特許第6283372号(P6283372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283372
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ドアロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 55/00 20060101AFI20180208BHJP
【FI】
   E05B55/00
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548682(P2015-548682)
(86)(22)【出願日】2013年11月5日
(65)【公表番号】特表2016-502008(P2016-502008A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】FI2013051041
(87)【国際公開番号】WO2014096513
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年8月15日
(31)【優先権主張番号】20126335
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】597098121
【氏名又は名称】アブロイ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘリステン、ミカ
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−002135(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01621704(EP,A1)
【文献】 実開平04−092969(JP,U)
【文献】 特開平06−288138(JP,A)
【文献】 特開平03−217568(JP,A)
【文献】 特表2010−526219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 55/00−55/16,63/14,65/06
E05C 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスプレート(3)が設けられたロック本体(2)を備えるドアロックであって、前記ドアロックは、デッドロック手段(71)及び斜形ボルト(5)を有し、前記斜形ボルト(5)は、前記ロック本体から、前記フェイスプレート(3)のボルト穴(4)を通って、引込位置と引出位置との間の直線運動で前後に移動させられ、前記斜形ボルト(5)は、前記引出位置に向かってバネ負荷がかけられており、前記斜形ボルトは、先端部分(5A)と本体部分(5B)とを備え、前記先端部分は、前記ロック本体(2)から部分的に外側に引き出された位置にあり、前記デッドロック手段(71)は、ロック位置では前記斜形ボルトを前記引出位置にロックし、非ロック位置では前記斜形ボルトを前記引込位置に移動させる、ドアロックにおいて、
前記先端部分(5A)は、傾斜面(10A、10B)を両側に備えており、先端部分の後部(52)においてよりも、その先端(51)で前記先端部分(5A)が狭くなるようになっており、前記先端部分は、その下部(55)及び上部(54)に凹部(53A、53B)を有し、前記凹部は、前記先端(51)から前記後部(52)まで延び、両方の凹部(53A、53B)は、前記先端部分の前記先端(51)の端部で及び前記傾斜面(10A、10B)の上で開いており、前記上部(54)の前記凹部(53A)が、前記下部の前記凹部(53B)とは反対側の前記傾斜面(10A)で開いているようになっており、
前記凹部(53A、53B)の両方は、ボルト突起(32)と回転突起(35)とを備える回転部品(31A、31B)を有し、前記ボルト突起(32)は、その第1の側にカウンター表面(33)を有しており、前記回転突起(35)は、前記斜形ボルト(5)が前記引込位置から前記引出位置へ移動するときに、前記回転部品(31A、31B)を回転させるように配置されており、前記回転突起(35)が前記フェイスプレート(3)の内側の支持表面(40)に当たるようになっており、また、前記カウンター表面(33)が前記先端部分の前記傾斜面(10A、10B)から離れて動くようになっており、前記回転部品(31A、31B)は、押し突起(36)をさらに備え、前記押し突起(36)は、押し面(37)を有し、また、前記凹部の側面(41)の方を向く前記押し突起(36)の別の表面の上に、湾曲した回転表面(39)を有し、
