特許第6283424号(P6283424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283424
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】検査器具および気道防御検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20180215BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20180215BHJP
   A61B 5/08 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
   A61B5/10 310K
   A61B10/00 J
   !A61B5/08
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-556593(P2016-556593)
(86)(22)【出願日】2015年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2015080350
(87)【国際公開番号】WO2016068172
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-223697(P2014-223697)
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(73)【特許権者】
【識別番号】597129229
【氏名又は名称】チェスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和典
(72)【発明者】
【氏名】河本 勝之
(72)【発明者】
【氏名】植木 賢
(72)【発明者】
【氏名】上原 一剛
(72)【発明者】
【氏名】北野 博也
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−242228(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158906(JP,U)
【文献】 特開平06−121785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気道防御機能の検査に用いる検査器具であって、
吸入口から排気口へと繋がるパイプ部と、
前記パイプ部の外側面から内側面へと貫通するよう形成され、試薬の混合気を前記パイプ部の内部に導入するための複数の孔と、
前記複数の孔の全てを覆って閉空間を形成し、且つ、流入口から前記閉空間へと試薬の混合気を案内する案内部と、
を備えることを特徴とする検査器具。
【請求項2】
被験者が口にくわえる吸引具が前記吸入口に着脱可能に設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査器具。
【請求項3】
前記排気口から排出される気流の強さを検出するためのセンサを備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査器具。
【請求項4】
前記案内部は、前記パイプ部に対して着脱可能に構成され、前記パイプ部に前記案内部が装着されると、前記複数の孔の周りに前記閉空間が生じ、前記閉空間と前記流入口が繋がる、ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の検査器具。
【請求項5】
前記案内部は、前記パイプ部が着脱可能に嵌められる開口を有し、前記パイプ部が前記開口に嵌められると、前記複数の孔の周りに前記閉空間が生じ、前記閉空間と前記流入口が繋がる形状を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の検査器具。
【請求項6】
前記孔は、前記パイプ部の外側面から内側面に向かって次第に前記吸入口へと近づくように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の検査器具。
【請求項7】
前記孔は、前記パイプ部の外側面から内側面に向かって次第に前記吸入口から遠ざかるように形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の検査器具。
【請求項8】
前記流入口から前記孔へと続く流路を遮断するストッパーと、
前記ストッパーを開閉する開閉手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の検査器具。
【請求項9】
前記孔の大きさを変えるための可変機構をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の検査器具。
【請求項10】
気道防御検査装置であって、
請求項1ないし9の何れか一項に記載の検査器具と、
前記流入口に試薬の混合気を供給する試薬供給部と、
前記排気口から排出される気流の強さを測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づく情報を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする気道防御検査装置。
【請求項11】
前記測定部は、前記流入口に対する前記混合気の供給が開始されてから前記排気口に前記気流が生じるまでの経過時間をさらに測定し、
前記表示部は、前記経過時間に基づく情報をさらに表示する、ことを特徴とする請求項10に記載の気道防御検査装置。
【請求項12】
前記測定部は、前記流入口に対する前記混合気の供給が開始されてから前記排気口に前記気流が生じるまでの経過時間をさらに測定し、前記気流の強さと前記経過時間に基づいて気道防御障害のリスクを判定し、
前記表示部は、前記リスクの判定結果に基づく情報を表示する、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の気道防御検査装置。
【請求項13】
