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特許6283311新規なフルオロ化合物の調製、調製方法、およびそれから製造された組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283311
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】新規なフルオロ化合物の調製、調製方法、およびそれから製造された組成物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/04 20060101AFI20180208BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20180208BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20180208BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20180208BHJP
   C09D 183/08 20060101ALI20180208BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20180208BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180208BHJP
   C09J 183/08 20060101ALI20180208BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   C07F7/04 K
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D5/00 D
   C09D183/08
   C09J201/00
   C09J11/06
   C09J183/08
   C09K3/10 G
   C09K3/10 M
【請求項の数】9
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-535755(P2014-535755)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公表番号】特表2014-534193(P2014-534193A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012058701
(87)【国際公開番号】WO2013055572
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】61/545,883
(32)【優先日】2011年10月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】バージー、 マシュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ティエンジー
(72)【発明者】
【氏名】フォン、 ディンソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ヨンホイ
【審査官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−323293(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/005280(WO,A1)
【文献】 特開平05−025114(JP,A)
【文献】 特開平05−025218(JP,A)
【文献】 米国特許第04743106(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0116527(US,A1)
【文献】 特開平05−027383(JP,A)
【文献】 特開昭63−106657(JP,A)
【文献】 特開昭55−144031(JP,A)
【文献】 特開2005−134884(JP,A)
【文献】 特開平01−118541(JP,A)
【文献】 特開平02−255784(JP,A)
【文献】 Chernyavskaya, Nina A.; Chernyavskii, Alexei I.,Synthesis and peculiarities of structure of novel polymethylvinyldi(polyfluoroalkoxy)silanes,Journal of Fluorine Chemistry,1999年,99(2),105-108
【文献】 Alexander A. Yarosh, Stanislav P. Krukovsky, Tatiana A. Pryakhina, Valery M. Kotov, Boris G. Zavin and Alexey M. Sakharov,Synthesis of water- and oil-repellent organofluorosilicon compounds,Mendeleev Communications,2006年,16(3),190-192
【文献】 Gol'din, G. S.; Fedorov, S. G.; Nikitina, G. S.,Synthesis of polyphosphazenes by the reaction of fluoroalkoxychlorocyclotriphosphazenes with organooxysilanes,Vysokomolekulyarnye Soedineniya, Seriya B: Kratkie Soobshcheniya,1976年,18(9),695-7
【文献】 Liu, Bing; Yuan, Cai Gen; Hu, Chun Pu,Synthesis and characterization of a well-defined graft copolymer containing fluorine grafts by "living"/controlled radical polymerization,Macromolecular Chemistry and Physics,2001年,202(12),2504-2508
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造I:
【化1】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択され、
は、式:−O−Si(R(式中、Rは、それぞれの出現において同一または異なるフッ素不含のアルコキシ基である。)で表されるシロキシから選択され、
nは、1〜4である。)
の化合物を含む、組成物。
【請求項2】
化合物が、
【化2】
(式中、Rのそれぞれの出現は、同じであっても、異なっていてもよく、かつアルキルC1〜20から選択される。)
または、
【化3】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モノマー、ポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の反応性成分、ならびに/または硬化剤を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
接着剤、シーラントまたはコーティング組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
i)有機シラン化合物とアルカリまたはアルカリ土類金属酸化物とを、反応容器中、加熱下で混合する工程と、
ii)得られた混合物をフッ素化アルカノールとさらに混ぜ合わせ、反応を進行させて、請求項1に記載の構造Iの化合物を形成する工程と
を含む、請求項1に記載の構造Iの化合物を形成する方法。
【請求項6】
(i)請求項1に記載の構造Iの化合物の1種または複数;
(ii)モノマー、ポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の反応性成分;ならびに
(iii)硬化剤
を含む、接着剤、シーラントまたはコーティング組成物。
【請求項7】
(i)請求項1に記載の構造Iの化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、反応性成分、ラジカル開始剤および連鎖移動剤と混ぜ合わせて、反応混合物を形成する工程と、
(iii)混合物を十分な温度および時間で反応させて、ポリマーを形成する工程と
を含む、制御ラジカル重合法。
【請求項8】
反応性成分が、メタアクリロキシ、ヒドロキシ、エポキシ、アルコキシ、アミノ、イソシアネート、ビニル、アリル、シロキシ、ハロおよびカルバメートの1種または複数の基を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
得られた重合生成物を官能化する工程をさらに含む、請求項またはに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフルオロ化合物、それらの調製および使用、ならびにこのようなフルオロ化合物を用いる組成物に関する。さらに、本発明は、とりわけ、増加した転化率、高い多分散性および高い官能性を有する、モノマーおよびオリゴマーのリビングラジカル重合のための方法を含めて、フルオロ化合物を含有する組成物の制御重合に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ポリマーは、それらの独特の特性、例えば、高い熱安定性、化学的不活性および低い表面エネルギーのために、多くの産業用途で有用であることが知られている。しかしながら、フッ素化ポリマーの処理は、それらの高い融点および適切な溶媒の欠如のために、困難であり得る。
