【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明の特定の態様の単なる例証であり、限定するものと解釈するべきでない。略語は当技術分野における一般的な意味を有する。温度はセ氏温度(℃)で示す。核磁気共鳴(NMR)スペクトルデータは
1H及び
13Cについて400MHz機器を用いてCDCl
3で測定した。ケミカルシフトは標準物質として用いたTMSに対するppmで示した。
【0068】
香気評価(例えば、フローラル、フルーティー、ミンティ)は、専門調香師のパネル又は少なくとも1人以上の専門調香師によって行われた。
【0069】
以下の実施例に使用される「(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸」は、化合物のエナンチオリッチなサンプルであり、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸を90%、(1S,6R)−エナンチオマーを10%含む。以下の実施例に使用される「(1S,6R)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸」は、化合物のエナンチオリッチなサンプルであり、(1S,6R)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸を90%、(1R,6S)−エナンチオマーを10%含む。
【0070】
<実施例1a:(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニルクロリド(「酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体」)の合成>
【0071】
【化9】
【0072】
0℃に冷却した(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸(1eq)のジクロロメタン溶液(200mL)に、15分間かけて塩化チオニル(1.2eq)を液滴で添加した。添加後、反応混合物を室温まで温め、次いで50℃で1.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、減圧真空下で濃縮した。すぐに粗生成物として次のステップに運んだ。
【0073】
<実施例1b:(1S,6R)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボニルクロリド(「酸塩化物中間体の(1S,6R)−異性体」)の合成>
【0074】
【化10】
【0075】
0℃に冷却した(1
S,6
R)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸(1eq)のジクロロメタン溶液(200mL)に、15分間かけて塩化チオニル(1.2eq)を液滴で添加した。添加後、反応混合物を室温まで温め、次いで50℃で1.5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、減圧真空下で濃縮した。すぐに粗生成物として次のステップに運んだ。
【0076】
<実施例2:(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルの合成>
【0077】
【化11】
【0078】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、塩化アリル(10.5eq;溶媒として使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を75℃に加熱し、そのまま一晩放置した(GCは、約98%の純度の原料の反応を示した)。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(2×)と水(2×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は分別蒸留により精製した。(槽=70〜71℃、バルブ=56〜60℃、真空圧力=0.18〜0.9Torr)(収量:67.9%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.88(m,10H)1.15(m,1H)1.45(m,3H)1.70(dd,1H)1.83(m,2H)4.55(m,2H)5.21(d,1H)5.32(m,1H)5.91(qd,1H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 20.98,21.23,21.74,30.29,31.41,34.60,41.27,60.91,64.51,118.27,132.60,174.27。香気の種類:フルーティー、パイナップル、ジュース、アップル、ベリー、フレッシュ、ダマスコン、サフラン酸エチル、エキゾチック。
【0079】
<実施例3:(1S,6R)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルの合成>
【0080】
【化12】
【0081】
酸塩化物中間体の(1S,6R)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、塩化アリル(10.5eq;溶媒として使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を75℃に加熱し、そのまま一晩放置した(GCは、約98%の純度の原料の反応を示した)。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(2×)と水(2×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜2%の酢酸エチル/ヘキサン混合液を用いて溶出し、精製した(収量は53.9%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.87(m,10H)1.15(ddd,1H)1.44(m,3H)1.70(m,1H)1.83(m,2H)4.55(m,2H)5.21(dd,1H)5.32(m,1H)5.91(m,1H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 20.98,21.24,21.74,30.29,31.42,34.60,41.27,60.91,64.52,118.28,132.60,174.28。香気の種類:フローラル、フルーティー、ミンティー、アップル、プラム。
【0082】
<実施例4:(1R,6S)−3−(メチルチオ)ヘキシル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0083】
【化13】