前記検査器具、前記試薬供給部、前記測定部および前記表示部が一つの筐体に収容されている、ことを特徴とする請求項10ないし12の何れか一項に記載の気道防御検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気道防御機能の検査に用いる検査器具および気道防御検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療機関における全患者数の1.6%が誤嚥性肺炎で治療中であると推定されている。誤嚥性肺炎は、罹患が繰り返されると、死亡率が高くなると考えられており、特に、高齢者においては、誤嚥性肺炎による死亡率がかなり高くなっている。従来、嚥下の状態を検査するための手法が、種々検討されている(たとえば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−017694号公報
【特許文献2】特開2008−301895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、誤嚥は、咽頭部の感覚の低下と、気道に入ろうとする異物を吐き出す能力の低下によって引き起こされる。したがって、誤嚥性肺炎を防ぐためには、これらの要素の検査が重要である。上記特許文献1、2に記載の手法では、咽頭部の変位や嚥下音によって嚥下動作が適正か否かが判定される。しかしながら、これらの手法では、誤嚥の根本要素である咽頭部の感覚や異物を吐き出す能力、すなわち、気道防御機能を検査することはできなかった。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、気道防御機能を簡易かつ円滑に検査することが可能な検査器具および気道防御検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、気道防御機能の検査に用いる検査器具に関する。本態様に係る検査器具は、吸入口から排気口へと繋がるパイプ部と、前記パイプ部の外側面から内側面へと貫通するよう形成され、試薬の混合気を前記パイプ部の内部に導入するための複数の孔と、前記複数の孔の全てを覆って閉空間を形成し、且つ、流入口から前記閉空間へと試薬の混合気を案内する案内部と、を備える。
【0007】
本態様に係る検査器具によれば、流入口から試薬の混合気が供給されると、この混合気が孔へと案内され、さらに、孔からパイプ部内を通って吸入口へと案内される。したがって、被験者は、吸入口を介して試薬を吸入することができる。こうして、試薬を吸入すると、被験者は、試薬によって咳を誘発される。被験者が咳を発すると、この咳の気流が、吸入口からパイプ部内を通って排気口へと向かう。したがって、排気口へと流れる咳の気流を検出するセンサを配することにより、誘発された咳の強さを測定することができる。また、咳が発せられるまでの時間を、手動で、またはセンサからの出力に基づいて自動で、計測することができる。また、孔を複数設けることにより、個々の孔を小さくしながら、試薬吸入の際に、適正量の試薬を円滑にパイプ部内に導くことができる。また、このように個々の孔を小さくすることにより、被験者の咳により生じた気流が、孔から案内部内に漏れることを抑制することができる。よって、咳の気流をパイプ部の排気口へと円滑に導くことができ、咳の強さを精度良く計測することができる。
【0008】
このように、第1の態様に係る検査器具を用いることで、咳が誘発されるまでの経過時間と、咳の強さとを同時に測定することが可能となる。ここで、経過時間は、咽頭部の感覚の鋭敏さに対応し、経過時間が短いほど咽頭部の感覚が鋭敏である。また、咳の強さは、主として、異物を吐き出す能力に対応し、咳の強さが強いほど異物を吐き出す能力が高い。よって、第1の態様の検査器具を用いることにより、気道防御機能の判定に必要な根本要素に係る情報を簡易かつ円滑に取得することができる。
【0009】
なお、第1の態様に係る検査器具を用いて生じる咳は、被験者が咳を出そうとして生じる随意の咳ではなく、試薬によって反射的に生じる不随意の咳である。このような不随意の咳を測定することにより、咽頭部の感覚と異物を吐き出す能力を、被験者の本来的な気道防御機能として把握することが可能となる。したがって、第1の態様に係る検査器具を用いることにより、被験者の気道防御機能を適正に診断することが可能となる。
【0010】
本態様に係る検査器具では、たとえば、被験者が口にくわえる吸引具が、前記吸入口に着脱可能に設置される。こうすると、適宜、吸引具を交換することができ、衛生的に気道防御機能の検査を行うことができる。
【0011】
また、本態様に係る検査器具は、前記排気口から排出される気流の強さを検出するためのセンサを備える構成とされ得る。こうすると、別途、検査器具にセンサを装着する手間が解消される。
【0012】
本態様に係る検査器具では、前記案内部が、前記パイプ部に対して着脱可能な構成とされ得る。この場合、前記案内部は、前記パイプ部に前記案内部が装着されると、前記複数の孔の周りに前記閉空間が生じ、前記閉空間と前記流入口が繋がるよう構成され得る。
【0013】
たとえば、前記案内部は、前記パイプ部が着脱可能に嵌められる開口を有し、前記パイプ部が前記開口に嵌められると、前記複数の孔の周りに前記閉空間が生じ、前記閉空間と前記流入口が繋がる形状を有する。このように、案内部がパイプ部に対して着脱可能であると、適宜、パイプ部から案内部を取り外して、案内部とパイプ部を洗浄等により清掃することができる。よって、検査器具を衛生的に保つことができ、また、清掃により孔の目詰まりを防ぐことができる。
【0015】
なお、前記孔は、たとえば、前記パイプ部の外側面から内側面に向かって次第に前記吸入口へと近づくように形成される。こうすると、試薬吸入の際に、円滑に、試薬の混合気を吸入口へと向かわせることができる。
【0016】
あるいは、前記孔は、前記パイプ部の外側面から内側面に向かって次第に前記吸入口から遠ざかるように形成される。こうすると、被験者の咳により生じた気流が、孔から案内部内に漏れにくくなる。よって、咳の気流をパイプ部の排気口へと円滑に導くことができ、咳の強さをより精度良く検出することができる。
【0017】
本態様に係る検査器具は、前記流入口から前記孔へと続く流路を遮断するストッパーと、前記ストッパーを開閉する開閉手段と、をさらに備える構成とされ得る。こうすると、試薬を吸入口へと向かわせるタイミングを開閉手段によって制御することができる。よって、咳が誘発されるまでの経過時間をより適切に計測することができる。
【0018】
本発明の第2の態様は、気道防御検査装置に関する。本態様に係る気道防御検査装置は、上記第1の態様に係る検査器具と、前記流入口に試薬の混合気を供給する試薬供給部と、前記排気口から排出される気流の強さを測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づく情報を表示する表示部と、を備える。
【0019】
