特許第6283408号(P6283408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6283408-ヒトPAC1抗体 図000069
  • 特許6283408-ヒトPAC1抗体 図000070
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283408
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ヒトPAC1抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20180208BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20180208BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20180208BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20180208BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20180208BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20180208BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20180208BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20180208BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12P21/08
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N5/10
   C07K16/28
   A61K39/395 N
   A61P43/00 111
   A61P25/04
   A61P25/06
【請求項の数】26
【全頁数】137
(21)【出願番号】特願2016-502989(P2016-502989)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-514458(P2016-514458A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】US2014029128
(87)【国際公開番号】WO2014144632
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/792,678
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, ツェン
(72)【発明者】
【氏名】ハンバーガー, アグネス エヴァ
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/018472(WO,A1)
【文献】 Rebecca J. Hermann, et al.,Characterization and use of a rabbit-anti-mouse VPAC1 antibody by flow cytometry.,Journal of Immunological Methods,2012年,Vol.376,p.20-31
【文献】 C.MORETTI,PACAP and Type I PACAP Receptors in Human Prostate Cancer Tissue,ANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES,2006年,Vol.1070,p.440-449
【文献】 ZVIRBLIENE AURELIJA ET AL,Production and characterization of monoclonal antibodies to pituitary adenylate cyclase activating polypeptide type I receptor,HYBRIDOMA,1999年,vol. 18,p.335-342
【文献】 SCHYTZ H W ET AL,The PACAP Receptor: A Novel Target for Migraine Treatment,NEUROTHERAPEUTICS,2010年,vol. 7,p.191-196
【文献】 H. W. SCHYTZ, et al.,PACAP38 induces migraine-like attacks in patients with migrane without aura,BRAIN,2008年,Vol.132,p.16-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K1/00−19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチドI型受容体(PAC1)に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(A)配列番号196または配列番号197の配列を含む軽鎖CDR1(CDRL1);
(B)配列番号209の配列を含む軽鎖CDR2(CDRL2);
(C)配列番号215の配列を含む軽鎖CDR3(CDRL3);
(D)配列番号223の配列を含む重鎖CDR1(CDRH1);
(E)配列番号237の配列を含む重鎖CDR2(CDRH2);および
(F)配列番号247の配列を含む重鎖CDR3(CDRH3);
を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号223、配列番号237、および配列番号247の配列を有し、そして、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号196、配列番号209、および配列番号215の配列を有する、請求項1に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号223、配列番号237、および配列番号247の配列を有し、そして、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号197、配列番号209、および配列番号215の配列を有する、請求項1に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片であって、該軽鎖可変領域は、配列番号152〜159から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含み、該重鎖可変領域は、配列番号172〜182から選択される配列と少なくとも90%同一である配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)該軽鎖可変領域が配列番号152の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号172の配列を含むか;
(b)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号172の配列を含むか;
(c)該軽鎖可変領域が配列番号154の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号172の配列を含むか;
(d)該軽鎖可変領域が配列番号152の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号173の配列を含むか;
(e)該軽鎖可変領域が配列番号152の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号174の配列を含むか;
(f)該軽鎖可変領域が配列番号155の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号173の配列を含むか;
(g)該軽鎖可変領域が配列番号155の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号174の配列を含むか;
(h)該軽鎖可変領域が配列番号155の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号172の配列を含むか;
(i)該軽鎖可変領域が配列番号152の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号175の配列を含むか;
(j)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号174の配列を含むか;
(k)該軽鎖可変領域が配列番号156の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号174の配列を含むか;
(l)該軽鎖可変領域が配列番号157の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号174の配列を含むか;
(m)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号176の配列を含むか;
(n)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号177の配列を含むか;
(o)該軽鎖可変領域が配列番号157の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号176の配列を含むか;
(p)該軽鎖可変領域が配列番号157の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号177の配列を含むか;
(q)該軽鎖可変領域が配列番号157の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号178の配列を含むか;
(r)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号178の配列を含むか;
(s)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号179の配列を含むか;
(t)該軽鎖可変領域が配列番号156の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号179の配列を含むか;
(u)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号180の配列を含むか;
(v)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号181の配列を含むか;
(w)該軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号182の配列を含むか;または
(x)該軽鎖可変領域が配列番号156の配列を含み、該重鎖可変領域が配列番号182の配列を含む、
単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記軽鎖可変領域が配列番号153の配列を含み、前記重鎖可変領域が配列番号182の配列を含む、請求項5に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体が、
(a)配列番号78の配列を含む軽鎖ならびに配列番号101〜112から選択される配列を含む重鎖;
(b)配列番号79の配列を含む軽鎖ならびに配列番号101〜103、107〜109および113〜133から選択される配列を含む重鎖;
(c)配列番号80の配列を含む軽鎖ならびに配列番号101〜103から選択される配列を含む重鎖;
(d)配列番号81の配列を含む軽鎖ならびに配列番号101〜109から選択される配列を含む重鎖;
(e)配列番号82の配列を含む軽鎖ならびに配列番号107〜109、122〜124および131〜133から選択される配列を含む重鎖;または
(f)配列番号83の配列を含む軽鎖ならびに配列番号107〜109および113〜121から選択される配列を含む重鎖;
を含む、請求項1に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号79の配列を含む軽鎖および配列番号131の配列を含む重鎖を含む、請求項7に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗体が、配列番号79の配列を含む軽鎖および配列番号132の配列を含む重鎖を含む、請求項7に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号79の配列を含む軽鎖および配列番号133の配列を含む重鎖を含む、請求項7に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記単離された抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体である、請求項1〜7のいずれかに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記抗体が、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体から選択されるモノクローナル抗体である、請求項11に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
前記モノクローナル抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体である、請求項12に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体である、請求項11に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記抗体は、グリコシル化されていないIgG1抗体である、請求項14に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記抗体は、その重鎖内のN297位に突然変異を含む、請求項15に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記抗体は、その重鎖内にN297G突然変異を含む、請求項16に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記抗体は、その重鎖内にR292C及びV302C突然変異をさらに含む、請求項16に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項19に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項21】
請求項20に記載の発現ベクターで形質転換された、細胞株。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片と薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項23】
患者における頭痛を治療するための組成物であって、有効量の請求項1〜18のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、組成物。
【請求項24】
前記頭痛は、片頭痛または群発頭痛である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記片頭痛は、反復性片頭痛または慢性片頭痛である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
予防的治療として用いられる、請求項23〜25のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/792,678号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表への参照
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に援用される配列表を含有する。該ASCIIコピーは、2014年3月12日に作成され、A−1804−PCT_SL.txtという名称であり、461,614バイトの大きさである。
【背景技術】
【0003】
片頭痛のための効果的な療法、特に、予防的療法への重大な満たされていない必要性が存在する。複数の研究の結果は、米国内の約1400万人の片頭痛患者が、効果的で安全な予防的療法の対象となり、利益を受け得ることを示している。現在認可されている片頭痛の予防的療法は、部分的に効果的でしかなく、これらの薬物治療の許容性を著しく制限する重大な副作用プロフィールを有する。これらの制限にも関わらず、米国内の頻繁な片頭痛を有する450万の個人が、自身の片頭痛のために予防薬を服用している。
【0004】
下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は、ヒツジ視床下部抽出物から下垂体前葉細胞中でのcAMP形成を刺激するそれらの能力に基づいて最初に単離された、38個のアミノ酸(PACAP38)、または27個のアミノ酸(PACAP27)のペプチドである(Miyata,A.,et al.,“Isolation of a novel 38 residue−hypothalamic polypeptide which stimulates adenylate cyclase in pituitary cells.”,Biochem Biophys Res Commun.1989;164:567−574、Miyata,A.,et al.,“Isolation of a neuropeptide corresponding to the N−terminal 27 residues of the pituitary adenylate cyclase activating polypeptide with 38 residues(PACAP38).”,Biochem Biophys Res Commun.1990;170:643−648)。PACAPペプチドは、血管作動性腸ポリペプチドVIPセクレチンホルモン放出ホルモン(GHRH)グルカゴンスーパーファミリーに属し、ヒトPACAP27の配列は、血管作動性腸ポリペプチド(VIP)と68%の同一性を共有する(Campbell,R.M.and Scanes,C.G.,“Evolution of the growth hormone−releasing factor(GRF)family of peptides.Growth Regul.”1992;2:175−191)。人体内でのPACAPペプチドの主要な形態は、PACAP38であり、PACAP38及びPACAP27の薬理学が互いに異なることは示されていない。別段に指示のない限り、本明細書ではPACAPまたはPACAP38が、PACAP38を表すために使用され、PACAP27は、PACAP27を指定するために使用される。
【0005】
3つのPACAP受容体が報告されており、1つは高い親和性でPACAPに結合し、VIPに関してはるかに低い親和性を有し(PAC1受容体、または単に「PAC1」)、そして2つはPACAP及びVIPを本質的に等しく良好に認識する(それぞれ、VPAC1及びVPAC2受容体、または単に「VPAC1」もしくは「VPAC2」)(Vaudry,D.,et al.“Pituitary adenylate cyclase−activating polypeptide and its receptors:20years after the discovery.”,Pharmacol Rev.2009;Sep61(3):283−357)。
【0006】
PACAPは、同様の有効性で3つ全ての受容体(PAC1、VPAC1、VPAC2)に結合することができ、したがって特に選択的ではない。対照的に、VIPは、PAC1と比較して、著しく高い親和性でVPAC1及びVPAC2に結合する。サシチョウバエから初めに単離された65個のアミノ酸のペプチドであるマキサディラン(Lerner,E.A.,et al.,“Isolation of maxadilan,a potent vasodilatory peptide from the salivary glands of the sand fly Lutzomyia longipalpis”,J Biol Chem.1991 Jun15;266(17):11234−6、Lerner,E.A.,et al.,“Maxadilan,a PAC1 receptor agonist from sand flies”,Peptides.Sep 2007;28(9):1651−1654.)は、VPAC1またはVPAC2と比較してPAC1に関して極めて選択的であり、したがってPAC1選択的作動薬として使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Miyata,A.,et al.,“Isolation of a novel 38 residue−hypothalamic polypeptide which stimulates adenylate cyclase in pituitary cells.”,Biochem Biophys Res Commun.(1989)164:567〜574
【非特許文献2】Miyata,A.,et al.,“Isolation of a neuropeptide corresponding to the N−terminal 27 residues of the pituitary adenylate cyclase activating polypeptide with 38 residues(PACAP38).”,Biochem Biophys Res Commun.(1990)170:643〜648
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(A)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR1と、(B)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR2と、(C)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR3と、を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片であって、(A)該抗体またはその抗原結合断片は、10nM以下(例えば、5nMまたは1nM)のKiで、ヒトPAC1への結合に関して参照抗体と競合し、該参照抗体は、01B、14A、14B、26A、26B、28A、29A、29B、39A、及び39Bから成る群から選択され、(B)該抗体またはその抗原結合断片は、ヒトPAC1に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(A)(i)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR1と、(B)(i)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR2と、(C)(i)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR3と、を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片であって、(A)CDRLは、(i)CDRL1−C1及びCDRL1−C2から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)CDRL2−C1、CDRL2−C2、及びCDRL2−C3から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)CDRL3−C1から成るCDRL3と、を含み、(B)CDRHは、(i)CDRH1−C1及びCDRH1−C2から成る群から選択されるCDRH1と、(ii)CDRH2−C1、CDRH2−C2、及びCDRH2−C3から成る群から選択されるCDRH2と、(iii)CDRH3−C1から成るCDRH3と、を含み、(C)該抗体またはその抗原結合断片は、ヒトPAC1に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0012】
上記の1つの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0013】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0014】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0015】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0016】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0017】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0018】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0019】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0020】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0021】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0022】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0023】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0024】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0025】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0026】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0027】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0028】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0029】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C1、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0030】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0031】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0032】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0033】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0034】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0035】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0036】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0037】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0038】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0039】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0040】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0041】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C2、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0042】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0043】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0044】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C1、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0045】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、及びCDRH3−C1を含む。
【0046】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C2、及びCDRH3−C1を含む。
【0047】
上記の別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CDRL1−C2、CDRL2−C3、CDRL3−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)各々上記の対応する重鎖CDRの配列を有する重鎖CDR、CDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに(ii)各々上記の対応する重鎖CDRの配列を有する軽鎖CDR、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0049】
1つの実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−8、CDRH2−2、及びCDRH3−3と、軽鎖CDR:CDRL1−3、CDRL2−2、CDRL3−2とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−11、CDRH2−5、及びCDRH3−9と、軽鎖CDR:CDRL1−13、CDRL2−1、CDRL3−1とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−1、CDRH2−4、及びCDRH3−6と、軽鎖CDR:CDRL1−2、CDRL2−1、CDRL3−1とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−1、CDRH2−4、及びCDRH3−6と、軽鎖CDR:CDRL1−1、CDRL2−1、CDRL3−1とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−3、CDRH2−5、及びCDRH3−5と、軽鎖CDR:CDRL1−1、CDRL2−1、CDRL3−1とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−9、CDRH2−6、及びCDRH3−1と、軽鎖CDR:CDRL1−4、CDRL2−3、CDRL3−3とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−4、CDRH2−7、及びCDRH3−8と、軽鎖CDR:CDRL1−6、CDRL2−4、CDRL3−5とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−10、CDRH2−1、及びCDRH3−7と、軽鎖CDR:CDRL1−5、CDRL2−3、CDRL3−4とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−7、CDRL2−5、CDRL3−6とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−7、CDRH2−3、及びCDRH3−4と、軽鎖CDR:CDRL1−8、CDRL2−6、CDRL3−7とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−2、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−9、CDRL2−5、CDRL3−8とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−10、CDRL2−5、CDRL3−6とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−10、CDRL2−5、CDRL3−6とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0063】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−12、CDRL2−5、CDRL3−6とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0064】
別の実施形態では、本発明は、重鎖CDR:CDRH1−5、CDRH2−8、及びCDRH3−2と、軽鎖CDR:CDRL1−11、CDRL2−5、CDRL3−8とを含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。、
【0065】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1−1、CDRH1−2、CDRH1−3、CDRH1−4、CDRH1−5、 CDRH1−6、CDRH1−7、CDRH1−8、CDRH1−9、CDRH1−10、及びCDRH1−11から成る群から選択される重鎖CDR1を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0066】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH2−1、CDRH2−2、CDRH2−3、CDRH2−4、CDRH2−5、 CDRH2−6、CDRH2−7、及びCDRH2−8から成る群から選択される重鎖CDR2を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0067】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH3−1、CDRH3−2、CDRH3−3、CDRH3−4、CDRH3−5、 CDRH3−6、CDRH3−7、CDRH3−8、及びCDRH3−9から成る群から選択される重鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0068】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRL1−1、CDRL1−2、CDRL1−3、CDRL1−4、CDRL1−5、CDRL1−6、CDRL1−7、CDRL1−8、CDRL1−9、CDRL1−10、CDRL1−11、CDRL1−12及びCDRL1−13から成る群から選択される軽鎖CDR1を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0069】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRL2−1、CDRL2−2、CDRL2−3、CDRL2−4、CDRL2−5、及びCDRL2−6から成る群から選択される軽鎖CDR2を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0070】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、CDRL3−1、CDRL3−2、CDRL3−3、CDRL3−4、CDRL3−5、CDRL3−6,CDRL3−7、及びCDRL3−8から成る群から選択される軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0071】
別の態様では、本発明は、任意選択的にヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、上記の重鎖CDR1、上記の重鎖CDR2、上記の重鎖CDR3、上記の軽鎖CDR1、上記の軽鎖CDR2、及び上記の軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0072】
別の態様では、本発明は、任意選択的にヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0073】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)表3Bに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表3Bに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表3Bに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0074】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、LV−01、LV−02、LV−03、LV−04、LV−05、LV−06、LV−07、LV−08、LV−09、LV−10、LV−11、LV−12、LV−13、LV−14、LV−15、LV−16、LV−17、LV−18、LV−19、LV−20、及びLV−21から成る群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0075】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、HV−01、HV−02、HV−03、HV−04、HV−05、HV−06、HV−07、HV−08、HV−09、HV−10、HV−11、HV−12、HV−13、HV−14、HV−15、HV−16、HV−17、HV−18、HV−19、HV−20、HV−21、HV−22、HV−23、HV−24、HV−25、及びHV−26から成る群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0076】
