【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、課題の解決手段として、
ガスボトルからのガス出口の閉塞部材を破壊して開口させてガスを流出させるための穿孔器であって、
筒状ハウジング内に点火手段、第1ピストンおよび第2ピストンが収容されており、
前記筒状ハウジングが、
第1端部側の第1開口部、第1端部とは反対側の第2端部側の第2開口部、および周壁部に形成された第3開口部の3つの開口部を有しており、
第1開口部側に点火手段が固定され、第2開口部側がガスボトルと接続できるようになっており、第3開口部がガス排出部になるものであり、
第1ピストンおよび第2ピストンが、前記筒状ハウジングの前記点火手段側から第2開口部側に第1ピストンと第2ピストンの順に配置されているものであり、
点火手段の作動による圧力を受けたとき、第1ピストンが前記筒状ハウジング内を軸方向に移動し、第1ピストンの移動を受けて第2ピストンが前記筒状ハウジング内を第2開口部側に移動できるようになっている、穿孔器を提供する。
【0007】
本発明の穿孔器は、ガスボトルからのガス出口の閉塞部材を破壊して、充填された高圧ガスを流出させるためのものである。
ガスボトルは用途に応じて適宜選択できるものであり、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、窒素などのガスが高圧で充填されているものである。
【0008】
筒状ハウジングは、鉄、ステンレスなどの金属からなるものである。
点火手段は、公知のエアバッグ用ガス発生器などで使用されている電気式点火器、または電気式点火器と伝火薬もしくはガス発生剤の組み合わせからなるものである。
【0009】
第1ピストンと第2ピストンは、それぞれ同一外径のものもよいし、部分的に外径が異なるものでもよい。
第1ピストンと第2ピストンは、軽量化の観点から中空のものでもよい。
第1ピストンと第2ピストンは、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属からなるものが使用できるが、セラミックスでもよく、耐熱や強度が満足できれば樹脂であってもよい。また互いに同一材質のものでもよいし、異なる材質のものでもよいが、第2ピストンは、ガスボトル出口の閉塞部分を破壊できる程度の硬さを有しているものである。
第1ピストンと第2ピストンは、作動前においては互いに軸方向に接触していてもよいし、第1ピストンが第2ピストンに衝突して、第2ピストンが軸方向に移動できるのであれば離れていてもよい。
【0010】
ガス排出部は、ガスボトルからのガス出口の閉塞部分が破壊されてガスが流出したとき、ガス排出部から外部にガスを排出するためのものであるから、点火手段の取り付け部やガスボトルの接続部などを除いた残部に形成されている。
ガス排出部は、筒状ハウジングに形成された開口部でもよいし、筒状ハウジングの周壁を貫通して取り付けられた筒部材からなるものでもよい。
【0011】
本発明の穿孔器をガスボトル出口と接続した場合には、点火手段の作動によって第1ピストンが移動し、第1ピストンによって衝突され押された第2ピストンが第1ピストンと同軸上を第2開口部側に移動する。
その後、第2ピストンが閉塞部材に衝突して破壊することで、ガス出口からガスが流出する。
流出したガスは筒状ハウジング内に流入した後、第3開口部(ガス排出部)から排出される。
【0012】
上記発明の穿孔器は、
前記筒状ハウジングが、第1ピストンが移動できる第1ピストン移動空間と、第2ピストンが移動できる第2ピストン移動空間を有し、前記第1ピストン移動空間長さが、前記第2ピストン移動空間長さよりも短くなっており、
第1ピストンが最大外径(D1)部分を有し、第2ピストンが前記最大外径(D1)部分よりも外径の小さな最大外径(D2)部分を有しているものであり、
第1ピストン移動空間が、第1ピストンの最大外径(D1)部分を衝突させて軸方向への移動を停止させるための第1凸部を有し、
第2ピストン移動空間が、第2ピストンの最大外径(D2)部分を衝突させて軸方向への移動を停止させるための第2凸部を有しているものにすることができる。
【0013】
筒状ハウジング内の点火手段が取り付けられた部分を除いた残部空間が、2つのピストンの移動空間となる。