【0084】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、3−メチルチオ−1−ヘキサノール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜3%の酢酸エチル/ヘキサン混合液を用いて溶出し、精製した(収量は53.9%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.86(m,13H)1.12(m,1H)1.44(m,7H)1.80(m,5H)2.00(m,3H)2.58(m,1H)4.21(m,2H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 12.36,12.50,13.98,20.09,21.00,21.24,21.74,30.24,31.43,33.21,33.35,34.58,36.54,36.59,41.24,43.05,43.15,60.97,61.64,76.79,77.11,77.43,174.57。香気の種類:新鮮なつぶしたニンニク。
【0085】
<実施例5:(1R,6S)−((Z)−ヘキサ−3−エニル) 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0086】
【化14】
【0087】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、cis−3−ヘキサノール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜2%の酢酸エチル/ヘキサン混合液を用いて溶出し、精製した(収量は70.8%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.87(m,13H)1.13(m,1H)1.42(m,3H)1.75(m,3H)2.03(m,2H)2.36(q,2H)4.05(m,2H)5.31(m,1H)5.47(m,1H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 14.30,20.71,21.00,21.26,21.75,26.94,30.22,31.42,34.61,41.29,60.96,63.40,124.10,134.42,174.65。香気の種類:薄い、パイナップル、フルーティー、甘い、オレンジジュースの果肉、ロウ質(waxy)。
【0088】
<実施例6:(1R,6S)−プロパ−2−イニル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0089】
【化15】
【0090】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、プロパルギルアルコール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は分別蒸留により精製した(収量は55.4%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.88(m,10H)1.14(m,1H)1.43(m,3H)1.70(m,1H)1.85(m,2H)2.42(t,1H)4.65(m,2H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 20.90,21.17,21.68,30.36,31.33,34.54,41.22,51.09,60.63,74.52,173.79。香気の種類:フルーティー、アップル、プラム、ワイン。
【0091】
<実施例7:(1R,6S)−2−(エチルチオ)エチル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0092】
【化16】
【0093】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、エチル2−ヒドロキシエチルスルフィド(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜5%の酢酸エチル/ヘキサン混合液を用いて溶出し、精製した(収量は57.7%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.87(m,10H)1.14(ddd,1H)1.25(t,3H)1.37(m,1H)1.47(m,2H)1.69(m,1H)1.81(m,2H)2.58(m,2H)2.73(m,2H)4.20(m,2H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 14.91,21.00,21.24,21.72,26.23,30.14,30.25,31.43,34.56,41.23,60.86,62.92,174.43。香気の種類:薄い、ニンニク。
【0094】
<実施例8:(1R,6S)−シクロプロピルメチル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0095】
【化17】
【0096】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、シクロプロパンメタノール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜2%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出し、精製した(収量は32.0%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.25(m,2H)0.53(m,2H)0.87(m,10H)1.13(m,2H)1.37(m,1H)1.48(m,2H)1.69(m,1H)1.81(m,2H)3.87(m,2H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 3.44,10.09,20.93,21.24,21.77,30.28,31.36,34.61,41.31,60.92,68.45,174.69。香気の種類:フローラル、フルーティー、レッドベリー。
【0097】
<実施例9:(1R,6S)−tert−ブチル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0098】
【化18】
【0099】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、tert−ブタノール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜2%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出し、精製した(収量は39.5%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.89(m,10H)1.10(m,1H)1.34(m,1H)1.45(m,11H)1.65(m,2H)1.79(m,1H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 20.81,21.28,21.80,28.28,30.30,31.36,34.66,41.47,61.58,79.82,173.95。香気の種類:フローラル、ローズ、フルーティー、アップル。
【0100】
<実施例10:(1R,6S)−シクロペンチル 2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボキシレートの合成>
【0101】
【化19】
【0102】
