特許第6283418号(P6283418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283418
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】熱を電気エネルギに変換する電気発生器
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20180208BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   H02N11/00 A
   H01L35/30
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-532236(P2016-532236)
(86)(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公表番号】特表2016-535576(P2016-535576A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】DE2014000404
(87)【国際公開番号】WO2015021956
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】102013013297.5
(32)【優先日】2013年8月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,ドゥミトル−クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マックブライド,ショーン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】アドルディンガー,マルティーン
(72)【発明者】
【氏名】ラナッリ,マルコ
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−002661(JP,A)
【文献】 特開2012−142530(JP,A)
【文献】 特開2004−350479(JP,A)
【文献】 特開2010−200593(JP,A)
【文献】 特開平08−139373(JP,A)
【文献】 特開2005−197385(JP,A)
【文献】 米国特許第03881962(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱を電気エネルギに変換するように構成された複数の熱電気変換器(1)と、
(b)熱源(3)が少なくとも一時的に、少なくとも部分的に内部に配置された少なくとも1つの熱取り出し室(23)
(c)前記熱取り出し室(23)の外部に配置されているとともに、前記複数の熱電気変換器(1)が内部に配置された、変換器モジュール(10)と、
(d)前記変換器モジュール(10)に接続された熱取り出し通路(11)と
(e)前記熱取り出し通路(11)に接続されているとともに、熱取り出し流体(50)を前記熱取り出し通路(11)内へ供給するように構成された、流体供給装置(44)と
を備えた、前記熱取り出し室(23)から熱を取り出すための電気発生器(100)であって、
(イ)前記熱取り出し室(23)には熱取り出し室(23)をその周囲から仕切る少なくとも1つのスリーブ(13)が設けられ、
(ロ)前記複数の熱電気変換器(1)の少なくとも1つが熱取り出し通路(11)の内部に配置され、かつ、
(ハ)前記熱電気変換器(1)が、前記熱取り出し室(23)の前記スリーブ(13)を閉鎖したままで、かつ、前記流体供給装置(44)を前記電気発生器(100)から取り外すことなく、前記変換器モジュール(10)から取り出し可能とされている
ことを特徴とする電気発生
【請求項2】
前記熱取り出し通路(11)が少なくとも部分的に前記熱取り出し室(23)の内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気発生(100)。
【請求項3】
前記熱取り出し通路(11)が少なくとも1つの箇所において前記熱取り出し室(23)内へ進入しており、ならびに/または、
前記熱取り出し通路(11)の主要延び方向が少なくとも部分的に前記熱取り出し室(23)の前記スリーブ(13)と交差し、および/もしくは、前記熱源(3)へと通じるように方向付けされている
ことを特徴とする請求項2に記載の電気発生(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記熱取り出し通路(11)が少なくとも1つの壁(51)を有し、前記壁が熱取り出し通路(11)の内部を少なくとも部分的に前記熱取り出し室(23)に対して仕切っており、
