特許第6283389号(P6283389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283389
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】真核生物種の同定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20180208BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20180208BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
   G01N33/68
【請求項の数】19
【全頁数】54
(21)【出願番号】特願2016-75351(P2016-75351)
(22)【出願日】2016年4月4日
(62)【分割の表示】特願2014-96265(P2014-96265)の分割
【原出願日】2008年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-129518(P2016-129518A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】504011519
【氏名又は名称】中村 郁郎
(73)【特許権者】
【識別番号】592156161
【氏名又は名称】森泉 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】中村 郁郎
【審査官】 福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】 Breeding Science,2008年 3月26日,Vol.58,pp.71-75
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真核生物のPolA1タンパク質に存在する種に特異的な変異を示すアミノ酸配列であるPtag配列の同定方法であって、
(a)PolA1タンパク質のアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有する第1の領域を特定すること、
(b)PolA1タンパク質のアミノ酸配列において、配列番号2のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有する第2の領域を特定すること、
(c)PolA1タンパク質のアミノ酸配列において第1の領域第2の領域に挟まれた300残基以上のアミノ酸配列をPtag配列と同定すること、
を含む方法。
【請求項2】
PolA1タンパク質のアミノ酸配列がデータベースから得られたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の領域が配列番号1のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有し、第2の領域が配列番号2のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
真核生物のPolA1タンパク質に存在する種に特異的な変異を示すアミノ酸配列であるPtag配列をコードする塩基配列であるNtag配列の同定方法であって、
(a)請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方法によりPtag配列を同定すること、
(b)Ptag配列をコードする塩基配列をNtag配列と同定すること、
を含む方法。
【請求項5】
データベースを検索してPtag配列をコードする塩基配列を特定し、Ntag配列と同定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
真核生物のPolA1タンパク質に存在する種に特異的な変異を示すアミノ酸配列であるPtag配列をコードする塩基配列であるNtag配列を増幅できるプライマーの作成方法であって、
(a)真核生物のPolA1タンパク質のアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有する第1の領域、配列番号2のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有する第2の領域を特定すること、ただし、PolA1タンパク質のアミノ酸配列において第1の領域第2の領域の間のアミノ酸数は300残基以上である、
(b)第1の領域および第2の領域をそれぞれコードするPolA1遺伝子のDNA領域の塩基配列に基づいてプライマーを作成すること、
を含む方法。
【請求項7】
真核生物のPolA1タンパク質に存在する種に特異的な変異を示すアミノ酸配列であるPtag配列をコードする塩基配列であるNtag配列の同定方法であって、
(a)請求項6に記載の方法により、該真核生物と近縁の種の真核生物のNtag配列を増幅できるプライマーを作成すること、
(b)該プライマーを用い、Ntag配列を同定しようとする真核生物より調製したDNAを鋳型として、PCRにより増幅産物を得ること、
(c)該増幅産物の塩基配列を決定すること、
を含む方法。
【請求項8】
真核生物のPolA1タンパク質に存在する種に特異的な変異を示すアミノ酸配列であるPtag配列の同定方法であって、
(a)請求項7に記載の方法により、真核生物のNtag配列を同定すること、
(b)該Ntag配列にコードされるアミノ酸配列をPtag配列と同定すること、
を含む方法。
【請求項9】
該真核生物と近縁の種の真核生物が同じ科の真核生物である、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該真核生物と近縁の種の真核生物が同じ属の真核生物である、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該真核生物と近縁の種の真核生物が同じ種の真核生物である、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
真核生物の試料が特定の種または亜種の真核生物と同一の分類区分であるかどうかを判別する方法であって、
(a)請求項1ないし請求項3および請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の方法により、真核生物のPtag配列を同定すること、
(b)該Ptag配列を、特定の種または亜種のPolA1タンパク質のアミノ酸配列と比較すること、
(c)該特定の種または亜種のPolA1タンパク質が該Ptag配列と一致するアミノ酸配列を含む場合に、該試料が該種または亜種と同一の分類区分であると判定すること、
を含む方法。
【請求項13】
真核生物の試料の種または亜種の分類区分を判別する方法であって、
(a)請求項1ないし請求項3および請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の方法により、真核生物のPtag配列を同定すること、
(b)該Ptag配列を、データベースに登録されたPolA1タンパク質のアミノ酸配列と比較すること、
(c)該Ptag配列と一致するアミノ酸配列を含むPolA1タンパク質を有する種または亜種がデータベース中に見出された場合に、該試料が該種または亜種と同一の分類区分のものであると判定すること、
を含む方法。
【請求項14】
真核生物の分子系統解析の方法であって、
(a)請求項1ないし請求項3および請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の方法により、複数の真核生物のPtag配列を同定すること、
(b)該Ptag配列を比較することにより、Ptag配列の系統樹を作成すること、
(c)該系統樹を用いて、真核生物の個体または分類区分の類縁関係を推定すること、
を含む方法。
【請求項15】
分類区分が種または属である、請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
真核生物の種を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)真核生物の試料より調製したDNAを鋳型としてRNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)の特定DNA領域を増幅する工程、ここにおいて、該特定DNA領域は、該遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する配列番号1のアミノ酸領域若しくは配列番号1のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有する領域、及び配列番号2のアミノ酸領域若しくは配列番号2のアミノ酸配列と40%以上の同一性を有する領域の2つの領域に挟まれたアミノ酸配列をコードするDNA領域であって、2つの領域の間のアミノ酸数が300残基以上である、
(ii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iii)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【請求項17】
真核生物がペチュニア属ではない、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
真核生物が真菌である、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
真核生物がフザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)である、請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真核生物種の同定方法に関する。より詳しくは本発明は、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子と略称することがある)の特定DNA領域の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を指標として解析することを特徴とする真核生物種の同定方法に関する。さらに詳しくは本発明は、試料から得られるDNAを鋳型とし、RNAポリメラーゼI 最大サブユニットのC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列をコードするDNA領域を、該2つの領域をそれぞれコードする塩基配列に基づいて作成したプライマーを用いて増幅し、生成した増幅産物の塩基配列にコードされるアミノ酸配列を決定し、該決定されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較することにより、試料である真核生物の種を同定することを特徴とする真核生物種の同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球上の生物には、300-1000万の種が記載されており、実際にはこの10倍以上の種があると推定されている。生物の種の学名(Scientific name)は、リンネ(Carl von Linne)が確立した形態的な特徴に基づく2命名法(属名と種小名)で記載され、体系化されてきた。その後約250年、遺伝学や分子生物学などの学問が著しく進展し、生物種の類縁関係を詳細に解析することができるようになったにも関わらず、リンネの2命名法に代わる新しい生物の種の分類方法は未だ確立されていない。
【0003】
リンネの2命名法では、生物の種は、外部形態の差異に基づいて識別されているので、それぞれの生物の専門家でないと種の同定ができない場合が多い。また、分類学者により種の分類の基準が異なっている。さらに、形態分類学を専門とする研究者の数は著しく減少しているのが現状であるので、近い将来に形態に基づいて種を同定できない事態が充分に起こりえると予想される。
【0004】
近年、DNA解析技術の進展に伴い、生物の種や系統をDNA塩基配列により特徴づけようとする研究が盛んに行われている(非特許文献1)。本発明者達は、葉緑体DNA上のrpl16とrpl14遺伝子間領域が植物の類縁関係と良く対応することを見出し、この領域の配列をプラスティド サブタイプ アイデンティティー(Plastid subtype identity、PSID)配列と命名した(非特許文献2)。このPSID配列は、100〜300塩基程度と短いが、植物の属や種を鑑定するために有効である(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8)。最近、ハーバートらは、ミトコンドリアのチトクロームcオキシダーゼI(cytochrome c oxydase I、CO1)遺伝子の塩基配列を用いて、全生物の種を識別しようとする試み(DNAbarcoding)を提唱した(非特許文献9および非特許文献10)。CO1遺伝子を用いたDNA barcodingは、昆虫(非特許文献11)、鳥類(非特許文献12)、魚類(非特許文献13)、紅藻(非特許文献14)、菌類(非特許文献15)など多くの生物で報告があり、生物分類学におけるルネスサンスとの評価もある(非特許文献16)。
【0005】
これに対し、植物ではCO1遺伝子の進化速度が遅いために、葉緑体DNAの遺伝子配列を用いたDNA barcodingが提案されている(非特許文献17および非特許文献18)。また、ミトコンドリアおよび葉緑体DNAは、細胞質遺伝により伝達されるので、植物に多く存在する種間雑種および複2倍体種を識別することは不可能である。さらに、ミトコンドリアDNA断片の核ゲノムへの移行が動物(非特許文献19)、植物(非特許文献20)などで報告されているので、CO1遺伝子を用いたDNA barcodingに批判的な意見も多い(非特許文献21および非特許文献22)。このため複数の核遺伝子を用いたDNA barcodingも検討されている(非特許文献23および非特許文献24)。
【0006】
さまざまな生物において種を分類するために有効なDNA塩基配列として、リボソームRNA(rRNA)遺伝子が知られている(非特許文献25および非特許文献26)。原核生物の属や種の同定には、16Sおよび23S rRNA遺伝子の塩基配列が有効であることが知られている(非特許文献27)。一方、真核生物では、rRNA遺伝子の相同性が高いので、18S rRNAと5.8S rRNA遺伝子の間のITS1(internal transcribed spacer 1)領域および5.8S rRNAと28S rRNA遺伝子の間のITS2領域の塩基配列が属や種の同定に有効であることが報告されている(非特許文献28)。これに対し、真核生物のrRNA遺伝子は、数百個のコピーが直列および散在して核ゲノム中に存在し、種内変異を示すので、属や種を識別するためには適していないとの報告もある(非特許文献29)。
【0007】
そこで、核ゲノムに1〜数コピー含まれるユニークな遺伝子を対象とする研究も行なわれている。たとえば、グリセロール−3−ホスフェート アシルトランスフェラーゼ(Glycerol-3-phosphateacyltransferase、非特許文献30)、アルコール デヒドロゲナーゼ(Alcohol dehydrogenase、非特許文献31)、グルタミンシンテターゼ(Glutamine synthetase、非特許文献32)などのような重要な機能を持つハウスキーピング遺伝子は、すべての生物に含まれているので、種の特定および類縁関係の推定に有効である。しかし、それぞれの酵素活性に影響を与えない領域のみで変異が起こるために、遠縁の種間では、類縁関係と対応しない場合が知られている(非特許文献33)。
【0008】
一般に生物の種分化を解明するためには、ゲノムに含まれている多数のDNAマーカーを解析し、分子系統樹を作成することが常識になっている。そこで、この分子系統樹を種名にしようとするフィロコード(Phylocode)という考え方が提案されている(非特許文献34および非特許文献35)が、すべての種および系統について多数のDNAマーカーを解析するためには多額の費用が必要になる。また、すべての真核生物において多数の共通するDNAマーカーを用いて解析することは困難であると思われる。さらに、Phlylocodeは、従来の2命名法による分類体系および知識の集積とは完全に独立した概念であることも問題となっている(非特許文献36)。
