(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気コネクタと連通した状態で真空源を作動させる工程が、前記空気マニホールドと微小流体プレートと間に完全な密閉を生じさせることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
以下に図面に関連して示す詳細な説明は、実施形態の説明として意図され、かつ、構築できる及び/又は利用できる唯一の形態を表すものではない。しかし、同一又は均等の機能及び順序を、取付け、自動化又は単純なオペレータの使用を容易にするために異なる形状、材料、接続の数及び他の配置又は装着機能を使用して、取り外し可能な空気コネクタ及びシステムといった、本発明の精神及び範囲内に包含されることも意図される異なる実施形態によって達成できることを理解すべきである。
【0012】
微小流体プレート制御及び分析システム
微小流体細胞培養系は、生物学的実験を行うための強力なツールとなる。
図1は、本発明に係る微小流体プレート制御及び分析システム10の実施形態を示す。微小流体プレート制御及び分析システム10は、倒立顕微鏡20のステージ上に配置される微小流体プレート100を備える。プレート100で行う細胞培養その他のプロセスを、倒立顕微鏡20を使用して観察することができる。プレート100は、10ラインリボンチューブを備えることができるチューブ30を介して空気制御装置40と連通している。また、チューブ30は、個々のガスライン配管、電気配線、加熱要素、ネットワーク部品などといった、空気制御装置40と微小流体プレート100との間の連通及び接続の他の形態を備えることもできる。空気制御装置40は、チューブ30を使用してプレート100に気体又は液体を供給し、プレート100の温度を制御し、又は他の所望の機能を実行することにより微小流体プレート100と相互作用するように構成できる。制御装置40は、ネットワーク接続50を介してコンピュータ60とさらに通信する。コンピュータ60は、顕微鏡20からの画像データを表示し及び/又は分析し、空気制御装置40によってとられた動作を記録し、そしてプロトコルに従って動作を実行するように空気制御装置40に指示するように構成できる。
【0013】
この実施形態では、微小流体プレート100は、イメージング用のガラス底を備え、かつ、倒立顕微鏡20のステージホルダ内で嵌合するように構成できる。所定の実施形態では、微小流体プレート100は、生体分子スクリーニング協会(SBS)基準の96ウェルプレートに相当する寸法を有する。微小流体プレート100は、細胞培養、溶液交換又は条件の比較といった所望の実験の種類に応じて、用途に固有の設計を使用することができる。所定の実施形態では、微小流体プレート100は、EMDミリポア社から市販されている生細胞分析のためのCellASIC(商標)ONIX微小流体プレートとすることができる。さらに、微小流体プレート100は多重化でき、単一の微小流体プレート100がいくつかの個々の又は関連の実験を同時に又は連続的に実行するのを可能にする。
【0014】
チューブ30は、微小流体プレート100に気体や液体を供給するといった特定の目的のために構成又は使用できる。この実施形態では、チューブ30は、10本のラインリボンチューブを備え、これらのラインの8本が微小流体プレート100に可変圧力を与え、1本のラインが所望のガス環境を与え、1本のラインが真空を生じさせるために負圧を与えるように構成される。所定の実施形態では、チューブ30は、微小流体プレート100と連通した状態の加熱素子又は熱交換器と連通する接続部(例えば、電気的接続)をさらに備えることができ、このようにして所望の温度にまで微小流体プレート100をインキュベートすることができる。この開示に記載された実施形態は、10本のラインリボンチューブを利用するが、それよりも多い又は少ないライン、又は圧力、ガス、真空及び/又は熱を供給する他の手段を利用することなどを含めて、空気制御装置40と微小流体プレート100との間の接続及び連通の様々な他の形態を使用することができる。
【0015】
10本のラインリボンチューブのそれぞれのラインは、制御装置40と連通した状態にあることができ、該制御装置は、圧力又は真空を生成し、圧力を調節し、弁を開閉し、及び/又は所望の温度と湿度を有するガス環境(例えば、5%CO
2)を供給するように構成された複数のポートを備えることができる。制御装置40は、微小流体プレート100の温度を上昇又は低下させるように微小流体プレート100と連通する対応する加熱要素に指示を与える加熱制御部をさらに備えることができる。例えば、加熱制御部は、微小流体プレートの温度を、生体内条件を模倣する37℃に維持するように構成できる。この実施形態では、制御装置40は、CellASIC(商標)ONIX微小流体制御システム(EMDミリポア社から市販されている)であり、これは10PSIまでの陽圧及び−8.2PSIの負圧を供給することができる。しかし、微小流体装置に対して可変圧力、所望のガス環境又は温度制御のいずれかを提供することができる任意の好適な制御装置を使用することができる。
【0016】
コンピュータ60は、ネットワーク接続50で制御装置40と通信する。この実施形態では、ネットワーク接続50は、USB接続を備える。しかし、ネットワーク接続50は、シリアル接続、パラレル接続及びイーサネット(登録商標)接続を含めた、制御装置40とコンピュータ60との間の通信を可能にする接続の任意の形式とすることができる。さらに、所定の実施形態では、制御装置40及びコンピュータ60は、単一のユニットを備えることができる。この実施形態では、ネットワーク接続50は一体部品であってもよい。
【0017】
この実施形態では、コンピュータ60は、微小流体プレート制御及び分析システム10の様々な態様を管理するように構成されたソフトウェアを備える。コンピュータ60は、制御装置40を実験のプロトコルに従って動作させるように構成できる。例えば、コンピュータ60は、制御装置40に制御信号を送信し、事前決定又は動的スケジュールに従って、制御装置40に、可変圧力を微小流体プレート100に供給し、又は他の動作をとるように指示を出すことができる。さらに、コンピュータ60は、ユーザ入力を受信し、かつ、フローシーケンスを設定し、所望の圧力を設定し又はプログラム及びプロトコルを保存する能力を含めてプロトコルを変更するように構成できる。また、コンピュータ60を使用して、システム全体の状態を決定することもできる。しかしながら、所定の実施形態では、これらの特徴は、制御装置40内に完全に又は部分的に実装することもできる。
【0018】
所定の実施形態では、コンピュータ60は、さらに、倒立顕微鏡20に取り付けられたデジタルカメラと通信状態にあることができる。これらの実施形態では、コンピュータ60は、微小流体プレート100のデジタルカメラで撮影した画像を表示し、モニタし、そして追跡する能力を備えることができる。この機能は、長期の生細胞分析に特に有用であり、その際には、プロセスは数日かかることがあり、しかも興味深い事象が時間外に発生する可能性がある。さらに、大型の自動化システムでは、この機能を使用して、人間の介入を必要とせずに複数のサンプルについて指定された時点での状態を追跡することができる。
