(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも80重量%の固体含量を有するフィブリル化セルロースフィラメント、並びに350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を有するフィラメントを少なくとも50重量%含む、乾燥セルロースフィラメントのフィルムであって、該フィラメントが抄紙機上で生成され、該フィラメントが添加剤を伴わず、誘導体化を伴わず、かつ水に分散性である、上記フィルム。
【発明の概要】
【0007】
本発明以前に、実質的にフィブリル化したセルロース材料でできた、水再分散性の乾燥フィラメントは報告されていない。本発明における、水再分散性の乾燥フィブリル化セルロースであるセルロースフィラメントは、化学的添加剤を伴わず、誘導体化を伴わずに生成され、例えば、カルボキシメチル化したフィブリル化セルロース材料である。
【0008】
本発明の一態様に従って、350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を有するフィラメントを少なくとも50重量%含む乾燥セルロースフィラメントであって、水に再分散性である上記フィラメントが提供される。
【0009】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントの少なくとも75重量%、より好ましくは90重量%が350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を備える、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0010】
本発明の一態様に従って、添加剤を伴わない、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0011】
本発明の別の態様に従って、誘導体化を伴わない、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメント長が300から350μmである、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントの少なくとも80重量%が固体である、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントの少なくとも80重量%、好ましくは95重量%が固体である、本明細書に記載されているフィラメントが提供される。
【0015】
本発明の別の態様に従って、350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径のフィラメントを少なくとも50重量%含む乾燥セルロースフィラメントのフィルムであって、水に分散性である上記フィルムが提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントの少なくとも75重量%、より好ましくは90重量%が350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を備える、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0017】
本発明の別の態様に従って、フィルムが10から300μmの範囲の厚さを有する、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0018】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントが少なくとも1つの添加剤及び誘導体化を伴わない、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0019】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメント長が300から350μmである、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0020】
本発明のさらに別の態様に従って、フィラメントの少なくとも80重量%が固体である、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0021】
本発明の一実施形態に従って、フィラメントの少なくとも95重量%が固体である、本明細書に記載されているフィルムが提供される。
【0022】
本発明のさらに別の態様に従って、セルロースフィラメントの乾燥フィルムを作る方法であって、少なくとも50重量%のフィラメントが350μmまでのフィラメント長及び100から500nmのフィラメント直径を有するセルロースフィラメントの液体懸濁液を得るステップと、抄紙機の形成部でフィラメントを歩留りさせるステップとを含む上記方法が提供される。好ましい実施形態において、抄紙機は、150から400メッシュスクリーンのスタンダードシートマシンである。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態に従って、フィラメントの少なくとも75重量%、より好ましくは90重量%が350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を備える、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0024】