本態様に係る気道防御検査装置によれば、第1の態様に係る検査器具を用いて検査が行われるため、第1の態様と同様、咳が誘発されるまでの経過時間と、咳の強さを同時に測定することが可能となる。よって、気道防御機能の判定に必要な根本要素に係る情報を簡易かつ円滑に取得することができる。また、気流の強さに基づく情報が表示部に表示されるため、医師や検査士等は、この表示を見ることにより、被験者の気道防御機能に障害があるか否かを判断することができる。
【0020】
本態様に係る気道防御検査装置において、前記測定部は、前記流入口に対する前記混合気の供給が開始されてから前記排気口に前記気流が生じるまでの経過時間をさらに測定し、前記表示部は、前記経過時間に基づく情報をさらに表示するよう構成され得る。こうすると、医師や検査士等は、表示部上の表示を見ることにより、咳により生じた気流の強さとともに咳が誘発されるまでの経過時間を同時に把握することができる。また、手動で経過時間を計測する手間が省ける。よって、被験者の気道防御機能に障害があるか否かを円滑かつ簡便に判断することができる。
【0021】
なお、このように、咳が誘発されるまでの経過時間がさらに測定される場合、前記測定部は、前記気流の強さと前記経過時間に基づいて気道防御障害のリスクを判定し、前記表示部は、前記リスクの判定結果に基づく情報を表示するよう構成され得る。こうすると、医師や検査士等の専門的知見を有する者がいない介護施設等においても、気道防御障害のリスクを容易に把握することができる。これにより、介護施設等の担当者は、気道防御障害のリスクがある被験者に対し、適宜、専門医に診せる等の措置をとることができ、当該被験者が誤嚥性肺炎に罹患する可能性を低減させることができる。
【0022】
本態様に係る気道防御検査装置は、前記検査器具、前記試薬供給部、前記測定部および前記表示部が一つの筐体に収容された構成とされ得る。こうすると、気道防御検査装置に対する運搬が簡便となり、また、検査動作も簡便となる。
本発明の第3の態様は、気道防御機能を検査するための気道防御検査装置に関する。本態様に係る検査装置は、吸入口から排気口へと繋がるパイプ部と、前記パイプ部の外側面から内側面へと貫通する少なくとも一つの孔と、前記孔を覆い、且つ、流入口から前記孔へと試薬の混合気を案内する案内部と、を有する検査器具と、前記流入口に試薬の混合気を供給する試薬供給部と、前記排気口から排出される気流の強さを測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づく情報を表示する表示部と、を備える。ここで、前記測定部は、前記流入口に対する前記混合気の供給が開始されてから前記排気口に前記気流が生じるまでの経過時間をさらに測定し、前記表示部は、前記経過時間に基づく情報をさらに表示する。
本態様に係る検査装置において、前記測定部は、前記流入口に対する前記混合気の供給が開始されてから前記排気口に前記気流が生じるまでの経過時間をさらに測定し、前記気流の強さと前記経過時間に基づいて気道防御障害のリスクを判定し、前記表示部は、前記リスクの判定結果に基づく情報を表示するよう構成され得る。
本態様に係る気道防御機能を検査するための検査装置は、前記検査器具、前記試薬供給部、前記測定部および前記表示部が一つの筐体に収容された構成とされ得る。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり本発明によれば、気道防御機能を簡易かつ円滑に検査することが可能な検査器具および気道防御検査装置を提供することができる。
【0024】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】

図1】実施形態1に係る気道防御検査装置の構成を示す図である。
図2】実施形態1に係るパイプとカバーの構成を示す図、および、検査器具の構成を示す断面図である。
図3】実施形態1に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図4】実施形態1に係る気道防御検査装置による検査結果を示す図である。
図5】実施形態2に係る気道防御検査装置の構成を示す図である。
図6】実施形態2に係る気道防御検査装置の構成を示す図である。
図7】実施形態2に係る気道防御検査装置の制御を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る表示画面例を示す図である。
図9】実施形態3に係る気道防御検査装置の構成を示す図である。
図10】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図11】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図12】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図13】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図14】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
図15】変更例に係る検査器具の構成を示す断面図である。
【0026】
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明の便宜上、各図には、適宜、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X軸およびY軸は水平面に平行で、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0028】
<実施形態1>
実施形態1では、特許請求の範囲に記載の「パイプ部」が、パイプ12、フィルタ部材14の支持部141、および、検出器15の筒状部材151a、151bによって構成されている。また、実施形態1におけるカバー13が、特許請求の範囲に記載の「案内部」に相当し、試薬供給ユニット20および測定ユニット30が、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「試薬供給部」および「測定部」に相当する。ただし、実施形態1は、特許請求の範囲に記載の発明を実施化する際の一形態を例示するものであって、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態1の構成と特許請求の範囲の構成との対応付けによって、何ら限定されるものではない。