第1ピストン移動空間長さは、前記第2ピストン移動空間長さよりも短くなっている。
点火器が作動したとき、第1ピストンはその移動が途中で止まるものの、第2ピストンは第1ピストンから離れ、そのまま移動し続け閉塞部材を破壊する。
移動距離とは、作動前に各々のピストンの初期位置から、点火器作動後に各々のピストンが軸方向に最大に移動した位置間の距離をいう。
【0014】
第1ピストンと第2ピストンは、第1ピストンの最大外径(D1)部分と第2ピストンの最大外径(D2)部分は、D1>D2の関係を有している。
第1ピストンが第1ピストン移動空間を移動するとき、第1凸部に最大外径(D1)部分が当たることで移動が停止される。
第1凸部は、第1ピストンの移動を停止できるものであればよく、例えば、第1ピストン移動空間と第2ピストン移動空間の内径を変えることで形成された環状段差面、第1移動空間を形成している筒状ハウジングの内壁面から突き出された突起などを使用することができる。
第1凸部の内径(第1凸部が円周方向に形成された複数の突起の場合、第1凸部の内側先端部を結んで得られる仮想円の直径)を第1ピストンの最大外径(D1)よりも小さくすることで、第1ピストンの軸方向への移動を停止させることができる。
【0015】
第2ピストンが第2ピストン移動空間を移動するとき、第2凸部に最大外径(D2)部分が当たることで移動が停止される。
第2凸部は、第2ピストンの移動を停止できるものであればよく、例えば、第2移動空間を形成している筒状ハウジングの内壁面から突き出された突起でよい。
前記突起は、第2ピストンの移動を確実に停止させるため、周方向に均等間隔で形成された複数の突起(例えば、3〜6個)、または環状の突起が好ましい。
第2凸部となる複数の対向する突起間の間隔(第2凸部の内側先端部を結んで得られる仮想円の直径)、または環状の突起の内径を第2ピストンの最大外径(D2)よりも小さくすることで、第2ピストンの軸方向への移動を停止させることができる。
第1ピストンは第2ピストン移動空間内を移動することはないが、作動前には第2ピストンの一部(最大外径部分を含む)が第1ピストン移動空間に位置するようにしてもよい。
【0016】
点火器の作動後、第2ピストンが閉塞部材を破壊した時点で、第1ピストンと第2ピストンは離れており、加圧ガスの排出による圧力を受けて第2ピストンが第1ピストン側へ後退する。よって、加圧ガスが排出されるときに第2ピストンが邪魔にならず、瞬時に多量のガスを排出することができる。
【0017】
上記発明の穿孔器は、
前記筒状ハウジングが、第1ピストンが移動できる第1ピストン移動空間と、第2ピストンが移動できる第2ピストン移動空間を有し、前記第1ピストン移動空間長さが、前記第2ピストン移動空間長さよりも短くなっており、
第2ピストンが、最大外径(D2)部分となる第2ピストンヘッドと、第2ピストンヘッドよりも外径の小さい第2ピストンロッドを有しているものであり、
第1ピストンが、第2ピストンヘッドの最大外径(D2)よりも大きな最大外径(D1)部分を有しているものであり、
第1ピストン移動空間が、第1ピストンの最大外径(D1)部分を衝突させて軸方向への移動を停止させるための第1凸部を有し、
第2ピストン移動空間が、第2ピストンの最大外径(D2)部分となる第2ピストンヘッドを衝突させて軸方向への移動を停止させるための第2凸部を有しており、
第2ピストンが、第2ピストンヘッドの少なくとも一部が第1ピストン移動空間内にあるように配置され、第2ピストンロッドが第2凸部で支持されているものにすることができる。
【0018】
第2ピストンは、第2ピストンヘッドと、第2ピストンヘッドから延ばされた第2ピストンロッドを有しているものであり、第2ピストンヘッドが最大外径(D2)部分となり、第2ピストンロッドの外径はD2よりも小さくなっている。
第1ピストンは最大外径(D1)部分を有しており、D1>D2である。
【0019】
第1ピストンが第1ピストン移動空間を移動するとき、第1凸部に最大外径(D1)部分が当たることで移動が停止される。
第1凸部間隔を第1ピストンの最大外径(D1)よりも小さくすることで、第1ピストンの軸方向への移動を停止させることができる。
【0020】
第2ピストンが第2ピストン移動空間を移動するとき、第2凸部に最大外径(D2)部分が当たることで移動が停止される。