【0003】
フルオロ含有物質の官能化におけるある種の困難性に加えて、これらの困難性のために、それらを調製するコストは、しばしば極めて高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
簡単で、費用対効果のある技術を用いて製造することができ、かつ接着剤、シーラント、コーティング剤、クリーニング剤、界面活性剤および撥水剤製品分野などの様々な分野で有用な組成物を配合するために使用され得る新規なフルオロ化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フルオロポリマー、そのフルオロポリマーの製造に関連する処理困難性、およびそれから製造された組成物が遭遇する処理困難性を克服することを検討するものである。本発明はまた、フルオロ含有モノマーをフルオロ不含モノマーと共重合させて、独特の物理的および処理特性を有するオリゴマーおよびポリマーを生成させることによって従来の組成物の処理困難性を克服するものである。
【0006】
本発明は、最終組成物およびそれから製造された製品において、向上および/または調整された光学的、物理的、機械的および化学的特性を与え得る、様々なオクタフルオロ化合物および誘導体を提供する。
【0007】
さらに、本発明のオリゴマーおよびポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)または一電子移動(SET)重合などの制御重合法の使用によって効率的に製造することができ、これは、信頼できかつ望ましい特性を有するフルオロポリマーを大規模に製造する、効率的で有効な手段を与える。
【0008】
本発明の一態様において、新規なフルオロ化合物およびそれらの調製方法が提供される。これらの化合物としては、新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマー、ならびにそれらから製造されたアニオン性、カチオン性および非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられる。これらの新規な化学物質は、限定するものではないが、工業、自動車、電子および消費者分野を含む、多数の技術および製品分野で有用である。このような製品としては、少しの例を挙げると、嫌気性およびアクリル接着剤、ポリウレタンおよびシリコーン接着剤、シーラントおよびコーティング剤、ならびに洗浄剤、消泡剤および撥水剤製品が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な用途としては、フォームインプレース(FIP:form−in−place)ガスケッティング用途、キュアインプレース(CIP:cured−in−place)ガスケッティング用途、射出成形ガスケッティング用途、光電池用途、燃料電池シーラント、Li−イオン電池シーラント用途、自動車−熱交換器接着剤、および様々な工業部品のためのモジュール封止が挙げられる。
【0009】
本発明のフルオロ化合物は、他の反応性および非反応性成分と合わせて、向上した耐熱性および耐薬品性、低い摩擦係数ならびに向上した電気特性などの、向上した物理的および化学的特性を有する組成物を形成することができる。特に、本化合物およびそれらから製造された組成物は、市販の多くの現行アクリレートおよびシリコーン製品を上回る向上した特性を有する。
【0010】
フルオロ化合物は、様々な組成物の特性を望ましく変更するために使用されてもよい。それらは、モノマー添加剤として使用されてもよく、それらは、オリゴマーもしくはポリマー上にグラフト化されてもよく、またはそれらは、フルオロ界面活性剤を形成するために界面活性剤上にグラフト化されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様において、構造I:
【0012】
【化1】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、
【0013】
【化2】
から選択されてもよく、
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18
【0014】
【化3】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく;
nは、1〜4であり、
【0015】
【化4】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を含む、組成物が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様において、
i)構造I:
【0017】
【化5】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
から選択されてもよく;
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18
【0020】
【化8】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく;
nは、1〜4であり、
【0021】
【化9】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を含む組成物と、
ii)ラジカル開始剤と
の反応生成物が提供される。
【0022】
本発明の別の態様において、
i)有機シラン化合物とアルカリまたはアルカリ土類金属酸化物とを、反応容器中、加熱下で混合する工程と、
ii)得られた混合物をフッ素化アルカノールとさらに混ぜ合わせて、フッ素化湿気硬化性シランを形成する工程と
を含む、フッ素化湿気硬化性シランを形成する方法が提供される。
【0023】
特に望ましいシラン化合物は、テトラメトキシシランであるが、他のアルコキシシランが用いられてもよい。特に望ましいアルカリ土類金属酸化物は、ナトリウムメトキシドであり、特に望ましいフッ素化アルカノールは、2,2,3,3,4,4,5,5−オクチルフルオロペンタノールであるが、本明細書で後に記載されるとおり他のものが用いられてもよい。
【0024】
本発明の別の態様において、
i)請求項1に記載の組成物を、ラジカル開始剤、金属触媒に配位することができる配位子および金属触媒と反応容器中で混ぜ合わせる工程と、
ii)所望の重合度に到達するまで、反応を適切な温度で適切な時間進行させて、フッ素化された重合性化合物を生成する工程と
を含む、制御重合によってフッ素化硬化性組成物を形成する方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様において、
(i)1種または複数の請求項1に記載の化合物と、
(ii)モノマー、ポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の反応性成分と、
(iii)硬化系と
を含む、接着剤、またはシーラントもしくはコーティング組成物が提供される。
【0026】
本発明の別の態様において、その構造中にセグメント;
【0027】
【化10】
(式中、R10およびR11は、同じであっても、異なっていてもよく、HおよびMeから独立して選択されてもよく;R12は、疎水性モノマー、親水性モノマー、芳香族モノマー、脂肪族モノマーおよびそれらの組合せから選択されてもよい)
を含む化合物を含む組成物が提供される。望ましくは、R12は、置換されたまたは置換されていないC1〜20モノマーであって、アルキル基C1〜20より望ましい。さらにより望ましくは、R12は、置換されていないC1〜4アルキル基、例えば、−CHCHCHCHである。R12は、本明細書で記載されるものなどの官能基で置換されていてもよく、Xは、0.001〜100モル%を表し、yは、0〜99.999モル%を表す。
【0028】
本発明の別の態様において、
(i)構造VI:
【0029】
【化11】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0030】
【化12】
から選択されてもよく、
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18
【0031】
【化13】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0032】
【化14】
は、構造への結合点を示し、Rは、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜8、NR、ORまたはFから選択されてもよい)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、ラジカル開始剤および連鎖移動剤と混ぜ合わせて、反応混合物を形成する工程と、
(iii)得られた混合物を十分な温度および時間で反応させて、ポリマーを形成する工程と
を含む、制御ラジカル重合法が提供される。
【0033】
本発明の別の態様において、
(i)構造:
【0034】
【化15】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0035】
【化16】
から選択されてもよく、
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18
【0036】
【化17】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく、Rは、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0037】
【化18】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物と混ぜ合わせて、反応混合物を形成する工程と、