【0029】
図1は、実施形態1に係る気道防御検査装置1の構成を示す斜視図である。
【0030】
図1に示すように、気道防御検査装置1は、検査器具10と、試薬供給ユニット20と、測定ユニット30とからなっている。検査器具10には、試薬供給ユニット20から、試薬の混合気が供給される。試薬は酒石酸であり、酒石酸の液滴を空気に混和した混合気が、試薬供給ユニット20で生成される。検査器具10は、吸引具11と、パイプ12と、カバー13と、フィルタ部材14と、検出器15からなっている。
【0031】
図2(a)は、パイプ12とカバー13の構成を示す図である。
【0032】
パイプ12は、樹脂材料からなっており、円筒形状を有する。パイプ12には、外側面から内側面へと貫通する複数の孔121が形成されている。これらの孔121は、パイプ12の周方向に一定間隔で並ぶように形成されている。パイプ12には、複数の孔121が周方向に均等に配置されている。
【0033】
カバー13は、パイプ12よりも大きな外径の円筒状の部材からなっている。カバー13も、樹脂材料からなっている。カバー13のZ軸方向の長さは、パイプ12のZ軸方向の長さよりも短い。カバー13のZ軸正負の端縁には、それぞれ、カバー13の中心軸Lに向かって鍔部131が延設されている。また、各鍔部131の内側には、円形の開口132が形成されている。これら開口132の中心は、カバー13の中心軸Lに一致している。開口132の径はパイプ12の外径と略同じである。
【0034】
パイプ12が開口132に嵌入されることにより、パイプ12とカバー13が一体化される。こうして一体化されたカバー13は、適宜、パイプ12から取り外すことが可能である。カバー13の下面には、筒部133が形成されている。この筒部133の内部の空間は、開口132内部の空間に繋がっている。筒部133下端は、上記試薬の混合気の流入口13aとなっている。
【0035】
図2(b)は、図1に示す検査器具10を、Y−Z平面に平行な平面で均等に切断したときの断面図である。図3は、図2(b)のA−A"断面図である。
【0036】
図2(b)に示すように、カバー13は、パイプ12の外側から孔121を覆うように、パイプ12に取り付けられる。これにより、図2(b)および図3に示すように、孔121の周りに閉空間Sが生じ、この閉空間Sに流入口13aが繋がるようになる。流入口13aに試薬の混合気が導入されると、閉空間Sが混合気で満たされ、さらに、孔121を通って、混合気が閉空間Sからパイプ12の内部へと案内される。
【0037】
パイプ12のZ軸負側の端縁は、被験者が混合気を吸入するための吸入口10aとなっている。図2(b)に示すように、この吸入口10aに、円筒状の吸引具11が嵌められる。吸引具11は、使い捨て可能なように、たとえば、所定の厚みの紙材からなっている。あるいは、吸引具11は、樹脂材料等の他の材料からなっていても良い。
【0038】
なお、図2(b)に示すように、実施形態1では、孔121が、パイプ12の外側面から内側面に向かって次第に吸入口10aへと近づくように形成されている。このため、閉空間Sに溜まった混合気は、円滑に、吸入口10aへと向かう。
【0039】
図2(b)に示すように、パイプ12のZ軸正側の端縁には、フィルタ部材14が装着される。フィルタ部材14は、支持部141とフィルタ142からなっている。支持部141は、樹脂材料からなっており、円筒の中央部分が全周に亘って放射状に突出した形状を有する。支持部141は、図2(b)に示す断面形状の2つの筒状部材141a、141bを組み合わせて構成される。支持部141を構成する2つの筒状部材141a、141bでフィルタ142の外周部分を挟むことにより、フィルタ142が支持部141に支持される。こうしてフィルタ142を挟んだ状態で、これら2つの筒状部材141a、141bが接着剤により互いに接合される。支持部141内の空間は、Z軸方向の中央位置において、フィルタ142により区切られる。フィルタ142は、支持部141内をZ軸正方向に流れる空気を濾過する。
【0040】
支持部141のZ軸負側の内径は、パイプ12の内径と略同じである。パイプ12のZ軸正側の端縁には段差が設けられており、この段差に支持部141のZ軸負側の端縁を嵌入することにより、フィルタ部材14がパイプ12に一体化される。また、こうして一体化されたフィルタ部材14は、適宜、パイプ12から引き抜いて取り外すことが可能である。
【0041】
さらに、図2(b)に示すように、支持部141のZ軸正側の端縁に、検出器15が装着される。検出器15は、円筒形状の2つの筒状部材151a、151bが、円筒形状の保持部材152に嵌め込まれた構成となっている。筒状部材151a、151bと保持部材152は、樹脂材料からなっている。さらに、保持部材152には、気流の強さを検出するセンサ153が、所定の支持手段によって支持されている。Z軸方向に見て、センサ153の周囲と筒状部材151a、151bの間には隙間があり、この隙間を気流が通過可能である。センサ153は、配線(図示せず)によって端子154に接続されている。センサ153として、たとえば、圧電素子が用いられる。
【0042】
検出器15は、Z軸負側の筒状部材151bを支持部141のZ軸正側の端部に嵌め込むことにより、フィルタ部材14に一体化される。こうして、図1に示す検査器具10が構成される。図1に示すように、保持部材152の下面に、端子154を覆うように、持ち手155が取り付けられる。
【0043】
図1に戻り、試薬供給ユニット20は、酒石酸の微細な液滴を空気に混和させた混合気を生成する。試薬供給ユニット20は、たとえば、既存のネブライザーと同様の機能および構成を備える。たとえば、試薬供給ユニット20は、高速の空気流を利用して霧吹きの原理で微細な液滴を生成し、あるいは、超音波振動子で試薬を液滴化し、この液滴をファンからの風にのせて混合気を生成する。
【0044】
試薬供給ユニット20は、箱型の本体21の上面に、操作入力部211と噴霧部212が設けられた構成となっている。噴霧部212は、試薬供給ユニット20の内部で生成された混合気を導出するためのものである。噴霧部212は、ホース22によって、カバー13の筒部133に連結される。これにより、試薬供給ユニット20内部で生成された混合気が、カバー13内部に供給される。
【0045】