【0009】
【非特許文献1】ゴッドフレイ(Godfray,H. C.)「Challenges for taxonomy」、ネイチャー(Nature)、2002年、第417巻、p.17-19。
【非特許文献2】ナカムラ(Nakamura,I)ら、「A proposal for identifying the short ID sequencewhich addresses the plastid subtype of higher plants」、ブリード サイエンス(Breed Science)、1998年、第47巻、p.385-388。
【非特許文献3】ホソカワ(Hosokawa,K.)ら、「Discrimination among three species of medicinalScutellaria plants using RAPD markers.」、プランタ メディカ(PlantaMedica)、2000年、第66巻、p.270-272。
【非特許文献4】ホソカワ(Hosokawa,K.)ら、「The sequences of the plastid gene rpl16 and therpl16-rpl14 spacer region allow discrimination among six species ofScutellaria.」、ジャーナル オブ エスノファーマコロジー(Journal ofEthnopharmacology)、2005年、第99巻、p.105-108。
【非特許文献5】イシカワ(Ishikawa,R.)ら、「Different maternal origins of Japanese lowlandand upland rice populations.」、セオレティカル アンド アプライド ジェネティクス(Theoretical and Applied Genetics)、2002年、第104巻、p.976-980。
【非特許文献6】イシカワ(Ishikawa,R.)ら、「Origin of cytoplasm substituted rice cultivarsfound in Japan.」、セオレティカル アンド アプライド ジェネティクス(Theoreticaland Applied Genetics)、2002年、第105巻、p.608-613。
【非特許文献7】オオタ(Ohta,S.)ら、「Genetic characterization of flowering cherries(Prunus subgenus Cerasus) using rpl16-rpl14 spacer sequences of chloroplastDNA.」、ザ ジャパニーズ ソサエティ フォー ホーティカルチュラル サイエンス(The JapaneseSociety for Horticultural Science)、2006年、第75巻、p.72-78。
【非特許文献8】オク(Oku, T.)ら、「Hybridization between chocolate cosmos and yellow cosmos confirmedby phylogenetic analysis using plastid subtype identity (PSID) sequences.」、ザ ジャーナル オブ ホルティカルチュラル サイエンス アンド バイオテクノロジー(The Journal of Horticultural Science & Biotechnolgy)、2008年、第83巻、p.323-327。
【非特許文献9】ハーバート(Herbert,P. D. N.)ら、「Biological identifications through DNAbarcodes」、プロシーディングス ロイヤル ソサエティ ロンドン B. バイオロジカル サイエンシズ(Proceedings Royal Society London. B. Biological Sciences)、2003年、第270巻、p.313-321。
【非特許文献10】ハーバート(Herbert,P. D. N.)ら、「Ten species in one: DNA barcoding revealscryptic species in the Neotropical skipper butterfly Astraptes fulgerator.」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、2004年、第101巻、p.14812-14817。
【非特許文献11】ハーバート(Herbert,P. D. N.)ら、「Barcoding animal life: cytochrome c oxidasesubunit 1 divergences among closely related species」、プロシーディングス ロイヤル ソサエティ ロンドン B. バイオロジカル サイエンシズ(Proceedings Royal SocietyLondon. B. Biological Sciences)、2003年、第270巻(追補1)、p.S96-S99。
【非特許文献12】ハーバート(Herbert,P. D. N.)ら、「Identification of birds through DNA DNAbarcodes.」、プロス バイオロジー(PLoS. Biology)、2004年、第2巻、p.e312。
【非特許文献13】ワーズ(Wards,R. D.)ら、「DNA barcoding Australia's fish species.」、、プロシーディングス ロイヤル ソサエティ ロンドン B. バイオロジカル サイエンシズ(Proceedings Royal SocietyLondon. B. Biological Sciences)、2005年、第274巻、p.1847-1857。
【非特許文献14】サウンダース(Saunders,G. W. )、「Applying DNA barcoding to red macroalgae: apreliminary appraisal holds promise for future applications.」、フィロソフィカル トランスアクション オブ ザ ロイヤル ソサエティ ロンドン B:バイオロジカル サイエンシズ(Philosophical Transactionof the Royal Society LondonB: Biological Sciences)、2005年、第360巻、p.1879-1888。
【非特許文献15】セイファート(Seifert,K. A.)ら、「Prospects for fungus identification using CO1DNA barcodes, with Penicillium as a test case.」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、2007年、第104巻、p.3901-3906。
【非特許文献16】ミラー(Miller,S. E.)、「DNA barcoding and the renaissance of taxonomy.」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、2007年、第104巻、p.4775-4776。
【非特許文献17】クレス(Kress,W. J.)、「Use of DNA barcodes to identify floweringplants.」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、2005年、第102巻、p.8369-8374。
【非特許文献18】タバーレット(Taberlet.P. E.)ら、「Power and limitations of the chloroplast trnL(UAA) intron for plant DNA barcoding.」、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、2007年、第35巻、第3号、e14。
【非特許文献19】サルマン(Thalmann,O.)ら、「Unreliable mtDNA data due to nuclear insertions:A cautionary tale from analysis of humans and other great apes.」、モレキュラー エコロジー(Molecular Ecology)、2004年、第13巻、p.321-335。
【非特許文献20】アダムス(Adams,K. L.)ら、「Intracellular gene transfer in action: Dualtranscription and multiple silencings of nuclear and mitochondrial cox2 genesin legumes.」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、1999年、第96巻、p.13863-13868。
【非特許文献21】ホイーラー(Wheeler,Q. D.)、「Losing the plot: DNA' barcodes' and taxonomy.」、クラディスティクス(Cladistics)、2005年、第21巻、p.405-407。
【非特許文献22】ルビノフ(Rubinoff,D.)ら、「Are plant DNA barcodes a search for the HolyGrail?」、トレンズ イン エコロジー アンド エヴォリューション(Trends in Ecologyand Evolution)、2006年、第21巻、p.1-2。
【非特許文献23】ダシャマパトラ(Dashamapatra,K. K.)ら、「DNA barcodes: recent successes and futureprospects」、ヘレディティ(Heredity)、2006年、第97巻、p.254-255。
【非特許文献24】ソネンバーグ(Sonnenberg,R.)ら、「An evaluation of LSU-rDNA D1-D2 sequences fortheir use in species identification」、フロンティアズ イン ズーロジー(Frontiersin Zoology)、2007年、第4巻、p.6。
【非特許文献25】ペース(Pace,N. I.)ら、「Ribosomal RNA phylogeny and the primary linesof evolutionary descent」、セル(Cell),1986年、第45巻、第3号、p.325-326。
【非特許文献26】ヨルゲンセン(Jorgensen,R.)ら、「Modes and tempos in the evolution of nuclearribosomal DNA: new characters for evolutionary studies and new markers forgenetic and population studies」、エンルズ オブ ザ ミズーリ ボタニカル ガーデン(Annals of the Missouri Botanical Garden)、1988年、第75巻、p.1238-1247。
【非特許文献27】ルドヴィグ(Ludwig,W.)ら、「Bacterial phylogeny based on 16S and 23S rRNAsequence analysis」、エフイーエムエス マイクロバイオロジー レビューズ(FEMSMicrobiology Reviews)、1994年、第15巻、第2-3号、p.155-173。
【非特許文献28】バロイン(Baroin,A.)ら、「Partial phylogeny of the unicellular eukaryotesbased on rapid sequencing of a portion of 28S ribosomal RNA」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、1988年、第85巻、第10号、p.3474-3478。
【非特許文献29】ラシュニグ(Luschnig,C.)ら、「Intraspecific length heterogeneity of therDNA-IGR in Arabidopsis thaliana due to homologous recombination」、プラント モレキュラー バイオロジー(Plant Molecular Biology)、1993年、第22巻、第3号、p.543-545。
【非特許文献30】タンク(Tank,D. C.)ら、「Phylogenetic Utility of theGlycerol-3-Phosphate Acyltransferase Gene: Evolution and Implications inPaeonia (Paeoniaceae)」、モレキュラー フィロジェネティクス アンド エヴォリューション(MolecularPhylogenetics and Evolution)、2001年、第19巻、第3号、p.421-429。
【非特許文献31】ヨコヤマ(Yokoyama,S.)ら、「Molecular Phylogeny and Evolutionary Rates ofAlcohol Dehydrogenases in Vertebrates and Plants」、モレキュラー バイオロジー アンド エヴォリューション(Molecular Biology and Evolution)、1993年、第10巻、第6号、p.1215-1226。
【非特許文献32】ペソール(Pesole,G.)ら、「Glutamine Synthetase Gene Evolution: A GoodMolecular Clock」、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシズ オブ ザ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカ(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United Statesof America)、1991年、第88巻、第2号、p.522-526。
【非特許文献33】デイホフ(Dayhoff,M. O.)、「Atlas of protein sequence and structure.」、ナショナル バイオメディカル リサーチ ファウンデーション(National Biomedical Research Foundation、MarylandUSA、1972年。
【0010】
【非特許文献34】ケイロス(Queiroz,K.)ら、「Phylogeny as a central principle in taxonomy:Phylogenetic definitions of taxon names」、システマティック ズーロジー(Systematic Zoology)、1990年、第39巻、p.307-322。
【非特許文献35】ケイロス(Queiroz,K.)ら、「Phylogenetic nomenclature and the PhyloCode.」、ブレチン オブ ズーロジカル ノーメンクラチャー(Bulletin of Zoological Nomenclature)、2001年、第58巻、p.254-271。
【非特許文献36】ベントン(Benton,M. J.)、「Stems, nodes, crown clades, and rank-freelists: is Linnaeus dead?」、バイオロジカル レビューズ(BiologicalReviews),2000年、第75巻、p.633-648。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
