【実施例】
【0048】
6. 実施例
本発明の態様は以下の実施例から理解することができる。
【0049】
6.1. ((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノンの合成
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えた12L容の三つ口丸底フラスコに、L−(−)−キシロース(504.40g、3.360mol)、アセトン(5L、試薬グレード)及び無水MgSO
4粉末(811.23g、6.740mol/2.0当量)を投入した。周囲温度で懸濁液を撹拌状態にした後、濃H
2SO
4(50mL、0.938mol/0.28当量)を添加した。ゆるやかで穏やかな発熱を認め(約1時間かけて温度は24℃に上昇した)、反応液を周囲温度で一晩撹拌した。16.25時間後、TLCから全てのL−キシロースがなくなっており、主生成物はビスアセトニドであり、幾らかの(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールと共に存在したことが示唆された。反応混合物を濾過し、回収した固体をアセトンで2回洗浄した(1回の洗浄につき500mL)。撹拌中の黄色の濾液を濃NH
4OH溶液(39mL)で中和してpH=8.7にした。10分間の撹拌後、懸濁した固体を濾過により除去した。濾液を濃縮することにより、未精製ビスアセトニド中間体を黄色の油(725.23g)として得た。この黄色の油を、メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えた5L容の三つ口丸底フラスコ内を撹拌しながら水2.5Lに懸濁させた。pHを1N HCl水溶液(142mL)で9から2に調整し、GCがビスアセトニド中間体から(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールへの十分な変換を示すまで室温で6時間撹拌した。反応液を50%(w/w)K
2HPO
4水溶液を添加してpH=7まで中和した。次いで溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(1.25L)を添加することにより、白色の懸濁液が得られ、これを濾過した。濾液を真空下で濃縮すると橙色の油が得られ、これをメチルtert−ブチルエーテ
ル1Lに溶解させた。この溶液はKFが水分0.23重量%であり、これを濃縮することにより、(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールを橙色の油(551.23g、収率86%、GCによる純度96.7面積%)として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d
6)δ1.22(s、3H)、1.37(s、3H)、3.51(dd、J=11.12Hz、5.81Hz、1H)、3.61(dd、J=11.12Hz、5.05Hz、1H)、3.93〜4.00(m、1H)、3.96(s、1H)、4.36(d、J=3.79Hz、1H)、4.86(br s、2H)、5.79(d、J=3.54Hz、1H)。
13C NMR(101MHz、DMSO−d
6)δ26.48、27.02、59.30、73.88、81.71、85.48、104.69、110.73。
【0050】
(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オール(25.0g、131mmol)のアセトン(375mL、15×)及びH
2O(125mL、5×)溶液に、NaHCO
3(33.0g、3.0当量)、NaBr(2.8g、20mol%)及びTEMPO(0.40g、2mol%)を20℃で添加した。混合物を0℃〜5℃に冷却した後、固体トリクロロイソシアヌル酸(TCCA、30.5g、1.0当量)を数回に分けて添加した。懸濁液を20℃で24時間撹拌した。メタノール(20mL)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌した。この時点で白色の懸濁液が形成された。混合物を濾過し、アセトン(50mL、2×)で洗浄した。有機溶媒を真空下で除去し、水層をEtOAc(300mL、12× 3回)で抽出し、合わせた有機層を濃縮することにより、固体残渣を幾らか含む油状混合物を得た。アセトン(125mL、5×)を添加し、混合物を濾過した。次いでアセトン溶液を濃縮することにより、所望の酸((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸)を黄色の固体(21.0g、79%)として得た。
1H NMR(メタノール−d
4)、δ6.00(d、J=3.2Hz、1H)、4.72(d、J=3.2Hz、1H)、4.53(d、J=3.2Hz、1H)、4.38(d、J=3.2Hz、1H)、1.44(s、3H)、1.32(s、3H)。
【0051】