本発明の別の実施形態に従って、機械のプレス部でフィルムをプレスして、プレスフィルムを生成するステップをさらに含む、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態に従って、機械の少なくとも1つのドライヤー部で、プレスフィルムを乾燥させて、乾燥フィルムを生成するステップをさらに含む、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態に従って、生成されるフィルムが水に再分散性である、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態に従って、生成されるフィルムが200〜300μm又はそれ以下の範囲の厚さを有する、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0028】
本発明の別の実施形態に従って、フィルムの少なくとも80重量%が固体である、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態に従って、フィルムの少なくとも95重量%が固体である、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態に従って、フィラメント長が300から350μmである、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態に従って、フィラメントの水再分散性乾燥粉末又はフレークであって、フィラメントの水再分散性乾燥フィルムの大きさを縮小させることが可能な機械装置を使用して、フィラメントの水再分散性乾燥フィルムから作られる上記粉末又はフレークが提供される。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態に従って、抄紙機が500〜1500m/分、好ましくは750〜1200m/分の速度で作動する、本明細書に記載されている方法が提供される。
【0033】
ここで、添付の図面を参照する。これらは、本発明の特定の実施形態を実例として示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
多くの有望な用途において、乾燥フィブリル化セルロース材料が必要とされる。乾燥フィブリル化セルロース材料は、長い保存可能期間を有し、製造施設から最終利用者のところまで材料出荷のコストが低下する。
【0039】
フィブリル化セルロース材料を脱水/乾燥させるために、いくつかの方法が報告されているが、化学的添加剤の使用又は材料の化学修飾を伴わずに、水再分散性乾燥フィブリル化セルロース材料を生成する方法はないことは記載した。さらに、水再分散性乾燥フィブリル化セルロース材料を、一般的に使用される機械で連続して生成して、紙、薄葉紙又は板紙を製造する方法もないことが報告されている。
【0040】
本明細書で定義され、セルロースフィラメント(CF)と呼ばれるセルロースナノフィラメント(CNF)は、好ましい実施形態において、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有する。CFは、WO2012/097446A1に記載されているように(参照により本明細書に組み込む)、木材又は植物繊維、例えば針葉樹さらしクラフトパルプの多段高濃度叩解により生成される。CFは、300〜350μmまでのフィラメント長及び約100〜500nmの直径を有するフィブリル化セルロース材料のフィラメントを、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%有するので、他のセルロースフィブリル、例えば、木材パルプ繊維を機械で分解する他の方法を使用して調製したミクロフィブリル化セルロース(MFC)又はナノフィブリル化セルロース(NFC)とは構造的にまったく異なる。MFC形態のフィブリル化セルロース材料は、典型的には、100μmより短い長さを有するが、NFC形態のフィブリル化セルロース材料は、典型的には、1μmより短い長さを有する。しかし、フィブリル化セルロース材料の生成に関して、CFは、機械的な手段を使用して生成された他のフィブリル化セルロース材料のように、ある単一の寸法値を有する均一な材料ではないことは専門家により認識されるべきである。好ましい実施形態において、本明細書で定義されている300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有するCFは、木材又は植物繊維の多段高濃度叩解により生成されたフィブリル化セルロース材料を指し、50重量%以上のフィブリル化材料が、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有する。300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有するフィブリル化セルロース材料の正確な割合は、合計のエネルギー投入量、叩解回数、叩解強度及びリファイナーの他の動作条件によって決まる。
本発明の一態様に従って、350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径を有するフィラメントを少なくとも50重量%含む乾燥セルロースフィラメントフレークであって、上記フィラメントが添加剤を伴わず、誘導体化を伴わず、かつ水に再分散性である、上記フィラメントフレークが提供される。
