(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作周波数を変化させる前記ステップが、各期間の一部では前記動作周波数を維持することと、各期間の残りの部分では同調周波数に戻ることとを含む、請求項3に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
誘導電力伝送(IPT)システムは、複数の用途で知られ、使用されている。IPT技術は、効率が高く(通常は85〜90%)、劣悪な環境で動作可能であり、埃および湿気による影響を受けない。
【0003】
典型的なIPTシステムは、3つの主な構成要素、すなわち、AC電源と、電源に電気結合されたプライマリ導電経路、コイルまたはパッドと、使用時に負荷に動力を供給するためのプライマリ巻線に誘導結合される少なくとも1つの電気的に分離したピックアップとで構成される。一般に、電源およびプライマリ巻線は、IPTシステムのプライマリ側、ピックアップおよび関連する負荷は、システムのセカンダリ側と呼ばれる。
【0004】
従来、電源が、電源回路網(一般に「グリッド」と呼ばれる)に電気結合されており、グリッドから負荷への非接触単方向電力伝送のため、プライマリ巻線にエネルギー供給するために使用される。ACまたはグリッド電源からのコンバータによってプライマリ巻線にエネルギー供給して、プライマリ巻線中に高周波AC電流が生成され、その結果、プライマリ巻線の周りに継続的に変化する磁界が発生する。エアギャップによってプライマリ巻線から離隔したそのまたは各々のピックアップは、ファラデーの電磁誘導の法則にしたがってコイルを通過する磁束を変化させることによって電圧が誘起され、それにより非接触電力伝送を達成するコイルを含む。
【0005】
一般に、電力を供給するのはプライマリ側のみであるので、単方向IPTシステムにおける電力潮流を制御するためには、プライマリ側のインバータとして働くコンバータと、ピックアップ側の単純なスイッチモードレギュレータとで十分である。
【0006】
双方向IPTシステムは、例えば、グリッドに対する負荷を平衡化することを目的とする「非接触」二方向電力伝送が望ましい電気自動車(EV)システムおよびビークルツーグリッド(V2G)システムのような適用例には理想的である。
【0007】
しかしながら、双方向IPTシステムの電力潮流は、単方向システムと比較してより洗練された制御策を使用して調整されていなければならない。
【0008】
単方向IPTシステムとは対照的に、双方向IPTシステムのプライマリ側とピックアップ側の両方は、ソースまたはシンクにいずれかとして働くように構成されなければならない。したがって、電力潮流の方向に応じて、AC−DC電力変換またはDC−AC電力変換を容易にするために、システムの両側に同一または同様のコンバータトポロジーが必要とされる。
【0009】
任意の所与の電力レベルについてのコンバータのVA定格を最小限に抑えるために、並列補償または直列補償は、通常、プライマリおよびピックアップのコイルインダクタンスを提供する。したがって、双方向IPTシステムは、高次共振回路網であり、より洗練されたロバストな制御を必要とする。
【0010】
電力潮流の量および方向は通常、専用のコントローラを使用して、コンバータによって生成された電圧の相対位相または大きさのいずれかの制御によって制御される。しかしながら、ロバストな機構には、その電力定格を超えることなく、一方側からの電力需要を供給側によって満たすことができることを保証することが不可欠である。
【0011】
並列補償型IPTシステムにおいて採用されるコンバータは、当然、電流源として挙動する。そのようなシステムにおいて、ソース側の動作をその最大電力レベルまたは定格電力レベルに制限することは、特に、ピックアップの需要がソース側コンバータの電力処理能力を超えるときには、常に課題が多かった。主要な例は、2つの側の間の磁気結合が改善するとき、あるいは、電気自動車(EV)が充電ベイで充電される場合の様に電力需要が変化するピックアップに単一のプライマリコンバータによって応じるべきときに生じる。その上、複数のピックアップの間で電力伝達の共有することおよび優先順位を付けることもまた、任意の所与の入力電力についての課題と見なされ得る。
【0012】
プライマリよって供給される電力は、過度な電力需要が検出されると、プライマリコイルまたはトラック電流を低下させることによって制限され得る。しかし、この方策は、他のピックアップへの電力送達を損なうので、マルチピックアップIPTシステムに適さない。その上、より低いトラック電流を使用するシングルピックアップIPTシステムは、比較的高いQ係数で動作し、循環エネルギーの増加につながり、システムは構成要素許容差をより受けやすくなる。
【0013】
代替的な解決策は、プライマリ側と、1つのピックアップまたは複数のピックアップのそれぞれとの間で、専用のワイヤレス通信インターフェースを採用することである。次いで、プライマリの最大電力能力を、ワイヤレスインターフェースを介してピックアップにリレーすることができ、パワーインテークが制限されなければならないことが必要となる。しかしながら、そのようなワイヤレスインターフェースは、追加のハードウェアおよびソフトウェアを必要とするので、構成要素数および複雑性に関して明らかにコストがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、従来技術の1以上の課題を克服するまたは改善する方法および/または装置を提供すること、あるいは少なくとも、有用な選択肢を公に提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、以下の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、広範には、プライマリ側とセカンダリ側とを有する誘導電力伝送(IPT)システムにおいて使用するための負荷制御方法にあると言うことができ、当該方法は、