(3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(5.0g、24.5mmol)のTHF(100mL、20×)溶液に、TBTU(11.8g、1.5当量)、N−メチルモルホリン(NMM、4.1mL、1.5当量)を添加し、混合物を20℃で30分間撹拌した。次いでモルホリン(3.2mL、1.5当量)を添加し、反応混合物を20℃でさらに6時間撹拌した。固体を濾過し、ケーキをTHF(10mL、2× 2回)で洗浄した。有機溶液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc、1:4から4:1)で精製することにより、所望のモルホリンアミド4.3g(64%)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl
3)、δ6.02(d、J=3.2Hz、1H)、5.11(br s、1H)、4.62(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、3.9〜3.5(m、8H)、1.51(s、3H)、1.35(s、3H)。
【0052】
6.2. ((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノンの代替的な合成
ジオールである(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールのアセトニトリル溶液(5.38kg、65%(w/w)、3.50kg活性、18.40mol)、アセトニトリル(10.5L)及びTEMPO(28.4g、1mol%)を、K
2HPO
4(0.32kg、1.84mol)及びKH
2PO
4(1.25kg、9.20mol)の水(10.5L)溶液に添加した。NaClO
2(3.12kg、80%(w/w)、27.6mol、1.50当量)の水(7.0L)溶液及びK
2HPO
4(2.89kg、0.90当量)の水(3.0L)溶液を冷却しながら調製した。漂白剤(3.0L、6%程度の家庭用グレード)をK
2HPO
4溶液と混合した。NaClO
2溶液(1.6L)及び漂白剤/K
2HPO
4溶液(400mL、約1mol%)の20%程度を添加した。2つの溶液の残りを同時に添加した。反応混合物が暗赤褐色に変わり、ゆるやかな発熱が観察された。バッチを15℃〜25℃に維持しながら、NaClO
2溶液は約40mL/分の速度で添加し(3時間〜4時間添加)であり、漂白剤/K
2HPO
4溶液は約10mL/分〜12mL/分の速度で添加した(10時間添加)。反応が完結に至るまで、TEMPO(14.3g、0.5mol%)を5時間〜6時間毎にさらに投入した(通常2回の投入で十分である)。黄緑色がかったガスが容器内に蓄積しないように、水(aqueous)を用いたスクラバへのヘッドスペースの窒素掃引を実施した。反応混合物
を10℃未満に冷却し、3回に分けたNa
2SO
3(1.4kg、0.6当量)で1時間かけてクエンチした。次いで反応混合物を5℃〜15℃でpHが2.0〜2.1に達するまでH
3PO
4で酸性化した(2.5L〜2.7L)。層を分離し、水層をアセトニトリル(10.5L 3回)で抽出した。合わせた有機層を、35℃未満(蒸気28℃〜32℃、浴45℃〜50℃)の真空下(約100torr〜120torr)で濃縮して、低体積にした(約6L〜7L)後、アセトニトリルで体積を約12L〜15Lに希釈した場合に溶液のKFが1%未満に達するまでアセトニトリル(40L)でフラッシュした。モルホリン(1.61L、18.4mol、1.0当量)を4時間〜6時間かけて添加し、スラリーを窒素下で一晩寝かせた。混合物を0℃〜5℃に冷却し、3時間寝かせた後、濾過した。濾過ケーキをアセトニトリル(10L)で洗浄した。窒素を流して乾燥させることにより、((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸のモルホリン塩4.13kgを白色固体(内部標準として1,4−ジメトキシベンゼンを用いた
1H NMRに基づく純度92%〜94%)、純度に関して補正した収率72%〜75%として得た。
1H NMR(D
2O)δ5.96(d、J=3.6Hz、1H)、4.58(d、J=3.6Hz、1H)、4.53(d、J=3.2Hz、1H)、4.30(d、J=3.2Hz、1H)、3.84(m、2H)、3.18(m、2H)、1.40(s、1H)、1.25(s、1H)。
13H NMR(D
2O)δ174.5、112.5、104.6、84.2、81.7、75.0、63.6、43.1、25.6、25.1。
【0053】