生物の種は、形態的な特徴の差異に基づき、リンネによって体系化された2命名法を用いて分類されている。分子生物学の進展にともない、多くの生物種の遺伝子やゲノム情報が得られているが、従来の形態による分類結果と照合することに終始している。もし、アミノ酸配列を用いて生物の種を特定することができれば、その同定、鑑定、分類などに大きく貢献することができると思われる。
【0012】
本発明の目的は、生物の同定、鑑定、分類などに有用な種の同定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一般に生物の種分化は、細胞質ゲノムよりも核ゲノムの働きにより生じていると考えられるので、種分化を解明するためには、半数体ゲノムの中に1コピーのみ含まれる遺伝子の塩基配列の変異を調査する方が良いと考えられる。また、種を特定するためには、全真核生物の核に含まれる遺伝子であることが望ましい。
【0014】
本発明者は、生命を維持するために必須であるリボソームRNA(rRNA)の合成に関与するRNAポリメラーゼI複合体の最大サブユニットであるRNAポリメラーゼI 最大サブユニットのC末端領域に、真核生物の種に特異的な変異を示すアミノ酸配列が存在することを見い出し、これに着目した。このアミノ酸配列は、2つの高度に保存されている領域に挟まれた約370アミノ酸残基からなり、約1.1kbの塩基配列によりコードされている。このアミノ酸配列および該アミノ酸配列をコードする塩基配列は、半数体ゲノムあたり1個ずつ決めることができるため、2倍体のみではなく、雑種や複2倍体種にも応用できるので、すべての真核生物の種を特定するための指標として利用できる。本発明は、本知見に基づいて達成したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、真核生物の種を同定する方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型としてRNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)の特定DNA領域を増幅する工程、ここにおいて、該特定DNA領域は、該遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列をコードするDNA領域である、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0016】
また本発明は、真核生物の種を同定する上記方法であって、PolA1遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域は、一方の領域が該タンパク質の第1175番目〜第1194番目のアミノ酸配列(配列番号1)で表される領域であり、かつ、他方の領域が該タンパク質の第1581番目〜第1596番目のアミノ酸配列で表される領域(配列番号2)であり、ここにおいて、この位置はアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)のPolA1遺伝子のアクセッション番号NM_115626の塩基配列によりコードされるタンパク質に関連して付けられていることを特徴とする方法に関する。
【0017】
また本発明は、真核生物の種を同定する上記方法であって、PolA1遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域は、一方の領域が配列番号1に記載のアミノ酸配列と40%以上の相同性を有し、かつ、他方の領域が配列番号2に記載のアミノ酸配列と40%以上の相同性を有し、さらに、該2つの領域の間のアミノ酸数が300残基以上であることを特徴とする方法に関する。
【0018】
また本発明は、真核生物の種を同定する上記いずれかの方法であって、PolA1遺伝子の特定DNA領域の増幅が、該遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域の一方の領域をコードする塩基配列に基づいて設計されたプライマーおよび他方の領域をコードする塩基配列に基づいて設計されたプライマーからなるプライマーセットを使用するポリメラーゼ連鎖反応により行われることを特徴とする方法に関する。
【0019】
また本発明は、真核生物の種を同定する上記いずれかの方法であって、PolA1遺伝子の部分領域の増幅が、下記プライマーセット群から選択される1セットまたは2セット以上を用いてポリメラーゼ連鎖反応により行われることを特徴とする方法に関する:
(1)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(2)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(3)配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(4)配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(5)配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(6)配列番号23に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号24に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(7)配列番号25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号26に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(8)配列番号27に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号28に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(9)配列番号29に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号30に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(10)配列番号31に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号32に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(11)配列番号33に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号34に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(12)配列番号35に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号36に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(13)配列番号37に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号38に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(14)配列番号39に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号40に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(15)配列番号41に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号42に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(16)配列番号43に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号44に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(17)配列番号45に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号46に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(18)配列番号47に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号48に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(19)配列番号49に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号50に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(20)配列番号51に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号52に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(21)配列番号53に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号54に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(22)配列番号55に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号56に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(23)配列番号57に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号58に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(24)配列番号59に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号60に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(25)配列番号61に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号62に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(26)配列番号63に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号64に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(27)配列番号65に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号66に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(28)配列番号67に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号68に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(29)配列番号69に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号70に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(30)配列番号71に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号72に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(31)配列番号73に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号74に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(32)配列番号75に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号76に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(33)配列番号77に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号78に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(34)配列番号79に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号80に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(35)配列番号81に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号82に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(36)配列番号83に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号84に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(37)配列番号85に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号86に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(38)配列番号87に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号88に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(39)配列番号89に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号90に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(40)配列番号91に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号92に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(41)配列番号93に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号94に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(42)配列番号95に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号96に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(43)配列番号97に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号98に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(44)配列番号99に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号100に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(45)配列番号101に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号102に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(46)配列番号103に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