本発明の別の態様に従って、350μmまでのフィラメント長及び100から500nmの直径のフィラメントを少なくとも50重量%含む乾燥セルロースフィラメントのフィルムであって、上記フィルムが水に分散性であり、上記フィラメントが添加剤を伴わず、誘導体化を伴わない、上記フィルムが提供される。
本発明のさらに別の態様に従って、セルロースフィラメントの乾燥フィルムを作る方法であって、少なくとも50重量%のフィラメントが350μmまでのフィラメント長及び100から500nmのフィラメント直径を有する、木材又は植物繊維の多段高濃度叩解により生成されたセルロースフィラメントの液体懸濁液を得るステップと、抄紙機の形成部に90%超のフィラメントを歩留りさせるステップとを含み、上記フィラメントが添加剤を伴わず、誘導体化を伴わない、上記方法が提供される。
【0041】
300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有する、木材又は植物繊維の多段高濃度叩解によるこれらの同セルロースフィラメント(CF)は、一般的な乾燥法、例えばドラム乾燥又は空気乾燥を使用して乾燥させる場合、完全に水に再分散性ではなく、補強力はネバードライCFよりさらに低い。好ましい実施形態において、CFの長さは300から350μmである。
【0042】
本明細書に記載されているフィラメントに関して、本明細書で定義されている「乾燥」という用語は、セルロースフィラメントの固形分を指し、80重量%以上が固体、すなわち20重量%以下が水分である。特に好ましい実施形態において、セルロースフィラメントの固形分は、90重量%以上が固体、すなわち10重量%以下が水分である。本明細書で定義されている「水再分散性」という用語は、周囲温度又は上昇温度の水性媒体にて、機械によりかき混ぜる際に、乾燥セルロースフィラメントが安定した水分散液を形成できる能力を指す。この分散系は、再分散できない材料、例えば角質化したセルロースの小粒を伴わない。
【0043】
本明細書で定義されている、「と同様の補強力及び/又は強度特性」という表現は、同一の量のネバードライCFと比較した場合に、本発明のCFの前記補強力及び/又は強度特性の80%以上が紙に与えられることを示す比較表現であるものとする。
【0044】
本明細書で定義されている「ネバードライ」という表現は、まったく乾燥させておらず、湿らせた段階に留まっている、木材又は植物繊維から生成した後に60重量%までが固体のセルロースフィラメント(CF)について説明するものとする。
【0045】
実験室において、又は紙、薄葉紙若しくは板紙の製造に一般的に使用される機械の可動式ファブリックを経て、ハンドシートを作るために使用されるスタンダードシートマシンの、150から400メッシュスクリーンを通して希釈懸濁液が濾過される場合、木材又は植物繊維の多段高濃度叩解により300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有するように作られた及び有する、乾燥セルロースフィラメント(CF)を歩留りできることについて、本発明は最初に記載する。
【0046】
また、想定外なことに、そのようなセルロースフィラメントが、紙、薄葉紙又は板紙の製造に一般的に使用される機械の可動式ファブリックにおいて、きわめて薄いウエブ、シート又はフィルムを形成でき、続いて機械のプレス部及びドライヤー部でそれぞれプレス及び乾燥できる場合、機械により穏やかにかき混ぜると、水性媒体に容易に再分散することも発見されており、これは、添加剤を使用した角質化の防止を伴わない。さらに、水再分散性乾燥CFフィルムの水分散液に由来するセルロースフィラメント(CF)は、ネバードライCFと同様の補強力を有する。さらに、水再分散性乾燥CFフィルムの水分散液から作られた新たなフィルムは、ネバードライCFから作られたフィルムと同様の強度特性を有し、添加剤を伴わない。乾燥バルク材料の空気乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥、回転式空気乾燥(すなわち従来の方法)は、いずれも、本明細書に記載されている高濃度叩解により生成されるCFの品質を劣化させることに留意すべきである。水再分散性乾燥CFフィルムも、場合により、出荷、保存又はその後の使用のために、水再分散性乾燥CF粉末又はフレークに変換できる。
【0047】
本明細書で定義されている「フィルム」という用語は、「シート」という言葉と同義であり、フィラメント又はフィブリルが相互接続した構造又は配置を有し、本発明の方法により形成されるCFの層又は膜複合体と理解される。本明細書で定義されているフィルムは、200から300μm以下、好ましくは100から125μm以下、最も好ましくは10から50μmの範囲の厚さを有する。フィルムの幅は、加工機により定められ、幅を数メートルまでにできる。
【0048】
「添加剤を伴わない」という用語は、本明細書では、角質化を抑制させるために添加剤で処理されていないCFについて説明するために使用される。他のセルロースフィブリルフィルムに使用される添加剤は、スクロース、グリセリン、エチレングリコール、デキストリン又はカルボキシメチルセルロースを含む。本発明のCFは、上で列挙した添加剤を伴わない。
【0049】
「粉末又はフレーク」という用語は、本明細書では、全ての辺が0.01mmから2.0cm、より好ましくは0.01mmから1.0cmの立体を有する形状について説明するために使用される。粉末又はフレークの正確な寸法は、水再分散性乾燥セルロースフィラメントフィルムの大きさを縮小するために使用される機械装置(単数又は複数)及び、装置(単数又は複数)の動作条件により定められる。
