(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送受信部は、さらに他の中継器と互いに無線通信し、他の中継器が送信したイベント情報を受信したとき、前記制御部は、当該イベント情報を前記記憶部に格納するとともに前記送受信部から前記火災受信機へ送信させるように制御する請求項1に記載の中継器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1を
図1〜
図9に基いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における防災設備構成機器の構成を示す図である。
火災受信機1は、無線通信を行うためのアンテナ11と送受信部12と、前記送受信部12を制御し、受信したイベント情報等によって後述する表示操作部15等の内部制御を行うと共に、所定の連動動作や手動操作に応じた制御信号や、無線中継装置に対する通信制御信号等を送受信部12に対して送出する制御部13と、無線中継通信を行うために予め探索して収集した通信経路情報、予め定められた連動情報、受信したイベント情報等を記憶する記憶部14と、防災設備全体の状態を示し、火災受信機自体を操作したり端末機器を遠隔操作するための表示操作部15とを備える。
【0010】
この火災受信機1は、共同住宅管理室や共同住宅内に開設されるグループホーム等の福祉施設の管理室等の集中監視制御を行う場所に設置され、各端末装置からのイベント情報によって、警報を発し、イベント発信箇所やその内容を表示する。また、火災が発生した場合には、自動的に連動して、後述する地区音響装置を遠隔制御で鳴動させて住民等に火災発報の事態を警告する動作を行う。さらに、図示しないが、自動的に連動して、又は手動操作で、防火・防煙・排煙等の端末機器を遠隔で作動させる。なお、火災受信機1は本発明の集中監視制御装置に相当する。
【0011】
火災感知器2は、無線通信を行うためのアンテナ21と送受信部22と、煙や熱などの物理的現象によって火災を感知する火災感知部25と、イベント情報を記憶する記憶部24と、前記火災感知部25の作動によって生じた火災発報というイベントの情報を前記送受信部22へ送出すると共に、前記記憶部24へ格納し、火災確認灯点灯などの内部制御を行い、また、受信した試験等の制御信号によって内部試験等を制御する制御部23とを備える。また、火災感知器2は、室外中継器3を介して受信した信号により、状態信号を適時返信し、遠隔点検を行ってその結果を返信する機能も有する。
この火災感知器2は、区画された警戒区域毎に火災感知に適切な場所に必要な数を配設し、後述する室外中継器3と無線通信で情報交換を行う。
【0012】
室外中継器3は、無線通信を行うためのアンテナ31と送受信部32と、イベント情報等を記憶する記憶部34と、前記送受信部32を制御し、火災感知器2との通信を行い、受信したイベント情報を前記記憶部34へ格納し、他の無線中継装置との中継通信を制御する制御部33と、を備える。
この室外中継器3は、他の無線中継装置と室内に配設される火災感知器2等の防災機器とを結び、本発明の第1の中継器として作用する。
【0013】
幹線中継器4は、無線通信を行うためのアンテナ41と送受信部42と、イベント情報等を記憶する記憶部44と、前記送受信部42を制御し、隣接した無線中継装置から受信したイベント情報を前記記憶部44へ格納し、他の無線中継装置との中継通信を制御する制御部43とを備え、前記室外中継器3と後述する地区音響装置5等の無線中継装置で無線中継通信が届かない場所等に配設して用いられる、本発明の第2の中継器として作用する。また、幹線中継器4は、複数の通信経路を確保する目的で適宜配設される。
【0014】
地区音響装置5は、無線通信を行うためのアンテナ51と送受信部52と、火災受信機1から発した指令信号によって鳴動する音響装置55と、イベント情報を記憶する記憶部54と、前記送受信部52を制御し、隣接した無線中継装置から受信したイベント情報を前記記憶部54へ格納し、他の無線中継装置との中継通信を制御する制御部53とを備え、廊下等の共用部分に適切に配設し、火災発生時に鳴動して住民等に事態を警報する音響装置として作用すると共に、前記幹線中継器4と同様の無線中継通信を行う本発明の第2の中継器としても作用する。
【0015】
次に、上記の防災設備構成装置を3階建の共同住宅に設置した配置例を
図2及び
図3に示す。