少なくとも1つの前記熱電気変換器(1)が少なくとも部分的に前記熱取り出し通路(11)の内部に、かつ少なくとも部分的に前記熱取り出し室(23)の内部に配置されており、
前記熱電気変換器(1)が少なくとも部分的に前記壁(51)から離して配置されており、かつ、
前記熱電気変換器(1)が前記壁(51)に対して相対的に同心及び/又は平行に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の電気発生(100)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記熱電気変換器(1)あるいは前記熱取り出し通路(11)の少なくとも1つの壁(51)が、1つ又は複数のスペースホルダ(12)によって互いに離隔して保持されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気発生(100)。
【請求項6】
少なくとも1つのスペースホルダ(12)が、前記熱電気変換器(1)の上、壁(51)の上あるいは両者から分離して固定されている、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気発生(100)。
【請求項7】
前記熱取り出し室(23)からの前記熱電気変換器(1)の取り外しを容易にするために、前記熱電気変換器(1)と前記熱取り出し室(23)の壁(51)との間に間隙(55)が設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気発生(100)。
【請求項8】
前記熱取り出し室(23)に介入することなしに、前記熱電気変換器(1)の取り出しを行うことができるようにするために、少なくとも1つの前記熱電気変換器(1)が前記熱取り出し室(23)の外部に配置されており、
前記熱取り出し通路(11)が少なくとも部分的に熱取り出し流体(50)によって充填されており、かつ
前記熱源(3)から熱電気変換器(1)への熱伝達が、前記熱取り出し通路(11)に沿った前記熱取り出し流体(50)の流れに基づいている、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気発生(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を電気エネルギに変換するための電気発生器に関する
【背景技術】
【0002】
多くの技術的適用において、たとえば内燃機関、鋳造工場あるいは圧延機のプロセス廃熱を利用するために、熱を電気に変換する需要が存在する。このような熱電気変換は、熱電気変換器を有する、サーモエレクトリックジェネレータ(TEG)によって行うことができる。
【0003】
この種のサーモエレクトリックジェネレータは、たとえば通路の内部に配置することができる。そして、この通路を通して熱い化学物質又は熱を放射する製品、たとえば鋳造プロセス又は他の熱的な方法によって製造あるいは加工される、灼熱したビン、鋼の延べ棒あるいは他の製品が、移送される。
【0004】
この種のサーモエレクトリックジェネレータは、一連の欠点を有している。特に:
−能率の制限
−熱源に対する間隔が異なることによる、サーモエレクトリックジェネレータにおける異なるローカルな温度分布
−熱を交換する表面における汚れと腐食
−駆動が長くなった場合に汚れの増大による効率の低下
−場合によってはローカルな熱的過負荷
−熱い熱源近傍における水と電流の接続端のシール
−廃熱を発生する装置を連続駆動する間、サーモエレクトリックジェネレータへの接近が難しいことによる、面倒な保守
等の欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって廃熱を改良されたやり方で利用するための需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の対象
これを背景として、請求項1の特徴を有する技術的コンセプトが提案される。他の好ましい形態は、以降の請求項及び以下の説明から読み取ることができる。
【0007】

以下の説明と請求項において、本発明の詳細が説明される。これらの実施は、本発明を理解させようとするものである。しかしそれは例としての特性しか持たない。もちろん、独立請求項によって定義される本発明の枠の内部において個々の又は複数の記述される特徴は省き、変更し、あるいは補足もされ得る。また、異なる実施形態の特徴を、互いに組み合わせることもできることは、もちろんである。
【0008】