【0050】
本発明の一態様によれば、機械の形成部で薄いウエブを形成することにより、従来の、又は改変した、紙、薄葉紙若しくは板紙の抄紙機において、水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)フィルムが生成され、続いて機械のプレス及びドライヤー部でプレスされ、乾燥される。抄紙機は、典型的には100〜200ミクロンの相互連絡した細孔を有する立体織布であるフォーミングファブリックを有する。これらの大きい細孔により、迅速に排水させることができる。以前のフィブリル化した生成物は、いずれも最小限の歩留りで細孔を通過するであろう。これらの以前から公知の生成物に対して、より緻密な細孔構造が使用された場合、排水はきわめて少なくなり、機械が10〜50m/分で動作しなければならなくなるが、筆者らは750m/分以上、好ましくは1500m/分、より好ましくは1200m/分で動作できる。本発明のフィラメントは、先に説明したMFC及びNFCとは長さが異なることが、CFが抄紙機で濾過される能力により間接的に実証される。本発明のセルロースフィラメント(CF)は、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有し、木材又は植物繊維の多段高濃度叩解で作られる。しかし、水再分散性乾燥CFフィルムを生成することを目的とした、フォーミングファブリックの理想的な細孔の大きさは、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有するフィラメントのCF中における正確な割合によって決まり、割合もまた、合計のエネルギー投入量、叩解回数、叩解強度及びCFを生成するために使用されるリファイナーの他の動作条件に依存することは理解されるべきである。
【0051】
本発明の別の態様によれば、本発明の水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)フィルムを、CF材料の保存及び/又は輸送に使用する。
【0052】
本発明のさらに別の態様によれば、水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)フィルムは、CF材料の輸送、保存又はその後の使用のために、水再分散性乾燥セルロースフィラメント粉末又はフレークに変換される。
【0053】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)フィルム、又は、水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)粉末又はフレークは、水性媒体に再分散させる際に添加剤として使用されて、セルロース繊維生成物、例えば紙、薄葉紙及び板紙が補強される。
【0054】
本発明の水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)フィルム、又は水再分散性乾燥セルロースフィラメント(CF)粉末又はフレークは、強靭で再使用可能なフィルムとして複合材料の製造、包装又は他の用途にも使用することもできる。これらは、水性媒体に再分散する際に添加剤として使用して、他の消費者製品又は産業製品を補強できる。
【0055】
水再分散性フィルムの乾燥度(固形分)、坪量、及び最初に通過させる際の歩留りは、とりわけ、セルロースフィラメント(CF)を製造するために使用される供給源及び合計のエネルギー量、薄葉紙、紙又は板紙の抄紙機の速度、並びに機械の構造及び動作パラメータ、例えば加えられる真空ボックスの数、ヘッドボックスの濃度及び流量、及びフォーミングファブリックの細孔の大きさによって決まる。以前の特許出願PCT/CA2012/000060;WO2012/097446A1に記載されているように、好ましくは2,000〜20,000kWh/t、より好ましくは5,000〜20,000kWh/t、及び最も好ましくは5,000〜12,000kWh/tの合計のエネルギー投入量で、木材又は植物繊維を多段高濃度(20〜65重量%)叩解することにより、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有する、少なくとも50重量%のフィブリル化材料を有するようにCFが製造される。好ましくは70〜95%、より好ましくは75〜95%、及び最も好ましくは80〜95%の固形分;好ましくは5〜120g/m
2、より好ましくは10〜100g/m
2、及び最も好ましくは10〜80g/m
2の坪量を有する前記CFフィルムの生成を可能とする方法で、機械を作動させる。場合により、紙、薄葉紙又は板紙の抄紙機のヘッドボックスにおいて、歩留剤又は排水助剤をCFと混合して、前記水再分散性乾燥CFフィルムが最初に通過する際の歩留り及び/又は排水率を上昇させることができる。
【0056】
事実上、すべての固体材料は濾過できるが、但し、濾過媒体の細孔の大きさが、材料を歩留りさせる程度の小ささであることが条件である。しかし、細孔の大きさが縮小すると、流れ耐性が増大し、ひいては排水が減少する。穏やかな圧力低下条件を使用すると、水中の準ナノ材料を高速で濾過できる(すなわち高圧又は真空にする必要がない)ことを本発明者らは発見した。比較的に開口しているファブリックにおいて、濾過速度が750m/分、1000m/分であり、より特定のフィラメントの直径が100〜500nmであることは驚くべきことである。
【0057】
