(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283209
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
B41J2/14 303
B41J2/14 611
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-252411(P2013-252411)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-107614(P2015-107614A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(72)【発明者】
【氏名】西川 大地
(72)【発明者】
【氏名】久保田 禅
【審査官】
外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−165956(JP,A)
【文献】
特開2012−011704(JP,A)
【文献】
特開2011−245833(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0117041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方向に配列する複数のコモン端子を備えるヘッドチップと、
前記ヘッドチップに接続される回路基板と、を備え、
前記回路基板は、前記ヘッドチップの側の下面に設置され、複数の前記コモン端子とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子と、前記ヘッドチップの側とは反対側の上面に設置され、前記基準方向に延設される上共通配線と、前記共通端子と前記上共通配線とを電気的に接続する貫通電極と、を有する、
液体噴射ヘッドにおいて、
前記ヘッドチップは、前記コモン端子と並列に前記基準方向に配列する複数のアクティブ端子を有し、
前記回路基板は、前記下面に設置され、複数の前記共通端子と並列に前記基準方向に配列する複数の個別端子を有し、複数の前記アクティブ端子と複数の前記個別端子とがそれぞれ電気的に接続し、
前記上共通配線は、前記アクティブ端子の上部を覆う、
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
基準方向に配列する複数のコモン端子を備えるヘッドチップと、
前記ヘッドチップに接続される回路基板と、を備え、
前記回路基板は、前記ヘッドチップの側の下面に設置され、複数の前記コモン端子とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子と、前記ヘッドチップの側とは反対側の上面に設置され、前記基準方向に延設される上共通配線と、前記共通端子と前記上共通配線とを電気的に接続する貫通電極と、を有する、
液体噴射ヘッドにおいて、
前記回路基板は、前記下面の前記基準方向に延設され、複数の前記共通端子と電気的に接続する下共通配線を有する、
液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記上共通配線の前記基準方向に直交する方向の電極幅は、前記下共通配線の前記基準方向に直交する方向の電極幅よりも広い請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記上共通配線の前記基準方向に直交する方向の断面積は、前記下共通配線の前記基準方向に直交する方向の断面積よりも大きい請求項2又は3に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記貫通電極は前記基準方向の設置密度が前記コモン端子の配列の中央付近よりも前記配列の両端付近のほうが高い請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記貫通電極は前記基準方向の設置密度が略一定である請求項2〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記貫通電極は、前記共通端子と前記下共通配線とが交差する交差部に設置される請求項2〜6のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記ヘッドチップは、前記コモン端子と並列に前記基準方向に配列する複数のアクティブ端子を有し、
前記ヘッドチップは、前記コモン端子と前記アクティブ端子の間に凹部を有し、前記下共通配線は前記凹部の上端開口に対向する請求項2〜7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記回路基板の基板面の垂直方向から見る平面視において、前記共通端子は前記上共通配線から突出する請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記ヘッドチップは吐出溝と非吐出溝が前記基準方向に交互に配列し、前記コモン端子は前記吐出溝の側面に設置される駆動電極と電気的に接続し、前記アクティブ端子は前記吐出溝を挟む2つの前記非吐出溝の前記吐出溝の側の側面に設置される駆動電極に電気的に接続する請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、