1つの実施形態では、本発明は、LV−01及びHV−01を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、LV−02及びHV−02を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、LV−03及びHV−02を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0079】
別の実施形態では、本発明は、LV−04及びHV−03を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0080】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−03を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、LV−06及びHV−03を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0082】
別の実施形態では、本発明は、LV−04及びHV−04を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、LV−04及びHV−05を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0084】
別の実施形態では、本発明は、LV−07及びHV−04を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0085】
別の実施形態では、本発明は、LV−07及びHV−05を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0086】
別の実施形態では、本発明は、LV−07及びHV−03を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0087】
別の実施形態では、本発明は、LV−04及びHV−06を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0088】
別の実施形態では、本発明は、LV−04及びHV−06を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0089】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−05を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0090】
別の実施形態では、本発明は、LV−08及びHV−05を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0091】
別の実施形態では、本発明は、LV−09及びHV−05を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−07を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−08を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、LV−09及びHV−07を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、LV−09及びHV−08を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、LV−09及びHV−09を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−09を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−10を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0099】
別の実施形態では、本発明は、LV−08及びHV−10を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−11を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−12を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、LV−05及びHV−13を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、LV−08及びHV−13を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、LV−10及びHV−14を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、LV−11及びHV−14を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、LV−12及びHV−15を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0107】
別の実施形態では、本発明は、LV−12及びHV−16を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0108】
別の実施形態では、本発明は、LV−13及びHV−17を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、LV−14及びHV−18を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、LV−14及びHV−19を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0111】
別の実施形態では、本発明は、LV−15及びHV−20を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、LV−16及びHV−21を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、LV−17及びHV−22を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、LV−18及びHV−23を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0115】
別の実施形態では、本発明は、LV−19及びHV−24を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、LV−19及びHV−25を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0117】
別の実施形態では、本発明は、LV−20及びHV−21を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、LV−21及びHV−26を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0119】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)表2Aに記載される配列から成る群から選択される配列、または(ii)表2Aに記載される配列のうちの1つに少なくとも90%同一である配列、または(iii)表2Aに記載される配列のうちの1つに少なくとも95%同一である配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0120】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)表2Bに記載される配列から成る群から選択される配列、または(ii)表2Bに記載される配列のうちの1つに少なくとも90%同一である配列、または(iii)表2Bに記載される配列のうちの1つに少なくとも95%同一である配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0121】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、LC−01、LC−02、LC−03、LC−04、LC−05、LC−06、LC−07、LC−08、LC−09、LC−10、LC−11、LC−12、LC−13、LC−14、LC−15、LC−16、LC−17、LC−18、LC−19、LC−20、及びLC−21から成る群から選択される軽鎖アミノ酸配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0122】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、HC−01、HC−02、HC−03、HC−04、HC−05、HC−06、HC−07、HC−08、HC−09、HC−10、HC−11、HC−12、HC−13、HC−14、HC−15、HC−16、HC−17、HC−18、HC−19、HC−20、HC−21、HC−22、HC−23、HC−24、HC−25、HC−26、HC−27、HC−28、HC−29、HC−30、HC−31、HC−32、HC−33、HC−34、HC−35、HC−36、HC−37、HC−38、HC−39、HC−40、HC−41、HC−42、HC−43、HC−44、HC−45、HC−46、HC−47、HC−48、HC−49、HC−50、HC−51、HC−52、及びHC−53から成る群から選択される重鎖アミノ酸配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0123】
1つの実施形態では、本発明は、LC−01及びHC−01(01A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0124】
他の実施形態では、本発明は、LC−01及びHC−02(01B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0125】
他の実施形態では、本発明は、LC−02及びHC−03(02A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0126】
他の実施形態では、本発明は、LC−02及びHC−04(02B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、LC−02及びHC−05(02C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0128】
他の実施形態では、本発明は、LC−03及びHC−03(03A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0129】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−06(04A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0130】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−07(04B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0131】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−08(04C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0132】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−06(05A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0133】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−07(05B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0134】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−08(05C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0135】
他の実施形態では、本発明は、LC−06及びHC−06(06A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0136】
他の実施形態では、本発明は、LC−06及びHC−07(06B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、LC−06及びHC−08(06C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−09(07A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0139】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−10(07B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0140】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−11(07C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0141】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−12(08A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0142】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−13(08B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0143】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−14(08C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0144】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−09(09A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0145】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−10(09B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0146】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−11(09C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0147】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−12(10A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0148】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−13(10B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0149】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−14(10C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0150】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−06(11A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0151】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−07(11B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0152】
他の実施形態では、本発明は、LC−07及びHC−08(11C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0153】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−15(12A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0154】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−16(12B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0155】
他の実施形態では、本発明は、LC−04及びHC−17(12C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0156】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−12(13A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0157】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−13(13B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0158】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−14(13C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0159】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−12(14A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0160】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−13(14B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0161】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−14(14C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0162】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−12(15A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0163】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−13(15B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0164】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−14(15C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0165】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−18(16A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0166】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−19(16B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0167】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−20(16C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0168】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−21(17A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0169】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−22(17B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0170】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−23(17C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0171】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−18(18A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0172】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−19(18B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0173】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−20(18C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0174】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−21(19A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0175】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−22(19B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0176】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−23(19C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0177】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−24(20A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0178】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−25(20B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0179】
他の実施形態では、本発明は、LC−09及びHC−26(20C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0180】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−24(21A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0181】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−25(21B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0182】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−26(21C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0183】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−27(22A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0184】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−28(22B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0185】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−29(22C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0186】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−27(23A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0187】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−28(23B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0188】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−29(23C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0189】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−30(24A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0190】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−31(24B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0191】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−32(24C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0192】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−33(25A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0193】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−34(25B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0194】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−35(25C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0195】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−36(26A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0196】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−37(26B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0197】
他の実施形態では、本発明は、LC−05及びHC−38(26C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0198】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−36(27A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0199】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−37(27B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0200】
他の実施形態では、本発明は、LC−08及びHC−38(27C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0201】
他の実施形態では、本発明は、LC−10及びHC−39(28A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0202】
他の実施形態では、本発明は、LC−10及びHC−40(28B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0203】
他の実施形態では、本発明は、LC−10及びHC−41(28C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0204】
他の実施形態では、本発明は、LC−11及びHC−39(29A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0205】
他の実施形態では、本発明は、LC−11及びHC−40(29B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0206】
他の実施形態では、本発明は、LC−11及びHC−41(29C)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0207】
他の実施形態では、本発明は、LC−12及びHC−42(30A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0208】
他の実施形態では、本発明は、LC−12及びHC−43(31A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0209】
他の実施形態では、本発明は、LC−13及びHC−44(32A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0210】
他の実施形態では、本発明は、LC−14及びHC−45(33A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0211】
他の実施形態では、本発明は、LC−14及びHC−46(34A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0212】
他の実施形態では、本発明は、LC−15及びHC−47(35A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0213】
他の実施形態では、本発明は、LC−16及びHC−48(36A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0214】
他の実施形態では、本発明は、LC−17及びHC−49(37A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0215】
他の実施形態では、本発明は、LC−18及びHC−50(38A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0216】
他の実施形態では、本発明は、LC−19及びHC−51(39A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0217】
他の実施形態では、本発明は、LC−19及びHC−52(39B)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0218】
他の実施形態では、本発明は、LC−20及びHC−48(40A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0219】
他の実施形態では、本発明は、LC−21及びHC−53(41A)を含む、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0220】
別の態様では、本発明は、抗体がポリクローナル抗体である、前述のいずれかの単離された抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0221】
別の態様では、本発明は、単離された抗体が、モノクローナル抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、及び一本鎖抗体から成る群から選択される、上記のいずれかの単離された抗体を含む。
【0222】
別の態様では、本発明は、単離された抗体が、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、及びキメラ抗体から成る群から選択されるモノクローナル抗体である、上記の単離された抗体を含む。
【0223】
上記の1つの実施形態では、上記のいずれかによる単離された抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0224】
別の態様では、本発明は、抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体である、上記の単離された抗体を含む。
【0225】
別の態様では、本発明は、抗体が、グリコシル化されていない(aglycosylated)IgG1抗体である、上記の単離された抗体を含む。
【0226】
別の態様では、本発明は、グリコシル化されていないIgG1抗体が、その重鎖内のN297位に突然変異を含む、上記の単離された抗体を含む。
【0227】
別の態様では、本発明は、グリコシル化されていないIgG1抗体が、その重鎖内に置換N297Gを含む、上記の単離された抗体を含む。
【0228】
別の態様では、本発明は、グリコシル化されていないIgG1抗体が、その重鎖内に置換N297G、R292C及びV302Cを含む、上記の単離された抗体を含む。
【0229】
別の態様では、本発明は、抗体が、hVPA1及びhVPAC2と比較してhPAC1を選択的に阻害する、上記のいずれかの単離された抗体を含む。
【0230】
別の態様では、本発明は、選択性の比が100:1超である、上記の単離された抗体を含む。
【0231】
別の態様では、本発明は、選択性の比が1000:1超である、上記の単離された抗体を含む。
【0232】
別の態様では、本発明は、上記のいずれかの抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0233】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片をコードする単離された核酸であって、(i)表1Aに記載される配列から成る群から選択される配列、または(ii)表1Aに記載される配列のうちの1つに少なくとも90%同一である配列、または(iii)表1Aに記載される配列のうちの1つに少なくとも95%同一である配列を含む、単離された核酸を含む。
【0234】
別の態様では、本発明は、ヒトPAC1に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片をコードする単離された核酸であって、(i)表1Bに記載される配列から成る群から選択される配列、または(ii)表1Bに記載される配列のうちの1つに少なくとも90%同一である配列、または(iii)表1Bに記載される配列のうちの1つに少なくとも95%同一である配列を含む、単離された核酸を含む。
【0235】
別の態様では、本発明は、表1Aに記載される配列から成る群から選択される核酸配列、(ii)表1Aに記載される配列からなる群から選択される核酸配列に少なくとも80%同一である核酸配列、(iii)表1Aに記載される配列からなる群から選択される核酸配列に少なくとも90%同一である核酸配列、または(iv)表1Aに記載される配列からなる群から選択される核酸配列に少なくとも95%同一である核酸配列を有する、単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0236】
別の態様では、本発明は、表1Bに記載される配列から成る群から選択される核酸配列、(ii)表1Bに記載される配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも80%同一である核酸配列、(iii)表1Bに記載される配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも90%同一である核酸配列、または(iv)表1Bに記載される配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも95%同一である核酸配列を有する、単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0237】