「濃度」は、本明細書では、水及び木材若しくは植物繊維、又はセルロースフィラメント(CF)の混合物中における、木材若しくは植物繊維、又はセルロースフィラメント(CF)の重量パーセントと定義される。
【0058】
坪量は、本明細書では、パルプ繊維のセルロースフィラメント(CF)フィルム又はシート、及び前記フィルム又はシートの平方メートル(m
2)当たりのCFのグラム(g)単位重量と定義される。
【0059】
本発明において、オーブン乾燥ベース(od)の重量は、水の重量を除いた重量を指す。湿った材料、例えばCFに関しては、水を含まない材料の重量であり、その材料の濃度から計算される。
【0060】
ところで図に関しては、
図1は、針葉樹さらしクラフトパルプを多段高濃度叩解することによる、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有する、代表的なセルロースフィラメント(CF)の走査電子顕微鏡画像を示す。
【0061】
機械からの最終CFフィルム生成物は、多孔率がきわめて低いか皆無である。さらに、本発明のCFフィルムは、機械で形成中に急速に閉鎖するため、フィルムが固まり、細孔系が塞がれるようになると排水は急速に減少する。したがって、機械上をフィルムはきわめて速く動き続け、厚さは薄くなる。フィルムの厚さは、好ましくは10〜50μm及び300μm以下である。
【0062】
本発明は、以下の例により例示されるが、それらに限定されない。
【0063】
一般的手順A:パイロット抄紙機による水再分散性乾燥CFフィルムの生成
水再分散性乾燥CFフィルムは、FPInnovationsのパイロット抄紙機で生成され、抄紙機の構造は、中間乃至高坪量の印刷及び筆記グレード、並びに薄葉紙及びタオルペーパーを生成するように構成できる。紙を生成する機械の標準的な構造に関する詳細な説明は、(Crotogino、R.ら、「Paprican 新パイロット抄紙機(Paprican’s New Pilot Paper Machine)」Pulp&Paper、Canada、第101巻、第10号、2000年、48〜52頁)で提示されている。
【0064】
簡潔には、この機械は、主に、ロールが4つ、幅0.46mのツインワイヤ−ロール形成部、ニップ3つのプレス部、及び2つのヤンキードライヤーからなる。CFフィルムの生成に関して、薄葉紙及びタオルペーパーの様式に適切であると見出されている2つの構造は、プレス部を出ても非常に湿ったフィルムが乾燥部へと運ばれるため、経済的側面の観点から劣っている。単一のヤンキードライヤーは、フィルムを乾燥させるために十分であると見出されたが、従来のドライヤー、例えば蒸気で満たした回転シリンダーは、管理条件下でこれらのフィルムを乾燥させるためにヤンキードライヤーと同じく有効になる、又はそれを上回るであろうことは、抄紙の専門家によって認識されるべきである。
【0065】
特に指示がない限り、300〜350μmまでの長さ、約100〜500nmの直径及び33〜37%の濃度を有し、針葉樹さらしクラフトパルプを多段高濃度叩解することで作られるフィブリル化材料が50重量%以上であるオーブン乾燥(od)ベースのCF1000kgを、抄紙機(PM)中のドライエンドパルパー/プレスブロークパルパー中に、水道水を用いて3〜4%濃度で分散させ、50m
3のタンク中に保存した。次いで、分散したCFを、抄紙機のチェストへと送り、そこで水道水を用いてCFを約2.0%の濃度に希釈した。ファンポンプループ(PMチェストの後)により追加の水道水を計量し、CFスラリーを0.2〜0.5%濃度に希釈した。次いでCFストックにスクリーニングを行い、PMのヘッドボックスへと送った。ヘッドボックスの流量(800〜5000L/分)、機械の速度(500〜750m/分)、及び機械の他の動作パラメータを、形成部における真空ボックスの使用の有無にかかわらず、6〜8%及び9〜10.5%の固形分の薄フィルムを形成部の後で形成できるように調整し、それぞれ、プレス部の後でフィルムを30〜37%の固形分に到達させ、ドライヤー部の後で、80〜85%の固形分及び15〜22g/m
2の坪量を有する、水再分散性乾燥CFフィルムを生成した。生成した乾燥CFフィルムの幅は、0.30〜0.33mであり、フィルムが最初に通過した際の歩留りは85〜90%であった。
【0066】
一般的手順B:CF又はパイロット抄紙機で生成したCFフィルムの水性媒体における実験分散
特に指定がなければ、一般的手順Aに記載されている24g(odベース)のCF、又は、記載した一般的手順Aに従って生成した水再分散性乾燥CFフィルム24g(odベース)を、英国製ディスインテグレータ中で、温度を80℃まで上昇させた既知量の脱イオン水(DI H
2O)により、1.2%濃度に希釈した。CFスラリーを3000rpmで15分間混合して、分散系を得て、次いでその分散系をディスインテグレータから除去し、室温(約23℃)に冷却した。
【0067】
一般的手順C:パイロット抄紙機パルパー中の水性媒体におけるCF又はパイロット抄紙機で生成したCFフィルムの分散
特に指定がなければ、一般的手順Aに記載されているCF1000kg(odベース)、又は記載した一般的手順Aに従って生成した、水再分散性乾燥CFフィルム1000kg(odベース)をパイロット抄紙機にて、プレスブロークパルパー(Beloit Vertical Tri−Dyne Pulper、モデルNo.5201、Serial No.BC−1 100)又はドライエンドパルパー中に、温度を約50℃に上昇させた既知量の水道H