【0019】
微小流体培養プレート
図2は、
図1の微小流体制御及び分析システム10内にある微小流体プレート100をさらに詳細に示すものである。この実施形態では、微小流体プレート100は、PDMSベースとすることができ、また複数の独立したアッセイユニットを備えることができる(すなわち、「A」〜「D」で表される4列)。それぞれのアッセイユニットは、培養チャンバ104と連通する複数の流体チャネル102を備えることができる。細胞又は他の流体は、細胞入口ウェル106(例えば、「A6」と標識されたウェル)を通して培養チャンバ104にロードできる。さらに、様々な溶液や試薬を、複数の溶液入口ウェル108(「A2」〜「A5」、)及び重力灌流ウェル110(「A1」)を介して培養チャンバ104に供給することができる。培養チャンバ104にわたって観察窓112が形成され、内部の細胞又は生じる他のプロセスを見るために顕微鏡(例えば、
図1の倒立顕微鏡20)のレンズを配置するのを可能にする。それぞれのアッセイユニットは、培養チャンバ104からの排出物用の排出物出口ウェル114(「A7」)と溶液液入口ウェル108からの排出物用の灌流出口ウェル116(「A8」)と、重力灌流ウェル110とを備えることができる。
【0020】
ウェル、培養容器104及び観察窓112の周りにはプレート100から上方に延在する複数の側壁105が形成され、これらの機能を互いに隔離している。側壁105の少なくとも一部は、プレート100にわたってマニホールドを配置することで、側壁105がマニホールドに接触することになるように、プレート100の上面まで延在する。さらに後述するように、この機能を使用して、空気マニホールドを介して各ウェルに分離された空気圧を供給し、所望のガス環境を培養チャンバ104に与え、又はプレート100の他の領域内に真空を生じさせることができる。
【0021】
図3は、培養チャンバ104をさらに詳細に示す。細胞入口ウェル106は、培養チャンバ104と直接連通しており、細胞入口ウェル106からの細胞が培養チャンバ104に自由に流れるのを可能にする。細胞入口ウェル106とは対照的に、溶液入口ウェル108と重力灌流ウェル110とを連結する流路102は、灌流障壁118によって培養チャンバ104から分離されている。この実施形態では、灌流障壁118は、固体構造と流体チャネル102よりも小さい通路との組合せであり、流体チャネル102を培養チャンバ104から分離する。灌流障壁118は、流体チャネル102への移行から細胞、他の培養物及びゲルを維持すると同時に、一般に流路内の流体流れよりもはるかに高い流動抵抗性のものである拡散、灌流又は物質移動メカニズムの任意の組み合わせによるいくらかの流体の流れを可能にするように設計される。このようにして、培地及び試薬を、流体チャネル102を遮断する危険性なしに培養チャンバ104に供給することができる。
【0022】
微小流体プレート100は、まず流体チャネル102を滅菌PBSなどの所望の緩衝液でプライミングすることによって使用準備される。次に、所望の細胞懸濁液10μLを、細胞入口ウェル106にピペットで入れる。排出物出口ウェル114を吸引すると、細胞懸濁液が毛管作用により培養チャンバ104にロードされる。いったん培養チャンバ104内に入ると、細胞は、重力灌流ウェル110に供給される培地と共に灌流し、又は溶液入口ウェル108のいずれかに供給される試薬又は他の化学物質にさらされることができる。プレート100は、4個の独立したアッセイユニットを備えるため、4つまでの異なる細胞サンプルを単一のプレート100上で独立して培養することができる。細胞培養及び応答の状態を、例えば観察窓112を通して顕微鏡によりそれぞれの培養チャンバ104を見ることにより観察することができる。
【0023】
細胞を十分に培養したら、様々な実験を、微小流体プレート100を使用して実施することができる。例えば、溶液入口ウェル108は、溶液交換実験のために使用でき、その際、細胞を様々な溶液に連続的にさらし、そして得られた細胞応答を分析する。細胞を培養チャンバ104内において所望の溶液に暴露するために、その溶液の量(例えば、10μL)を溶液入口ウェル108(例えば、A2)にピペットで加える。次いで、この溶液は流体チャネル102を横断し、灌流障壁118を通って、培養チャンバ104に灌流する。その後、細胞は、他の溶液入口ウェルを介して他の溶液に暴露され、同様に観察できる。溶液交換の他に、溶液入口は、自動化染色及び洗浄プロトコルのためにも使用でき、また、画像化時に固定液を培養のチャンバ104に流すことによるオンデマンド固定のためにも使用できる。
【0024】
さらに、本発明は、微小流体プレート100の空気制御に言及するが、本発明の実施形態は、微小流体装置、プレート又は制御及び分析システムの任意の形態のために使用できることに留意すべきである。様々な実施形態が本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0025】
空気マニホールド
単純な重力駆動灌流を使用して細胞を培養しかつ細胞を様々な試薬にさらすことができる。重力駆動灌流は、オペレータが追加のハードウェア(例えば、制御装置40及び/又はコンピュータ60)なしに微小流体プレート100のみを使用して実験を実施するのを可能にする一方で、ある程度の微調整をすることができず、オペレータによる継続的な監視が必要となる。したがって、
図4A〜Bに示された実施形態のように、空気マニホールド120による空気制御を使用して、微小流体プレート100への細胞及び試薬のロードを制御することもできる。空気マニホールド120は、微細微小流体プレート100のウェルのそれぞれに可変圧力を与えることによって、細胞の充填、培地の灌流、及び溶液の暴露を微調整するように微小流体プレート100に嵌合できる。
【0026】
図4A〜Bは、空気マニホールド120の微小流体プレート100への配置及び密閉を示す。マニホールド120は、微小流体プレート100にわたって配置されるように構成された環状オレフィン共重合体の本体を備えることができ、複数のチャネル122をさらに備えことができ、これらを使用して微小流体プレート100に気体若しくは液体を供給し又は負圧を与えることができる。チャネル122のそれぞれはチューブ30に連通しており、これは上記のように好適な空気制御装置(例えば
図1の空気制御装置40など)と連通した10本のラインチューブを備えることができる。マニホールド120は、軟質ガスケット132をさらに備え、これはまず例えば70%エタノールで洗浄し、次いで乾燥状態にまでブロットする必要がある。その後、