別の態様では、本発明は、表3Aに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列、(ii)表3Aに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも80%同一である核酸配列、(iii)表3Aに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも90%同一である核酸配列、または(iv)表3Aに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも95%同一である核酸配列を有する、単離されたポリヌクレオチドを含む。別の態様では、本発明は、表3Bに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列、(ii)表3Bに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも80%同一である核酸配列、(iii)表3Bに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも90%同一である核酸配列、または(iv)表3Aに記載される可変領域をコードする核酸配列から成る群から選択される核酸配列に少なくとも95%同一である核酸配列を有する、単離されたポリヌクレオチドを含む。
【0238】
別の態様では、本発明は、上記のいずれかの単離された核酸またはポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。
【0239】
別の態様では、本発明は、上記の発現ベクターで形質転換された細胞株を含む。
【0240】
別の態様では、本発明は、上記のいずれかの抗体またはその抗原結合断片を作製する方法であって、本抗体またはその抗原結合断片を、該抗体またはその抗原結合断片を分泌する上記の宿主細胞から調製することを含む、方法を含む。
【0241】
別の態様では、本発明は、上記のいずれかの抗体またはその抗原結合断片と薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物を含む。
【0242】
別の態様では、本発明は、患者におけるPAC1に関連付けられる状態を治療するための方法であって、患者に、有効量の上記のいずれかの抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、方法を含む。
【0243】
別の態様では、本発明は、状態が頭痛である、上記の方法を含む。
【0244】
別の態様では、本発明は、状態が片頭痛である、上記の方法を含む。
【0245】
別の態様では、本発明は、片頭痛が反復性片頭痛である、上記の方法を含む。
【0246】
別の態様では、本発明は、片頭痛が慢性的片頭痛である、上記の方法を含む。
【0247】
別の態様では、本発明は、状態が群発頭痛ある、上記の方法を含む。
【0248】
別の態様では、本発明は、該方法が予防的治療を含む、上記のいずれかの方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0249】
図1】選択された抗hPAC1軽鎖CDR配列及び定義された抗hPAC1軽鎖CDRコンセンサス配列CDRL1−C1、CDRL1−C2、CDRL2−C1、CDRL2−C2、CDRL2−C3、及びCDRL3−C1を示す。
図2】選択された抗hPAC1重鎖CDR配列及び定義された抗hPAC1重鎖CDRコンセンサス配列CDRH1−C1、CDRH1−C2、CDRH2−C1、CDRH2−C2、CDRH2−C3、及びCDRH3−C1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0250】
本明細書で使用される章の見出しは、単に編成の目的のためであり、説明される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0251】
別段に定義されない限り、本明細書では、本出願に関連して使用される科学用語及び技術用語は当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、別段に文脈により要求されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、また複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0252】
概して、本明細書に説明される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される術語及びそれらの技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。本出願の方法及び技術は概して、別段に指示のない限り、本明細書を通して引用及び考察される、当該技術分野において周知であり種々の一般的でより具体的な参考文献に説明される従来の方法に従って実施される。例えば、参照により本明細書に援用されるSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、及びHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、当該技術分野において一般的に達成されるか、または本明細書に説明される通り、製造者の仕様書に従って実施される。本明細書に説明される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学及び薬化学に関連して使用される専門用語、ならびにそれらの実験手順及び技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技術を、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤化、及び送達、及び患者の治療に使用することができる。
【0253】
本発明は、本明細書に説明される特定の手法、プロトコル、及び試薬などに限定されず、したがって変化し得ることが理解されるべきである。本明細書に使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0254】
操作実施例を除いて、または別段に指示のない限り、本明細書に使用される成分量または反応条件を表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって改変されるものとして理解されるべきである。「約」という用語は、パーセンテージに関連して使用されるとき、±10%を意味する。
【0255】
定義
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、一本鎖及び二本鎖ヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの改変された形態であり得る。
【0256】
「単離された核酸分子」は、単離されたポリヌクレオチドが天然に見出されるポリヌクレオチドの全部または一部に伴わないか、またはそれが天然には連結されないポリヌクレオチドに連結される、ゲノム、mRNA、cDNA、もしくは合成起源のDNAもしくはRNA、またはそれらのある組み合わせを意味する。本開示の目的のため、特定のヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は、無傷の染色体を包含しないことが理解されるべきである。特定の核酸配列を「含む」単離された核酸分子は、特定された配列に加えて、最大10個もしくはさらには最大20個の他のタンパク質もしくはその一部に関するコード配列を含むことができ、または列挙された核酸配列のコード領域の発現を制御する作動可能に連結される調節配列を含むことができ、及び/またはベクター配列を含むことができる。
【0257】
別段に指定されない限り、本明細書で考察される任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’付加の方向は、転写方向と称され、該RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖上の、RNA転写物の5’末端の5’側にある配列領域は、「上流配列」と称され、該RNA転写物と同一の配列を有するDNA鎖上の、RNA転写物の3’末端の3’側にある配列領域は、「下流配列」と称される。
【0258】
「制御配列」という用語は、それがライゲートされるコード配列の発現及びプロセシングに影響を及ぼすことができるポリヌクレオチド配列を指す。かかる制御配列の性質は、宿主有機体に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物の制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含むことができる。例えば、真核生物の制御配列は、転写因子のための1つまたは複数の認識部位を含むプロモーター、転写エンハンサー配列、及び転写終結配列を含むことができる。「制御配列」は、リーダー配列及び/または融合パートナー配列を含むことができる。
【0259】
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞内に転送させるために使用される任意の分子または物体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、またはウイルス)を意味する。
【0260】
「発現ベクター」または「発現構築物」という用語は、宿主細胞の形質転換に好適であり、かつそこに作動可能に連結される1つ以上の異種コード領域の発現を(宿主細胞と共に)方向付ける、及び/または制御する核酸配列を含有するベクターを指す。発現構築物としては、転写、翻訳に影響を及ぼすかまたはそれらを制御する、またイントロンが存在する場合、それに作動可能に連結されるコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0261】
本明細書で使用されるとき、「作動可能に連結される」は、本用語が適用される構成成分が、それらの固有の機能をそれらが好適な条件下で実行することを可能にする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」ベクター内の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性に適合する条件下で達成されるように、それにライゲートされる。
【0262】
「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されているか、または形質転換されることができ、したがって関心の遺伝子を発現する細胞を意味する。本用語は、親細胞の子孫を含み、関心の遺伝子が存在する限り、該子孫が元の親細胞と形態または遺伝子構成が同一であるかどうかを問わない。
【0263】
「形質導入」という用語は、通常バクテリオファージによる、ある細菌から別の細菌への遺伝子の移動を意味する。「形質導入」はまた、複製欠陥レトロウイルスによる真核細胞配列の獲得及び移動も指す。
【0264】
「形質移入」という用語は、細胞による外来性または外因性DNAの取り込みを意味し、細胞は、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されているときに「形質移入」されている。いくつかの形質移入技術が、当該技術分野において周知であり、また本明細書に開示される。例えば、Graham et al.,1973,Virology52:456、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、上記参照、Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chu et al.,1981,Gene13:197を参照されたい。かかる技術は、1つ以上の外因性DNA部分を好適な宿主細胞内に導入するために使用することができる。
【0265】
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特徴の変化を指し、細胞は、新規のDNAまたはRNAを含有するように改変されているときに形質転換されている。例えば、細胞は、新規の遺伝物質を形質移入、形質導入、または他の技術を介して導入することによって、その天然の状態から遺伝子的に改変される場合に、形質転換される。形質移入または形質導入の後、形質転換DNAは、細胞の染色体内に物理的に一体化することによって細胞のDNAと組換えを起こし得、または複製されることなくエピソーム要素として一時的に保持され得、またはプラスミドとして独立して複製し得る。細胞は、形質転換DNAが細胞分裂によって複製されるとき、「安定的に形質転換」されていると見なされる。
【0266】
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを指す。本用語はまた、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の類似体または模倣体であるアミノ酸ポリマー、及び天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。本用語はまた、例えば、炭水化物残基を付加して糖タンパク質を形成することによって、またはリン酸化されて改変されたアミノ酸ポリマーを包含することができる。ポリペプチド及びタンパク質は、天然に存在する非組み換え細胞によって産生されることができ、または遺伝子操作されたもしくは組み換え細胞によって産生され、天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、もしくは天然の配列の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加、及び/もしくは置換を有する分子を含む。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、特定的に、例えば、抗PAC1抗体(別名PAC1抗体)などの抗体、PAC1結合タンパク質、抗体、または抗原結合タンパク質の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加、及び/もしくは置換を有する配列を包含する。「ポリペプチド断片」という用語は、全長タンパク質と比較して、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、及び/または内部欠失を有するポリペプチドを指す。かかる断片はまた、全長タンパク質と比較して改変されたアミノ酸を含有してもよい。特定の実施形態では、断片は、約5〜500個のアミノ酸の長さである。例えば、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450個のアミノ酸の長さであり得る。有用なポリペプチド断片としては、結合ドメインを含む抗体の免疫学的に機能的な断片が挙げられる。PAC1結合抗体の場合、有用な断片としては、CDR領域、重鎖もしくは軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部、または単に2つのCDRを含むその可変ドメインなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0267】
「単離されたタンパク質」(例えば、単離された抗体)、「単離されたポリペプチド」、または「単離された抗体」という用語は、対象のタンパク質、ポリペプチド、または抗体が、それが通常共に見出されるであろう大部分の他のタンパク質を含まず、それに自然では伴うポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質の少なくとも約50パーセントから分離されていることを意味する。典型的には、「単離されたタンパク質」、「単離されたポリペプチド」、または「単離された抗体」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を構成する。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNA、もしくは他のRNA、またはそれらの任意の組み合わせは、かかる単離されたタンパク質をコードすることができる。好ましくは、単離されたタンパク質ポリペプチドまたは抗体は、その治療的、診断的、予防的、研究的、または他の使用に干渉するであろう、その天然環境で見出される他のタンパク質または他のポリペプチドまたは他の汚染物質を実質的に含まない。
【0268】
「ヒトPAC1」、「ヒトPAC」、「hPAC1」及び「hPAC」、「ヒトPAC1受容体」、「ヒトPAC受容体」、「hPAC1受容体」及び「hPAC受容体」という用語は、互換的に使用され、ヒト下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチドI型受容体を指す。hPAC1は、UniProtKB/Swiss−ProtデータベースにおいてP41586(PACR_HUMAN)として指定され、ADCYAP1R1遺伝子によってコードされる468個のアミノ酸のタンパク質である。PACAP−27及びPACAP−38は、PAC1の主要な内因性作動薬である。別段に指定されるか、またはその用語が使用される文脈から明白である場合を除き、「PAC1」は、ヒトhPAC1を指す。
【0269】
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)の「改変体」は、1つ以上のアミノ酸残基が、別のポリペプチド配列と比較してアミノ酸配列内に挿入される、アミノ酸配列から欠失される、及び/またはアミノ酸配列内に置換されるアミノ酸配列を含む。改変体としては、融合タンパク質が挙げられる。
【0270】
ポリペプチドの「誘導体」は、例えば、別の化学的部分への結合を介してなど、挿入、欠失、または置換改変体とは異なる様式で化学的に改変されたポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)である。
【0271】
本明細書を通して、ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的物質に関連して使用されるとき、「天然に存在する」という用語は、天然に見出される物質を指す。
【0272】
抗体またはその抗原結合断片は、解離定数(K)≦10−6Mであるとき、その標的に「特異的に結合する」と言われる。抗体は、K≦1x10−8Mであるとき、「高い親和性」で標的抗原に特異的に結合する。1つの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、PAC1またはヒトPAC1にK≦5x10−7で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦1x10−7で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦5x10−8で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦1x10−8で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦5x10−9で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦1x10−9で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦5x10−10で結合するであろう。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、K≦1x10−10で結合するであろう。
【0273】
抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質は、特定の受容体の阻害分析における抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質のIC50が、別の「基準」受容体、例えば、hVPAC1またはhVPAC2受容体の阻害分析におけるIC50より少なくとも50倍低いときに、他の受容体と比較して特定の受容体を「選択的に阻害する」。「選択性の比」は、基準受容体のIC50を特定の受容体のIC50で除した値である。例えば、hPAC1が特定の受容体であり、hVPAC1が基準受容体であり、本明細書に説明される特定の抗PAC1抗体のIC50がhPAC1に対して10nmであり、hVPAC1に対して10μmである場合、その特定の抗体は、hPAC1に関してhVPAC1に対して1000:1の選択性の比を有すると特徴付けることができる。IC50は、(生物学的または生化学的機能の)50%の阻害を達成するために必要とされる投薬量/濃度である。放射性リガンドに関して、IC50は、放射性リガンドの特異的結合の50%を置き換える競合リガンドの濃度である。EC50は、最大応答の50%の応答を誘発するのに必要とされる濃度または投薬量である。
【0274】
Kiデータは、典型的には放射性同位体(例えば、125I)を「作動薬」に付着させることによって行われる競合結合実験の文脈において、典型的には生成される。本実験は、漸増濃度の「拮抗薬」における作動薬の結合を測定する。Kiは、放射性リガンドが存在しなかった場合に受容体の50%を占めるであろう「拮抗薬」または試験化合物、例えば、試験抗PAC1抗体などの濃度を指す。Kiは、等式Ki=IC50/(1+([L]/Kd))を使用して計算することができ、[L]は、使用される放射性リガンド(例えば、125Iで標識されたPAC−1抗体)の濃度であり、Kdは、放射性リガンドの解離定数である。例えば、Wharton J,Polak JM(eds)Receptor autoradiography,principles and practice.Oxford University Press,Oxford内のKeen M,MacDermot J(1993)Analysis of receptors by radioligand binding.を参照されたい。
【0275】
「抗原結合領域」は、特定の抗原に特異的に結合するタンパク質またはタンパク質の部分を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗体に付与するアミノ酸残基を含有する抗体の部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は典型的には、1つ以上の「相補性結合領域」(「CDR」)を含む。特定の抗原結合領域はまたは、1つ以上の「フレームワーク」領域を含む。「CDR」は、抗原結合特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進するようなCDRの適切な配座の維持を助けることができる。
【0276】
特定の態様では、PAC1タンパク質またはヒトPAC1に結合する組み換え抗体またはその抗原結合断片が提供される。この文脈において、「組み換えタンパク質」は、組み換え技術を使用して、すなわち、本明細書に説明される組み換え核酸の発現を通して作製されるタンパク質である。組み換えタンパク質の産生のための方法及び技術は、当該技術分野において周知である。
【0277】
「抗体」という用語は、標的抗原への特異的結合に関して無傷の抗体と競合し得る、任意のアイソタイプの無傷の免疫グロブリンまたはその抗原結合断片を指し、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、及び二重特異性抗体またはその抗原結合断片が挙げられる。したがって、「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。無傷の抗体は概して、少なくとも2つの全長重鎖と2つの全長軽鎖とを含むが、場合により、重鎖のみを含み得るラクダ類に天然に存在する抗体など、より少ない鎖を含むことがある。抗体またはその抗原結合断片は、単一の供給源にのみ由来してもよく、または「キメラ」であってもよく、すなわち、下記にさらに説明されるように抗体の異なる部分が2つの異なる抗体に由来してもよい。抗体またはその結合断片は、組み換えDNA技術によって、または無傷の抗体の酵素的もしくは化学的切断によって、ハイブリドーマにおいて産生されてもよい。別段に指示のない限り、「抗体」という用語は、2つの全長重鎖と2つの全長軽鎖とを含む抗体に加えて、その誘導体、改変体、断片、及び突然変異体を含み、それらの例は下に説明される。
【0278】
「軽鎖」という用語は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長軽鎖及びその断片を含む。全長軽鎖は、可変領域ドメイン、すなわちV、及び定常領域ドメイン、すなわちCを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖としては、κ鎖及びλ鎖が挙げられる。
【0279】
「重鎖」という用語は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長重鎖及びその断片を含む。全長重鎖は、可変領域ドメイン、すなわちV、ならびに3つの定常領域ドメイン、すなわちC1、C2、及びC3を含む。Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインはカルボキシル末端にあり、C3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1及びIgA2サブタイプを含む)、IgM、及びIgEを含む、任意のアイソタイプのものであってよい。1つの実施形態では、重鎖は、例えば、N297G突然変異を有するIgG1HCなどのグリコシル化されていないIgG1である。
【0280】
「シグナル配列」、「リーダー配列」、または「シグナルペプチド」という用語は、タンパク質の輸送を方向付ける短い(3〜60個のアミノ酸の長さの)ペプチド鎖を指す。シグナルペプチドはまた、標的シグナル、シグナル配列、輸送ペプチド、または局在シグナルとも称されることがある。幾つかのシグナルペプチドは、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断され、その結果、該タンパク質の生物学的に活性な形態(例えば、本明細書に説明される抗体)は、切断されたより短い形態である。したがって、抗体が特定の同定された配列を有する重鎖及び/または軽鎖を有するものとして特徴付けられる「重鎖…を含む抗体」、「軽鎖…を含む抗体」などの用語は、特定の同定された配列を有する抗体、シグナル配列が異なるシグナル配列によって置き換えられることを除いて特定の同定された配列を有する抗体、及び任意のシグナル配列を欠く同定された配列を有する抗体を含むように理解される。
【0281】
抗体または免疫グロブリン鎖(重鎖または軽鎖)の「抗原結合断片」(または単に「断片」)という用語は、本明細書で使用されるとき、全長鎖内に存在するアミノ酸のうちの少なくとも幾つかを欠失するが、抗原を特異的に結合することができる抗体の部分(その部分がどのように獲得または合成されるかに関わらず)を含む。かかる断片は、標的抗原に特異的に結合し、所与のエピトープへの特異的結合に関して他の抗体またはその抗原結合断片と競合し得るという点で、生物学的に活性である。1つの態様では、かかる断片は、全長軽または重鎖内に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、また幾つかの実施形態では、単一の重鎖及び/または軽鎖またはその部分を含む。これらの生物学的に活性な断片は、組み換えDNA技術によって産生されてもよく、または例えば、無傷の抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生されてもよい。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体、及び一本鎖抗体が挙げられるがこれらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ類、またはウサギを含むがこれらに限定されない任意の哺乳類源に由来してもよい。本明細書に開示される抗体の機能的部分、例えば、1つ以上のCDRは、第2のタンパク質または小分子に共有結合で結合して、二重機能性治療特性を有するかまたは延長された血清半減期を有する、体内の特定の標的に方向付けられる治療剤を作成することができることがさらに企図される。
【0282】
「Fab断片」は、1つの軽鎖、ならびに1つの重鎖のC1及び可変領域から成る。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0283】
「Fc」領域は、抗体のC1及びC2ドメインを含む2つの重鎖断片を含有する。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合によって、及びC3ドメインの疎水性相互作用によって共に保持される。
【0284】
「Fab’断片」は、1つの軽鎖、ならびに1つの重鎖のVドメイン及びC1ドメインを含有する部分、またC1及びC2ドメインの間の領域を含有し、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2つのFab’断片の2つの重鎖の間に形成されて、F(ab’)分子を形成することができる。
【0285】
「F(ab’)断片」は、2つの軽鎖と、C1及びC2ドメインの間の定常領域の一部分を含有する2つの重鎖とを含有し、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖の間に形成される。したがって、F(ab’)断片は、2つの重鎖間のジスルフィド結合によって共に保持される2つのFab’断片から構成される。
【0286】
「Fv領域」は、重鎖及び軽鎖の両方からの可変領域を含むが定常領域を欠失する。
【0287】
「一本鎖抗体」は、重鎖及び軽鎖可変領域が、可撓性リンカーによって接続されて、抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成するFv分子である。一本鎖抗体は、国際特許出願公開第WO88/01649号ならびに米国特許第4,946,778号及び同第5,260,203号にて詳細に考察されており、それらの開示は参照により援用される。
【0288】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。場合により、2つ以上のV領域がペプチドリンカーに共有結合で連結されて、二価ドメイン抗体を作成する。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的することができる。
【0289】
「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。場合により、2つの結合部位は、同一の抗原特異性を有する。二価抗体は、二重特異性であってもよい。下記を参照されたい。
【0290】
「多重特異性抗原結合タンパク質」または「多重特異性抗体」は、複数の抗原またはエピトープを標的とするものである。
【0291】
「二重特異性(bispecific)」、「二重特異性(dual−specific)」、または「二重機能性」抗原結合タンパク質または抗体は、それぞれ、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。二重特異性抗体は、多重特異性抗原結合タンパク質または多重特異性抗体の一種であり、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結が挙げられるがこれらに限定されない、多様な方法によって産生することができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。二重特異性抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、同一または異なるタンパク質標的に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
【0292】
「中和抗原結合タンパク質」または「中和抗体」という用語は、それぞれ、リガンドに結合し、リガンドのその結合パートナーへの結合を阻止し、さもなくばその結合パートナーへのリガンド結合からもたらされるであろう生物学的応答を妨げる抗原結合タンパク質または抗体を指す。例えば抗体またはその免疫学的に機能的な抗原結合断片などの抗原結合タンパク質の結合及び特異性の評価において、過剰の抗体が、リガンドに結合する結合パートナーの量を(インビトロの競合結合分析において測定するときに)少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはそれより多く低減するとき、抗体または断片は、リガンドのその結合パートナーへの結合を実質的に阻害するであろう。PAC1結合タンパク質の場合、かかる中和分子は、例えば、PACAP−27またはPACAP−38などのPACAPに結合するPAC1の能力を減少させるであろう。
【0293】
「抗原」または「免疫原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的な機能性抗原結合断片を含む)などの選択的な結合剤によって結合されることができ、またさらに、その抗原に結合することができる抗体を産生するために動物において使用されることができる分子または分子の部分を指す。抗原は、異なる抗体またはその断片と相互作用することができる1つ以上のエピトープを有することができる。
【0294】
「エピトープ」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)によって結合される分子の部分である。本用語は、抗体などの抗原結合タンパク質またはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意の決定基を含む。エピトープは、隣接または非隣接であり得る(例えば、ポリペプチド配列内では互いに隣接していないが、分子の文脈においては、抗原結合タンパク質によって結合されるアミノ酸残基)。特定の実施形態では、エピトープは、抗体を生成するために使用されるエピトープに類似の3次元構造を含むが、抗体を生成するために使用されるそのエピトープ内に見出されるアミノ酸残基を全くまたは幾つかしか含まないという点で、模倣的であり得る。ほとんどの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、場合により、核酸などの他の種類の分子上に存在することがある。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面群を含むことができ、特定の3次元構造特徴及び/または特定の電荷特徴を有することができる。概して、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質及び/または高分子の複雑な混合物中で標的抗原上のエピトープを優先的に認識するであろう。
【0295】
「同一性」という用語は、配列を整列させて比較することによって決定されるときの、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列の間の関係を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子内のアミノ酸またはヌクレオチド間の同一である残基のパーセントを意味し、比較されている分子のうちの最小ものの大きさに基づいて計算される。これらの計算のために、整列内のギャップ(存在する場合)が、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されなければならない。整列された核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法としては、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press、Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press、及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に説明されるものが挙げられる。
【0296】
パーセント同一性の計算において、比較される配列は、配列間の最大一致を付与する方法で整列される。パーセント同一性を決定するために使用されるコンピュータプログラムは、GAPを含む、GCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムGAPは、パーセント配列同一性を決定するべき2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致のために整列される(アルゴリズムによって決定される、「一致したスパン」)。ギャップ開始ペナルティ(3x平均対角として計算され、「平均対角」は、使用される比較マトリックスの対角の平均であり、「対角」は、特定の比較マトリックスによる、各々の完全なアミノ酸一致に割り当てられるスコアまたは数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ開始ペナルティの1/10倍である)、ならびにPAM250またはBLOSUM62などの比較マトリックスが、アルゴリズムと併せて使用される。特定の実施形態では、標準的な比較マトリックスもまた(PAM250比較マトリックスに関してはDayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure5:345−352、BLOSUM62比較マトリックスに関してはHenikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915−10919を参照されたい)、このアルゴリズムによって使用される。
【0297】