前記先端部分の前記後部(52)は、屈曲組織(46)及び支持部品(47)を有し、前記支持部品(47)は、前記押し面(37)の方を向くカウンター押し面(38)を有し、前記支持部品(47)は、前記斜形ボルトの前記先端部分(5A)及び前記本体部分(5B)に対して可動となるように配置され、前記支持部品(47)は、前記屈曲組織(46)と前記回転部品(31A、31B)との間に位置付けられ、前記屈曲組織(46)は、前記斜形ボルトの前記本体部分(5B)内に支持され、前記支持部品に当たっており、
前記回転部品(31A、31B)は、前記斜形ボルトの前記引出位置において、前記傾斜面(10A、10B)から外側に向かって回転する前記ボルト突起(32)を有するように配置され、また、前記デッドロック手段(71)が前記斜形ボルトを前記引出位置にロックすることにより、前記押し突起(36)が前記押し面(37)を用いて前記カウンター押し面(38)を押すように、前記カウンター表面(33)に向けられる外力によって回転するように配置され、その結果、前記ボルト突起の前記カウンター表面が前記先端部分の前記傾斜面(10A、10B)の面内に少なくとも部分的に位置するまで、前記支持部品が屈曲組織に向かって回転及び移動することを引き起こし、前記外力は、前記傾斜面(10A、10B)に向けられることを特徴とする、ドアロック。
【請求項2】
前記傾斜面(10A、10B)は、前記外力が向けられる領域の前記フェイスプレート(3)の表面に対して緩い傾斜角度又は直角をなし、前記外力は、直角又はほぼ直角で前記傾斜面に向けられることを特徴とする、請求項1に記載のドアロック。
【請求項3】
前記屈曲組織(46)は、皿バネアセンブリであることを特徴とする、請求項2に記載のドアロック。
【請求項4】
前記回転部品(31A、31B)の前記押し突起(36)は、ノーズ(45)を備え、ノーズ(45)の他の側面が前記押し面(37)の一部として含まれ、前記先端部分の前記後部(52)は、前記カウンター押し面(38)の方を向く裏面(510)を有しており、前記斜形ボルト(5)が前記引出位置にあるときに、前記裏面と前記カウンター押し面との間に、間隙(511)があるようになっており、前記間隙(511)の中に前記ノーズ(45)が位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載のドアロック。
【請求項5】
前記回転部品(31A、31B)の前記押し突起(36)は、前記湾曲した回転表面(39)の前記端部に別のノーズ(512)を備え、前記別のノーズ(512)は、前記先端部分の前記先端(51)の方を向くことを特徴とする、請求項4に記載のドアロック。
【請求項6】
前記斜形ボルト(5)は、前記回転部品(31A、31B)のそれぞれのためのバネ(513)を備え、回転部品に特有の前記バネは、前記ボルト突起(32)を前記凹部の他の側面(44)に向かって回転させるように配置されていることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項7】
前記ロック本体(2)は、前記ロック本体の側面(2A、2B)と前記斜形ボルトの側面との間で、前記斜形ボルト(5)の両側にローラー(42)を有することを特徴とする、請求項2から6までのいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項8】
前記斜形ボルト(5)の両側に溝(11)があり、前記溝(11)の中に前記ローラー(42)が位置付けられており、前記ボルト穴(4)は、前記溝内に延びる突起(12)を有することを特徴とする請求項7に記載のドアロック。
【請求項9】
前記ロック本体(2)は、前記斜形ボルト(5)の部位に本体部品(310)を備え、前記ローラー(42)が前記本体部品(310)に対して位置付けられ、前記本体部品(310)は、前記回転突起(35)のための前記フェイスプレート(3)の前記内側の前記支持表面(40)を有することを特徴とする、請求項8に記載のドアロック。
【請求項10】
前記ボルト突起(32)の前記カウンター表面(33)は、残りの回転部品(31A、31B)よりも幅が広い部分を備えることを特徴とする請求項2から9までのいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項11】