2Oを注いで、3.0〜4.0%濃度に希釈した。CFスラリーを480rpmで15分間混合し、分散系を得て、パルパーから分散系を除去し、50m
3のタンクに保存し、次いで、室温(約23℃)に冷却した。
【0068】
一般的手順D:パルプ及びCF生成物の混合物に由来するハンドシートの調製
特に指定がなければ、最初に広葉樹クラフトパルプ(HWKP)をドライラップ形態でDI H
2Oと組み合わせ、らせん型パルパー中にて10%濃度で、800rpm及び50℃で15分間再パルプ化/分解する。次いで、DI H
2Oを用いて、記載した一般的手順B又はCに従って、調製したCF分散系の試料と再パルプ化したHWKPを、96/4(HWKP/CF)の重量(odベース)比で組み合わせ、パルプ及びCFのスラリーを0.33%濃度で得た。PAPTAC試験法の標準規格C.4に従ってハンドシート(60g/m
2)を調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従ってシートの引張り強さを測定した。別の実験では、100%HWKPのハンドシート(60g/m
2)も調製し、引張り強さを測定した。
【0069】
一般的手順E:スタンダードシートマシンによるCFフィルムの調製
以下のように改変したPAPTAC試験法の標準規格C.5を使用して、大きさ0.02m
2の円形CFフィルムを調製した。特に指定がなければ、記載した一般的手順B又はCに従って調製したCF0.4、0.8又は1.2g(odベース)を、DI H
2Oを用いて希釈して、0.05%濃度のCFスラリーを得た。テフロンスプーンを使用して、特に指定がなければ150メッシュスクリーンを備えたスタンダードシートマシンに分散系を移した。スタンダードシートマシン内部の分散系を、テフロンスティックを使用して型枠越しに前後に静かに撹拌し、次いで落ち着かせた。次いで、スタンダードシートマシンの排水バルブを開いて排水し、型枠から排水したら閉め、CFフィルムを鋼鉄メッシュの表面で形成した。典型的には、90%超のセルロースフィラメントが、CFフィルムに歩留りした。正確な歩留りの値は、CFを作る際に加えられる合計エネルギー量、及びスタンダードシートマシンのスクリーンメッシュサイズによって決まる。合計比叩解エネルギー5000〜10,000kWh/tを有する、針葉樹さらしクラフトパルプの多段高濃度叩解から作られるCFに関しては、150メッシュスクリーンの使用により、CFフィルムにおいて90%超のフィラメントが歩留りした。合計比叩解エネルギー12,000〜20,000kWh/tを有する、針葉樹さらしクラフトパルプの多段高濃度叩解から作られるCFに関しては、450メッシュスクリーンの使用により、CFフィルムにおいて90%超のフィラメントが歩留りした。
【0070】
型枠を開き、Whatmanの濾紙#1(直径185mm)1枚を湿ったCFフィルムの表面に配置した。吸い取り紙2枚を濾紙の表面に配置し、クーチ板及びクーチロールを使用してクーチングを行った。15回[0.4g(odベース)のCFを使用して作られたフィルムに]又は22回[0.8又は1.2g(odベース)のCFを使用して作られたフィルムに]にわたり後方及び前方へと移動させ、その後クーチ板及び吸い取り紙2枚を慎重に除去した。次いで、濾紙と共に、それに貼り付いたCFフィルムを徐々に鋼鉄メッシュから剥がした。
【0071】
鏡面研磨したステンレス鋼ディスクを、CFフィルムの面に対して配置した。次いで、PAPTAC試験法の標準規格C.5に記載されているプレス手順に従って、CFフィルムのプレスを行い、第1及び第2のプレスは、それぞれ5.5及び2.5分間であった。
【0072】
プレス後、濾紙及びステンレス鋼板の間に挟んだCFフィルムを乾燥リングに入れ、一定温度及び湿度(23℃及び50%の相対湿度)の室内で一晩乾燥させた。次いで0.4、0.8又は1.2g(odベース)のCFに由来する約20、40又は60g/m
2の坪量のフィルムを濾紙から前後に数回剥がすことにより、鋼鉄板から剥がし、分離させた。
【0073】
(例1)
PCT/CA2012/000060;WO2012/097446A1に以前に記載された方法を使用して、トン単位のパルプにつき合計比叩解エネルギー7800〜8000キロワット時間(kWh/t)を有する多段高濃度(33〜37%)叩解による針葉樹さらしクラフトパルプから、300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径のフィブリル化材料を50重量%以上有するようにセルロースフィラメント(CF)を調製した。33〜37%の濃度で調製したCFを、ネバードライCF(1)と呼ぶ。
【0074】
ネバードライCF(1)の試料(odベースで1000kg)を使用して、乾燥CFフィルムを、記載した一般的手順Aに従ってパイロット抄紙機で生成した。フィルムの坪量は、15〜22g/m
2の範囲であり、フィルムの固形分は、80〜85%の範囲であった。
図2は、パイロット抄紙機で生成した乾燥CFフィルムのロールを示す。
【0075】
ネバードライCF(1)の試料(odベースで24g)を、記載した一般的手順Bに従ってDI H
2Oに分散させて、実験分散させたネバードライCF(1)と呼ばれる安定な分散系を得た。
【0076】
パイロット抄紙機(PM)で生成した乾燥CFフィルムの試料(odベースで24g)を、記載した一般的手順Bに従ってDI H
2Oに分散させた。安定な分散系も形成した。このCF分散系は、実験再分散させ、PMで乾燥させたCF(1)と呼ぶ。
【0077】