酸塩化物中間体の(1R,6S)−異性体が入った0℃に冷却したフラスコに、シクロペンタノール(10.5eq;溶媒としても使用)を20分間かけて液滴で添加した。添加後、混合物を室温まで温め、そのまま一晩放置した。反応液を酢酸エチルで希釈し、5%Na
2CO
3(1×)と水(1×)で洗浄した。水層を酢酸エチル(1×)で逆抽出した。有機層を混合して、塩水(1×)で洗浄した。有機層を分離してMgSO
4で乾燥し、濾過して減圧で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルを通して0〜1%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出し、精製した(収量は59.7%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δppm 0.86(m,10H)1.13(ddd,1H)1.36(m,1H)1.47(m,2H)1.57(m,2H)1.74(m,9H)5.16(tt,1H)。
13C NMR(101MHz,CDCl
3)δppm 20.85,21.28,21.78,23.74,30.23,31.30,32.75,33.39,34.65,41.40,60.94,174.33。香気の種類:薄い、パイナップル、アップル、トロピカルフルーティー、ピーチ。
【0103】
<実施例11:フレグランス組成物>
表1に示す組成物で、バラ果実の女性用コロンを作製した。「TEC」とはクエン酸トリチルである。「DPG」とはジプロピレングリコールである。
【0104】
【表1】
【0105】
<実施例12:香料組成物>
表2に示す組成物で、練り歯磨きに使用できる香料組成物を作製した。
【0106】
【表2】
【0107】
<実施例13:フレグランス組成物>
表3に示す組成物で、パイナップルローズの香りのキャンドルに使用できるフレグランス組成物を作製した。
【0108】
【表3】
【0109】
表3の組成物で、パイナップルの輝きと緑を思わせる、芳醇で新鮮な黄色い果実のフレグランスを作製した。表3の組成物中に、5%(500.0万分率)の(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを含有することは、組成物の香りのために重要であった。(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを5%の安息香酸ベンジルと置き換えると、組成物は溶媒のような臭気となり、香りは深みがなくなって豊かさと広がりがほどんどなくなった。(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを5%のデルタ−ダマスコンと置き換えると、表3の組成物よりも爽やかさがない、強くて非常にフローラルなローズプラム及び熟した赤い果実の香りを有する組成物となった。(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを5%のTHESARON(登録商標)[(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル]と置き換えると、表3の組成物ほどは熟していない、フルーティーなローズ系のそれほど甘くないドライな感じの香りを有する組成物となった。
【0110】
<実施例14:香料組成物>
表4に示す組成物で、例えば約0.1重量%〜約0.3重量%の濃度で、口内洗浄剤に使用できる香料組成物を作製した。
【0111】
【表4】
【0112】
<実施例15:漂白剤安定性試験>
(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリル及びデルタ−ダマスコンの次亜塩素酸塩安定性試験を下記の手順で実施した。
【0113】
市販の無香料の濃縮漂白剤である次亜塩素酸ナトリウム漂白剤製品CLOROX(登録商標)を入手した。該製品は薄黄色の水溶液であり、通常、約4.0重量%〜5.0重量%のNaClOと、pHを約12.4〜約12.7の範囲とするために十分な量の水酸化ナトリウムとを含む。
【0114】
無香料の濃縮漂白剤CLOROXのNaClO含量と、下記で試験されたサンプルすべてのNaClO含量を以下の手順に従って測定した。分析用サンプルは最初に十分に混合した。その後、分析用に2gのサンプルを250mlの三角フラスコに計り取った。次に、15mLの10%KI(ヨードカリウム)と、5mLの2.5M H
2SO
4をフラスコに加え、得られた混合物を十分に攪拌した。その後、黄色い色が消えるまで、0.1N チオ硫酸ナトリウムを用いて遊離のヨウ素を滴定し、添加したチオ硫酸ナトリウムの量を記録した。
計算式:NaClO(重量%)=((チオ硫酸ナトリウム量:mL)×(チオ硫酸ナトリウム溶液の正規値)×37.22×100)÷(サンプル重量:グラム×1000)
【0115】
無香料の濃縮漂白剤CLOROXのNaClOの初期濃度(重量%)を上記の手順に従って測定すると4.57%であった。
【0116】
HDPEボトル中で、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリル及びデルタ−ダマスコンのサンプル60gを無香料の濃縮漂白剤CLOROXに加えたところ、該化合物は漂白剤溶液の上に浮かんでいた。また、香料化合物もしくはフレグランス化合物を加えていない無香料の濃縮漂白剤CLOROXの対照サンプルも作製した。1組のサンプルセットを室温(室温:約21℃)で保持し、別のサンプルセットを38℃で保持した。両方のサンプルセットの臭気及び2週間及び4週間の安定性を試験した。臭気は6段階の定性的ランクシステムに従って判定した(1+=優、1=良上、2=良、3=可、4=可下、及び、5=不可)。安定性は、上記の手順に従って、NaClO濃度(重量%)を測定することによって判定した。試験の結果を表5及び6に示す。
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
表6のデータは、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルが、デルタ−ダマスコンと比べて次亜塩素酸ナトリウム漂白剤安定性を改善できたことを示す。デルタ−ダマスコンを含むサンプルに比べて、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを含むサンプルでは、NaClOの分解が減ることが観察された。4週間の室温保持後、デルタ−ダマスコンを含む漂白剤サンプルでは14.44%のNaClOが分解したのに比べて、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを含む漂白剤サンプルでは9.45%のNaClOが分解した。38℃で4週間保持後、デルタ−ダマスコンを含む漂白剤サンプルでは30.32%のNaClOが分解したのに比べて、(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸アリルを含む漂白剤サンプルでは24.02%のNaClOが分解した。
【0120】
優先権の主張
本出願は、35U.S.C.§119の下、2013年7月22日に出願された米国特許仮出願第61/856,794号に基づく優先権を主張しており、その内容全体を参照により本明細書に包含する。