GAPプログラム使用したポリペプチドまたはヌクレオチド配列のパーセント同一性の決定のために推奨されるパラメータは、以下の通りである:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453、
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992(上記参照)からのBLOSUM62、
ギャップペナルティ:12(但し、終了ギャップにはペナルティ無し)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
【0298】
2つのアミノ酸配列を整列させるためのある特定の整列スキームは、2つの配列の短い領域のみの一致をもたらすことがあり、この小さい整列された領域は、2つの全長配列間に顕著な関係がないが、非常に高い配列同一性を有することがある。したがって、選択される整列方法(GAPプログラム)は、所望される場合、標的ポリペプチドの少なくとも50個の隣接するアミノ酸にわたる整列をもたらすように調節することができる。
【0299】
本明細書で使用されるとき、「実質的に純粋な」は、説明される分子の種が、存在する主要な種である、すなわち、同一の混合物中の任意の他の個々の種より、モル基準で豊富であることを意味する。ある特定の実施形態では、実質的に純粋な分子は、対象種が、存在する全ての高分子種の少なくとも50%(モル基準)を構成する組成物である。他の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を構成するであろう。他の実施形態では、対象種は、本質的に均質に精製され、汚染種は従来の検出方法によって組成物中で検出され得ず、したがって該組成物は単一の検出可能な高分子種から成る。
【0300】
「治療すること」という用語は、任意の客観的または主観的パラメータ、例えば、減少、寛解、症状を軽減する、または損傷、病状、もしくは状態を患者にとってより耐え得るものにすること、変性または減退の速度を低下させること、変性の最終点をより消耗性でないものにすること、患者の物理的または精神的健康に関与することなどを含む、損傷、病状、または状態の治療または改善の成功の任意の兆候を指す。症状の治療または改善は、身体検査、神経精神医学的検査、及び/または精神医学的評定の結果を含む、客観的または主観的パラメータに基づくことができる。例えば、本明細書に提示されるある特定の方法は、片頭痛を、予防的にかまたは急性治療としてかのいずれかで成功裏に治療し、片頭痛の頻度を減少させ、片頭痛の重篤度を減少させ、及び/または片頭痛に伴う症状を改善する。
【0301】
「有効量」は、概して、症状の重篤度及び/もしくは頻度を低減する、症状及び/もしくは根底にある原因を取り除く、症状の発症及び/もしくはその根底にある原因を予防する、ならびに/または片頭痛からもたらされるかもしくは片頭痛に関連付けられる損傷を改善もしくは修正するのに十分な量である。幾つかの実施形態では、有効量は、治療的有効量または予防的有効量である。「治療的有効量」は、疾患状態(例えば、片頭痛)または症状、特に、疾患状態に伴う状態または症状を改善するか、ないしは別の方法で、疾患状態または疾患に関連付けられる任意の他の望ましくない症状の進行を、どのような方法であれ、予防する、妨げる、遅らせる、または逆転するのに十分な量である。「予防的有効量」は、対象に投与されたときに、例えば、片頭痛の発症(もしくは再発)の予防もしく遅延、または片頭痛もしくは片頭痛症状の発症(もしくは再発)の可能性の低減など、意図される予防的効果を有するであろう薬学的組成物の量である。完全な治療的または予防的効果は、必ずしも1回の投薬によって発生せず、一連の投薬の投与後にのみ発生し得る。したがって、治療的または予防的有効量は、1回以上の投与で投与されてもよい。
【0302】
「アミノ酸」は、当該技術分野におけるその通常の意味を含む。20個の天然に存在するアミノ酸及びそれらの略語は、慣例的な用法に従う。参照によりあらゆる目的のために本明細書に援用される、Immunology−A Synthesis,2nd Edition,(E.S.Golub and D.R.Green,eds.),Sinauer Associates:Sunderland,Mass.(1991)を参照されたい。20個の従来型アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えば、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸など、及び他の非従来型アミノ酸もまた、ポリペプチドの好適な構成成分であり得、「アミノ酸」という表現に含まれる。非従来型アミノ酸の例としては、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書に使用されるポリペプチドの表記において、標準的な用法及び慣例に従って、左側方向はアミノ末端方向であり、右側方向はカルボキシル末端方向である。
【0303】
疾患におけるPAC1
頭部血管の血管周囲腔中に存在する神経ペプチドは、片頭痛発作中の侵害受容性入力の重要な媒介物質として関与するとされている。下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は、感覚三叉神経ニューロン中に存在し、神経系の異なるレベルにおいて侵害受容を調節することができる。ヒトの実験研究は、PACAP38が頭痛及び片頭痛様発作の両方を誘発する(Schytz,et al.,2009,“PACAP38 induces migraine−like attacks in patients with migraine without aura”,Brain:132 pp16−25)ことを示しており、PAC1受容体拮抗薬が片頭痛の予防的及び/または急性治療に使用され得るという考えを支持している。
【0304】
抗体
ヒトPAC1(hPAC1)タンパク質を含むPAC1タンパク質に結合する抗体が、本明細書に提供される。提供される抗体は、本明細書に説明される通り、その中へ1つ以上の相補性決定領域(CDR)が組み込まれる及び/または連結されるポリペプチドである。幾つかの抗体では、CDRは、CDR(単数または複数)の適切な抗原結合特性が達成されるようにCDR(単数または複数)を配向する「フレームワーク」領域内へ組み込まれる。概して、提供される抗体は、PAC1とそのリガンド(単数または複数)、例えば、PACAP−38などのPACAPとの間の相互作用に干渉する、それを遮断する、低減する、または調節することができる。
【0305】
ある特定の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、小型抗体(minibody)、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣体」と称される場合もある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体(本明細書では「抗体結合体」と称される場合もある)、及びそれらの断片を含むが、これらに限定されない。種々の構造は、本明細書において下にさらに説明される。
【0306】
本明細書に提供される抗体は、PAC1、特にヒトPAC1及びカニクイザル(cyno)PAC1に結合することが実証されている。下の実施例にてさらに説明される通り、特定の抗体が試験され、PAC1の構成成分のどれか一方に対する多数の他の抗体によって結合されるものとは異なるエピトープに結合することが見出された。提供される抗体は、PACAP(例えば、PACAP−38)がその受容体に結合することを防ぐ。その結果、本明細書に提供される抗体は、PAC1活性を阻害することができる。具体的には、これらのエピトープに結合する抗体は、以下の活性のうちの1つ以上を有することできる:とりわけ、PAC1シグナル形質導入経路の誘発の阻害、血管拡張の阻害、血管収縮の誘発、炎症、例えば、神経性炎症の減少、及びPACAP結合時にPAC1によって誘発される他の生理学的効果。
【0307】
本明細書に開示される抗体は、種々の有用性を有する。例えば、抗体の幾つかは、特異的結合分析、PAC1、特にhPAC1、またはそのリガンドの親和性精製、PAC1活性の他の拮抗薬を特定するためのスクリーニング分析に有用である。抗体の幾つかは、PAC1リガンド(例えば、PACAP−38)のPAC1への結合の阻害に有用である。
【0308】
当該抗体は、本明細書に説明される通り、種々の治療用途に使用することができる。例えば、ある特定のPAC1抗体は、例えば、患者における片頭痛の頻度及び/または重篤度の低減、軽減、または治療、群発頭痛の低減、軽減、または治療、慢性疼痛の低減、軽減、または治療、糖尿病(II型)の軽減または治療、循環器疾患の低減、軽減、または治療、ならびに内毒素血症及び敗血症に関連付けられる血行動態異常の低減、軽減、または治療などの、PAC1媒介シグナル伝達に関連付けられる状態の治療に有用である。抗体の他の使用としては、例えば、PAC1関連疾患または状態の診断、及びPAC1の有無を決定するためにスクリーニング分析が挙げられる。本明細書に説明される抗体の幾つかは、PAC1活性に関連付けられる結果、症状、及び/または病状の治療に有用である。これらとしては、片頭痛(例えば、慢性及び/または反復性片頭痛)を含む種々の種類の頭痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0309】
提供される抗体の幾つかは、天然に存在する抗体に典型的に関連する構造を有する。これらの抗体の構造単位は、典型的には、各々2つの同一であるポリペプチド鎖のカプレットから構成される1つ以上の四量体を含むが、哺乳類の幾つかの種は、単一の重鎖のみを有する抗体も産生する。典型的な抗体では、各対またはカプレットは、1つの全長「軽」鎖(特定の実施形態では、約25kDa)及び1つの全長「重」鎖(特定の実施形態では、約50〜70kDa)を含む。各々の個々の免疫グロブリン鎖は、複数の「免疫グロブリンドメイン」から構成され、それらは各々おおよそ90〜110個のアミノ酸から成り、特徴的な折り畳みパターンを発現する。これらのドメインは、抗体ポリペプチドが構成される基本単位である。各鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識に関与する可変ドメインを含む。カルボキシ末端部分は、鎖の他方の末端より進化的に保存され、「定常領域」または「C領域」と称される。ヒト軽鎖は概して、κ及びλ軽鎖に分類され、これらの各々は1つの可変ドメイン及び1つの定常ドメインを含有する。重鎖は、典型的には、μ、δ、γ、α、またはε鎖に分類され、これらは、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGは、複数のサブタイプを有し、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が挙げられるがこれらに限定されない。IgMサブタイプとしては、IgM及びIgM2が挙げられる。IgAサブタイプとしては、IgA1及びIgA2が挙げられる。ヒトにおいては、IgA及びIgDアイソタイプは、4つの重鎖及び4つの軽鎖を含有し、IgG及びIgEアイソタイプは、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含有し、IgMアイソタイプは、5つの重鎖及び5つの軽鎖を含有する。重鎖C領域は、典型的には、エフェクター機能に関与し得る1つ以上のドメインを含む。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに依存するであろう。IgG重鎖は、例えば、各々、C1、C2、及びC3として知られる3つのC領域ドメインを含有する。提供される抗体は、これらのアイソタイプ及びサブタイプのいずれをも有することができる。特定の実施形態では、PAC1抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4サブタイプのものである。
【0310】
全長軽及び重鎖では、可変及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。例えば、Fundamental Immunology,2nd ed.,Ch.7(Paul,W.,ed.)1989,New York:Raven Press(その全体はあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される)を参照されたい。各軽/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。
【0311】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、概して同一の全体構造を表し、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含み、3つの超可変領域によって連結され、それらの超可変領域は、より頻繁に「相補性決定領域」またはCDRと呼ばれる。上述の各重鎖/軽鎖対の2つの鎖に由来するCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されて、標的タンパク質(例えば、PAC1)上の特定のエピトープに特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端へ、天然に存在する軽及び重鎖可変領域は、どちらも典型的にはこれらの要素の以下の順序に従う:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。付番システムは、これらのドメインの各々においてアミノ酸が占める位置に数を割り当てるために考案されている。この付番システムは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987及び1991,NIH,Bethesda,MD)、またはChothia&Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917、Chothia et al.,1989,Nature342:878−883内に定義される。
【0312】
本明細書に提供される種々の重鎖及び軽鎖可変領域は、表3A及び3Bに描写される。これらの可変領域の各々は、上記の重鎖及び軽鎖定常領域に付着されて、それぞれ、完全な抗体重鎖及び軽鎖を形成することができる。さらに、そのように生成された重鎖及び軽鎖配列の各々は、組み合わされて、完全な抗体構造を形成することができる。本明細書に提供される重鎖及び軽鎖可変領域はまた、上に列挙される例示的な配列とは異なる配列を有する他の定常ドメインにも付着され得ることが理解されるべきである。
【0313】
抗体の一方または両方の鎖、またはその断片、誘導体、突然変異タンパク質、または改変体をコードする核酸、重鎖可変領域またはCDRのみをコードするポリヌクレオチド、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用に好適なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特定する、分析する、突然変異させる、または増幅するためのPCRプライマーまたはシークエンシングプライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、及び前述のものの相補的配列を含む、本明細書に説明される抗体をコードする核酸またはその部分も提供される。核酸は、任意の長さであることができる。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、もしくはそれより長いヌクレオチドの長さであることができ、及び/または1つ以上の追加の配列、例えば、調節配列などを含むことができ、及び/またはより大きい核酸、例えば、ベクターの一部であることができる。核酸は、一本鎖または二本鎖であることができ、RNA及び/またはDNAヌクレオチド、ならびにそれらの人工改変体(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0314】
表1A及び1Bは、例示的な核酸配列を示す。本明細書に提供される任意の可変領域は、これらの定常領域に付着されて、完全な重鎖及び軽鎖配列を形成することができる。しかしながら、これらの定常領域配列は、単に具体的な例としてのみ提供されることが理解されるべきであり、当業者は、IgG1重鎖定常領域、IgG3またはIgG4重鎖定常領域を含む他の定常領域、hCL−1、hCL−2、hCL−3、及びhCL−7を含む7つのλ軽鎖定常領域のいずれか、改善された安定性、発現、製造可能性、または他の所望の特長のために改変された定常領域などを用いることができる。幾つかの実施形態では、可変領域配列は、当該技術分野において既知である他の定常領域配列に連結される。
【0315】
提供される抗体の全長軽及び重鎖ならびにそれらの対応する核酸及びアミノ酸配列の具体的な例が、表1A、1B、2A、及び2Bに要約される。表1A及び2Aは、例示的な軽鎖配列を示し、表1B及び2Bは、例示的な重鎖配列を示し。これらは、それぞれのシグナル配列を伴わずに示される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【0316】
抗体の可変ドメイン
下記の表3A及び3Bに示される抗体軽鎖可変領域または抗体重鎖可変領域を含有する抗体(及び対応する核酸配列)、ならびにこれらの軽鎖及び重鎖可変領域の免疫学的に機能的な断片、誘導体、突然変異タンパク質、及び改変体も提供される。
【0317】
表3A及び3Bに示される可変領域をコードする核酸配列も含まれる。それらの配列は、表1A及び1Bに示される対応する抗体の全長核酸配列内に含有されるので、それらは、表または配列表内で別々の配列として選択されないが、表1A及び1B内の全長DNA配列と併せて、表3A及び3Bに提供される可変領域に基づいて当業者によって容易に確認され得る。
【0318】
この種類の抗体は、概して式「Vx/Vy」によって指定することができ、「x」は、重鎖可変領域の数に対応し、「y」は、軽鎖可変領域の数に対応する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0319】
CDR
本明細書に開示される抗体は、1つ以上のCDRがその中へ移植、挿入、及び/または連結されるポリペプチドである。抗体は、1、2、3、4、5、または6個のCDRを有することができる。したがって、抗体は、例えば、1つの重鎖CDR1(「CDRH1」)、及び/または1つの重鎖CDR2(「CDRH2」)、及び/または1つの重鎖CDR3(「CDRH3」)、及び/または1つの軽鎖CDR1(「CDRL1」)、及び/または1つの軽鎖CDR2(「CDRL2」)、及び/または1つの軽鎖CDR3(「CDRL3」)を有することができる。幾つかの抗体は、CDRH3及びCDRL3の両方を含む。具体的な重鎖及び軽鎖CDRは、それぞれ、表3A及び3Bに特定される。
【0320】
所与の抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、Kabat et al.によってSequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91−3242,1991において説明されるシステムを使用して特定することができる。本明細書に開示されるある特定の抗体は、表4A(CDRL)及び表4B(CDRH)に提示されるCDRのうちの1つ以上のアミノ酸配列と同一であるか、または実質的な配列同一性を有する1つ以上のアミノ酸配列を含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【0321】
天然に存在する抗体内のCDRの構造及び特性が上に説明された。手短に述べると、従来の抗体においては、CDRは、重鎖及び軽鎖可変領域内のフレームワーク内に組み込まれ、そこで抗原結合及び認識に関与する領域を構成する。可変領域は、フレームワーク領域(指定されたフレームワーク領域1〜4、FR1、FR2、FR3、及びFR4、Kabat et al.,1991(上記参照)による。同様に、Chothia and Lesk,1987(上記参照)も参照)内に、少なくとも3つの重鎖または軽鎖CDRを含む(上記参照)(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,MD、同様にChothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917、Chothia et al.,1989,Nature342:877−883も参照)。本明細書に提供されるCDRは、しかしながら、従来の抗体構造の抗原結合ドメインを定義するために使用されるばかりではなく、本明細書に説明される通り、種々の他のポリペプチド構造内に組み込まれることができる。
【0322】
本明細書に開示される抗体の幾つかは、ある特定の領域または配列を本明細書に開示される他の抗体と共有する。これらの関係は、上記の表に要約される。
【0323】
1つの態様では、本明細書に提供される単離された抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、またはそれらの抗体抗原結合断片であり得る。
【0324】
別の実施形態では、本明細書に提供される単離された抗体の抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、または一本鎖抗体分子であり得る。
【0325】
さらなる実施形態では、本明細書に提供される単離された抗体は、ヒト抗体であり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型のものであり得る。さらなる実施形態では、単離された抗体は、IgG1またはIgG2型である。さらなる実施形態では、単離された抗体は、IgG2型である。さらなる実施形態では、単離された抗体は、IgG1型である。さらなる実施形態では、IgG1型抗体は、グリコシル化されていないIgG1抗体である。さらなる実施形態では、グリコシル化されていないIgG1抗体は、N297G突然変異を有する。
【0326】
別の実施形態では、抗体は、表2A〜2Bに記載される軽または重鎖ポリペプチドのみから成る。幾つかの実施形態では、抗体は、表3A及び3Bに列挙されるものなどの軽鎖可変または重鎖可変ドメインのみから成る。かかる抗体は、1つ以上のPEG分子でペグ化することができる。
【0327】
また別の態様では、本明細書に提供される単離された抗体は、標識基に結合されることができ、ヒトPAC1の細胞外部分への結合に関して、本明細書に提供される単離された抗体のうちの1つの抗体と競合することができる。1つの実施形態では、本明細書に提供される単離された抗体は、患者に投与されるときに、単球走化を低減する、腫瘍内への単球移動を阻害する、または腫瘍内の腫瘍関連マクロファージの蓄積及び機能を阻害することができる。
【0328】
当業者によって理解されるであろう通り、描写される配列からの複数のCDRを有する任意の抗体に関して、描写される配列から独立して選択されるCDRの任意の組み合わせが有用である。したがって、独立的に選択されるCDRのうちの1、2、3、4、5、または6個を有する抗体を、生成することができる。しかしながら、当業者によって理解されるであろう通り、例えば、抗体は、概して2つのCDRH2領域で作製されないなど、特定の実施形態は、概して非反復的なCDRの組み合わせを利用する。
【0329】
モノクローナル抗体
提供される抗体は、PAC1に結合するモノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、当該技術分野において既知である任意の技術を使用して、例えば、免疫付与計画の完了後に遺伝子導入動物から採取した脾臓細胞を不死化することによって、産生することができる。脾臓細胞は、当該技術分野において既知である任意の技術を使用して、例えば、それらを骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを産生することによって、不死化することができる。ハイブリドーマ産生融合手順における使用のための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体産生であり、高い融合効率と、それらが所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択的培地内で増殖することを不可能にする酵素欠損とを有する。マウス融合における使用に好適な細胞株の例としては、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7、及びS194/5XXO Bulが挙げられ、ラット融合において使用される細胞株の例としては、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、及び4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、及びUC729−6である。
【0330】
場合により、ハイブリドーマ細胞株は、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有する遺伝子導入動物)をPAC1免疫原で免疫付与し、免疫付与された動物から脾臓細胞を採取し、採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株と融合させ、それによってハイブリドーマ細胞を生成し、ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を確立し、PAC1に結合する抗体(例えば、下記の実施例1〜3に説明される)を産生するハイブリドーマ細胞株を特定することによって産生される。かかるハイブリドーマ細胞株、及びそれらによって産生される抗PAC1モノクローナル抗体は、本出願の態様である。
【0331】
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、当該技術分野において既知である任意の技術を使用して精製することができる。
【0332】
キメラ及びヒト化抗体
前述の配列に基づくキメラ及びヒト化抗体も提供される。治療剤としての使用のためにモノクローナル抗体は、使用前に種々の方法で改変されることができる。1つの例は、共有結合で連結されて、機能性免疫グロブリン軽もしくは重鎖またはその免疫学的に機能的な部分を産生する異なる抗体に由来するタンパク質セグメントから構成される抗体である、キメラ抗体である。概して、重鎖及び/または軽鎖の一部分は、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同であり、一方で鎖(単数または複数)の残りの部分は、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体内の対応する配列に同一または相同である。キメラ抗体に関連する方法に関しては、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851−6855を参照されたい。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、及び同第5,530,101号に説明される。
【0333】
概して、キメラ抗体の作製の目標は、意図される患者種に由来するアミノ酸の数が最大となるキメラを作成することである。1つの例は、抗体が特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含み、一方で抗体鎖(単数または複数)の残りの部分は、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体内の対応する配列に同一または相同である「CDR移植」抗体である。ヒトにおける使用に関して、齧歯類抗体に由来する可変領域または選択されるCDRは、ヒト抗体に移植され、ヒト抗体の天然に存在する可変領域またはCDRを置き換えることが多い。
【0334】
1つの有用な種類のキメラ抗体は、「ヒト化」抗体である。概して、ヒト化抗体は、初めに非ヒト動物において作られたモノクローナル抗体から産生される。このモノクローナル抗体内の特定のアミノ酸残基は、典型的には、抗体の非抗原認識部分に由来し、対応するアイソタイプのヒト抗体内の対応する残基と相同であるように改変される。ヒト化は、例えば、種々の方法を使用して、齧歯類可変領域の少なくとも一部分をヒト抗体の対応する領域と置換することによって実施することができる(例えば、米国特許第5,585,089号及び同第5,693,762号、Jones et al.,1986,Nature321:522−525、Riechmann et al.,1988,Nature332:323−27、Verhoeyen et al.,1988,Science239:1534−1536を参照されたい)。
【0335】
1つの態様では、本明細書に提供される抗体の軽及び重鎖可変領域のCDRは、同一または異なる系統学的種に由来する抗体に由来するフレームワーク領域(FR)に移植される。例えば、本明細書に説明される重鎖及び軽鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植されることができる。コンセンサスヒトFRを作成するために、複数のヒト重鎖または軽鎖アミノ酸配列に由来するFRは、コンセンサスアミノ酸配列を特定するために整列させることができる。他の実施形態では、本明細書に開示される重鎖または軽鎖のFRは、異なる重鎖または軽鎖に由来するFRで置き換えられる。1つの態様では、抗PAC1抗体の重鎖及び軽鎖のFR内の希少アミノ酸は置き換えられず、FRアミノ酸の残りは置き換えられる。「希少アミノ酸」は、この特定のアミノ酸が通常はFR内に見出されない位置に存在する特定のアミノ酸である。別法として、1つの重鎖または軽鎖に由来する移植可変領域は、本明細書に開示されるその特定の重鎖または軽鎖の定常領域とは異なる定常領域と共に使用することができる。他の実施形態では、移植可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。
【0336】
特定の実施形態では、ヒト以外の種に由来する定常領域を、ヒト可変領域(単数または複数)と共に使用して、ハイブリッド抗体を産生することができる。
【0337】
完全ヒト抗体
完全ヒト抗体も提供される。人間を抗原に曝露することなく所与の抗原に特異的な完全ヒト抗体を作製するための方法が、利用可能である(「完全ヒト抗体」)。完全ヒト抗体の産生を実施するために提供される1つの具体的な手段は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内因性Ig遺伝子が不活性化されたマウスへのヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の導入は、任意の望ましい抗原で免疫付与され得る動物、マウスにおいて完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を産生する1つの手段である。完全ヒト抗体の使用は、マウスまたはマウス由来mAbを治療剤としてヒトに投与することによって引き起こされ得ることがある免疫原性及びアレルギー性応答を最小にすることができる。
【0338】
完全ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン産生の不在下でヒト抗体のレパートリーを産生することができる遺伝子導入動物(通常はマウス)を免疫付与することによって、産生することができる。この目的のための抗原は、典型的には6個以上の隣接するアミノ酸を有し、ハプテンなどの担体に任意選択的に結合される。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2551−2555、Jakobovits et al.,1993,Nature362:255−258、及びBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.7:33を参照されたい。かかる方法の1つの例では、遺伝子導入動物は、中のマウス重及び軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座を不能にし、マウスゲノム内に、ヒト重鎖及び軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含有するヒトゲノムDNAの大きい断片を挿入することによって産生される。ヒト免疫グロブリン遺伝子座の完全な相補体より少ないものを有する部分的に改変された動物は次に、所望の免疫系改変の全てを有する動物を得るために異種交配される。免疫原を投与されると、これらの遺伝子導入動物は、該免疫源に免疫特異的であるが、可変領域を含む、マウスアミノ酸配列よりむしろヒトアミノ酸配列を有する抗体を産生する。かかる方法のさらなる詳細に関しては、例えば、第WO96/33735号及び第WO94/02602号を参照されたい。ヒト抗体を作製するための遺伝子導入マウスに関連するさらなる方法は、米国特許第5,545,807号、同第6,713,610号、同第6,673,986号、同第6,162,963号、同第5,545,807号、同第6,300,129号、同第6,255,458号、同第5,877,397号、同第5,874,299号、及び同第5,545,806号、PCT公開第WO91/10741号、同第WO90/04036号、ならびに第EP546073B1号及び第EP546073A1号に説明される。
【0339】
上記に説明される遺伝子導入マウスは、本明細書において「HuMab」マウスと称され、内因性[μ]及び[κ]鎖遺伝子座を不活性化する標的突然変異と共に、再配列されていないヒト重([μ]及び[γ])及び[κ]軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含有する(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859)。したがって、マウスは、マウスIgMまたは[κ]の低減された発現を示し、免疫付与に応答して、導入されたヒト重鎖及び軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチ及び体細胞突然変異を受けて、高親和性ヒトIgG[κ]モノクローナル抗体を生成する(Lonberg et al.,上記参照、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research20:6287−6295、Chen et al.,1993,International Immunology5:647−656、Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912−2920、Lonberg et al.,1994,Nature368:856−859、Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology113:49−101、Taylor et al.,1994,International Immunology6:579−591、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536−546、Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology14:845−851に詳細に説明され、前述の参考文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。さらに、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,789,650号、同第5,877,397号、同第5,661,016号、同第5,814,318号、同第5,874,299号、及び同第5,770,429号、ならびに米国特許第5,545,807号、国際公開第WO93/1227号、同第WO92/22646号、及び同第WO92/03918号を参照されたく、それらの全ての開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。これらの遺伝子導入マウスにおいてヒト抗体を産生するために利用される技術はまた、第WO98/24893号、及びMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146−156にも開示され、それらは参照により本明細書に援用される。例えば、HCo7及びHCo12遺伝子導入マウス株を使用して、抗PAC1抗体を生成することができる。遺伝子導入マウスを使用したヒト抗体の産生に関するさらなる詳細は、下記の実施例に提供される。
【0340】
ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特性を有する抗原特異性ヒトmAbを生成し、また上記に説明されるものなどの遺伝子導入マウスから選択することができる。かかる抗体は、好適なベクター及び宿主細胞を使用してクローン化及び発現されてもよく、または抗体は、培養されたハイブリドーマ細胞から採取されることができる。
【0341】
完全ヒト抗体はまた、(Hoogenboom et al.,1991,J.Mol.Biol.227:381、及びMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581に開示される通り)ファージディスプレイライブラリに由来することもできる。ファージディスプレイ技術は、繊維状バクテリオファージの表面上の抗体レパートリーのディスプレイ、及び最適な抗原へのそれらの結合によるその後のファージの選択を通じて免疫選択を模倣する。1つのかかる技術は、PCT公開第WO99/10494号(参照により本明細書に援用される)に説明され、それは、かかるアプローチを使用したMPL及びmsk受容体に関する高親和性及び機能性作動性抗体の単離を説明している。
【0342】
二重特異性または二重機能性抗体