号104に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(47)配列番号105に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号106に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(48)配列番号107に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号108に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(49)配列番号109に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号110に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(50)配列番号111に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号112に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(51)配列番号113に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号114に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(52)配列番号115に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号116に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(53)配列番号117に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号118に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(54)配列番号119に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号120に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(55)配列番号121に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号122に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(56)配列番号123に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号124に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(57)配列番号125に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号126に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(58)配列番号127に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号128に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(59)配列番号129に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号130に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(60)配列番号131に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号132に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(61)配列番号133に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号134に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(62)配列番号135に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号136に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(63)配列番号137に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号138に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(64)配列番号139に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号140に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(65)配列番号141に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号142に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(66)配列番号143に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号144に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(67)配列番号145に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号146に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(68)配列番号147に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号148に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(69)配列番号149に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号150に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(70)配列番号151に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号152に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(71)配列番号153に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号154に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(72)配列番号155に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号156に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(73)配列番号157に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号158に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(74)配列番号159に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号160に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(75)配列番号161に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号162に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(76)配列番号163に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号164に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(77)配列番号165に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号166に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(78)配列番号167に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号168に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(79)配列番号169に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号170に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(80)配列番号171に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号172に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(81)配列番号173に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号174に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(82)配列番号175に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号176に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(83)配列番号177に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号178に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(84)配列番号179に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号180に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(85)配列番号181に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号182に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(86)配列番号183に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号184に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(87)配列番号185に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号186に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(88)配列番号187に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号188に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(89)配列番号189に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号190に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(90)配列番号191に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号192に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(91)配列番号193に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号194に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(92)配列番号195に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号196に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(93)配列番号197に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号198に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(94)配列番号199に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号200に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(95)配列番号201に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号202に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(96)配列番号203に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号204に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(97)配列番号205に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号206に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(98)配列番号207に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号208に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(99)配列番号209に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号210に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(100)配列番号211に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号212に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(101)配列番号213に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号214に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(102)配列番号215に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号216に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(103)配列番号217に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号218に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(104)配列番号219に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号220に