(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283400
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ウォーターポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/06 20060101AFI20180208BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
F04D13/06 A
F04D29/58 D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-156645(P2016-156645)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2017-57848(P2017-57848A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】201510596756.1
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516240651
【氏名又は名称】河南省西峡汽車水▲りゅう▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】周相青
(72)【発明者】
【氏名】封帆
(72)【発明者】
【氏名】湯健華
【審査官】
岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−027203(JP,A)
【文献】
特開2006−233836(JP,A)
【文献】
特開2014−013002(JP,A)
【文献】
特開2011−111953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/06
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ウォーターポンプであって、
固定支持部材と、電気的コネクターと、コントローラアセンブリと、モータアセンブリと、隔離スレーブと、インペラアセンブリと、ポンプハウジングと、を備え、
前記モータアセンブリは、モータハウジングと、モータのリアカバーと、を含み、
前記インペラアセンブリは、ローターとインペラとを含み、当該ローターとインペラとが一体的に射出成形されており、
前記隔離スレーブは、容器部を有し、
前記容器部の底面の中心に円柱形突起が形成されており、当該円柱形突起の中心に孔が形成されており、当該孔に回転軸が挿入されており、
前記固定支持部材と前記電気的コネクターとは、モータの前記リアカバーの外側端面に設置されており、
前記コントローラアセンブリは、モータの前記リアカバーに連結しており、
モータの前記リアカバーは、前記モータアセンブリと連結しており、
前記インペラアセンブリは、前記回転軸に通じて前記隔離スレーブと一体的に組み付けられており、前記隔離スレーブの前記容器部を前記モータアセンブリの内部に挿入して、当該モータアセンブリと前記インペラアセンブリを隔離し、
前記ポンプハウジングは、吸水口と出水口とを含み、
前記コントローラアセンブリに水冷機構を設置し、
前記水冷機構は、熱交換器と給水管と出水管とを有し、
前記給水管の一端をポンプの出水口に接続し、他端を前記熱交換器を通じて前記出水管に接続し、当該出水管を前記熱交換器から離間させてポンプの給水口に接続する、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記給水管と前記出水管を、前記モータハウジングと前記ポンプハウジングの外壁あるいは内部に設置した、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記容器部の上端は、外側に向かって広がって形成されており、外側に向かって順に、支持部、環状突起部、段差部、が形成されており、前記環状突起部上に前記ポンプハウジングにも対応して形成される出水通路を設けた、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記出水通路は、徐々に大きくなる螺旋状のU字状溝を有しており、
当該出水通路の出水口にオーバーフロー口と出水の水流を遮る遮蔽シートとを設けた、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記モータハウジングの外部にゴムブラケットを設け、当該ゴムブラケットに形成された孔に前記モータハウジングの外周が締まり嵌めされる、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項6】