提供される抗体はまた、上記に説明される1つ以上のCDRまたは1つ以上の可変領域を含む二重特異性及び二重機能性抗体も含む。二重特異性または二重機能性抗体は、場合により、2つの異なる重/軽鎖対と2つの異なる結合部位とを有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結が挙げられるが、これらに限定されない多様な方法によって産生することができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。
【0343】
種々の他の形態
提供される抗体の幾つかは、上に開示される抗体の改変体形態である。例えば、抗体の幾つかは、上記に列挙される重鎖または軽鎖、可変領域またはCDRのうちの1つ以上の中に1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する。
【0344】
天然に存在するアミノ酸は、共通の側鎖特性に基づいて分類することができる:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
3)酸性:Asp、Glu、
4)塩基性:His、Lys、Arg、
5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、及び
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0345】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、同一のクラスの別のメンバーとの交換が関与し得る。保存的アミノ酸置換は、典型的には生物学的システムにおける合成によってよりむしろ化学的ペプチド結合によって組み込まれる、天然には存在しないアミノ酸残基を包含することができる。これらは、ペプチド模倣体及びアミノ酸部分の他の逆転または反転された形態を含む。
【0346】
非保存的置換は、上述のクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラスの別のメンバーとの交換が関与し得る。かかる置換残基は、ヒト抗体と相同である抗体の領域内、または分子の非相同領域内に導入することができる。
【0347】
かかる変更において、特定に実施形態によると、アミノ酸の疎水性親水性指数が考慮され得る。タンパク質の疎水性親水性プロフィールは、各アミノ酸に数値(「疎水性親水性の指数」)を割り当て、次にそのペプチド鎖に沿ってこれらの値を反復的に平均化することによって計算される。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特徴に基づいて疎水性親水性指数を割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。
【0348】
タンパク質への相互作用的な生物学的機能の付与における疎水性親水性プロフィールの重要性は、当該技術分野において理解されている(例えば、Kyte et al.,1982,J.Mol.Biol.157:105−131を参照)。ある特定のアミノ酸は、類似の疎水性親水性指数またはスコアを有する他のアミノ酸と置換され、類似の生物学的活性を依然として保持し得ることが知られている。疎水性親水性指数に基づいた変更において、ある特定の実施形態では、その疎水性親水性指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。幾つかの態様では、±1以内であるものが含まれ、また他の態様では、±0.5以内のものが含まれる。
【0349】
また、類似のアミノ酸の置換は、特に、それによって作成される生物学的機能性タンパク質またはペプチドが、ここで考察されている場合のように免疫学的な実施形態における使用を意図される場合、親水性に基づいて効果的に行われ得ることも当該技術分野において理解される。ある特定の実施形態では、タンパク質の最大局所平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって決定されるとき、その免疫原性及び抗原結合または免疫原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0350】
以下の親水性値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)。類似の親水性値に基づいた変更において、ある特定の実施形態では、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の実施形態では、±1以内であるものが含まれ、また他の態様では、±0.5以内のものが含まれる。場合により、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープを特定することもできる。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも称される。
【0351】
例示的な保存的アミノ酸置換が表6に記載される。
【表6-1】
【表6-2】
【0352】
当業者は、周知の技術を使用して、本明細書に記載されるポリペプチドの好適な改変体を決定することができるであろう。当業者は、活性に重要であると考えられてはいない標的領域によって活性を損なうことなく変更され得る好適な分子領域を特定することができる。当業者はまた、類似のポリペプチド間で保存される分子の残基及び部分を特定することもできるであろう。さらなる実施形態では、生物学的活性に、または構造に重要であり得る領域ですら、生物学的活性を損なうことなく、またはポリペプチド構造に悪影響を及ぼすことなく保存的アミノ酸置換に供されることができる。
【0353】
それに加えて、当業者は、活性または構造に重要な類似のポリペプチド内の残基を特定する構造機能試験を精査することができる。かかる比較の観点から、類似のタンパク質内の活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質内のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、かかる予測される重要なアミノ酸残基に関して、化学的に類似のアミノ酸置換を選択することができる。
【0354】
当業者はまた、3次元構造及びアミノ酸配列を、類似のポリペプチド内のその構造に関連して分析することもできる。かかる情報の観点から、当業者は、抗体のアミノ酸残基の整列をその3次元構造に関して予測することができる。当業者は、タンパク質の表面上にあると予測されるアミノ酸残基に対して、かかる残基は他の分子との重要な相互作用に関与する可能性があるため、根本的な変更を行わないことを選択することができる。さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基に単一のアミノ酸置換を含有する試験改変体を生成することができる。これらの改変体は次に、PAC1中和活性に関する分析(下記の実施例参照)を使用してスクリーニングされ、したがってどのアミノ酸が変更され得るか及び変更されるべきではないかに関する情報をもたらすことができる。換言すれば、かかる日常的な実験から収集される情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が、単独でか、または他の突然変異と組み合わせてか、のいずれかで回避されるべきであるアミノ酸位置を容易に決定することができる。
【0355】
多数の科学出版物が、二次構造の予測を取り扱っている。Moult,1996,Curr.Op.in Biotech.7:422−427、Chou et al.,1974,Biochem.13:222−245、Chou et al.,1974,Biochemistry113:211−222、Chou et al.,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45−148、Chou et al.,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251−276、及びChou et al.,1979,Biophys.J.26:367−384を参照されたい。さらに、二次構造の予測を助けるために、コンピュータプログラムが現在利用可能である。二次構造を予測する1つの方法は、ホモロジーモデリングに基づく。例えば、30%超の配列同一性または40%超の類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、類似の構造トポロジーを有し得る。タンパク質構造データベース(PDB)の近年の発展は、ポリペプチドまたはタンパク質の構造内部の可能な折り畳み数を含む、二次構造の強化された予測可能性を提供している。Holm et al.,1999,Nucl.Acid.Res.27:244−247を参照されたい。所与のポリペプチドまたはタンパク質内に限定された数の折り畳みが存在すること、及び構造の臨界数が決定されると、構造予測は劇的により正確になるであろうことが示唆されている(Brenner et al.,1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369−376)。
【0356】
二次構造の予測のさらなる方法としては、「スレッディング」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−387、Sippl et al.,1996,Structure4:15−19)、「プロフィール解析」(Bowie et al.,1991,Science253:164−170、Gribskov et al.,1990,Meth.Enzym.183:146−159、Gribskov et al.,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355−4358)、及び「進化的連結」(Holm,1999,上記参照、及びBrenner,1997,上記参照を参照されたい)が挙げられる。
【0357】
幾つかの実施形態では、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減する、(2)酸化に対する感受性を低減する、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更する、(4)リガンドもしくは抗原結合親和性を変更する、及び/または(4)かかるポリペプチド上の他の物理化学的もしくは機能的特性を付与もしくは改変する、アミノ酸置換が作製される。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の実施形態では、保存的アミノ酸置換)が、天然に存在する配列内に作製されてもよい。置換は、分子間接触を形成するドメイン(単数または複数)の外側に存在する抗体の部分内に作製されることができる)。かかる実施形態では、親配列の構造特徴を実質的に変更しない保存的アミノ酸置換(例えば、親または天然抗体を特徴付ける二次構造を破壊しない1つ以上の置き換えアミノ酸)を使用することができる。当該技術分野において認識されているポリペプチド二次構造及び三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.),1984,W.H.New York:Freeman and Company、Introduction to Protein Structure(Branden and Tooze,eds.),1991,New York:Garland Publishing、及びThornton et al.,1991,Nature354:105に説明されており、それらは各々参照により本明細書に援用される。
【0358】
さらなる好ましい抗体改変体としては、親または天然のアミノ酸配列内の1つ以上のシステイン残基が、欠失されるか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されるシステイン改変体が挙げられる。システイン改変体は、とりわけ、抗体が生物学的に活性な配座に再び折り畳まれなければならないときに有用である。システイン改変体は、天然抗体より少ないシステイン残基を有することができ、典型的には、不対システインから得られる相互作用を最小にするために偶数を有する。
【0359】
開示される重鎖及び軽鎖、可変領域ドメイン、及びCDRは、PAC1に特異的に結合することができる抗原結合領域を含有するポリペプチドを調製するために使用することができる。例えば、表4A及び4Bに列挙されるCDRのうちの1つ以上は、共有的または非共有結合で分子(例えば、ポリペプチド)内に組み込まれて、免疫接着を作製することができる。免疫接着は、より大きいポリペプチド鎖の一部としてCDR(単数または複数)を組み込んでもよく、別のポリペプチド鎖にCDR(単数または複数)を共有結合で連結させてもよく、またはCDR(単数または複数)を非共有結合で組み込んでもよい。CDR(単数または複数)は、特定の関心の抗原(例えば、PAC1またはそのエピトープ)に特異的に結合するための免疫接着を可能にする。
【0360】
本明細書に説明される可変領域ドメイン及びCDRに基づく模倣体(例えば、「ペプチド模倣体(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣体(peptidomimetics)」)も、提供される。これらの類似体は、ペプチド、非ペプチド、またはペプチド及び非ペプチド領域の組み合わせであり得る。Fauchere,1986,Adv.Drug Res.15:29、Veber and Freidinger,1985,TINS p.392、及びEvans et al.,1987,J.Med.Chem.30:1229、これらはあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。治療的に有用なペプチドに構造的に類似のペプチド模倣体は、類似の治療的または予防的効果を生み出すために使用することができる。かかる化合物は、コンピュータ化された分子モデリングを用いて開発されることが多い。概して、ペプチド模倣体は、例えば、ここではPAC1に特異的に結合する能力などの、所望の生物学的活性を示す抗体に構造的に類似であるが、当該技術分野において周知である方法によって、1つ以上のペプチド連結が−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH−CH−(シス及びトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、及び−CHSO−から選択される連結によって任意選択的に置き換えられるタンパク質である。同一の種類のD−アミノ酸を有するコンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の規則的な置換(例えば、L−リシンの代わりのD−リシン)は、ある特定の実施形態において、より安定したタンパク質を生成するために使用することができる。それに加えて、コンセンサス配列または実質的に同一であるコンセンサス配列の変形を含む拘束性ペプチドは、当該技術分野において既知である方法(Rizo and Gierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387)、参照により本明細書に援用される)によって、例えば、ペプチドを環化する分子間ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって、生成することができる。
【0361】
本明細書に説明される抗体の誘導体も提供される。誘導体化された抗体は、特定の使用における増加された半減期などの所望の特性を抗体または断片に付与する、任意の分子または物質を含むことができる。誘導体化された抗体は、例えば、検出可能(または標識)部分(例えば、放射性、比色分析、抗原または酵素分子、検出可能ビーズ(例えば、磁性または高電子密度(例えば、金)ビーズ)、または別の分子に結合する分子(例えば、ビオチンまたはストレプトアビジン))、治療的または診断的部分(例えば、放射性、細胞毒性、または薬学的に活性な部分)、あるいは特定の使用に対する抗体の適合性を増加させる分子(例えば、ヒト対象などの対象への投与、または他のインビボもしくはインビトロの使用)を含むことができる。抗体を誘導体化するために使用することができる分子の例としては、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。抗体のアルブミンに連結された及びペグ化された誘導体は、当該技術分野において周知である技術を使用して調製することができる。ある特定の抗体は、本明細書に説明されるPEG化一本鎖ポリペプチドを含む。1つの実施形態では、抗体は、トランスサイレチン(TTR)またはTTR改変体に結合されるか、ないしは別の方法で連結される。TTRまたはTTR改変体は、例えば、デキストラン、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、及びポリビニルアルコールから成る群から選択される化学物質を用いて、化学的に改変することができる。
【0362】
他の誘導体としては、例えば、PAC1結合タンパク質のN末端またはC末端に融合された異種ポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質の発現による、PAC1結合タンパク質の他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合または集合的複合体が挙げられる。例えば、複合ペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母α−因子リーダーなど、またはエピトープタグなどのペプチドであってもよい。PAC1抗体含有融合タンパク質は、PAC1結合タンパク質の精製または特定を促進するために付加されるペプチドを含むことができる(例えば、ポリ−His)。PAC1結合タンパク質はまた、Hopp et al.,1988,Bio/Technology6:1204及び米国特許第5,011,912号に説明される通り、FLAGペプチドに連結されることもできる。FLAGペプチドは、高度に抗原性であり、特定のモノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合され、発現される組み換えタンパク質の迅速な分析及び容易な精製を可能にするエピトープを提供する。FLAGペプチドが所与のポリペプチドに融合される融合タンパク質の調製に有用な試薬は、市販されている(Sigma,St.Louis,MO)。
【0363】
1つ以上のPAC1結合タンパク質を含有するオリゴマーを、PAC1拮抗薬として用いることができる。オリゴマーは、共有結合で連結された、または非共有結合で連結された二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーの形態であり得る。2つ以上のPAC1結合タンパク質を含むオリゴマーが使用のために企図され、ホモ二量体が1つの例である。他のオリゴマーとしては、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが挙げられる。
【0364】
1つの実施形態は、PAC1結合タンパク質に融合されたペプチド部分間の共有結合または非共有結合相互作用を介して連結された複数のPAC1結合ポリペプチドを含むオリゴマーに関する。かかるペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであり得る。下により詳細に説明される通り、付着されるPAC1結合タンパク質のオリゴマー化を促進し得るペプチドには、ロイシンジッパー及び抗体に由来する特定のポリペプチドがある。
【0365】
特定の実施形態では、オリゴマーは、2〜4個のPAC1結合タンパク質を含む。オリゴマーのPAC1結合タンパク質部分は、例えば、改変体または断片などの上記に説明される形態のいずれかであってよい。好ましくは、オリゴマーは、PAC1結合活性を有するPAC1結合タンパク質を含む。
【0366】
1つの実施形態では、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して調製される。抗体由来ポリペプチドの種々の部分(Fcドメインを含む)に融合された特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:10535、Byrn et al.,1990,Nature344:677、及びCurrent Protocols in Immunology,Suppl.4,pages10.19.1−10.19.11内のHollenbaugh et al.,1992“Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins”によって説明されている。
【0367】
1つの実施形態は、PAC1結合タンパク質を抗体のFc領域に融合させることによって作成される2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合物を適切な発現ベクター内に挿入し、遺伝子融合物を組み換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞内に発現させ、発現された融合タンパク質が、鎖間ジスルフィド結合がFc部分間で形成して二量体をもたらすよく似た抗体分子を組み立てることを可能にすることによって、作製することができる。
【0368】
本明細書で使用されるとき、「Fcポリペプチド」という用語は、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの天然及び突然変異タンパク質形態を含む。二量化を促進するヒンジ領域を含有する、かかるポリペプチドの切断型も含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(及びそれから形成されるオリゴマー)は、タンパク質Aまたはタンパク質Gカラム上の親和性クロマトグラフィーによる容易な精製の利点を提供する。
【0369】
1つの好適なFcポリペプチドは、PCT出願第WO93/10151号ならびに米国特許第5,426,048及び同第5,262,522号に説明されており、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ領域から天然のC末端に延在する一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号、及びBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992−4001に説明されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変更され、アミノ酸20がLeuからGluに変更され、アミノ酸22はGlyからAlaに変更されていることを除いて、第WO93/10151号に提示される天然のFc配列のアミノ酸配列に同一である。突然変異タンパク質は、Fc受容体に対する低減された親和性を示す。
【0370】
他の実施形態では、本明細書に開示されるようなPAC1結合タンパク質の重鎖及び/または軽鎖の可変部分が、抗体重鎖及び/または軽鎖の可変部分と置換されてもよい。
【0371】
別法として、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を有するかまたは有さない、複数のPAC1結合タンパク質を含む融合タンパク質である。とりわけ好適なペプチドリンカーは、米国特許第4,751,180号及び同第4,935,233号に説明されるものである。
【0372】
オリゴマーPAC1結合タンパク質誘導体を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を含む。ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは初め、幾つかのDNA結合タンパク質中で特定され(Landschulz et al.,1988,Science240:1759)、それ以来、多様な異なるタンパク質中で見出されている。既知のロイシンジッパーには、天然に存在するペプチド及び二量化または三量化するその誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質の産生に好適なロイシンジッパードメインの例は、PCT出願第WO94/10308号に説明され、肺表面活性タンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppe et al.,1994,FEBS Letters344:191に説明され、参照により本明細書に援用される。それらに融合された異種タンパク質の安定した三量化を可能にする改変されたロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267−278に説明される。1つのアプローチでは、ロイシンジッパーペプチドに融合されたPAC1結合タンパク質断片または誘導体を含む組み換え融合タンパク質は、好適な宿主細胞内で発現され、形成する可溶性オリゴマーPAC1結合タンパク質断片または誘導体は、培養上清から回収される。
【0373】
特定の実施形態では、抗体は、1pM、10pM、100pM、1nM、2nM、5nM、10nM、25nM、または50nM未満のK(平衡結合親和性)を有する。
【0374】
別の態様は、インビトロまたはインビボ(例えば、ヒト対象に投与されるとき)で少なくとも1日の半減期を有する抗体を提供する。1つの実施形態では、抗体は、少なくとも3日の半減期を有する。別の実施形態では、抗体またはその部分は、4日以上の半減期を有する。別の実施形態では、抗体またはその部分は、8日以上の半減期を有する。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、誘導体化または改変されていない抗体と比較してより長い半減期を有するように、誘導体化または改変される。別の実施形態では、抗体は、参照により援用される、2000年2月24日に公開された第WO00/09560号に説明されるものなど、血清半減期を増加させる点突然変異を含有する。
【0375】
グリコシル化
抗体は、天然の種に見出されるものとは異なるか、またはそれから変更されたグリコシル化パターンを有することができる。当該技術分野において既知である通り、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、下記に考察される、特定のグリコシル化アミノ酸残基の有無)、またはタンパク質が産生される宿主細胞もしくは有機体の両方に依存することができる。特定の発現系は、下に考察される。
【0376】
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N連結かまたはO連結かのいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニンは、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着に関する認識配列である。したがって、ポリペプチド内のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作成する。O連結グリコシル化は、糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸への付着を指し、最も一般的には、セリンまたはトレオニンが使用されるが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用することができる。
【0377】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、上に説明される(N連結グリコシル化部位に関する)トリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するように変更することによって、好都合に達成される。変更はまた、(O連結グリコシル化部位に関する)開始配列に対する1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加または置換によっても行うことができる。容易にするため、抗体アミノ酸配列は、DNAレベルの変化を通じて、具体的には、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、標的ポリペプチドを予め選択された塩基でコードするDNAを突然変異させることによって、変更されてもよい。
【0378】
抗体上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、グリコシドのタンパク質への化学的または酵素的結合による。これらの手順は、N及びO連結グリコシル化のために、グリコシル化能力を有する宿主細胞内でのタンパク質の産生を必要としないという点で有利である。使用される結合様式に応じて、糖(単数または複数)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインのものなど、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンのものなど、(e)芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンのものなど、または(f)グルタミンのアミド基に付着されることができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開された第WO87/05330号、及びAplin and Wriston,1981,CRC Crit.Rev,Biochem.,pp.259〜306に説明される。
【0379】
開始抗体上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または同等の化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、ポリペプチドを無傷に保ったまま、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除く大部分または全ての糖の切断をもたらす。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.,1987,Arch.Biochem.Biophys.259:52及びEdge et al.,1981,Anal.Biochem.118:131によって説明されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura et al.,1987,Meth.Enzymol.138:350によって説明される通り、多様なエンド及びエキソグリコシダーゼの使用によって達成することができる。潜在的グリコシル化部位におけるグリコシル化は、Duskin et al.,1982,J.Biol.Chem.257:3105によって説明される通り、化合物ツニカマイシンの使用によって予防することができる。ツニカマイシンは、タンパク質−N−グリコシド連結の形成を遮断する。
【0380】
したがって、態様は、グリコシル化部位(単数または複数)の数及び/または種類が親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して変更されている抗体のグリコシル化改変体を含む。ある特定の実施形態では、抗体タンパク質改変体は、天然の抗体より多いまたは少ない数のN連結グリコシル化部位を含む。N連結グリコシル化部位は、配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられ、式中、Xと指定されるアミノ酸残基は、プロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作成するようなアミノ酸残基の置換は、N連結炭水化物鎖の付加のための潜在的な新規の部位を提供する。別法として、この配列を取り除くかまたは変更する置換は、天然のポリペプチド中に存在するN連結炭水化物鎖の付加を予防するであろう。例えば、グリコシル化は、Asnの欠失によって、またはAsnを異なるアミノ酸で置換することによって低減することができる。他の実施形態では、1つ以上の新規のN連結部位が作成される。抗体は、典型的には、Fc領域内にN連結グリコシル化部位を有する。
【0381】
ヒトIgG1は、N297(EU付番システム)にグリコシル化部位を有し、グリコシル化は、IgG1抗体のエフェクター機能に寄与することが知られている。基は、グリコシル化されていない抗体を作製するために突然変異されたN297を有する。突然変異は、N297を、グルタミン(N297Q)などの生理化学的性質がアスパラギンに似たアミノ酸で、または極性基を伴わずにアスパラギンを模倣するアラニン(N297A)で置換することに焦点を置く。
【0382】
本明細書で使用されるとき、「グリコシル化されていない抗体」または「グリコシル化されていないfc」は、Fcの297位における残基のグリコシル化状態を指す。抗体または他の分子は、1つ以上の他の場所にグリコシル化を含有することができるが、依然グリコシル化されていない抗体またはグリコシル化されていない(aglcosylated)Fc−融合タンパク質と見なすことができる。
【0383】
エフェクター機能を有さないIgG1 Fc分子を作製する取り組みにおいて、ヒトIgG1のアミノ酸N297のグリシンへの突然変異、すなわち、N297Gは、その残基における他のアミノ酸置換を上回る優れた精製効率及び生物物理学的特性を提供することが発見された。グリコシル化されていないIgG1フレームワーク内の抗PAC1抗体は、食作用分析を使用して評価するときに、Fcγ受容体に誘発される血小板減少を阻止したことがさらに発見された(実施例5を参照されたい)。したがって、好ましい実施形態では、抗PAC1抗体は、IgG1グリコシル化されていない改変体を指定する接尾辞「B」または「C」を伴う抗体を含む。特定の実施形態では、抗体は、N297G置換を有するFcを含む。
【0384】
N297G突然変異を有するヒトIgG1 Fcを含むFcはまた、さらなる挿入、欠失、及び置換を含むこともできる。特定の実施形態では、ヒトIgG1 Fcは、N297G置換を含み、かつ表2Bに記載されるアミノ酸配列(例示的な抗hPAC1Ab重鎖アミノ酸配列)のうちの1つ以上に少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0385】
グリコシル化IgG1 Fc含有分子は、グリコシル化IgG1 Fc含有分子より安定していない場合がある。したがって、Fc領域は、グリコシル化されていない分子の安定性を増加させるようにさらに操作することができる。幾つかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸がシステインに置換されて、二量体状態のジスルフィド結合を形成する。IgG1アミノ酸重鎖配列のV259、A287、R292、V302、L306、V323、またはI332に対応する残基はしたがって、システインで置換することができる。好ましい実施形態では、残基の特定の対が、互いとジスルフィド結合を優先的に形成し、したがってジスルフィド結合スクランブリングを制限または防止するように置換される。好ましい対としては、A287CとL306C、V259CとL306C、R292CとV302C、及びV323CとI332Cが挙げられるが、これらに限定されない。
【0386】
残基R292及びV302の一方または両方がシステインで置換されるグリコシル化されていない(N297G)IgG1 Fc含有重鎖が、本明細書に特に例示される。接尾辞「C」を伴うグリコシル化されていない(N297G)IgG1抗体は、それらの重鎖内にR292C及びV302C置換の両方を含有する。
【0387】
標識及びエフェクター基
幾つかの実施形態では、抗原結合は、1つ以上の標識を含む。「標識基」または「標識」という用語は、任意の検出可能な標識を意味する。好適な標識基の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位体もしくは放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素基(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。幾つかの実施形態では、標識基は、種々の長さのスペーサーアームを介して抗体に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。タンパク質を標識するための種々の方法は、当該技術分野において既知であり、適切と思われるように使用することができる。
【0388】
「エフェクター基」という用語は、細胞毒性剤として作用する抗体に結合される任意の基を意味する。好適なエフェクター基の例は、放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)である。他の好適な基としては、毒素、治療的基、または化学療法基が挙げられる。好適な基の例としては、カリケアマイシン、オーリスタチン、ゲルダナマイシン、及びメイタンシンが挙げられる。幾つかの実施形態では、エフェクター基は、種々の長さのスペーサーアームを介して抗体に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。
【0389】
概して、標識は、それらが検出される分析に応じて、多様なクラスに分類される:a)放射性または重同位体であり得る、同位体的標識、b)磁気標識(例えば、磁気粒子)、c)酸化還元活性部分、d)光学色素、酵素基(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ)、e)ビオチン化基、ならびにf)二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)。幾つかの実施形態では、標識基は、種々の長さのスペーサーアームを介して抗体に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。タンパク質を標識するための種々の方法は、当該技術分野において既知である。
【0390】