重要なことは、本発明のコンセプトが実質的に変換されることである。1つの特徴が少なくとも部分的に満たされる場合には、これは、この特徴が完全に、あるいは実質的に完全に満たされていることも、含んでいる。その場合に「実質的に」というのは、特に、変換が、認識可能な程度において所望の利用を得ることを許すことを意味している。これは、特に、然るべき特徴が少なくとも50%、90%、95%あるいは99%満たされていることを、意味することができる。最小量が述べられている場合には、もちろんこの最小量より多く使用することもできる。構成部品の数が、少なくとも1つと述べられている場合に、これは特に、2つ、3つ、あるいはその他の数の構成部品を有する実施形態も含んでいる。同じことは、定められない数「1つの」が利用される場合にも、一般的に当てはまる。「唯一の」は、必要な場合にそのようなものとしてはっきりと述べられる。
【0009】
1つの対象について記述されていることは、すべての他の同種の対象の主たる部分又は全体に適用することもできる。異なる記載がない限りにおいて、インターバルはその周辺点も一緒に含む。
【0010】
以下、図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、電気発生器100と100’の2つの実施形態を有する鋼圧延機を図式的に示す縦断面図であり、図1Bは、図1Aの詳細a)を拡大して示しており、図1Cは電気発生器100”の他の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の説明
図1Aおよび図1Cは、廃熱発生器(Abwaerme−Erzeuger)200を示している。この廃熱発生器200は、たとえば、エンジン(Motor)に係るものであってもよく、あるいはここにおけるように、金属延べ棒を製造又は加工するための圧延機(Walzwerk)に係るものであってもよい。
【0013】
廃熱発生器200は、熱源3を有し、あるいはそれを連続的に発生させる。熱源3は、好ましくはガス状、液状及び/又は固体の質量の質量流であり、ここでは灼熱する、固体の金属である。熱源3はしばしば、電気に変換すべきプロセス残留熱をそれ自体担う、質量流である。熱源3は、たとえば加熱された水、あるいは内燃機関の熱い排ガスの流体流であり、あるいはここのように固体の質量流であってもよい。実施例において、熱源3は、圧延機内、あるいは圧延機の後ろの灼熱した圧延鋼である。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの熱を担う質量流を移送するために、移送装置5が設けられている。ここでは移送装置は、圧延機のドラムであって、そのドラムが圧延機を通して、あるいはそこから鋼延べ棒を移送する。しかし、熱を担う質量流が流体である場合には、移送装置としてポンプ、羽根車又は他の流れ機械を設けることもできる。
【0015】
本発明によれば、好ましくは、熱源3の熱を電気エネルギに変換するために、少なくとも1つの電気発生器(Elektrizitaetserzeuqer)100が設けられている。この場合それは、好ましくはサーモエレクトリックジェネレータであり、あるいは少なくとも1つの熱電気変換器(thermolektrischen Wandler)1を有する装置である。
【0016】
好ましくは、廃熱発生器200、熱源3及び/又は電気発生器100には、少なくとも1つの熱取り出し室23が設けられており、あるいは少なくとも部分的にその中に配置されている。熱取り出し室23は、熱源3によって加熱される空間領域と解され、その空間領域の中で電気発生器100が直接あるいは間接的に、必要とする熱源3の熱エネルギを取り出す。その場合に熱取り出し室23は、構造的に互いに仕切られた複数の空間領域にわたることもできる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの熱取り出し室23は、少なくとも部分的にスリーブ(Huelle)13によって包囲されている。スリーブ13は、たとえば少なくとも部分的に、エンジンの排ガスパイプによって、あるいはここのように圧延機のハウジング又はその構成部分によって形成することができる。スリーブ13は、特に熱源3をその周囲に対して遮蔽するために用いられる。一方でこれは、周囲を過剰な熱作用から保護する。他方では、スリーブは、熱エネルギの損失を回避する。スリーブ13は、熱を担う質量流のためのガイド装置として、たとえば熱い廃水を供給されるパイプとして、形成することができる。しかしスリーブ13は、ここにおけるように、実施例において、熱源3の熱を担う質量流に対して離して配置することもできる。これは特に、熱源3が高い温度を有する場合に、スリーブ13を大きすぎる熱的な負荷から保護するために、効果的である。多くの場合において、スリーブ13が気密であると効果的であるが、ここにおける場合のようにそれは必ずしも必要ではない。