(iii)混合物を十分な温度および時間で反応させて、ポリマーを形成する工程と
を含む、制御重合法が提供される。
【0038】
本発明の別の態様において、
(i)構造:
【0039】
【化19】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0040】
【化20】
から選択されてもよく、
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18
【0041】
【化21】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく、Rは、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0042】
【化22】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、ニトロキシドおよびラジカル開始剤と混ぜ合わせる工程と
を含む、制御重合法が提供される。
【0043】
本発明の別の態様において、ポリマーまたはオリゴマー主鎖、および前記主鎖上にグラフト化されたフルオロ化合物を含み、前記フルオロ化合物グラフトは、官能化オクトフルオロペンチル基を含む、反応性組成物が提供される。
【0044】
本発明の別の態様において、
(i)ジイソシアネート化合物とオクタフルオロアルカノールの反応混合物を、反応容器中、室温未満の温度で形成する工程と、
(ii)前記反応混合物に触媒を添加し、混合物を室温に加温して、反応性フッ素化ウレタンを形成する工程と
を含む、反応性フッ素化ウレタンを形成する方法が提供される。
【0045】
本発明の別の態様において、本発明のオクタフルオロ誘導体(OFD)は、モノマー(FM)、オリゴマー(FO)またはポリマー(FP)の形態であってもよい。さらに、OFDは、ポリマー上にグラフト化されたもの(FPG)でもよい。
【0046】
例えば、OFDがFMである場合、それは、それ自体と、または別のモノマー、オリゴマーまたはポリマーと重合されてもよい。例えば、本発明のFMの1種は、別のモノマー(非FMもしくは本発明の異なるFMを含む)と重合されてもよいか、またはFMは、組成物の特性を向上および/もしくは調整するために、組成物に添加されてもよい。
【0047】
本発明の別の実施形態において、本発明のFOまたはFPは、それ自体または組成物中の別の重合性成分と共重合されてもよい。FPは、官能化されていても、官能化されていなくてもよい。例えば、FOは、組成物の表面エネルギーを低下させるために、モノマー組成物に添加されてもよい。
【0048】
本発明の別の態様において、本発明のOFDは、ポリマー主鎖上にグラフト化されてもよい。したがって、このようなグラフト化フルオロポリマーの配合物は、向上、改変および/または調整された特性を有して提供され得る。
【0049】
本発明のさらに別の態様において、本発明のOFDは、界面活性剤部分を含んでもよく、界面活性剤特性を提供または向上するために、組成物中に配合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】例1で合成した化合物を定性するために用いたF−NMRおよびH−NMRスペクトルを示す図である。
図2】例2で合成した化合物を定性するために用いたF−NMRおよびH−NMRスペクトルを示す図である。
図3】例3で合成した化合物を定性するために用いたF−NMRおよびH−NMRスペクトルを示す図である。
図4】例4で合成した化合物を定性するために用いたF−NMRおよびH−NMRスペクトルを示す図である。
図4A】モノ1−α−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルウレタニル−α,α−ジメチルメチル,3−イソプロペニル−ベンゼンを定性するために用いたF−NMRおよびH−NMRスペクトルを示す図である。
図5】有用な、制御ラジカル重合法の概略を示すフローチャートである。
図6】本発明において有用な、提唱されるSET機構を表す図である。
図7】本発明で有用な、提唱されるATRP機構を表す図である。
図8】剥離強度を試験するために用いたインストロン装置を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の目的において、フルオロ化合物という用語は、本明細書で記載される任意の構造のフルオロモノマー(FM)、ならびにそれから製造されるフルオロオリゴマー(FO)およびフルオロポリマー(FP)を含むことが意味される。総称して、FO、FMおよびFPは、OFD(オクタフルオロ誘導体)と称されてもよい。本発明の目的において、「(メタ)アクリレート」または「(メタ)アクリロキシ」という用語は、それぞれ、メタアクリレートおよびアクリレート、またはメタアクリロキシおよびアクリロキシの両方を含む。
【0052】
様々な実施形態のそれぞれについて本明細書で使用されるように、以下の定義が適用される。
【0053】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基を意味することが意図される。
【0054】
「置換された」という用語は、低級アルキル(C1〜4)、アリール、アルカリル、アルコキシ(C1〜4)、ハロで置換されたことを意味し、さらに、この用語はまた、C1〜18アルキル鎖に介在するOまたはNなどのヘテロ原子を含んでもよい。
【0055】
「芳香族」または「アリール」という用語は、「置換された」という用語が本明細書で定義されるとおりに、場合によって置換されていてもよい環状共役炭化水素構造(C1〜12)を意味する。
【0056】
「ハロゲン」、「ハロ」または「ハル」という用語は、単独でまたは別の基の一部として使用される場合、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0057】
「脂肪族」という用語は、飽和または不飽和の直鎖状、分岐状または環状炭化水素基を意味する。
【0058】
「オリゴマー」という用語は、重合されて分子を形成した、10〜25,000単位、望ましくは10〜100単位などの、規定の少数の繰り返しモノマー単位を意味し、ポリマーという用語のサブセットであり;「ポリマー」という用語は、オリゴマーより鎖長および分子量が大きい、すなわち25,000より大きい重合度の、任意の重合生成物を意味する。
【0059】
特に有用であることが見出された新規なフルオロ化合物は、式I:
【0060】
【化23】
(式中、
RおよびRは、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜18から選択されてもよく、
は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、
【0061】
【化24】
から選択されてもよく;
は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18
【0062】
【化25】
から選択されてもよく、
は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC1〜18、NR、ORまたはFから選択されてもよく、
は、置換されたまたは置換されていないアルキルC1〜20から選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0063】
【化26】
は、構造への結合点を示す)
により表されるものが挙げられる。
【0064】
それらの中でも特に有用であると見出されたものは、構造II〜構造Vb(以下に記載される)に示されるものである。
【0065】
【化27】
(式中、Rのそれぞれの出現は、同じであっても、異なっていてもよく、H、アルキルC1〜20およびそれらの組合せからなる群から選択されてもよい)
【0066】
【化28】
(式中、Rは、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよい)
【0067】
【化29】
【0068】
新規なフルオロ化合物ならびにそれらの使用および製造方法に加えて、本発明はまた、本明細書でさらに検討されるとおり、重合性組成物、特に原子移動ラジカル重合(ATRP)、一電子移動リビングラジカル重合(SET−LRP)および他の制御ラジカル重合法などの制御重合反応を用いて製造される組成物中で様々な公知のフルオロ化合物を使用する新規な方法も提供する。
【0069】
特に有用であると見出されたフルオロモノマーのうちには、オクタフルオロモノマーがある。表Iは、本発明で特に有用であることが見出されたものを例示するオクタフルオロ化合物を列挙する。これらおよび他のオクタフルオロ化合物は、調整された特性を有する重合性物質を製造するために、単独でまたはポリマー組成物中の他の反応性成分と組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
重合性組成物
重合性組成物中への組み入れるための特に有用な一連のフッ素化化合物は、本明細書で開示される様々な構造に由来する1種または複数の化合物が挙げられるがこれらに限定されない。特に有用なものは、オクタフルオロ化合物であり、これは、重合性組成物中にモノマーとして直接組み入れることができるか、またはオリゴマー中に延長される鎖として組み入れ、次いで、重合性組成物中に組み入れることができる。さらに、または代替として、これらのフッ素化化合物は、オリゴマーまたはポリマー主鎖などの他の化合物上にグラフト化されて、重合性化合物中に配合されてもよい。様々な追加のモノマーおよび反応性成分が、本発明のフルオロモノマー(FM)およびフルオロオリゴマー(FO)から製造される重合性組成物中に添加されてもよい。
【0073】