測定ユニット30は、箱型の本体31の上面に、表示部311と操作入力部312が設けられた構成となっている。測定ユニット30は、ケーブル32を介して、検出器15の端子154(図2(b)参照)に接続されている。ケーブル32は、持ち手155内を通って、端子154に接続される。測定ユニット30は、内部にCPU(Central Processing Unit)等の信号処理回路(図示せず)を備え、センサ153(図2(b)参照)の検出信号に基づいて、被験者に誘発された咳の強さを測定し、測定結果を表示部311に表示させる。ここで、咳の強さは、いわゆる最大呼気流速(PCF:Peak Cough Flow)をもって測定される。
【0046】
なお、フィルタ部材14、検出器15および測定ユニット30として、たとえば、既存のスパイロメータを用いることができる。ただし、既存のスパイロメータでは、実施形態1において測定対象とされる咳の強さ(PCF)以外にも、種々の測定項目が測定されるため、実施形態1との関係ではオーバースペックとなる。測定ユニット30は、少なくとも、センサ153からの出力から咳の強さが測定可能な構成および機能を有していれば良い。
【0047】
図1に示すように、被験者が、吸引具11を口でくわえて吸気を行うと、図2(b)に一点鎖線の矢印で示すように、閉空間Sに満たされた混合気が孔121を通って、パイプ12内部に導入される。さらに、混合気は、パイプ12内を通って吸入口10aへと案内され、吸引具11を介して被験者に吸入される。こうして、被験者は、試薬によって咳を誘発される。これにより、被験者が咳を発すると、この咳の気流が、吸入口10aからパイプ12内を通って排気口10bへと向かう。このとき、咳に含まれた唾等の異物が、フィルタ142によって除去される。また、咳の強さに応じた検出信号が、センサ153から測定ユニット30に出力される。これにより、測定ユニット30において、咳の強さ(PCF)が測定され、測定結果が表示部311に表示される。センサ153を通過した咳の気流は、排気口10bから排気される。
【0048】
実施形態1では、試薬供給ユニット20からカバー13に混合気が供給されてから咳が生じるまでの経過時間が、医師や検査士により、手動で計測される。医師や検査士は、計測した経過時間と、表示部311に表示された咳の強さ(PCF)とに基づいて、被験者の気道防御機能を判定する。
【0049】
<検査>
本願発明者は、上記構成の気道防御検査装置1を用いて、複数の被験者に対し、気道防御機能の検査を行った。本検査では、試薬供給ユニット20として、既存のネブライザーを用い、フィルタ部材14、検出器15および測定ユニット30として、既存のスパイロメータを用いた。各被験者に対する検査は、以下の手順で行った。
【0050】
(1)咳が鼻から漏れないように、被験者に鼻クリップを装着。
【0051】
(2)試薬供給ユニット20(ネブライザー)に濃度20%の酒石酸溶液を充填して、混合気の噴霧を開始。
【0052】
(3)スパイロメータによる測定を開始。
【0053】
(4)被験者の口に検査器具10の吸引具11を装着し、吸引開始。
【0054】
(5)吸引開始から咳が誘発されるまでの時間を手動で計測。
【0055】
(6)誘発された咳の強さ(PCF)と努力性肺活量(FVC)を測定結果として取得。
【0056】
図4(a)、(b)に、本検査の検査結果を示す。図4(a)は、被験者が健常者である場合の検査結果であり、図4(b)は、被験者が誤嚥性肺炎既往者である場合の検査結果である。
【0057】
図4(a)に示すように、被験者が健常者であった場合、咳が誘発されるまでの経過時間は、何れも1秒であった。よって、これらの被験者では、何れも咽頭部の感覚が鋭敏であったと評価できる。また、被験者が健常者であった場合、咳の強さを示す最大呼気流速(PCF)は、最低が2.5リットル/秒であった。よって、これらの被験者では、何れも異物を吐き出す能力が高いと評価できる。したがって、本検査では、被験者が健常者であった場合に、何れの被験者についても、気道防御機能が良好であるとの検査結果が得られた。
【0058】
一方、図4(b)に示すように、被験者が肺炎既往者であった場合、咳が誘発されるまでの経過時間は、何れも20秒を超えた。よって、これらの被験者では、何れも咽頭部の感覚が低下した状態にあったと評価できる。また、被験者が誤嚥性肺炎既往者であった場合、咳の強さを示す最大呼気流量(PCF)は、何れも、0.5リットル/秒を下回った。よって、これらの被験者では、何れも異物を吐き出す能力が低いと評価できる。したがって、本検査では、被験者が誤嚥性肺炎既往者であった場合に、何れの被験者についても、気道防御機能が顕著に低下しているとの検査結果が得られた。
【0059】
このように、上記構成の気道防御検査装置1を用いることにより、病状に応じたパラメータ値(咳の誘発時間、咳の強さ)を取得することができる。よって、上記構成の気道防御検査装置1を用いて、気道防御機能を的確に診断することができる。
【0060】
上記検では、評価用パラメータとしてPCFとFVCを用いたが、これら以外の評価用パラメータを適宜用いることも可能である。
【0061】
<実施形態1の効果>
実施形態1の構成によれば、以下の効果が奏され得る。
【0062】
検査器具10を用いることにより、咳が誘発されるまでの経過時間と、咳の強さとを同時に測定することができる。検査器具10を用いて生じる咳は、被験者が咳を出そうとして生じる随意の咳ではなく、試薬によって反射的に生じる不随意の咳である。検査器具10を用いると、このような不随意の咳を測定することができ、このため、咽頭部の感覚と異物を吐き出す能力を、被験者の本来的な気道防御機能として把握することが可能となる。よって、検査器具10を用いることにより、被験者の気道防御機能を適正に診断することができる。
【0063】
図2(b)に示すように、被験者が口にくわえる吸引具11が、吸入口10aに着脱可能に設置される。このため、適宜、吸引具11を交換することができ、衛生的に気道防御機能の検査を行うことができる。
【0064】
図2(a)、(b)に示すように、カバー13がパイプ12に対して着脱可能となっている。このため、適宜、パイプ12からカバー13を取り外して、カバー13とパイプ12を洗浄等により清掃することができる。よって、検査器具10を衛生的に保つことができ、また、清掃により孔121の目詰まりを防ぐことができる。
【0065】
図2(a)に示すように、パイプ12に複数の孔121が形成されている。このため、個々の孔121を小さくしながら、試薬吸入の際に、適正量の試薬を円滑にパイプ12内に導くことができる。また、このように個々の孔121を小さくすることにより、被験者の咳により生じた気流が、孔121からカバー13内に漏れることを抑制できる。よって、咳の気流を排気口10bへと円滑に導くことができ、咳の強さを精度良く計測することができる。