支持表面(34)が、前記ボルト突起(32)の他の側面(32)に位置し、前記支持表面(34)は、前記凹部の他の側面(44)を向いており、前記ドアロックの前記斜形ボルト(5)は、前記デッドロック手段が前記非ロック位置にあり、外力が前記ボルト突起(32)に向けられる場合に、前記ロック本体(2)に向かって内側に移動するように配置され、前記押し突起の前記湾曲した回転表面(39)は、前記ボルト突起の前記支持表面(34)が前記凹部の前記他の側面(44)に当たって静止するまで、前記凹部の前記側面に対して回転するように配置されることを特徴とする、請求項2から10までのいずれか一項に記載のドアロック。
【請求項12】
前記ボルト突起(32)は、それが前記凹部(53A、53B)の前記他の側面(44)に当たって完全に回転するまで、前記カウンター表面(33)に向けられた外力によって、最初は、前記凹部の前記側面(41)に対抗する前記押し突起(36)の前記湾曲した回転表面(39)の上で、その後は、前記ボルト突起の前記支持表面(34)の上で、回転するように配置されていることを特徴とする、請求項11に記載のドアロック。
【請求項13】
前記カウンター表面(33)に向けられる外力によって、前記ボルト突起(32)の前記支持表面(34)が、前記凹部の前記他の側面(44)に当たるとき、前記カウンター表面(33)は凡そ又は正確に前記先端部分の前記傾斜面(10A、10B)の平面内にあることを特徴とする、請求項12に記載のドアロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜形ボルトを備えるドアロックに関する。特に、本発明は、斜形ボルトを有するドアロックに関し、斜形ボルトが移動ボルトセクションを含む。この種の斜形ボルトは、しばしば複動ボルトとも呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
特許公報FI82287及びFI120416は、ボルトセクションを備える斜形ボルトを有する斜形ボルト構造を示す。これらのセクションは、ボルトの他の部分に関して移動可能であるように配置されている。既に述べられたように、この種の斜形ボルトは、複動ボルトとも呼ばれる。本明細書において、これらの名称の両方が用いられる。前記特許公報から分かるように、複動ボルトは、通常、ドアロックのフェイスプレートの長手方向軸線が設けられた本体部分と、その軸の周りで本体部分に枢動可能に支持される2つのボルトセクションとを備える。
【0003】
ドアロックのデッドロック手段が受動的な状態、即ち非ロック位置にあるときに、ドアロックが1つ又は他の方向にドアを押す/引くことによってドアが開けられるようでなければならない適用部位において、この種の複動ボルトは使用される。デッドロック手段は、ロックの中の手段を意味し、それを用いてロックのボルトがデッドロック位置にロックされ得る。デッドロック位置において、ボルトはロックの本体から引き出された位置にあり、ボルトはロック本体内側に移動不能である。
【0004】
前記特許公報から分かるように、両方のボルトセクションは斜面を有し、これはドアが閉じて置かれた際にストライカープレートに衝突し、そこでボルトセクションはロック本体の内側を押す。ボルトセクションは、複動ボルトの本体内へ枢動可能に取り付けられ、そこでボルトセクションは常に斜面を形成し、これは、ドアが回動される方向に関わらず、ドアが回動して閉じられ又は開かれた際に、ストライカープレートに衝突する。したがって、ストライカープレートは、ドアが閉じられ又は開かれる際に、他のボルトセクションと同一位置にボルトセクションを押す。この場合、ボルトセクションの側面は、収束斜面を形成する。ボルトがストライカープレートに当たり、及び部分的にストライカープレートの開口部内にあるとき(即ち、ドアが開いているとき)、ボルトセクションは、斜形ボルトがカウンタープレートのエッジに面してデッドボルトと同様の表面を形成する位置にある。ロックがデッドロック手段を有し、それらが斜形ボルトを引出位置内にロックするように置かれている場合、ボルトセクションは、回転できない。デッドロック手段が斜形ボルトをロックしない場合、斜形ボルトは、ドアの両方の回転方向に関して、斜形ボルトとして機能する。
【0005】
これらの近年のタイプの斜形ボルトでは、ボルトセクションがドアの開閉力をデッドロック手段に伝達するとき、比較的大きな力がロック本体のデッドロック手段に向けられる。大きな力は、特に、ロックされたドア(ドアの中に、ロックが設置され、デッドロックされる)が、押し込み強盗の状況などにおいて強引に開こうと試みられた場合に発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FI82287
【特許文献2】FI120416