((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸のモルホリン塩(7.85kg、26.9mol)、モルホリン(2.40L、27.5mol)及びホウ酸(340g、5.49mol、0.2当量)をトルエン(31L)に添加した。得られたスラリーを脱気し、窒素下でディーン・スタークトラップを用いて12時間加熱還流した後、室温に冷却した。混合物を濾過して不溶物を除去し、濾過ケーキをトルエン(5L)で洗浄した。濾液を約14Lに濃縮し、トルエン(約80L)で洗い流して過剰のモルホリンを除去した。最終体積が約12Lになると、ヘプタン(14L)を60℃〜70℃でゆっくりと添加した。得られたスラリーを室温に徐々に冷却し、3時間寝かせた。次いで濾過し、ヘプタン(12L)で洗浄し、窒素下で乾燥させることにより、僅かにピンク色の固体(6.26kg、純度97%、収率98%)を得た。融点:136℃(DSC)。
1H NMR(CDCl
3)、δ6.02(d、J=3.2Hz、1H)、5.11(br s、1H)、4.62(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、3.9〜3.5(m、8H)、1.51(s、3H)、1.35(s、3H)。
13C NMR(メタノール−d
4)δ26.84、27.61、44.24、47.45、68.16、77.14、81.14、86.80、106.87、113.68、169.05。
【0054】
6.3. 1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼンの合成
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラー付き等圧滴下ロートを備えた2L容の三つ口丸底フラスコに、2−クロロ−5−ヨード安息香酸(199.41g、0.706mol)、ジクロロメタン(1.2L、KF=水分0.003重量%)を投入し、周囲温度で懸濁液を撹拌状態にした。次いでN,N−ジメチルホルムアミド(0.6mL、1.1mol%)を添加した後、塩化オキサリル(63mL、0.722mol、1.02当量)を11分かけて添加した。反応液を周囲温度で一晩撹拌し、溶液にした。18.75時間後、未反応の出発原料がなくなるように、さらなる塩化オキサリル(6mL、0.069mol、0.10当量)を添加した。2時間後、反応混合物を真空下で濃縮することにより、次工程に持ち越す、未精製の2−クロロ−5−ヨードベンゾイルクロリドを淡黄色の発泡体として得た。
【0055】
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラー付き等圧滴下ロートを備えたジャケット付き2L容の三つ口丸底フラスコに、塩化アルミニウム(97.68g、0.733mol、1.04当量)、ジクロロメタン(0.65L、KF=水分0.003重量%)を投入し、窒素下で懸濁液を撹拌状態にして、約6℃に冷却した。次いで9℃未満に内温を保ちながらエトキシベンゼン(90mL、0.712mol、1.01当量)を7分かけて添加した。得られた橙色の溶液をジクロロメタン(75mL)で希釈し、−7℃に冷却した。次いで2−クロロ−5−ヨードベンゾイルクロリド(0.706mol以下)のジクロロメタン(350mL)溶液を、内温を+3℃未満に保ちながら13分間かけて添加した。反応混合物を僅かに加温し、+5℃で2時間保持した。HPLC分析から反応の完結が示唆され、ジャケット付き丸底フラスコ内を攪拌しながら、予め冷却した(約5℃)2N HCl水溶液450mL中に反応液をクエンチした。このクエンチは内温を28℃未満に保ちながら10分かけて数回に分けて行った。クエンチした二相性混合物を20℃で45分間撹拌し、下部の有機相を1N HCl水溶液(200mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回(1回の洗浄につき200mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄した。洗浄した抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、未精製の(2−クロロ−5−ヨードフェニル)(4−エトキシフェニル)メタノンをオフホワイト色の固体(268.93g、220nmでのHPLCにより99.0面積%、200nmでの位置異性体1.0面積%、「そのままの()“as-is”」収率98.5%)として得た。
【0056】
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えたジャケット付き1L容の三つ口丸底フラスコに、未精製の(2−クロロ−5−ヨードフェニル)(4−エトキシフェニル)メタノン(30.13g、77.93mmol)、アセトニトリル(300mL、KF=水分0.004重量%)を投入し、窒素下で懸濁液を撹拌状態にして、約5℃に冷却した。次いでトリエチルシラン(28mL、175.30mmol、2.25当量)を添加した後、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテラート(24mL、194.46mmol、2.50当量)を約30秒かけて添加した。反応液を30分かけて周囲温度に加温し、17時間撹拌した。