前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、
前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、を備える液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に液滴を噴射して記録する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録紙等にインク滴を吐出して文字や図形を記録する、或いは素子基板の表面に液体材料を吐出して機能性薄膜を形成するインクジェット方式の液体噴射ヘッドが利用されている。この方式は、インクや液体材料などの液体を液体タンクから供給管を介してチャンネルに導き、チャンネルに充填される液体に圧力を印加してチャンネルに連通するノズルから液滴として吐出する。液滴の吐出の際には、液体噴射ヘッドや被記録媒体を移動させて文字や図形を記録する、或いは所定形状の機能性薄膜や3次元構造を形成する。
【0003】
特許文献1にはこの種の液体噴射ヘッドが記載される。
図8は、カバープレートを除去した液体噴射ヘッド101の上面模式図である(特許文献1の
図8)。アクチュエータ基板102は、その上面に交互に配列する吐出溝Cと非吐出溝Dと、吐出溝Cと非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極109と、吐出溝Cの駆動電極109に電気的に接続する第一端子電極110aと、吐出溝Cを挟む2つの非吐出溝Dの吐出溝C側の側面に設置される駆動電極109と電気的に接続される第二端子電極110bとを備える。吐出溝Cは前方端FEから後方端REの手前まで形成され、非吐出溝Dは前方端FEから後方端REに亘って形成される。アクチュエータ基板102の前方端FEにはノズルプレート105が設置される。アクチュエータ基板102の後方端RE近傍の基板表面115にはフレキシブル基板103が設置される。
【0004】
フレキシブル基板103のアクチュエータ基板102側の表面には共通配線電極111aと複数の個別配線電極111bが形成される。共通配線電極111aは、各第一端子電極110aと各第一接続点116aにおいて電気的に接続される。各個別配線電極111bは各第二端子電極110bと各第二接続点116bにおいてそれぞれ電気的に接続される。なお、アクチュエータ基板102の基板表面115には図示しないカバープレートが接合される。カバープレートは各吐出溝Cの上部開口の一部を閉塞し液体が充填されるチャンネルを構成する。カバープレートは液室を備え、各吐出溝Cに液体を供給可能に構成される。ノズルプレート105には吐出溝Cに連通するノズル114が形成される。なお、共通配線電極111aと非吐出溝Dとの間には絶縁層117が設置され、共通配線電極111aと非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極109との間の電気的な短絡を防止する。
【0005】
液体噴射ヘッド101は次のように駆動される。図示しないカバープレートの液室から各吐出溝Cに液体が充填される。共通配線電極111aをGNDに設置し、個別配線電極111bに駆動信号を供給する。これにより、吐出溝Cと吐出溝Cを挟む2つの非吐出溝Dとの間の隔壁107が厚みすべり変形し、吐出溝Cに連通するノズル114から液滴が吐出される。従って、任意の個別配線電極111bに駆動信号を供給することにより、対応するノズル114から液滴を同時に吐出することができる。
【0006】
特許文献2には、液体に圧力を印加して液滴を吐出する複数の圧力室と、この圧力室に振動プレートを介して接合される圧電体層と、圧電体層に駆動信号を印加するための共通配線と個別配線が設置される液体噴射ヘッドが記載されている。共通配線は各圧電体層に対して共通に接続され、個別配線は各圧電体層に対して個別に接続される。共通配線と個別配線との間に駆動信号が供給されると、圧電体層が変形し、この変形が振動プレートを変形させて圧力室の容積を瞬間的に変化させる。これにより、圧力室に連通するノズルから液滴が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−245833号公報
【特許文献2】特開2011−93105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2には、液体噴射ヘッドを駆動する圧電体層の数が増加すると共通配線に流れる電流が増大し、共通配線のパッド部とこのパッド部に接合するフィルム状配線基板の端子部との接合部分において発熱する課題のあることが記載される。
【0009】