図4Bの実施形態に示すように、プレート100を平坦表面上に配置し、そしてマニホールド120をウェル上に位置合わせして設置する。いったん所定の位置に設置したら、負圧をチャネル122の少なくとも一方に供給し(チューブ30のガスラインのうちの1つを介して)、それによって真空を微小流体プレート100と空気マニホールド120との間に生じさせる。真空が生じたら、オペレータ(又は自動化機器)がプレート100に対してマニホールド120を数秒間にわたって押してガスケット132の均一な接触を確保することができる。ウェルと側壁105とプレート100とマニホールド120との間の空間が真空になったときに適切な封止が形成される。適切な封止が形成されると、真空を適切な負圧(例えば、−8.2PSI)によって維持して実験の過程を通して確実な密閉及び真空を維持しなければならない。所定の実施形態では、空気マニホールド120は、EMDミリポア社から市販されているCellASIC(商標)ONIXのためのF84マニホールドとすることができる。
【0027】
図5は、空気マニホールド120及び複数のチャネル122をさらに詳細に示す。示された実施形態では、各チャネル122は、マニホールド120の上部にチャネル入口124を備え、この入口は、各ガスライン、例えば
図1のチューブ30を備える10本のラインリボンチューブからのラインと連通する。各チャネル122は、空気マニホールド120の下側に配置される少なくとも1個のチャネル出口126とさらに連通する。各チャネル出口126は、空気マニホールド120が微小流体プレート100にわたって配置されたときに、各チャネルの出口126が特定のウェル(例えば、
図2の微小流体プレート100のウェル)にわたって配置されるように配置される。さらに、微小流体プレート100の側壁105は、マニホールド120の下面と接触した状態にあるため、各チャンネル出口126は、微小流体プレート100の単一のウェル又は領域しか連通しないように隔離される。
【0028】
この実施形態では、空気マニホールド120は、プレート100上のウェル及びアッセイユニットの数に一致するのに十分なチャネル122及びチャネル出口126で構成される。チャネル122のうちの8個(すなわち、「V1」〜「V8」で示されるチャネル122)は、
図2の微小流体プレート100の4個の独立したアッセイユニットに対応して、4個のチャネル出口126を備える。したがって、単一のチャネル入口124を使用して、微小流体プレート100上の4個のアッセイユニットの特定のウェルに圧力を加え、微小流体プレート100の流路102を介して流量を制御することができる。しかし、所定の実施形態では、チャネル122、チャネル入口124及びチャネル出口126の数及び位置は、特定の微小流体プレート若しくは制御システムの構成又は実験のための他の要望に合わせて変更できる。
【0029】
複数のチャネル122は、ガス環境チャネル128をさらに備えることができ、これは、観察窓112と培養チャンバ104にわたって配置されるチャネル出口126を備える(
図2に示される)。ガス環境チャネル128を使用して、微小流体プレート100のための雰囲気制御を与え、そして特定のガス環境を有する培養チャンバ104内において細胞を浸すことができる。上記のように、微小流体プレート100は、ガラス底にわたってガス透過性素子層(すなわち、PDMS)を備える。したがって、微小流体プレート100に与えられるガスは、ガス透過性素子層を通して拡散により培養チャンバ104に供給できる。所定の実施形態では、ガス環境チャネル128を介して供給されるガスは、5%のCO
2を含む;しかしながら、酸素及び/又は窒素を含む混合物などの任意のガス混合物を使用することができる。ガス環境チャネル128を通してガスを連続的に流すことによって、培養チャンバ104内において細胞を培養するための安定したガス環境が維持される。このように、ガス環境チャネル128は、微小流体プレート100をインキュベーターに配置すること以外に培養チャンバ104内において該環境を制御するための手段を提供する。これにより、周囲の空気から独立した「マイクロインキュベーター」になるマニホールド120が得られ、これは連続媒体灌流を可能にし、蒸発を防止する。
【0030】
複数のチャネル122は真空チャネル130をさらに備えることができる。真空チャネル130用のチャネルの出口126は、微小流体プレート100のウェルと側壁105との間の領域に配置される。したがって、マニホールド120が微小流体プレート100にわたって配置されたときに真空チャネル130を負圧にすると、ウェルと側壁105とマニホールドと微小流体プレート100との間の空間内に真空が生成され、それによってプレート100に対してマニホールド120が封止される。
【0031】
したがって、空気マニホールド120を使用することにより、圧力を個々のウェルに加えて細胞をロードさせ、溶液を切り替えさせ、又は媒体を灌流させる。細胞は、好適なガス環境でインキュベートでき、真空は、マニホールド120が微小流体プレート100に封止されたままであることを確実にする。さらに、制御装置及び対応するコンピュータ(例えば、
図1の制御装置40及びコンピュータ60など)にチャンネル入口124を接続させることを使用して、微小流体プレート100で実行される様々なプロトコル及び実験を自動化することができる。
【0032】
上記のように、この実施形態では、チューブ30は、10本のラインを有するガスラインリボンチューブを備える:圧力制御のために8本、雰囲気のために1本及び真空のために1本。しかし、接続の様々な数及び種類を本発明の実施形態に従って利用することができる。例えば、所定の実施形態では、チューブ30は、微小流体プレート100又は他の装置に液体を供給することができる。所定の実施形態では、チューブ30は、液体制御ライン及び圧力制御ラインの両方を与え、又は微小流体プレート100のために温度制御を与えることができる。
【0033】
マニホールドと制御装置との接続
上記のように、マニホールド120と制御装置40とを接続するチューブ30は、10ラインリボンチューブなどの複数のガスラインを備えることができる。所定の実施形態では、チューブ30は、空気制御装置40とマニホールド120の両方に恒久的に接続できる。また、チューブ30は、空気的、磁気的、機械的な装着などを含めた様々な機構によって、空気制御装置40若しくはマニホールド120又はその両方から取り外すこともできる。
【0034】
A.取り外し可能な空気コネクタの第1実施形態
図6は、空気コネクタ150の実施形態を示す。空気コネクタ150は、
図5の空気マニホールド120などの空気マニホールドにチューブ30を取外し可能に固定するための装着機構として使用できる。この実施形態では、空気コネクタ150はチューブ30とマニホールド120との間に配置されているが、所定の実施形態では、空気コネクタ150はチューブ30と制御装置40との間に配置できる。さらに別の実施形態では、空気コネクタ150は、両方の位置に配置できる。
【0035】
この実施形態では、空気コネクタ150は、チューブ30上に存在する真空ライン32を使用してマニホールド120に空気コネクタ150を取り外し可能に固定する。しかしながら、所定の実施形態では、空気コネクタ150は、真空又は負圧を与えるためのチューブ30とは別個の代替ラインを使用してコネクタ150を取り外し可能に固定することができる。
【0036】
空気コネクタ150は、空気制御装置(例えば、