反応液をメチルtert−ブチルエーテル(150mL)で希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)を約1分かけて添加した。穏やかなガス発生を認め、二相性溶液を周囲温度で45分間撹拌した。上部の有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。洗浄した抽出液をロータリーエバポレーターで元の体積の約半分に濃縮し、水(70mL)で希釈した。白色の小粒が形成されるまで45℃の真空下でさらに濃縮し、これを撹拌しながら周囲温度に冷却した。周囲温度で約30分後、懸濁した固体を濾過により単離し、水(30mL)で洗浄し、45℃の真空下で乾燥させた。約2.5時間後、これにより、1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼンを僅かに蝋様である白色の顆粒粉末(28.28g、220nmでのHPLCによ
り98.2面積%、「そのままの」収率97.4%)として得た。
【0057】
6.4. (4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノンの合成
1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼン(500mg、1.34mmol)のTHF(5.0mL)溶液に、i−PrMgCl(2.0M THF溶液、1.0mL、2.00mmol)を0℃〜5℃で添加し、混合物を0℃〜5℃で1.5時間撹拌した。(3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノン(146.5mg、0.536mmol)のTHF(1.0mL)溶液を0℃〜5℃で滴下により添加し、混合物を1時間続けて撹拌し、20℃に加温し、20℃で2時間撹拌した。反応液を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、MTBEで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、所望のケトン(178mg、76%)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.88(dd、J=8.4Hz、2.0Hz、1H)、7.82(d、J=2.0Hz、1H)、7.50(d、J=8.4Hz、1H)、7.12(d、J=8.4Hz、2H)、6.86(d、J=8.4Hz、2H)、6.07(d、J=3.2Hz、1H)、5.21(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、4.56(d、J=3.2Hz、1H)、4.16(d、J=7.2Hz、2H)、4.03(q、J=7.2Hz、2H)、1.54(s、3H)、1.42(t、J=7.2Hz、3H)、1.37(s、3H)。
【0058】
6.5. (4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノンの代替的な合成
メカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた20L容の反応器に、ヨウ化物(3.00kg、8.05mol)及びTHF(8L、モルホリノアミドに対して4×)を室温で投入し、−5℃に冷却した。上記溶液に、i−PrMgClのTHF溶液(Aldrich 2M、4.39L、8.82mol)を−5℃で3時間かけて滴下により添加
した。このグリニャール溶液は以下のケトン形成で用いた。
【0059】
メカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた50L容の反応器に、モルホリノアミド(HPLC純度=97重量%、2.01kg、7.34mol)及びTHF(11L、5.5×)を室温で投入し、室温で45分間、30℃で15分間撹拌した。次いで均質溶液を−25℃に冷却した。この溶液に、t−BuMgClのTHF溶液(Aldrich 1M、7.32L、7.91mol)を−25℃で3時間かけて添加した。次いで
この溶液に上記グリニャール溶液を−20で41分かけて添加した。得られた溶液をさらに−20℃で撹拌した後、クエンチした。反応混合物を激しく撹拌しながら10重量% NH
4Cl水溶液(10L、5×)に0℃で添加し、0℃で30分間撹拌した。この混合物に、6N HCl(4L、2×)を0℃でゆっくりと添加して清澄な溶液を得て、10℃で30分間撹拌した。相分離後、有機層を25重量% NaCl水溶液(5L、2.5×)で洗浄した。次いで有機層を200mbar、浴温50℃の条件下、3×溶液に濃縮した。EtOAc(24L、12×)を添加し、150mbar、浴温50℃の条件下、3×溶液に蒸発させた。清澄(polish)濾過によって固体を除去した後、EtOAc(4L、2×)を添加し、濃縮乾固した(150mbar、浴温50℃)。次いで湿ケーキをメカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた50L容の反応器に移した。EtOAcを添加した後、懸濁液を70℃で加熱して2.5×均質溶液を得た。得られた均質溶液に、同じ温度でヘプタン(5L、2.5×)をゆっくりと添加した。均質溶液に種結晶を添加し、ヘプタン(15L、7.5×)を70℃で僅かに濁った溶液にゆっくり