特許文献1の液体噴射ヘッド101は、複数の個別配線電極111bに駆動信号を同時に供給することにより対応する複数の吐出溝Cに連通するノズル114から同時に液滴を吐出する。しかし、特許文献2と同様に、共通配線電極111aはすべての第一端子電極110aと電気的に接続するので同時に多数の吐出溝Cを駆動すると過電流が流れて共通配線電極111aが発熱する場合がある。また、これを避けるために共通配線電極111aの幅を広げようとすると、第一端子電極110aを吐出溝Cの溝方向に拡張しなければならず、アクチュエータ基板102が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体噴射ヘッドは、基準方向に配列する複数のコモン端子を備えるヘッドチップと、前記ヘッドチップに接続される回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記ヘッドチップの側の下面に設置され、複数の前記コモン端子とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子と、前記ヘッドチップの側とは反対側の上面に設置され、前記基準方向に延設される上共通配線と、前記共通端子と前記上共通配線とを電気的に接続する貫通電極と、を有することとした。
【0011】
また、前記ヘッドチップは、前記コモン端子と並列に前記基準方向に配列する複数のアクティブ端子を有し、前記回路基板は、前記下面に設置され、複数の前記共通端子と並列に前記基準方向に配列する複数の個別端子を有し、複数の前記アクティブ端子と複数の前記個別端子とがそれぞれ電気的に接続することとした。
【0012】
また、前記上共通配線は、前記アクティブ端子の上部を覆うこととした。
【0013】
また、前記回路基板は、前記下面の前記基準方向に延設され、複数の前記共通端子と電気的に接続する下共通配線を有することとした。
【0014】
また、前記上共通配線の前記基準方向に直交する方向の電極幅は、前記下共通配線の前記基準方向に直交する方向の電極幅よりも広いこととした。
【0015】
また、前記上共通配線の前記基準方向に直交する方向の断面積は、前記下共通配線の前記基準方向に直交する方向の断面積よりも大きいこととした。
【0016】
また、前記貫通電極は前記基準方向の設置密度が前記コモン端子の配列の中央付近よりも前記配列の両端付近のほうが高いこととした。
【0017】
また、前記貫通電極は前記基準方向の設置密度が略一定であることとした。
【0018】
また、前記貫通電極は、前記共通端子と前記下共通配線とが交差する交差部に設置されることとした。
【0019】
また、前記ヘッドチップは、前記コモン端子と前記アクティブ端子の間に凹部を有し、前記下共通配線は前記凹部の上端開口に対向することとした。
【0020】
また、前記回路基板の基板面の垂直方向から見る平面視において、前記共通端子は前記上共通配線から突出することとした。
【0021】
また、前記ヘッドチップは吐出溝と非吐出溝が前記基準方向に交互に配列し、前記コモン端子は前記吐出溝の側面に設置される駆動電極と電気的に接続し、前記アクティブ端子は前記吐出溝を挟む2つの前記非吐出溝の前記吐出溝の側の側面に設置される駆動電極に電気的に接続することとした。
【0022】
本発明の液体噴射装置は、上記の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、を備えることとした。
【発明の効果】
【0023】
本発明による液体噴射ヘッドは、基準方向に配列する複数のコモン端子を備えるヘッドチップと、ヘッドチップに接続される回路基板と、を備え、回路基板は、ヘッドチップの側の下面に設置され、複数のコモン端子とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子と、ヘッドチップの側とは反対側の上面に設置され、基準方向に延設される上共通配線と、共通端子と上共通配線を電気的に接続する貫通電極と、を有する。これにより、回路基板の下面のみに共通配線を設置する場合よりも配線抵抗を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【
図5】本発明の第四実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【
図6】本発明の第二〜第四実施形態に係る液体噴射ヘッドにおいて、下共通配線の基準方向の位置における下共通配線を流れる電流値を表す。
【
図7】本発明の第五実施形態に係る液体噴射装置の模式的な斜視図である。
【
図8】従来公知のカバープレートを除去した液体噴射ヘッドの上面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第一実施形態)
図1及び
図2は本発明の第一実施形態に係る液体噴射ヘッド1の説明図である。
図1(a)は液体噴射ヘッド1の部分断面模式図であり、
図1(b)は回路基板3の電極構成を示す模式図である。
図2(a)は液体噴射ヘッド1の分解斜視図であり、
図2(b)はカバープレート23とノズルプレート22を除去した液体噴射ヘッド1の上面模式図である。
【0026】
図1に示すように、液体噴射ヘッド1は、ヘッドチップ2とヘッドチップ2に接続される回路基板3とを備える。ヘッドチップ2は、表面の基準方向K(