請求項4に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記ローターと前記円柱形突起との間に、調整用ガスケットを備えた、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項7】
請求項4に記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、前記回転軸は前記インペラアセンブリに挿入されて、端面軸受を介して前記ポンプハウジングに組み付けられる、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかに記載の自動車用電動ウォーターポンプであって、
前記回転軸の頂部に前記インペラアセンブリの軸方向の動きを規制する制限機構を設けた、
自動車用電動ウォーターポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ウォーターポンプの分野に属するものであり、省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ウォーターポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ウォーターポンプは、エンジン冷却液を輸送する装置であり、駆動方式により機械ポンプと電動ポンプがある。電動ポンプは、炭素ブラシがあるかによりブラシがあるポンプとブラシがないポンプに分けられる。機械ポンプは、エンジンで駆動され、ポンプの回転速度とエンジンの回転速度とが固定比率となり、低速かつ高負荷の場合に放熱要求の満たすことができない。そして、エンジンの停止時には、新エネルギーを使用する自動車のメイン駆動モータや他の構成の冷却要求ばかりでなくキャンピングカーの給水要求も満たすことができない。
【0003】
ブラシ電動ウォーターポンプは、耐電磁干渉性能が乏しく、ブラシが、他の電子部品を妨害しうるスパークを発生させやすい。同時に、炭素ブラシの摩耗によって、ブラシ電動ポンプは寿命も短くなり、新エネルギーを使用する自動車に適さない。従って、DCブラシレスポンプは、ますます多くハイエンド自動車や新エネルギー自動車、キャンピングカーなどに適用されるようになろう。
【0004】
ここで、自動車用ポンプは、下記の問題がある。
(1)DCブラシレス磁気駆動ポンプの磁石とインペラは、インジェクションを貫いて一体的に構成されたローターの中にモールド形成されている。高性能のセラミック軸によってハウジング内に固定されたローターの中心にはスリーブがあり、モータのステータ部と回路基板とをポンプの中にエポキシ樹脂でシールされている。従って、従来のウォーターポンプは、製造技術がむずかしく、製造コストの高く、修理が難しく、媒質漏れが生じ、防水効果がよくない、という問題があり、モータの使用に影響を及ぼす。
【0005】
例えば、DCブラシレス自動車用電動ウォーターポンプという名称の公開公報CN 204591691Uのように、従来の電動ポンプには、ローターとインペラとが分割されたものがある。ディスタンススレーブを用いて、ローターを適応させるキャビティを有し、このキャビティの内底面の中心にポンプ軸を固定するための取り付け突起がある。そして、ポンプ軸の一端が回転や軸方向に動かないよう取り付け突起に挿入され、ポンプ軸の他端は、異なる空間にローターとインペラを分けるために、ポンプ先にある軸先ブラケット中のブッシュ中に挿入される。これにより、ウォーターポンプの媒質漏れの問題を効果的に防止するが、構成が複雑であり分解しにくいという問題がある。また、上記DCブラシレス自動車用電動ポンプの出水口は、インペラに対面しており、インペラの加速を介した遠心力によって、流水が高速に流れ出す。また、ポンプの騒音が大きく、作動が不安定で寿命の短くなる。
【0006】
(2)また、電動ポンプの作動中には、モータの動作によるモータ温度の上昇が早く、作動中に高温状態が維持され、コントローラが故障しやすい。コントローラが焼き付きやすく、使用寿命も短くなる。既存の制御器の冷却装置は、一般に、ヒートシンクやシリコンパッドを設置して、温熱と冷熱の空気交換で制御器の温度を低くしている。しかしながら、ヒートシンクとシリコンパッドは空気熱交換の方法で放熱を行っているものの、熱交換によって生じた温熱空気は、モータの長時間の運用時や適時に、ポンプから排出することができず、放熱効果は徐々に減少する。他方で、ヒートシンクやシリコンパッド自体の放熱効果はあまりよくなく、効果的にコントローラの温度を低くすることができない。