と添加した。70℃で0.5時間撹拌した後、懸濁液を60℃にゆっくりと冷却し、60℃で1時間撹拌した。次いで懸濁液を室温にゆっくりと冷却し、同じ温度で14時間撹拌した。結晶を回収し、ヘプタン(8L、4×)で洗浄し、45℃の真空下で乾燥させることにより、所望のケトンをふわふわした固体(2.57kg、HPLCにより100重量%、純度調整収率:81%)として得た。
【0060】
6.6. (2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテートの合成
ケトンである(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノン(114.7g、0.265mol)のMeOH(2L、17×)溶液に、CeCl
3・7H
2O(118.5g、1.2当量)を添加し、混合物を全ての固体が溶解するまで20℃で撹拌した。次いで混合物を−78℃に冷却し、NaBH
4(12.03g、1.2当量)を反応の温度が−70℃を超えないように数回に分けて添加した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、0℃にゆっくりと加温し、飽和NH
4Cl水溶液(550mL、5×)でクエンチした。混合物を真空下で濃縮してMeOHを除去した後、EtOAc(1.1L、10× 2回)で抽出し、ブライン(550mL、5×)で洗浄した。合わせた有機物を真空下で濃縮することにより、所望のアルコールを無色の油(未精製、115g)として得た。この無色の油にAcOH(650mL)及びH
2O(450mL)を添加し、混合物を100℃に加熱し、15時間撹拌した。次いで混合物を室温(20℃)に冷却し、真空下で濃縮することにより、黄色の油(未精製、約118g)を得た。この未精製の油にピリジン(500mL)を添加し、混合物を0℃に冷却した。次いでAc
2O(195mL、約8.0当量)を添加し、混合物を20℃に加温し、20℃で2時間撹拌した。反応液をH
2O(500mL)でクエンチし、EtOAc(1000mL)で希釈した。有機層を分離し、真空下で濃縮してEtOAc及びピリジンを除去した。残渣をEtOAc(1000mL)で希釈し、NaHSO
4水溶液(1N、500mL、2回)及びブライン(300mL)で洗浄した。有機層を濃縮することにより、所望のテトラアセテート中間体を黄色の発泡体(約133g)として得た。
【0061】
テトラアセテート(133g、0.237mol、純粋と仮定)及びチオ尿素(36.1g、2.0当量)のジオキサン(530mL、4×)溶液にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)(64.5mL、1.5当量)を添加し、反応混合物を80℃に3.5時間加熱した。混合物を20℃に冷却し、MeI(37mL、2.5当量)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DiPEA)(207mL、5.0当量)を添加し、混合物を20℃で3時間撹拌した。次いで混合物をでメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1.3L、10×)で希釈し、H
2O(650mL、5×
2回)で洗浄した。有機層を分離し、真空下で濃縮することにより、黄色の固体を得た。この黄色の固体にMeOH(650mL、5×)を添加し、混合物を60℃で2時間再度スラリー化した後、0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、ケーキをMeOH(0℃、70mL、3回)で洗浄した。ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のトリアセテートである(2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(88g、4工程を通じて60%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.37(d、J=8.0Hz、1H)、7.20(dd、J=8.0Hz、2.0Hz、1H)、7.07(m、2H)、6.85(m、2H)、5.32(t、J=9.6Hz、1H)、5.20(t、J=9.6Hz、1H)、5.05(t、J=9.6Hz、1H)、4.51(d、J=9.6Hz、1H)、4.38(d、J=9.6Hz、1h)、4.04(m、2H
)、2.17(s、3H)、2.11(s、3H)、2.02(s、3H)、1.73(s、3H)、1.42(t、J=7.2Hz、3H)。