図1(a)においては紙面奥方向)に配列する複数のコモン端子4を備える。回路基板3は、ヘッドチップ2の側の下面LPに設置され、複数のコモン端子4とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子6と、ヘッドチップ2の側とは反対側の上面TPに設置され、基準方向Kに延設される上共通配線9と、共通端子6と上共通配線9とを電気的に接続する貫通電極10とを有する。このように、上共通配線9を回路基板3の上面TPに設置するので、回路基板3の下面のみに共通配線を設置する場合よりも基準方向Kに直交する方向の配線幅を大きく形成でき、配線抵抗を低下させることができる。
【0027】
ヘッドチップ2は、更に、コモン端子4と後方端REの間の表面に、コモン端子4と電気的に分離するアクティブ端子5を備える。アクティブ端子5は、コモン端子4に対応して複数形成され、コモン端子4と並列に基準方向Kに配列する(
図1(b)、
図2を参照)。回路基板3は、更に、下面LPに複数の個別端子7を備える。複数の個別端子7は、複数の共通端子6と並列に基準方向Kに配列し、複数のアクティブ端子5とそれぞれ電気的に接続する。
【0028】
ここで、コモン端子4よりも後方端RE側にアクティブ端子5が設置される。そのため、複数の共通端子6を共通に接続する共通配線を下面LP側に設置しようとすると、その電極幅が制限される。本実施形態では回路基板3の上面TPに上共通配線9を設置するので、その電極幅はアクティブ端子5や個別端子7に制約されず幅広に形成することができる。
【0029】
図2(a)を用いて液体噴射ヘッド1を具体的に説明する。液体噴射ヘッド1は、ヘッドチップ2と回路基板3を備える。ヘッドチップ2は、圧電体基板21と、圧電体基板21の表面に設置されるカバープレート23と、圧電体基板21の前方端FEに接合されるノズルプレート22を備える。圧電体基板21は、表面に吐出溝Cと非吐出溝Dが基準方向Kに交互に配列し、後方端REの側の表面にはコモン端子4と、コモン端子4と後方端REの間にはアクティブ端子5が設置される。カバープレート23には液室24が形成され、液室24と各吐出溝Cとはスリット25を介して連通する。ノズルプレート22にはノズル26が形成され、ノズル26は吐出溝Cに連通する。回路基板3は圧電体基板21の後方端RE近傍の表面に接続される。
【0030】
図2(b)に示すように、吐出溝Cは圧電体基板21の前方端FEから後方端REの手前まで形成され、非吐出溝Dは前方端FEから後方端REに亘って形成される。吐出溝C及び非吐出溝Dの側面には駆動電極KDが設置される。駆動電極KDは各溝の上端から略1/2の深さまで形成される。コモン端子4は吐出溝Cの両側面に設置される駆動電極KDに電気的に接続する。アクティブ端子5は吐出溝Cを挟む2つの非吐出溝Dの吐出溝C側の側面に設置される2つの駆動電極KDと電気的に接続する。アクティブ端子5はコモン端子4と後方端REとの間に設置される。回路基板3の圧電体基板21側の下面LPには共通端子6と個別端子7が設置される。各共通端子6は各コモン端子4の対応する位置に設置され、図示しない異方性導電材を介して電気的に接続される。同様に、各個別端子7は、各アクティブ端子5の対応する位置に設置され、図示しない異方性導電材を介して電気的に接続される。各個別端子7は、更に、対応して下面LPに設置される個別配線11に電気的に接続する。回路基板3の上面TPには上共通配線9が基準方向Kに延設される。上共通配線9は、各共通端子6と貫通電極10を介して電気的に接続され、基準方向Kに並ぶ複数のコモン端子4の両端側から同じく基準方向Kに並ぶ個別配線11の外側に引き回される。
【0031】
ここで、回路基板3は、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミド等のプラスチック材料を使用したフレキシブル回路基板、等を使用することができる。共通端子6、個別端子7及び上共通配線9は、例えばCu膜\Ni膜\Au膜をメッキ法等により積層して形成することができる。貫通電極10は、回路基板3に貫通孔を形成し、この貫通孔にCu、Ni、Au、Ag等の導電材料をメッキ法等により充填して形成することができる。ヘッドチップ2は、例えばPZTセラミックス等の圧電体基板からなり、コモン端子4及びアクティブ端子5はAl、Ti、Ni、Au、Ag等の金属材料を使用することができる。コモン端子4と共通端子6との間、及び、アクティブ端子5と個別端子7との間に異方性導電材料を挟み熱圧着して電気的に接続することができる。
【0032】
なお、本発明において、液体噴射ヘッド1は本実施形態に示すエッジシュート型に限定されず、圧電体基板21のカバープレート23とは反対側の表面にノズルプレート22を設置するサイドシュート型でもよい。また、共通端子6と個別端子7を圧電体基板21のカバープレート23側とは反対側の表面に設置してもよい。また、圧電体素子として本実施形態のせん断型の他に撓みモード型や縦モード型としてもよい。
【0033】
(第二実施形態)