図1の制御装置40)と連通した10ラインリボンチューブなどのチューブ30と連通した状態にある本体152を備えることができる。図示した実施形態では、本体152は、ポリカーボネートシート上に成形される透明なPDMSを備える。空気コネクタ150は、基材として対応する境界面を有する空気マニホールド120の表面上に配置されるように構成でき、それによって、チューブ30の各ガスラインは、マニホールド120上のそれぞれのチャネル入口124と連通した状態になる(
図7の実施形態で示されるように)。この実施形態では、本体152は、丸みを帯びた長方形の形状を有する。しかしながら、他の様々な形状を使用して、本発明の様々な実施形態に係るチューブ30及び対応する境界面及び基材の様々な構成を収容することができる。
【0037】
図8は、空気コネクタ150の様々な側面をさらに詳細に例示する。空気コネクタ150の本体152は、
図5の空気マニホールド120上にあるチャネル入口124などの対応する基材上に配置されるように構成される内部表面164を有する。空気コネクタ150の本体152は、本体152を貫通する複数のボア156をさらに備え、それによってボア156は内部表面164に露出する。ボア156の一部は、シール158などのシール部材によって取り囲まれていてよい。内部表面164は、ボア156のそれぞれを取り囲む外側シール160をさらに備えることができる。この実施形態では、ボア156の少なくとも1つは、対応するシール158のない真空ボア又は真空ポート162として利用される。
【0038】
ボア156のそれぞれは、チューブ30からの対応するガスラインと連通している。上記のように、この実施形態におけるチューブ30は、10本のガスラインを備える:圧力制御ライン1〜8、ガス環境ライン及び真空ライン。各ガスラインは、対応するボア156内に配置される。圧力制御ライン及びガス環境ラインのための各ボア156は、対応するシール158を備えるのに対し、真空ポート162内に配置された真空ラインには、シールがない。
【0039】
空気マニホールド120上の対応する境界面又は表面に対してコネクタ150を配置すると、シール158及び外側シール160が基材に接触する。このような基材に対して配置すると、真空保持領域154が形成される。真空保持領域154は、外側シール160と内側シール158と内部表面164とコネクタ150が配置される対応する基材とによって画定される縁を有するスペース又は空間を備える。さらに、内側シール158は、各ボア156内における各ガスライン間に液密分離を生じさせる。しかしながら、真空ポート162は、シール158を備えていないので、真空ポート162は、真空保持領域154と流体連通する。したがって、真空ポート162に負圧を与えると(例えば、
図1の制御装置40と連通するチューブ30により)、真空保持領域154内に真空が生じる。それによって、外部環境と真空保持領域154との圧力差により、空気コネクタ150が表面に封止され、真空ポート162と連通する真空ラインを不活性化及び活性化させることによって作動できる安全な接続が創り出される。
【0040】
図9A−Bは、マニホールド120に対して配置されたときの空気コネクタ150を示す。使用時には、空気コネクタ150は、空気マニホールド120のチャネル入口124に対して配置される。ボア156のそれぞれは、対応するチャンネル入口124にわたって配置されるように構成される。こうして、真空保持領域154内に真空を生じさせることによって空気コネクタ150を作動させると、それぞれのチャネル入口124と連通するチューブ30の各ガスラインが配置される。シール158は、それぞれのチャンネル入口124間の連通を実質的に妨げ、チャネル間でのいかなる混線や漏れを最小限に抑える。さらに、この実施形態では、空気マニホールド120は真空チャンネル130も備える。したがって、真空保持領域154内に真空を生じさせることで、真空チャネル130にその対応するチャネル入口124を介して真空が与えられ、微小流体プレートにマニホールド120が封止される。このようにして、空気コネクタ150は、既存の真空ラインを利用して空気マニホールド120に対して所定の位置に空気コネクタ150を保持すると同時に微小流体プレートに空気マニホールド120を固定することができる。固定されたら、コネクタ150を使用して、微小流体プレートの様々な部品に可変圧力、気体、液体又は特定のガス環境を与えることができる。
【0041】
この実施形態では、シール158はOリングを備えることができ、外側シール160はガスケットを備えることができ、これらのそれぞれは、同様の厚さ、高さ及び圧縮率を有する。しかしながら、所定の実施形態では、他の種類のシールを使用することができるが、ただし、これらのシールがボア156間の流体連通を十分に妨げ、それによってチューブ30のガスライン間での漏れを防止することを条件とする。さらに、他の種類のシールを使用することができるが、ただし、マニホールド120にコネクタ150を固定するように真空を維持することができる好適な真空保持領域154が生成されることを条件とする。理想的には、シール158の選択により、ガスラインが10PSIを供給し、真空ラインが−8.2PSIに保持されるときに低い漏れ率、例えば0.1mL/分未満が得られるはずである。この実施形態では、チューブ30は、1本の真空ラインを含めて10本のラインを備えるのに対し、他の実施形態では、ラインの様々な数及び組み合わせを使用することができるが、ただし、この組み合わせにより、マニホールド120への安定した接続が得られることを条件とする。
【0042】
上記のように、使用時に、空気コネクタ150は、空気インターフェース134に対して配置され、真空が引かれる。或いは、真空を、空気インターフェース134に対して空気コネクタ150を配置する前に引くことができる。このアクティブ真空ラインは、マニホールド120の基材に対してシール158及び外側シール160を容易に把持し、保持し、そして圧縮し、マニホールドの基材に向かってコネクタ150を引張り、液密シールを形成し、そして全ての圧力ラインの確信的な接続を確立し、いかなる漏れや「混線」も実質的に減少させる。真空保持領域154、シール158及び外側シール160のため、空気コネクタ150は、オペレータの熟練とは無関係に、変更可能なコネクタの配置及び一貫性のあるシールを可能にする。さらに、位置ずれを圧力の低下又は不能によって検出して、対応するチャンネル入口124のいずれかに圧力又はガスを与えることができる。この検出は、それぞれ
図1の制御装置40又はコンピュータ60といった、チューブ30と連通する制御装置又はコンピュータによって行うことができる。
【0043】
所定の実施形態では、マニホールド120は、マニホールド120及びチャネル入口124に対するコネクタ150の適切な位置合わせを補助するための追加機能を備えることができる。