特定の標識としては、光学色素が挙げられ、発色団、リン光体、及び蛍光体が挙げられるがこれらに限定されず、後者は、多くの例において特異的である。蛍光体は、「小分子」蛍光(“small molecule”fluores)かまたはタンパク質様蛍光(proteinaceous fluores)かのいずれかであり得る。
【0391】
「蛍光標識」は、その固有の蛍光特性を介して検出され得る任意の分子を意味する。好適な蛍光標識としては、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルーJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red640、Cy5、Cy5.5、LC Red705、オレゴングリーン、Alexa−Fluor色素(Alexa Fluor350、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、Alexa Fluor546、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680)、カスケードブルー、カスケードイエロー、及びR−フィコエリトリン(PE)(Molecular Probes,Eugene,OR)、FITC、ローダミン、及びテキサスレッド(Pierce,Rockford,IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science,Pittsburgh,PA)が挙げられるが、これらに限定されない。蛍光体を含む好適な光学色素は、Richard P.HauglandによるMolecular Probes Handbookに説明され、参照により本明細書に明示的にに援用される。
【0392】
好適なタンパク質様蛍光標識としてはまた、GFPのウミシイタケ、ウミエラ(Ptilosarcus)、またはオワンクラゲ(Aequorea)種を含む緑色蛍光タンパク質(Chalfie et al.,1994,Science263:802−805)、EGFP(Clontech Labs.,Inc.,Genbank Accession Number U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP,Quantum Biotechnologies,Inc.,Quebec,Canada、Stauber,1998,Biotechniques24:462−471、Heim et al.,1996,Curr.Biol.6:178−182)、高感度黄色蛍光タンパク質(EYFP,Clontech Labs.,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichiki et al.,1993,J.Immunol.150:5408−5417)、βガラクトシダーゼ(Nolan et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603−2607)、及びウミシイタケ(第WO92/15673号、第WO95/07463号、第WO98/14605号、第WO98/26277号、第WO99/49019号、米国特許第5292658号、同第5418155号、同第5683888号、同第5741668号、同第5777079号、同第5804387号、同第5874304号、同第5876995号、同第5925558号)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0393】
核酸
一態様は、特定のハイブリダイゼーション条件下で他の核酸(例えば、表1A及び1Bに列挙されるヌクレオチド配列を含む核酸)をハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズするための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6を参照されたい。本明細書に定義される通り、適度に厳密なハイブリダイゼーション条件は、5x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)を含有する予洗浄液、約50%のホルムアミド、6xSSCのハイブリダイゼーション緩衝剤、及び55℃のハイブリダイゼーション温度(または他の類似のハイブリダイゼーション溶液、例えば、約50%のホルムアミドを含有し、42℃のハイブリダイゼーション温度を有するものなど)、及び0.5xSSC、0.1%のSDS中での60℃の洗浄条件を使用する。厳密なハイブリダイゼーション条件は、45℃にて6xSSC中でハイブリダイズした後、68℃にて0.1xSSC、0.2%のSDS中で1回以上洗浄する。さらに、当業者は、典型的には互いに少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、互いにハイブリダイズされたままであるように、ハイブリダイゼーション及び/または洗浄条件を操作して、ハイブリダイゼーションの厳密さを増加または減少させることができる。
【0394】
ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本的パラメータ、及び好適な条件を考案するための手引きは、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,上記参照、及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,2.10章及び6.3−6.4章)に記載されており、例えば、核酸の長さ及び/または塩基組成に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。
【0395】
変更は、突然変異によって核酸に導入され、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば、抗体または抗体誘導体)のアミノ酸配列内に変更をもたらすことができる。突然変異は、当該技術分野において既知である任意の技術を使用して導入することができる。1つの実施形態では、1つ以上の特定のアミノ酸残基が、例えば、部位特異的突然変異誘発プロトコルを使用して変更される。別の実施形態では、1つ以上の無作為に選択される残基が、例えば、無作為突然変異誘発プロトコルを使用して変更される。どのように作製されるにせよ、変異ポリペプチドは、所望の特性のために発現及びスクリーニングすることができる。
【0396】
突然変異は、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を著しく変更することなく、核酸内に導入されることができる。例えば、非必須アミノ酸残基におけるアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換を作製することができる。別法として、1つ以上の突然変異が、それがコードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変更する核酸内に導入されることができる。例えば、突然変異は、生物学的活性を定量的または定性的に変更することができる。定量的変更の例としては、活性の増加、低減、または除去が挙げられる。定性的変更の例としては、抗体の抗原特異性の変更が挙げられる。1つの実施形態では、本明細書に説明される任意の抗体をコードする核酸は、当該技術分野において十分に確立されている分子生物学技術を使用して、アミノ酸配列を変更するように突然変異されることができる。
【0397】
別の態様は、核酸配列の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとしての使用に好適な核酸分子を提供する。核酸分子は、例えば、プローブまたはプライマーまたはポリペプチドの活性部分(例えば、PAC1結合部分)をコードする断片として使用することができる断片などの、全長ポリペプチドをコードする核酸配列の一部分のみを含むことができる。
【0398】
核酸の配列に基づくプローブは、例えば、ポリペプチドをコードする転写物などの、核酸または類似の核酸を検出するために使用することができる。プローブは、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子などの標識基を含むことができる。かかるプローブは、ポリペプチドを発現する細胞を特定するために使用することができる。
別の態様は、ポリペプチドをコードする核酸またはその一部(例えば、1つ以上のCDRまたは1つ以上の可変領域ドメインを含有する断片)を含むベクターを提供する。ベクターの例としては、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳類ベクター、及び発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。組み換え発現ベクターは、宿主細胞内での核酸の発現に好適な形態の核酸を含むことができる。組み換え発現ベクターは、発現のために使用される宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の調節配列を含み、それは、発現される核酸配列に作動可能に連結される。調節配列としては、多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を方向付けるもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、及びサイトメガロウイルスプロモーター)、特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を方向付けるもの(例えば、組織特異的な調節配列、その全体が参照により本明細書に援用されるVoss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287,Maniatis et al.,1987,Science236:1237を参照されたい)、及び特定の処理または条件に応答してヌクレオチド配列の誘導性発現を方向付けるもの(例えば、哺乳類細胞内におけるメタロチオネインプロモーター、ならびに原核及び真核細胞系の両方におけるtet応答性及び/またはストレプトマイシン応答性プロモーター(同上参照)が挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどの因子に依存し得ることが当業者によって理解されるであろう。発現ベクターは、宿主細胞内に導入されて、それによって、融合タンパク質またはペプチドを含む、本明細書に説明される核酸によってコードされるタンパク質またはペプチドを産生することができる。
【0399】
別の態様は、組み換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳類細胞(例えば、CHO細胞))であり得る。ベクターDNAは、従来の形質転換または形質移入技術を介して原核または真核細胞内に導入されることができる。哺乳類細胞の安定した形質移入のために、使用される発現ベクター及び形質移入技術に応じて、ごく僅かの細胞のみが、それらのゲノム内に外来性DNAを取り込み得ることが知られている。これらの要素を特定及び選択するために、概して、選択可能マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性に関する)をコードする遺伝子が、関心の遺伝子と共に宿主細胞内に導入される。好ましい選択可能マーカーとしては、G418、ハイグロマイシン、及びメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入核酸で安定的に形質移入された細胞は、他の方法の中でもとりわけ、薬物選択によって特定することができる(例えば、選択可能マーカー遺伝子を組み込んでいる細胞は生存し、他の細胞は死滅する)。
【0400】
抗体の調製
提供される非ヒト抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長類(サル(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル)または類人猿(例えば、チンパンジー)など)などの任意の抗体産生動物に由来することができる。非ヒト抗体は、例えば、インビトロの細胞培養及び細胞培養に基づいた用途、あるいは該抗体に対する免疫応答が発生しないかもしくはわずかである、防止され得る、懸案事項ではない、または所望される任意の他の用途に使用することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、上記に説明される通り、当該技術分野において既知である方法を使用して動物を免疫付与することによって産生することができる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナルであってもよく、または組み換えDNAを発現することによって宿主細胞内で合成されてもよい。完全ヒト抗体は、上に説明される通り、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有する遺伝子導入動物を免疫付与することによって、またはヒト抗体のレパートリーを発現しているファージディスプレイライブラリを選択することによって調製することができる。
【0401】
モノクローナル抗体(mAb)は、例えば、Kohler and Milstein,1975,Nature256:495の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術などの従来のモノクローナル抗体手法を含む、多様な技術によって産生することができる。別法として、例えば、Bリンパ球のウイルスまたは腫瘍形成性形質転換など、モノクローナル抗体を産生するための他の技術を用いることができる。ハイブリドーマを調製するための1つの好適な動物系は、マウス系であり、それは、非常によく確立された手順である。免疫付与プロトコル、及び融合のための免疫付与された脾細胞の単離に関する技術は、当該技術分野において既知であり、例証的なアプローチが、下記の実施例に説明される。かかる手順のために、免疫付与されたマウスに由来するB細胞は、典型的には、マウス骨髄腫細胞株などの好適な不死化された融合パートナーと融合される。所望により、ラットまたはそれに加えて他の哺乳類を、マウスの代わりに免疫付与することができ、かかる動物に由来するB細胞をマウス骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマを形成することができる。別法として、マウス以外の供給源に由来する骨髄腫細胞株を使用することができる。ハイブリドーマを作製するための融合手順も、周知である。
【0402】
提供される一本鎖抗体は、アミノ酸架橋(短ペプチドリンカー)を介して重鎖及び軽鎖可変ドメイン(Fv領域)断片を連結させて、単一のポリペプチド鎖をもたらすことによって形成することができる。かかる一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(V及びV)をコードするDNA間でペプチドリンカーをコードするDNAを融合させることによって、調製することができる。得られるポリペプチドは、それら自身の上に折り返されて、抗原結合単量体を形成することができ、または2つの可変ドメイン間の可撓性リンカーの長さに応じて多量体(例えば、二量体、三量体、または四量体)を形成することができる(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423、Kortt et al.,2001,Biomol.Eng.18:95−108)。異なるV及びV含有ポリペプチドを組み合わせることにより、異なるエピトープに結合する多量体scFvを形成することができる(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31−40)。一本鎖抗体の産生のために開発された技術としては、米国特許第4,946,778号、Bird,1988,Science242:423、Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5879、Ward et al.,1989,Nature334:544、de Graaf et al.,2002,Methods Mol Biol.178:379−387に説明されるものが挙げられる。本明細書に提供される抗体に由来する一本鎖抗体としては、表3A及び3Bに描写される重鎖及び軽鎖可変領域の可変ドメインの組み合わせ、または表4A及び4Bに描写されるCDRを含む軽及び重可変ドメインの組み合わせを含むscFvが挙げられるが、これらに限定されない。
【0403】
あるサブクラスのものである本明細書に提供される抗体は、サブクラススイッチ法を使用して、異なるサブクラスに由来する抗体に変更することができる。したがって、IgG抗体は、例えば、IgM抗体から得ることができ、逆もまた同様である。かかる技術は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有するが、親抗体のものとは異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスに関連する生物学的特性も示す新規の抗体の調製を可能にする。組み換えDNA技術を用いることができる。例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAなどの特定の抗体ポリペプチドをコードするクローン化DNAを、かかる手順に用いることができる。例えば、Lantto et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:303−316を参照されたい。
【0404】
したがって、提供される抗体は、例えば、所望のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、及びIgD)及びそれらのFabまたはF(ab’)断片を有する、上記に説明される可変ドメインを含むものを含む。さらに、IgG4が所望される場合、Bloom et al.,1997,Protein Science6:407、参照により本明細書に援用される)に説明されるように、ヒンジ領域内に点突然変異(CPSCP−>CPPCP)を導入して、IgG4抗体内の不均質につながりうるH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減することも所望されることがある。
【0405】
さらに、異なる特性(すなわち、それらが結合する抗原に対する様々な親和性)を有する抗体を得るための技術も既知である。1つのかかる技術は、鎖シャッフリングと称され、免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーを、ファージディスプレイと称されることが多い繊維状バクテリオファージの表面上にディスプレイすることを含む。鎖シャッフリングは、Marks et al.,1992,BioTechnology10:779によって説明される通り、ハプテン2−フェニルオキサゾール−5−オンに対する高親和性抗体を調製するために使用されている。
【0406】
特定の望ましい機能的及び生化学的特徴を有するPAC1結合タンパク質を産生するために、表3A及び3Bに説明される重鎖及び軽鎖可変領域、または表4A及び4Bに説明されるCDRへの保存的改変(及び、コード核酸への対応する改変)を作製することができる。かかる改変を達成するための方法は、上に説明される。
【0407】
PAC1抗体は、種々の方法でさらに改変することができる。例えば、治療的目的のために使用される場合、それらは、血清半減期を延長するため、またはタンパク質送達を強化するためにポリエチレングリコールと結合される(ペグ化される)ことができる。別法として、対象の抗体またはその断片のV領域は、異なる抗体分子のFc領域と融合されることができる。この目的のために使用されるFc領域は、相補体と結合しないように改変されることができ、したがって融合タンパク質が治療剤として使用されるときに、患者における細胞融解の誘発の可能性を低減する。それに加えて、対象の抗体またはその機能性断片は、ヒト血清アルブミンと結合されて、抗体またはその抗原結合断片の血清半減期を強化することができる。抗体またはその断片のための別の有用な融合パートナーは、トランスサイレチン(TTR)である。TTRは、四量体を形成する能力を有し、したがって抗体−TTR融合タンパク質は、その結合親和力を増加させることができる多価抗体を形成することができる。
【0408】
別法として、本明細書に説明される抗体の機能的及び/または生化学的特徴における実質的な改変は、(a)置換領域の分子主鎖の構造、例えば、シートもしくは螺旋配座としてなど、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさ高性、の維持に対するするそれらの効果が著しく異なる重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列内に置換を作成することによって、達成することができる。「保存的アミノ酸置換」は、天然のアミノ酸残基の、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷に効果をほとんどまたは全く有さない非天然残基での置換を含むことができる。上の表6を参照されたい。さらに、ポリペプチド内の任意の天然残基も、アラニンスキャン突然変異誘発に関して先に説明されているように、アラニンで置換することができる。
【0409】
対象の抗体のアミノ酸置換(保存的かまたは非保存的かを問わない)は、日常的な技術を適用することによって、当業者によって実施することができる。アミノ酸置換は、本明細書に提供される抗体の重要な残基を特定するため、またはヒトPAC1に対するこれらの抗体の親和性を増加もしくは減少させるため、または本明細書に説明される他の抗体の結合親和性を改変するために使用することができる。
【0410】
抗体を発現する方法
少なくとも1つの上記に説明されるポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形態の発現系及び構築物、ならびにかかる発現系または構築物を含む宿主細胞もまた、本明細書に提供される。
【0411】
本明細書に提供される抗体は、多数の従来技術のいずれかによって調製することができる。例えば、PAC1抗体は、当該技術分野において既知である任意の技術を使用して、組み換え発現系によって産生することができる。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.) Plenum Press,New York(1980)、及びAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)を参照されたい。
【0412】
抗体は、ハイブリドーマ細胞株内(例えば、特に抗体はハイブリドーマ内で発現され得る)、またはハイブリドーマ以外の細胞株内で発現されることができる。抗体をコードする発現構築物もまた、哺乳類、昆虫、または微生物宿主細胞を形質転換するために使用することができる。形質転換は、例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、同第4,959,455号によって例示される通り、当該技術分野において既知である形質移入手順によって、ポリヌクレオチドをウイルスまたはバクテリオファージ内にパッケージ化すること、及び宿主細胞を構築物で形質導入することなど、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための任意の既知の方法を使用して実施することができる。使用される最適な形質転換手順は、どの種類の宿主細胞が形質転換されているかに依存するであろう。哺乳類細胞内への異種ポリヌクレオチドの導入のための方法は、当該技術分野において周知であり、デキストラン媒介形質移入、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介形質移入、プロトプラスト融合、電気穿孔、ポリヌクレオチド(単数または複数)のリポソーム内へのカプセル化、核酸と正荷電脂質との混合、及び核中へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0413】
組み換え発現構築物は、典型的には、以下のうちの1つ以上を含むポリペプチドをコードする核酸分子を含む:1つ以上の本明細書に提供されるCDR、軽鎖定常領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域(例えば、C1、C2、及び/またはC3)、及び/またはPAC1抗体の別の骨格部分。これらの核酸配列は、標準的なライゲーション技術を使用して適切な発現ベクター内に挿入される。1つの実施形態では、重鎖または軽鎖定常領域は、抗PAC1特異的な重鎖または軽鎖可変領域のC末端に付加され、発現ベクター内へライゲートされる。ベクターは、典型的には、用いられる特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、宿主細胞機構に適合し、遺伝子の増幅及び/または発現が発生することを可能にする)。幾つかの実施形態では、ジヒドロ葉酸還元酵素などのタンパク質レポーターを使用して、タンパク質−断片相補性分析を用いるベクターが使用される(例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第6,270,964号を参照されたい)。好適な発現ベクターは、例えば、Invitrogen Life TechnologiesまたはBD Biosciences(以前は「Clontech」)から購入することができる。抗体及び断片をクローン化及び発現させるための他の有用なベクターとしては、参照により本明細書に援用されるBianchi and McGrew,2003,Biotech.Biotechnol.Bioeng.84:439−44に説明されるものが挙げられる。さらなる好適な発現ベクターは、例えば、Methods Enzymol.,vol.185(D.V.Goeddel,ed.),1990,New York:Academic Pressに考察される。
【0414】
典型的には、宿主細胞のいずれかにおいて使用される発現ベクターは、プラスミド維持のため、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローン化及び発現のための配列を含有するであろう。かかる配列は、集合的に「フランキング配列」と称され、ある特定の実施形態では、典型的には以下のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含むであろう:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタースプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能マーカー要素。これらの配列の各々は、下に考察される。
【0415】
任意選択的に、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわち、PAC1結合タンパク質コード配列の5′もしくは3′末端に位置するオリゴヌクレオチド分子、ポリHis(ヘキサHisなど)をコードするオリゴヌクレオチド配列、または、それに対する市販の抗体が存在するFLAG(登録商標)、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)、もしくはmycなどの別の「タグ」を含有することができる。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現に際してポリペプチドに融合され、宿主細胞からのPAC1結合タンパク質の親和性精製または検出のための手段として働くことができる。親和性精製は、例えば、カラムクロマトグラフィーによって、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用して達成することができる。任意選択的に、タグはその後、切断のための特定のペプチダーゼの使用などの種々の手段によって、精製されたPAC1結合タンパク質から除去することができる。
【0416】
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同一の種及び/または株に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞種または株以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、複数の供給源に由来するフランキング配列の組み合わせ)、合成、または天然であってよい。したがって、フランキング配列の供給源は、フランキング配列が、宿主細胞機構内で機能的であり、また宿主細胞機構によって活性化され得るならば、任意の原核もしくは真核有機体、任意の脊椎もしくは無脊椎動物、または任意の植物であってよい。
【0417】
ベクターにおいて有用なフランキング配列は、当該技術分野において周知である幾つかの方法のいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書における有用なフランキング配列は、マッピング及び/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって先に特定されており、したがって適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して適切な組織源から単離されることができる。場合により、フランキング配列の完全なヌクレオチド配列は、既知であり得る。ここで、フランキング配列は、核酸の合成またはクローン化に関して本明細書に説明される方法を使用して合成することができる。
【0418】
フランキング配列の全部が既知であるかまたは一部のみが既知であるかに関わらず、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、ならびに/またはゲノムライブラリを、同一もしくは別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/もしくはフランキング配列断片などの好適なプローブでスクリーニングすることによって得ることができる。フランキング配列が既知ではない場合、フランキング配列を含有するDNAの断片は、例えば、コード配列またはさらには別の遺伝子(単数)または遺伝子(複数)を含有することができる、DNAのより大きい片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって適切なDNA断片を産生した後、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に既知である他の方法を使用して単離することによって、達成することができる。この目的を達成するために好適な酵素の選択は、当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0419】
複製起点は、典型的には商業的に購入される原核生物発現ベクターの一部であり、起点は、宿主細胞内でのベクターの増幅を助ける。選択されるベクターが複製起点の部位を含有していない場合、1つを既知の配列に基づいて化学的に合成し、ベクター内にライゲートすることができる。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に好適であり、種々のウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口炎(vesicular stomatitus)ウイルス(VSV)、またはHPVもしくはBPVなどのパピローマウイルス)は、哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。概して、複製起点構成成分は、哺乳類発現ベクターに必要ではない(例えば、SV40起源は、それがウイルス初期プロモーターも含有しているという理由でのみ利用されることが多い)。
【0420】
転写終結配列は、典型的にはポリペプチドコード領域の末端の3′側に位置し、転写を終結させる働きをする。通常、原核細胞内の転写終結配列は、ポリ−T配列がその後に続くG−C富化断片である。配列は、ライブラリから容易にクローン化されるか、またはさらにはベクターの一部として商業的に購入されるが、それはまた、本明細書に説明されるものなどの核酸合成のための方法を使用して容易に合成することもできる。
【0421】
選択可能マーカー遺伝子は、選択的培養培地内で増殖する宿主細胞の生存及び増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、原核宿主細胞ではアンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンなどに対する耐性を付与する、(b)細胞の栄養素要求性欠陥(auxotrophic deficiency)を補完する、または(c)複合もしくは規定培地からは入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。具体的な選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利なことに、ネオマイシン耐性遺伝子はまた、原核及び真核宿主細胞の両方において選択に使用することができる。
【0422】
他の選択可能遺伝子を、発現される遺伝子を増幅するために使用することができる。増幅は、増殖または細胞生存にとって重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が、組み換え細胞の連続的な世代の染色体内で直列に繰り返されるプロセスである。哺乳類細胞に好適な選択可能マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)及びプロモーターレスチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳類細胞形質転換体は、該形質転換体のみがベクター内に存在する選択可能遺伝子によって生存するように独自に適応される選択圧下に置かれる。選択圧は、培地中の選択剤の濃度が連続的に増加される条件下で形質転換された細胞を培養し、それによって選択可能遺伝子とPAC1に結合する抗体などの別の遺伝子をコードするDNAとの両方の増幅をもたらすことによって課される。その結果、増加された量の抗体などのポリペプチドが、増幅されたDNAから合成される。
【0423】
リボソーム結合部位は通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。この要素は、典型的には、プロモーターの3’側及び発現されるポリペプチドのコード配列の5’側に位置する。
【0424】
真核宿主細胞発現系においてグリコシル化が所望される場合などの幾つかの場合では、種々のプレまたはプロ配列を操作して、グリコシル化または収率を改善することができる。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更するか、またはプロ配列を付加することができ、これも、同様にグリコシル化に影響を及ぼすことができる。最終的なタンパク質産生物は、(成熟タンパク質の第1のアミノ酸に対して)−1位に、発現に伴う1つ以上の追加のアミノ酸を有することがあり、これは、完全に除去されていないことがある。例えば、最終的なタンパク質産生物は、アミノ末端に付着された、ペプチダーゼ切断部位内に見出される1つまたは2つのアミノ酸残基を有することができる。別法として、幾つかの酵素切断部位の使用は、酵素が成熟ポリペプチド内部のかかる領域で切断する場合、所望のポリペプチドの僅かに切断された形態をもたらすことがある。
【0425】
発現及びクローン化は、典型的には、宿主有機体によって認識され、またPAC1結合タンパク質をコードする分子に作動可能に連結されるプロモーターを含有するであろう。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子の開始コドンの上流(すなわち、5’)に位置する転写されていない配列(概して、約100〜1000bp以内)である。プロモーターは、慣習的に、誘導性プロモーター及び構成的プロモーターの2つのクラスのうちの1つに分類される。誘導性プロモーターは、それらの制御下で、栄養素の有無または温度の変化などの培養条件のある変化に応答して、DNAからの増加されたレベルの転写を開始する。一方、構成的プロモーターは、それらが作動可能に連結される遺伝子を均一に転写し、すなわち、遺伝子発現に対する制御をほとんどまたは全く伴わない。多様な潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。好適なプロモーターは、制限酵素消化によってDNA源からプロモーターを除去し、所望のプロモーター配列をベクター内に挿入することによって、PAC1結合タンパク質を含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に連結される。
【0426】
酵母宿主との使用に好適なプロモーターも、当該技術分野において周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターと共に有利に使用される。哺乳類宿主細胞との使用に好適なプロモーターは、周知であり、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス,レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な哺乳類プロモーターとしては、異種哺乳類プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターが挙げられる。
【0427】