本発明のオクタフルオロ誘導体(OED、すなわち、モノマー、オリゴマーおよびポリマー)は、それら自体と、または他のモノマー、オリゴマーおよびポリマーと共重合されてもよい。例えば、本発明のFOは、向上および/または調整された特性を有する新規な組成物を提供するために、本発明のFM、または別のモノマーに添加されてもよい。さらに、本発明のOFDは、重合される場合、例えば、相互貫入網目におけるように分散したドメインを形成するように設計される組成物に添加されてもよい。
【0074】
鎖延長
本発明のフルオロモノマーは、重合によって鎖伸長して、オリゴマー(FO)またはポリマー構造(FP)を生成することもできる。例えば、以下の概略図は、新規な化合物2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレートにおけるこのような鎖伸長を表す。
【0075】
【化30】
【0076】
述べたように、次いで、フルオロモノマーから形成されたオリゴマー(FO)は、最終硬化生成物の特性を改変するために、他の重合性組成物にさらに添加されてもよい。
【0077】
さらに、本明細書で記載される様々なフルオロ化合物の構造の記載から理解されるように、フルオロモノマーおよびフルオロオリゴマーは、架橋、鎖延長、または他の化学的部分もしくは基の付加などの他の反応のための反応部位を与えるために、多種多様な基で官能化されてもよい。本明細書でさらに記載されるように、官能基の選択は、最終硬化生成物における物理的および/または化学的特性の変更または向上を含む、所望の機能および最終特性に依存する。さらに、このような官能基は、室温硬化、熱硬化、光照射、例えば、UV硬化または可視光硬化、湿気硬化およびそれらの組合せを含む、様々な硬化機構を可能にするために役立ち得る。
【0078】
本発明のFM、FO、およびFPを官能化するための適切な官能基としては、ヒドロキシ、シロキシ、エポキシ、シアノ、ハロ、イソシアネート、アミノ、アリールオキシ、アリアルコキシ、オキシム、(メタ)アクリロキシ、アセト、シアノアクリレート、シアノアセテート、アルキルエーテル、エポキシエーテルおよびビニルエーテルが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、これらの基は、これらの官能基を有する化合物との反応を介してフルオロモノマーに付加されてもよい。
【0079】
本発明のフルオロ化合物は、様々な異なるモノマー、オリゴマー、ポリマーおよび反応性希釈剤を含む硬化性組成物中に組み込まれてもよい。フルオロモノマーはまた、他のモノマーまたはオリゴマーなどの他の化合物上にグラフト化されて、硬化性組成物中に組み込まれてもよい。これらの硬化性組成物は、架橋剤、硬化系(開始剤、促進剤および安定化系を含む)、充填剤、着色剤、可塑剤、乳化剤、および選択される硬化系に望ましいまたは必要な他の有用な成分をさらに含んでもよい。
【0080】
様々な異なる種類の重合性組成物が、本発明のフルオロモノマー(FM)、フルオロオリゴマー(FO)およびフルオロポリマー(FP)を使用して製造され得る。一部の実施形態において、(メタ)アクリレート系モノマーが、FM、FOまたはFPと併せて使用されて、ラジカル硬化性接着剤、シーラントまたはコーティング材を形成してもよい。このような組成物は、限定されないが、本明細書に記載されるものなどのラジカル開始剤を含み得る。これらの組成物は、室温硬化、熱硬化またはUVもしくは可視光などで光照射硬化されてもよい。
【0081】
一部の実施形態において、2種以上の硬化機構が使用されてもよい。例えば、様々な官能基が、本明細書で記載されるとおりに存在してもよい。シロキシまたはアルコキシ基に加えてアクリレートまたはビニル基が存在する場合、ラジカル硬化および湿気硬化も、硬化機構として利用できる。適切なラジカル開始剤、例えば、パーオキシまたはパーエステル化合物、および湿気硬化触媒、例えば、有機スズまたは有機チタネートが、このような組成物中で用いられてよい。代替として、同じ組成物が、白金ヒドロシリル化触媒などの熱硬化触媒の選択によって熱硬化されてもよい。
【0082】
様々なポリマー主鎖が、主鎖上に直接グラフト化された、または組成物に成分として添加された、のいずれかのFMを有するポリマーの構築に用いられてよい。望ましくは、FMまたはFOは、それが他の重合性成分と反応して望ましい方法でそれらの特性を改変するように、本明細書で記載される1種または複数の官能基で官能化される。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ならびにこれらのポリマーの様々な組合せおよびコポリマーは、本発明を使用して改変され得る有用なポリマー系の例である。
【0083】
一部の実施形態において、シリコーンまたはポリウレタン組成物などのエラストマー組成物が、本発明のFM、FOまたはFPを使用して配合されてもよい。このような組成物は、接着剤、シーラントまたはコーティング材として有用であり得る。特に有用な用途としては、2、3の例を挙げると、フォームインプレース(FIP)ガスケッティング、キュアインプレース(CIP)ガスケッティングなどのガスケッティング、射出成形用途、および光電池用途が挙げられる。
【0084】
一部の実施形態において、構造用(メタ)アクリル組成物は、本発明のFM、FOまたはFPを使用して配合されてもよい。
【0085】
2、3の非限定的な例を挙げると、ポリウレタンアクリレート、シリコーンアクリレートおよびエポキシアクリレートなどの混成系が、本発明の一部として企図される。本発明は、最終生成物およびそれらの特性を調整するために、様々な反応性成分およびそれらのそれぞれの硬化系を選択する柔軟性を提供する。
【0086】
認識され得るように、本発明の組成物は、本明細書で記載される成分の様々な組合せのいずれも採用することができ、それらのそれぞれは、本発明の1種または複数のFM、FOまたはFPを組み入れる。
【0087】
追加のモノマー成分
本発明の組成物中に組み込むための適切な追加のモノマーとしては、アクリレート、ハロゲン化アクリレート、メタクリレート、ハロゲン置換アルケン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルスルホン、ビニルケトン、ビニルスルホキシド、ビニルアルデヒド、ビニルニトリル、スチレン、ならびに電子求引性置換基を有する任意の他の活性化および非活性化モノマーが挙げられるがこれらに限定されない。これらのモノマーは、置換されていてもよい。一部の実施形態において、モノマーは、他の酸化状態への金属触媒の不均化を促進する官能基を場合によって有する。官能基としては、アミド、スルホキシド、カルバメート、またはオニウムを挙げることができるがこれらに限定されない。ハロゲン置換アルケンとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、またはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニルエステルが挙げられる。モノマーの組合せが用いられてよい。モノマーのブレンドが、本発明の実施形態を用いて重合されてもよい。モノマーは、反応容器中でブレンドされてもよい。一例として、アクリレートモノマーのブレンドは、ある種のアクリレートが同様の反応性を示すように、本発明の方法によって用いられてもよく、したがって、最終生成物は、より大きな予測可能性を有し得る。2種のコポリマーブレンド、2種のホモポリマーブレンド、および少なくとも1種のコポリマーと少なくとも1種のホモポリマーとの組合せのような、最終ポリマー生成物のブレンドは、所望に応じてブレンドされてもよい。さらに、ブレンドされたポリマーは、最終生成物として製造され得る。ブレンドされたコポリマーが、ガスケット用途で良好な耐油性を与えおよび促進し得るので、ブレンドされたポリマー生成物は、他のものよりも好ましくあり得る。具体的には、追加のモノマーは、例えば、アルキル(メタ)アクリレート;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;塩化ビニリデン;スチレンモノマー;アルキルおよびアルコキシアルキルフマレートおよびマレエートならびにそれらのハーフエステル、シンナメート;およびアクリルアミド;N−アルキルおよびアリールマレイミド;(メタ)アクリル酸;フマル酸、マレイン酸;桂皮酸;ならびにそれらの組合せの1種または複数であってもよい。より具体的には、本発明の実施形態によってポリマーを生成するために使用されるモノマーは、いずれの特定の種にも限定されないが、様々なモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキサイド付加体、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレートおよび2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート;スチレンモノマー、例えば、スチレン、ビニルトルエン、アルファ−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびそれらの塩;フッ素含有ビニルモノマー、例えば、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン;シリコン含有ビニルモノマー、例えば、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸モノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;マレイミドモノマー、例えば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド;ニトリル含有ビニルモノマー、例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル;アミド含有ビニルモノマー、例えば、アクリルアミドおよびメタクリルアミド;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニルおよび桂皮酸ビニル;アルケン、例えば、エチレンおよびプロピレン;共役ジエン、例えば、ブタジエンおよびイソプレン;ビニル化合物、例えば、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ハロゲン化アリル、アリルアルコールなどが挙げられる。前述のモノマーは、単独に、逐次的に、または組合せで使用されてもよい。生成物の物理的特性の望ましさから、1種または複数の種類のモノマーが好ましくあり得る。