第2凸部の間隔を第2ピストンの最大外径(D2)よりも小さくすることで、第2ピストンの軸方向への移動を停止させることができる。
作動時において、第2ピストンは第1ピストンの移動を受けて(第1ピストンによって衝突され)軸方向に移動するものであるから、第2ピストンヘッドの最大外径部分(D2)は、第1凸部の間隔よりも小さくなっている。
【0021】
作動前には、第2ピストンロッドは第2凸部で支持されている。
ここで、第2ピストンロッドが第2凸部で支持されているということは、第2ピストンロッドの外周面の一部または全部が第2凸部に対してスライド可能に接触している状態を意味するものである。
このような状態に保持することで、作動前において第2ピストンを支持することができ、作動前後において第2ピストンロッドの中心軸が半径方向にずれることもなくなる。
【0022】
上記発明の穿孔器は、
前記第第2ピストンヘッドが、作動時に破断可能なストッパ部材で筒状ハウジングの内壁面に対して保持され、第2ピストンヘッドの少なくとも一部が第1ピストン移動空間にあるように配置されているものにすることができる。
【0023】
このようなストッパ部材により第2ピストンヘッドを保持することで、作動前において第2ピストンが第2開口部側に移動することを完全に防止することができる。
ストッパ部材は、第2ピストンヘッドから突き出された複数の樹脂製突起の組み合わせ、または第1ピストン移動空間を形成する筒状ハウジングの内壁面から突き出された複数の樹脂製突起の組み合わせなどを使用することができる。
ストッパ部材は、作動前には第2ピストンの移動を阻止し、作動時には容易に折れ曲がったり、破断したりして、第2ピストンを移動させるものである。
【0024】
本発明は、課題の他の解決手段として、
ガスボトルからのガス出口の閉塞部材を破壊して開口させてガスを流出させるための穿孔器であって、
ハウジング内に点火手段、第1ピストンおよび第2ピストンが収容されており、
前記ハウジングが、
第1筒状ハウジングと第2筒状ハウジングの組み合わせからなるものであり、
一端が開口され、他端が閉塞された第1筒状ハウジングの周壁面を貫通して、両端が開口された第2筒状ハウジングが接続されたものであり、
第1筒状ハウジングに形成された第1開口部と、第2筒状ハウジングの第1筒状ハウジングとの接続部と軸方向の反対側に形成された第2開口部、第2筒状ハウジングの周壁面に形成された第3開口部の3つの開口部を有しているものであり、
第1開口部側に点火手段が固定され、第2開口部側がガスボトルと接続できるようになっており、第3開口部がガス排出部になるものであり、
第1ピストンが、第1ピストンヘッドと第1ピストンヘッドから延ばされた第1ピストンロッドからなり、第1ピストンロッドの先端面が第1傾斜面を有しているものであり、
第2ピストンが、第2ピストンヘッドと第2ピストンヘッドから延ばされた第2ピストンロッドからなり、第2ピストンヘッドの底面が第1傾斜面と当接できる形状の第2傾斜面を有しているものであり、
前記ハウジング内において、
第1ピストンが、第1ピストンヘッドが前記点火手段側になるように第1筒状ハウジング内に配置され、
第2ピストンが、第2ピストンヘッドが第1筒状ハウジング内に位置し、第2ピストンロッドが第2筒状ハウジング内に位置するように配置され、
さらに第1ピストンの第1傾斜面と第2ピストンの第2傾斜面が間隔をおいて軸方向に対向するように配置されているものであり、
点火手段の作動による圧力を受けたとき、第1ピストンが第1筒状ハウジング内を軸方向に移動して、第1ピストンの第1傾斜面が第2ピストンの第2傾斜面に衝突することで、第2ピストンが第2筒状ハウジング内を軸方向に移動できるようになっている、穿孔器を提供する。
【0025】
ハウジングは、第1筒状ハウジングと第2筒状ハウジングが平面形状で「T字型」に組み合わされたものであり、第1筒状ハウジングと第2筒状ハウジングは、互いの中心軸が直交するように組み合わされているのが好ましい。ただし、2つのハウジングの軸同士が約45°から約135°の間で傾斜していてもよい。
第1筒状ハウジングと第2筒状ハウジングは同一材質からなり、鉄、ステンレスなどの金属からなるものである。第1筒状ハウジングと第2筒状ハウジングは、一体に形成されたものでも、別部材を溶接などで組み合わせたものでもよい。
【0026】