【0062】
6.7. (2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテートの代替的な合成
窒素雰囲気下の50L容の反応器に、MeOH 40L、その後ケトン(2.50kg、5.78mol)及びCeCl
3・7H
2O(2.16kg、1.0当量)を投入した。メタノール(7.5L)をリンスとして添加した(合計で47.5L、19×)。新たに調製したNaBH
4(87.5g、0.4当量)の1N NaOH水溶液(250mL)を15℃〜25℃でゆっくりと(35分)添加した。次いで混合物を15分間撹拌した。反応混合物のHPLC分析から90:10程度のジアステレオマー比であることが示された。反応液を10重量% NH
4Cl水溶液(2.5L、1×)でクエンチし、混合物を真空下で5×に濃縮し、水(10L、4×)及びMTBE(12.5L、5×)で希釈した。混合物を10℃に冷却し、混合物のpHが2.0に達するまで6N HCl水溶液を添加した。撹拌を10分間継続し、層を分離させた。有機層をH
2O(5L、2×)で洗浄した。合わせた水層をMTBE(12.5L、5×)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2.5L、1×)で洗浄し、真空下で3×に濃縮した。MeCN(15L、6×)を添加した。混合物を再度10L(4×)に濃縮し、清澄濾過によっていかなる固体残渣も除去した。ケーキを最少量のMeCNで洗浄した。
【0063】
有機濾液を50L容の反応器に移し、予め調製した20mol% H
2SO
4水溶液(98%濃H
2SO
4 61.8mL及びH
2O 5L)を添加した。混合物を80℃に2時間加熱した後、20℃に冷却した。反応液を飽和K
2CO
3水溶液(5L、2×)でクエンチし、MTBE(15L、6×)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(5L、2×)で洗浄し、真空下で5L(2×)に濃縮した。MeCN(12.5L、5×)を添加し、混合物を7.5L(3×)に濃縮した。
【0064】
上記の(3S,4R,5R,6S)−6−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2,3,4,5−テトラオールのMeCN溶液を10℃に冷却し、ジメチルアミノピリジン(17.53g、2.5mol%)を添加した後、無水酢酸(3.23L、6.0当量)及びトリエチルアミン(5L、2×、6.0当量)を混合物の温度が20℃未満に保たれるようにゆっくりと添加した。次いで反応液を20℃に加温し、1時間撹拌し、MTBE(15L、6×)で希釈した。混合物を水(7.5L、3×)でゆっくりとクエンチした。有機層を分離し、飽和KHCO
3水溶液(5L、2×)、1N NaHSO
4(5L、2×)及びブライン(5L、2×)で順に洗浄した。
【0065】
次いで有機層を真空下で5L(2×)に濃縮した。MeCN(12.5L、5×)を添加し、溶液を7.5L(3×)(KF=0.08%)に濃縮した。ジオキサン(12.5L、5×)を添加し、溶液を7.50L(3×)に濃縮した(KF=0.02%)。清澄濾過によっていかなる固体残渣も除去し、ケーキを最少量のジオキサン(500mL)で洗浄した。
【0066】
上記濾液にチオ尿素(880g、2.0当量)及びTMSOTf(1.57L、1.5当量)を添加した。反応混合物を80℃に3時間加熱した(97%超の変換)。混合物を20℃に冷却し、ヨウ化メチル(541mL、1.5当量)及びジエチルイソプロピルアミン(3.02L、3.0当量)を添加し、混合物を20℃で18時間撹拌した。追加のヨウ化メチル投入分(90mL、0.25当量)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌した。次いで混合物をMTBE(25L、10×)で希釈し、水(12.5L、5× 2
回)で洗浄した。有機層を分離し、真空下で約5L(2×)に濃縮した。MeOH(12.5L、5×)を添加し、混合物を5×に濃縮することにより、スラリーを得た。次いで混合物を60℃で1時間加熱し、0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、ケーキをでMeOH(0℃、2.5L、1× 2回、1.0L、0.4×)で洗浄した。ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のトリアセテート(1.49kg、4工程通じて47%)を淡黄色/オフホワイト色の固体として得た。
【0067】
6.8. (2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの合成