図3は、本発明の第二実施形態に係る液体噴射ヘッド1の説明図である。
図3(a)は液体噴射ヘッド1の部分断面模式図であり、
図3(b)は回路基板3の電極構成を示す模式図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0034】
図3(a)に示すように、液体噴射ヘッド1は、ヘッドチップ2と回路基板3とを備える。ヘッドチップ2は、基準方向K(
図3(a)において紙面奥方向)に配列する複数のコモン端子4と、コモン端子4よりも後方端REの側の表面に基準方向Kに配列する複数のアクティブ端子5とを備える。回路基板3は、ヘッドチップ2の側の下面LPに設置され、複数のコモン端子4とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子6と、ヘッドチップ2の側の下面LPの基準方向Kに延設され、複数の共通端子6と電気的に接続する下共通配線8とを有する。回路基板3は、ヘッドチップ2とは反対側の上面TPに設置され、基準方向Kに延設される上共通配線9と、下共通配線8と上共通配線9とを電気的に接続する貫通電極10とを有する。従って、上共通配線9は貫通電極10と下共通配線8を介して共通端子6に電気的に接続する。なお、複数の個別端子7は、複数の個別配線11とそれぞれ電気的に接続する。
【0035】
更に、
図3(b)に示すように、上共通配線9の基準方向Kに直交する方向の電極幅W9は、下共通配線8の基準方向Kに直交する方向の電極幅W8よりも大きい。また、上共通配線9の基準方向Kに直交する方向の断面積(電極幅W9×上共通配線9の厚さ)は、下共通配線8の基準方向Kに直交する方向の断面積(電極幅W8×下共通配線8の厚さ)よりも大きい。そして、下共通配線8と上共通配線9は複数の貫通電極10により電気的に接続される。このように、上共通配線9の他に下共通配線8を設置するので共通配線の配線抵抗が一層低下し、局部的な電流集中が緩和されて発熱が抑制される。
【0036】
ここで、回路基板3は、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミド等のプラスチック材料を使用したフレキシブル回路基板、等を使用することができる。共通端子6、個別端子7及び上共通配線9は、例えばCu膜\Ni膜\Au膜をメッキ法等により積層して形成することができる。貫通電極10は、回路基板3に貫通孔を形成し、この貫通孔にCu、Ni、Au、Ag等の導電材料をメッキ法等により充填して形成することができる。ヘッドチップ2は、例えばPZTセラミックス等の圧電体基板からなり、コモン端子4及びアクティブ端子5はAl、Ti、Ni、Au、Ag等の金属材料を使用することができる。コモン端子4と共通端子6との間、及び、アクティブ端子5と個別端子7との間に異方性導電材料を挟み熱圧着して電気的に接続することができる。
【0037】
また、貫通電極10は、共通端子6と同数形成する必要が無く、貫通電極10の数を共通端子6の数よりも減少させると製造コストが低下する。更に、第一実施形態と同様に、上共通配線9はアクティブ端子5や個別端子7により制約されることなく電極幅を大きく形成できるので配線抵抗を低下させることができる。
【0038】
なお、
図3(b)に示すように、貫通電極10は、共通端子6と下共通配線8が交差する交差部に設置する。これにより、貫通電極10と下共通配線8及び共通端子6との間の接合面積を拡大させ、かつ、貫通電極10の直径を大きく形成して配線抵抗を低減させることができる。
【0039】
(第三実施形態)
図4は、本発明の第三実施形態に係る液体噴射ヘッド1の説明図である。
図4(a)は液体噴射ヘッド1の部分断面模式図であり、
図4(b)は、ノズルプレート22とカバープレート23を除去した液体噴射ヘッド1の平面模式図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0040】
図4(a)に示すように、液体噴射ヘッド1はヘッドチップ2と回路基板3とを備える。ヘッドチップ2は、基準方向K(
図4(a)において紙面奥方向)に配列する複数のコモン端子4と、コモン端子4よりも後方端REの側の表面に基準方向Kに配列する複数のアクティブ端子5とを備える。ヘッドチップ2(具体的には圧電体基板21)の表面であり、コモン端子4とアクティブ端子5との間には基準方向Kに凹部12が形成される。回路基板3は、ヘッドチップ2の側の下面LPに設置され、複数のコモン端子4とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子6と、ヘッドチップ2の側の下面LPの基準方向Kに延設され、複数の共通端子6と電気的に接続する下共通配線8とを有する。下共通配線8は凹部12の上端開口OPに対向している。具体的には、基準方向Kに直交する方向について、下共通配線8の電極幅W8は凹部12の上端開口OPの幅よりも狭く、上端開口OPの上部領域内に位置する。これにより、下共通配線8は圧電体基板21から離間し、下共通配線8と非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極KDが電気的に短絡することが無い。回路基板3は、更に、ヘッドチップ2とは反対側の上面TPに設置され、基準方向Kに延設される上共通配線9と、下共通配線8と上共通配線9とを電気的に接続する貫通電極10とを有する。従って、上共通配線9は貫通電極10と下共通配線8を介して共通端子6に電気的に接続する。