【0007】
(3)インペラと電動ポンプのローターは、回転軸によって一緒に組み付けられるが、通常、回転軸はグラファイト軸である。作動中に回転や軸方向の動きがあり、軸方向への動きは、グラファイト軸にダメージを与え、モータの動作を不安定にする。既存の組み立て方式は、一般的に、回転軸にインペラとローターを一体的に射出成形することが適用されるが、回転軸の一端が隔離スレーブの取り付け突起に固定され、もう一端が軸を通じてポンプハウジングに固定される。ローターは高速に回転するため、上記の組み立て方式では軸方向の動きの問題を解決することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ウォーターポンプを提供し、動作が安定し、使用寿命が長いといった利点を有し、上述した問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するため、本発明である省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ウォーターポンプは、
固定支持部材と、電気的コネクターと、モータのリアカバーと、コントローラアセンブリと、モータアセンブリと、隔離スレーブと、インペラアセンブリと、ポンプハウジングと、を備える。そして、上記隔離スレーブは、容器部を有し、当該容器部の底面の中心に円柱形突起が形成されており、当該円柱形突起の中心に孔が形成されており、当該孔に回転軸が挿入されている。
また、上記固定支持部材と電気的コネクターとは、モータのリアカバーの外側端面に設置されており、上記コントローラアセンブリは、モータのリアカバーに連結しており、当該モータのリアカバーは、上記モータアセンブリと連結している。
また、上記インペラアセンブリは、上記回転軸に通じて上記隔離スレーブと一体的に組み付けられており、当該隔離スレーブの容器部を上記モータアセンブリの内部に挿入して、当該モータアセンブリと前記インペラアセンブリを隔離している。
さらに、コントローラアセンブリに水冷機構を設置した、という構成をとる。
【0010】
また、本発明では、上記水冷機構は、熱交換器と給水管と出水管とを有し、給水管の一端をポンプの出水口に接続し、他端を熱交換器を通じて出水管に接続し、当該出水管を熱交換器から離間させてポンプの給水口に接続する、という構成をとる。
自動車用電動ウォーターポンプ。
【0011】
また、本発明では、上記給水管と上記出水管を、上記モータハウジングと上記ポンプハウジングの外壁あるいは内部に設置した、という構成をとる。
【0012】
また、本発明では、上記熱交換器がコイル熱交換器である、という構成をとる。
【0013】
また、本発明では、上記容器部の上端は、外側に向かって広がって形成されており、外側に向かって順に、支持部、環状突起部、段差部、が形成されており、上記環状突起部上に出水通路を設けた、という構成をとる。
【0014】
また、本発明では、上記出水通路は、徐々に大きくなる螺旋状のU字状溝を有しており、当該出水通路の給水口と出水口との交わる箇所にオーバーフロー口を設置し、さらに、当該出水通路の出水口に遮蔽シートを設けた、という構成とる。
【0015】
また、本発明では、上記インペラアセンブリは、ローターとインペラとを含み、当該ローターとインペラとが一体的に射出成形されている、という構成をとる。
【0016】
また、本発明では、上記モータハウジングの外部にゴムブラケットを設け、当該ゴムブラケットに形成された孔にモータハウジングの外周が締まり嵌めされる、という構成をとる。
【0017】
また、本発明では、上記ローターと上記環状突起部との間に、調整用ガスケットを備えた、という構成をとる。
【0018】
また、本発明では、上記回転軸は上記インペラアセンブリに挿入されて、端面軸受を介して上記ポンプハウジングに組み付けられる、という構成をとる。
【0019】
また、本発明では、上記回転軸の頂部に、当該頂部側から押し込まれた上記インペラアセンブリの軸方向の動きを規制する制限機構を設けた、という構成をとる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、コントローラアセンブリに水冷機構を設置している。そして、水冷機構とモータウォータポンプとが一緒に一つの水循環システムを共有しており、構造が簡易である。このため、効果的にコントローラアセンブリを冷却でき、ポンプの使用寿命を改善することができる。
【0021】