【0088】
本発明の組成物中へ組み入れるための他の有用な反応物質のうちには、モノ、ジ−およびトリイソシアネートまたはポリマー型イソシアネートが含まれる。ジ−およびトリ−イソシアネートが、特に有用である。これらの反応物質は、本明細書で記載されるとおりの本発明のフッ素化モノマー、オリゴマーまたはポリマー上に多官能性化合物を結合するために使用され得る。非限定的な例としては、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、パラ−、メタ−およびオルト−ジイソシアナトベンゼン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルエンジイソシアネート、例えば、2,4−TDI、2,6−TDT、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、水素化トルエンジイソシアネート、1−イソシアナトメチル−5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリス(6t−イソシアナトヘキシル)ビウレットおよびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0089】
ジ−またはトリイソシアネートと、本発明のフッ素化モノマーまたはオリゴマー上のアルコールまたはアミン基との反応は、ウレタンまたはウレア基の形成を可能にし、加えて、さらなる反応のために追加のイソシアネート官能基を与える。
【0090】
本発明のFM、FOまたはFPを含有する重合性組成物の配合に有用なラジカル開始剤としては、パーオキシおよびパーエステル化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド(CHP)、ジ−t−ブチルパーオキサイドおよびジクミルパーオキサイド、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)2,5−ジメチルヘキサンが挙げられるがこれらに限定されない。ラジカル開始剤は、所望の反応または硬化を達成するために有用な任意の量で組み入れられてもよい。望ましくは、それらは、全組成物の約0.01重量%から約10重量%の量で存在する。ラジカル開始剤の組合せも有用である。
【0091】
このような組成物の配合に有用な光開始剤としては、UVおよび可視光スペクトルに有用なもの、例えば、ベンゾインおよび置換ベンゾイン、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、およびジアルコキシアセトフェノン、例えば、ジエトキシアセトフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。光開始剤は、所望の硬化を達成するために有効な任意の量で使用され得る。望ましくは、それらは、全組成物の約0.001重量%から約10重量%、より望ましくは約0.1重量%から約5重量%の量で存在する。
【0092】
有用な可視光光開始剤としては、カンファーキノン、パーオキシエステル開始剤、非フルオレンカルボン酸パーオキシエステル開始剤、およびアルキルチオキサントン、例えば、イソプロピルチオキサンタン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシメチルエステルおよび7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド、ならびにそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。ジエトキシアセトフェノン(DEAP)、ジエトキシキサントン、クロロ−チオキサントン、アゾ−ビスイソブチロニトリル、N−メチルジエタノールアミンベンゾフェノール、およびそれらの組合せが用いられてもよい。
【0093】
熱硬化性組成物は、本発明の様々な実施形態の中の1つである。有用な熱硬化触媒としては、ヒドロシリル化触媒、例えば、白金、ロジウムおよびそれらのそれぞれの有機炭化水素錯体が挙げられるがこれらに限定されない。これらの熱硬化触媒は、全組成物の約0.01重量%から約10重量%の量で、より望ましくは全組成物の約0.1重量%から約5重量%の量で存在してもよい。
【0094】
本発明の組成物で有用な湿気硬化触媒としては、有機金属錯体、例えば、有機チタネート(例えば、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラブトキシオルトチタネート)、金属カルボキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジオクトエート、ならびにそれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。湿気硬化触媒は、目的の硬化を達成するために有効な任意の量で存在してもよい。望ましくは、それらは、全組成物の約0.1重量%から約5重量%の量で組み入れられる。
【0095】
本発明の組成物中に組み入れることができる有用な反応性シランとしては、アルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシランが挙げられるがこれに限定されない。
【0096】
保存寿命を高め、かつ時期尚早の反応を阻止するための有用な抑制剤が、種々のキレート剤に加えて、適切な場合に様々な実施形態に添加されてもよい。種々のフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールに加えて、例えば、種々のキノンが用いられてもよく、例えば、ヒドロキシキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、フェナントラキノン、アントラキノンおよびそれらの置換体が用いられてもよい。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤が用いられてよい。含有物ならびに具体的な選択および用いられる量は、選択される実施形態に依存する。
【0097】
一部の実施形態において、嫌気性組成物は、本発明のFM、FOまたはFPから配合されてもよい。このような場合、適切な嫌気性開始剤、促進剤成分および抑制剤またはキレート成分が、本明細書で記載されるとおりに用いられてもよい。
【0098】
本発明の組成物から製造された嫌気的硬化性組成物のための触媒および促進剤としては、公知の触媒および促進剤のいずれもが挙げられる。例えば、スルホン、例えば、ビス(フェニルスルホンメチル)アミン、N−メチル−ビス−(フェニルスルホンメチル)アミン、ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−メチル−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−エチル−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−エタノール−ビス(p−トリルスルホンメチル)アミン、N−フェニル−pトリルスルホンメチル−アミン、N−フェニル−N−メチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、N−フェニル−N−エチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、N−P−トリル−N−メチル−p−トリルスルホンメチル−アミン、ビス−(p−トリルスルホンメチル)エチレンジアミン、テトラキス−(p−トリルスルホンメチル)エチレンジアミン、ビス−(p−トリルスルホンメチル)ヒドラジン、N−(p−クロルフェニル)−p−トリルスルホンメチル−アミン、およびN−(p−カルボエトキシフェニル)−(p−トリルスルホンメチル)アミンが、用いられてもよい。ほとんどの用途について、触媒は、全組成物の約0.05重量%から10.0重量%、好ましくは約0.1重量%から2重量%の量で用いられる。
【0099】
本発明の嫌気性組成物のための触媒は、嫌気性系において単独で用いられてもよいか、またはオルトスルホベンズイミド(サッカリン)などの促進剤が、モノマーの約0.05重量%から5.0重量%の量で用いられてもよい。
【0100】
嫌気性組成物において、組成物の保存寿命をさらに延長するために、例えば、第三級アミン、ヒドロキノンなどの、酸化防止剤、熱安定剤またはラジカル抑制剤を用いることが望ましいこともあり得る。特に、立体障害フェノール、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、または商品名Ionox220(Shell)、Santonox R(Monsanto)、Irganox1010およびIrganox1076(Ciba−Geigy)などの下に市販されているような安定剤を添加することも好ましいことがあり得る。
【0101】