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、斜形ボルトを備えるドアロックのデッドロック手段に向けられる外力を軽減することである。これらの種類の力は、特に既に上記で述べたような押し込み強盗の状況及び緊急避難の状況で発生する。目的は、独立請求項に示される方法で達成される。従属請求項は、本発明の異なる実施例を記載する。本発明は、外力の一部がフェイスプレートに案内され得ると共に、かかる大きな応力がデッドロック手段には向かわないという発案に基づく。
【0008】
本発明によるドアロックは、デッドロック手段及び斜形ボルトを有する、フェイスプレートが設けられたロック本体を備える。斜形ボルトは、ロック本体からフェイスプレートのボルト穴を通って、引込位置と引出ロック位置との間の直線運動で、前後に移動させられる。斜形ボルトは、前記引出位置に向かってバネ負荷がかけられており、斜形ボルトは先端部分と本体部分とを備える。先端部分はロック本体から部分的に外側に引き出された位置にあり、また、先端部分は傾斜面を両側に備え、先端部分の後部においてよりも、その先端で先端部分がより細くなるようになっている。先端部分は、その下部及び上部に凹部を有し、これは先端から後部まで延びる。両方の凹部は、先端部分の先端の端部で及び傾斜面の上で開いており、上部の凹部が下部の凹部とは反対側の傾斜面で開いているようになっている。
【0009】
両方の凹部は、ボルト突起を備える回転部品を有し、ボルト突起は、その第1の側にカウンター表面を有し、また、ボルト突起は、回転突起を有し、回転突起は、斜形ボルトが引込位置から引出位置に移動するときに、回転部品を回転させるように配置されている。回転突起がフェイスプレートの内側の支持表面に当たるように、回転が起こり、そしてカウンター表面が先端部分の傾斜面から離れるように移動する。回転部品は、さらに押し突起を備え、押し突起は、押し面を有し、加えて、凹部の側面の方を向く押し突起の他の表面の上に、湾曲した回転表面を有する。
【0010】
先端部分の後部は、屈曲組織及び支持部品を有し、支持部品は、押し面の方を向くカウンター押し面を有する。支持部品は、ボルトの先端部分及び本体部分に対して可動となるように配置され、屈曲組織と回転部品との間に位置付けられる。屈曲組織は、斜形ボルトの本体部分内に支持され、支持部品に当たっている。回転部品は、引出位置においては傾斜面から外側に向かって回転するボルト突起を有し、デッドロック手段が斜形ボルトを引出位置にロックすることにより、押し突起が押し面を用いてカウンター押し面を押すように、カウンター表面に向けられる外力によって回転するように配置され、その結果、ボルト突起のカウンター表面が先端部分の傾斜面の面内に少なくとも部分的に位置するまで、支持部品が屈曲組織に向かって回転及び移動することを引き起こし、外力は傾斜面に向けられる。
【0011】
以下、本発明は、添付図面の図によって、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるドアロックの実例を示す図である。
図2】ロック本体の内側に斜形ボルトを有する図1の実例の部分を示す図である。
図3】外側に斜形ボルトを有する本発明によるロックのセクションを示す図である。
図4】外力が斜形ボルトに向けられた場合の、外側に斜形ボルトを有する本発明によるロックのセクションを示す図である。
図5】本発明による斜形ボルトの実例を示す図である。
図6】外側に斜形ボルトを有するロックの別のセクションを示す図である。
図7】本発明によるロックの一実例及びそのデッドロック手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明によるドアロック1の実例を示す。ドアロックは、ロック本体2とフェイスプレート3とを備える。フェイスプレートは、斜形ボルト5のための開口部4を有する。さらに、本実例では、ロックは、ドアのフレームに対するドアの位置を示すための補助ウェッジ6と、ドアのデッドロックを強化するためのデッドボルト7と、を備え、デッドロックは、例えば斜形ボルトとデッドボルトとによる、2つのボルトの複合効果によって実施され得る。また、図では、押しボタン又は回しノブの軸の穴8も見ることができ、また、例えば、鍵によって使用されるロックシリンダー/ロックシリンダー組織のための場所9も見ることができる。
【0014】
図1において、斜形ボルト5は、外側にあり、または、ロック本体から引き出された位置にある。図1の一部を示す図2において、斜形ボルトは、内側にあり、または、引込位置にある。また、ロック本体は、デッドロック手段71を有する(図7)。デッドロック手段がロック位置にある場合には、それらは斜形ボルトを引出位置にロックする。デッドロック手段が非ロック位置にある場合には、斜形ボルトは引込位置へロック本体内に押し込まれ得る。