(2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(90.0g、0.164mol)のMeOH(900mL、10×)スラリーに、NaOMeのMeOH溶液(25重量%、18mL、0.2×)を20℃で添加し、混合物を全ての固体が消失するまで20℃で2時間撹拌した。次いで混合物を300mLに濃縮し、H
2O(1L)に添加し、1時間撹拌した。固体を濾過し、H
2O(100mL、3回)で洗浄し、ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のメチルチオレート(67.0g、95%)を得た。
1H NMR(CDCl
3)δ7.38(d、J=8.4Hz、1H)、7.22(m、2H)、7.11(d、J=8.8Hz、2H)、6.83(d、J=8.8Hz、2H)、4.35(d、J=9.6Hz、1H)、4.15(d、J=9.6Hz、1H)、4.10〜3.95(m、3H)、3.64(t、J=8.8Hz、1H)、3.50(m、2H)、3.42(br s、1H)、2.95(br s、1H)、2.57(br s、1H)、2.17(s、3H)、1.40(t、J=7.2Hz、3H)。
【0068】
6.9. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1の調製
僅かに陽圧にした窒素下、50L容の反応器に、MeOH(12L)及びトリアセテート(1.70Kg、3.09mol)を投入した。メタノール(5L)をリンスとして添加した。次いでスラリーをNaOMeのMeOH溶液(25重量%、340mL、0.2×)に20℃で15分かけて添加し、混合物を全ての固体が消失するまで20℃で2時間撹拌した。混合物に水(25.5L、15×)を45分かけてゆっくりと添加し、5gの種結晶(DSC 123℃)を添加した。固体が析出し(crashed out)、混合物を20
℃で1時間撹拌し、0℃に冷却し、30分間撹拌した。固体を濾過し、水(1.7L、1×、2回)で洗浄して、ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、標題の化合物(DSCピークによる融点約123℃;1.28Kg、収率97.7%)を得た。
【0069】
6.10. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2の調製
僅かに陽圧にした窒素下、50L容の反応器に、MEK(2−ブタノン、4L)及び(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1(1.49Kg)を投入した。MEK(3.45L)をリンスとして添加した。混合物を80℃に加熱し、ヘプタン(14.9L、10×)を1.5時間かけてゆっくりと添加した。固体が析出し始め、混合物にヘプタン(14.9L、10×)を6時間かけて投入した。混合物を80℃で15時間撹拌した。混合物を3時間かけて20℃に冷却し、20℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、ケーキをMEK/ヘプタン(2.5:7.5(v/v)、1.49L、1× 2回)で洗浄し、窒素下で12時間及び50℃の真空下で2
4時間乾燥させることにより、標題の化合物を白色の固体(DSCピークによる融点約134℃;1.48Kg、回収率98%)として得た。
【0070】
6.11. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2の代替的な調製
250L容の反応器に、トリアセテート(10kg)及びメタノール(75kg)を投入した。ナトリウムメトキシド(1.6kg、30%溶液)を5kgのメタノールでリンスしながら添加した。混合物を室温で少なくとも2時間又は反応が完結するまで撹拌した。炭(Darco G−60、1kg)を5kgのメタノールでリンスしながら添加した。この混合物を40℃で1時間加熱し、室温に冷却し、セライト濾過した。ケーキをメタノール(10kg)で洗浄した。水(100kg)を添加し、混合物を真空下で濃縮した。MTBE(200kg)及び水(50kg)を添加し、相を分離させた。有機層を水(100kg)で洗浄し、真空下で濃縮した。MEK(100kg)を添加し、同量の溶媒を真空下で蒸留した。このMEKの添加及び蒸留を繰り返して溶液を乾燥させた。十分なMEKを添加して、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールのMEK(50L)溶液を生成した。この溶液を清澄濾過し、ヘプタン(100L)を約80℃で添加した。形態2の種結晶(0.1kg)を添加した後、約80℃でヘプタン(100L)をゆっくりと添加した。80℃で8時間以上加熱を継続し、少なくとも3時間かけて20℃に冷却し、この温度で少なくとも2時間保持し、濾過し、MEK/ヘプタンで洗浄した。ケーキを50℃の真空下で乾燥させることにより、標題の化合物を白色の固体(6.6kg、収率86%)として得た。
【0071】
上記で引用した全ての参考文献(例えば、特許及び特許出願)はその全体が参照により本明細書中に援用される。