【0066】
図2(a)、(b)に示すように、孔121が、パイプ12の外側面から内側面に向かって次第に吸入口10aへと近づくように形成されている。このため、試薬吸入の際に、円滑に、試薬の混合気を吸入口10aへと向かわせることができる。
【0067】
咳の強さを示す最大呼気流量(PCF)が測定ユニット30表示部311に表示される。このため、医師や検査士等は、この表示を見ることにより、被験者の気道防御機能に障害があるか否かを判断することができる。
【0068】
<実施形態2>
実施形態1では、試薬供給ユニット20と測定ユニット30が別体であった。実施形態2では、これらが一つのユニットに一体化されている。
【0069】
図5は、実施形態2に係る気道防御検査装置1の構成を示す斜視図である。
【0070】
図5を参照して、検査器具10は、上記実施形態1と同様の構成である。検査ユニット40は、箱型の本体41の上面に、表示部411と、操作入力部412と、噴霧部413が設けられた構成となっている。また、本体41の側面には、スピーカ414が設けられている。検査ユニット40は、ケーブル43を介して、検出器15の端子154(図2(b)参照)に接続されている。ケーブル43は、持ち手155内を通って、端子154に接続される。噴霧部413は、本体41の内部で生成された試薬の混合気を導出するためのものである。噴霧部413は、ホース42によって、カバー13の筒部133に連結される。これにより、検査ユニット40内部で生成された混合気が、カバー13内部に供給される。
【0071】
図6は、実施形態2に係る気道防御検査装置1のブロック構成を示す図である。
【0072】
図6に示すように、検査ユニット40は、表示部411、操作入力部412、スピーカ414の他に、制御部401、試薬供給部402および測定部403を備える。噴霧部413は試薬供給部402に含まれる。
【0073】
制御部401は、CPU等の処理回路と記憶部401aを備える。記憶部401aは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子を備える。制御部401は、記憶部401aに記憶された制御プログラムに従って各部を制御する。記憶部401aは、上記制御プログラムを格納するとともに、制御プログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
【0074】
試薬供給部402は、試薬容器402aに収容された試薬(酒石酸溶液)を噴霧化し、試薬の液滴を空気に混和した混合気を生成する。試薬供給部402は、たとえば、高速の空気流を利用して霧吹きの原理で微細な液滴を生成し、あるいは、超音波振動子で試薬を液滴化し、この液滴をファンからの風にのせて混合気を生成する。
【0075】
測定部403は、制御部401からの指令に応じて、計時動作を開始し、試薬の供給が開始されてから被験者に咳が誘発されるまでの経過時間を計測する。このとき、測定部403は、検出器15(センサ153)からの検出信号に基づいて、咳が誘発されたことを検出する。また、測定部403は、制御部401からの指令に応じて、検出器15(センサ153)からの検出信号により、誘発された咳の強さ(PCF)を測定する。測定部403は、検出器15(センサ153)からの検出信号に基づいて咳が誘発されたことを検出すると、計測した経過時間と咳の強さ(PCF)を示す情報を制御部401に出力する。
【0076】
咳の測定動作において、測定部403は、たとえば、センサ153からの検出信号に基づいて、検出器15内を排気口10bに向かって流れる咳の流速(リットル/秒)を演算する。そして、測定部403は、この流速が所定の閾値を超えたときに咳が誘発されたと判定し、再び流速が閾値を下回るまでの期間を咳の期間とする。測定部403は、こうして設定した咳期間中の流速の最大値(ピーク値)を咳の強さ(PCF)として検出する。なお、センサ153からの検出信号の変化速度を咳の流速として取得しても良い。
【0077】
図7は、実施形態2に係る気道防御検査装置の制御を示すフローチャートである。図7は、実施形態2における計測処理を示している。この計測処理は、計測の準備動作として、被験者に鼻クリップが装着され、被験者の口に検査器具10の吸引具11が装着された後に行われる。
【0078】
操作入力部412を介して計測開始指示が入力されると(S11:YES)、制御部401は、測定部403に経過時間の計測と咳の測定を開始させる(S12)。また、これと同時に、制御部401は、試薬供給部402に試薬の噴霧を開始させる(S13)。制御部401は、測定部403により咳が検出されるまで、これらの動作を継続する(S14)。
【0079】
その後、被験者に咳が誘発され、測定部403から経過時間と咳の強さを示す情報を受信すると、制御部401は、咳が検出されたとして(S14:YES)、試薬供給部402に試薬の噴霧を終了させる(S15)。また、制御部401は、受信した経過時間と咳の強さを示す情報を記憶部401aに記憶し、これらの情報を表示部411に表示させる(S16)。さらに、制御部401は、受信した経過時間と咳の強さを参照し、経過時間が所定の閾値Ts以上で、且つ、咳の強さが所定の閾値Ps以下であるかを判定する(S17)。そして、制御部401は、これらの条件が満たされると(S17:YES)、被験者に気道防御障害のリスクがあるとして、その旨を示す情報を表示部411上の画面に追加する(S18)。他方、上記条件が満たされなければ(S17:NO)、被験者に気道防御障害のリスクはないとして、その旨を示す情報を表示部411上の画面に追加する(S19)。
【0080】
図8(a)、(b)は、それぞれ、S18およびS19の処理がなされたときの表示部411上の画面を示す図である。
【0081】
図8(a)に示すように、測定部403により計測された経過時間が所定の閾値Ts以上で、且つ、咳の強さが所定の閾値Ps以下である場合、経過時間(time)と咳の強さ(PCF)の表示D1とともに、気道防御障害のリスクがあることを示す表示D2が表示部411に表示される。これに対し、測定部403により計測された経過時間が所定の閾値Ts以上で、且つ、咳の強さが所定の閾値Ps以下でない場合には、表示D1とともに、気道防御障害のリスクがないことを示す表示D3が表示部411に表示される。これらの表示により、医師、検査士等は、被験者に、気道防御障害のリスクがあるか否かを容易に判断することができる。
【0082】