【0018】
熱取り出し室23もしくはそのスリーブ13は、電気発生器100の構成部分とすることができる。熱取り出し室23は、電気発生器100と廃熱発生器200の間の専用の構成ユニットとすることもできる。ここでは、熱取り出し室23は、廃熱発生器200の構成部分として形成されている。
【0019】
電気発生器100は、熱を直接電気に変換するために、少なくとも1つの熱電気変換器1を有している。それは、熱を直接電圧に変換することができる、構成ユニットと解される。ここでは、好ましくは熱電気変換器1は、電気的に直列に接続されている複数のゼーベックエレメントで構成されている。
【0020】
好ましくは少なくとも1つの熱電気変換器1が、1つ又は複数の熱電気エレメント21を有している。それは、特にペルチェ−及びゼーベックエレメントと解される。好ましくはこの種の熱電気エレメント21の1つ又は複数は、フラットなリング形状のディスクとして形成されている。好ましくはこれらが重ねてスタックされ、それによって取り出し可能な電圧が数倍になる。好ましくはそれによって、熱電気変換器1は、外径における円筒状の外側と内径における円筒状の内側とを有するパイプ形状の形成物として得られる。
【0021】
好ましくは少なくとも1つの熱電気エレメント21は、暖かい側15を有している。これは、リング形状のディスクにおいては、熱電気エレメント21の外径における外側に相当する。ここでは、熱源3と熱電気変換器1もしくは1つ又は複数の熱電気エレメント21との間で熱交換が行われる。
【0022】
好ましくは少なくとも1つの熱電気エレメント21が、少なくとも1つの冷たい側17を有している。リング形状のディスクにおいて、冷たい側17は、熱電気エレメント21の内径における内側に相当する。
【0023】
冷たい側17は、好ましくは冷却流体19によって冷却され、その冷却流体は熱電気エレメント21の、したがってリング形状のディスクの、中空の内径を貫流する。好ましくはそれによって冷たい側17の温度が一定に保たれる。冷却流体19は、好ましくは冷却流体循環内で循環し、あるいは連続的に供給される冷却流体流を介して準備される。しかしこれは、ここでは見通しをよくするために、詳細には示されていない。
【0024】
電気発生器100、廃熱発生器200及び/又は熱取り出し室23は、少なくとも1つの熱取り出し通路11を有している。これは、少なくとも1つの通過開口部において、少なくとも部分的に熱取り出し室23内へ通じている。好ましくはこの熱取り出し通路は、少なくとも部分的に線形に延びている。好ましくはこの部分は、スリーブ13から離れており、かつ/又はそれに対して傾斜して方向付けされている。
【0025】
好ましくは、熱取り出し通路11は、少なくとも部分的にパイプ状の形状を示している。この種のパイプは、円形、楕円形又は矩形の横断面を有することができる。好ましくは熱取り出し通路11は熱取り出し室23内へ、共通の境界内で熱取り出し室23から流体又は熱い質量の流出が不可能であるように、入る。これはたとえば、熱取り出し通路11が熱取り出し室23とその共通の境界線に沿って溶接されていることによって、保証することができる。
【0026】
熱取り出し通路11は、好ましくは壁51を有している。この壁は、好ましくは熱的に耐性のある材料から製造されている。この場合それは、たとえば特殊鋼又はチタンからなるパイプとすることができる。好ましくはその材料は、熱伝導性が良い。しかし適用が高温になる場合には、熱伝導性がより小さい方が好ましい場合もある。壁51は、熱取り出し室内の熱い材料と熱取り出し通路11内にある熱取り出し流体50及び/又は熱電気変換器1との間の直接的な接触を回避するために、設けられている。その壁は、さらに、熱取り出し通路11自体がその内部において熱取り出し流体50によって貫流される場合には、流体ガイド装置として用いられる。
【0027】
好ましくは、熱取り出し通路11が熱取り出し室23を貫通しているので、少なくとも1つの流入箇所60と少なくとも1つの流出箇所61が生じる。それによってこれら2つの位置の間に配置されている熱電気変換器1は、2つの側から接近できる。したがって熱取り出し通路11を通って流れる熱取り出し流体50は、流入箇所60において流入して、流出箇所61において再び熱取り出し室23から取り出すことができる。
【0028】
熱取り出し通路11の内部の1つの熱電気変換器1が、熱取り出し室23の内部に配置されている場合には、熱取り出し通路11は、好ましくは少なくともその一方の端部において、熱取り出し室23のスリーブ13を実質的に越えて張り出すことはない。それが、熱取り出し通路11内に配置されている熱電気変換器1の接近性を改良する。
【0029】