【0041】
更に、
図4(b)に示すように、上共通配線9の基準方向Kに直交する方向の電極幅W9は、下共通配線8の基準方向Kに直交する方向の電極幅W8よりも大きい。また、上共通配線9の基準方向Kに直交する方向の断面積(電極幅W9×上共通配線9の厚さ)は、下共通配線8の基準方向Kに直交する方向の断面積(電極幅W8×下共通配線8の厚さ)よりも大きい。そして、下共通配線8と上共通配線9は複数の貫通電極10により電気的に接続される。その結果、第一及び第二実施形態と同様に、上共通配線9はアクティブ端子5や個別端子7により制約されることなく電極幅を大きく形成できるので配線抵抗が一層低下し、局部的な電流集中が緩和されて発熱が抑制される。
【0042】
ここで、回路基板3は、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミド等のプラスチック材料を使用したフレキシブル回路基板、等を使用することができる。共通端子6、個別端子7及び上共通配線9は、例えばCu膜\Ni膜\Au膜をメッキ法等により積層して形成することができる。貫通電極10は、回路基板3に貫通孔を形成し、この貫通孔にCu、Ni、Au、Ag等の導電材料をメッキ法等により充填して形成することができる。ヘッドチップ2は、例えばPZTセラミックス等の圧電体基板からなり、コモン端子4及びアクティブ端子5はAl、Ti、Ni、Au、Ag等の金属材料を使用することができる。コモン端子4と共通端子6との間、及び、アクティブ端子5と個別端子7との間に異方性導電材料を挟み熱圧着して電気的に接続することができる。
【0043】
なお、貫通電極10は、共通端子6と同数形成する必要が無く、貫通電極10の数を共通端子6の数よりも減少させると製造コストが低下する。また、下共通配線8は凹部12の上端開口OPに上記のように対応するので、ヘッドチップ2の表面に他の電極等が露出する場合でも、下共通配線8と露出電極とは短絡することが無い。また、
図4(b)に示すように、貫通電極10は、共通端子6と下共通配線8とが交差する交差部に設置する。これにより、貫通電極10と下共通配線8の間の接合面積を拡大させ、かつ、貫通電極10の直径を大きく形成して配線抵抗を低減させることができる。
【0044】
また、本第三実施形態においては、ヘッドチップ2に凹部12を形成し、下共通配線8をこの凹部12の上端開口OPに対応させるが、これに代えて、回路基板3のヘッドチップ2側の表面に凹部を形成し、この凹部の底面に下共通配線8を設置してもよい。これにより、下共通配線8は圧電体基板21から離間し、下共通配線8と非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極KDが電気的に短絡することが無い。
【0045】
(第四実施形態)
図5は、本発明の第四実施形態に係る液体噴射ヘッド1の説明図である。
図5(a)は液体噴射ヘッド1の断面模式図であり、
図5(b)は、ノズルプレート22とカバープレート23を除去した液体噴射ヘッド1の上面模式図である。同一の部分については説明を省略する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0046】
図5に示すように、液体噴射ヘッド1はヘッドチップ2と回路基板3とを備える。ヘッドチップ2は、基準方向K(
図5(a)において紙面奥方向)に配列する複数のコモン端子4と、コモン端子4よりも後方端REの側の表面に基準方向Kに配列する複数のアクティブ端子5とを備える。ヘッドチップ2は、コモン端子4とアクティブ端子5の間に凹部12を有する。回路基板3は、ヘッドチップ2の側の下面LPに設置され、複数のコモン端子4とそれぞれ電気的に接続する複数の共通端子6と、基準方向Kに延設され、複数の共通端子6と電気的に接続する下共通配線8とを有する。下共通配線8は凹部12の上端開口OPに対向している。具体的には、基準方向Kに直交する方向について、下共通配線8の電極幅W8は凹部12の上端開口OPの幅よりも狭く、上端開口OPの上部領域内に位置する。これにより、下共通配線8は圧電体基板21から離間し、下共通配線8と非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極KDが電気的に短絡することが無い。回路基板3は、更に、ヘッドチップ2とは反対側の上面TPに設置され、基準方向Kに延設される上共通配線9と、下共通配線8と上共通配線9とを電気的に接続する貫通電極10とを有する。従って、上共通配線9は貫通電極10と下共通配線8を介して共通端子6に電気的に接続する。なお、複数の個別端子7は、複数の個別配線11とそれぞれ電気的に接続する。
【0047】