また、本発明では、ウォーターポンプの構造が簡易であり、隔離スレーブによってモータアセンブリとインペラアセンブリとを隔離している。そして、隔離スレーブに出水通路を設置することで、冷却水をモータアセンブリとコントローラアセンブリに浸水することを抑制しており、電気システムを守る機能を有する。これに加え、隔離スレーブによってモータアセンブリとインペラアセンブリとを隔離する方式の製造技術は簡単であり、製造コストも低く、効果的に電動ウォーターポンプの騒音を低減させ、電動ポンプの使用寿命を延ばすことができる。
【0022】
また、本発明では、電動ポンプの回転軸の頂部にインペラアセンブリの制限機構を設置することで、稼働時のローターの軸方向の動きを規制する機能を有する。これにより、回転軸の高速稼働時における軸方向の動きを有効に抑制し、自動車用電動ポンプの寿命や動作安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施例あるいは技術的解決方法を明確に示すために、以下に、実施例あるいは技術的解決方法の説明に必要な図面を簡単に説明する。もちろん、以下の図面は、本発明のいくつかの実施例にすぎず、この技術分野の通常の知識を有する技術者にとって、創造的な試みを行わないことを前提として、他の図をとることができる。
【0024】
【
図1】
図1は、実施例1における電動ウォーターポンプの分解図である。
【
図2】
図2は、実施例1における電動ウォーターポンプの構造図である。
【
図3】
図3は、実施例1におけるモータのリアカバーとコントローラアセンブリの構造図である。
【
図4】
図4は、実施例1におけるコイル熱交換器の構造図である。
【
図5】
図5は、実施例1におけるモータアセンブリの構造図である。
【
図6】
図6は、実施例1における隔離スレーブの正面図である。
【
図7】
図7は、実施例1におけるインペラアセンブリの構造図である。
【
図8】
図8は、実施例2における隔離スレーブの正面図である。
【
図9】
図9は、実施例2における隔離スレーブの平面図である。
【
図10】
図10は、実施例3における隔離スレーブの正面図である。
【0025】
図において、符号1は固定支持部材、符号2は電気的コネクター、符号3はモータのリアカバー、符号4はシリコンゴムガスケット、符号5は熱交換器、符号5−1はハウジング熱交換器、符号5−2はコイル熱交換器、符号6はガスケット、符号7はコントローラアセンブリ、符号8はモータアセンブリ、符号8−1はモータハウジング、符号8−2はステータコア、符号8−3はステータフレーム、符号8−4はエナメル線、符号8−5はPCB、符号8−6は三相リード、符号9はゴムブラケット、符号10はブッシュ、符号11はOリング、符号12は隔離スレーブ、符号12−1は段差部、符号12−2は環状突起、符号12−3は支持部、符号12−4は円柱形突起部、符号12−5は回転軸、符号12−6は容器部、符号12−7は出水通路、符号12−8は遮蔽シート、符号12−9はオーバーフロー口、符号12−10はインペラアセンブリの制限機構、符号13は調整ガスケット、符号14はインペラアセンブリ、符号14−1はインペラ、符号14−2はローター、符号15は端面軸受、符号16はシールリング、符号17はポンプハウジング、符号18は締切蓋、符号19は出水管、符号20は給水口、符号21は出水口、符号22は給水管である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例における技術的解決方法の詳細を、図面と共に説明する。もちろん、記載した実施例は、本発明の全体の一部に過ぎない。本発明の分野における通常の知識を有する者が、本発明の実施例に基づいて創造的作業を行わないことを前提として得たすべての他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0027】
<実施例1>
図1に示すように、省エネルギーかつ耐久性の高い自動車用電動ポンプは、固定支持部材1、電気的コネクター2、モータのリアカバー3、コントローラアセンブリ7、モータアセンブリ8、隔離スリーブ12、インペラアセンブリ14、ポンプハウジング17、を備える。
【0028】
図2に示すように、固定支持部材1と電気的コネクター2とは、モータのリアカバー3の外側端面に組み付けられる。コントローラアセンブリ7は、モータのリアカバー3の内側端面に組み付けられ、モータのリアカバー3は、モータアセンブリ8と一緒に組み付けられる。
【0029】
図5に示すように、本発明のモータアセンブリ8は、給電用の三相リード8−6、三相リードを固定するPCB8−5(プリント回路基板)、巻き付けられた状態で電流が流れることによってモータローター14−2を回転させる磁界を生成するエナメル線8−4、ステータコア8−2を固定するステータフレーム8−3、導磁性であり磁束を集め磁力線を発散させないステータコア8−2、ステータフレーム8−3とステータコア8−2とポンプハウジング17とリアカバー3とを1つのユニットとして一緒に組み付けるモータハウジング8−1、を備える。