【0015】
斜形ボルトは、次いで、フェイスプレート3内のボルト穴4を通して、引込位置とロック本体2から引き出されたロック位置との間で、直線運動で前後に移動させられることとなる。斜形ボルト5は、前記引出位置に向かってバネ負荷がかけられており、斜形ボルト5は、先端部分5Aと本体部分5Bとを備える(図5参照)。先端部分は、ロック本体から部分的に外側に引き出された位置にある。
【0016】
先端部分5Aは、傾斜面10A、10Bを両側に備えており、先端部分の後部52においてよりも、その先端51で先端部分が狭くなるようになっている。図の実例では、傾斜面は、種々の角度において、わずかな湾曲/部分を備える。また、傾斜面は、平面としても形成され得る。先端部分は、その下部55及び上部54に凹部53A、53Bを有する。凹部は、先端部分の先端51から先端部分の後部52まで延びる。両方の凹部は、先端部分の先端51の端部で及び他の傾斜面10A、10Bの上で開いており、上部の凹部が、下部の凹部とは反対側の傾斜面の上で開いているようになっている。図は、反対側の傾斜面で凹部がどのように開いているかを明確にする。
【0017】
両方の凹部53A、53Bは、ボルト突起32を備える回転部品31A、31Bを有し、ボルト突起32は、その第1の側にカウンター表面33を有する。図3及び図4は、回転部品をさらに詳細に示す。また、回転部品は、回転突起35を備え、回転突起35は、斜形ボルトが引込位置から引出位置に移動するときに、回転部品を回転させるように配置されている。斜形ボルトに作用するバネ43によって押された際に、これは起こり、回転突起がフェイスプレート3の内側の支持表面40に当たるようになっており、ボルト突起のカウンター表面33が先端部分の傾斜面10A、10Bから離れて動く。回転部品は、押し突起36をさらに備え、押し突起36は、押し面37を有し、また、凹部の側面41の方を向く押し突起36の他の表面の上に、湾曲した押し面39を有する。さらに、回転部品のボルト突起のカウンター表面33は、残りの回転部品よりも幅の広い部分を備え得る。
【0018】
先端部分の後部52は、屈曲組織46及び支持部品47を有し、支持部品47は、押し面37の方を向くカウンター押し面38を有する。支持部品は、ボルトの先端部分5A及び本体部分5Bに対して移動可能であるように配置されており、屈曲組織46と回転部品31A、31Bとの間に位置する。屈曲組織46は、斜形ボルトの本体部分5B内に支持され、支持部品に当たっている。屈曲組織の本体部分5B内への支持は、例えば本体部分の一部であるフランジによってなされるか、又は、本体部分の直径が屈曲組織の箇所よりも本体部分の後部においてより大きいことによってなされる。したがって、本体部分は、屈曲組織が当たって静止する限界点を有する。これらの図面の実例から分かるように、屈曲組織は、1つ又は複数の皿バネを備える皿バネアセンブリであることが可能である。他の適切な屈曲組織を使用することも可能である。これらのバネ手段は、予荷重を与えられる。
【0019】
回転部品31A、31Bは、図3に明確に示される斜形ボルトの引出位置において傾斜面10A、10Bから外側に向かって回転するボルト突起32を有するように配置される。回転部品は、カウンター表面33に向けられる外力によって回転するように配置され、それにより、デッドロック手段71(図6及び図7)が斜形ボルト5を引出位置にロックすると、押し突起36は押し面37を用いてカウンター押し面38を押し、それにより支持部品47は、ボルト突起のカウンター表面が先端部分の傾斜面10A、10Bの面内に少なくとも部分的に位置するまで、屈曲組織46に向かって回転及び移動される。この場合には、外力は傾斜面10A、10Bに向けられる。
【0020】
図3は、斜形ボルトが引出位置にあり、外力が回転部品をまだ回転/移動させていない状況を示す。図4は、外力が、その力が向けられる領域の傾斜面の平面まで回転部品を回転させた状況を示す。この外力は、ドアが開かれた場合にドアのフレーム内に設置されたフェイスプレートが衝突する領域に向けられる。カウンタープレートとフェイスプレートとの間の距離は、設置に応じて若干変化し得るが、距離のこの変化は事前に認識されているため、本発明による斜形ボルトの先端部分5A及び回転部品のボルト突起32の形状は、この変化を考慮に入れるように実装される。これらの図面から、屈曲組織46に当たっている支持部品47の後面47Aは、回転/移動を容易にするために丸みを有することが分かる。
【0021】