図10は、空気インターフェース134を備える空気コネクタ150と共に使用するための空気マニホールド120の実施形態を示す。この実施形態では、空気インターフェース134は、空気マニホールド120のチャンネル122、ガス環境チャンネル128及び真空チャネル130と連通するチャネルの入口124を含めて、空気マニホールド120から延在するタブを備える。また、空気インターフェース134は、空気インターフェース134上に配置されたときに空気コネクタ150を受け入れかつ所定の位置に保持するように成形されたノッチ又は隆起部といった、適切な位置合わせのためのアライメント機構136を備えることができる。
【0044】
しかしながら、所定の実施形態では、空気インターフェース134は、任意の追加機能なしで単に複数のチャンネル入口124を備えることができる(例えば、
図5に示された実施形態)。
【0045】
図11A〜Bは、空気コネクタ150と共に使用するための空気インターフェース170の別の実施形態を示す。空気インターフェース170は、マニホールドとチューブとの間又は制御装置とチューブとの間のいずれかに配置できる。この実施形態では、空気インターフェース170は、
図1の制御装置40などの空気制御装置に接続されている。示されるように、空気インターフェース170は、制御装置40内のチャネルと連通する複数のチャネル入口176を備える嵌合表面174を有する本体172を備える。本体172及び嵌合表面174は、空気コネクタ150の配置に対応するように、丸みを帯びた長方形の形状をさらに備える。使用時には、空気コネクタ150は、インターフェース170にわたって配置され、それによって、チューブ30の真空ライン32がインターフェース170のそれぞれの真空チャネルと連通する。次いで、上記のように真空ライン32が活性化され、インターフェース170にコネクタ150が固定される。
【0046】
所定の実施形態では、微小流体プレート100又は空気マニホールド120は、真空チャネル130を備えていなくてもよい。したがって、これらの実施形態では、本発明に係る空気コネクタ150は、マニホールド120の真空チャネル130とは連通ししていない真空ポート162を備えることができる。これらの実施形態では、真空ポート162は、マニホールドにコネクタ150を固定するためだけのものであるため、それぞれのボア156は、それぞれのチャネル入口124と連通した状態で配置される。
【0047】
空気コネクタ150により様々な利点が得られる。例えば、空気コネクタ150は、マニホールド120を容易に洗浄することや、さらにはラボ内でのサンプルの移送中にプレート蓋又はカバーとして使用することを可能にする。空気コネクタ150は、使用中に既存の真空ラインを所定の位置にそれ自体を保持するために利用するので、いかなる追加又は空気も必要ではない。したがって、空気コネクタ150は、へそスタイルのマニホールド又は恒久的な接続を制御するために使用することもできる既存のハードウェアを利用することができる。さらに、ほぼ自動的な保持力を確立することにより、空気コネクタ150は、オペレータのワークフローを容易にし、誤動作の可能性を低減させる。
【0048】
空気コネクタ150は、自動化を利用した微小流体制御システム環境で特に有利である。上記のように、この実施形態では、微小流体プレート100は、SBS準拠96ウェルフォーマットを備えるため、様々な「既製」機械を使用して自動化システムを作製することができる。一実施形態では、自動化システムは、微小流体プレート100を特定のステーションに移動させるロボットアーム又はプレートハンドラを備える。微小流体プレート100は既に準備されていてよく、かつ、空気マニホールド120を備えることができる;しかしながら、所定の実施形態では、自動化システムは、プレート100のウェルに液体を分配することができ、また、空気マニホールド120を導入することもできる。その後、空気コネクタ150は、空気インターフェース134に機械的に導入されるであろう。その後、真空ラインをアクティブにすることで、空気コネクタ150が空気インターフェース134に自動的に固定され、いかなる外部又は手動介入なしに安定した真空保持接続が確立される。この機能は、機械的装着手段又はクランプ手段を使用するコネクタについて重要な利点を有する。さらに、空気コネクタ150は、空気マニホールド120の接続点で直接的に信頼性及び再現性のあるコネクタを与える。
【0049】
上記のように、真空保持領域154及びシール158は、各ガスラインを物理的に分離する。しかし、シールのずれ、破損又はそうでなければ不完全さにより圧力漏れが依然として発生する可能性がある。この圧力漏れが見過ごされた場合には、不適当な圧力が各チャネル122に加えられる可能性があり、微小流体プレート100上で実行される実験の結果を潜在的に偏らせる可能性がある。取り外し可能な空気コネクタ150を使用することの利点の一つは、ガスライン間で圧力漏れが生じる不完全なシールを、真空保持領域154内における真空圧力の異常として認識することができることである。所定の実施形態では、制御装置40及び/又はコンピュータ60は、真空保持領域154内における圧力の偏差を認識し、この情報をオペレータに、例えば警告その他の手段により報告するように構成される。したがって、オペレータは、その後、空気コネクタ150を装着し直して確実なシールを確保するなどの是正措置をとることができる。
【0050】
B.取り外し可能空気コネクタの第2実施形態
上記のように、
図1のチューブ30は、様々な手段によって制御装置40から取り外すことができる。例えば、チューブ30と制御装置40との境界面で、空気圧装着、磁気装着、機械的装着などの様々な装着手段を使用することができる。
図12A〜14は、本発明に係る取り外し可能空気コネクタ200の別の実施形態を示す。空気コネクタ200は、チューブ30と制御装置40との間に配置でき、また制御装置40に空気コネクタ200を取り外し可能に固定するように構成できる。さらに、この実施形態では、空気コネクタ200は、インラインフィルタをさらに備え、該フィルタを使用してガスの通過を可能にすることができる一方で、流体の流れを妨げることができる。
【0051】
図12A〜Bの実施形態に示すように、コネクタ200はハウジング202を備えることができる。ハウジング202は、透明なPDMS、成形プラスチック又は他の好適な材料を含むことができる。ハウジング202は、チューブ端部204及び係合端部206をさらに備える。複数の雄ポート230が内部に配置され、各雄ポート230がチューブ端部204及び係合端部206の両方から延在するようにハウジング202を横方向に貫通する。チューブ端部204上において、各雄ポート230は、
図1のチューブ30を備えるガスラインなどのガスラインとの境界となるバーブ234を備える。雄ポート230をチューブと連通した状態で配置するために、チューブの対応するガスラインがバーブ234に配置される。この実施形態では、チューブ30のガスラインがバーブ234を使用して固定されているが、TC接続、ルアー接続などのガスラインのための接続の他の形態を使用してもよい。
【0052】
係合端部206上において、それぞれの雄ポート230は、