図2は各階毎の平面図、
図3は建物の垂直断面図である。
ここでは、火災受信機1を管理室に、火災感知器2を各住戸、管理室、ロビー、階段室最上部、及び廊下に、室外中継器3を前記火災感知器2に対応させて、それぞれ、各住戸のベランダ等の屋外、管理室直近の屋外、玄関口等のロビー直近の屋外、階段室最上部若しくはその直近の廊下、及び廊下又はその直近の階段室に、幹線中継器4を他に無線中継装置が存在しない階段室踊り場に、地区音響装置5を各階廊下に設置している。
【0016】
これらの防災設備構成機器間の無線中継通信経路の一例を
図4及び
図5に示す。
図4は各階毎の平面図、
図5は建物の各部における垂直断面図である。なお、この建物の共有廊下は、屋外に開放された開放型廊下ではなく、屋内に設けられた場合としている。
火災感知器2は、各々対応する室外中継器3と個別に破線の矢線で結んだ経路で通信を行う。室外中継器3は、隣接する複数の警戒区域、すなわち複数の居室と通信を行っても良いが、ここでは簡便のため、隣接する他の装置とは通信しないものとする。管理室に配置した火災受信機1と室外中継器3との通信も同様である。
【0017】
屋外に配設した室外中継器3は、隣接する室外中継器3同士と、矢線で結んだメッシュ状の経路で通信を行う。なお、無線通信の到達距離によっては、隣接する室外中継器3よりも遠い室外中継器3、あるいは屋内の無線中継装置と通信を行っても良いが、ここで簡便のため、隣接する屋外の室外中継器3同士の間でのみ中継通信が行われるものとする。ただし、火災受信機1とその直近の室外中継器3とは必ず通信を行うものとする。
【0018】
屋内に配設した室外中継器3は、各階廊下に配設した火災感知器2及び地区音響装置5と各々対応して配設すると共に、各階の間を階段室の空間経由で無線中継するよう、階段室の各階部分又は踊り場に配設する。対応する火災感知器2とは破線の矢線で結んだ経路で、他の無線中継装置とは実線の矢線で結んだ経路で、それぞれ通信を行う。
【0019】
屋内に配設した幹線中継器4は、右側階段室の空間を利用した垂直方向の通信経路において、前記室外中継器3が配設されず、無線中継通信の空白地帯となる右側階段室の低層階部分、又はその近傍の踊り場に配設され、前記通信経路を補完する。
地区音響装置5は、各階に設けて居住者へ火災発生を知らせると共に、2つの階段室を利用した垂直方向の通信経路を水平方向に結ぶ通信経路としても作用する。なお、この建物の共通廊下が開放型廊下の場合は、各階の廊下に設置された、前記室外中継器3及び地区音響装置5が階をまたいで垂直方向に通信する経路が加わる。
【0020】
以上で述べた防災設備について、火災発報時の動作例を
図6及び
図7に示す。ここでは、便宜上、202号室で火災が発生したものとする。
202号室の火災感知器2は、火災感知部25が感知し、制御部23はこの火災発報イベントを情報として記憶部24に格納すると共に、送受信部22へ信号を送出し、アンテナ21から火災発報信号を電波で発信し、同室屋外部分に設置された室外中継器3に対し、火災発報信号を無線通信で伝達する。なお、前記火災感知器2と前記室外中継器3とは、警戒区域毎に固有の識別情報を保有させ、これによって他室との混信を防止するようにしても良い。
【0021】
前記火災発報信号を受信した前記室外中継器3は、まずアンテナ31で当該電波を受信し、送受信部32で火災発報イベント情報を取り出して制御部33へ送り、制御部33は前記火災発報イベントを記憶部34へ格納すると共に、前記送受信部32を経由してアンテナ31から隣接する他の室外中継器3に対して、前記火災発報イベント情報に発生場所を特定するための固有の識別情報を加えた信号電波を送信する。また、隣接する室外中継器3を経由した再送要求があれば、記憶部34に格納されている火災発報イベント情報を読み出して、上記と同様の信号電波を再送する。
【0022】
なお、前記信号電波の送信は、火災感知器2からの火災発報信号の受信した後に同じアンテナ31を経由して行うので、このときまでに火災感知器2との相互通信において、通信の成立とそれに伴う通信終了を伝達し、火災感知器2からの信号電波送出を停止させることが望ましい。これによって、室外中継器3は迅速に次の送信動作に移行することができると共に、火災感知器2の電力消費を低減させることができる。
【0023】