<実施形態2の効果>
実施形態2においても実施形態1と同様の効果が奏される。加えて、実施形態2によれば、以下の効果が奏され得る。
【0083】
測定部403によって、試薬の噴霧が開始されてから咳が誘発されるまでの経過時間が計測される。よって、手動で経過時間を計測する手間が省ける。また、経過時間(time)と咳の強さ(PCF)が表示部411に表示される。よって、医師や検査士等は、表示部411上の表示を見ることにより、咳の強さとともに咳が誘発されるまでの経過時間を同時に把握でき、被験者の気道防御機能に障害があるか否かを円滑かつ簡便に判断することができる。
【0084】
さらに、実施形態2では、図8(a)、(b)に示すように、気道防御障害のリスクの表示D2、D3が画面に含まれる。このため、医師や検査士等の専門的知見を有する者がいない介護施設等においても、気道防御障害のリスクを容易に把握できる。これにより、介護施設等の担当者は、気道防御障害のリスクがある被験者に対し、適宜、専門医に診せる等の措置をとることができ、当該被験者が誤嚥性肺炎に罹患する可能性を低減させることができる。
【0085】
また、図5に示すように、検査器具10以外の構成ユニットが、一つの検査ユニット40に集約されている。このため、気道防御検査装置1の運搬が簡便となり、また、検査動作も簡便となる。
【0086】
なお、図7に示すフローチャートにおいて、S17〜S19が省略されても良い。この場合、図8(a)、(b)から表示D2、D3が省略される。この場合も、医師や検査士等の専門的知見を有する者は、表示D1に基づいて、被験者に気道防御障害のリスクがあるかを判断することができる。ただし、この場合は、介護施設の従事者等、専門的知見を有さないものは、表示D1からは、被験者に気道防御障害のリスクがあるかを判断できない。よって、この形態は、気道防御検査装置1が、医療機関において用いられる場合に有用であると考えられる。
【0087】
また、図7に示すフローチャートにおいて、S16における表示処理が省略されても良い。この場合、図8(a)、(b)から表示D1が省略される。この場合、医師や検査士等の専門的知見を有する者のみならず、介護施設に従事する者もまた、表示D2、D3に基づいて、被験者に気道防御障害のリスクがあるかを判断することができる。ただし、この場合、表示D1が無いため、医師や検査士等は、被験者の気道防御障害がどの程度のレベルにあるかを判断できない。よって、この形態は、気道防御検査装置1が、非医療機関において用いられる場合に有用であると考えられる。
【0088】
また、図7のフローチャートでは、検査結果が表示部411に表示されたが、この表示とともに、あるいは、この表示に代えて、表示結果を示す音声が、スピーカ414から出力されても良い。たとえば、S18の場合のみ所定の警告音がスピーカ414から出力されても良く、あるいは、S18とS19とでスピーカ414から出力される音声が変更されても良い。また、S18、S19に対応する通知を読み上げるアナウンスがスピーカ414から出力されても良い。
【0089】
さらに、図7のフローチャートでは、気道防御障害のリスクがあるかの判定条件がS17に示す条件とされたが、これ以外の条件が用いられても良い。たとえば、経過時間が顕著に長い場合に気道防御障害のリスクがあると判定する方法や、咳の強さが顕著に弱い場合に気道防御障害のリスクがあると判定する方法が、S17の判定条件と共に、あるいは、S17の判定条件に代えて、用いられても良い。あるいは、経過時間と咳の強さを所定の演算式に当て嵌めて得られた値と閾値とを比較して気道防御障害のリスクがあるか否かが判定されても良い。
【0090】
<実施形態3>
実施形態2では、検査器具10と検査ユニット40が別体であった。実施形態3では、これらが一つのユニットに集約されている。
【0091】
図9は、実施形態に係る気道防御検査装置1の構成を示す斜視図である。
【0092】
図9を参照して、気道防御検査装置1は、箱型の筐体50aによって本体50が構成されている。本体50の上面に、表示部511と、操作入力部512が設けられ、また、本体50の側面には、スピーカ513が設けられている。さらに、本体50のZ軸正負側の側面には、それぞれ、円形の孔514、515が設けられている。
【0093】
検査器具10は、筐体50a内に収容されている。検査器具10は、たとえば、図1の構成から持ち手155が省略された構成である。検査器具10の吸入口10aは孔514から外部に臨み、検査器具10の排気口10bは孔515から外部に臨む。吸入口10aには吸引具60が着脱可能に装着される。検査器具10は、たとえば、筐体50aの上面を開いて筐体50aから取り外し可能であることが望ましい。
【0094】
また、筐体50a内には、図6に示す制御部401と、記憶部401aと、試薬供給部402と、試薬容器402aと、測定部403に対応する構成ブロックが収容されている。各部は、適宜、配管または配線によって、筐体50a内で互いに接続されている。実施形態3においても、図7と同様の制御がなされ、図8と同様の表示がなされる。検査の開始指示の入力は、たとえば、被験者が自身の指で操作入力部512のスタートボタンを押すことによってなされる。
【0095】
<実施形態3の効果>
実施形態3においても実施形態2と同様の効果が奏される。
【0096】
加えて、実施形態3によれば、検査器具10と検査ユニット40が一つのユニットに集約されたため、実施形態2に比べてさらに、気道防御検査装置1の運搬が簡便となり、検査動作も簡便となる。
【0097】
なお、実施形態3では、図9に示すように気道防御検査装置1と被験者の顔が互いに接近するため、気道防御検査装置1に被験者が吸引具60をくわえたことを検出するための検出手段を配置することが可能である。この検出手段として、たとえば、光学式のセンサや小型カメラ等が用いられ得る。このような検出手段が配置される場合には、被験者が吸引具60をくわえたことが検出されたことに応じて、試薬の噴霧と経過時間の計測および咳の検出が開始されても良い。これにより、さらに簡便かつ精度良く、被験者の気道防御機能を診断することができる。
【0098】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって制限されるものではなく、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0099】
