【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
実施例1 FNフラグメントを用いた樹状細胞(DC)の製造−1
(1)単球の調製
インフォームドコンセントが得られた健常人から調製したヒト末梢血単核細胞(PBMC)よりDynabeads Untouched Human Monocytes(ライフテクノロジーズ社製)を用いて、CD14陽性細胞(単球)を多く含む細胞集団を回収した。
【0046】
(2)樹状細胞への分化
実施例1−(1)で得られた細胞を、FBS(ライフテクノロジーズ社製)を最終濃度5%、ペニシリン−ストレプトマイシン(ライフテクノロジーズ社製)を最終濃度100U/mLとなるように添加したRPMI−1640培地(シグマアルドリッチ社製)(以下、FS培地と記載)に、1×10
6cells/mLとなるように懸濁した。さらに、この細胞懸濁液にGM−CSF(R&Dシステムズ社製)及びIL−4(R&Dシステムズ社製)をそれぞれ最終濃度100ng/mLとなるように添加し、細胞培養用12ウェルプレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで樹状細胞誘導培養を開始した。培養2日後、培地を半量除き、GM−CSF及びIL−4をそれぞれ最終濃度100ng/mL含むFS培地を、除いた量と等量加えさらに3日間培養した。
【0047】
(3)固定化プレートの調製
フィブロネクチン(FN)フラグメントであるCH−296[レトロネクチン(登録商標)、タカラバイオ社製]、ヒト血漿由来フィブロネクチン(シグマアルドリッチ社製)をそれぞれ25μg/mLとなるようにPBS(ライフテクノロジーズ社製)に溶解し、表面未処理96ウェル平面プレート(ベクトン・ディッキンソン社製)の各ウェルに0.07mLずつ加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持した。また、対照として溶媒(PBS)のみを表面未処理96ウェル平面プレートの各ウェルに0.07mL加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持した。以下、FNフラグメントCH−296(レトロネクチン)を固定化したプレートをRNプレート、ヒト血漿由来FNを固定化したプレートをFNプレート、溶媒のみを使用したプレートをNTプレートと記載する。こうして調製したプレートは、溶液を除去しPBSで2回洗浄した後に使用した。
【0048】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例1−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432(日本標準商品分類番号874299、中外製薬社製)を最終濃度0.05KE/mL含むFS培地に6.7×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.15mLを実施例1−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0049】
また、細胞をDC成熟化因子を含有しないFS培地に懸濁し、37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した群を調製した。
【0050】
実施例2 樹状細胞の表面抗原発現解析−1
実施例1−(4)で得られた培養細胞を、ウシ胎児血清を最終濃度1%、ペニシリン−ストレプトマイシンを最終濃度100U/mLとなるように添加したPBS(以下、1%FBS/PBS培地と記載)に懸濁し、下記の蛍光色素標識抗体をそれぞれ添加し4℃で20分間抗体反応を行った。その後、1%FBS/PBS培地で洗浄した細胞をフローサイトメーターFACS CantoII(ベクトン・ディッキンソン社製)での解析に供した。解析では前方散乱光(FSC)と側方散乱光(SSC)でミエロイド系列細胞にゲートを掛け、平均蛍光強度(MFI:Mean Fluorescence Intensity)としてGeo Meanの値により、細胞表面抗原の発現量を測定した。
【0051】
蛍光色素標識抗体は、FITC標識抗ヒトCD83抗体(eBioscience社製)、PE標識抗ヒトCD80抗体(eBioscience社製)、PE標識抗ヒトCD86抗体(eBioscience社製)をそれぞれ使用した。
【0052】
その結果を
図1に示す。
図1の縦軸は平均蛍光強度(MFI)を示す。
図1より、OK−432存在下(以下、図中で「OK432」と記載する)にRNプレートで成熟させたDCは、NTプレートやFNプレートで成熟させたDCより成熟化マーカーであるCD83、CD80及びCD86の細胞表面発現量が上昇した。一方、OK−432非存在下(以下、図中「−」と記載する)では、いずれのプレート(NTプレートやRNプレートやFNプレート)を使用しても成熟化マーカーの発現量の上昇は見られなかった。以下、図中で、RNプレートは「RN」、FNプレートは「FN」、NTプレートは「NT」と記載する。
【0053】
以上の実施例から、FNフラグメントはDC成熟化因子であるOK−432存在下にDC成熟化マーカーの発現量を増加させること、すなわち、FNフラグメントはDCの成熟化を促進することが明らかとなった。
【0054】
実施例3 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−2
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0055】
(2)樹状細胞への分化
実施例3−(1)で得られた細胞をFS培地に1.2×10