前記室外中継器3と隣接する他の室外中継器3は、このケースでは、201号室の屋外、ロビー直近の屋外、管理室直近の屋外、のそれぞれに設置された3台が該当する。もちろん、隣接するその他の室外中継器等へ向けても信号電波は送信されるが、これらから無線中継される信号電波は、必ず前記3台の室外中継器を経由しないと管理室に設置された火災受信機に伝達されない。ここで、室外中継器3は、自機が発信した信号と同一の信号を中継通信しないように動作させると、これらの不要な信号電波を排除し、無駄な無線中継をしないで済む。これによって、輻輳を低減して安定な無線通信を行うことができ、室外中継器3の電力消費を低減する効果がある。特に、室外中継器3等の防災設備構成装置が電池を電源としている場合には、電池の消耗を防止することができる。
【0024】
信号電波を受信した前記3台の室外中継器3は、それぞれ、アンテナ31で当該電波を受信し、送受信部32で火災発報イベント情報を取り出して制御部33へ送り、制御部33は前記火災発報イベントを記憶部34へ格納すると共に、前記送受信部32を経由してアンテナ31から隣接する他の室外中継器3又は火災受信機1に対して、前記信号電波を中継しようとすることになる。
【0025】
ただし、この場合には、火災受信機1へ中継通信を行う最終中継箇所である管理室直近屋外の室外中継器3は、既に202号室屋外の室外中継器3からの信号電波を受信中であるので、その他の2台の室外中継器3は混信を防止するために信号電波の発信を行うべきではない。このことは、隣接する室外中継器3等の無線中継装置が送信している最中は、送信をしない制御を行うことで解決できる面もある。しかしながら、202号室屋外の室外中継器3から管理室直近屋外の室外中継器3への送信が完了した後に、管理室直近屋外の室外中継器3が火災受信機1に対して送信する段階で、他の2台の室外中継器が信号電波を発信して、信号電波が衝突することを回避することも必要である。このことは、送信する側が送信要求信号を送信し、これを受けた受信側が同期信号を送信し、送信と受信を間欠的に行い、その受信期間を時分割してタイムスロットを設け、各機器毎に異なるタイムスロットを割り当てることによって解決する。
【0026】
以上のように、最終中継箇所である管理室直近屋外の室外中継器は、火災受信機1に対して無線中継通信を行うことができる。
管理室に設置した火災受信機1は、アンテナ11で信号電波を受信し、送受信部12で火災発報イベント情報を取り出して制御部13へ送り、制御部13は前記火災発報イベントを記憶部14へ格納すると共に、表示操作部15を制御し、火災発報の発生及びその発生箇所を表示し、主音響装置を鳴動させて、非常事態の発生を警報する。
【0027】
次に、火災発報後の建物内における火災警報時の動作例を
図8及び
図9に示す。ここでは、便宜のため、これまで説明してきた火災発報時の動作の続きとして説明する。
前記の如く、202号室での火災発報を受信した火災受信機1が、出火階及び直上階の地区音響装置を鳴動させる制御を行うものとする。実際には、図示しないが、火災発報と連動して、あるいは手動操作で、防火扉、防火シャッター、防火ダンパー、排煙装置、等の防火・防煙・排煙設備の端末機器をも遠隔制御することがあるが、制御対象が異なるものの、これらの動作はここで説明する地区音響装置の制御と同様なので省略する。
【0028】
202号室での火災発報を受信した火災受信機1は、出火階が2階であり、その直上階が3階であることを判断する。したがって、本ケースでは、地区音響装置5のうち、2階及び3階の廊下に配設したものを鳴動させる。
火災受信機1は、予め探索して記憶していた通信経路情報を検索して、目的の端末装置までの最適な通信経路を決定し、目的とする端末機器固有の識別情報を含んだ経路情報と制御内容を含む信号電波を、経路情報にしたがって送信する。これを受信した無線中継装置は、受信した信号情報に含まれる経路情報に自機の識別情報が含まれている場合に、その経路情報に基いて、次の無線中継装置へ信号を中継する。
【0029】
このケースの場合には、次の2経路が定まる。
まず、第1の経路は、2階廊下の地区音響装置5を鳴動させる制御信号の中継通信経路として、「左側階段室1階部分の室外中継器3」、「左側階段室2階部分の室外中継器3」、「2階廊下の地区音響装置5」である。同様に、第2の経路は、「左側階段室1階部分の室外中継器3」、「左側階段室2階部分の室外中継器3」、「左側階段室3階部分の室外中継器3」、「3階廊下の地区音響装置5」である。
【0030】