プライマリ側において、プライマリ側とセカンダリ側との間の電力伝送を感知するステップと、
電力伝送とプライマリ側の力の給電能力との差に比例して、プライマリ側の電力変換装置の動作周波数を同調周波数に対して変化させるステップと、
セカンダリ側において、動作周波数の前記変化を感知するステップと、
セカンダリ側において、プライマリ側の給電能力を超えないように、動作周波数の前記変化に比例して前記電力伝送を調整するステップと、
を含む。
【0017】
好ましくは、動作周波数を変化させるステップは、動作周波数を一連の増分ステップで変化させることを含む。
【0018】
好ましくは、動作周波数を変化させるステップは、動作周波数を周期的に変化させることを含む。
【0019】
好ましくは、前記動作周波数は、前記周期的変化の全期間にわたって維持される。
【0020】
代替的には、前記動作周波数は、各期間の一部では維持され、当該ステップが、各期間の残りの部分では同調周波数に戻ることを含む。
【0021】
好ましくは、同調周波数は、プライマリ側とセカンダリ側との両者の共振回路が同調される周波数である。
【0022】
好ましくは、同調周波数は、10kHz〜100kHzである。
【0023】
好ましくは、同調周波数は、同調周波数の所定の範囲内で変化する。
【0024】
好ましくは、この所定の範囲は、コンバータのVA定格を最小限に抑えるために、実質的に±1kHzまたは同様の範囲である。
【0025】
第2の態様において、本発明は、広範には、誘導電力伝送(IPT)システムのプライマリ側電力コンバータにおいて使用するための制御方法にあると言うことができ、当該方法は、
使用時に、プライマリ側電力コンバータとプライマリ側電力コンバータを誘導結合可能な1以上のIPTピックアップとの間の電力伝送を感知するステップと、
電力伝送とプライマリ側電力コンバータの給電能力との差に比例して、プライマリ側電力コンバータの動作周波数を同調周波数に対して変化させ、それにより、前記ピックアップのそれぞれによって前記変化が感知され、前記電力伝送が調整される、ステップと、
を含む。
【0026】
好ましくは、動作周波数を変化させるためのステップは、動作周波数を増分ステップで変化させることを含む。
【0027】
好ましくは、動作周波数を変化させるステップは、動作周波数を周期的に変化させることを含む。
【0028】
好ましくは、動作周波数を変化させるステップは、各期間の一部では動作周波数を維持することと、各期間の残りの部分では同調周波数に戻ることとを含む。
【0029】
好ましくは、同調周波数は、プライマリ側とセカンダリ側との両者の共振回路が同調される周波数である。
【0030】
好ましくは、当該方法は、電力伝送を継続的に監視することを含む。
【0031】
代替的には、当該方法は、電力伝送を周期的に監視するステップを含む。
【0032】
好ましくは、当該方法は、動作周波数を同調周波数の所定の範囲内で変化させるステップを含む。
【0033】
好ましくは、当該方法は、プライマリ側電力コンバータを一定のトラック電流に調整するステップをさらに含む。
【0034】
好ましくは、プライマリ側電力コンバータを調整するステップは、プライマリコンバータのデューティーサイクルを制御することを含む。
【0035】
第3の態様において、本発明は、広範には、誘導電力伝送(IPT)システムのピックアップにおいて使用するための制御方法にあると言うことができ、当該方法は、
使用時に、ピックアップを誘導結合可能なIPTシステムのプライマリ側の交流電流の動作周波数の変化を感知するステップと、
使用時に、プライマリ側の給電能力を超えないように、同調周波数からの前記変化に比例して、ピックアップとピックアップを結合することができる負荷との間の電力伝送を調整するステップと、
を含む。
【0036】
好ましくは、当該方法は、
動作周波数と同調周波数との差を判断するステップと、
前記差に比例して電力伝送を調整するステップと
をさらに含む。
【0037】
好ましくは、電力伝送を調整するステップは、ピックアップコンバータのデューティーサイクルを制御することを含む。
【0038】
好ましくは、当該方法は、コンバータの周波数を動作周波数と一致させるステップであって、交流電流が継続的にその動作周波数を維持する、一致させるステップをさらに含む。
【0039】
代替的には、当該方法は、コンバータの周波数を同調周波数と一致させるステップであって、交流電流は、動作周波数と同調周波数とを交互に生じる、一致させるステップを含むことができる。
【0040】
第4の態様において、本発明は、広範には、誘導電力伝送プライマリ側電力コンバータにあると言うことができ、当該コンバータは、
使用時に、プライマリ側電力コンバータとプライマリ側電力コンバータを誘導結合可能な1以上のIPTピックアップとの間の電力伝送を感知するための感知手段と、