熱取り出し通路11の内部の熱電気変換器1の1つ又は複数が、熱取り出し室23の内部に配置されている場合に、それらは流入箇所60と流出箇所61の間の区間の好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは実質的に全部を満たしている。
【0030】
熱取り出し通路11の内部の熱電気変換器1の1つ又は複数が、熱取り出し室23の内部に配置されている場合に、それらは、熱取り出し通路11の内法の内側断面の面積の好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%を満たし、好ましくは95%より多くは満たさない。
【0031】
熱電気変換器1が熱取り出し室23の内部に配置されていることは、ここでは、それがそこに存在する媒体あるいは熱源3と直接接触することを、意味しない。それはむしろ、その熱電気変換器が熱取り出し室23の、閉成されていると考えられるスリーブ13の内部に配置されていることを、意味している。しかしその場合に、熱電気変換器は常に、熱取り出し通路11の壁51によって熱取り出し室23から分離されている。
【0032】
その場合に、熱取り出し通路11の内部に配置されている熱電気変換器1を熱通路11の壁51に対して離隔させる、スペースホルダ12を設けると、効果的な場合がある。それはこの場合、熱電気変換器1もしくは熱取り出し通路11に沿ったバー形状のウェブとすることができる。熱電気変換器11を壁51に対して点状に離隔させる、突起であってもよい。さらに、少なくとも1つのスペースホルダ12が、熱電気変換器1を熱取り出し通路11に対して離隔させる、層、リング又はパイプとして形成されることが、考えられる。スペースホルダ12は、層形状の絶縁材料、たとえばグラスウール又はシリコンコーティングとして、あるいはまた壁51の材料から形成することもできる。この例においてスペースホルダは、パイプ形状の熱取り出し通路23に沿って配置された、金属からなるウェブである。ここではそれは、隆起形状の溶接継ぎ目である。
【0033】
それによって壁51と少なくとも1つの熱電気変換器1との間に1つ又は複数の間隙55が生じる。間隙は、熱取り出し通路11からの熱電気変換器の取り出しを簡単にする。これは、2つの構成部分が極端な温度変動に基づいてその寸法を著しく変化させることがあり、したがってそうでないと熱電気変換器が熱取り出し通路11内に嵌まり込んだままとなってしまうことがあるので、重要である。さらに、空気又は絶縁材料によって充填されている間隙55は、熱電気変換器1を極端な高温による過負荷から保護する。
【0034】
流入箇所60と流出箇所60は、電気発生器100’の場合におけるように、熱源3の移動方向Bに対して相対的に互いに等しい高さで対向することができる。
【0035】
しかし、流入箇所60と流出箇所60の間の区間は、少なくとも1つの移動方向Bに沿った方向成分を有することもできるので、流入箇所と流出箇所は、電気発生器100と100”におけるように、熱源3の移動方向Bに対して相対的に互いに異なる高さに配置されている。
【0036】
熱取り出し通路11は熱取り出し流体50によって貫流されるので、熱取り出し通路11の内部の使用可能な流れ横断面をできる限り良好に利用するためには、熱電気変換器1を代替的に、あるいは付加的に熱取り出し室23の外部に配置すると効果的な場合が多い。
【0037】
熱電気変換器1が熱取り出し通路11の内部であるが、しかし熱取り出し室23の外部に配置されている場合に、熱取り出し通路11は、好ましくはその2つの端部の少なくとも1つにおいて、熱取り出し流体50をさらに案内するために、熱取り出し室23のスリーブ13を越えて張り出している。
【0038】
熱電気変換器1が熱取り出し通路11の内部であるが、熱取り出し室23の外部に配置されている場合に、好ましくは少なくとも1つ、しかしさらに良好には複数の熱電気変換器1が変換器モジュール10内に配置されている。この変換器モジュール10は、好ましくは残りの熱取り出し通路11の横断面に比較して大きい横断面積を有している。これが、熱電気変換器1によって塞がれる横断面を補償することを許すので、流れ速度が一定に保たれる。また、変換器モジュール10内で使用可能な内部の内法の流れ横断面の横断面積を、残りの熱取り出し通路11内の内法の流れ横断面よりも大きくすることができる。
それによって変換器モジュール10の内部の熱取り出し流体50の流れ速度が減少する。このことが、熱取り出し流体50と熱電気変換器1の間の熱交換を支援する。
【0039】