この経路情報に従い、火災受信機1は、左側階段室1階部分の室外中継器3に対して、2つの端末機器を制御する信号電波を発する。隣接する他の無線中継装置がこれを受信しても、信号に含まれる経路情報に自機固有の識別情報が存在していない場合は何もせずに無視する。
【0031】
左側階段室1階部分の室外中継器3は、前記信号電波をアンテナ31で受信し、送受信部32で信号電波に含まれる経路情報と制御内容を読み出し、制御部33へ送る。制御部33は経路情報に自機固有の識別情報が含まれていることから、自らが何らかのアクションを起こすべきものであることを認識し、経路情報の最後尾の識別情報と制御内容から、経路情報に従って中継通信を行う指令を受けたものと判断する。そして、受信した信号電波と同一の情報を再送信することによって中継通信を行う。
【0032】
次に、左側階段室2階部分の室外中継器3が、上記と同様に動作する。隣接する無線中継装置が信号電波を受信しても、信号に含まれる経路情報に自機固有の識別情報が存在していない場合は何もせずに無視することも同様である。ただし、これ以降は制御目的の端末装置に向けて経路が分岐する。
【0033】
第1の経路については、目的である2階廊下の地区音響装置5に信号電波が到達する。すなわち、該地区音響装置は、アンテナ51で信号電波を受信し、送受信部52で経路情報と制御内容を読み出し、制御部53へ送る。これを受けた制御部53は、前記情報を記憶部54に記憶すると共に、自機固有の識別情報が経路情報の最終情報であること、及び制御内容が音響鳴動であることから、自機の音響装置55を鳴動させる。
【0034】
第2の経路については、左側階段室3階部分の室外中継器3を経由して、目的である3階廊下の地区音響装置5に信号電波が到達し、前記2階廊下の地区音響装置と同様に鳴動する。
【0035】
このようにして鳴動した地区音響装置は、作動確認情報を火災受信機に対して返信する。すなわち、自機の記憶部54に記憶した経路情報の順序を反転させ、これに制御完了の情報を加えて、信号電波にして送信する。
この信号電波を受信した経路上の無線中継装置は、地区音響鳴動の指令時と逆の経路を辿り、火災受信機1に指令が届いて実行されたことを認識させるのである。
【0036】
ところで、万一、これらの中継通信経路上で突発的な電波障害や無線中継装置の故障で目的の地区音響装置が動作しなかった場合は、前記作動確認情報が返送されてこない。この場合には、火災受信機1は記憶する経路情報から他の通信経路を検索し、これによる遠隔制御を試みるようにする。この場合は、経路上のどこかで右側階段室部分の幹線中継器4又は室外中継器3を経由する経路が指令されることになる。このように、複数の無線中継経路を確保できるように、予め無線中継装置を配設しておくことによって、本発明の防災設備は高い冗長性を有し、確実な動作を行うことができる。
【0037】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2を
図10〜
図12に基いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態2における防災設備構成機器の構成を示す図である。
図1に示した実施の形態1と同一の構成のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
管理室制御盤10は、実施の形態1における火災受信機1に相当するもので、火災発報情報を表示、警報すると共に、後述する集合玄関機70を介した電気錠の制御、前記集合玄関機70からの呼出制御及び音声信号の授受、各居室に配設する、後述する単回線の火災受信機との音声信号の授受の機能を有するものとする。なお、管理室制御盤10は、本発明の集中監視制御装置に相当する。
アンテナ101、送受信部102、制御部103、記憶部104、表示操作部105はそれぞれ火災受信機1と同等なので、説明を省略する。
火災感知器2は、実施の形態1で
図1に示したものと同一なので説明を省略する。
火災受信機60は、区画された警戒区域内に設置するものであり、具体的には各居室内に設置する単回線の火災受信機である。同じ居室内に設置された火災感知器2と無線通信を行う点では、実施の形態1に示した室外中継器3と同じである。
【0038】
なお、この火災受信機60は日本国内の技術上の規格ではP型3級受信機、もしくはGP型3級受信機と称される防災設備の装置に属し、住宅情報盤と称されるインターホン機能を有する装置の中で自動火災報知設備の機能を有するものに限定され、単なるインターホンとは異なる装置である。後述するドアホン30とは有線で通信を行うが、図示しないもののドアホンとの通信を無線で行っても良い。ここでは便宜上、ドアホン30とは有線で通信するものとして説明する。