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(105)配列番号221に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号222に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(106)配列番号223に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号224に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(107)配列番号225に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号226に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(108)配列番号227に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号228に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(109)配列番号229に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号230に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(110)配列番号231に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号232に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(111)配列番号233に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号234に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(112)配列番号235に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号236に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(113)配列番号237に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号238に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(114)配列番号239に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号240に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(115)配列番号241に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号242に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(116)配列番号243に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号244に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(117)配列番号245に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号246に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(118)配列番号247に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号248に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(119)配列番号249に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号250に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(120)配列番号251に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号252に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(121)配列番号253に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号254に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(122)配列番号255に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号256に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(123)配列番号257に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号258に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(124)配列番号259に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号260に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
(125)配列番号261に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号262に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセット、
【0020】
また本発明は、以下の工程を含むイネ種(Oryza sativa)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0021】
また本発明は、以下の工程を含むマコモ種(Zizania latifolia)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0022】
また本発明は、以下の工程を含むヒトツブコムギ種(Triticum monococcum)、オオムギ種(Hordeum vulgaris)、またはイヌムギ種(Bromuscatharticus)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0023】
また本発明は、以下の工程を含むペチュニア アキシラリス種(Petunia axillaris)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0024】
また本発明は、以下の工程を含むエドヒガンザクラ種(Cerasus pendula)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0025】
また本発明は、以下の工程を含むフザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)の同定方法に関する:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として配列番号21で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子の特定DNA領域の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を指標として解析することを特徴とする真核生物の種の同定方法を提供できる。本発明に係る種の同定方法において解析される特定DNA領域の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列は、RNAポリメラーゼI 最大サブユニットのC末端領域に存在する進化の過程で高い保存性を有する2つの領域間のアミノ酸配列である。さらに本発明により、真核生物の種の同定方法に有用なプライマーを提供できる。
【0027】
本発明に係る種の同定方法は、生物の同定、鑑定、分類などに有用である。
【0028】
RNAポリメラーゼI 最大サブユニットのC末端領域に存在する高い保存性を有する2つの領域間のアミノ酸配列および該アミノ酸配列をコードする塩基配列は、アミノ酸および塩基配列の単なる羅列ではなく、系統の類縁関係に関する情報も含んでいるので、新種の記載や品種特許などの判定に有効であるのみではなく、資源生物、希少生物、病害生物、食用生物、原料生物、実験生物などの管理、同定、鑑定、診断、調査に応用できる。特に、最近問題となっているジーンバンクでの生物系統のとり違いを防止するためのリファレンスとしても有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、真核生物の種を同定する方法に関する。本方法は、真核生物のRNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子にコードされるタンパク質のC末端領域に存在する真核生物の種に特異的な変異を示すアミノ酸配列を指標として種の同定を行うことを特徴とする。本明細書では、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子においてこのアミノ酸配列をコードする領域を、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子の特定DNA領域と称する。
【0030】
「真核生物の種の同定」とは、異なる種の真核生物を識別すること、および、同一種の真核生物の亜種を識別することのいずれも含む。「真核生物」とは、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる構造を有する生物のことをいい、動物、植物、菌類、原生生物などが含まれる。「種(species)」は、生物分類の基本単位であり属(genus)または亜属(subgenus)のすぐ下の区分をいう。一般的には、交配が可能であり、その結果子孫を残すことができる生物集団として定義され得る。「亜種(subspecies)」は、生物分類区分において種の下位区分をいう。植物の場合、亜種と品種は同義的に使用される。
【0031】
本発明に係る真核生物の種の同定方法は、下記工程を含む:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型としてRNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)の特定DNA領域を増幅する工程、ここにおいて、該特定DNA領域は、該遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列をコードするDNA領域である、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0032】
試料は、真核生物由来の試料であって核酸が含有されている試料であればいずれも使用できる。試料からのDNAの調製は、公知のDNA調製方法を使用して実施できる。例えば、全ゲノムDNAの調製は、CTAB(Cetyltrimethil ammmonium bromide)法(ドイル(Doyle, J. J.)ら、「A rapid DNA isolation procedure for small quantities of fresh leaftissue」、フィトケミカル ブレチン(Phytochemical Bulletin)、1987年、第19巻、p.11-15)やその改変法を用いて実施できる。また、cDNAの調製は、例えば、グブラーとホフマンの方法(グブラー(Gubler, U.)ら、「A simple and very efficient method for generating cDNA libraries」、ジーン(Gene)、1983年、第25巻、p.263-269)に開示された公知方法に従って行うことができる。
【0033】
「RNAポリメラーゼ 最大サブユニット1(POLA1と略称することがある)」は、生命を維持するために必須であるリボソームRNA(rRNA)の合成に関与するRNAポリメラーゼI複合体の最大サブユニットである。POLA1をコードする遺伝子をRNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(以下、PolA1遺伝子と略称することがある)と称する。
【0034】
「PolA1遺伝子の特定DNA領域」とは、POLA1のC末端領域に存在する真核生物の種に特異的な変異を示すアミノ酸配列をコードする領域である。
【0035】
PolA1遺伝子の特定DNA領域を本明細書においてNtagと称する。PolA1遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列をコードするDNA領域であり、約1.1kbからなる。
【0036】
NtagによりコードされるPOLA1のC末端領域に存在する領域をPtagと称する。Ptag配列は、POLA1のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列であり、300〜500アミノ酸残基からなる。Ptag配列は、真核生物の種に特異的な変異を示すアミノ酸配列である。
【0037】
Ptag配列を挟む進化の過程で保存性を有する2つの領域のうち、Ptag配列のN末端側に隣接する領域をPBL(Protein border sequence of left)と称し、Ptag配列のC末端側に隣接する領域をPBR(Protein border sequence of right)と称する。また、PBLおよびPBRをそれぞれコードするPolA1遺伝子のDNA領域をNBLおよびNBRと称する。PBL配列およびPBR配列にそれぞれ対応するNBL配列およびNBR配列もまた進化の過程で良く保存されている。
【0038】
Ptag配列を挟む進化の過程で保存性を有する2つの領域は、例えば、PBLはPOLA1の第1175番目〜第1194番目のアミノ酸配列(配列番号1)で表される領域であり、PBRは該タンパク質の第1581番目〜第1596番目のアミノ酸配列(配列番号2)で表される領域であり、ここにおいてこの位置はアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)のPolA1遺伝子のアクセッション番号NM_115626の塩基配列によりコードされるタンパク質に関連して付けられている。
【0039】
各真核生物のPOLA1におけるPBLおよびPBRは、例えばアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)のPolA1遺伝子によりコードされるタンパク質のPBLおよびPBR(それぞれ配列番号1および配列番号2)との相同性に基づいて特定できる。配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる領域をPBLと特定することができる。また、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、さらにより好ましくは70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなる領域をPBRと特定することができる。さらに、PBLとPBRとに挟まれたアミノ酸配列であるPtagのアミノ酸数が300〜500残基であることから、上記相同性に加えて、2つの領域のうち一方の領域と他方の領域との間のアミノ酸数が300残基以上、好ましくは300〜500残基である場合に、該2つの領域はPBLおよびPBRであると特定できる。例えば、ヒトのPBLおよびPBRは、それぞれ配列番号1に記載のアミノ酸配列と95%および配列番号2に記載のアミノ酸配列と69%の相同性を有する。鞭毛虫(Giardia)のPBLおよびPBRは、それぞれ配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%および配列番号2に記載のアミノ酸配列と63%の相同性を有する。マラリア原虫(Malaria)のPBLおよびPBRは、それぞれ配列番号1に記載のアミノ酸配列と70%および配列番号2に記載のアミノ酸配列と50%の相同性を有する。タイレリア原虫(Theileria)のPBLおよびPBRは、それぞれ配列番号1に記載のアミノ酸配列と85%および配列番号2に記載のアミノ酸配列と69%の相同性を有する。ネグレリア(Naegleria)のPBLおよびPBRは、それぞれ配列番号1に記載のアミノ酸配列と65%および配列番号2に記載のアミノ酸配列と56%の相同性を有する。