【0030】
本発明において、コントローラアセンブリ7は、プリント配線であり、電子部品の間の電気接続と当該電子部品の固定を行う。そして、コントローラアセンブリ7は、集積回路を通じて設定された方向、速度、角度や応答時間のとおりにモータを制御して、モータの応用範囲を広げ、高い出力効率や低ノイズといった特性がある。
【0031】
図6に示すように、本実施例の隔離スレーブ12は、凹状の容器部12−6を有しており、容器部12−6の内底面の中心に円柱形突起部12−4が形成されている。円柱形突起部12−4の中心には孔が形成されており、この孔に回転軸12−5が挿入されている。また、隔離スレーブ12の容器部12−6自体がステータの内部に挿入され、モータアセンブリ8とインペラアセンブリ14を隔離する。つまり、モータアセンブリ8とインペラアセンブリ14との間に、隔離スレーブが介挿された状態となっている。
【0032】
図7に示すように、本発明のインペラアセンブリ14は、ローター14−2とインペラ14−1を含み、ローター14−2とインペラ14−1とが一体的に射出成形されている。一体的に射出成形されたローター14−2とインペラ14−1は、それら間の気密性を効果的に改善し、使用寿命も延びる。
【0033】
ローター14−2とインペラ14−1の組み付け方式は、他の方式を用いてもよい。例えば、ボルトで固定してもよいが、その場合には、密閉に注意すべきである。
【0034】
上述した隔離スレーブ12に設けられた回転軸12−5はインペラアセンブリ14に挿入され、端面軸受15を介してポンプハウジング17に組み付けられる。端面軸受15は、回転軸の軸力を支持するために用いられるセクションベアリングやプレーンベアリングと呼ばれる。
【0035】
本発明の電動ウォーターポンプは、コントローラアセンブリ7に水冷機構を設けている。
【0036】
図3に示すように、本発明の水冷機構は、熱交換器5と給水管22と出水管19を有する。熱交換器5は、コントローラアセンブリ7の背面に設置される。給水管22と出水管19は、モータハウジング8−1とポンプハウジング17の内部あるいは外壁に設置される。給水管22の一端は、ポンプの出水口21に接続され、他端は熱交換器5の給水端に接続される。出水管19の一端は、ポンプの給水口20と接続され、他端は、熱交換器5の出水端に接続される。つまり、給水管22は、一端がポンプの出水口21に接続され、他端が熱交換器5を通じて出水管22に接続されている。そして、出水管19は、一端が熱交換器5と接続され、他端は熱交換器から離間したポンプの吸水口20に接続されている。
【0037】
図3に示すように、本実施例では、コントローラアセンブリ7の後方側に、ガスケット6、ハウジング熱交換器5−1、シリコンゴムガスケット4を、かかる順番で設置し、ボルトでモータのリアカバー3に組み付けられる。ガスケットは、シリコンシリカゲルやシリコン樹脂で形成されている。本実施例におけるハウジング換熱器5−1は、給水口と出水口が設けられた丸い箱体である。本実施例における給水管22と出水管19は、モータハウジング8−1とポンプハウジング17内に設置された通路である。出水口と給水管22はネジで接続され、給水口と出水管19もネジで接続される。給水管22と出水管19は、モータハウジング8−1とポンプヘッドハウジング17内に設けられた管路であり、モータハウジング8−1とポンプハウジング17内の通路内の管路は、ねじ込み継ぎ手で接続される。但し、他の方法で接続されてもよい。
【0038】
本実施例では、熱交換器5はコントローラアセンブリ7の後方に設置されており、熱交換器5とウォーターポンプは、管路を介して一つの動力源を共用している。これにより、コントローラアセンブリ7の運用問題を効果的に削減し、ウォーターポンプに新たな動力源を追加すること無く構造も簡易となる。
【0039】
本発明において、熱交換器5はほかの方式を使ってもよい。例えば、プレートフィンラジエータや
図4に示すようなコイル熱交換器5−2を用いてもよい。コイル熱交換器5−2を用いることで、コイルと給水管22と出水管19とを一体に成形でき、給水管22と出水管19は、モータハウジング8−1とポンプヘッドハウジング17に形成された溝に取り付けられる。また、給水管と出水管は、モータハウジングとポンプヘッドハウジングの外壁に固定される。上記構造により、熱交換器5の全体気密性がよくなり、コントローラアセンブリ7に影響を与える流路における水漏れを効果的に抑制することができる。
【0040】