傾斜面10A、10Bは、外力が向けられる領域のフェイスプレート3の表面に対して緩い傾斜角度又は直角をなす。この場合の外力は、直角で又はほぼ直角で傾斜面に向けられる。緩い傾斜角度は、約0〜20度の角度を意味する。この場合には、外力は、この力が斜形ボルトの直線移動方向に対して実際に横方向となるような角度で斜形ボルトの先端部分に向けられ、外力は、ロック本体内に斜形ボルトを押すのではなく、代わりにフェイスプレートに向かって斜形ボルトを押す。より具体的には、外力は、フェイスプレートのボルト穴4のエッジに対して斜形ボルトを押し付ける。
【0022】
次いで、外力が回転部品に向けられ、回転部品の回転により支持部品が回転/移動され、次いでこの支持部品が屈曲組織を押す段階で、外力はデッドロック組織に向けられる。したがって、外力は、屈曲組織を経由して斜形ボルトの本体部分に、及び本体部分からデッドロック手段に伝達される。回転部品の機能をより厳密に考察すると、回転部品の押し突起36の湾曲回転表面39は、凹部の側面41上を摺動すると言える。回転部品が、斜形ボルトの側部の面内に位置する場合には、先端部分は、外力をフェイスプレートに案内する。したがって、デッドロック力は、屈曲組織がボルトの本体部分に伝達する力を超過して上昇することはない。したがって、より軽量且つより繊細なデッドロック手段を使用することが可能となる。
【0023】
通常の状態において、ロックされると、ボルトは、回転部品を介して、フレームのストライカープレートに接触する。通常の開放時には、デッドロック手段が非ロック位置にある場合に、外力の一部は、回転部品から支持部品を経由して、ボルトの本体へ、引出力として伝達される。その一方で、力の一部は、異なる経路に沿って(異なる表面を経由して)ロック本体へと伝達される。デッドロックがロック状態になる、即ちロック位置にあり、ドアを強引に開こうという試みがなされると、回転部品は、回転部品が側面の面内に位置する限り、対向する支持部品に対して屈曲組織を押し付け、その後、斜形ボルトは、デッドボルトの様式で荷重(外力)を受ける。荷重が取り除かれると、屈曲組織は、原位置(図3)へと支持部品を押す。
【0024】
回転部品31A、31Bの押し突起36は、ノーズ45を備えることができ、ノーズ45の他の側面は、前記押し面37の一部として含まれる。そのような実施例において、先端部分の後部は、裏面とカウンター押し面との間に間隙511があるように、カウンター押し面38の方を向く裏面510を有する。斜形ボルトが引出位置にあるとき、ノーズ45は間隙の中に位置する。また、回転部品の押し突起36は、湾曲した押し面39の端部に別のノーズ512を備えることができる。他のノーズは、図に示される方法で、先端部分の先端51の方を向いている。
【0025】
斜形ボルトにおいて、回転部品のそれぞれのためのバネ513が斜形ボルトに加えられると、付加的な機能的信頼性を得ることが可能である。回転部品に特有のバネは、ボルト突起32を凹部の他の側面44に向かって回転させるように配置されている。また、ストライカープレートが他方の側の回転部品を押すとき、バネの助けを借りて、反対側の回転部品もまた凹部の方向に回転し、デッドロック手段が非ロック位置にある場合には、斜形ボルト5はロック本体の内側へ移動しようとする。
【0026】
ロック本体は、ロック本体の側面2A、2Bと斜形ボルトの側面との間で、斜形ボルト5の両側にローラー42を有し得る。ローラーは、引出位置と引込位置との間の斜形ボルトの容易な動きを生み出す。前記ローラー42を、例えば、斜形ボルトの両側に形成された溝11の中に置くことが可能であり、溝11の中にローラーが位置付けられる。そのような実施例において、ボルト穴4は、突起12を有し、突起12は、溝内に延びる。
【0027】
図の実例による実施例を形成することもでき、その実施例では、ロック本体2が、斜形ボルト5の部位に本体部品310を備え、ローラー42が、本体部品310に対抗して位置付けられる。本体部分は、例えば図6に示される。また、回転突起35のためのフェイスプレート3の内側の前記支持表面40は、本体部品の中に配置するのに便利である。本体部品の使用は、ロックの組み立てを改善し、及びロックの製造を容易にし得る。さらに、ローラーのローラー特性は、より良く制御され得る。本発明が本体部品なしで実施された場合、カウンター表面40は、フェイスプレートの後面(ロック本体2の方を向く面)の一部であるか、又は、場合により、ロック本体2のその部分に関するロック本体の内面の一部であり、それは、フェイスプレート3に対抗して曲げられる。図の実施例において、フェイスプレートは、2つの部分から形成されているが、しかし、それは1つの部品から形成されることもできる。