6cells/mLとなるように懸濁し、さらにGM−CSF及びIL−4をそれぞれ最終濃度100ng/mLとなるように添加し、細胞培養用12ウェルプレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで樹状細胞誘導培養を開始した。培養3日後、培地を半量除き、GM−CSF及びIL−4をそれぞれ最終濃度100ng/mL含むFS培地を、除いた量と等量加えさらに3日間培養した。
【0056】
(3)固定化プレートの調製
FNフラグメントCH−296(レトロネクチン)を25μg/mLとなるようにPBSに溶解し、表面未処理48ウェル平面プレート(ベクトン・ディッキンソン社製)の各ウェルに0.3mL加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持してRNプレートを調製した。また、対照として溶媒(PBS)のみを表面未処理48ウェル平面プレートの各ウェルに0.3mL加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持してNTプレートを調製した。こうして調製したプレートは、溶液を除去しPBSで2回洗浄した後に使用した。
【0057】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例3−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むFS培地に4.2×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.5mLを実施例3−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0058】
実施例4 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−1
実施例3−(4)で得られた培養上清を試料とし、Human Th1/Th2 11plex FlowCytomix Multiplex(eBioscience社製)を用い、フローサイトメーターFACS CantoIIにて、DCから産生される培養上清中のサイトカイン(IL−1β、TNF−α、IL−12、IFN−γ)量を測定した。解析はFlowCytomix Pro(eBioscience社製)を用いた。
【0059】
その結果を
図2に示す。
図2の縦軸はサイトカイン量を示す。
図2より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−1β、TNF−α、IL−12、IFN−γが多く存在した。
【0060】
以上の実施例から、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−1β、TNF−α、IL−12、IFN−γ産生を促進することが明らかとなった。
【0061】
実施例5 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−3
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0062】
(2)樹状細胞への分化
ヒトAB血清(ロンザ社製)を最終濃度5%、ペニシリン−ストレプトマイシンを最終濃度100U/mLとなるように添加したRPMI−1640培地(以下、HS培地と記載)を使用した点以外、実施例1−(2)と同様の方法で行った。
【0063】
(3)固定化プレートの調製
RNプレート及びNTプレートを、実施例1−(3)と同様の方法で調製した。
【0064】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例5−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むHS培地に4.0×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.15mLを実施例5−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0065】
また、成熟化因子を加えずにHS培地で懸濁後、37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した群を調製した。
【0066】
実施例6 樹状細胞の表面抗原発現解析−2
実施例5−(4)で得られた培養細胞を、実施例2と同様の方法で測定した。
【0067】
蛍光色素標識抗体は、FITC標識抗ヒトHLA−DR抗体(ベクトン・ディッキンソン社製)、FITC標識抗ヒトCD83抗体、PE標識抗ヒトCD80抗体、PE標識抗ヒトCD86抗体をそれぞれ使用した。
【0068】
その結果を
図3に示す。
図3の縦軸は平均蛍光強度を示す。
図3より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートで成熟させたDCより、DC成熟化マーカーであるHLA−DR、CD83、CD80、CD86の細胞表面発現量が上昇した。一方、OK−432非存在下(図中「−」)では、いずれのプレート(NTプレート及びRNプレート)を使用しても発現量の上昇は見られなかった。
【0069】
以上の実施例から、ヒトAB血清含有培地を用いてもFNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDC成熟化マーカーの発現を促進することが明らかとなった。
【0070】
実施例7 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−4
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0071】
(2)樹状細胞への分化
細胞培養用24ウェルプレートを使用した点以外、実施例5−(2)と同様の方法で行った。
【0072】
(3)固定化プレートの調製
FNフラグメントCH−296(レトロネクチン)、ヒト血漿由来フィブロネクチン、フィブロネクチン断片III