関心となり得るさらなるプロモーターとしては、SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature290:304−310)、CMVプロモーター(Thornsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659−663)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復内に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−1445)、メタロチオネイン遺伝子に由来するプロモーター及び調節配列(Prinster et al.,1982,Nature296:39−42)、ならびに原核生物プロモーター、例えば、β−ラクタマーゼプロモーターなど(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731)、またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25)が挙げられるが、これらに限定されない。同様に関心となるのは、組織特異性を示し、遺伝子導入動物において利用されてきた以下の動物転写制御領域である:膵腺房細胞中で活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell38:639−646、Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409、MacDonald,1987,Hepatology7:425−515)、膵β細胞中で活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature315:115−122)、リンパ球様細胞中で活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell38:647−658、Adames et al.,1985,Nature318:533−538、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436−1444)、精巣、乳房、リンパ球様細胞及びマスト細胞中で活性であるマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell45:485−495)、肝臓中で活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−276)、肝臓中で活性であるα−フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639−1648、Hammer et al.,1987,Science253:53−58)、肝臓中で活性であるα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−171)、骨髄細胞中で活性であるβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature315:338−340、Kollias et al.,1986,Cell46:89−94)、脳中の乏突起膠細胞中で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell48:703−712)、骨格筋中で活性であるミオシン軽鎖2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature314:283−286)、ならびに視床下部中で活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science234:1372−1378)。
【0428】
エンハンサー配列は、高級真核生物によるヒトPAC1結合タンパク質を含む軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加させるために、ベクター内に挿入することができる。エンハンサーは、転写を増加させるようにプロモーターに作用するDNAのシス作用性要素であり、通常は約10〜300bpの長さである。エンハンサーは、比較的に配向及び位置に依存せず、転写単位の5’及び3’側の両方の位置に見出されている。哺乳類遺伝子から入手可能な幾つかのエンハンサー配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質、及びインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルスに由来するエンハンサーが使用される。当該技術分野において既知であるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーは、真核プロモーターの活性化のための例示的な強化要素である。エンハンサーは、ベクター内でコード配列の5’側かまたは3’側かのいずれかに位置付けられることができ、典型的には、プロモーターから部位5’に位置する。適切な天然または異種シグナル配列をコードする配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)は、抗体の細胞外分泌を促進するために発現ベクターに組み込まれることができる。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が産生される宿主細胞の種類に依存し、異種シグナル配列は、天然のシグナル配列を置き換えることができる。哺乳類宿主細胞内で機能的であるシグナルペプチドの例としては、以下のものが挙げられる:米国特許第4,965,195号に説明されるインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列、Cosman et al.,1984,Nature312:768に説明されるインターロイキン−2受容体のシグナル配列、欧州特許第0367 566号に説明されるインターロイキン−4受容体シグナルペプチド、米国特許第4,968,607号に説明されるインターロイキン−1受容体I型シグナルペプチド、欧州特許第0 460 846号に説明されるインターロイキン−1受容体II型シグナルペプチド。
【0429】
提供される発現ベクターは、市販のベクターなどの開始ベクターから構築することができる。かかるベクターは、所望のフランキング配列の全てを含有する場合もあり、または含有しない場合もある。本明細書に説明されるフランキング配列のうちの1つ以上が、ベクター内に未だ存在していない場合、それらは、個別に得られ、ベクター内にライゲートされることができる。フランキング配列の各々を得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0430】
ベクターが構築され、PAC1抗原結合配列を含む軽鎖、重鎖、または軽鎖及び重鎖をコードする核酸分子がベクターの適切な部位内に挿入された後、完成したベクターは、増幅及び/またはポリペプチド発現のために好適な宿主細胞内に挿入することができる。選択される宿主細胞への抗体の発現ベクターの形質転換は、形質移入、感染、リン酸カルシウム共沈、電気穿孔、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介形質移入、または他の既知の技術を含む、周知の方法によって達成することができる。選択される方法は、部分的には、使用される宿主細胞の種類に応じるであろう。これらの方法及び他の好適な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook et al.,2001(上記参照)に記載される。
【0431】
宿主細胞は、適切な条件下で培養されるとき、抗体を合成し、それはその後、培養培地から(宿主細胞がそれを培地中へ分泌する場合)か、またはそれを産生する宿主細胞から直接的に(分泌されない場合)収集される。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいまたは必要とされるポリペプチド改変(グリコシル化またはリン酸化など)、及び生物学的に活性な分子への折り畳みの容易性などの、種々の因子に依存するであろう。
【0432】
発現のための宿主として利用可能な哺乳類細胞株は、当該技術分野において周知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒーラ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、及びいくつかのの他の細胞株が挙げられるがこれらに限定されない、the American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、PAC1結合特性を有する抗体を構成的に産生するかの決定を通じて選択することができる。別の実施形態では、それ自身の抗体は作製しないが、異種抗体を作製及び分泌する能力を有するB細胞系統に由来する細胞株を、選択することができる。
【0433】
診断的及び治療的目的のためのヒトPAC1抗体の使用
抗体は、生物学的試料中のPAC1の検出及びPAC1を産生する細胞または組織の特定に有用である。例えば、PAC1抗体は、診断的分析、例えば、組織または細胞内で発現されるPAC1を検出及び/または定量化するための結合分析に使用することができる。PAC1に特異的に結合する抗体は、PAC1に関連する疾患の治療を必要とする患者における、PAC1に関連する疾患の治療に使用することもできる。それに加えて、PAC1抗体は、PAC1がそのリガンドPACAP(例えば、PACAP−38)と複合体を形成することを阻害し、それによって細胞または組織中のPAC1の生物学的活性を調節するために使用することができる。調節することができる活性の例としては、血管拡張の阻害及び/または神経性炎症の減少が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、PAC1に結合する抗体は、他の結合化合物との相互作用を調節及び/または遮断することができ、したがって、PAC1に関連する疾患の改善における治療的使用を有することができる。
【0434】
適応症
ヒトPAC1に関連付けられる疾患または状態としては、患者におけるその発症が、少なくとも部分的に、PAC1のそのリガンドPACAP(例えば、PACAP−38)との相互作用によって引き起こされる任意の疾患または状態が挙げられる。疾患または状態の重篤度もまた、PAC1のPACAP(例えば、PACAP−38)との相互作用によって増加または減少され得る。本明細書に説明される抗体で治療することができる疾患及び状態の例としては、頭痛、例えば、群発頭痛、片頭痛(migraine headaches)を含む片頭痛(migraine)など、慢性疼痛、糖尿病(II型)、炎症、例えば、神経性炎症など、循環器疾患、ならびに内毒素血症及び敗血症に伴う血行動態異常が挙げられる。
【0435】
具体的には、本明細書に説明される抗体は、片頭痛発作が開始した後に開始される急性治療として、ならびに/または、例えば、疼痛症状などの片頭痛発作に伴う症状の頻度及び/もしくは重篤度を予防もしくは低減するために、例えば、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、隔年など)投与される予防的治療として、片頭痛を治療するために使用することができる。
【0436】
PAC1受容体作動薬PACAPの注入は、片頭痛患者において片頭痛様頭痛を引き起こし、PAC1の遮断が片頭痛の治療に有用であり得ることを示唆している。本発明を支持して実施されたカニクイザルにおける免疫組織化学研究は、PACAP及びPAC1局在を、硬膜血管系(dura vasculature)も神経支配する蝶形骨口蓋神経節(SPG、翼突口蓋神経節としても知られる)を通る副交感神経経路に位置付けた。副交感神経経路は、独立しており、硬膜血管系の調子も制御する感覚経路と並列しており、それ故、片頭痛病態生理学において役割を果たす可能性がある。本発明を支持して実施されたさらなる実験は、選択的なPAC1Abは、臨床的な片頭痛有効性と相関することが報告されている電気生理学モデルである、電気的に刺激された三叉神経頸部複合体(trigeminal cervical complex)(TCC)の活性化を遮断することを示した。総じて、この証拠は、片頭痛を治療するための、本明細書に説明される抗PAC1抗体などの選択的な拮抗薬を用いたPAC1の標的化を支持している。ヒト患者における片頭痛の治療に関する抗PAC1治療薬の期待される有効性は、例えば、Schytz,H.W.,et al.,“The PACAP receptor:a novel target for migraine treatment.”,Neurotherapeutics.2010Apr;7(2):191−6、Olesen J.,et al.,“Emerging migraine treatments and drug targets”,Trends Pharmacol Sci.2011Jun;32(6):352−9、及びSchytz,H.W.,et al.,“PACAP38 induces migraine−like attacks in patients with migraine without aura”,Brain(2009)132(1):16−25を含む公表論文によってさらに支持される。
【0437】
群発頭痛は、その最も際立った特徴として、不均衡で強度の疼痛を含む状態である。一部の医師及び科学者らは、群発頭痛からもたらされる疼痛を、出産、火傷、または骨折よりも悪い、ヒトが耐え得る最も激しい疼痛であると説明している。群発頭痛は、周期的に発生することが多く、自然寛解は、疼痛の活性期を妨げる。群発頭痛の平均発症年齢は、約30〜50歳である。これは、男性により多く見られ、男性の女性に対する比率は、2.5:1または3.5:1に変動する。SPG刺激が、群発頭痛の治療に使用されている。最近では、Autonomic Technologiesが、群発頭痛の急性消耗性疼痛を軽減することを意図して、急性SPG刺激療法を提供するために低レベルの(しかし、高頻度の生理的遮断)電気刺激を送達するためのATI(商標)Neurostimulation Systemを開発している。強固な有効性が、近年の臨床試験において実証されている(NCT01616511、Schoenen J,et al.,“Stimulation of the sphenopalatine ganglion(SPG)for cluster headache treatment.Pathway CH−1:A randomized,sham−controlled study.”,Cephalalgia.2013;33(10):816−30。上記の観点から、また、PACAPはSPG内の主要な神経伝達物質の1つであるため、本明細書に説明される抗PAC1抗体などのPAC1受容体拮抗薬は、ヒトにおける群発頭痛の治療に有効性を有することが期待される。
【0438】
診断方法
本明細書に説明される抗体は、PAC1に関連付けられる疾患及び/または状態を検出、診断、または観察するために、診断的目的のために使用することができる。当業者に既知である伝統的な免疫組織学的方法(例えば、Tijssen,1993,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,Vol15(Eds R.H.Burdon and P.H.van Knippenberg,Elsevier,Amsterdam)、Zola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.)、Jalkanen et al.,1985,J.Cell.Biol.101:976−985、Jalkanen et al.,1987,J.Cell Biol.105:3087−3096)を使用した、試料中のPAC1の存在の検出のための方法も提供される。PAC1の検出は、インビボまたはインビトロで実施することができる。
【0439】
本明細書に提供される診断的用途は、PAC1の発現及びPAC1へのリガンドの結合を検出するための抗体の使用を含む。PAC1の存在の検出に有用な方法の例としては、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)及び放射性免疫測定(RIA)などの免疫学的検定が挙げられる。
【0440】
診断的用途のために、抗体は、典型的には検出可能な標識基で標識されるであろう。好適な標識基としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位体もしくは放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素基(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。幾つかの実施形態では、標識基は、種々の長さのスペーサーアームを介して抗体に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。タンパク質を標識するための種々の方法は、当該技術分野において既知であり、使用することができる。
【0441】
別の態様では、抗体は、PAC1を発現する細胞(単数)または細胞(複数)を特定するために使用することができる。特定の実施形態では、抗体は、標識基で標識され、標識された抗体のPAC1への結合が検出される。さらなる特定の実施形態では、抗体のPAC1への結合は、インビボで検出される。さらなる特定の実施形態では、PAC1抗体は、当該技術分野において既知である技術を使用して単離及び測定される。例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor(ed.1991 and periodic supplements)、John E.Coligan,ed.,1993,Current Protocols In Immunology New York:John Wiley&Sonsを参照されたい。
【0442】
別の態様は、PAC1への結合に関して提供される抗体と競合する試験分子の存在の検出を提供する。1つのかかる分析の例は、一定量のPAC1を含有する溶液中の遊離抗体の量を、試験分子の存在または不在下で検出することを含むであろう。遊離抗体(すなわち、PAC1に結合されていない抗体)の量の増加は、試験分子がPAC1への結合に関して抗体と競合することができることを示すことになる。1つの実施形態では、抗体は、標識基で標識される。別法として、試験分子が標識され、遊離試験分子の量が、抗体の存在及び不在下で観察される。
【0443】
治療の方法:薬学的製剤、投与の経路
本抗体を使用する方法も提供される。幾つかの方法では、抗体が、患者に提供される。抗体は、PACAPのヒトPAC1への結合を阻害する。
【0444】
治療的有効量の1つまたは複数の抗体、ならびに薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤、及び/またはアジュバントを含む薬学的組成物も、提供される。それに加えて、かかる薬学的組成物を投与することによって、例えば、片頭痛に関して、患者を治療する方法も含まれる。「患者」という用語は、ヒト患者を含む。
【0445】
許容される製剤材料は、用いられる用量及び濃度において、受容者に対して非毒性である。特定の実施形態では、治療的有効量のヒトPAC1抗体を含む薬学的組成物が提供される。
【0446】
ある特定の実施形態では、許容される製剤材料は、好ましくは、用いられる用量及び濃度において、受容者に対して非毒性である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、容量オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着もしくは浸透を、改変、維持、または保存するための製剤材料を含有することができる。かかる実施形態では、好適な製剤材料としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリシンなど)、抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、もしくは亜硫酸水素ナトリウムなど)、緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、トリスHCl、クエン酸塩、リン酸塩、もしくは他の有機酸など)、充填剤(マンニトールもしくはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)、充填剤、単糖、二糖、もしくは他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、着色剤、香味剤、及び賦形剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素など)、溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトールなど)、懸濁剤、界面活性剤もしくは湿潤剤(プルロニック(pluronic)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベートなど、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal)など)、安定性強化剤(スクロースもしくはソルビトールなど)、等張強化剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムもしくはカリウム、マンニトール、ソルビトールなど)、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤、ならびに/または薬学的アジュバントを挙げることができるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18”Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0447】
ある特定の実施形態では、最適な薬学的組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式、及び所望の用量などに応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記参照)を参照されたい。ある特定の実施形態では、かかる組成物は、開示される抗体の物理的状態、安定性、インビボの放出速度、及びインビボのクリアランス速度に影響を及ぼすことができる。特定の実施形態では、薬学的組成物中の主要なビヒクルまたは担体は、水性かまたは非水性かのいずれかの性質であり得る。例えば、好適なビヒクルまたは担体は、注射液、生理食塩水、または人工脳脊髄液であることができ、場合により、非経口投与用組成物において一般的である他の材料を補充される。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。特定の実施形態では、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のトリス緩衝剤または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝剤を含み、またソルビトールまたは好適な代替物をさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、ヒトPAC1抗体組成物は、所望の度合いの純度を有する選択される組成物を、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態の任意選択的な製剤化剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,上記参照)と混合することによって、保管のために調製することができる。さらに、ある特定の実施形態では、ヒトPAC1抗体は、スクロースなどの適切な賦形剤を使用して、凍結乾燥物として製剤化することができる。
【0448】
薬学的組成物は、非経口送達のために選択することができる。別法として、組成物は、吸入のため、または経口などの消化管を通じた送達のために選択することができる。かかる薬学的に許容される組成物の調製は、当該技術分野の技術の範囲内である。
【0449】
製剤構成成分は、好ましくは、投与部位に許容される濃度で存在する。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、組成物を、生理学的pHまたは僅かに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に維持するために使用される。
【0450】
非経口投与が企図されるとき、治療的組成物は、ピロゲンを含まない、薬学的に許容されるビヒクル中に所望のヒトPAC1結合タンパク質を含む非経口的に許容される水溶液形態で提供することができる。非経口注射に特に好適なビヒクルは、ヒトPAC1抗体が無菌等張液として製剤化され、適切に保存される無菌蒸留水である。ある特定の実施形態では、調製は、所望の分子と、蓄積注射を介して送達され得る産生物の制御または持続放出を提供することができる、例えば、注射可能ミクロスフェア、生体浸食可能な粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズ、またはリポソームなどの剤との製剤化を含むことができる。ある特定の実施形態では、血液循環内の長時間の持続を促進する効果を有するヒアルロン酸も、使用することができる。ある特定の実施形態では、埋め込み可能な薬物送達デバイスを、所望の抗体を導入するために使用することができる。
【0451】
ある特定の薬学的組成物は、吸入のために製剤化される。幾つかの実施形態では、ヒトPAC1抗体は、乾燥した吸入可能粉末として製剤化される。特定の実施形態では、ヒトPAC1抗体吸入液も、エアロゾル送達用の推進剤と共に製剤化することができる。ある特定の実施形態では、溶液は、霧状にすることができる。経肺投与及びそのための製剤化方法は、国際特許出願第PCT/US94/001875号にさらに説明されており、それは参照により援用され、化学的に改変されたタンパク質の経肺送達を説明している。幾つかの製剤は、経口投与することができる。この様式で投与されるヒトPAC1抗体は、錠剤及びカプセルなどの固形剤形の調合に習慣的に使用される担体を伴って、または伴わずに製剤化することができる。ある特定の実施形態では、カプセルは、生体利用性が最大化され、前全身性分解が最小化される場合、胃腸管内の地点で製剤の活性部分を放出するように、設計することができる。さらなる剤を、ヒトPAC1抗体の吸収を促進するために含むことができる。希釈剤、着香料、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、及び結合剤も、用いることができる。
【0452】
幾つかの薬学的組成物は、有効な量の1つまたは複数のヒトPAC1抗体を、錠剤の製造に好適な非毒性賦形剤との混合物中に含む。錠剤を無菌水または別の適切なビヒクル中に溶解させることによって、溶液を、単位投薬量形態で調製することができる。好適な賦形剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤、あるいはデンプン、ゼラチン、またはアカシアなどの結合剤、あるいは例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0453】
さらなる薬学的組成物は、当業者に明らかであり、持続または制御送達製剤内のヒトPAC1抗体を含む製剤が挙げられる。リポソーム担体、生体浸食可能な微粒子、または多孔性ビーズ、及び蓄積注射剤などの多様な他の持続または制御送達手段を製剤化する技術も、当業者に知られている。例えば、参照により援用され、薬学的組成物の送達のための多孔性ポリマー微粒子の制御放出を説明する、国際特許出願第PCT/US93/00829号を参照されたい。持続放出調製物は、例えば、フィルムなどの形状付けられた物品の形態の半透過性ポリマーマトリックス、またはマイクロカプセルが挙げられ得る。持続放出マトリックスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(各々参照による援用される米国特許第3,773,919号及び欧州特許出願公開第EP058481号に説明される)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタミネートのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers2:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−インエタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277及びLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,1981,上記参照)、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第EP133,988号)を挙げることができる。持続放出組成物としてはまた、当該技術分野において既知である幾つかの方法のいずれかによって調製することができるリポソームを挙げることができる。例えば、参照により援用されるEppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688−3692、欧州特許出願公開第EP036,676号、同第EP088,046号、及び同第EP143,949号を参照されたい。
【0454】
インビボ投与に使用される薬学的組成物は、典型的には、無菌調製物として提供される。滅菌は、無菌濾過膜を通した濾過によって達成することができる。組成物が凍結乾燥されるとき、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥及び再構成の前かまたは後かのいずれかに行うことができる。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液中で保管することができる。非経口組成物は概して、無菌接近口を有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用液袋またはバイアル内に定置される。
【0455】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される組み換え抗体を発現する細胞は、送達のためにカプセル化される(Invest.Ophthalmol Vis Sci43:3292−3298,2002及びProc.Natl.Acad.Sciences103:3896−3901,2006を参照されたい)。
【0456】
ある特定の製剤において、抗体は、少なくとも10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、または150mg/mlの濃度を有する。幾つかの製剤は、緩衝剤、スクロース、及びポリソルベートを含有する。製剤の例は、50〜100mg/mlの抗体、5〜20mMの酢酸ナトリウム、5〜10重量/体積%のスクロース、及び0.002〜0.008重量/体積%のポリソルベートを含有するものである。ある特定の製剤は、例えば、9〜11mMの酢酸ナトリウム緩衝剤、8〜10重量/体積%のスクロース、及び0.005〜0.006重量/体積%のポリソルベート中に65〜75mg/mlの抗体を含有する。特定のかかる製剤のpHは、4.5〜6の範囲内である。他の製剤は、5.0〜5.5のpH(例えば、5.0、5.2、または5.4pH)を有する。
【0457】
薬学的組成物を製剤化した後、それは、溶液、懸濁液、ゲル、乳剤、固体、結晶として、または無水もしくは凍結乾燥粉末として無菌バイアル内に保管することができる。かかる製剤は、すぐに使用できる形態か、または投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥)でか、のいずれかで保管することができる。単回投与単位を生産するためのキットも提供される。ある特定のキットは、乾燥させたタンパク質を有する第1の容器と、水性製剤を有する第2の容器とを含有する。ある特定の実施形態では、単一及び複数のチャンバを有する予備充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジ及びリオシリンジ(lyosyringe))を含有するキットが提供される。用いられる治療的有効量のヒトPAC1抗体を含有する薬学的組成物は、例えば、治療的文脈及び目的に依存するであろう。当業者は、治療のための適切な用量レベルは、部分的に、送達される分子、ヒトPAC1抗体が使用されている適応症、投与の経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面、または臓器の大きさ)および/または患者の状態(年齢及び全体的な健康)に応じて変動するであろうことを理解するであろう。ある特定の実施形態では、臨床医が、用量をタイターし、最適な治療効果を得るために投与の経路を修正することができる。
【0458】
典型的な用量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg〜最大約30mg/kg以上に渡ることができる。特定の実施形態では、用量は、10μg/kg〜最大約30mg/kg、任意選択的に0.1mg/kg〜最大約30mg/kg、代替として0.3mg/kg〜最大約20mg/kgに渡ることができる。用途により、用量は、0.5mg/kg〜20mg/kgである。場合により、抗体は、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、または20mg/kgで投与される。幾つかの治療計画における用量計画は、0.3mg/kg qW(週一回)、0.5mg/kg qW、1mg/kg qW、3mg/kg qW、10mg/kg qW、または20mg/kg qWの投薬量である。
【0459】
投薬頻度は、使用される製剤中の特定のヒトPAC1抗体の薬物動態学的パラメータに依存するであろう。典型的には、臨床医は、所望の効果が達成される用量に到達するまで組成物を投与する。したがって、組成物は、経時的に、または埋め込みデバイスもしくはカテーテルを介した連続的な注入で、単回投薬として、または2回以上の投薬(同一量の所望の分子を含有してもよく、または含有しなくてもよい)として投与することができる。適切な用量は、適切な投薬量−応答データの使用を通じて確認することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、長期間に渡って患者に投与することができる。抗体の慢性投与は、例えば、非ヒト動物においてヒト抗原に対して作られる抗体、例えば、非ヒト種において産生される非完全ヒト抗体または非ヒト抗体などの、完全ヒトではない抗体に一般的に関連付けられる有害な免疫またはアレルギー性応答を最小にする。
【0460】
薬学的組成物の投与の経路は、例えば、経口的に、静脈内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、もしくは病巣内経路による注射を通じて、持続放出システムによって、または埋め込みデバイスによってなど、既知の方法に従う。ある特定の実施形態では、組成物は、ボーラス注射によって、または継続的に注入によって、または埋め込みデバイスによって投与することができる。
【0461】
組成物はまた、その上に所望の分子が吸収またはカプセル化された膜、スポンジ、または別の適切な材料の埋め込みを介して、局所的に投与することもできる。ある特定の実施形態では、埋め込みデバイスが使用される場合、デバイスは、任意の好適な組織または臓器内に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、徐放ボーラス、または連続した投与を介することができる。
【0462】
また、ヒトPAC1抗体薬学的組成物をエキソビボで使用することが望ましい場合もある。かかる例では、患者から除去された細胞、組織、または臓器をヒトPAC1抗体薬学的組成物に曝露した後、細胞、組織、及び/または臓器を患者に戻して埋め込む。
【0463】
具体的には、ヒトPAC1抗体は、本明細書に説明されるものなどの方法を使用して、ポリペプチドを発現及び分泌するように遺伝子操作された特定の細胞を埋め込むことによって、送達することができる。ある特定の実施形態では、かかる細胞は、動物またはヒト細胞であってもよく、また自家、異種、または異種間であってもよい。ある特定の実施形態では、細胞は、不死化することができる。他の実施形態では、免疫学的応答の機会を減少させるため、細胞は、周辺組織の浸入を回避するようにカプセル化することができる。さらなる実施形態では、カプセル化材料は典型的には、タンパク質産生物(単数または複数)の放出を可能にするが、患者の免疫系によるか、または周辺組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を予防する生体適合性の半透過性ポリマーエンクロージャーまたは膜である。
【実施例】
【0464】
以下の実施例は、行われる実験及び達成される結果を含め、単に例証の目的のために提供され、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0465】
実施例1
PAC1抗体
A.抗PAC1抗体の生成
完全ヒト抗体を、標準的な方法を使用して、例えば、実質的にUS特許公開第US2010−0172895A1号に詳述される通りに、PAC1細胞外ドメインタンパク質、T細胞エピトープタグでタグ付けされたDNA、全長ヒトPAC1を発現するL1.2細胞、及び他のhPAC1抗原によるXENOMOUSE動物の免疫付与を通じて生成した。
【0466】
B.抗PAC1抗体のスクリーニング
ハイブリドーマ上清を、PAC1への結合に関して、また機能性拮抗薬活性に関しても、PACAP(例えば、PACAP−27またはPACAP−38)かまたは選択的な外因性ペプチドリガンド(マキサディラン)かのいずれかによるPAC1の活性化によるcAMPの生成を遮断するそれらの能力を検出する分析においてスクリーニングし、次に関連する受容体VPAC1及びVPAC2に対してカウンタースクリーニングした。望ましい機能及び選択性を有するその上清を、標準的な方法を使用して、例えば、実質的に参照により本明細書に援用されるUS特許公開第US2010−0172895A1号に詳述される通り、配列決定及びクローン化し、組み換え的に発現させ、精製し、機能及び選択性に関して再び試験した。