回路基板3の基板面の垂直方向から見る平面視において、共通端子6は上共通配線9から突出する。より詳しくは、上記平面視において共通端子6は上共通配線9から基準方向Kに直交する方向Jに突出する。従って、回路基板3が透光性材料、例えばポリイミドフィルム等の透光性プラスチック材料からなる場合には上方から共通端子6の位置が視認可能となり、回路基板3の共通端子6とヘッドチップ2のコモン端子4との間の位置合わせが容易となる。また、下共通配線8は凹部12の上端開口OPに対向している。具体的には、基準方向Kに直交する方向Jについて、下共通配線8の電極幅W8は凹部12の上端開口OPの幅よりも狭く、上端開口OPの上部領域内に位置する。これにより、圧電体基板21の表面に他の電極が露出する場合でも、その露出する電極と下共通配線8との間の電気的な短絡を防止することができる。
【0048】
回路基板3は、更に、下面LPに複数の共通端子6と並列に基準方向Kに配列する複数の個別端子7を有し、複数のアクティブ端子5と複数の個別端子7とがそれぞれ電気的に接続する。複数の個別端子7は、複数の個別配線11とそれぞれ電気的に接続する。そして、上共通配線9はアクティブ端子5の上部を覆う。このように、上共通配線9がアクティブ端子5の後方端RE側の端部まで又は後方端RE側の端部よりも後方側にはみ出して幅広に設置されると、回路基板3の垂直方向から見る平面視でアクティブ端子5の位置を視認することができない。この場合でも、回路基板3の共通端子6とヘッドチップ2のコモン端子4の位置が同時に視認可能なので、回路基板3とヘッドチップ2の間の位置合わせを容易に行うことができる。
【0049】
より具体的に説明する。
図5(b)に示すように、ヘッドチップ2に含まれる圧電体基板21の表面には吐出溝Cと非吐出溝Dが基準方向Kに交互に配列する。吐出溝Cは圧電体基板21の前方端FEから後方端REの手前まで形成され、非吐出溝Dは圧電体基板21の前方端FEから後方端REに亘って形成される。コモン端子4は吐出溝Cの側面に設置される駆動電極KDに電気的に接続し、アクティブ端子5は吐出溝Cを挟む2つの非吐出溝Dの吐出溝Cの側の側面に設置される駆動電極KDに電気的に接続する。アクティブ端子5は圧電体基板21の後方端RE近傍の表面に設置され、アクティブ端子5の前方端FE側に凹部12が形成され、凹部12の前方端FE側にコモン端子4が設置される。コモン端子4とアクティブ端子5は凹部12を挟んで溝方向に対応し、基準方向Kに同じピッチで配列する。回路基板3に設置される共通端子6と個別端子7は、上記コモン端子4とアクティブ端子5に対応するように配置される。従って、回路基板3の共通端子6とヘッドチップ2のコモン端子4との間の位置合わせを行えば、個別端子7とアクティブ端子5も同時に位置合わせが行われる。
【0050】
非吐出溝Dの駆動電極KDは非吐出溝Dの側面と圧電体基板21の表面との角部まで形成されるが、下共通配線8と交差する側面は凹部12により下方に窪むので、下共通配線8と非吐出溝Dの駆動電極KDとは電気的に短絡しない。本実施形態においても、第二及び第三実施形態と同様に、上共通配線9はアクティブ端子5や個別端子7により制約されることなく電極幅を大きく形成できるので配線抵抗が一層低下し、局部的な電流集中が緩和されて発熱が抑制される。また、ヘッドチップ2に凹部12を形成することに代えて、回路基板3のヘッドチップ2側の表面に凹部を形成し、この凹部の底面に下共通配線8を設置してもよい。これにより、下共通配線8は圧電体基板21から離間し、下共通配線8と非吐出溝Dの側面に設置される駆動電極KDが電気的に短絡することが無い。
【0051】
ここで、回路基板3は、ガラス基板、ガラスエポキシ基板、ポリイミド等のプラスチック材料を使用したフレキシブル回路基板、等を使用することができる。共通端子6、個別端子7及び上共通配線9は、例えばCu膜\Ni膜\Au膜をメッキ法等により積層して形成することができる。貫通電極10は、回路基板3に貫通孔を形成し、この貫通孔にCu、Ni、Au、Ag等の導電材料をメッキ法等により充填して形成することができる。ヘッドチップ2は、例えばPZTセラミックス等の圧電体基板からなり、コモン端子4及びアクティブ端子5はAl、Ti、Ni、Au、Ag等の金属材料を使用することができる。コモン端子4と共通端子6との間、及び、アクティブ端子5と個別端子7との間に異方性導電材料を挟み熱圧着して電気的に接続することができる。
【0052】
図6は、上記第二〜第四実施形態に係る液体噴射ヘッド1において、下共通配線8の基準方向Kの位置における下共通配線8を流れる電流値を表す。横軸が下共通配線8の基準方向Kの位置であり、縦軸が下共通配線8を流れる電流値を表す。この電流値が小さいほど、下共通配線8の局部的な電流集中が緩和され、下共通配線8の局部的な発熱を低減することができる。なお、貫通電極10の数はコモン端子4の数よりも少ない。
【0053】