1―Cヒト(シグマアルドリッチ社製)を50μg/mLとなるようにPBSに溶解し、細胞培養用96ウェル平面プレート(コーニング社製)の各ウェルに0.07mL加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持した。また、対照として溶媒(PBS)のみを細胞培養用96ウェル平面プレートの各ウェルに0.07mL加え、4℃で3日間放置した後、37℃で4時間保持した。以下、FNフラグメントIII
1―Cを固定化したプレートをIIICプレートと記載する。こうして調製したプレートは、溶液を除去しPBSで2回洗浄した後に使用した。
【0073】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例7−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むHS培地に3.0×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.125mLを実施例1−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0074】
実施例8 樹状細胞の表面抗原発現解析−3
実施例7−(4)で得られた培養細胞の表面マーカーを、実施例2と同様の方法で測定した。
【0075】
蛍光色素標識抗体は、FITC標識抗ヒトCD83抗体、PE標識抗ヒトCD80抗体を使用した。
【0076】
その結果を
図4に示す。
図4の縦軸は平均蛍光強度を示す。
図4より、OK−432存在下にRNプレート及びIIICプレートで成熟させたDCは、NTプレートで成熟させたDCより成熟化マーカーであるCD80の細胞表面発現量が上昇した。以下、図中で、IIICプレートは「IIIC」と記載する。
【0077】
以上の実施例から、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下でDC成熟化マーカーの発現を促進することが明らかとなった。
【0078】
実施例9 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−5
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0079】
(2)樹状細胞への分化
培地にHS培地を使用した点以外、実施例3−(2)と同様の方法で行った。
【0080】
(3)固定化プレートの調製
実施例3−(3)と同様の方法で行った。
【0081】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例9−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むHS培地に3.4×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.5mLを実施例9−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0082】
実施例10 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−2
実施例9−(4)で得られた培養上清を試料とし、Human Th1/Th2 11plex FlowCytomix Multiplexを用い、フローサイトメーターFACS CantoIIにて、DCから産生される培養上清中のIL−6、TNF−α量を測定した。解析はFlowCytomix Proを用いた。
【0083】
その結果を
図5に示す。
図5の縦軸はサイトカイン量を示す。
図5より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−6、TNF−αが多く存在した。
【0084】
以上の実施例から、ヒトAB血清含有培地を用いて分化させたDCの場合も、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−6、TNF−α産生を促進することが明らかとなった。
【0085】
実施例11 レトロネクチンを用いた樹状細胞の製造−6
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0086】
(2)樹状細胞への分化
細胞培養用6ウェルプレートを使用し、細胞濃度を1.2×10
6cells/mLとした点以外、実施例5−(2)と同様の方法で行った。
【0087】
(3)固定化プレートの調製
FNフラグメントCH−296(レトロネクチン)の濃度を50μg/mLとし、固定化するプレートとして細胞培養用48ウェル平面プレートを使用した点以外、実施例3−(3)と同様の方法で行った。
【0088】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例11−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むHS培地に5.0×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.4mLを実施例11−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0089】
実施例12 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−3
実施例11−(4)で得られた培養上清を試料とし、Human IL−12 p70 ELISA Ready−SET−Go!(eBioscience社製)を用いて、DCから産生される培養上清中のIL−12量を測定した。
【0090】
その結果を
図6に示す。
図6の縦軸はIL−12量を示す。
図6より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−12が多く存在した。