前記電力伝送とプライマリ側電力コンバータの給電能力との差に比例して、プライマリ側電力コンバータの動作周波数を同調周波数に対して変化させ、それにより、前記ピックアップのそれぞれによって前記変化が感知され、前記電力伝送が調整される、制御手段と、
を含む。
【0041】
好ましくは、制御手段は、動作周波数を変化させ、動作周波数増分ステップを変化させることを備える。
【0042】
好ましくは、制御手段は、動作周波数を周期的に変化させる。
【0043】
好ましくは、制御手段は、各期間の一部では動作周波数を維持し、各期間の残りの部分では同調周波数に戻す。
【0044】
好ましくは、同調周波数は、プライマリ側とセカンダリ側との両者の共振回路が同調される周波数である。
【0045】
好ましくは、制御手段は、電力伝送を継続的に監視する。
【0046】
代替的には、制御手段は、電力伝送を周期的に監視する。
【0047】
好ましくは、制御手段は、動作周波数を同調周波数の所定の範囲内で変化させる。
【0048】
第5の態様において、本発明は、広範には、本発明の第3の態様の方法を実行するように適合された誘導電力伝送(IPT)システムのピックアップにあると言うことができる。
【0049】
第6の態様において、本発明は、広範には、本発明の第1の態様の方法を実行する、あついは、本発明の第4の態様のプライマリ側電力コンバータおよび本発明の第5の態様の少なくとも1つのピックアップを含むように適合された誘導電力伝送(IPT)システムにあると言うことができる。
【0050】
すべての新規の態様において考察すべき本発明のさらなる態様が、以下の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照して例として説明する。
【0053】
本明細書全体を通して、同様の参照番号は、異なる実施形態における同様の特徴を指すために使用される。
【0054】
本発明は、電力潮流をいずれかの方向に調整するために、IPTシステムの電力周波数特性を使用する方法および装置を提供する。本方法および装置は、ピックアップの需要がプライマリ電源の給電能力を超えたときに、最大電力レベルでのプライマリコンバータの動作を可能にする。本明細書では、ドループ制御と呼ばれる本発明によれば、プライマリ側は、マスターとして挙動し、その給電能力に関する情報をそのまたは各々のピックアップにリレーするために動作周波数を変化させる。プライマリは、定格電力ではシステムが同調周波数または設計周波数で常に動作することを保証する。任意の他の電力レベルでは、システムは、システムのVA要件を損なうことなく、同調周波数を中心とする小さい範囲の周波数で動作する。各ピックアップは、ドループ特性によって規定されるプライマリ周波数にしたがってプライマリから電力を抽出する。
【0055】
ドループ制御の概念は、セカンダリ側にシングルピックアップまたはマルチピックアップのいずれかをもつ単方向IPTシステムおよび双方向IPTシステムにも等しく適用可能である。この概念は、実装が比較的簡単であり、具体的には、EVのフリートが充電ベイにおいて充電または放電され得るビークルツーグリッド(V2G)システムおよびグリッドツービークル(G2V)システムのようなEV適用例にとって魅力的である。
【0056】
図1は、例えば「Bi−directional inductive power transfer」と題する国際公開第2010/062198号に記載されるような従来技術の双方向IPTシステムを示しており、当該国際公開の内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0057】
IPTシステムは、プライマリ1と、ピックアップとも呼ばれるセカンダリ2(1つのピックアップのみが図示されている)とを備える。プライマリ1とピックアップ2とは、エアギャップによって離隔されており、コンバータとインダクタ−キャパシタ−インダクタ(LCL)共振回路網とコントローラとを備える同等の電子回路を使用する。プライマリコントローラ3とセカンダリコントローラ4とは互い独立しており、エアギャップの両端間で電力潮流を調整するためにそれぞれに備えられたコンバータを動作させる。プライマリコントローラは、トラックと呼ばれコイルL
Tによって表されるプライマリ巻線中に所望の周波数の一定の正弦波電流を生成するために、LCL共振回路網L
pi、C
T、L
Tに接続されたプライマリ側コンバータを動作させる。典型的なIPTシステムでは、動作周波数は、10〜100kHzの範囲となる。トラックインダクタンスL
Tは、セカンダリまたはピックアップのコイルL
siに磁気結合されている。したがって、ピックアップ2のLCL回路は、L
siとC
SとL
soとを備える。
【0058】
システムの両側のLCL回路は、通常、プライマリまたはソース側1のコンバータによって発生されるトラック電流の周波数に同調される。IPTシステムの各コンバータは、電力潮流の方向に応じて、反転モードまたは整流モードのいずれかで動作される。電力潮流の量および方向は、以下で説明するように、相対位相角度および/またはコンバータによって生成される電圧の大きさによって制御され得る。
【0059】
プライマリ側コンバータが角周波数ωの基準正弦波電圧V
pi∠0を生成する場合、トラック電流I
Tは、プライマリ側コントローラ3によって一定に保持される。定常状態では、トラック電流I