第1ピストンは第1筒状ハウジング内に配置されており、第2ピストンは、少なくとも第2ピストンロッドが第2筒状ハウジング内に配置されているものであることから、第1ピストン(第1ピストンロッド)の中心軸と第2ピストン(第2ピストンロッド)の中心軸がなす角度は、各々のハウジング軸の交差角と同じである。
第1ピストンは、第1筒状ハウジング内を移動するものであるため、第1筒状ハウジング内が第1ピストン移動空間となる。
第2ピストンは、第2筒状ハウジング内を移動するものであるため、第2筒状ハウジング内が第2ピストン移動空間となる。
【0027】
第1ピストンロッドの先端面は第1傾斜面であり、第2ピストンヘッドの底面は第2傾斜面であり、互いに当接できる形状になっている。
第1ピストン(第1筒状ハウジング)の中心軸と第2ピストン(第2筒状ハウジング)の中心軸が直交しているとき、第1傾斜面と第2傾斜面は、いずれも軸方向に対して45度(1/2×90度)程度の角度からなる斜面であることが好ましい。
なお、第1ピストン(第1筒状ハウジング)の中心軸と第2ピストン(第2筒状ハウジング)の中心軸がなす角度が角度αであるとき、第1傾斜面と第2傾斜面は、いずれも軸方向に対して1/2×α度程度の角度からなる斜面であることが好ましい。
第1ピストンの第1傾斜面と第2ピストンの第2傾斜面は、間隔をおいて、あるいは当接した状態で対向するように配置されている。
このため、作動時に第1ピストン(第1ピストンロッド)が移動したとき、第1傾斜面が第2ピストン(第2ピストンヘッドの底面)である第2傾斜面に当たると、第2ピストンは、第1ピストンの移動方向とは異なる方向(第2筒状ハウジングの軸方向)に移動する。
【0028】
本発明の穿孔器をガスボトルと接続した場合には、点火手段の作動によって第1ピストンが第1筒状ハウジング内を移動し、第1ピストンに押された第2ピストンが第2筒状ハウジング内を移動する。
その後、第2ピストンがガスボトルのガス出口の閉塞部材に衝突して破壊することで、ガスボトル出口からガスが流出する。
流出したガスは第2筒状ハウジング内に流入した後、第3開口部であるガス排出部から排出される。
【0029】
上記した各発明の穿孔器は、使用するガスボトルによって、第2開口部が開放状態であるもの、または第2開口部が閉塞状態であるものを使用することができる。
ガスが高圧充填されたガスボトル(ガスボトルのガス出口が閉塞部材で閉塞されているもの)を使用するときには、第2開口部が開放状態のものを使用する。
ガスが充填されていないが、ガス出口が閉塞されているガスボトルを使用するときには、第2開口部が開放状態のものを使用する。
ガスが充填されておらず、ガス出口も閉塞されていないガスボトルを使用するときは、ガスボトルのガス出口を閉塞する代わりに、第2開口部を閉塞部材で閉塞する。
ガスが充填されていないガスボトルは、穿孔器に取り付けた後、ガスを充填する。
【0030】
本発明は、他の課題の解決手段として、
上記穿孔器とガスボトルが組み合わされたガス排出装置であって、
前記穿孔器のハウジングの第2開口部側に前記ガスボトルが接続されている、ガス排出装置を提供する。
【0031】
ガスボトルは、予め内部にガスが高圧充填されたものでもよいし、穿孔器とガスボトルを接続した後でガスボトル内にガスを充填するものでもよい。
ガスボトル内にガスを充填する方法としては、例えば、ガスボトルに形成されたガス注入孔に閉塞ピンを浅く差し込んだ状態で、ガス注入孔と閉塞ピンの隙間からガス注入器(例えば、注射針状のガス注入手段を備えているもの)を差し込んでガスを注入し、注入後はガス注入器を抜き、閉塞ピンを深く差し込んだ後、閉塞ピンとガスボトルを溶接一体化する方法を適用できる。
【0032】
筒状ハウジング(または第2筒状ハウジング)の第2開口部とガスボトルのガス出口を接続するときの接続方法は特に制限されるものではない。
例えば、第2開口部の内周壁に形成されたネジ部とガス出口の外周壁に形成されたネジ部をネジ合わせる方法、第2開口部の内側にガス出口を嵌め込んだ後、溶接する方法などを適用することができる。
【0033】
ガス排出装置は、エアバッグのような膨張可能なものの内部にガスを注入して膨張させる用途、膨張しないものの内部にガスを注入する用途、ガスの圧力を駆動源とする用途、ガスを吹き付ける用途などに使用することができる。