【0040】
Ptag配列およびNtag配列は、半数体ゲノムあたり1個ずつ決めることができるため、2倍体のみではなく、雑種や複2倍体種にも応用できるので、すべての真核生物の種を特定するための指標として利用できる。「半数体(haploid)」とは、1倍体または単相体ともいい、半数の染色体組しか持たない細胞または個体を意味する。成熟分裂によって生じた配偶子は、一組のゲノム染色体しか持たず、半数体である。「雑種」とは、遺伝学では、単に系統の異なる個体間の交配・交雑により生まれた生物をいう。「2倍体(diploid)」とは、基本数の2倍の染色体数をもつ細胞または個体をいう。また、ゲノムが明確な場合には同一のゲノムを2つ持つ個体をいう。「複2倍体(amphidiploid)」とは、2種類のゲノムを持つ異質4倍体をいう。
【0041】
各真核生物のPtag配列の決定は、ゲノムDNAあるいはcDNAの塩基配列においてPtag配列をコードするNtag配列を解読することにより行うことができる。Ntag配列の解読は、例えば、Ntagを増幅してそのシークエンスを行うことにより実施できる。
【0042】
Ntagの増幅は、遺伝子断片を増幅し得る公知技術を用いて実施でき、例えば該特定DNA領域を増幅し得るプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PolymeraseChain Reaction;PCRと略称する)により簡便に実施できる。PCRとは、DNAポリメラーゼによる反応を連続的、連鎖的に実行することにより、1セットのプライマーの間に挟まれるDNA断片を特異的に増幅する反応である。
【0043】
Ntag配列にコードされるアミノ酸配列が、PolA1遺伝子によりコードされるタンパク質のC末端領域に存在する進化の過程で保存性を有する2つの領域に挟まれたアミノ酸配列であるため、例えば、該2つの保存性を有する領域の一方の領域をコードする塩基配列に基づいて設計されたプライマーおよび他方の領域をコードする塩基配列に基づいて設計されたプライマーからなるプライマーセットを用いて、該2つの保存性を有する領域間のNtag配列を増幅できる。
【0044】
すなわち、NBL配列およびNBR配列に基づいて作成したプライマーセットを用いて、PCRによりNtagを増幅することができる。上述のように、NBL配列およびNBR配列のいずれもPBL配列およびPBR配列と同様に進化の過程で良く保存されているので、近縁の種で有効なプライマーを、NBLおよびNBR配列に基づいて設計して利用することにより、Ntag配列のPCR増幅およびシークエンスを行うことが可能である。
【0045】
増幅産物の塩基配列の決定は、公知遺伝子工学的技術を用いて実施できる。例えば、市販のDNAシークエンサーなどを使用して簡便に実施できる。
【0046】
菌類と線虫では、Ntag配列の内部にイントロンが認められないため、cDNAのみならずゲノムDNAを鋳型としてNtag配列を含むDNA断片を増幅し、Ntag配列の解析を容易に実施できる。一方、動物、植物、昆虫などの真核生物においては、Ntag配列が複数のイントロンにより分断されている。生物種によってはイントロン内部にトランスポゾンなどが挿入され、イントロンが著しく長い場合があるので、ゲノムDNAを鋳型としてNtag配列を含むDNA断片を増幅してNtag配列を解析することは難しいことがある。このような場合、Ntag配列の解析は、cDNAを鋳型としてPCR法によりNtagを増幅し、ダイレクトシークエンス法を用いて塩基配列を解読することにより実施できる。
【0047】
増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列、すなわちPtag配列は、得られた増幅産物の塩基配列から容易に決定できる。
【0048】
増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列は、真核生物の既知POLA1のアミノ酸配列と比較される。アミノ酸配列の比較は、コンピュータデータベースを利用して実施できる。このようなコンピュータデータベースとしてNCBIのpblastn ウェブサーバー(アルトシュル(Altschul, S. F.)ら、「Basic local alignmentsearch tool」、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Journal ofMolecular Biology)、1990年、第215巻、p.403-410)や、国立遺伝学研究所のDDBJのClustal W(トンプソン(Thompson, J. D.)ら、「CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiplesequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penaltiesand weight matrix choice」、ヌクレイック アシッズ リサーチ(NucleicAcids Research)、1994年、第22巻、第22号、p.4673-4680)を例示できる。
【0049】
アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列を含むPOLA1がタンパク質データベースやDNAデータベース中に見出されれば、該POLA1を有する真核生物種または亜種が、増幅されたDNA断片が由来した真核生物種または亜種であると判定できる。
【0050】
例えば、本発明に係る真核生物種の同定方法において、試料が特定の種または亜種の真核生物であるかどうかを判別する場合、該特定の種または亜種のNtag配列を増幅できる1対のプライマーを用いて、該試料から抽出した核酸を鋳型として増幅反応を行う。得られたDNA断片の塩基配列を決定し、該DNA断片にコードされるアミノ酸配列を、該特定の種または亜種のPOLA1のアミノ酸配列と比較する。該DNA断片にコードされるアミノ酸配列と、該特定の種または亜種のPOLA1のアミノ酸配列とが一致すれば、試料が該特定の種または亜種の真核生物であると判定できる。
【0051】
また例えば、本発明に係る真核生物種の同定方法において、試料である植物の種または亜種を判別する場合、植物のNtag配列を増幅できるプライマーを1種または2種以上用いて、該試料から抽出した核酸を鋳型として増幅反応を行う。得られたDNA断片の塩基配列を決定し、該DNA断片にコードされるアミノ酸配列を、タンパク質データベースやDNAデータベースに登録された植物のPOLA1のアミノ酸配列と比較する。該DNA断片にコードされるアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を含むPOLA1を有する種または亜種のが検索したデータベース中に見い出されれば、該試料は該特種または亜種の植物であると判定できる。
【0052】
一方、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列を含むPOLA1が、タンパク質データベースやDNAデータベースに見い出されない場合は、増幅されたDNA断片が由来した真核生物種または亜種は新種である可能性があると判定できる。このような場合、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列について、分子系統解析を行うことにより、増幅されたDNA断片が由来した真核生物種または亜種がいずれの種または亜種であるかを予測することができる。「分子系統学的解析」とは、生物のもつタンパク質のアミノ酸配列や遺伝子の塩基配列を比較することにより、生物が進化してきた道筋(系統)を推定する(系統樹を作成する)方法である。分子系統解析は、例えば、MEGA4(タムラ(Tamura, K.)ら、「MEGA4: Molecular Evolutionary Genetics Analysis MEGA SoftwareVersion 4.0」、モレキュラー バイオロジー アンド エヴォリューション(MolecularBiology and Evolution)、2007年、第24巻、p.1596-1599)を用いて行うことができる。
【0053】
このように本発明に係る真核生物の種の同定方法は、上記(i)から(iv)の工程に加えて、さらに(v)解読されたアミノ酸配列に基づいて分子系統解析を行う工程を含むことができる。
【0054】
本発明に係る方法において、Ptag配列をコードするNtagの増幅に使用されるプライマーセットを以下に例示する。本方法は、これらのプライマーセットのうち、いずれか1セット、または2セット以上を用いて実施することができる。
【0055】
Ptag配列をコードするNtagの増幅に使用されるプライマーとして、具体的には、表1に示すプライマーを例示できる。表1に示す種(Species)のNtag配列は、第19エクソン、第20エクソン、および第21エクソンに亙ってコードされており、Ntag配列を挟むNBLおよびNBRはそれぞれ第19エクソンおよび第21エクソンに存在する。表1に示す19ex5Pおよび21ex3Pからなるプライマーセットは、表1に示される対応する種(Species)のNtagの増幅用プライマーとして使用できる。なお、表1の20ex5Piおよび20ex3Piは、表1に示す増幅用プライマーを用いて得られた増幅産物の配列決定に用いられるシーケンス用プライマーである。
【0056】
【表1】
【0057】
より具体的には、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットは、イネ科植物のイネ種(Oryza sativa)およびマコモ種(Zizania latifolia)のNtagの増幅に使用できる。配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットは、イネ科植物のヒトツブコムギ種(Triticum monococcum)、オオムギ種(Hordeum vulgaris)、およびイヌムギ種(Bromus catharticus)のNtagの増幅に使用できる。配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットは、ナス科ペチュニア属植物のペチュニア アキシラリス種(Petunia axillaris)のNtagの増幅に使用できる。配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットは、バラ科サクラ属植物のエドヒガンザクラ種(Cerasus pendula)のNtagの増幅に使用できる。
【0058】
また、Ptag配列をコードするNtagの増幅に使用されるプライマーセットとして、配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを例示できる。本プライマーセットは、植物病原菌のフザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)のNtagの増幅に使用できる。
【0059】
さらに、Ptag配列をコードするNtagの増幅に使用されるプライマーセットとして、表2-1、表2-2、表2-3、表2-4、表2-5、表2-6、および表2-7に示すプライマーセットを例示できる。表2-1、表2-2、表2-3、表2-4、表2-5、表2-6、および表2-7に示すプライマーの塩基配列に基づいて、さらに、増幅に好適なプライマーを設計することができる。
【0060】
これらプライマーの塩基配列はまた、近縁種すべてのNtag配列を増幅するような共通プライマー、特定の種のNtag配列のみを増幅するプライマー、感染している病原体のNtag配列のみを増幅するプライマー、作物の品種など遺伝子型の判定に用いるプライマーなどの設計に有用である。例えば、イネ科植物に属する種または亜種のNtag配列を種または亜種の選択性なく増幅するようなプライマーは、本発明に係る同定方法によるイネ科植物の種または亜種の同定に使用できる。イネ科植物のイネ属に属する種または亜種のNtag配列を種または亜種の選択性なく増幅するようなプライマーは、本発明に係る同定方法によるイネ属植物の種または亜種の同定に使用できる。イネ科植物のコムギ属に属する種または亜種のNtag配列を種または亜種の選択性なく増幅するようなプライマーは、本発明に係る同定方法によるコムギ属植物の種または亜種の同定に使用できる。イネ科植物のオオムギ属に属する種または亜種のNtag配列を種または亜種の選択性なく増幅するようなプライマーは、本発明に係る同定方法によるオオムギ属植物の種または亜種の同定に使用できる。
【0061】
表2-1、表2-2、表2-3、表2-4、表2-5、表2-6、および表2-7の5Pプライマーおよび3Pプライマーはそれぞれ各表に示される対応する種(Species)のNBL配列およびNBR配列に基づいて作成された。したがって、各表に示す5Pプライマーおよび3Pプライマーからなるプライマーセットを、該表に示される対応する種(Species)のNtagの増幅用プライマーとして使用できる。例えば、アジェロミセス カプスラタス(Ajellomyces capsulatus)のNtagの増幅用プライマーとして、配列番号23に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号24に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを挙げることができる。また、例えば、アスコスフェラ アピス(Ascosphaera apis)のNtagの増幅用プライマーとして、配列番号25に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号26に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを挙げることができる。
【0062】
【表2-1】
【0063】
【表2-2】
【0064】
【表2-3】
【0065】
【表2-4】
【0066】
【表2-5】
【0067】
【表2-6】
【0068】
【表2-7】
【0069】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、イネ種(Oryza sativa)の同定方法を例示できる。本発明に係るイネ種(Oryza sativa)の同定方法は、以下の工程を含む:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0070】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるイネ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該イネ種が含まれていると判定できる。後述する実施例に示すように、本方法により、イネのインド型と日本型の亜種を識別できた。
【0071】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、マコモ種(Zizania latifolia)の同定方法を例示できる。本発明に係るマコモ種(Zizania latifolia)の同定方法は、以下の工程を含む:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0072】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列がマコモ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該マコモ種が含まれていると判定できる。