図1の制御装置40などの空気制御装置上のインターフェース260における対応する雌ポート280と係合するように構成される段部250をさらに備える。さらに、雄ポート230は、バーブ234から段部250まで延在するチャネル232を備え、これは、チューブ30と制御装置40との間に気体、液体又は他の物質を通過させるのを可能にすることができる。雄ポート230の少なくとも一つは、真空ポート242などの特定の機能のために指定できる。一対のタブ208は、チューブ端部204上でハウジング202の各側面から横方向に延在する。タブ208を、例えばコネクタ200を把持するために使用して、コネクタ200を対応するインターフェース260から係合又は係合解除させることができるが、これは、手動で又は適切に構成されたハードウェアを使用して自動化により実行できる。
【0053】
ハウジング202は、係合端部206上に位置するコネクタ磁石212を備える支柱210をさらに備えることができる。この実施形態では、ハウジング202は、雄ポート230のそれぞれの側に2本の支柱210を備え、それぞれの支柱210はコネクタ磁石212を備える。しかし、所定の実施形態では、ハウジング202は、単一の支柱、複数の支柱を備え、支柱を欠き、又は磁石なしで支柱を備えることができる。同様に、所定の実施形態では、ハウジング202は、単一の磁石、複数の磁石を備え、磁石を欠き又は支柱なしに磁石を備えることができる。図示した実施形態では、コネクタ磁石212は支柱210の装着面と同様に成形されている;しかし、様々な磁石及び形状を使用してもよい。
【0054】
図示した実施形態では、それぞれの支柱210及びコネクタ磁石212は、インターフェース260における受容磁石266を含む対応する開口部264によって受容されるように成形される。各コネクタ磁石212と受容磁石266との吸引力を使用してインターフェース260にコネクタ200を固定し、それによって雄ポート230を雌ポート280と流体連通して配置することができる。さらに、磁石212、266を使用して、インターフェース260にコネクタ200を適切に整列させ、配置することを補助することができる。例えば、コネクタ磁石212の磁極性は、コネクタ200がインターフェース260に後方又はそうでなければ誤った位置に配置されたときに受容磁石266の磁極性と同じになるように構成でき、それによってコネクタ200がインターフェース260と係合しないようにする抵抗力が得られる。しかしながら、所定の実施形態では、コネクタ磁石212又は受容磁石266のいずれかは、単に金属片を備えるだけでよい。これらの実施形態では、適切な位置合わせが望まれる場合には、係合の他の形態を使用することができ、例えば雄ポート230及び雌のポート280の配置を固定し又は間隔を開け、それによってコネクタ200が単一の位置でのみインターフェース260と係合することができるようにすることにより使用することができる。
図13Aに示すように、例えば、真空ポート242と隣接する雄ポート230との間隔は、他の雄ポート230間の間隔よりも僅かに広くてもよい。同様に、所定の実施形態では、開口部264のサイズ及び/又は形状は、コネクタ200上の特定の支柱210及び/又はコネクタ磁石212のみを受け入れるために互いに対して変更できる。様々な実施形態及び構成が本発明の範囲内にある。
【0055】
所定の実施形態では、磁気力ではなく固定係合の他の形態を使用してコネクタ200をインターフェース260に固定することができる。例えば、コネクタ200は、
図8のコネクタ150と同様に、既存のインライン真空力を使用して、インターフェースにコネクタを空気的に固定することができる。あるいは、ネジ、つまみネジ、ボルトなどといった他の機械的手段を使用してインターフェース260にコネクタ200を固定することができる。例えば、いくつかの実施形態ではつまみネジが好ましいことがある。というのは、このものは、コネクタ200とインターフェース260との間に誤って外れにくい信頼性の高い接続を与えるからである。しかしながら、実施形態では、自動化結合、空気的結合及び/又は磁気結合を使用することが好ましい場合がある。コネクタ200を係合解除及び係合させるために少しの力しか必要とされないからである。
【0056】
図13A〜B及び
図14を参照すると、この実施形態では、ハウジング202は、ハウジング202を貫通する複数のボア216をさらに備え、それによって、ボア216は、チューブ端部204及び係合端部206に対して開く。それぞれのボア216は、雄ポート230の一つを受け入れボア216に固定するための嵌合部218と、係合端部206の近くにある開放部220とをさらに備えることができる。所定の実施形態では、嵌合部218は、ネジ、溝、テーパーなどといった、雄ポート230を受け入れかつ固定するための追加の機能を備えることができる。示した実施形態では、嵌合部218は、開放部220よりも小さな直径を有しており、嵌合部218及び開放部220は互いに軸上にある。さらに、ボア216は、真空ポート242のために、真空などの特定の機能を目的とすることができる。この目的は、チューブ端部204上の隆起表面などの構造的特徴又はインジケータ214によってハウジング202上に指定できる。或いは、ハウジング202は、チューブ端部204又はポートの締め付け間隔又は配置上のマーキングといった他の特徴を使用して、特定の機能のためのボア及びポートの使用を指定することができる。図示した実施形態では、真空ポート242は、その目的の使用の指標として雄ポート230とは異なって着色される。
【0057】
図示した実施形態では、複数の雄ポート230はボア216内に配置される。各雄ポート230は、2個の別々のピース、シリンジ252及びフィルタ244を備えることができ、これらは、互いに係合して雄ポート230を形成するように構成される。互いに係合したときに、チャネル232(
図12A〜Bに示されるように)は、シリンジ252及びフィルタ244を貫通する。この実施形態では、シリンジ252及びフィルタ244は、それぞれ、いくつかの構成要素を有する本体を備えることができる。シリンジ252は、バーブ234、ボルト236、ネジセグメント238及びテーパーセグメント240を備える。シリンジ252をボア216の1つの内部に配置するために、テーパーセグメント240は、ハウジング202のチューブ端部204を介して嵌合部218内に配置される。その後、シリンジ252を、ボルト236を把持することによって回転させ、ネジセグメント238を嵌合部218の内面に係合させる。シリンジ252は、ボルト236がチューブ端部204の表面と接触しているときにボア216内に適切に配置されるため、シリンジ252がボア216内で固定される。
【0058】
この実施形態では、シリンジ252及びフィルタ244は分離可能であるが、所定の実施形態では、これらの部材は、単一の構成要素を備えることができる。さらに、バーブ234、ボルト236、ネジセグメント238及びテーパーセグメント240は、この順にシリンジ252に沿って配置されているが、これらの部材は、本発明に係るボア216及び/又はハウジング202の別の実施形態に対応するように別の方法で配置できる。例えば、所定の実施形態では、ボルト236をネジセグメント238の下に配置することができ、それによってシリンジ252を係合端部206からボア216内に配置することができる。同様に、所定の実施形態では、ネジセグメント238は、シリンジ252をボア216内で固定するために、溝又はテーパーなどの他の特徴を備えることができる。さらに別の実施形態では、シリンジ252及びフィルタ244の様々な特徴は、例えばハウジング202の一部として成形でき、それによって、チャンネル232は、ハウジング202の一体部品となる。様々な実施形態が本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0059】