Tに起因するピックアップコイルL
si中の誘導電圧V
siは、式(1)によって求めることができる。
【数1】
式中、Mは、トラックインダクタンスL
TとピックアップコイルインダクタンスL
siとの間の磁気結合を表す。
【0060】
ピックアップは、セカンダリコントローラによって、ソースまたはシンクのいずれかとして動作させることができる。動作モードにかかわらず、トラックに反映される電圧V
rは、式(2)によって表すことができる。
【数2】
プライマリ側とピックアップ側の両方のLCL回路が角周波数ωに同調され、L
pi=L
T、L
si=L
soである場合、
【数3】
となる。
【0061】
通常、DCブロッキングキャパシタC
piは、インダクタL
piおよびプライマリ側コンバータと直列に接続される。同様に、DCブロッキングキャパシタC
soはまた、インダクタL
soおよびピックアップ側コンバータと直列に接続される。この状況では、プライマリコンバータとC
Tとの間の実効インダクタンスLpi,eと、ピックアップコンバータとC
Sとの間の実効インダクタンスLso,eとは、
【数4】
によって求められる。また、
【数5】
という条件を満たす。
【0062】
これらの条件下では、プライマリ側1の入力電流I
piおよびトラック電流I
Tは式(4)および式(5)によって求められることが分かる。
【数6】
【数7】
【0063】
同様に、ピックアップ回路2の入力電流I
siおよび出力電流I
soは、式(6)および式(7)によって求めることができる。
【数8】
【数9】
【0064】
I
soについては、式(1)〜(7)を使用して解く。
【数10】
【0065】
出力の等価な交流電圧またはピックアップ側2コンバータの入力電圧がV
so∠−θによって求められる場合、式(9)によってピックアップの電力出力P
oが求められる。
【数11】
【0066】
(9)のV
soとI
soとに代入する。
【数12】
【0067】
位相角θが±90°のときに電力伝送が最大となることは式(10)から明らかである。進み位相角は、ピックアップからプライマリへの電力伝送を構成し、遅れ位相角は、プライマリからピックアップに電力伝送をイネーブルする。したがって、任意の所与のプライマリ電圧およびピックアップ電圧については、プライマリコンバータおよびセカンダリコンバータによって生成される電圧の大きさと相対位相角の両方を制御することによって、プライマリとピックアップとの間の電力潮流の量と方向の両方を調整することができる。
【0068】
IPTシステムの典型的な電力対周波数特性によれば、LCL回路網の同調周波数における動作は、0無効電力またはVAR循環を保証し、任意の所与の電力レベルについて、コンバータの必要VA定格を最低限に制限する。同調周波数を下回るまたはそれを上回る周波数におけるシステムの動作は、常に、コンバータの最大有効電力処理能力においてVAR循環およびドロップを生じることになる。しかしながら、
図2に示したようなIPTシステムの電力対周波数特性は、同調周波数あたりの動作周波数におけるわずかな変化は、電力処理能力の著しいドロップも、VA定格を超えるための循環エネルギーの増大も生じない。IPTシステムの電力周波数特性のこの特徴は、以下にさらに詳細に記載するように、本発明において利用される。
【0069】
第1の実施例
図2に示したIPTシステムの電力対周波数ドループ特性は、本発明のドループ制御技法にしたがって電力潮流を制御するために、周波数がどのように線形に変化し得るかを示す。この実施例および提供される他の実施例では、必ずしも線形変化するわけではなく、すなわち、動作周波数の変化は、電流電力伝送と給電能力との差に非線形比例することがある。
【0070】
プライマリ側は、ドループ特性にしたがって動作周波数を規定し、ピックアップコンバータは単純に追従する。どちらの側も、システムが定格電力を送達するまたは受信するときにのみ同調周波数foで動作する。他のすべての電力レベルでは、このシステムは、システムのVA定格に背くことなく、わずかに離調した周波数で動作する。
【0071】
最大動作周波数fmaxおよび最小動作周波数fminは、順方向電力潮流および逆方向電力潮流中のそれぞれのプライマリおよびピックアップの無荷重動作または0電力伝送動作にそれぞれ対応する。通常、fmaxおよびfminは、同調周波数数百ヘルツ上回るまたは下回るように(典型的には10〜40kHzの範囲内の具体的な周波数に)設定される。周波数のこの比較的小さい変化により、プライマリコンバータおよびセカンダリコンバータの両方のLCL回路網が実質的に同調されたままであり、しかも、同調周波数f0と比較して、プライマリ/セカンダリコントローラによって検出されるのに十分な大きさであることが保証される。1つの実施形態では、周波数は、ピックアップをプライマリに同期させるためにも使用される位相ロックループ(PLL)を使用して、検出および測定される。PLLの出力は、マイクロコントローラの割込みピンに供給される方形波である。マイクロコントローラのタイマーは、割込み同士間の時間を測定し、連続する割込みを平均化(またはより適切に)することによって、動作周波数が推定され得る。
【0072】
検出され得る最小変化はタイマーの速度に依存し、タイマーが16MHzで動作する場合には、検出され得る最小変化は50Hzである。これは、より速いマイクロコントローラを用いて改善され得る。