【0073】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、ヒトツブコムギ種(Triticummonococcum)、オオムギ種(Hordeum vulgaris)、またはイヌムギ種(Bromus catharticus)の同定方法を例示できる。本発明に係るヒトツブコムギ種(Triticum monococcum)、オオムギ種(Hordeum vulgaris)、またはイヌムギ種(Bromus catharticus)の同定方法は、以下の工程を含む:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0074】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるヒトツブコムギ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該ヒトツブコムギ種が含まれていると判定できる。増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるオオムギ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該オオムギ種が含まれていると判定できる。また、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるイヌムギ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該イヌムギ種が含まれていると判定できる。
【0075】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、ペチュニア アキシラリス種(Petunia axillaris)の同定方法を例示できる。本発明に係るペチュニア アキシラリス種(Petunia axillaris)の同定方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0076】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるペチュニア アキシラリス種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該ペチュニア アキシラリス種が含まれていると判定できる。
【0077】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、エドヒガンザクラ種(Cerasus pendula)の同定方法を例示できる。本発明に係るエドヒガンザクラ種(Cerasus pendula)の同定方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として、配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号20に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0078】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるエドヒガンザクラ種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該エドヒガンザクラ種が含まれていると判定できる。
【0079】
本発明に係る真核生物種の同定方法として、フザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)の同定方法を例示できる。本発明に係るフザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)の同定方法は、以下の工程を含むことを特徴とする:
(i)試料からDNAを調製する工程、
(ii)該DNAを鋳型として配列番号21で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNAポリメラーゼI 最大サブユニット遺伝子(PolA1遺伝子)のDNA断片を増幅する工程、
(iii)得られた増幅産物の塩基配列を決定し、該塩基配列にコードされるアミノ酸配列を解読する工程、および
(iv)解読されたアミノ酸配列を、コンピュータデータベースに登録された真核生物のPolA1遺伝子のアミノ酸配列と比較する工程。
【0080】
上記アミノ酸配列の比較により、増幅されたDNA断片にコードされるアミノ酸配列があるフザリウム オキシスポラム種のPOLA1の部分配列と一致する場合、試料には該フザリウム オキシスポラム種が含まれていると判定できる。後述する実施例に示すように、本方法により、フザリウム オキシスポラム種のRace1-2とRace4を識別できた。
【0081】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0082】
(1)植物における3種類のRNAポリメラーゼ最大サブユニットの相同性の検討
アラビドプシスにおける3種類のRNAポリメラーゼ複合体、すなわちRNAポリメラーゼI複合体、RNAポリメラーゼII複合体、およびRNAポリメラーゼIII複合体のそれぞれの最大サブユニットであるPOLA1、POLB1、およびPOLC1と大腸菌のRNAポリメラーゼ複合体のβ’最大サブユニットとの相同性を比較した。
【0083】
その結果、全体的には相互に良く類似していたが、POLB1サブユニットのC末端には、特異的なCTR(C-terminalrepeat)配列が含まれていた。また、POLA1サブユニットは、他の2つのサブユニットに比べて、N末端およびC末端領域にそれぞれ約180個のアミノ酸配列の挿入が認められた(図1)。
【0084】
(2)植物のPOLA1サブユニットの比較
植物のPOLA1サブユニットの相同性を比較するために、イネのゲノムデータベースを検索して、PolA1遺伝子を同定した。イネのPolA1遺伝子は、約15kbの長さで、21個のエクソンに分断されており、1673アミノ酸残基(約188kDa)の大きなタンパク質をコードしている。
【0085】
イネとアラビドプシスの間でPolA1遺伝子の各エクソンにコードされるアミノ酸配列を比較したところ、図2に示したように、21個のエクソンの中で、15個では40%以上の高い相同性を示したが、前述したPOLA1サブユニットに特異的なN末端およびC末端領域の2つの挿入配列に相当する第4-5エクソンおよび第20エクソンにおいて、アミノ酸配列の相同性が有意に低いことが認められた。この第20エクソンは、植物のPolA1遺伝子において最も長いエクソンであった。
【0086】
(3)植物のPolA1遺伝子第20エクソンの比較
イネ科植物のマコモ、イヌムギ、オオムギ、一粒コムギ、ペチュニアおよびサクラについて、PolA1遺伝子の第20エクソンを含むDNA断片をPCR法により増幅し、ダイレクトシークエンス法により塩基配列を解析した。DNA断片の増幅およびシークエンスに用いたプライマーは、イネ、コムギ、トマト、アーモンドのEST(expression sequence tag)の塩基配列に基づいて設計した(表1)。
【0087】
また、DNAデータベースを検索して植物のPolA1遺伝子の第20エクソンの塩基配列を収集した。得られた13種の第20エクソンの塩基配列をアミノ酸配列に変換しMEGA4を用いて分子系統解析を行ったところ、植物の類縁関係に良く一致した変異を示すことが明らかになった(図3)。
【0088】
(4)Ptag配列の設定
すべての真核生物のPOLA1タンパク質のC末端領域のアミノ酸配列を比較するために、真菌類、線虫、昆虫、動物、植物の5つの分類群から全ゲノムの塩基配列が解読されている8種(Arabidopsis thaliana、Oryza sativa、Homo sapiens、Mus musculus、Xenopus laevis、Danio rerio、Caenorhabditis elegans、Saccharomyces cerevisiae)のPolA1遺伝子配列を検索し、POLA1タンパク質の間で高度に保存されているPBRおよびPBL配列を同定した。
【0089】
同定したPBRおよびPBL配列は、それぞれ約20残基および約16残基であった(図4)。この2つの保存配列の間のアミノ酸配列を真核生物の半数体ゲノムを特徴づけるためのPtag配列として設定した。これら8種のPtag配列を比較したところ、5つの分類群の間で相互に全く相同性が認められなかった。
【0090】
(5)真核生物のPolA1遺伝子の構造
異なる真核生物の分類群に属する代表的な生物種のPolA1遺伝子の構造を比較したところ、エクソンの構造が大きく異なっていることが明らかになった。図5に植物のPolA1遺伝子の第19から21エクソンに相当する領域における真菌類、線虫、昆虫、動物の遺伝子の構造を模式的に示した。この領域内には、植物で2個、線虫で3個、昆虫で4個、動物で8個のイントロンが存在するが、真菌類や原生生物では、イントロンが認められなかった。また、各分類群におけるエクソンの長さおよびイントロンの挿入位置は良く保存されているが、イントロンの長さはトランスポゾンなどの挿入・欠失のために種や系統によって大きく異なっていた。
【0091】
(6)Ntag配列およびPtag配列の解析
各生物のNtag配列は、NCBIなどのDNAデータベースにおいてPtag配列をクエリーとしてtblastnサーバーを用いて検索して収集した。収集した塩基配列をアミノ酸配列に変換してPBRおよびPBL配列を同定した。同定したPBRおよびPBL配列にそれぞれ対応するNBRおよびNBL配列を解析(図6)して、両者の間の塩基配列をESTデータベースと照合した。しかし、ほとんどの生物種で、全長のNtag配列を含むESTクローンが検出できなかったので、部分的なEST情報を利用してNtagおよびPtag配列を決定した。また、脊椎動物などにおいては、PolA1遺伝子とのアノテーションが添付されている塩基配列を用いてPtag配列を解析した。
【0092】
これまでに真菌類57種、昆虫18種、線虫2種、動物14種、植物15種、原生生物(その他の真核生物)14種の計120種のPtag配列を決めているが、Ptag配列の平均の長さは366残基であった。最も短いPtag配列を持っていたのは微胞子虫Encephalitozoon cuniculiの301残基であり、最も長いのはピロプラズマ原虫のBabesia bovisの457残基と大きく異なっていた(表3-1〜表3-7)。また、Ptag配列には、2種類の酸性アミノ酸(グルタミン酸とアスパラギン酸)が合計14〜25%含まれていた(表3-1〜表3-7)。普通のタンパク質の2つの酸性アミノ酸含量は、約9%であるので、このPtag配列における酸性アミノ酸の含量は異常に高い値であると思われる。このPtag配列が果たしている機能についてはまだ全く分からないが、酸性アミノ酸含量が高いことからDNA鎖への結合に関与している可能性が考えられる。また、全長Ptag配列をコードするDNA断片は、大腸菌のプラスミドを用いてクローニングすることができなかった。このことが酸性アミノ酸含量の高いことと関連するのかどうかは分からないが、全長のNtag配列を含むESTクローンがDNAデータベースから検出できないことと一致すると考えられる。さらに、Ptag配列は、普通のタンパク質には認められないユニークなアミノ酸配列を多数含んでいるので、合成ペプチド抗体を作製して、種の判定に応用することもできると考えられる。
【0093】
【表3-1】
【0094】
【表3-2】
【0095】
【表3-3】
【0096】
【表3-4】
【0097】
【表3-5】
【0098】
【表3-6】
【0099】
【表3-7】
【0100】
(7)真核生物のPtag配列により作成した分子系統樹
DNAデータベースより収集できたPtag配列の大半は真菌類のものである。この理由は、真菌類のNtag領域にはイントロンが含まれていないので、ジェノミックDNAの塩基配列から直接Ptag配列を決めることができたためである。各種のPtag配列を正確にアラインするために、Ptag配列の両端に共通(例えばイネ)のPBRおよびPBL配列を付加した。収集した120個のPtag配列のデータをClustal Wによりアラインし、MEGA4ソフトウエアに入力して、近隣距離結合法を用いて分子系統樹を作成した(図7-1および図7-2)。
【0101】
得られた分子系統樹において、真菌類、動物(線虫・昆虫・脊椎動物)および植物は、それぞれ3つの大きなグループを形成した。真菌類の子のう菌門(Ascomycota)に属する種は、Aspergillus属などの糸状菌グループ、分裂酵母(Shizosaccharomyces)属のグループ、出芽酵母(Saccharomycesis)属の単細胞性菌グループの大きく3つのグループに分けられた。Aspergillus属6種とNeosartorya(Aspergillus属のteleomorph)属の1種はひとつのクレードを形成するなど糸状菌グループ各種は従来の分類と良く一致していた。一方、酵母属グループにおいては、Saccharomyces属の2種とCandida属の1種が異なるクレードに含まれているなど従来の分類体系と異なる点がいくつか認められた。担子菌門(Basidiomycota)のLaccaria、Malassezia、Cryptococcus、Ustilago4属は、ひとつのクレードを形成した。また、ツボカビ門(Chitridiomycota)のBatrachochytrium属および接合菌門(Zygomycota)のRhizopus属は、Shizosaccharomyces属と同じクレードに属していたが、これは、供試系統が1種ずつであったためであると思われる。
【0102】
後生動物の多細胞化の起源とされる襟鞭毛虫(Monosiga brevicollis)は、真菌、動物、植物の共通祖先から分岐していた。ケイ藻類(Thalassiosira)は、疫病菌Phytophthora属3種と同じクレードに含まれていた。動物界に属する線虫(Nematoda)、昆虫(Insecta)および脊椎動物(Vertebrata)の各種は、ひとつの大きなクレードを形成した、イソギンチャク(Nematostella vectensis)は、線虫と昆虫・脊椎動物の間に、ウニ(Strongylocentrotuspurpuratus)は、線虫と脊椎動物の間に位置していた。昆虫においては、Drosophila属の12種が同じグループに含まれるなど従来の分類体系と一致していた。脊椎動物において、両性類と鳥類の位置が従来の分類体系と逆になっていたが、その他の各種の類縁関係は、従来の説と一致していた。陸上植物12種は、単細胞性緑藻類のChlamydomonas属1種(C. reinhardtii)およびOstreococcus属2種(O.lucimarinus、O. tauri)とおなじクレードを形成した。また、双子葉植物9種と単子葉植物3種は明瞭に分岐していた。
【0103】
原生生物の赤痢アメーバ(Entamoeba)属2種(E. histolytica、E.dispar)、粘菌(Dictyosterium discoidem)、繊毛虫のゾウリムシ(Paramecium tetraurelia)およびランブル鞭毛虫(GiardiaLamblia)は、ひとつのグループを形成した。また、ピロプラズマ原虫3種(Theileria annulata、T. parva、Babesia bovis)および微胞子虫(Encephalitozoonconiculi)は、最も早く分岐したクレードに属していた。
【0104】
(8)同種に分類される系統のPtagおよびNtag配列の比較