多くの場合において、変換器モジュール10は、電気発生器100と100”におけるように、多数のパイプを有する容器であって、それらのパイプは外側へ向かって開放しているが、容器の中身を外側へ流出させない。そして、パイプ内には、棒状の熱電気モジュールが導入されている。この棒状の熱電気モジュールは、容器を開放することなしに、これらのパイプから取り外すこともできる。パイプからの取り外しに際して容器を開放する必要がない点は特に、放射能を有する、腐食性の、あるいは熱い媒体を有する設備において重要である。
【0040】
好ましくは、熱取り出し通路11は、少なくとも1つの流体供給装置44を有している。この場合それは、簡単に、パイプの端部とすることができる。しかしまた、弁又は複雑な種類の流体ガイドであってもよい。
【0041】
好ましくは熱取り出し通路11は、少なくとも1つの流体取り出し装置45を有している。それは、流体供給装置44と同じように形成することができる。
【0042】
流体還流装置が設けられず、あるいは駆動されない、したがって熱通路11が開放したシステムとして示される実施形態又は駆動状態において、好ましくは流体供給装置44及び/又は流体取り出し装置45の開度により、熱取り出し流体50のために望ましい体積流が調節される。
【0043】
しかし好ましくは、熱取り出し通路11は少なくとも1つの流体還流装置46を有している。それは、実用的には、熱取り出し通路11の始端と終端を結合して閉成されたループとする、通路部分である。しかしそれは、特に流体供給装置又は流体取り出し装置と組み合わされる場合には、絞りフラップ又は同種のものとすることもできる。
【0044】
自然の対流によって、熱取り出し通路11の内部で熱取り出し流体50を移送することが可能である。というのは、熱源3による熱取り出し流体50のローカルな温度上昇が、熱取り出し流体50の上向きの運動傾向をもたらすからである。これは特に、熱取り出し通路11が少なくとも部分的に熱取り出し室23内の熱源3の方向付けもしくは移動方向Bに沿って、ないしはそれに対して平行に配置されている、実施形態にとって有効である。
【0045】
多くの適用場合について、熱取り出し流体50を流体供給装置44を介して熱取り出し通路11内へ供給することが、好ましい場合がある。多くの場合において、熱取り出し室23を貫流し、かつ熱電気変換器1との熱交換の後に、次に熱取り出し流体を流体取り出し装置45を介して熱取り出し通路11から取り出すことが、好ましい場合がある。この流れ運動は、他の駆動手段なしで、熱い媒体が上昇する自然の傾向のみによって実現することができる。
【0046】
所定の適用については、熱取り出し通路11内の流体移送装置7を流体供給装置44及び/又は流体取り出し装置45に配置すると、好ましい場合がある。この種の流体移送装置7は、一方で、移送される熱取り出し流体50の量に影響することを許す。それによってたとえば、熱取り出し室内部の熱取り出し通路11の壁51の過熱及び/又は熱電気変換器1の過熱が回避される。熱取り出し流体50の熱供給が低い場合には、熱取り出し室23と熱取り出し流体50の間及び/又は熱取り出し流体50と熱電気変換器1の間の熱伝達を強化するために、流れ速度をそれに応じて減少させることができる。
【0047】
さらに、流体移送装置7を使用する場合に、熱取り出し通路11は2つの異なる方向に貫流されることができる。
【0048】
これは、特にスリーブ13の熱的な負荷が高い場合に、熱取り出し室23内に配置されている熱取り出し通路11の部分を直流熱交換器の形式で駆動するために、効果的であり得る。それは、熱取り出し流体50が、熱取り出し室23の内部で熱源3が移動するのと同じ方向に流れることを、意味している。それによって熱取り出し通路11の最も熱い箇所が、できるだけ冷たい熱取り出し流体50によって冷却される。
【0049】
熱源3の温度が、融点、熱電気変換器1のための好ましい駆動点よりずっと低い場合には、向流熱交換器の形式に従った駆動が提供される。これは、熱取り出し流体50の流れ方向が少なくとも部分的に、熱取り出し室23の内部の熱源3の移動方向とは実質的に逆向きであることを、意味している。それは、ベクトル分割した場合に、熱源3の移動方向とは逆の方向成分がこの移動方向に対して垂直のその方向成分と少なくとも同じ大きさになる、移動でもある。
【0050】
好ましくは、流体移送装置7の移送方向は、特に使用可能な熱源の温度が著しく変動する場合に、切り替え可能である。
【0051】
多くの適用場合において、接近性を良くする理由から、熱取り出し通路11及び/又はその中に配置されている熱電気変換器1を垂直に配置することが、効果的であり得る。その場合には、熱電気変換器1は、たとえばクレーンで取り出すことができる。しかし、図1に示す電気発生器100’においては、熱電気変換器1の全長にわたってその均一な熱供給を達成するために、水平の配置が優先される。
【0052】