【0073】
図3(a)および
図3(b)を参照して、例としてドループ制御について記載する。プライマリ(P
max,pである)の電力定格よりも高い電力定格P
max,sを有するピックアップが、f
maxで(すなわち、負荷なく)アイドリングしているプライマリコンバータから電力を抽出し始めるときの状況について考える。この状況は、
図3(a)では点Aによって示される。ピックアップコントローラ4は、点Bによって示すように、プライマリはf
maxでアイドリングしており、電力の抽出開始を検出する。1つの実施形態では、プライマリコントローラ3は、コントローラ3によって設定されるサンプリングレートのその電力出力を、継続的または周期的に監視する。サンプルからの電力出力は、一定の時間期間にわたる推定電力出力を求めるために平均化される。サンプリングレートは、動作周波数およびマイクロコントローラの速度を考慮に入れて、推定出力電力が、周波数を変化させることによってピックアップ側に搬送すべき実出力電力の良好な指標となるように判断される。ピックアップ2が電力を取り始めことを認識すると、プライマリコンバータは、次のサンプリング時に、動作周波数を点Cによって示されるf
cまで低減する。ピックアップ2は、次に、新しい動作周波数に固定し、周波数が依然としてf
oよりも高いことを認識し、したがって、より多くの電力を抽出し続ける。このプロセスは、動作周波数がドループ特性上の同調周波数f
0または点Dに収束するまで続く。周波数がf
0であることを検出したピックアップ2は、プライマリ1が最大可能電力レベルであり、そのパワーインテークをP
max,pに制限することを認識する。
【0074】
対照的に、
図3(b)は、ピックアップの需要がプライマリの電力定格よりも低い状況を示す。この状況では、システムは、セカンダリの電力処理能力P
max,sに対応する安定した動作周波数f
Dへと安定し、動作周波数f
Dは、プライマリの電力処理能力P
max,Pと対応する同調周波数f
oよりもわずかに大きい。別のピックアップがある場合、システムはまた、プライマリコントローラによって規定される周波数に応じた電力を取る。プライマリは(すなわち、両方のピックアップによって取られる)電力出力を推定し、それに応じて、その動作周波数を変え、その給電能力(または供給され得る残存電力)を両方のピックアップに示す。このプロシージャは、プライマリがその給電能力に達するまで続く。
【0075】
図2の提案されたドループ特性から、動作周波数fは式(11)によってプライマリ電力P
pに関係付けられることが分かる。
【数13】
式中、df/dpは、必要に応じて変わり得る電力対周波数ドループである。システムの効率がηであると仮定される場合、ピックアップ電力P
sは式(12)によってプライマリ電力Ppに関係付けられる。
【数14】
【0076】
式(11)で式(12)を代入する。
【数15】
【数16】
【0077】
式(13)および式(14)を使用して,動作周波数および電力スループットを分析することができ、以下で説明するように、提案されたドループコントローラを実装することが必要な関係が与えられる。
【0078】
式(10)によれば、プライマリ1とピックアップ2との間の電力潮流は、所与のプライマリ電圧について力率1でピックアップ側コンバータによって発生される電圧の制御によって調整され得る。1つの実施形態では、プライマリコンバータは、定電圧を発生させ、トラック電流をすべての負荷について一定に保つように、方形波電圧によって駆動される。ピックアップコンバータV
siによって発生された電圧は、必要に応じて、パルス幅変調によって調整される。
図1のHブリッジスイッチコンバータの場合、例えば、ピックアップ側コンバータは、2つのレッグ(各レッグは2つのスイッチを含んでいる)を有する。調整11は、レッグを互いに対して位相シフトαで駆動することによって達成した。0°または360°の位相シフトは、最大可能電圧の方形波を発生させ、両方の方向の最大電力潮流(すなわち、100%デューティーサイクル)に対応する。対照的に、180°の位相シフトは、トラックからピックアップを効果的に結合解除することによって短絡を生成するので、ゼロ電圧(すなわち0%デューティーサイクル)を発生させる。位相シフトは、効果的な出力電圧を、したがって電流を変化させるので、電力出力は、位相シフトによって制御され得る。
【0079】
図4に、本発明によるピックアップドループコントローラ4の1つの実施形態のブロック図を例として示す。ピックアップコントローラ4は、ピックアップコイルL
Si電圧V
siを感知し、プライマリコンバータの周波数を判断するために位相ロックループ(PLL)を使用する。動作周波数と同調周波数f
0との間の誤差は、所望の電力を抽出するために必要な位相シフトaを発生させるために、比例積分(PI)コントローラに供給される。位相シフトが0°〜360°に保たれることを保証するために、PIコントローラの出力に限界値が配置される。180°では、電力は一切伝送されないが、0°および360°は、順方向および逆方向の最大電力にそれぞれ対応する。
【0080】
式(8)によって求められるピックアップの出力電流は、式(3)によって求められるように、完全に同調させた状態で導出された。しかしながら、ドループコントローラは、ピックアップのパワーインテークを調整するために、動作周波数を変化させる。したがって、定格電力以外では、システムは離調状態で動作する。周波数の変化に起因する有効電力と無効電力の両方の大きさに対する影響は、離調状態下のシステム変数について式を導出することによって調べることができる。