上記のように、各雄ポート230は、2つの別個のピース、シリンジ252及びフィルタ244を備えることができる。フィルタ244は、例えばルアー式の接続(例えば、ルアースリップ又はルアーロックなど)、ネジ又は係合の他の形態を使用することによってシリンジ252と係合するように構成できる。この実施形態では、フィルタ244は、受容部246、チャネル232内に配置されるフィルタ部材248及び段部250を備える。受容部246内におけるチャネル232の部分は、シリンジ252のテーパーセグメント240を受容するようにテーパーがついていてもよい。このように、フィルタ244をシリンジ252に固定するために、フィルタ244は、ボア216の開口部220内に配置され、それによって、フィルタ244の受容部246は、シリンジ252のテーパーセグメント240を受け入れる。次いで、フィルタ244をシリンジ252に押し付け、摩擦によってフィルタ244をシリンジ252に固定し、液密シールを生じさせる。
【0060】
この実施形態では、フィルタ244は、チャネル232内に配置されるフィルタ部材248を備える。フィルタ部材248は、疎水性フィルタ及びPTFEフィルタなどの任意の種類のフィルタを含むことができる。このように、フィルタ244は、空気及び他のガスの通過を可能にするが、水及び他の流体の通過を防止することができる。また、フィルタ244のサイズ、形状及び種類は、所望の流量又は他のパラメーターに依存して変更できる。例えば、この実施形態では、フィルタ244は、9個の4mm0.45μmPTFEフィルタ及び1個の13mm0.45μmPTFEフィルタを備える。単一の13mm直径フィルタを、真空ポート242に接続された真空ラインのために使用することができ、これは、より高い空気流量の恩恵を受けることができる。フィルタは、例えば、EMDミリポア社から市販されているMillex(商標)シリンジフィルタを含むことができる。しかしながら、所定の実施形態では、フィルタ244はフィルタ部材248を欠いているため、気体又は液体の通過を可能にすることができる。
【0061】
この実施形態では、フィルタ244は交換可能である。いくつかの実施形態では、フィルタは、フィルタ244のそれぞれを取り出し、新しいセットに置き換えることにより交換できる。所定の実施形態では、フィルタは、例えば、機械的手段を使用した取り出し及び新しいセットとの交換によって交換できる。同様に、所定の実施形態では、フィルタ244は、例えば、対応するシリンジのテーパー部のそれぞれを受容するように適切に間隔をあけたフィルタ244のアレイ上にコネクタ200を配置することによって同時に装着できる。しかしながら、さらなる実施形態では、フィルタ244は、コネクタ200に永久的に接続できる。様々な実施形態及び構成は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0062】
コネクタ200は、チューブ30のいずれかの側、例えばマニホールド又は制御装置上に配置できる対応するインターフェース260と係合するように構成される。例えば、
図1の制御装置40などの制御装置は、コネクタ200を受け入れるように構成されたインターフェース260をさらに備えることができる。
図13A〜B及び
図14に示す実施形態では、インターフェース260は、複数の雌ポート280を備え、これらは、コネクタ200の雄ポート230を受け入れ、雌ポート280及び雄ポート230を流体連通状態にする。各雌ポート280は、空気制御装置40のチャンネル286と連通する開口部284の上方に位置するシール282を備える。各チャネル286は、雌ポート280に液体、気体その他の物質を供給するように構成できる。図示した実施形態では、各チャネル286は、制御装置40から可変空気圧を供給するように構成される。したがって、コネクタ200の雄ポート230がインターフェース260の雌ポート280と連通すると、雄ポート230のチャネル232は、制御装置40のチャネル286と連通する。したがって、チューブ30は、コネクタ200を介して制御装置40のチャネル286と流体連通する。
【0063】
シール282を使用して各雌ポート280、それに応じて各チャネル化286を互いに流体分離する。シール282は、パネル262によって保持できる。図示した実施形態では、パネル262は、雌ポート280のそれぞれのための開口と、開口部264とを備える。所定の実施形態では、シール282は、雌ポート280の開口284内に画定された溝内に配置でき、これはパネル262を補完し又は置き換えることができる。シール282は、例えばOリングを備え、これは低い挿入力を可能にするために「U」字型断面をさらに備えることができる。
【0064】
図12A及び13Aに示される実施形態では、コネクタ200は、最初に制御装置40のインターフェース260から分離され係合解除されてもよい。
図12B及び3Bの実施形態で示すように、コネクタ200は、係合端部206がインターフェース260と接触したときにインターフェース260に係合し、それによって、コネクタ磁石212を有する支柱210が受容磁石266を有する対応する開口264に入り、このようにインターフェース260にコネクタ200を固定する磁力を使用する。コネクタ200をインターフェース260に係合させると、それぞれの雄ポート230が対応する雌ポート280にさらに入り、それによって各ガスラインチューブ30のそれぞれが制御装置のチャネル286と流体連通して配置される。また、各シール282は、対応するフィルタ244の段部250と接触した状態で配置され、各チャンネル286間の流体連通を実質的に防止する。したがって、制御装置40は、下流の対応するマニホールドに真空を含めた正確なレベルの可変圧力を供給して、微小流体プレート内での微小流体プロセス又は実験を制御することができる。
【0065】
空気コネクタ150と同様に、空気コネクタ200は、洗浄のしやすさ、マニホールド及びチューブの輸送、オペレータワークフローの減少、自動化に適用可能なこと、不完全なシールの識別といった様々な利点が得られる。さらに、単一のコネクタ200内において複数のフィルタ244を使用することには、フィルタ244の全てを、各フィルタを個別的に取り外すのではなく、コネクタを係合解除しながら制御装置から同時に取り外すことができる点で重要な利点がある。したがって、コネクタ200は、制御装置に迅速でほぼ自動的な接続を与える。
【0066】