【0091】
以上の実施例から、ヒトAB血清含有培地を用いてもFNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−12産生を促進することが明らかとなった。
【0092】
実施例13 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−7
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0093】
(2)樹状細胞への分化
培地にX−Vivo15(ロンザ社製)培地(以下、XV培地と記載)を使用した点以外、実施例7−(2)と同様の方法で行った。
【0094】
(3)固定化プレートの調製
実施例7−(3)と同様の方法で行った。
【0095】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例13−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むXV培地に2.6×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.125mLを実施例13−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0096】
実施例14 樹状細胞の表面抗原発現解析−4
実施例13−(4)で得られた培養細胞を、実施例2と同様の方法で測定した。
【0097】
蛍光色素標識抗体は、FITC標識抗ヒトCD83抗体、PE標識抗ヒトCD80抗体をそれぞれ使用した。
【0098】
その結果を
図7に示す。
図7の縦軸は平均蛍光強度を示す。
図7より、OK−432存在下にRNプレート及びIIICプレートで成熟させたDCは、NTプレートで成熟させたDCより成熟化マーカーであるCD83及びCD80の細胞表面発現量が上昇した。
【0099】
以上の実施例から、無血清培地であるX−Vivo15培地を用いても、FNフラグメントはDC成熟化因子であるOK−432存在下でDC成熟化マーカーの発現を促進することが明らかとなった。
【0100】
実施例15 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−8
実施例13と同様の方法で単球の調製、樹状細胞への分化、固定化プレートの調製、固定化プレートでの樹状細胞の成熟化、の各操作を行った。
【0101】
実施例16 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−4
実施例15で得られた培養上清を試料として、実施例12と同様の方法でサイトカインを測定した。
【0102】
その結果を
図8に示す。
図8の縦軸はIL−12量を示す。
図8より、OK−432存在下にRNプレート及びIIICプレートで成熟させたDCは、NTプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−12が多く存在した。
【0103】
以上の実施例から、X−Vivo15培地を用いても、FNフラグメントはDC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−12産生を促進することが明らかとなった。
【0104】
実施例17 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−9
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0105】
(2)樹状細胞への分化
細胞培養用24ウェルプレートとAIM−V(ライフテクノロジーズ社製)培地(以下、AM培地と記載)を使用し、細胞濃度を1.5×10
6cells/mLとした点以外、実施例1−(2)と同様の方法で行った。
【0106】
(3)固定化プレートの調製
固定化するプレートとして細胞培養用96ウェル平面プレート(ベクトン・ディッキンソン社製)を使用した点以外、実施例1−(3)と同様の方法で行った。
【0107】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例17−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むAM培地に2.2×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.125mLを実施例17−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0108】
実施例18 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−5
実施例17−(4)で得られた培養上清を試料とし、Human IL−12(p70) FlowCytomix Simplex(eBioscience社製)を用い、フローサイトメーターFACS CantoIIにて、DCから産生される培養上清中のIL−12量を測定した。解析はFlowCytomix Proを用いた。
【0109】
その結果を
図9に示す。
図9の縦軸はIL−12量を示す。
図9より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートやFNプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−12が多く存在した。
【0110】
以上の実施例から、AIM−V培地を用いても、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−12産生を促進することが明らかとなった。
【0111】
実施例19 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−10