【0081】
任意の所与の動作角周波数ωについて、ピックアップの出力電流は、式(15)によって求められる。
【数17】
ただし、
【数18】
【0082】
ピックアップの有効電力出力は式(9)によって求められ、ピックアップの無効電力Q
oは式(16)によって求められる。
【数19】
【0083】
システムが同調周波数で動作しているとき、ピックアップの有効電力成分および無効電力成分は、式(10)および式(17)によって求められる。
【数20】
【0084】
したがって、周波数の変化に起因するP
oおよびQ
oに対する影響は、式(9)、(15)および(16)を使用することによって分析することができる。
図5は、電力の有効成分、無効成分および皮相成分が動作周波数とともにどのように変化するかを示している。電力を計算するために分析式を使用すると、プライマリ側コンバータもピックアップ側コンバータも、90°の相対位相角で定格電圧を生成するとみなされる。システムは、式(17)によって求められるように、20kHzの同調周波数において力率1で動作していることは、
図5から明らかである。システムの周波数が変化されると、システムの無効電力要件が増大し、したがって、VA定格も増大する。しかしながら、ドループコントローラによって採用される最高周波数変化が狭帯域内に保たれる場合、無効電力の増加も皮相電力の増加も比較的少なく、コンバータのVA定格を損なうことはない。
【0085】
本発明の「ドループ」制御技術のシミュレーションは、1kWのプライマリ双方向コンバータと1.5kWの双方向ピックアップコンバータとを備えるプロトタイプのIPTシステムを用いて実験的に検証された。プロトタイプのシステムのパラメータを表1に示す。
【表1】
【0086】
カリフォルニア州サンノゼのAtmel Corporationから入手可能な、ATmega−324Pモデル8ビットマイクロコントローラを使用して、プライマリおよびピックアップ側「ドループ」コントローラを実装した。方形波電圧を生成し、55Aの一定のトラック電流を維持するように、200V DC電源によって供給され、1kWに制限されるプライマリ側コンバータを制御した。プライマリコンバータから電力を提供するまたは抽出するために、ピックアップをトラックに磁気結合した。ピックアップ側コンバータを、200V DC電源により動作させ、プライマリに関して90度位相遅れで駆動させ、それにより、式(10)にしたがって同調したときに、システムが力率1で動作することが保証された。ピックアップコントローラは、プライマリコンバータによって規定される周波数でピックアップ側コンバータを動作させ、供給されるまたは抽出される電力量を制御するために、そのフルブリッジコンバータの2つのレッグ間で位相シフトを変化させる。
【0087】
ピックアップの電力定格がプライマリの電力定格よりも低いときのシステムのシミュレートされた定常状態波形を
図6(a)に示す。プライマリは、低電力需要を満たすために、同調周波数からわずかにはずれた周波数で動作する。最上部のプロットおよび3つ目のプロットから、ピックアップは、プライマリコンバータ電圧V
piより遅れた方形波電圧V
siを生成することが明らかである。したがって、電力は、プライマリからピックアップに流れる。トラック電流I
Tは、約55A rmsの正弦波であり、一定である。
【0088】
図6(b)は同じ状態での実験結果を示し、シミュレーション結果と実験結果とは非常によく似ていることが明らかである。
【0089】
図7は、ピックアップの電力需要が1kWのプライマリ給電能力よりも高いときのシステムの(a)シミュレーション波形および(b)実験波形を示す。ピックアップ電力を増大させるために、位相シフトαを増大させること(すなわち、セカンダリインバータのデューティーサイクルを増加させること)によって、V
soの大きさを増大させた。V
soの増大は
図7から明らかである。ピックアップ電力が約1kWに達すると、プライマリ周波数は同調周波数に収束し、ピックアップコントローラの電力を強制的に1kWの最大値に制限する。出力電力の変化にかかわらず、プライマリコントローラは、一定のトラック電流I
Tを維持している。この状況でも、シミュレーション結果と実験結果とは、非常に良好に合致している。
【0090】
図8(a)は、プライマリ電力、ピックアップ電力限界および動作周波数のシミュレートした経時変化を示す。最初に、ピックアップコントローラは、0.5kWの最大電力レベルに設定される。したがって、システムは、f
0よりも大きい周波数で動作するように安定し、プライマリ電源がその最大電力レベルで動作していないことが示される。0.25秒に、ピックアップ電力基準は、プライマリ電源の給電能力よりも大きい1.5kWに変更される。ピックアップコントローラは、パワーインテークを徐々に増大させ、プライマリコントローラは、パワーインテークがプライマリの最大能力に達していることを示すために動作周波数を低減させる。最終的には、動作周波数は、20kHzの同調周波数で安定し、ピックアップは、1.5kWのより高い基準値であるにもかかわらず、そのパワーインテークを1kWに制限する。