記載されている一般的手順Cに従って、パイロットPMで生成した乾燥CFフィルムの試料(odベースで1000kg)を、パイロット抄紙機のプレスブロークパルパー又はドライエンドパルパー中の水道H
2Oに分散させた。安定な分散系を形成した。このCF分散系は、PMパルパーで再分散させ、PMで乾燥させたCF(1)と呼ばれる。
【0078】
別の実験では、PCT/CA2012/000060;WO2012/097446A1で以前に記載された方法を使用した、合計叩解エネルギー8372kWh/tを有する多段高濃度(36%)叩解により、同一の針葉樹さらしクラフトパルプから、300〜350μmまでの長さ及び100〜500nmの直径を有するように、別のCFを調製した。36%の濃度で調製したCFをネバードライCF(2)と呼ぶ。記載した一般的手順Bに従って、このCFの試料(24gのodベース)をDI H
2Oに分散させて、実験分散させたネバードライCF(2)と呼ばれる安定な分散系を得た。
【0079】
家庭用の衣類ドライヤーを3時間使用して、ネバードライCF(2)の試料をドラム乾燥させて、85.3%の固形分を有する乾燥CFを得た。記載した一般的手順Bに従って、この乾燥CFをDI H
2Oに再分散させて、実験再分散させ、ドラム乾燥させたCF(2)と呼ばれるCF懸濁液を得た。
【0080】
記載した一般的手順Dに従って、広葉樹クラフトパルプ(HWKP)、上に記載されているCF分散系、及び上に記載されているCF懸濁液のそれぞれから、ハンドシート(60g/m
2)を調製した。HWKP及びCFの重量(odベース)比は96/4であった。100%のHWKPからもハンドシート(60g/m
2)を調製した。表1は、記載した一般的手順Dに従って測定した様々なハンドシートの引張り強さ指数値を列挙している。実験再分散させ、PMで乾燥させたCF又はPMパルパーで再分散させ、PMで乾燥させたCFは、実験分散させたネバードライCFの補強力の90%超を保持することがデータにより示される。したがって、抄紙機によるCFフィルムの形成は、容易に水性媒体に分散でき、紙生成物より優れた補強剤として使用できる乾燥CF生成物を生成するための経済的手段を意味する。
【0081】
ネバードライCFの補強力の保持に関して、ドラム乾燥させたCFが、パイロット抄紙機で生成された乾燥CFよりもさらに劣っていることもデータにより示される。これらも、抄紙機による水再分散性乾燥CFフィルムの生成における、想定外の発見及び本発明の新規性を裏付ける。
【0083】
(例2)
例1に記載されているネバードライCF(2)の試料を、それぞれ100kg/hの供給量で、室温(約23℃)にて約120時間空気乾燥させ、及びGEA Barr−Rosinパイロットフラッシュドライヤーにて、フラッシュ乾燥させて、80.9及び87.7%の固形分の乾燥CF材料を得た。記載した一般的手順Bに従って、これらの2つの乾燥CF材料をそれぞれDI H
2Oに再分散して、実験再分散させ、空気乾燥させたCF(2)及び実験再分散させ、フラッシュ乾燥させたCF(2)と呼ばれるCF懸濁液を得た。
【0084】
記載した一般的手順Eに従って、これらのCF懸濁液2つのそれぞれから、並びに、例1に記載したCF分散系及びCF懸濁液のそれぞれから、乾燥CFフィルム(20g/m
2)をスタンダードシートマシンで調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従って、フィルムの引張り強さ指数値を測定し、表2に列挙した。パイロット抄紙機で生成した乾燥CFフィルムの再分散系から調製されるCFフィルムは、ネバードライCFの分散系から調製したCFフィルムとほぼ同一の強度を有することがデータにより明らかに示される。したがって、抄紙機で生成された水再分散性乾燥CFフィルムは再利用できる。新しい、強固なCFフィルムを作る場合、空気乾燥させたCF、ドラム乾燥させたCF又はフラッシュ乾燥させたCFは、パイロット抄紙機で生成された水再分散性乾燥CFよりもさらに劣ることも、このデータにより示される。これらも、水再分散性であり且つ再使用できる乾燥CFフィルムの抄紙機による生成に関して、本発明の想定外の発見及び新規性を裏付ける。
【0085】
別の実験では、使用される濃度が1.2%の代わりに0.1%であることを除き、記載した一般的手順Bに従って、上記及び例1の様々な乾燥CF材料をDI H
2Oに分散した。
図3は、a/実験分散させたネバードライCF(1);b/実験再分散させ、PMで乾燥させたCF(1);c/実験再分散させ、空気乾燥させたCF(2);d/実験再分散させ、ドラム乾燥させたCF(2);及びe/実験再分散させ、フラッシュ乾燥させたCF(2)を安定させた45分後に撮影した分散系又は懸濁液の画像を示す。パイロット抄紙機で生成された乾燥CFフィルムは、ネバードライCFと同等、又はきわめて類似した水分散性を有するが、空気乾燥、ドラム乾燥又はフラッシュ乾燥により生成した乾燥CF材料は、ネバードライCF又はパイロット抄紙機で生成したCFより低い水分散性を有することが、画像により明らかに示される。これらは、水再分散性且つ再使用できる乾燥CFフィルムの抄紙機による生成に関する、本発明の想定外の発見及び新規性をやはり裏付ける。
【表2】
【0086】
(例3)
(9)で以前に記載されている方法を使用した、合計叩解エネルギー8331kWh/tを有する多段高濃度(28%)叩解により、針葉樹さらしクラフトパルプから300〜350μmまでの長さ及び約100〜500nmの直径を有するフィブリル化材料を50重量%以上有するように、セルロースフィラメント(CF)の新たなバッチを調製した。28%の濃度で調製したCFは、ネバードライCF(3)と呼ばれる。記載した一般的手順Bに従って、このCF(odベースで24g)試料をDI H