本発明の嫌気性組成物は、任意の一連の嫌気性条件の下で満足に硬化するが、結合される成分の表面上の選択された金属の存在は、硬化の速度を顕著に増加させる。これらの嫌気性組成物とともに有効である適切な金属としては、鉄、銅、スズ、アルミニウム、銀およびそれらの合金が挙げられる。金属、合金およびそれらのメッキ(これらは、これらの組成物の硬化の促進に有用である)で与えられる表面は、便宜上、「活性金属」表面という用語に分類され、そのようなものとしては、限定されないが、上述の金属の物質すべてが挙げられることが理解される。これらの活性金属を含まない結合成分(例えば、プラスチック、ガラス、非活性金属表面)において、これらの表面を、モノマー−触媒混合物に可溶な活性金属化合物、例えば、塩化第2鉄、ならびにコバルト、マンガン、鉛、銅および鉄「石鹸」、例えば、2−エチルヘキサン酸コバルト、酪酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、酪酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸鉛、酪酸鉛、ナフテン酸鉛、ラウリン酸鉛など、ならびにそれらの混合物で前処理することによって硬化を促進させることが望ましいことがあり得ることにさらに留意されたい。これらの活性金属化合物は、例えば、トリクロロエチレンなどの揮発性溶媒中の金属化合物の希釈溶液で表面を濡らし、次いで、溶媒を蒸発させることによって、表面に容易に塗布され得る。この方法で処理された非活性表面は、活性金属表面と同程度に迅速に本発明のシーラントと一緒に結合され得る。
【0102】
制御ラジカル重合反応を用いるフッ素化ポリマー組成物の調製
本発明のモノマーのフルオロ化合物は、例えば、一電子移動重合(SET)などの原子移動ラジカル重合(ATRP)によって、カップリングによる可逆的不活性化などの安定ラジカル重合(SFRP)によって、または退化的移動(DT)によって、連鎖および逐次重合ならびに制御ラジカル重合を用いて重合され得る。
【0103】
構造I〜構造VIによって表されるものを含めて、本発明のフルオロ化合物は、制御ラジカル重合反応で使用されて、増加した転化率、低い多分散性、最終生成物の高い官能性および分子量の単峰性分布などの特性を有するポリマーを生成し得る。これらの改善は、フルオロ化合物が単独でまたは主として寄与する、上記に検討された向上された特性に加えたものである。フルオロ化合物は好ましくは官能化されるので、それらは、追加の成分とのさらなる反応、構造のさらなる改変、硬化、またはこれらの組合せのための部位を与える。
【0104】
ATRP、SERPおよびDTは、本発明のポリマーを構築する有用な方法である。制御、またはリビング重合法は、連鎖移動および停止反応が本質的に存在しないものである。これらの開発は、高度の効率および最適化とともに、特定のかつ正確な量の官能性および化学反応性を有するポリマーの生成を可能にする。
【0105】
ラジカルの可逆的不活性化を含む、非極性系と極性系の混合物を含む非極性溶媒中で行われる、金属を触媒とした有機ラジカル反応およびリビングラジカル重合(LRP)は、Cu(II)Xの不均化によって形成される。外圏SET法は、非常に低い活性化エネルギーを有し、したがって、室温で速い活性化および不活性化ステップならびに無視できるほどの2分子停止を伴う。図6は、提唱されるSET機構を図示する。図6および図7において、Lは配位子であり、Xはハライドアニオンであり、Pはポリマーである。より詳細な考察については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Percec,V.ら;「Ultrafast Syntheses of Ultrahigh Molar Mass Polymers by Metal−Catalyzed Living Radical Polymerization of Acrylates, Methacrylates, and Vinyl Chloride Mediated by SET at 25°」、A.J.AM.Chem.Soc.2006年、128、14156〜14165頁を参照されたい。
【0106】
制御ラジカル重合の特に有用な方法の1つは、WO2009/155303(A3)として公開され、Henkel Corporationに譲渡された、米国出願第PCT/US2009/047479号(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。この出願は、反応容器の外側に収容されている固体触媒表面の上に所定の流量で反応混合物を誘導し、ある一定の温度範囲内に反応容器の温度をモニターし、温度範囲が選択された温度範囲の外にある場合、流量を調整し、所望の転化率のレベルに到達されるまで重合を進行させる方法を提供する。この方法は、本明細書で記載されるフッ素化ポリマー組成物の生成に特に有用である。
【0107】
原子移動ラジカル重合(ATRP)反応は、高い活性化エネルギーを必要とする内圏電子移動機構によって進行する。ATRPは、低い酸化状態の金属錯体が触媒として作用し、ラジカルとそれらのアルキルハライド休止種との間の速い交換を媒介する内圏電子移動機構によって進行すると考えられる。ATRPのより詳細な説明については、K.Matyzaszewski,K.ら、「Competitive Equilibrium in Atom transfer Radical Polymerization」、Macromol.Symp 2007年、248、60〜70頁(これは、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。図7は、提唱されるATRP機構を図示する。
【0108】
SET−LRPは、低い活性化エネルギーで、したがって、より低い温度で行われ得る。用いられる触媒は、それ自体で再生し、したがって、重合プロセスは生きている状態(living)である。反応混合物の溶媒濃度を増加させると、より速い重合を与える。SET−LRP反応は、Cu(O)種とハロゲン含有基質(開始剤またはハロゲン停止ポリマー鎖末端)との間のSET反応によって開始する。Cu(O)種が電子供与体として作用し、主たる開始剤および成長種R−X(Xは、ハライドアニオン)は電子受容体として作用する外圏SET機構によって、重合は進行する。
【0109】
ポリマー化学において、新規な重合法および新規なポリマーを開発するために努力が続けられている。そのようなものとして、一電子移動リビングラジカル重合(以後、SET−LRP)が、進展し、ATRPのサブセットとして探索されてきた。本発明の方法によって、いずれかのプロセス、または両方を実施することができ、より高い転化率、より効率的なプロセス、およびより高い予測可能性および望ましさを有する生成物を含むより良好な結果をもたらす。
【0110】
制御されたラジカル重合を、機能材料の調製のために可能な限り環境的に優しくかつ低コストの方法にするための努力が続けられてきた。ポリマー分子量、分子量分布、組成、構造、および官能性に対する制御などの因子は、このような方法の設計および実行における重要な検討事項である。本発明の方法は、所望の鎖長、多分散性、分子量、および官能性などが最終生成物中に容易に組み入れられるように、最終ポリマー生成物に対してより優れた制御を可能にする。したがって、本発明は、分子量分布に対する制御不良、低い官能性、ポリマーレオロジーの制御不良、および望ましくない多分散性を克服する。また、この方法は、そのように予測可能であるので、高い予測可能性をもって大規模で容易に実施し、および/または最終ポリマー生成物の特性を新しい水準へと調整するために使用することができ、生成物をそれらの特性に基づいて設計することができる。さらに、停止反応があまりないので、ポリマーの構造および組成は、より正確であり、最終生成物は、より望ましい特性および特徴を有して、より良い製品になる。さらに、反応を推進するために必要とされる触媒の量は非常に少ないので、最終生成物の精製が、容易になり、時には不要である。さらに、成分系は、モノマーの(共)重合に対するさらにより正確な制御を与えるように最適化することができる。
【0111】
本明細書で使用される制御またはリビング重合法で用いられる触媒は、原子移動平衡の位置および休止種と活性種との間の交換の動力学の決定に寄与し得る。したがって、用いられる触媒は、好ましくは良好な電子供与体であるべきである。触媒は、例えば、Cu(O);CuS;CuTe;CuSe;Mn;Ni;Pt;Fe;Ru;V;CuCl;CuCl;CuBr;CuBr、およびそれらの組合せ、ならびに当技術分野で知られているような類似のものであってもよい。同様に、例えば、Au、Ag、Hg、Rh、Co、Ir、Os、Re、Mn、Cr、Mo、W、Nb、Ta、Znを含む他の触媒、およびそれらの1種または複数を含む化合物も、本方法によって用いられてもよい。特に有効な触媒の一つは、元素銅金属、およびその誘導体である。
【0112】
触媒は、1つまたは複数の形態を取ってもよい。例えば、触媒は、ワイヤ、メッシュ、スクリーン、削りくず、粉末、管形、ペレット、結晶の形態、または他の固体形態であってもよい。触媒表面は、前に開示されたとおりに、1種または複数の金属、または金属合金であってもよい。より詳細には、触媒は、銅ワイヤ、銅メッシュ、銅スクリーン、銅削りくず、銅粉末、銅網、銅焼結物、銅フィルター、銅銀、銅管、銅結晶、銅ペレット、非反応性物質上の元素銅のコーティング、およびそれらの組合せの形態であってもよい。
【0113】
