力し、入力軸(101)の回転運動エネルギーを出力するように変えることができる。
本実施例の離脱状態で制限トルクを備える複合クラッチ装置を更に一歩進んで、同じ機能の多軸並列接続式伝送構造から構成されることにより、応用空間のニーズに合わせる。
【0011】
本発明の第二実施形態による複合クラッチ装置を
図2〜5に示す。
図2に示すように、その中軸方向のクラッチ装置(110)の両伝送端を別々に入力軸(101)和出力軸(102)に結合し、及び制限トルク装置(120)の両伝送端を別々にリレー入力軸(111)とリレー出力軸(112)に結合することにより、能動側の伝動装置(113)を通して、入力軸(101)とリレー入力軸(111)との間の回転運動エネルギーを伝送し、受動側の伝動装置(114)を通して、出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間の回転運動エネルギーを伝送する。その中の入力軸(101)は出力軸(102)と同じ方向に回転し、リレー入力軸(111)はリレー出力軸(112)と同じ方向に回転し、入力軸(101)とリレー入力軸(111)との間、及び出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間の速比は同じであることより、入力軸(101)とリレー入力軸(111)及び出力軸(102)とリレー出力軸(112)との間の速比はニーズにより選定することができる。
【0012】
応用するとき、上述の入力軸(101)と出力軸(102)の入力と出力機能を出力軸(102)の回転運動エネルギーを入力し、入力軸(101)の回転運動エネルギーを出力するように変えることができる。
【0013】
上述の
図1及び
図2に述べた制限トルク装置(120)は、下記の一種又は一種以上の特性から構成されることを含む。
(1)トルクを設定する制限トルク装置、例えば予圧式制限トルク構造から構成される。
図3に本実施形態の制限トルクは定トルクであるときの動作特性図を示す。
(2)回転差が大きくなると、漸増する制限トルク装置、例えば渦電流式カップリング装置又はビスカスカップリング装置から構成される。
図4に本実施形態は回転差が大きくなると、漸増する制限トルクの動作特性図を示す。
(3)回転差が大きくなると、漸減する制限トルク装置、例えば滑り摩擦ディスク又は水力継手装置から構成される。
図5に本実施形態は回転差が大きくなると、漸減する制限トルクの動作特性図を示す。
【0014】
本実施例の離脱状態で制限トルクを備える複合クラッチ装置を更に一歩進んで、径方向の複合構造から構成されることにより、応用空間のニーズに合わせる。
【0015】
本発明の第三実施形態による複合クラッチ装置を
図6に示す。
図6に示すように、その主な構成は以下の通りである。
入力軸(201)は、回転運動エネルギーの入力軸又は回転部構造であり、径方向のクラッチ装置(210)の内輪入力側と径方向の制限トルク装置(220)の内輪入力側に連結する。
【0016】
スリーブ式出力回転部(202)は、出力回転運動エネルギーのスリーブ式回転部構造であり、径方向のクラッチ装置(210)の出力側と径方向の制限トルク装置(220)の出力側に連結する。
【0017】
径方向のクラッチ装置(210)は、人力又は遠心力により制御され、又は電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御するクラッチ装置または単一方向伝動クラッチ装置を通して、連結機能を発揮するとき、径方向のクラッチ装置(210)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーを伝送し、遮断機能を発揮するとき、入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーの伝送を終了させる。
【0018】
径方向の制限トルク装置(220)は、予圧摩擦力、粘性力、又は流体減衰力により構成されるトルクリミッタ装置、或いは人力又は遠心力により制御され、又は電力、磁力、機械力、気圧力、水力のいずれかにより制御する調整可能なトルクリミッタの構造により構成され、制限トルクの特性を備え、物理的制限トルク装置を通して、制限トルクをカップリングさせることにより、比較的小さいトルクによって入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間の回転運動エネルギーを伝送し、又は過トルクになったとき、入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)との間でスリップ回転速度差を形成する。上述の径方向の制限トルク装置(220)の物理的制限トルクは、径方向のクラッチ装置(210)の閉トルクより小さい。
【0019】
応用するとき、上述の入力軸(201)とスリーブ式出力回転部(202)の入力と出力機能をスリーブ式出力回転部(202)の回転運動エネルギーを入力し、入力軸(201)の回転運動エネルギーを出力するように変えることができる。
【0020】
上述の
図6に述べた径方向の制限トルク装置(220)は、下記の一種又は一種以上の特性から構成されることを含む。
(1)トルクを設定する制限トルク装置、例えば予圧式制限トルク構造から構成される。
図3に本実施形態の制限トルクは定トルクであるときの動作特性図を示す。
(2)回転差が大きくなると、漸増する制限トルク装置、例えば渦電流式カップリング装置又はビスカスカップリング装置から構成される。
図4に本実施形態は回転差が大きくなると、漸増する制限トルクの動作特性図を示す。
(3)回転差が大きくなると、漸減する制限トルク装置、例えば滑り摩擦ディスク又は水力継手装置から構成される。
図5に本実施形態は回転差が大きくなると、漸減する制限トルクの動作特性図を示す。
【符号の説明】
【0021】
101、201:入力軸、
102:出力軸、
111:リレー入力軸、
112:リレー出力軸、
110:軸方向のクラッチ装置、
120:制限トルク装置、
113:能動側の伝動装置、
114:受動側の伝動装置、
202:スリーブ式出力回転部、
207、208:軸受け、
210:径方向のクラッチ装置、
220:径方向の制限トルク装置。