図8(b)は、同じ状態での実験結果を示す。プロトタイプのマイクロコントローラの制限された処理能力によって生じるピックアップコントローラのより遅い応答時間は別として、シミュレーション結果および実験結果は、良好に合致しており、ドループ制御技法の妥当性が確認される。
【0091】
図9は、逆電力潮流中のプロトタイプのプライマリコンバータおよびセカンダリコンバータの測定電圧波形および電流波形を示す。両方のコンバータの電圧および電流の大きさは順方向電力潮流に対応するものと同様であるが、予想通り、プライマリコンバータ電圧V
piはピックアップ電圧V
soより遅れている。電力潮流は、コンバータのデューティーサイクルを制御するためにコンバータのレッグ間の位相シフトαを使用して、ピックアップ電圧V
soの大きさを変化させることによって再度制御される。
【0092】
逆電力潮流中のコントローラの測定された挙動を
図10に示す。ピックアップコンバータの基準電力レベルは、最初0.5kWに設定され、システムは、同調周波数f
0より下に変動し、0.5kWをプライマリに送達する。負リファレンス(すなわち、同調周波数を下回る動作周波数)は、(すなわち、プライマリにピックアップからの)逆電力潮流を示すことを留意されたい。0.25秒には、ピックアップの基準電力レベルは、プライマリの能力を超える1.5kWまで上昇する。セカンダリコントローラは、好ましくは複数のステップで電力を徐々に増大させ、プライマリコントローラは、1kWのその電力限界に達すると20kHzの同調周波数に向かって収束する動作周波数を増大させることによって応答する。その時点で、セカンダリコントローラは、動作周波数が同調周波数f
0であることを感知し、ピックアップがより多くの電力を供給することが可能であっても、電力伝送を1kWに制限する。
【0093】
第2の実施例
本発明の代替実施形態では、プライマリコントローラは、周期的または間欠的にトラック電流の周波数を変調するように適合され、ほとんどの時間にわたって同調周波数f
0で動作する。したがって、本発明の第1の実施例は、(変化する)動作周波数を継続的に維持する、または動作周波数を少なくとも反復的に監視するということができるが、この第2の実施例では、変化する動作周波数と不変の同調周波数f
0とが交互に生じる。
【0094】
したがって、プライマリコンバータは、その残りの給電能力に関する情報を、短い持続時間わたってそのまたは各々のピックアップにリレーすると同時に、システムのVA定格を最小限に抑えるために残りの時間にわって所望の同調周波数で動作する。そのまたは各々のピックアップは、それ自体の特性にしたがって、周波数変調によって規定される電力を抽出する。
【0095】
上述したように、VA要件を最小限に抑えながら電力出力を最大にするためには、LCL回路網の同調周波数f
0でシステムを動作させることが常に好ましい。わずかに同調周波数を上回るまたはそれを下回る周波数でのシステムの動作は、必ず、システムが提供することができる最大電力のドロップを生じる。しかしながら、システムは、短い時間期間にわたって周波数を変更することのみよって、ほとんどの時間にわたって、同調周波数で動作しており、最小無効電力で最大有効電力を供給している。
【0096】
したがって、本発明のこの実施形態によれば、プライマリコントローラもピックアップコントローラも、変調の瞬間中以外は同調周波数で動作する。動作周波数は、変調中に緩やかに変化し(すなわち、複数の増分ステップで増大または低減し)、それにより、ピックアップは、プライマリと同期したままでいる(すなわち、同じ周波数を維持する)ことが可能である。ΔPは、最大電力とプライマリコンバータによって供給されている現在の電力との差を表す。同調周波数f
0は、プライマリが出力する最大電力に対応し、最高周波数f
maxおよび最大周波数f
minは、順方向および逆方向の無負荷電力または最大利用可能電力にそれぞれ対応する。f
maxおよびf
minは、LCL回路網が実質的に同調されたままとなることを保証するために、通常、第1の実施例に関して上述したように、同調周波数を数百ヘルツ上回るまたは下回るように設定される。
【0097】
プライマリとピックアップとの間の電力潮流は、ピックアップ側コンバータによって生成される電圧の制御によって調整することができる。好適なコントローラのブロック図を
図12に例として示す。ピックアップコンバータによって生成される電圧V
soは、必要に応じて、α(コンバータのレッグを切り替える間の位相シフト)を制御することによって調整され、式(18)によって求められる。
【数21】
式中、V
outはDC出力電圧ωT=2πf
0であり、θはV
piとV
soとの間の位相遅れである。
【0098】
図11に示すプライマリコントローラは、プライマリコンバータから流れる電力である電力(P
Pin)を測定する。次いで、プライマリが供給することができる最大電力から最大電力P
Pinを減算し、プライマリが供給することが可能である残りの利用可能電力PΔを求める。次いで、変化するΔPに、プライマリインバータの周波数を変化させる変調関数を乗算する。周波数変調は、好ましくは1秒間に1度周期的に行われるが、電力潮流が急速に変化しているときには、コントローラは、システムが安定して動作していることを保証するために、より頻繁にジッタ(すなわち、動作周波数の周期的変調)を発生させる。
【0099】
本発明のこの実施形態による制御技法の動作について、