本明細書で使用される制御重合法はまた、配位子、例えば、金属触媒がより高い酸化状態で利用できるように、金属触媒が配位子により可溶化され得る程度に触媒の抽出を補助し得る窒素含有配位子の存在を含んでもよい。したがって、配位子が分子レベルで反応混合物の種々の成分の混合の促進を補助し得るという趣旨で、配位子が重合反応を推進するために望ましくなり得る。多種多様な窒素含有配位子が、本発明の使用に適している。これらの化合物としては、第一級、第二級、および第三級アルキルまたは芳香族アミン、ならびに直鎖状、分岐状、または樹枝状のポリアミンであり得るポリアミン、およびポリアミドが挙げられる。本発明に用いられる適切な配位子としては、遷移金属にσ結合により配位し得る、1つまたは複数の窒素、酸素、リンおよび/または硫黄原子を有する配位子、ならびに遷移金属にπ結合により配位し得る複数の炭素−炭素結合を有する配位子が挙げられる。例えば、適切な配位子としては、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン(Me6−TREN)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、2,2−ビピリジン(bpy)、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、および多くの他のN−配位子を挙げることができる。
【0114】
配位子は、遷移金属のレドックス共役体、すなわち、遷移金属のより高い酸化状態と可溶性錯体を好ましく形成することができ、成長ラジカル鎖の不活性化において活性な錯体を形成し、これは、ポリマー生成物の狭い分子量分布に寄与し得る。
【0115】
本方法の制御ラジカル重合の開始剤は、ラジカル反応を開始することができ、したがって、反応容器中で成長ポリマー鎖の数に対する寄与因子と考えられ得る。適切な開始剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物が挙げられる。開始剤の例としては、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、ヘキサハロゲン化エタン、モノ、ジ、およびトリハロアセテート、アセトフェノン、ハロゲン化アミド、ならびにナイロンなどのポリアミド、それらのブロックコポリマーを含むハロゲン化ウレタンおよびポリウレタン、ハロゲン化イミド、アセトン、ならびにATRPおよびSET−LRPを含む従来の金属を触媒としたリビングラジカル重合で作用することが示された任意の他の開始剤が挙げられる。多種多様な開始剤が、本発明における使用に適している。ハロゲン化化合物が、本発明における使用に特に適している。これらの開始剤としては、「R’C(=O)OR」の式R−X(式中、Xはハロゲンであり、Rは、C〜Cアルキルである)の化合物が挙げられる。例えば、開始剤としては、ジエチルメソ−2,5−ジブロモアジペート;ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート、エチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート);エチレングリコールモノ−2−ブロモプロピオネート;トリメチロールプロパントリス(2−ブロモプロピオネート);ペンタエリトリトールテトラキス(2−ブロモプロピオネート);2,2−ジクロロアセトフェノン;メチル2−ブロモプロピオネート;メチル2−クロロプロピオネート;N−クロロ−2−ピロリジノン;N−ブロモスクシンイミド;ポリエチレングリコールビス(2−ブロモプロピオネート);ポリエチレングリコールモノ(2−ブロモプロピオネート);2−ブロモプロピオニトリル;ジブロモクロロメタン;2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド;α,α’−ジブロモ−オルト−キシレン;α,α’−ジブロモ−メタ−キシレン;α,α’−ジブロモ−パラ−キシレン;α,α’−ジクロロ−パラ−キシレン;2−ブロモプロピオン酸;メチルトリクロロアセテート;パラ−トルエンスルホニルクロリド;ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド;ジフェニルエーテル−4,4’−ジスルホニルクロリドブロモホルム;ヨードホルム四塩化炭素;およびそれらの組合せが挙げられてもよい。一部の実施形態において、開始剤は、アルキル、スルホニル、または窒素ハロゲン化物であってもよい。窒素ハロゲン化物は、ハロゲン化ナイロン、ペプチド、またはタンパク質であることもできる。代替として、活性ハライド基を有するポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリマーおよびコポリマーのクロロメチル基またはポリクロロメチルスチレンも、開始剤として用いることができる。
【0116】
一旦重合が終了すると、この方法は、得られたポリマーをさらに反応させて、ポリマー上に少なくとも1つの官能性末端基を形成する工程を含んでもよい。中間体生成物の官能性は、1つまたは複数の最終製品に転化され得る多用途最終生成物を生成する。したがって、最終生成物は、望まれ得るように、様々な商業的製品または手段に実装され得る。反応をクエンチし、工程を停止するために、強い求核試薬が反応混合物に添加されてもよい。このような求核試薬としては、例えば、チオレート、アミン、アジド、カルボキシレート、アルコキシド、およびカルボン酸ナトリウムが挙げられる。求核試薬の1つまたは組合せが、鎖安定性および一体性を維持しながら、反応を停止させるために、望まれ得るように用いられてもよい。ポリマー上の官能性末端の創出は、例えば、末端封止反応または置換反応のいずれかを行うことによって行われてもよい。
【0117】
末端封止反応によって最終ポリマー生成物を官能化するために、必要な工程は、最終処理前の、初期反応の最後に反応容器中その場で(in situ)行われてもよい。少なくとも1つのポリマー末端の末端封止官能化を行うために、工程は、最終ポリマー生成物を準備する工程;封止剤を容器に添加する工程;反応をクエンチする工程;および封止ポリマー生成物を精製する工程を含む。
【0118】
封止剤は、鎖安定性および一体性を維持しながら、所望の官能性末端基を有する最終生成物の末端基を封止するために、望まれ得るような、化合物の一つまたは組合せを含んでもよい。例えば、封止剤としては、2アリルアルキルエタノール、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテル、1−6ヘプタジエン、シクロオクチルジエン、ノルボルナジエン、およびSET−LRP条件下でホモポリマーを形成しない公知の傾向を有する他のオレフィンが挙げられる。
【0119】
本発明の方法の最終生成物としては、例えば、ブロック、ランダム、統計、周期、グラジエント、星型、グラフト、櫛型、(超)分岐状または樹枝状ポリマーであってもよい、ホモポリマーおよび/または(コ)ポリマーが挙げられる。慣例的用語における「(コ)」という括弧内接頭辞は、択一的であり、すなわち、(コ)ポリマーは、ホモポリマーも含めて、コポリマーまたはポリマーを意味する。同様に、本明細書で使用される場合の「(超)」は、低い分岐度と比較して、コポリマー主鎖に沿った比較的高い度合いの樹枝状分岐を指す。
【0120】
本発明は、周期または交互コポリマーを調製するために使用されてもよい。本発明の方法は、モノマーの一つが立体的理由によってホモポリマーが調製され難くあり得る1つまたは2つの嵩高い置換基を有する交互コポリマーの生成に特に有用であり得る。電子供与性を有するモノマーと電子受容性を有するモノマーとの共重合は、主として交互モノマー構造を有する生成物の形成をもたらす。
【0121】
いわゆる「交互」コポリマーは、本発明の方法を使用して生成され得る。「交互」コポリマーは、電子供与特性を有する1種または複数のモノマーと、電子受容特性を有する1種または複数のモノマー(アクリレート、メタクリレート、不飽和ニトリル、不飽和ケトンなど)との共重合によって調製される。本発明のランダムまたは交互コポリマーはまた、本発明のブロック、星型、グラフト、櫛型または超分岐状コポリマーのいずれにおいてもブロックとして役立ち得る。
【0122】
最終生成物は、分子量、多分散性、分子量の単峰性分布などを含む、1種または複数の特徴によって特徴付けられてもよい。本発明の方法の1つまたは複数は、2,000〜20,000,000g/モルの分子量を有するポリマー生成物を生成し得る。また、ポリマー生成物は、ポリマー分子量の単峰性分布を有する。さらに、ポリマー生成物は、約1.01〜約2の多分散性も有し得る。ある実施形態において、本明細書で記載される方法で生成されるポリマーは、少なくとも約500の数平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、ポリマーは、少なくとも1,000,000の数平均分子量を有する。
【0123】
開示されるフッ素化化合物のいずれも、様々な実施形態を与えるために、他のいずれの開示された反応性成分と一緒に使用されてもよい。様々なフッ素化モノマーが、様々な追加のモノマー、開始剤、触媒、希釈剤、安定剤、充填剤、可塑剤および本明細書で記載される他の成分を含む、重合性組成物に、単独でまたはブレンドとして添加されてもよい。本明細書に記載される成分の様々な組合せが、本発明の様々な実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0124】
例1
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペントキシトリメトキシシランの合成
【0125】
【化31】
【0126】
【表3】
【0127】
実験項:
・テトラメトキシシラン(548g、3.6mol)とCHONa(2.14g、40mmol)とを混合する。
【0128】
・混合物を130℃で加熱する。
【0129】
・2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(557g、2.4mol)を滴下する。
【0130】