また、チューブ30と制御装置40との間にある取り外し可能コネクタ200において疎水性フィルタなどのフィルタ244を使用することには、追加の利点がある。例えば、液体がチューブ30を通ってマニホールド120から逆流する場合には、フィルタ244は、液体がチャネル286に入らないようにし、制御装置40が潜在的に害される又は汚染されるのを防ぐ。また、フィルタ244を使用して、
図4A〜Bのチューブ30に装着された微小流体プレート100及びマニホールド120などのチューブ30及び下流マニホールド及び微小流体プレートの汚染を防止することもできる。さらに、スリップ、ネジ又は取り外し可能な接続の他の形態を使用するフィルタ244を単回使用して、コネクタ200が制御装置40のインターフェース260に固定されるたびに汚染されないようにするのに役立つ。
【0067】
また、複数のフィルタ244を取り入れたコネクタ200は、マニホールド120とチューブ30の両方を効率的に洗浄するためにも使用できる。微小流体装置の空気制御に関連したガスライン及びチューブの従来の洗浄方法は、典型的には、シリンジに洗浄液を吸引させ、次に個々のラインに洗浄液を注入することを伴う。これに対し、制御装置40は、チューブ30に、過酸化水素などの洗浄液を吸引し、それによってチューブ30を含むガスラインの全てを同時に洗浄するように構成できる。
【0068】
微小流体洗浄プレート及び使用方法
図15〜17は、本発明の実施形態に従ってマニホールド及びチューブを洗浄するための洗浄プレート300を示す。洗浄プレート300は、PDMS、成形プラスチックなどの様々な材料を含むことができる。洗浄プレート300は、
図2の微小流体プレート100などの対応する微小流体プレートと同様の寸法を有する。したがって、
図17に示す実施形態では、
図4A−Bのマニホールド120などのマニホールドを、洗浄プレート300と流体連通するように洗浄プレート300にわたって配置でき、同じように、マニホールド120は、微小流体プレート100に配置され、流体連通するであろう。さらに、制御装置は、真空チャネルを介して洗浄プレート300に真空を与えてマニホールドをプレートに封止することができる。
【0069】
図15〜16に示される実施形態では、洗浄プレート300は、洗浄プレート300の表面304から立ち上がる側壁302をさらに備える。マニホールドがプレートに密封されると、側壁302はマニホールドに接触する。洗浄プレート300は、複数のウェルを備えることができ、該ウェルは、図示した実施形態では、中央ウェル306と、ガスラインウェル308と、真空ラインウェル310とを備える。中央ウェル306及びガスラインウェル308には過酸化水素溶液、アルコール溶液などの洗浄液を充填することができる。洗浄プレート300は、複数の洗浄液チャネル312をさらに備える。
図16の洗浄プレート300にわたって位置合わせされた
図5のマニホールド120を示す
図17に示された実施形態では、ガスラインウェル308及び真空ラインウェル310は、それぞれ、マニホールド120のガス環境チャネル128及び真空チャネル130のための出口の下に配置されている。同様に、洗浄液チャネル312もマニホールド126のチャネル出口の下に配置されている。
図15〜16を参照すると、洗浄液チャネル312は、開口314をさらに備え、該開口は、中央ウェル306と流体連通する複数の移送チャネル316と流体連通した状態にある。この実施形態では、移送チャネル316は、中央ウェル306の基部における4つのキャビティと、該基部から立ち上がりかつ洗浄液チャネル312内の開口314と連通する内部チャネル(図示しない)とを備える。
【0070】
この実施形態では、中央ウェル306、ガスラインウェル308及び洗浄液チャネル312の側壁は、洗浄プレート300の側壁302と同じ高さにまで立ち上がっているため、マニホールド120がプレートに封止されたときに互いに流体的に分離される。これに対し、真空ラインウェル310の側壁は、プレートの表面304にまで立ち上がっているにすぎない。したがって、マニホールドを洗浄プレート300に封止するために(
図17に示される実施形態において)、マニホールドをプレートにわたって位置合わせしてその上面に置き、そしてプレートに対して押し下げる。その後、マニホールド120と連通する真空ラインを作動させる。真空ラインを作動させることで、表面304と、側壁302と、中央ウェル306、ガスラインウェル308及び洗浄液チャネル312の側壁との間の空間に真空を生じさせてマニホールド120をプレートに封止させる。
【0071】
マニホールド120が洗浄プレート300に封止されたら、洗浄シーケンスを実行することができ、これは、洗浄プレート120のウェルに入れられた洗浄液を、マニホールド及びマニホールド120と
図1の制御装置40などの制御装置と間のチューブに吸引する。まず、中央ウェル306及びガスラインウェル308に洗浄液を充填することができる。その後、マニホールド120を洗浄プレート300に配置し、そして洗浄プロトコルを制御装置40で作動させることができる。制御装置は、マニホールド120内のチャネルのそれぞれに負圧を与える。負圧は、洗浄液を中央ウェル306から移送チャネル316に洗浄液チャネル312を介して吸引し、そしてマニホールド126の出口に吸引する。同様に、ガスラインウェル308から洗浄溶液をマニホールドのガス環境チャンネル128用の出口に吸引する。洗浄溶液がマニホールド120のチャネルを横断すると、洗浄溶液はチューブ30に入り続け、それによってチューブ30を備えるガスラインのそれぞれを洗浄する。最後に、洗浄溶液は、コネクタ200のフィルタ244によって停止され(
図12A〜Bの実施形態に示されるように)、それによってチューブ30、マニホールド120及び中間部品の全長を最大限に洗浄する。さらに、フィルタ244が洗浄液の流れを停止させるため、コネクタ200は、洗浄プロトコルの結果としての制御装置40に対する損傷の危険性を最小限に抑える。
【0072】
洗浄プロセスが完了したら、洗浄液を洗浄プレート300に戻すように逆にすることができる。その後、マニホールド120を洗浄プレート300から切り離すことができる。そのときに、マニホールドは、実験のために微小流体プレートへの装着に使用する準備ができている。コネクタ200のフィルタ244が使い捨ての場合には、これらを交換できる。
【0073】
さらに、上記実施形態及び本発明の様々な特徴を互いに組み合わせて様々な空気コネクタ、空気マニホールド、微小流体プレート、洗浄プレート、微小流体制御及び分析システムを形成することができることに留意すべきである。本発明は、ここに記載した特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、当業者であれば、本発明の他の様々な実施形態及び改変は、ここに記載したものに加え、上記説明及び添付図面から明らかであろう。したがって、このような他の実施形態及び改変は、本発明の範囲内にあるものとする。さらに、本発明は特定の目的のために特定の環境における特定の実施の文脈で説明してきたが、当業者であれば、その有用性はそれに限定されず、しかも本発明は任意の目的のために任意の環境で有益に実施できるが分かるであろう。したがって、特許請求の範囲は、ここで説明した本発明の全範囲及び精神に鑑みて解釈すべきである。