本実施例の好ましい形態では、モータハウジング8−1の外側にゴムブラケット9を備える。ゴムブラケット9には、内孔である貫通孔が形成されており、かかる貫通孔にモータハウジング8−1が締まり嵌めされる。ゴムブラケット9の内孔にはブッシュ10が配置される。二つのブッシュ10は、ゴムブラケット9に対応して取り付けられ、ゴムブラケット9はモータハウジング8−1の外周を覆って取り付けられる。ゴムブラケット9は、制震作用があり、ブッシュ10を追加することで、ネジのトルクを増加させて緩みを防止できる。隔離スレーブ12とモータハウジング8−1は、ボルトで組み付けられる。モータハウジング8−1と隔離スレーブ12の間にはOリング11が設けられる。
【0041】
本発明では、ローター14−2と円柱形突起12−4との取り付け位置を簡単かつ迅速に調整してローター14−2が適切な位置となるよう、ローター14−2と環状突起12−2との間に調整ガスケット13を設けている。
【0042】
本発明では、出水管19と給水管22に締切蓋18を設けており、ほこりや異物からポンプを保護している。
【0043】
<実施例2>
本実施例の構成は、実施例1とほぼ同様である。但し、
図8及び
図9に示すように、隔離スレーブ12の容器部12−6の上端縁が外側へ広がって延設されており、内側から外側に向かって順番に、支持部12−3、環状突起12−2、段差部12−1を形成している。そして、環状突起12−2に出水通路12−7を設ける。
【0044】
隔離スレーブ12の段差部12−1はポンプハウジング17に対応しており、隔離スレーブ12は、シール効果を有するガスケットの機能を果たす。段差部12−1の上段及び下段には、それぞれシールリング16を設ける。上側のシールリング16は、ポンプヘッドハウジング17の内腔の水の漏れの防止し、下側のシールリング16は、モータアセンブリ8とコントローラアセンブリ7が配置されている内腔に、外部の水が入ることを防止する。
【0045】
本実施例では、出水通路12−7の主な機能は、インペラ14−1から遠心作用により流れ出た後の水流の移動距離を増加させ、流速を減少させることである。これにより、タンク内の水の状態に影響を与えずに、水がスムーズにタンク内に戻るよう流れることとなる。なお、出水通路12−7の形状は、円形や四角形など状況に応じて異なる。
図9に示すように、好ましい形態では、出水通路12−7は徐々に大きくなる螺旋状のU字状溝を有する。出水通路12−7の給水口20と出水口21との交わる箇所にオーバーフロー口12−9を設置し、さらに、出水通路12−7の出水口21に遮蔽シート12−8を設ける。徐々に大きくなる螺旋状のU字状溝は、流れの工程で水路を徐々に大きくして流速を遅くし、出水口の流速を適当な速度にする。これにより、ウォータータンク内の状態の妨げとならず、騒音を低くして、ポンプの寿命が向上する。オーバーフロー口12−9は、さらに水流の安定性が改善されるよう、水流の出水と給水とがバランスよく維持されるようにする。遮蔽シートは、出水の水流を効果的に遮って、水が段差部12−1に入ることやポンプの機密性に影響を与えることを防ぐ。
【0046】
ポンプハウジング17には出水通路12−7に対応した溝が設けられており、水路を形成している。本発明では、隔離スレーブ12の各構成は一体的に射出成形されている。
【0047】
<実施例3>
本実施例は、実施例2とほぼ同様である。但し、
図10に示すように、回転軸12−5の頂部にインペラアセンブリの制限機構12−10を有する点で異なる。このインペラアセンブリの制限機構12−10は、回転軸12−5の頂部から押し込まれる。インペラアセンブリの制限機構12−10は、インペラアセンブリの軸方向の動きを制限するために、回転軸にかぶせられたソケットの形態となっている。
【0048】
回転軸12−5の頂部からインペラアセンブリの制限機構12−10を押し込むことで、インペラアセンブリの制限機構12−10とインペラアセンブリリ14との間のすきまを効果的に減少させ、作動中におけるインペラアセンブリ14の軸方向の動きを減少させる。これにより、電動ウォーターポンプの使用寿命を延ばすことができる。
【0049】
<本発明の動作>
電源を入れると、コントローラアセンブリ7はステータを駆動して磁場を発生させ、ローター14−2を回転させる。そして、ローター14−2と共にインペラ14−1も回転し、インペラ14−1の中心の水が周囲に飛び出して、一定の圧力で出水口から排出される。同時に、インペラ14−1の中心の圧力が下がるため、水が給水口から吸い込まれ、車の中での水の循環が実現される。
【0050】
上記は本発明の好適な実施例であって、本発明を制限するものではない。本発明の思想と原理の範囲内で、いかなる変更や同等の置き換え、改善などを行った場合も、本発明の保護範囲に属する。