・留出液の重量がメタノールの理論量とほぼ等しくなるまで(約4時間)、メタノールの沸点で留出液を除去する。
【0131】
・反応混合物を冷却する。
【0132】
・蒸留を減圧下で行う。
【0133】
・透明留分を60℃/40mmHgで収集する。
【0134】
・全生成物(化合物II)650g、77%収率。
【0135】
例2
C18−オクタフルオロペンチル−ジエチルオルトシリケート(化合物Va)の合成
反応スキーム
【0136】
【化32】
【0137】
操作手順
【0138】
【表4】
【0139】
オイルバス中のマグネチックスターラーバーを備えた乾燥した1Lの三つ口フラスコ中に室温で、続いてステアリルアルコール(162g)、テトラエトキシシラン(124.8g)、オクタフルオロペンタノール(139.2g)、ナトリウムメトキシド(1.3g)を添加した。添加が終了した後、この丸底フラスコを蒸留装置に接続した。オイル温度を170℃に上昇させ、その間にエタノールを反応継続中に蒸留により除去した。30時間後、オイルバスの温度を70℃に下げた。次いで、生成物を真空(5mmHg)下70℃で12時間撹拌した。合計量360gの生成物を得た。H−NMRおよび19F−NMRによる検出は、目標生成物(化合物Va)の収率がほぼ90%であることを示した。他の10%は、副生成物であり、化合物AまたはB、Cとして特定される。
【0140】
【化33】
【0141】
例3
モノ−OFPウレタン化1,3−ビス(2−イソシアナトプロパン−2−イル)ベンゼン(化合物V)の調製
【0142】
【化34】
【0143】
反応手順:
雰囲気下、OFP(139ml、1.0mol)、1,3−ビス(2−イソシアナトプロパン−2−イル)ベンゼン(1.0mol)およびヘキサン(700ml)を2Lの三つ口フラスコ中室温で混合した。この反応系を氷−塩バスにより−5℃に冷却した後、ジブチルスズジラウレート(6.3g、10.0mmol)を滴下して添加した。ジブチルスズジラウレートの添加中に反応系温度を0℃以下に維持した。次いで、この混合物を室温にゆっくり加温させた。混合物を1時間撹拌したときに出現した白色沈殿があった。10時間後、反応を完了した。白色沈殿を、所望の生成物(化合物3)を含有するものと同定した。所望の生成物(化合物V)を再結晶により得た(358g、82.7%収率)。
【0144】
例4
モノ−OFPウレタン,モノ−イソプロペニルベンゼン(化合物III)の調製
【0145】
【化35】
【0146】
雰囲気下、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール(139ml、1mol)、1−(2−イソシアナトプロパン−2−イル)−3−(プロパ−1−エン−2−イル)ベンゼン(237ml、1.2mol)およびヘキサン(700ml)を、2Lの三つ口フルスコに撹拌しながら投入した。次いで、この反応混合物を氷−塩バスにより−5℃に冷却した。反応混合物に、ジブチルスズジラウレート(6.3g、10mmol)を滴下して添加した。ジブチルスズジラウレートの添加中、反応系温度を0℃未満に維持した。次いで、混合物温度を徐々に室温まで放置し、この温度で30時間撹拌した。所望の生成物(化合物III)対反応物質2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールの比は、100:1である。真空下で揮発性溶媒を除去した後、所望の粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE:EA 20:1)によりさらに精製した。収量は、(500g、79.8%)であった。
【0147】
例5
この実施例は、ブチルアクリレートおよびオクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートの新規なテレケリックポリマーを形成するための制御ラジカル重合の使用を実証する。ヒドロキシル官能性を与えるために、2−ヒドロキシエチルアクリレートをさらに組み入れた。
【0148】
【化36】
【0149】
圧力管中に、ブチルアクリレート(4.5g)、オクタフルオロペンチルアクリレート(1.5g)、ジエチル2,5−ジブロモアジペート(0.108g)、Me6Tren(0.01035g)およびCuBr2(2.2mg)を添加し、次いで、乾燥窒素ガスを用いて、15分間脱気し、次いで、3.43gの銅粉末を窒素雰囲気下で添加した。圧力管を密封し、反応を70〜75℃で14時間進行させた。次いで、0.69グラムの2−ヒドロキシエチルアクリレートを添加し、反応を70〜75℃でさらに4時間進行させた。次いで、酸素に曝露することによって反応をクエンチし、次いで、アルミナカラムを通過させた。未反応のモノマーをメタノール中に沈殿させることによって除去した。NMRでの定性は、ポリマーが、74.8重量%のブチルアクリレート、24.0重量%のオクタフルオロペンチルアクリレートおよび1.2重量%の2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有することを示した。GPCは、MN=19,400およびPDI=1.24であることを示した。
【0150】
例6
2−ヒドロキシエチルアクリレート末端封止由来のペンダントヒドロキシル基を、イソシアナトプロピルトリメトキシシランとさらに反応させて、湿気硬化性末端封止トリメトキシシラン官能性を得た以外は、例Vの同じ成分を用いた。
【0151】
【化37】
【0152】
例Vからのペンダントヒドロキシル基を有するフルオロ含有ポリマーは、湿気硬化の配合前にその場で、イソシアナトプロピルトリメトキシシランで封止することができる。ヒドロキシル価23.9mgKOH/gを有するポリマーについての典型的な実験において、250グラムのポリマー、21.86グラムのイソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび271mgのジブチルスズジラウレート(触媒)をRoss混合器に添加した。rpm=5で5分混合後、樹脂が上昇することなしに十分な真空をかけることができるまで、真空をゆっくりとかける。次いで、温度を90℃に上昇させ、混合を18rpmで2時間維持する。所望の生成物は、湿気硬化の配合に使用し得るトリメトキシシラン基を有する。
【0153】
例7
2−ヒドロキシエチルアクリレート末端封止をアクリル酸またはアクリロリクロリドとさらに反応させて、UV硬化性末端基を得る以外は、例IVの同じ成分を用いた。
【0154】
ヒドロキシル価23.9mgKOH/gを有するポリマーについての典型的な実験において、250グラムのポリマー、9.59グラムのアクリル酸(−OHに対して25%モル過剰)および521mgのMEHQ(抑制剤、200ppm)をRoss混合器に添加した。rpm=5で5分混合後、樹脂が上昇することなしに十分な真空(20mmHg)をかけることができるまで、真空をゆっくりとかける。次いで、温度を110℃に上昇させ、混合を18rpmで真空下で2時間維持する。所望の生成物は、UV硬化の配合に使用し得るアクリレート基を有する。
【0155】
例8
この実施例は、Dupont、Wilmington、DEから市販されている、Nafion(登録商標)フィルムなどのパーフルオロポリマーフィルムのための接着促進剤としての本発明の官能化パーフルオロモノマーの使用を実証する。この実施例は、溶媒系プライマー溶液中の官能化パーフルオロモノマーとして2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペントキシトリアルコキシシランを用いて、Nafion(パーフルオロポリマー)フィルムとのファンデルワールス相互作用を向上させる。官能化パーフルオロモノマーに加えて、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、アリルトリメトキシシラン(ATMS)および7−オクテニルトリメトキシシラン(OTMS)を含む、他の非フッ素化接着促進剤も、ヒドロシリル化硬化接着ガスケッティング材料へ共有結合させるためにプライマー溶液中に組み入れた。
【0156】
【表5】
【0157】
ガラス瓶に、63.13gのDow Corning S32260(15〜40%VTMS、1〜5%のTi(IV)ブトキシド、60%超の脂肪族軽油系溶剤ナフサおよび63.17gの2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペントキシトリメトキシシランを添加した。この瓶に蓋をし、よく振とうし、次いで、Nafionパーフルオロポリマーフィルム表面に表面プライマーとして塗布し、室温(RT)および約50%相対湿度(RH)で約30分間乾燥させた。次いで、プライマー処理したNafion表面の上に熱硬化性炭化水素ガスケッティング生成物を塗布し、120℃で45分間硬化させた。100%の凝集破壊が、剥離試験によりNafion表面で認められた。
【0158】
例9
この実施例は、本発明の別のプライマー/表面改質剤組成物を実証する。ガラス瓶に、25.7708gのヘプタン(無水)、3.4823gのTi(IV)ブトキシド、5.5816gのATMS、および34.798gの2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペントキシトリメトキシシランを添加した。瓶に蓋をし、よく振とうし、使用可能にした。次いで、このプライマー溶液をNafionパーフルオロポリマーフィルムに塗布し、室温および約50%相対湿度で約30分間硬化させた。次いで、プライマー処理したNafion表面の上に熱硬化性炭化水素ガスケッティング生成物を塗布し、120℃で45分間硬化させた。100%の凝集破壊が、剥離試験によりNafion表面で認められた。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7