【0028】
上記に示した実例では、回転部品のボルト突起32の他の側面が支持表面34を有し、この支持表面34は凹部の他の側面44の方を向く。デッドロック手段71がロック位置に置かれていないとき、斜形ボルトは、ロック本体2の内部に移動することができる。ドアが開けられる際に、ドアのフレーム内のストライカープレートは、ボルト突起のカウンター表面33を押す。この外力に起因して、ボルト突起31Bは、先端部分の凹部53B内で回転し、カウンター表面が傾斜面10Bに向かって移動し、押し突起の湾曲面39が凹部の側面41の上で回転し、押し突起の押し面37が、ロック本体2の内側でバネ43の力に逆らって斜形ボルト5を押すようになっている。したがって、この場合には、支持部品47は屈曲組織46に向かって回転及び移動しない。回転部品は、その支持表面34が凹部の他の側面44に完全に当たるように回転するまで、回転する。観察されるように、回転部品は、それが凹部内で回転するのと同時に、ロック本体の内側で斜形ボルトを押す。その後になって初めて、回転部品の支持表面が凹部の他の側面に完全に当たったときに、フレームのストライカープレートは、直接的接触で又は回転部品を介して、斜形ボルトの先端部分を直接的な方法で押し、ここで、機能は、知られている斜形ボルトに相当し、先端部分は、引込位置内のロック本体内の奥深くに移動する。したがって、斜形ボルトがロック本体の内側に移動したとき、最終段階において、回転部品はもはや回転しない。
【0029】
斜形ボルトはローラー42を介してロック本体内で支持され、回転部品31A、31Bは凹部53A、53B内で回転するので、表面が被る摩耗は低減されることができ、斜形ボルトの動きは以前よりも容易にされる。凹部の側面が2つの部分−側面41及び他の側面44−から構成されるとき、回転部品のローリングもまた2つの部分から構成され、ここで、ローリング距離は、均一のローリング部分を備えるよりも大きくなる。図の実施例において、回転部品は、その他の端部において、ボルト突起の支持表面の上で回転し、その他の端部は、ボルトの先端部分の後部52の側にある端部である。ボルト部品が凹部の他の側面44に当たって回転されているようなときは、この支持表面34の端部は他の側面44からいくらか離れている。
【0030】
図7は、ロック本体のデッドロック手段71の一実例を示す。この図では、明瞭化のためにロック本体の全ての部分を図示してはいない。この実施例では、デッドロック手段は、2つの回転可能プレート711、712により実装される。プレートの一方711は軸E1に対して回転し、他方のプレート712は軸E2に対して回転する。この図では、デッドロック手段はロック位置にある。下方プレート712が時計回り方向に回転すると、他方のプレート711は反時計回り方向に回転し、デッドロック手段は非ロック位置へと動く。この実例では、下方プレートは、例えばスピンドルにより穴8内に連結された押しボタンなどによって案内され得る。点線はこの案内を示す。また、例えば専用に確保された場所9に設置されたロックシリンダーなどによって、又はソレノイドによって、デッドロック手段の案内を実施することも可能である。したがって、種々の案内管理装置が、本質的に知られている多数の方法で実装され得る。また、デッドロック手段は、多数の異なる方法で実装され得る。
【0031】
本発明による斜形ボルトの構造により、本説明の冒頭で説明されたボルトセクションを備える既知の斜形ボルトよりも小さな力を斜形ボルトのデッドロック手段に向けることが可能となる。デッドロック組織に向けられる力は、屈曲手段により本体部分に伝達される力を超過しない。従来の解決策では、ボルトセクションは、斜形ボルトの本体を介してデッドロック手段に外力を案内する。本発明により、より軽量構造のデッドロック手段が可能となる。また、デッドロック手段は、より容易に機能するように実装され得る。例えば、非常用ドアは、水平方向力が向けられても容易に開くべきである。さらに、ロックのメンテナンス間隔が延び得る。この構造により、機能は、既知の解決策よりもより高い信頼性を有し、ロックの耐用寿命がより長くなる。押し込み強盗の状況では、本発明による構造は、より大きな横方向荷重に耐える。
【0032】
上述の実例に照らして、本発明による実施例は、多くの様々な解決策によって達成し得ることは明らかである。斜形ボルトの先端部分の形状及びボルト部品の形状は、異なり得る。本発明は、本明細書において言及された実例のみに限定されず、むしろ、独立請求項の範囲内の多くの様々な実施例によって実施され得ることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7