図6(a)は、上共通配線9の基準方向Kに対する配線抵抗が下共通配線8に対して十分低い場合である。ここで「配線抵抗が十分低い」とは、配線抵抗が1/10以下であることをいう(以下の記載においても同じ)。実線のグラフAは、貫通電極10の基準方向Kの設置密度が略一定の場合である。破線のグラフBは、貫通電極10の基準方向Kの設置密度が、コモン端子4の基準方向Kの配列の中央付近から両端付近に向かって高くなる場合である。貫通電極10の数はグラフAとグラフBで同一である。各グラフの頂部は貫通電極10の位置であり、谷底部は2つの貫通電極10の中間位置である。その結果、グラフBに示すコモン端子4の配列の中央付近が最も高い電流値を示す。つまり、電流集中は配列の中央付近で発生し発熱温度が最も高くなる。従って、上共通配線9が下共通配線8に対して基準方向Kの配線抵抗が十分低い場合には、貫通電極10の基準方向Kの設置密度を略一定とするのがよい。例えば、所定数のコモン端子4ごとに貫通電極10を設置すればよい。
【0054】
図6(b)は、上共通配線9の基準方向Kに対する配線抵抗が下共通配線8に対して十分低くはない場合である。実線のグラフCは、貫通電極10の基準方向Kの設置密度が略一定の場合である。破線のグラフDは、貫通電極10の基準方向Kの設置密度が、コモン端子4の基準方向Kの配列の中央付近から両端に向かって高くなる場合である。その結果、グラフCに示すコモン端子4の配列の両端付近が最も高い電流値を示す。つまり、電流集中は配列の両端付近で発生し発熱温度が最も高くなる。従って、上共通配線9が下共通配線8に対して基準方向Kの配線抵抗が十分低くない場合には、貫通電極10の基準方向Kの設置密度はコモン端子4の配列の中央付近よりも配列の両端付近を高くすればよい。
【0055】
(第五実施形態)
図7は本発明の第五実施形態に係る液体噴射装置30の模式的な斜視図である。液体噴射装置30は、液体噴射ヘッド1、1’を往復移動させる移動機構40と、液体噴射ヘッド1、1’に液体を供給し、液体噴射ヘッド1、1’から液体を排出する流路部35、35’と、流路部35、35’に連通する液体ポンプ33、33’及び液体タンク34、34’とを備えている。液体ポンプ33、33’として、流路部35、35’に液体を供給する供給ポンプとそれ以外に液体を排出する排出ポンプのいずれかもしくは両方を設置し、液体を循環させることができる。また、図示しない圧力センサーや流量センサーを設置し、液体の流量を制御することができる。液体噴射ヘッド1、1’は、第一〜第四実施形態の液体噴射ヘッド1を使用することができる。即ち、液体噴射ヘッド1は、基準方向Kに配列する複数のコモン端子4を備えるヘッドチップ2と、ヘッドチップ2に接続される回路基板3とを備える。
【0056】
液体噴射装置30は、紙等の被記録媒体44を主走査方向に搬送する一対の搬送手段41、42と、被記録媒体44に液体を噴射する液体噴射ヘッド1、1’と、液体噴射ヘッド1、1’を載置するキャリッジユニット43と、液体タンク34、34’に貯留した液体を流路部35、35’に押圧して供給する液体ポンプ33、33’と、液体噴射ヘッド1、1’を主走査方向と直交する副走査方向に走査する移動機構40とを備えている。図示しない制御部は液体噴射ヘッド1、1’、移動機構40、搬送手段41、42を制御して駆動する。
【0057】
一対の搬送手段41、42は副走査方向に延び、ローラ面を接触しながら回転するグリッドローラとピンチローラを備えている。図示しないモータによりグリッドローラとピンチローラを軸周りに移転させてローラ間に挟み込んだ被記録媒体44を主走査方向に搬送する。移動機構40は、副走査方向に延びた一対のガイドレール36、37と、一対のガイドレール36、37に沿って摺動可能なキャリッジユニット43と、キャリッジユニット43を連結し副走査方向に移動させる無端ベルト38と、この無端ベルト38を図示しないプーリを介して周回させるモータ39とを備えている。
【0058】
キャリッジユニット43は、複数の液体噴射ヘッド1、1’を載置し、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液滴を噴射する。液体タンク34、34’は対応する色の液体を貯留し、液体ポンプ33、33’、流路部35、35’を介して液体噴射ヘッド1、1’に供給する。各液体噴射ヘッド1、1’は駆動信号に応じて各色の液滴を噴射する。液体噴射ヘッド1、1’から液体を噴射させるタイミングや、キャリッジユニット43を駆動するモータ39の回転及び被記録媒体44の搬送速度を制御することにより、被記録媒体44上に任意のパターンを記録することできる。
【0059】
なお、本実施形態は、移動機構40がキャリッジユニット43と被記録媒体44を移動させて記録する液体噴射装置30であるが、これに代えて、キャリッジユニットを固定し、移動機構が被記録媒体を2次元的に移動させて記録する液体噴射装置であってもよい。つまり、移動機構は液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させるものであればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 液体噴射ヘッド
2 ヘッドチップ
3 回路基板
4 コモン端子
5 アクティブ端子
6 共通端子
7 個別端子
8 下共通配線
9 上共通配線
10 貫通電極
11 個別配線
12 凹部
LP 下面、TP 上面、K 基準方向、C 吐出溝、D 非吐出溝、KD 駆動電極、OP 上端開口