【0039】
この火災受信機60は、火災感知器2と信号電波の送受信を行うアンテナ601と、前記アンテナ601を介した前記火災感知器2との無線通信を担い、受信した火災発報信号等を制御部603へ送り、制御部から受ける遠隔試験や状態情報要求等の制御信号を火災感知器2に対して送信する送受信部602と、発生したイベント情報等を記憶する記憶部604と、ドアホン30又は集合玄関機70からの呼出を表示し、これを音響で知らせ、また火災等の状態を表示し、非常釦等の操作を行う表示操作部605と、前記ドアホン30又は前記集合玄関機70との通話を行う通話部606と、これら全ての制御を行い、かつ、ドアホンと有線接続して通信を行う制御部603とを備える。
【0040】
ドアホン30は、各居室毎にその玄関外に設けられるインターホン用の装置ではあるが、ここでは実施の形態1で示した室外中継器3の無線中継通信の機能を内蔵させて用いるものとする。すなわち、ドアホン30は、無線中継通信を行うための、アンテナ301と、送受信部302と、記憶部304と、これらを制御する制御部303と、を備えると共に、前記制御部303は居室内に設置した火災受信機60と有線接続して、火災発報等のイベント情報、火災感知器2に対する遠隔制御信号の授受を行い、さらにドアホンとして、操作部305と、通話部306と、撮像部307と、を備え、前記火災受信機60と有線で接続する。なお、ドアホン30は、インターホン関連機能の中継通信をパケット通信で扱う機能も備える。
【0041】
幹線中継器40は、実施の形態1で
図1に示した幹線中継器4とほぼ同一なので詳細な説明は省略するが、インターホン関連機能の中継通信をパケット通信で扱う点のみ異なる。
集合玄関機70は、各居室に設置された任意の火災受信機60を選択して呼出信号、映像信号を送信し、音声信号を送受信して通話を行う。また、集合玄関機70は、管理室制御盤10、又は各居室に設置された火災受信機60からの制御信号によって、集合玄関扉の解錠等の制御を行う。
集合玄関機70は、これらを無線で通信するために、アンテナ701と、送受信部702と、制御部703と、記憶部704とを備え、さらに集合玄関機のインターフェース装置として、操作部705、通話部706、撮像部707とを備える。また、図示しないが、制御部703は、集合玄関扉の制御を行う為の電気錠に接続される。
【0042】
次に、上記の防災設備構成装置を3階建の共同住宅に設置した配置例を
図11に示す。管理室制御盤10を管理室に、火災感知器2を各居室内の天井面に、火災受信機60を各居室内の壁面に、ドアホン30を各居室毎にその玄関外の壁面に、集合玄関機70を集合玄関の直近に、幹線中継器40を階段室内の各階部分又はその直近の踊り場と、1階ロビーに、それぞれ配設したものとする。なお、この建物の共通廊下は、屋外に開放された開放廊下ではなく、屋内に設けられた場合としている。
【0043】
この実施の形態2における無線中継通信の経路の例を
図12に示す。実施の形態1と異なる点は、各居室に設置した火災感知器2と直接通信を行う火災受信機60を同一居室内に配置して、この間の通信がより確実に行えるようにしたこと、実施の形態1に示した室外中継器3の無線中継機能をドアホン30に内蔵し、これと火災受信機60との通信を有線接続によってより確実にしたこと、無線中継装置をすべて屋内に配置したこと、である。
また、実施の形態1に示した自動火災報知設備としての機能に加えて、インターホン設備としての機能を兼ね備えた点が、機能面では異なる。パケット通信によって各種の信号を多重化して通信することによって、より情報量の多いインターホン設備としての機能を有することを可能とし、さらに、パケットを複数経路に流すことによって伝送速度を増し、映像信号等の大きな情報を扱えるようにするものである。
【0044】
このようにして、既設電路が無い建築物、特に古い共同住宅等に、新たな電路を敷設することなく、自動火災報知設備及び集合玄関型でオートロックの機能を有するようなインターホン設備を構築することができる。新たに電路工事を行う必要が無いので、大規模な改修工事を行う必要がなく、工事費を低減することができると共に、既に居住している住民の精神的な負担をも低減することができる。