これまでに同じ種に分類されている系統で、Ptag配列が決められた例はそれほど多くはないが、真菌類Coccidioides属の2種C.immitisおよびC. poradasiiでは、それぞれ3系統および4系統のPtag配列を決めることができた(表4)。2種のPtag配列の間には2残基の置換が認められたが、同じ種に属する系統は、それぞれ同じPtag配列を示した。一方、Ntag配列では、両種の間で8塩基の置換が認められ、C. poradasiiの1系統(2133)では、同種の他の3系統と2個の塩基置換が認められた。また、Candida albicansでは、2系統のPtagおよびNtag配列を決めることができた。2つの系統間でNtag配列には4塩基の置換が認められたが、Ptag配列は同じであった。Cryptococcus neoformansの2系統では、PtagおよびNtag配列ともに同じであった。
【0105】
【表4】
【0106】
表4においてPtagの変化の度合いおよびNtagの変化の度合いの項目に示す数値は、各種の最上段に記載する系統についてはそれぞれのアミノ酸配列および塩基配列の長さを示し、該系統以外の系統についてはそれぞれ外系統と異なるアミノ酸およびヌクレオチドの数を示す。
【0107】
次いで、栽培イネ(Oryza sativa)の2つの生態型(インド型と日本型)に分類されるそれぞれ3系統のNtagおよびPtag配列を解析した。その結果、各生態型内では変異が認められなかったが、インド型および日本型の間では、Ntag配列において2〜4塩基、Ptag配列において1残基の置換が認められた(表4)。
【0108】
(9)Ptag配列びNtag配列を指標とした栽培イネの亜種の識別
試料として栽培イネ(Oryza sativa)のインド型と日本型を用い、それらの識別を行った。ゲノムDNAは後述するDNA抽出方法にしたがって各試料から抽出した。イネのNtagを増幅するプライマーとして、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド(図9)を使用した。上記ゲノムDNAを鋳型として、上記1対のプライマーを使用してイネのNtagをPCR法により増幅した。増幅したDNA断片を精製し塩基配列を解読した。塩基配列の解読は、Big Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(AppliedBiosystems社製)およびシークエンスプライマー(配列番号6および配列番号7)を用いて反応を行った後、ABI3100 シークエンサー(Applied Biosystems社製)を用いて実施した。
【0109】
解析されたNtag配列は、NCBIのpblastn ウェブサーバーを用いてPOLA1タンパク質のアミノ酸配列をクエリーとして検索した。その結果、インド型のイネを試料として上記のように増幅したDNA断片の塩基配列にコードされるアミノ酸配列は、コンピュータデータベース中に登録されたインド型のイネのアミノ酸配列と一致した。また、日本型のイネを試料として上記のように増幅したDNA断片の塩基配列にコードされるアミノ酸配列は、コンピュータデータベース中に登録された日本型のイネのアミノ酸配列と一致した。このように、Ntagにコードされるアミノ酸配列を指標として、イネのインド型と日本型の亜種を識別できた。
【0110】
(10)Ptag配列びNtag配列を指標とした植物病原菌フザリウムの識別
試料としてフザリウム オキシスポラム種(Fusarium oxysporum)のうちバナナに感染するRace1-2とRace4を用い、それらの識別を行った。ゲノムDNAは後述するDNA抽出方法にしたがって各試料から抽出した。フザリウムのNtagを増幅するプライマーとして、配列番号21に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドおよび配列番号22に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド(図9)を使用した。上記ゲノムDNAを鋳型として、上記1対のプライマーを使用してフザリウムのNtagをPCR法により増幅した。増幅したDNA断片を精製し塩基配列を解読した。
【0111】
解析されたNtag配列は、NCBIのpblastn ウェブサーバーを用いてPOLA1タンパク質のアミノ酸配列をクエリーとして検索した。その結果、フザリウムのRace1-2を試料として上記のように増幅したDNA断片の塩基配列にコードされるアミノ酸配列は、コンピュータデータベース中に登録されたフザリウムのRace1-2のアミノ酸配列と一致した。また、フザリウムのRace4を試料として上記のように増幅したDNA断片の塩基配列にコードされるアミノ酸配列は、コンピュータデータベース中に登録されたフザリウムのRace4のアミノ酸配列と一致した。このように、Ntagにコードされるアミノ酸配列を指標として、フザリウムでは、バナナに感染するRace1-2とRace4を識別できた。
【0112】
(11)PBL配列およびPBR配列の相同性
異なる種において、PBL配列およびPBR配列を比較してその相同性を検討した。図10に示すように、PBL配列およびPBR配列を、ヒトとアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)の間で比較したところ、それぞれ95%および69%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、鞭毛虫(Giardia)とアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)の間で比較したところ、それぞれ70%および63%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、マラリア原虫(Malaria)とアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)の間で比較したところ、それぞれ70%および50%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、タイレリア原虫(Theileria)とアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)の間で比較したところ、それぞれ85%および69%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、ネグレリア(Naegleria)とアラビドプシス サリアナ(Arabidopsis thaliana)の間で比較したところ、それぞれ65%および56%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、ヒトと鞭毛虫(Giardia)の間で比較したところ、それぞれ65%および69%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、ヒトとマラリア原虫(Malaria)の間で比較したところ、それぞれ70%および56%の相同性を示した。PBL配列およびPBR配列を、イネとマラリア原虫(Malaria)の間で比較したところ、それぞれ70%および63%の相同性を示した。
【0113】
上述のように、Ptag配列を指標とすることにより、真核生物の種または亜種を同定可能である。生物の種分化を解明するためには、ゲノムに含まれる多数のDNAマーカーを解析して、総合的に解析を進めることは重要であるが、研究対象とする生物について多数のDNAマーカーを解析するには費用と労力が必要である。生物の種を判定するための補助的な手段としてDNA塩基配列の解析法を用いるためには、DNA barcodingで提案されているように少数の塩基配列を用いることが有効である。少数の塩基配列であれば、簡便に解析することができる上に、データベースを構築することも容易であると考えられる。しかし、DNA塩基配列を種の判定に利用する場合、塩基配列の相同性の境界をどこで区切るかが曖昧である。一方、アミノ酸配列を用いる場合には、非同義的な塩基置換のみがアミノ酸配列に反映されるので、分子生物学的な分類の境界を明瞭に決めることが可能である。本実施例において、いくつかの同種に属する系統の解析を行った結果、菌類のCoccidioides属であるCandida albicansおよびCryptococcus neoformansでは、同じ種に属する系統は同じPtag配列を持っていた(表3)。一方、栽培イネ(Oryza sativa)では、2つの生態型に分類されるインド型と日本型のPtag配列において2残基のアミノ酸置換が認められた(表4)。リンネ種の区分とPtag配列の変異がどの程度対応するのかは分からないが、同じPtag配列を持つ系統をグループ化して、ひとつの分子生物学的な分類の区分:ipsum(identical protein sequence unit member)と定義することができるかもしれない。
【0114】
以下に、本実施例において用いた材料および方法について説明する。
【0115】
1)植物材料およびゲノムDNAの抽出
イネ属、オオムギ属、サクラ属などの供試材料は、上記表1に示すものを使用した。供試材料の葉100mgは2mlのチューブに入れて液体窒素で凍結し、マルチビーズショッカー(株式会社 安井器械製)を用いて粉砕した。全ゲノムDNAは、CTAB(Cetyltrimethil ammmonium bromide)法(ドイル(Doyle, J. J.)ら、「A rapid DNA isolation procedure for small quantities of fresh leaftissue」、フィトケミカル ブレチン(Phytochemical Bulletin)、1987年、第19巻、p.11-15)の改変法を用いて抽出した。
【0116】
2)PCR増幅およびダイレクトシークエンス
植物のPolA1遺伝子第20エクソンを含むDNA断片は、1対のプライマー(表1)を用いてPCR法により増幅した。プライマーの配列は、アラビドプシス、イネ、コムギ、アーモンドなどのESTデータを参照して設計した。DNA断片の増幅は、PCR用プレートPTC200(MJ Research社製)を用いて、変性94℃1分−アニール58℃1分−伸長72℃2分の条件で40サイクル行った。耐熱性DNAポリメラーゼは、ExTaq DNA ポリメラーゼ(株式会社TaKaRa製)を用いた。
【0117】
増幅したDNA断片は、1.2%アガロースゲル電気泳動法にかけてその増幅を確認し、QIAquick PCR purification kit(Qiagen社製)を用いて精製した。精製したDNA断片は、Big Dye Terminator Cycle SequencingKit(Applied Biosystems社製)およびシークエンスプライマー(表1、図8)を用いて反応を行い、ABI3100 シークエンサー(Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を解読した。
【0118】
3)塩基配列の解析
真核生物各種のNtag配列は、NCBIのpblastn ウェブサーバーを用いてPOLA1タンパク質のアミノ酸配列をクエリーとして検索した(アルトシュル(Altschul, S. F.)ら、「Basic local alignmentsearch tool」、ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(Journal ofMolecular Biology)、1990年、第215巻、p.403-410)。全長のNtag配列がESTデータベースから検出できないので、完全長ゲノムやゲノムサーベイシークエンスのデータベースから抽出した塩基配列データを用いてNtag配列を同定した。塩基配列の詳細な解析は、DNASIS(Hitachi社製)およびGenentyx(Softoware社製)を用いて行った。塩基配列のアラインメントは、国立遺伝学研究所のDDBJのClustal W(トンプソン(Thompson, J. D.)ら、「CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiplesequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penaltiesand weight matrix choice」、ヌクレイック アシッズ リサーチ(NucleicAcids Research)、1994年、第22巻、第22号、p.4673-4680)を用いて行った。
【0119】
4)分子系統樹の作成
植物のPolA1遺伝子第20エクソンのアミノ酸配列および真核生物各種のPtag配列の分子系統解析は、MEGA4(タムラ(Tamura, K.)ら、「MEGA4: Molecular EvolutionaryGenetics Analysis MEGA Software Version 4.0」、モレキュラー バイオロジー アンド エヴォリューション(Molecular Biology and Evolution)、2007年、第24巻、p.1596-1599)を用いて行った。Clustal WによりアラインメントしたデータをMEGA4に入力し、近隣距離結合法を用いて分子系統樹を作成した。系統樹の作成には、500個のデータを用いてbootstrap値を求めた。
【0120】
本研究で利用した真核生物各種の塩基配列データのアクセッション番号は、上記表3にリストした。
【図面の簡単な説明】
【0121】
図1】アラビドプシスにおける3種類のRNAポリメラーゼ複合体、すなわちRNAポリメラーゼI複合体、RNAポリメラーゼII複合体、およびRNAポリメラーゼIII複合体のそれぞれの最大サブユニットであるPOLA1、POLB1、およびPOLC1と大腸菌のRNAポリメラーゼ複合体のβ’最大サブユニット(RpoC)との相同性を比較した結果を示す図である。枠で囲った部分はPOLA1に特異的な挿入配列を示す。
図2】PolA1遺伝子の各エクソンにコードされるアミノ酸配列を、イネ(Oryza sativa)とアラビドプシス(Arabidopsis thaliana)の間で比較した結果を示す図である。矢印は図1で示したPOLA1に特異的な挿入配列の位置を示す。
図3】植物のPolA1遺伝子の第20エクソンにコードされるアミノ酸配列の相同性は、植物の類縁関係に良く一致することを示す図である。
図4】菌類、線虫、昆虫、動物、および植物の5つの分類群8種のPOLA1タンパク質の間で高度に保存されているPBLおよびPBR配列を示す図である。比較した生物種は、Arabidopsis(Arabidopsis thaliana)、rice(Oryza sativa)、human(Homo sapiens)、mouse(Musmusculus)、Xenopus(Xenopuslaevis)、zebrafish(Danio rerio)、nematoda(Caenorhabditis elegans)、yeast(Saccharomycescerevisiae)である。図中、記号「*」は、これら生物種間で完全に保存されているアミノ酸残基を示す。
図5】菌類、線虫、昆虫、動物、および植物における、PolA1遺伝子の3´領域の構造を示す模式図である。
図6】Ptag配列とそれをコードするNtag配列を、Arabidopsis thalianaを例として示す図である。
図7-1】Ptag配列をアラインし、そのデータをMEGA4ソフトウエアで解析して作成した分子系統樹を示す図である。本図は、図中に記載の星印部分で、図7-2に繋がる。
図7-2】Ptag配列をアラインし、そのデータをMEGA4ソフトウエアで解析して作成した分子系統樹を示す図である。本図は、図中に記載の星印部分で、図7-1に繋がる。
図8】植物のPolA1遺伝子第20エクソンを含むDNA断片の増幅用プライマーの塩基配列の該遺伝子における位置を示す模式図である。
図9】イネおよびフザリウムのNtag増幅用プライマーの塩基配列の、イネ遺伝子およびフザリウム遺伝子における位置を示す模式図である。
図10】PBL配列およびPBR配列の相同性を示す図である。図中、記号「*」は、完全に保存されているアミノ酸残基を示す。
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[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]