図1に示したような、3kWピックアップコンバータとともに2.5kWプライマリ双方向コンバータを備える例示的なIPTシステムを参照しながら以下にさらに詳細に記載する。
【0100】
プライマリコンバータおよびピックアップコンバータは、方形波電圧V
piおよびV
soを生成するように制御される。プライマリは、45Aの一定のトラック電流を維持するように制御される。この電流は、動作周波数中のジッタが周期的に生じる状態で同調周波数f
0において動作し、その間、残りの利用可能電力は、周波数中のシフトを介してセカンダリ側のそのまたは各々のピックアップに通信される。ピックアップコンバータは、プライマリに対してπ/2ラジアン位相遅れで駆動される。ピックアップコントローラは、コンバータのレッグ間の位相シフトαを変化させることが可能であり、コンバータのデューティーサイクルを効果的に変化させることによって、コンバータから抽出または供給される電力を制御する。
【0101】
図13は、プライマリからピックアップに電力を供給するシステムの電力と周波数と位相シフト(α)とを示す。プライマリコントローラの限界は2.5kWに設定され、ピックアップコントローラの限界は、最初、1.5kWに設定される。100ミリ秒後、ピックアップ限界は、プライマリが供給することができる2.5kWよりも大きい3kWまで増大し、これにより、ピックアップコントローラは、それが取る電力が制限される。周波数(f)は、ほとんどの時間にわたって、システムが同調周波数(20kHz)で動作することを示す。しかしながら、ジッタ中、周波数はわずかに変化する。
図14は、高電力定常状態ポイントでのコンバータの動作を示す。プライマリコンバータは、100%のデューティーサイクルで動作しているが、セカンダリコンバータのデューティーサイクルは、負荷によって引き出される電力を2.5kWの最大値に制限するために、実質的により少ないことが分かる。プライマリトラック電流I
Tは、45Aの一定の正弦波である。
【0102】
以上のことから、様々な態様における本発明は、負荷制御方法、利用可能電力の指標提供するために周波数を変化させるように適合されたIPT電源、トラック周波数の変化感知し、それに応じて電力伝送を制限するように適合されたIPTピックアップ、ならびに/あるいは、利用可能電力をプライマリからそのまたは各々のピックアップに通信するためにトラック電流の周波数の変化を使用するIPTシステムで見られることが了解されよう。IPTシステムは、単方向でもまたは双方向でもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、1以上のIPTピックアップを備え得る。
【0103】
本発明によるコントローラは、個別電子構成要素または集積回路を含み得る1以上の構成要素からなるハードウェア中に純粋に実装することができる。それに代えて、またはそれに加えて、本発明は、プログラマブル論理デバイス(PLD)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなプログラム可能なハードウェア構成要素を使用して、あるいは、それに応じてプログラムされるマイクロコントローラまたは汎用パーソナルコンピュータ(PC)を含み得る計算手段またはプロセッサによって実行されるソフトウェアによって実装することができる。しかしながら、典型的には、本発明は、上述の構成要素の組合せを使用する埋込み型システムとして実装される。
【0104】
したがって、本発明は、専用の通信リンクなしに、必要なときに電力を制限しながら両方向の電力潮流を調整するために、システムの電力周波数特性を利用するIPT負荷制御技法を提供する。コントローラは、専用の通信リンクなしに、ロバストかつ低コストで実装することが比較的容易である。それは、単一または複数のピックアップIPTシステムに適用可能であり、電力定格を変化させる電気自動車(EV)が単一のプライマリ電源から「効果的」に充電/放電することになるビークルツーグリッド(V2G)システムのような適用例について理想的である。本制御技法は双方向システムを用いて動作し、したがって、「セカンダリ」側またはピックアップが「プライマリ」側になり、同じ技法が使用される。
【0105】
コンテキストが別段の記載を明らかに要求しない、説明全体にわたって、「備える(「comprise」、「comprising」)という単語は、排他的または網羅的な意味ではなく包含的意味で、すなわち、「限定はしないが、含む」という意味で解釈すべきである。
【0106】
本発明について、例として、その可能な実施形態に関して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、修正または改良を行い得ることを理解されたい。本発明は、公判に、本出願の明細書で参照された、またはそこに示された部品、エレメントまたは特徴のうちの2つ以上の任意のまたはすべて組合せで、前記部品、エレメントおよび特徴で、個々にまたは集合的に構成されるということができる。さらに、既知の等価物を有する本発明の特定の構成要素または完全体について参照された場合、そのような等価物は、あたかも個々に記載されたかのように本明細書では組み込まれる。
【0107】
本明細書全体を通じた従来技術に関するあらゆる議論は、決して、そのような先行技術が広く知られていること、または、当技術分野の通常の一般的な知識の一部を形成することを承認するものと見なされるべきではない。