【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フルオロポリマー、そのフルオロポリマーの製造に関連する処理困難性、およびそれから製造された組成物が遭遇する処理困難性を克服することを検討するものである。本発明はまた、フルオロ含有モノマーをフルオロ不含モノマーと共重合させて、独特の物理的および処理特性を有するオリゴマーおよびポリマーを生成させることによって従来の組成物の処理困難性を克服するものである。
【0006】
本発明は、最終組成物およびそれから製造された製品において、向上および/または調整された光学的、物理的、機械的および化学的特性を与え得る、様々なオクタフルオロ化合物および誘導体を提供する。
【0007】
さらに、本発明のオリゴマーおよびポリマーは、原子移動ラジカル重合(ATRP)または一電子移動(SET)重合などの制御重合法の使用によって効率的に製造することができ、これは、信頼できかつ望ましい特性を有するフルオロポリマーを大規模に製造する、効率的で有効な手段を与える。
【0008】
本発明の一態様において、新規なフルオロ化合物およびそれらの調製方法が提供される。これらの化合物としては、新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマー、ならびにそれらから製造されたアニオン性、カチオン性および非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられる。これらの新規な化学物質は、限定するものではないが、工業、自動車、電子および消費者分野を含む、多数の技術および製品分野で有用である。このような製品としては、少しの例を挙げると、嫌気性およびアクリル接着剤、ポリウレタンおよびシリコーン接着剤、シーラントおよびコーティング剤、ならびに洗浄剤、消泡剤および撥水剤製品が挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な用途としては、フォームインプレース(FIP:form−in−place)ガスケッティング用途、キュアインプレース(CIP:cured−in−place)ガスケッティング用途、射出成形ガスケッティング用途、光電池用途、燃料電池シーラント、Li−イオン電池シーラント用途、自動車−熱交換器接着剤、および様々な工業部品のためのモジュール封止が挙げられる。
【0009】
本発明のフルオロ化合物は、他の反応性および非反応性成分と合わせて、向上した耐熱性および耐薬品性、低い摩擦係数ならびに向上した電気特性などの、向上した物理的および化学的特性を有する組成物を形成することができる。特に、本化合物およびそれらから製造された組成物は、市販の多くの現行アクリレートおよびシリコーン製品を上回る向上した特性を有する。
【0010】
フルオロ化合物は、様々な組成物の特性を望ましく変更するために使用されてもよい。それらは、モノマー添加剤として使用されてもよく、それらは、オリゴマーもしくはポリマー上にグラフト化されてもよく、またはそれらは、フルオロ界面活性剤を形成するために界面活性剤上にグラフト化されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様において、構造I:
【0012】
【化1】
(式中、
RおよびR
1は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18から選択されてもよく、
R
2は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、
【0013】
【化2】
から選択されてもよく、
R
3は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
R
4は、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18、
【0014】
【化3】
から選択されてもよく、
R
5は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
R
6は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
R
7は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
8またはFから選択されてもよく、
R
8は、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜20から選択されてもよく;
nは、1〜4であり、
【0015】
【化4】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を含む、組成物が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様において、
i)構造I:
【0017】
【化5】
(式中、
RおよびR
1は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18から選択されてもよく、
R
2は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
から選択されてもよく;
R
3は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
R
4は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、
【0020】
【化8】
から選択されてもよく、
R
5は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
R
6は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
R
7は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
8またはFから選択されてもよく、
R
8は、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜20から選択されてもよく;
nは、1〜4であり、
【0021】
【化9】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を含む組成物と、
ii)ラジカル開始剤と
の反応生成物が提供される。
【0022】
本発明の別の態様において、
i)有機シラン化合物とアルカリまたはアルカリ土類金属酸化物とを、反応容器中、加熱下で混合する工程と、
ii)得られた混合物をフッ素化アルカノールとさらに混ぜ合わせて、フッ素化湿気硬化性シランを形成する工程と
を含む、フッ素化湿気硬化性シランを形成する方法が提供される。
【0023】
特に望ましいシラン化合物は、テトラメトキシシランであるが、他のアルコキシシランが用いられてもよい。特に望ましいアルカリ土類金属酸化物は、ナトリウムメトキシドであり、特に望ましいフッ素化アルカノールは、2,2,3,3,4,4,5,5−オクチルフルオロペンタノールであるが、本明細書で後に記載されるとおり他のものが用いられてもよい。
【0024】
本発明の別の態様において、
i)請求項1に記載の組成物を、ラジカル開始剤、金属触媒に配位することができる配位子および金属触媒と反応容器中で混ぜ合わせる工程と、
ii)所望の重合度に到達するまで、反応を適切な温度で適切な時間進行させて、フッ素化された重合性化合物を生成する工程と
を含む、制御重合によってフッ素化硬化性組成物を形成する方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様において、
(i)1種または複数の請求項1に記載の化合物と、
(ii)モノマー、ポリマー、オリゴマー、反応性希釈剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の反応性成分と、
(iii)硬化系と
を含む、接着剤、またはシーラントもしくはコーティング組成物が提供される。
【0026】
本発明の別の態様において、その構造中にセグメント;
【0027】
【化10】
(式中、R
10およびR
11は、同じであっても、異なっていてもよく、HおよびMeから独立して選択されてもよく;R