熱電気変換器1が熱取り出し室23の外部に配置されており、かつ熱源3が熱取り出し室23の内部の流れ方向又は移動方向を有している場合に、好ましくは少なくとも1つの熱取り出し通路11が少なくとも部分的にこの移動方向Bに沿って配置されている。これは、特に移動方向に対する傾斜が45°より小さい場合に、この移動方向に対して傾斜した推移も含んでいる。
【0053】
熱取り出し通路11が少なくとも部分的に熱源3の移動方向に沿って配置されている場合に、特に、自然の対流を熱取り出し流体50の移送に利用する実施形態において、熱源3に対する熱取り出し通路の間隔が熱源3の移動方向に減少する場合、かつ/又は熱取り出し通路11の高さ水準がこの方向に低下する場合が、効果的である。両方とも暖められた流体がより熱い取り出し箇所の方向に上昇することを許す。取り出された熱取り出し流体50の温度が望ましくないほど高くなった適用場合においては、熱取り出し通路11の上述した傾斜を逆にすることもできる。それによって流体取り出し箇所がより冷たいゾーンへ移動される。
【0054】
したがって本発明は、たとえば化学工業又は冶金工業において、工業的な主要プロセスを中断させることなしに、熱電気エレメントと熱電気ジェネレータを交換することを許す。
【0055】
特に好ましい特徴
特に、少なくとも1つの熱取り出し室23から熱を取り出すための、電気発生器100であって、その熱取り出し室内に少なくとも一時的に、少なくとも部分的に熱源3が配置されており、その場合に熱取り出し室23がその熱取り出し室23をその周囲から遮蔽するために少なくとも1つのスリーブ13を有しており、かつ電気発生器100が、熱を電気エネルギに変換するために、少なくとも1つの熱電気変換器1を備えている場合が、好ましい。その場合に、熱電気変換器1が電気発生器100から取り出し可能であって、その場合に作業室23のスリーブ13は相変わらず閉鎖されたままであると、効果的である。それが、熱電気ジェネレータの保守を容易にする。
【0056】
少なくとも1つの熱電気変換器1が熱取り出し通路11の内部に配置されており、その熱取り出し通路自体が少なくとも部分的に熱取り出し室23の内部に配置されている場合に、電気発生器100が特に好ましい。それが効率を向上させる。
【0057】
熱取り出し通路11が少なくとも1つの箇所において熱取り出し室23内へ進入しており、かつ/又はその主要延び方向が少なくとも部分的に熱取り出し室23のスリーブを横切り、かつ/又は熱源へと通じるように方向づけされている場合に、電気発生器100が特に好ましい。それによって、熱交換のためのより大きい表面が生じる。
【0058】
少なくとも1つの熱取り出し通路11が少なくとも1つの壁51を有し、その壁が熱取り出し通路11の内部を少なくとも部分的に熱取り出し室23に対して仕切っている場合、少なくとも1つの熱電気変換器1が少なくとも部分的に熱取り出し通路11の内部に、そして少なくとも部分的に熱取り出し室23の内部に配置されている場合、熱電気変換器1が少なくとも部分的に壁51から離れて配置されている場合、及び熱電気変換器1が壁51に対して相対的に同心及び/又は平行に配置されている場合に、電気発生器100が特に好ましい。それによって均一な温度供給と簡単な取り出しが得られる。
【0059】
少なくとも1つの熱電気変換器1あるいは熱取り出し通路11の少なくとも1つの壁51が1つ又は複数のスペースホルダ12によって互いに離して保持されている場合に、電気発生器100が特に好ましい。それが、温度と大きさが変動する場合でも、取り出しを容易にする。
【0060】
少なくとも1つのスペースホルダ12が熱電気変換器1の上、壁51の上、あるいはそれらから分離して固定されている場合に、電気発生器100が特に好ましい。それぞれ適用に応じて、これらの可能性の1つが、特に簡単に組み立てられる。
【0061】
熱取り出し室23からの熱電気変換器1の取り外しを容易にするために、熱電気変換器1と熱取り出し室23の壁51との間に間隙55が設けられている場合に、電気発生器100が特に好ましい。
【0062】
熱取り出し室23に介入せずに、熱電気変換器を取り出すことができるようにするために、少なくとも1つの熱電気変換器1が熱取り出し室23の外部に配置されている場合、少なくとも1つの熱取り出し通路11が少なくとも部分的に熱取り出し流体50によって充填されていること、及び熱源3から熱電気変換器1への熱伝達が熱取り出し通路11に沿った熱取り出し流体50の流れに基づいていることで、電気発生器100が特に好ましい。それが、効率を高める。
【0063】
複数の熱電気変換器1が変換器モジュール10内に配置されている場合、及び変換器モジュール10が熱取り出し室23の外部に配置されていることで、電気発生器100が特に好ましい。それが、保守と組み立てを簡単にする。
図1A
図1B
図1C