【0467】
C.PAC1作動薬の選択性
実験を実施して、関連する受容体PAC1、VPAC1、及びVPAC2に対する3つのPAC1作動薬(PACAP、VIP、及びマキサディラン)の活性及び選択性を評価した。これらの実験のデータは下の表7に示され、PACAPは、3つの全ての受容体において類似の作動薬活性を有し、VIPは、PAC1において幾らかの活性を有するが、VPAC1及びVPAC2において(約10〜100倍)高い活性を有し、マキサディランは、VPAC1及びVPAC2と対比してPAC1に高度に選択的であることを実証している。
【表7】
【0468】
実施例2
cAMP機能分析におけるPAC1特異性遮断モノクローナル抗体の活性
A.抗PAC1抗体の活性
選択された本明細書に説明されるhPAC1抗体を、インビトロのPAC1媒介cAMP分析においてスクリーニングして、固有の有効性を決定した。分析は、SH−SY−5Y、hPAC1を内因的に発現するヒト神経芽細胞腫細胞株(Biedler,J.L.,et al.,1978,“Multiple neurotransmitter synthesis by human neuroblastoma cell lines and clones”.Cancer Res.38(11Pt1):3751−7、Lutz,E.M.,et al.,“Characterization of novel splice variants of the PAC1 receptor in human neuroblastoma cells:consequences for signaling by VIP and PACAP.”Mol Cell Neurosci2006;31:193−209)、及び以下の受託番号を有する、組み換えPAC1、VPAC1&VPAC2構築物を発現する複数の細胞株を用いた:ヒトPAC1(hPAC1):NM_001118.4、hPAC1短(アミノ酸残基89〜109が欠失されたhPAC1(使用範囲:1〜88、110〜468)):NM_001199637.1、カニクイザルPAC1:XM_005549858.1、ラットPAC1:NM_133511.2、マウスPAC1:NM_001025372.2、ヒトVPAC1(hVPAC1):NM_004624.3、ヒトVPAC2(hVPAC2):NM_003382.4、ラットVPAC2:NM_017238.1、マウスVPAC2:NM_009511.2。
【0469】
SHSY−5Y細胞を、最小必須培地(MEM)(Invitrogen 11095−072)とHam’sF12栄養素混合物(Invitrogen 11765−047)、10%のウシ胎仔血清(Invitrogen 10099−141)、1Xのペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン(Invitrogen 10378016)、及び1XのMEM非必須アミノ酸(Invitrogen 11140−050)との1:1混合物中で増殖させた。PAC1−CHO、ラットPAC1、及びカニクイザルPAC1細胞を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Gibcoカタログ番号11965)、10%の透析FBS(Invitrogen 26400044)、1%のMEM非必須アミノ酸(Invitrogen 11140−050)、1%のピルビン酸ナトリウム(Invitrogen 11360070)、1%のグルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen 10378016)中で増殖させた。CHO−Trex−ラット及びマウスVPAC2R安定性細胞株を、基本培地:F12(Invitrogen 11765−047)、P/S/G:1X(Invitrogen 10378016)、熱不活性化FBS:10%(Invitrogen 10100147)、ブラストサイジン:5μg/ml(Invitrogen R21001)、及びハイグロマイシン:400μg/ml(Invitrogen 10687010)中で増殖させた。細胞は、テトラサイクリン(Sigma 87128):3.5μg/mlを用いて、分析の24時間前に添加して誘発した。hPAC1−CHO−K1細胞(Perkin Elmer;ES−272−A)を、Ham’sF12(Invitrogen 11765−047)、10%のFBS(Invitrogen 10099−141)、ペニシリン/ストレプトマイシン:1X(Invitrogen 15140122)、400μg/mlのG418(Stock:50mg/ml→8ml/L培地)(Invitrogen 10131027)、250μg/mlのZeocin(Stock:100mg/ml→2.5ml/L培地)(Invitrogen R25005)中で増殖させた。VPAC1/CHO−CRE−BLA(Invitrogen;作動薬:VIP)細胞を、ダルベッコ変法イーグル培地DMEM)(Gibcoカタログ番号11965)、透析FBS:10%(Invitrogen 26400044)、NEAA:1X(Invitrogen 11140−050)、ペニシリン/ストレプトマイシン:1X(Invitrogen 15140122)、HEPES(pH7.3):25mM(Invitrogen 15630130)中で増殖させた。VPAC2/CHO−CRE−BLA(Invitrogen;作動薬:VIP)細胞を、VPAC1細胞に関して上記に説明される通り、ブラストサイジン:5μg/ml(Invitrogen R21001)及びGeneticin:500μg/ml(G418)(Invitrogen 10131027)の添加を伴って増殖させた。SK−N−MC細胞を、MEM(Invitrogen 11095−072)、10%のFBS(Invitrogen 10099−141)、1XのNEAA(Invitrogen 11140−050)、1Xのピルビン酸ナトリウム(Invitrogen 11360070)、1Xのグルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen 10378016)中で増殖させた。L6細胞を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Gibcoカタログ番号11965)、10%のウシ胎仔血清(Gibcoカタログ番号10099−141)、1Xのグルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibcoカタログ番号10378−016)中で増殖させた。
【0470】
細胞を、上に説明される条件下で増殖させ、80〜90%の密集状態で採取した。細胞を、SHSY5Y細胞に関して、0.05%のトリプシン−EDTA(1X)、フェノールレッド(Invitrogen,25300054)と共にVERSENE(1:5000,Invitrogen,15040−060)を用いて解離させ、次に4℃で5分間、1000rpmでBeckman GS−6Rユニット内で遠心分離した。ペレットを、細胞凍結培地(Invitrogen,12648010)で再懸濁した。次に、細胞を、Z1 Coulter Particle Counterを使用して計数し、所望の濃度(5E6/mlまたは2E6/ml)に調節し、アリコートを、−80℃でまたは液体窒素中に使用まで保管した。PAC1細胞の濃度に関して、hVPAC1/2CHOは、4K/10μlであり、他のものは2K/10μlであり、SKNMC及びL6に関して、濃度は1K/10μlであった。
【0471】
LANCE Ultra cAMP分析キット(PerkinElmer,Boston,MA)を、スクリーニングに使用した。分析は、40μLの総体積で白色オプティプレートハーフエリア96ウエルプレート(Costar 3642)において三連で実施した。手短に述べると、凍結細胞のバイアルを、水槽中で、30℃で定温放置することによって解凍した。解凍した細胞を、分析緩衝剤(F12、0.1%のBSA、1mMのIBMX)で1回洗浄し、細胞濃度を2K/10μlに調節した。細胞懸濁液を、10μlのアリコートで96ハーフエリア白色プレート内に分配した。次に、5マイクロリットルの拮抗薬(例えば、本明細書に説明される抗PAC1抗体)を添加し、試料を、穏やかに振盪しながら室温で30分間定温放置した。次に、5マイクロリットルの作動薬(例えば、PACAP38)を添加し、試料を、穏やかに振盪しながら室温で再度さらに15分間定温放置した。次に、10マイクロリットルの4XのEu−cAMPトレーサー作業液及び10マイクロリットルの4XのULight−抗cAMP作業液を添加し、試料を、室温でさらに45分間定温放置した。
【0472】
試料を、EnVision計器で、Em665/615nMで分析した。データを、試験される拮抗薬抗PAC1抗体濃度の関数としてPOC(対照に対するパーセント)を示すようにGraphPad Prismソフトウエアバージョン5/6(GraphPad Inc.,La Jolla,CA)によって処理して、標準的な非線形回帰曲線に当てはめて、IC50値を得た。POCは、以下のように計算した。
【化1】
【0473】
本明細書に説明された、及び分析において試験された全ての抗体は、約0.1nM〜約200nMの間のIC50活性を有し、大部分は、0.1nM〜100nMの間の活性を有した。上記に説明されるカニクイザルPAC1を発現する組み換え細胞及びラットPAC1を発現するラット細胞を使用して、類似の実験を実施した。ヒト及びカニクイザルPAC1を使用して得られたIC50は類似しており、一方、試験抗体は、ラットPAC1と均一によく交差反応するようには見えなかった。それに加えて、関連する受容体hVPAC1(CRE−Bla−CHO−K1/Invitrogen)及びhVPAC2(−Bla−CHO−K1/Invitrogen)を発現する細胞を使用して、試験抗体の選択性をさらに評価した。試験された抗体のうちのいずれも、試験された範囲に渡って、hVPAC1またはhVPAC2に対する著しい阻害活性を有さなかった(全事例において、IC50は10,000nM超であった)。例示的なデータが、下記の表8に示される。
【表8】
【0474】
ヒトPAC1及びヒトVPAC1及びVPAC2受容体の間のIC50の差は、これらの抗体のPAC1に関する関連する受容体を上回る高い選択性を例証している。
【0475】
実施例3
受容体遮断抗体のKi決定のための放射性リガンド結合分析
どちらもPerkin Elmer(Billerica,MA)から得た125Iで標識されたPAC−1抗体(PAC1結合分析のため)または125Iで標識されたPEG−PACAP38(PACAP38結合分析のため)、及びhPAC−1 AequoScreen CHO(PerkinElmer Life and Analytical Sciences,Boston,Massachusetts)から調製した細胞膜を、種々の濃度の試験抗体の存在下で放射性リガンド結合実験に使用して、対応するKi値を決定した。
【0476】
細胞膜調製
細胞を、Ham’sF12、10%のFBS、100μg/mlのストレプトマイシン、400μ/mlのG418(受容体発現選択)及びZeocin(エクオリン発現選択)中で、40xT225フラスコ内で集密になるまで増殖させた。フラスコを、Ca/Mgを含まないPBSで1回洗浄した。PBSを完全に除去した。5mlのVERSENEを各フラスコに添加し、約5分間待機した。フラスコの側部を叩き、全ての細胞を払い落とした。全てのフラスコからのVERSENE/細胞懸濁液を、50mlの円錐形管に移し、氷の上に定置した。全ての残留細胞を収集するために、フラスコを、Ca/Mgを有さず、プロテアーゼ阻害薬を有する氷冷PBSで濯ぎ、溶液を、管内の細胞に添加した。管を、1000rpmで10分間遠沈させた。ペレットを、−80℃で保管した。
【0477】
膜を調製する日に、細胞ペレットを重量測定し、氷の上で溶解させた。ペレットを、(ペレット1グラム当たり10ml)10mMのトリスHCl、pH7.4、1mMのEDTA、Rocheプロテアーゼ阻害薬(1錠/50ml)中で再懸濁し、電動ダウンス型ホモジナイザーを用いて、30ストロークによって均質化した。細胞ホモジネートを、4℃で10分間、2500rpm(約1000g)で遠心分離した。上清をベックマン遠心分離管に移し、氷の上に維持した。ペレットを、15mlの緩衝剤を用いて再均質化し、回転ステップを繰り返した。両方の上清を組み合わせ、48,400gで30分間遠心分離した。ペレットを、15mlの緩衝剤中で再懸濁し、18Gシリンジを通して剪断して、ペレットを破壊した。ペレットを、20ストロークによって均質化し、48,400gで30分間遠心分離した。ペレットを、BSAを有さない約6mlのPACAP結合緩衝剤中で再懸濁した(20mMのトリスHCl、5mMのMgSO4+プロテアーゼ阻害薬)。ペレットを、18Gシリンジを使用して再懸濁し、ダウンス均質化し、小分けにして、−70℃で保管した。総膜タンパク質濃度を、Microplate BCA Protein Assay(Pierce)を用いて決定した。
【0478】
結合分析
PAC1結合分析を、120μl結合緩衝剤(20mMのトリスHCl、pH7.5、5.0mMのMgSO4、150mMのNaCl、0.1%のBSA(Sigma)、CompleteTM/50ml緩衝剤の錠剤1個(プロテアーゼ阻害薬))、10μlの試験化合物(20X)、50μlのヒトPAC1CHO膜懸濁液(1ウエルあたり0.2μg)、及び20μlの125I−PAC−1抗体(10X、PAC1結合分析のため)かまたは125I−PEG−PACAP38(10X、PACAP38結合分析のため)かのいずれかを含有する96ウエルプレート内で、室温で設定した。
【0479】
非特異的結合を、10μlの(20X)20μMのPACAP6−38を指定されたプレートに添加するによって決定した。プレートを、60rpmで振盪しながら、室温で2時間定温放置し、次に各ウエルの内容物を、0.5%のポリエチレンイミン(PEI)で(少なくとも2時間)処理したGF/C96ウエルフィルタプレート上で濾過した。GF/Cフィルタプレートを、氷冷の50mMのトリス、pH7.5で5回洗浄し、55℃のオーブン内で1時間乾燥させた。次に、GF/Cプレートの底部を封止した。40μlのMicroscint(商標)20を各ウエルに添加し、GF/Cプレートの上部をTopSeal(商標)−A(圧迫接着封止フィルム)で封止し、GF/CプレートをTopCount NXT(Packard)で計数した。データを、Prizm(GraphPad Software Inc.)を使用して分析した。
【0480】
上に説明されるように得られたKi値を示す例示的なデータが、下の表9に示される。PAC1結合分析のデータは、異なる縦列内の指定の125Iで標識されたPAC−1抗体、及び異なる横行内に示される試験抗体と共に示される。異なる産生ロットからの試料は、示される通り(01A、26A、39A)、試験抗体の幾つかと共に実行された。結果は、実施例2に説明されるcAMP分析において生物学的活性を有する試験された抗PAC1抗体は、PAC1の作動薬(125Iで標識されたPEG−PACAP38)の結合と競合し、またhPAC1上の同一または類似のエピトープに関して互いに交差競合もすることを示している。
【表9】
【0481】
実施例4
KINEXAによって測定される結合KD
A.hPAC1を発現する全細胞を使用した実験。
抗Pac1抗体のCHOK1/huPac1細胞との結合を、KinExA上で試験した。手短に述べると、UltraLink Biosupport(Pierceカタログ番号53110)を、ヤギ抗huFc(Jackson Immuno Researchカタログ番号109−005−098)で予備コーティングし、BSAで遮断した。10pM、30pM、100pM、及び300pMの抗Pac1抗体を、1%のFBS及び0.05%アジ化ナトリウムを含有する培地F12中で、huPac1を発現する種々の密度(1.7x101〜9x106細胞/mL)のCHOK1細胞と共に定温放置した。抗Pac1抗体及び全細胞を含有する試料を、室温で4時間、回転させながら定温放置した後、4℃で5分間、220gで遠心分離して、全細胞及び抗Pac1抗体細胞の複合体を未結合抗Pac1抗体から分離した。遊離抗Pac1抗体を含有する上清を、0.22μmフィルタを通して濾過した後、ヤギ抗huFcコーティングビーズをKinExA上に充填した。ビーズに結合した抗Pac1抗体の量を、蛍光(Alexa Fluor647)標識された抗huIgG(H+L)抗体(Jackson Immuno Researchカタログ番号109−605−088)によって定量化した。結合シグナルは、各細胞密度における溶液中の遊離抗Pac1抗体の濃度に比例する。平衡解離定数(KD)を、KinExATM Proソフトウエア(Sapidyne Instruments,Inc.,Boise,ID)におけるn曲線分析によって概算した。
【0482】
B.hPAC1細胞外ドメイン(ECD;hPAC1 1−135)を使用した実験。
抗Pac1AbのhuPac1(1−135)::6xHisとの結合を、KinExA上で試験した。手短に述べると、UltraLink Biosupport(Thermo Fisher Scientificカタログ番号53110)を、huPac1(1−135)::6xHisで予備コーティングし、上記に説明される通りBSAで遮断した。30、100、及び300pMのAbを、種々の濃度のhuPac1(1−135)::6xHisと共に室温で少なくとも8時間定温放置した後、huPac1(1−135)::6xHisでコーティングしたビーズを通して走らせた。ビーズに結合したAbの量を、蛍光(DyLight649)標識されたヤギ抗huIgG(H+L)抗体(Jackson Immuno Researchカタログ番号109−495−088)によって定量化した。結合シグナルは、結合平衡における遊離Abの濃度に比例する。平衡解離定数(KD)を、1サイト均質結合モデル(KinExATM Pro software)を使用して競合曲線の非線形回帰から取得した。
【0483】
CHOK1/huPac1細胞及びhuPac1(1−135)::6xHisと結合する試験された試料の平衡解離定数の概要が、下記の表10に示される(平均の後に(範囲))。
【表10】
【0484】
実施例5
血小板食作用分析
任意の潜在的なFcγ受容体誘発血小板減少に対処するために、本明細書に説明される抗体のサブセットを、食作用分析において試験した。
【0485】
A.末梢血白血球(PBL)及び血小板の調製
ヒト及びカニクイザルの両方の血小板を、以前に説明されている通りに調製した(Semple,J.W.,et al.,Blood(2007)109:4803−4805)。手短に述べると、健康なカニクイザルドナーからの全血液試料を、15分間制動せずに170xgで遠心分離した。血小板富化血漿(PRP)を、上層から収集した。試料の下層を、2000xgで10分間遠心分離して、血小板欠乏血漿(PPP)層及びバフィーコートを得た。PRP画分中の血小板を、20μMのCell Tracker Green CMFDAで、室温で30分間標識した。標識された血小板を、PBSで洗浄し、10%のFBSを伴うRPMI−1640中で再懸濁し、1x10細胞/mLの濃度に調節した。PBLを、同一のドナーから得たバフィーコートから調製した。赤血球を、BD Pharm−lyseを用いて、販売者によって提供されるプロトコルに従って溶解した。溶解後、PBLを、10%のFBSを伴うRPMI−1640で2回洗浄し、最終濃度を5x10細胞/mlに調節した。
【0486】
B.食作用分析
食作用反応を、各100μLのCMFDAで標識された血小板及びPBMCを、試験物品と共に暗闇で定温放置することによって開始した。6時間の定温放置の後、プレートを氷の上に定置することによって反応を停止した。細胞外蛍光を、0.1%トリパンブルーと共に2分間定温放置することによって消光した。氷冷PBSで2回洗浄した後、細胞を、ヨウ化プロピジウムおよび抗CD14と共に4℃で30分間定温放置した。洗浄後、細胞を、BD LSRII Flow Cytometerによって分析した(図2)。先行経験に基づき、単球貪食血小板は、負の対照(a−SAかまたはa−DNPかのいずれか)の少なくとも2倍以上のCMFDA中央蛍光強度値を有する(2)。
【0487】
例示的なデータが、下記の表11に示される。結果は、分析されたグリコシル化されていないIgG1改変体(「B」または「C」で終わる抗体、但し、本研究では「B」のみを試験した)のいずれも、最大14mg/mLの抗体濃度で試験したときにヒトまたはカニクイザル全血液内で血小板を活性化しなかったことを示す。同様に、試験された最高濃度(3mg/ml)を含めて、それに至るまで、インビトロの血小板食作用に対しても効果が全く見られなかった。いずれの試験される濃度においても、インビトロの好中球活性化は見られなかった。
【表11】
【0488】
全ての特許及び特定される他の出版物は、例えば、本明細書に開示される主題に関連して使用され得るかかる出版物に説明される手法などの、説明及び開示の目的のために参照により本明細書に明示的に援用される。これらの出版物は、本出願の出願日より前の開示のためにのみ提供される。この点に関して、発明者らが、先行発明または任意の他の理由により、かかる開示に先行する権利を有しないということを認めるものと解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関して、日付または表現に関する全ての記述は、出願者が利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確性に関するいかなる承認をも構成するものではない。
本発明の特定の実施形態では、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
(A)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR1と、
(B)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR2と、
(C)(i)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Aに記載される軽鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖CDR3と、
(D)(i)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR1配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR1と、
(E)(i)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR2配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR2と、
(F)(i)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表4Bに記載される重鎖CDR3配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、重鎖CDR3と、を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目2)
ヒトPAC1に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(i)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列、(ii)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、または(iii)表3Aに記載されるVアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目3)
単離された抗体またはその抗原結合断片であって、アミノ酸配列LV−01及びHV−01、LV−02及びHV−02、LV−03及びHV−02、LV−04及びHV−03、LV−05及びHV−03、LV−06及びHV−03、LV−04及びHV−04、LV−04及びHV−05、LV−07及びHV−04、LV−07及びHV−05、LV−07及びHV−03、LV−04及びHV−06、LV−04及びHV−06、LV−05及びHV−05、LV−08及びHV−05、LV−09及びHV−05、LV−05及びHV−07、LV−05及びHV−08、LV−09及びHV−07、LV−09及びHV−08、LV−09及びHV−09、LV−05及びHV−09、LV−05及びHV−10、LV−08及びHV−10、LV−05及びHV−11、LV−05及びHV−12、LV−05及びHV−13、LV−08及びHV−13、LV−10及びHV−14、LV−11及びHV−14、LV−12及びHV−15、LV−12及びHV−16、LV−13及びHV−17、LV−14及びHV−18、LV−14及びHV−19、LV−15及びHV−20、LV−16及びHV−21、LV−17及びHV−22、LV−18及びHV−23、LV−19及びHV−24、LV−19及びHV−25、LV−20及びHV−21、またはLV−21及びHV−26を含み、hPAC1に選択的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目4)
単離された抗体またはその抗原結合断片であって、アミノ酸配列LC−01及びHC−01(01A)、LC−01及びHC−02(01B)、LC−02及びHC−03(02A)、LC−02及びHC−04(02B)、LC−02及びHC−05(02C)、LC−03及びHC−03(03A)、LC−04及びHC−06(04A)、LC−04及びHC−07(04B)、LC−04及びHC−08(04C)、LC−05及びHC−06(05A)、LC−05及びHC−07(05B)、LC−05及びHC−08(05C)、LC−06及びHC−06(06A)、LC−06及びHC−07(06B)、LC−06及びHC−08(06C)、LC−04及びHC−09(07A)、LC−04及びHC−10(07B)、LC−04及びHC−11(07C)、LC−04及びHC−12(08A)、LC−04及びHC−13(08B)、LC−04及びHC−14(08C)、LC−07及びHC−09(09A)、LC−07及びHC−10(09B)、LC−07及びHC−11(09C)、LC−07及びHC−12(10A)、LC−07及びHC−13(10B)、LC−07及びHC−14(10C)、LC−07及びHC−06(11A)、LC−07及びHC−07(11B)、LC−07及びHC−08(11C)、LC−04及びHC−15(12A)、LC−04及びHC−16(12B)、LC−04及びHC−17(12C)、LC−05及びHC−12(13A)、LC−05及びHC−13(13B)、LC−05及びHC−14(13C)、LC−08及びHC−12(14A)、LC−08及びHC−13(14B)、LC−08及びHC−14(14C)、LC−09及びHC−12(15A)、LC−09及びHC−13(15B)、LC−09及びHC−14(15C)、LC−05及びHC−18(16A)、LC−05及びHC−19(16B)、LC−05及びHC−20(16C)、LC−05及びHC−21(17A)、LC−05及びHC−22(17B)、LC−05及びHC−23(17C)、LC−09及びHC−18(18A)、LC−09及びHC−19(18B)、LC−09及びHC−20(18C)、LC−09及びHC−21(19A)、LC−09及びHC−22(19B)、LC−09及びHC−23(19C)、LC−09及びHC−24(20A)、LC−09及びHC−25(20B)、LC−09及びHC−26(20C)、LC−05及びHC−24(21A)、LC−05及びHC−25(21B)、LC−05及びHC−26(21C)、LC−05及びHC−27(22A)、LC−05及びHC−28(22B)、LC−05及びHC−29(22C)、LC−08及びHC−27(23A)、LC−08及びHC−28(23B)、LC−08及びHC−29(23C)、LC−05及びHC−30(24A)、LC−05及びHC−31(24B)、LC−05及びHC−32(24C)、LC−05及びHC−33(25A)、LC−05及びHC−34(25B)、LC−05及びHC−35(25C)、LC−05及びHC−36(26A)、LC−05及びHC−37(26B)、LC−05及びHC−38(26C)、LC−08及びHC−36(27A)、LC−08及びHC−37(27B)、LC−08及びHC−38(27C)、LC−10及びHC−39(28A)、LC−10及びHC−40(28B)、LC−10及びHC−41(28C)、LC−11及びHC−39(29A)、LC−11及びHC−40(29B)、LC−11及びHC−41(29C)、LC−12及びHC−42(30A)、LC−12及びHC−43(31A)、LC−13及びHC−44(32A)、LC−14及びHC−45(33A)、LC−14及びHC−46(34A)、LC−15及びHC−47(35A)、LC−16及びHC−48(36A)、LC−17及びHC−49(37A)、LC−18及びHC−50(38A)、LC−19及びHC−51(39A)、LC−19及びHC−52(39B)、LC−20及びHC−48(40A)、またはLC−21及びHC−53(41A)を含み、hPAC1に選択的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目5)
単離された抗体またはその抗原結合断片であって、
重鎖CDR:CDRH1−8、CDRH2−2、及びCDRH3−3、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−3、CDRL2−2、CDRL3−2、
重鎖CDR:CDRH1−11、CDRH2−5、及びCDRH3−9、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−13、CDRL2−1、CDRL3−1、
重鎖CDR:CDRH1−1、CDRH2−4、及びCDRH3−6、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−2、CDRL2−1、CDRL3−1、
重鎖CDR:CDRH1−1、CDRH2−4、及びCDRH3−6、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−1、CDRL2−1、CDRL3−1、
重鎖CDR:CDRH1−3、CDRH2−5、及びCDRH3−5、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−1、CDRL2−1、CDRL3−1、
重鎖CDR:CDRH1−9、CDRH2−6、及びCDRH3−1、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−4、CDRL2−3、CDRL3−3、
重鎖CDR:CDRH1−4、CDRH2−7、及びCDRH3−8、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−6、CDRL2−4、CDRL3−5、
重鎖CDR:CDRH1−10、CDRH2−1、及びCDRH3−7、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−5、CDRL2−3、CDRL3−4、
重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−7、CDRL2−5、CDRL3−6、
重鎖CDR:CDRH1−7、CDRH2−3、及びCDRH3−4、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−8、CDRL2−6、CDRL3−7、
重鎖CDR:CDRH1−2、CDRH2−8、及びCDRH3−2、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−9、CDRL2−5、CDRL3−8、
重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−10、CDRL2−5、CDRL3−6、
重鎖CDR:CDRH1−6、CDRH2−8、及びCDRH3−2、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−12、CDRL2−5、CDRL3−6、または
重鎖CDR:CDRH1−5、CDRH2−8、及びCDRH3−2、ならびに軽鎖CDR:CDRL1−11、CDRL2−5、CDRL3−8、
を含み、hPAC1に選択的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目6)
抗体またはその抗原結合断片であって、
(A)該抗体またはその抗原結合断片は、100nM以下(例えば、50nM)のKiで、ヒトPAC1への結合に関して参照抗体と競合し、該参照抗体は、01B、14A、14B、26A、26B、28A、29A、29B、39A、及び39Bから成る群から選択され、
(B)該抗体またはその抗原結合断片は、ヒトPAC1に選択的に結合する、抗体またはその抗原結合断片。
(項目7)
抗体またはその抗原結合断片であって、
(A)CDRLは、(i)CDRL1−C1及びCDRL1−C2から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)CDRL2−C1、CDRL2−C2、及びCDRL2−C3から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)CDRL3−C1から成るCDRL3と、から成る群から選択され、
(B)CDRHは、(i)CDRH1−C1及びCDRH1−C2から成る群から選択されるCDRH1と、(ii)CDRH2−C1、CDRH2−C2、及びCDRH2−C3から成る群から選択されるCDRH2と、(iii)CDRH3−C1から成るCDRH3と、から成る群から選択され、
(C)該抗体またはその抗原結合断片は、ヒトPAC1に選択的に結合する、抗体またはその抗原結合断片。
(項目8)
前記抗体は、モノクローナル抗体である、項目1〜7のいずれかに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目9)
前記単離された抗体は、モノクローナル抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、及び一本鎖抗体から成る群から選択される、項目1〜8のいずれかに記載の単離された抗体。
(項目10)
前記モノクローナル抗体は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、及びキメラ抗体から成る群から選択される、項目9に記載の単離された抗体。
(項目11)
前記単離された抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体である、項目10に記載の単離された抗体。
(項目12)
前記抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体である、項目8に記載の単離された抗体。
(項目13)
前記抗体は、グリコシル化されていないIgG1抗体である、項目12に記載の単離された抗体。
(項目14)
前記抗体は、その重鎖内にN297突然変異を含む、項目13に記載の前記単離された抗体。
(項目15)
前記抗体は、その重鎖内にN297G置換を含む、項目14に記載の単離された抗体。
(項目16)
前記抗体は、その重鎖内に置換R292C及びV302Cをさらに含む、項目14に記載の単離された抗体。
(項目17)
前記抗体は、VPA1及びVPAC2と比較してhPAC1を選択的に阻害する、項目1〜16のいずれかに記載の単離された抗体。
(項目18)
前記選択性の比は、100:1超である、項目17に記載の単離された抗体。
(項目19)
前記選択性の比は、1000:1超である、項目18に記載の単離された抗体。
(項目20)
項目1〜19のいずれかに記載の抗体をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
(項目21)
項目20に記載の単離された核酸またはポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
(項目22)
項目21に記載の発現ベクターで形質転換された、細胞株。
(項目23)
項目1〜19のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片を作製する方法であって、該抗体またはその抗原結合断片を、該抗体またはその抗原結合断片を分泌する項目22に記載の宿主細胞から調製することを含む、方法。
(項目24)
項目1〜19のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片と薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
(項目25)
患者におけるPAC1に関連付けられる状態を治療するための方法であって、患者に、有効量の項目1〜19のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、方法。
(項目26)
前記状態は、頭痛である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記状態は、片頭痛である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記片頭痛は、反復性片頭痛または慢性片頭痛である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記状態は、群発頭痛である、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記方法は、予防的治療を含む、項目25〜29のいずれかに記載の方法。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]