12は、疎水性モノマー、親水性モノマー、芳香族モノマー、脂肪族モノマーおよびそれらの組合せから選択されてもよい)
を含む化合物を含む組成物が提供される。望ましくは、R
12は、置換されたまたは置換されていないC
1〜20モノマーであって、アルキル基C
1〜20より望ましい。さらにより望ましくは、R
12は、置換されていないC
1〜4アルキル基、例えば、−CH
2CH
2CH
2CH
3である。R
12は、本明細書で記載されるものなどの官能基で置換されていてもよく、Xは、0.001〜100モル%を表し、yは、0〜99.999モル%を表す。
【0028】
本発明の別の態様において、
(i)構造VI:
【0029】
【化11】
(式中、
RおよびR
1は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18から選択されてもよく、
R
2は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0030】
【化12】
から選択されてもよく、
R
3は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
R
4は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、
【0031】
【化13】
から選択されてもよく、
R
5は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
R
6は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
R
7は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
8またはFから選択されてもよく、
R
8は、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜20から選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0032】
【化14】
は、構造への結合点を示し、R
9は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜8、NR
3R
4、OR
5またはFから選択されてもよい)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、ラジカル開始剤および連鎖移動剤と混ぜ合わせて、反応混合物を形成する工程と、
(iii)得られた混合物を十分な温度および時間で反応させて、ポリマーを形成する工程と
を含む、制御ラジカル重合法が提供される。
【0033】
本発明の別の態様において、
(i)構造:
【0034】
【化15】
(式中、
RおよびR
1は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18から選択されてもよく、
R
2は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0035】
【化16】
から選択されてもよく、
R
3は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
R
4は、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18、
【0036】
【化17】
から選択されてもよく、
R
5は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
R
6は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
R
7は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
8またはFから選択されてもよく、
R
8は、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜20から選択されてもよく、R
9は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
5またはFから選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0037】
【化18】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物と混ぜ合わせて、反応混合物を形成する工程と、
(iii)混合物を十分な温度および時間で反応させて、ポリマーを形成する工程と
を含む、制御重合法が提供される。
【0038】
本発明の別の態様において、
(i)構造:
【0039】
【化19】
(式中、
RおよびR
1は、同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは、H、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜18から選択されてもよく、
R
2は、シロキシ、(メタ)アクリロキシ、ビニルエーテル、エポキシエーテル、アルキルエーテル、シアノアクリレート、シアノアセテート、
【0040】
【化20】
から選択されてもよく、
R
3は、芳香族、脂肪族または環状脂肪族から選択されてもよく、
R
4は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、
【0041】
【化21】
から選択されてもよく、
R
5は、置換されていても置換されていなくてもよくかつ1つまたは複数の不飽和基を含んでもよい、脂肪族または芳香族基から選択されてもよく、
R
6は、置換第四級アミンまたは金属カチオン(M+)から選択されてもよく、
R
7は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
8またはFから選択されてもよく、
R
8は、置換されたまたは置換されていないアルキルC
1〜20から選択されてもよく、R
9は、H、置換されたもしくは置換されていないアルキルC
1〜18、NR
3R
4、OR
5またはFから選択されてもよく、
nは、1〜4であり、
【0042】
【化22】
は、構造への結合点を示す)
の化合物を準備する工程と、
(ii)前記化合物を、ニトロキシドおよびラジカル開始剤と混ぜ合わせる工程と
を含む、制御重合法が提供される。
【0043】
本発明の別の態様において、ポリマーまたはオリゴマー主鎖、および前記主鎖上にグラフト化されたフルオロ化合物を含み、前記フルオロ化合物グラフトは、官能化オクトフルオロペンチル基を含む、反応性組成物が提供される。
【0044】
本発明の別の態様において、
(i)ジイソシアネート化合物とオクタフルオロアルカノールの反応混合物を、反応容器中、室温未満の温度で形成する工程と、
(ii)前記反応混合物に触媒を添加し、混合物を室温に加温して、反応性フッ素化ウレタンを形成する工程と
を含む、反応性フッ素化ウレタンを形成する方法が提供される。
【0045】
本発明の別の態様において、本発明のオクタフルオロ誘導体(OFD)は、モノマー(FM)、オリゴマー(FO)またはポリマー(FP)の形態であってもよい。さらに、OFDは、ポリマー上にグラフト化されたもの(FPG)でもよい。
【0046】
例えば、OFDがFMである場合、それは、それ自体と、または別のモノマー、オリゴマーまたはポリマーと重合されてもよい。例えば、本発明のFMの1種は、別のモノマー(非FMもしくは本発明の異なるFMを含む)と重合されてもよいか、またはFMは、組成物の特性を向上および/もしくは調整するために、組成物に添加されてもよい。
【0047】
本発明の別の実施形態において、本発明のFOまたはFPは、それ自体または組成物中の別の重合性成分と共重合されてもよい。FPは、官能化されていても、官能化されていなくてもよい。例えば、FOは、組成物の表面エネルギーを低下させるために、モノマー組成物に添加されてもよい。
【0048】
本発明の別の態様において、本発明のOFDは、ポリマー主鎖上にグラフト化されてもよい。したがって、このようなグラフト化フルオロポリマーの配合物は、向上、改変および/または調整された特性を有して提供され得る。
【0049】
本発明のさらに別の態様において、本発明のOFDは、界面活性剤部分を含んでもよく、界面活性剤特性を提供または向上するために、組成物中に配合されてもよい。