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0112】
(2)樹状細胞への分化
培地にCellGroDC(セルジェニックス社製)培地(以下、CG培地と記載)を使用した点以外、実施例7−(2)と同様の方法で行った。
【0113】
(3)固定化プレートの調製
固定化するプレートとして細胞培養用96ウェル平面プレート(ベクトン・ディッキンソン社製)を使用し、CH−296溶液を0.07mL添加した点以外、実施例11−(3)と同様の方法で行った。
【0114】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例19−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子としてOK−432を最終濃度0.05KE/mL含むCG培地に2.2×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.125mLを実施例19−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0115】
実施例20 樹状細胞の培養上清中サイトカインの定量解析−6
実施例19−(4)で得られた培養上清を試料とし、実施例12と同様の方法でサイトカインを測定した。
【0116】
その結果を
図10に示す。
図10の縦軸はIL−12量を示す。
図10より、OK−432存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートで成熟させたDCより、その培養上清中にIL−12が多く存在した。
【0117】
以上の実施例から、CellGroDC培地を用いても、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるOK−432存在下にDCからのIL−12産生を促進することが明らかとなった。
【0118】
実施例21 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−11
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0119】
(2)樹状細胞への分化
細胞濃度を2.1×10
6cells/mLとした点以外、実施例9−(2)と同様の方法で行った。
【0120】
(3)固定化プレートの調製
実施例1−(3)と同様の方法で行った。
【0121】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
実施例21−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、DC成熟化因子として、TNF―α、IL−1β、IL−6をそれぞれ最終濃度10ng/mLとPGE2を最終濃度2μg/mLとなるように、MCを含むHS培地に8.9×10
5cells/mLとなるように懸濁した。この細胞懸濁液0.15mLを実施例21−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0122】
実施例22 樹状細胞の表面抗原発現解析−5
実施例21−(4)で得られた培養細胞の表面マーカーを、実施例2と同様の方法で測定した。
【0123】
蛍光色素標識抗体は、PE標識抗ヒトCD80抗体を使用した。
【0124】
その結果を
図11に示す。
図11の縦軸は平均蛍光強度を示す。
図11より、MC存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートやFNプレートで成熟させたDCより成熟化マーカーであるCD80の細胞表面発現量が上昇した。
【0125】
以上の実施例から、FNフラグメントは、DC成熟化因子であるMC存在下でもDC成熟化マーカーの発現を促進することが明らかとなった。
【0126】
実施例23 FNフラグメントを用いた樹状細胞の製造−12
(1)単球の調製
実施例1−(1)と同様の方法で行った。
【0127】
(2)樹状細胞への分化
培地にXV培地、AM培地又はCG培地を使用した点以外、実施例17−(2)と同様の方法で行った。
【0128】
(3)固定化プレートの調製
実施例17−(3)と同様の方法で行った。
【0129】
(4)固定化プレートでの樹状細胞の成熟化
DC成熟化因子として、TNF―α、IL−1β、IL−6をそれぞれ最終濃度10ng/mLとPGE2を最終濃度1μg/mLとなるように、MCを含むXV培地、AM培地又はCG培地を調製した。実施例21−(2)で調製した樹状細胞誘導培養後の細胞を500×g、8分間の遠心で回収し、それぞれの培地に2.2×10
5cells/mL、3.4×10
5cells/mL、3.9×10
5cells/mLとなるように懸濁し、0.125mLを実施例21−(3)で調製した各プレートにて37℃、5%CO
2インキュベーターで2日間培養した。
【0130】
実施例24 樹状細胞の表面抗原発現解析−6
実施例23−(4)で得られた培養細胞の表面マーカーを、実施例2と同様の方法で測定した。
【0131】
蛍光色素標識抗体は、PE標識抗ヒトCD80抗体を使用した。
【0132】
その結果を
図12、13、14に示す。各図の縦軸は平均蛍光強度を示す。
図12(AM培地を用いた場合)、
図13(CG培地を用いた場合)、
図14(XV培地を用いた場合)いずれにおいても、MC存在下にRNプレートで成熟させたDCはNTプレートやFNプレートで成熟させたDCより成熟化マーカーであるCD80の細胞表面発現量が上昇した。
【0133】
以上の実施例から、無血清培地(XV培地、AM培地又はCG培地)をDC成熟化因子であるMCと組み合わせた場合でも、FNフラグメントはDC成熟化マーカーの発現を促進することが明らかとなった。