2Oに分散させて、実験分散させたネバードライCF(3)と呼ばれる安定な分散系を得た。
【0087】
実験分散させたネバードライCF(3)からの乾燥CFフィルム(20g/m
2)10枚を、記載した一般的手順Eに従ってスタンダードシートマシン(SSM)により調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従ってフィルムの引張り強さ指数値を測定した。それぞれ坪量20、40及び60g/m
2の追加の乾燥CFフィルム(合計110枚)も、記載した一般的手順Eに従ってSSMにより調製した。これらの追加の乾燥CFフィルムを、記載した一般的手順Bに従って、坪量[20、40及び60g/m
2(gsm)]ごとにDI H
2Oに個別に再分散して、実験再分散させ、20gsmのSSMで乾燥させたCF(3)、実験再分散させ、40gsmのSSMで乾燥させたCF(3)、及び実験再分散させ、60gsmのSSMで乾燥させたCF(3)とそれぞれ呼ばれる安定な分散系3種を得た。これらの各分散系のうち、乾燥CFフィルム(20g/m
2)10枚を、記載した一般的手順Eに従ってSSMで調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従ってフィルムの引張り強さ指数値を測定した。各セットの乾燥フィルム10枚の平均値及び標準偏差を表3に列挙する。20から60g/m
2坪量を有する、スタンダードシートマシンで生成した乾燥CFフィルムは、容易に再分散でき、これを使用して、ネバードライCFから調製されるフィルムと実質的に同一の強度を有する新たなフィルムを生成できることがデータにより示される。
【表3】
【0088】
(例4)
例3に記載されている、実験分散させたネバードライCF(3)の乾燥CFフィルム(20g/m
2)10枚、及び実験再分散させ、20gsmのSSMで乾燥させたCF(3)の乾燥CFフィルム(20g/m
2)10枚を、150℃の高速ドライヤーで30秒間フィルムの乾燥を行うことを除き、記載した一般的手順Eに従ってスタンダードシートマシンで調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従って、フィルムの引張り強さ指数値を測定した。フィルム10枚それぞれの平均値及び標準偏差を、記載した一般的手順Eに従って、室内にて一定の温度及び湿度(CTH)(23℃及び50%相対湿度)で一晩乾燥させたフィルムのものと共に、表4に列挙する。ネバードライ、又は再分散させ、スタンダードシートマシンで乾燥させたCFから作られたCFフィルムの強度特性に、乾燥速度(温度及び時間)はごくわずかな影響しか与えないことが、データにより示される。スタンダードシートマシンで生成したCFフィルムは、容易に再分散でき、これを使用して、ネバードライCFから調製されるフィルムと実質的に同一の強度を有し、直ちに再分散できる、する新たなフィルムを様々な乾燥温度/速度で生成できる。
【表4】
(例5)
【0089】
記載した一般的手順Aに従ってパイロット抄紙機で生成され、30cm幅を有し、PMで生成されたCFウエブと呼ばれる、水再分散性乾燥CFフィルムの試料(odベースで1.0kg)を、パイロットプラントシュレッダー(Destroyit 4005 CC、IDEAL Krug&Priester GmbH&Co.KG、Simon−Schweitzer−St^e 34、72336 Balingen、Germany)を使用して、小さいフィルム(約2cm×2cm)に細断した。直径3.2mm、2.0mm及び1.0mmのスクリーン孔をそれぞれ備えたパイロットプラントグラインダー(Willy Mill No.1、Arthur H.Thomas Co、Vine St.Phildelphia.、Pa19102、USA)により、細断したフィルム(1.0kg)を粉砕して、様々な大きさの水再分散性乾燥CF粉末にした。3つの異なるスクリーンを使用して、PMで生成したCFフィルム、及びPMで生成されたCFフィルムから得た水再分散性乾燥CF粉末(乾燥CF粉末と呼ばれる)の試料(odベースで各試料20g)を、一般的手順Bに従ってそれぞれ分散させた。分散させたPMで生成したCFフィルム及び、分散させた3種の乾燥CF粉末それぞれからの乾燥CFフィルム10枚(20g/m
2)を、記載した一般的手順Eに従って、スタンダードシートマシンで調製した。PAPTAC試験法の標準規格D.34に従って、フィルムの引張り強さ指数値を測定した。フィルム10枚それぞれの平均値及び標準偏差を表5に列挙する。グラインダーのスクリーン孔の直径が大きいほど、引張り強さ指数も高くなることがデータにより示される。粉砕の条件、例えばグラインダーのスクリーン孔の直径、ナイフの刃の鋭さ及びグラインダーの滞留時間を最適化せずとも、PMで生成したCFフィルムの引張り強さ指数78%を保持する、直径3.2mmのスクリーン孔を備えたグラインダーを使用して、乾燥CF粉末が得られる。
【表5】
【0090】
上記本発明の実施形態は、例となることを意図している。したがって、当業者は、先述の記載は例示に過ぎず、様々な代替形態及び改変が、本発明の精神から逸脱することなく考案され得ることを理解するであろう。したがって、本発明は、付記されている特許請求の範囲内に収まる、そのようなあらゆる代替形態、改変及び変化を包含することを意図している。