たとえば、実施形態1では、図2(b)に示すように、孔121が、パイプ12の外側面から内側面に向かって次第に吸入口10aへと近づくように形成されたが、孔121の形成方法はこれに限られるものではない。たとえば、図10(a)に示すように、外側面と内側面とで孔121の位置が変わらないように孔121が形成されても良く、あるいは、図10(b)に示すように、パイプ12の外側面から内側面に向かって次第に吸入口10aから離れるように、孔121が形成されても良い。さらには、図2(b)の孔の形成形態と、図10(a)、(b)の孔の形成形態が混在していても良い。また、孔121の大きさは必ずしも一定でなくてもよい。
【0100】
なお、図10(b)のように孔121を形成すると、被験者の咳により生じた気流が、孔121からカバー13(閉空間S)内に漏れにくくなる。よって、咳の気流を排気口10bへと円滑に導くことができ、咳の強さをより精度良く検出することができる。
【0101】
また、図11(a)に示すように、筒部133の流路を遮断する円盤状のストッパー134と、ストッパー134を開閉するためのつまみ135が設けられていても良い。図11(a)の構成では、つまみ135にストッパー134が連結され、ストッパー134は、Z軸回りに回転可能に筒部133に支持される。つまみ135を回すと、ストッパー134が回転し、筒部133の流路が開放される。
【0102】
この構成では、試薬供給ユニット20において試薬の噴霧動作が開始されても、試薬を含む混合気の進行がストッパー134によって遮断される。被験者が吸引具11を加えた後、つまみ135を回転させると、試薬を含む混合気が閉空間Sに進入し、被験者による吸引がなされる。したがって、この構成例では、つまみ135の回転混合気の吸引開始のトリガとなり得る。よって、混合気の吸引開始から咳の誘発までの経過時間をより円滑に、且つ、正確に計測することができる。
【0103】
なお、図11(a)の構成例では、つまみ135の回転によりストッパー134が開放される構成とされたが、プッシュ式のスイッチによってストッパー134が開放される構成であっても良い。こうすると、ストッパー134の開閉制御をより簡便に行うことができる。また、ボタン操作によって電動で、ストッパー134が開閉制御されても良い。この場合、開閉ボタンは、検査器具10に設けられても良く、あるいは、図1に示す測定ユニット30や、図5に示す検査ユニット40に設けられても良い。
【0104】
また、実施形態1では、図2(a)、(b)に示すように、パイプ12とカバー13とが別体で、互いに着脱可能であったが、図11(b)に示すように、パイプ12の下面に筒部122を一体的に形成し、この筒部122内に孔121が位置付けられても良い。この場合、筒部122に、図1のホース22が連結される。
【0105】
この構成では、カバー13が省略されるため、部品点数の削減と構成の簡素化が図られ得る。ただし、孔121の部分の清掃が難しくなるため、実施形態1に比べて、孔121の目詰まりを回避しにくくなる。また、上記実施形態1に比べて、孔121の個数が少なくなるため、試薬の混合気を吸入口10aに導きにくくなる。このため、実施形態1に比べて孔121を大きくする必要があるが、こうすると、咳の気流が孔121から漏れやすくなり、咳の検出精度が低下することが懸念される。よって、これらを総合的に勘案すると、上記実施形態1のように、カバー13を用いる構成が望ましいと考えられる。
【0106】
また、上記実施形態1では、カバー13の開口132にパイプ12を嵌め込むことにより、カバー13とパイプ12が一体化されたが、カバー13とパイプ12が一体化する方法は、これに限られるものではない。たとえば、カバー13に代えて、図12(a)、(b)に示すカバー16が用いられても良い。図12(b)は、カバー16とパイプ12とを一体化した構成体の断面図であり、図3の断面図に対応する。図12(a)は、図12(b)からパイプ12を除去したカバー16単体の断面図である。
【0107】
図12(a)に示すカバー16は、図2(a)に示すカバー13を、X−Z平面に平行で且つ中心軸Lを含む平面によって切断して、カバー13の上部を取り除き、上部がり除かれた構成体の上面に、鉛直方向に延びる壁部163を重ねた構成となっている。鍔部161は、図2のカバー13の鍔部131に対応し、筒部162は、図2のカバー13の筒部133に対応する。鍔部161は、下側の半円の部分しか存在せず、鍔部161の上側に壁部163が連設されている。図2(a)と同様、鍔部161は、Z軸負側にも設けられている。
【0108】
壁部163の上面には、押さえ板164が支軸165によって回転可能に支持されている。すなわち、押さえ板164は、支軸165の回りに回転可能である。押さえ板164の端部には、Z軸正方向に深さを持つU字状の切り込み164aが設けられている。押さえ板164が前方(Z軸負方向)に回転すると、この切り込み164aが、留め具166の軸部に係合する。留め具166には軸部の上に頭部が設けられている。このため、押さえ板164の上方向の移動が規制される。
【0109】
パイプ12とカバー16とを一体化する場合、押さえ板164を後方(Z軸正方向)に回動させて、カバー16の上面を開放する。この状態で、パイプ12をカバー16に載置する。パイプ12には、半周に亘って、孔121が形成されている。パイプ12は、孔121が形成された領域が下側となるように、カバー16に載置される。その後、押さえ板164を前方(Z軸負方向)に回転させて、切り込み164aを留め具166の軸部分に係合させる。これにより、図12(b)に示すように、パイプ12とカバー16が一体化される。
【0110】
図12(b)に示すように、この構成例では、パイプ12の上面に平坦面123が形成されている。この平坦面123を押さえ板164が押さえることにより、パイプ123が所定の回転位置に位置決めされる。このとき、平坦面123の高さは押さえ板164の下面の高さよりも僅かに高い。よって、パイプ12は押さえ板164により下方向の力を受け、カバー16に押し付けられる。こうして、パイプ12とカバー16が一体化されると、孔121を覆うように閉空間Sが形成される。筒部162から試薬の混合気が流入すると、閉空間Sに混合気が充填され、孔121から混合気がパイプ12内部に案内される。これにより、被験者により、試薬の混合気が吸引される。
【0111】
また、上記実施形態では、孔121の大きさが一定であったが、孔121の大きさを可変として、孔121の大きさを変えることによって、試薬の混合量をコントロール可能としてもよい。
【0112】
図13(a)に、孔121の大きさを変更可能な構成例を示す。なお、図13(a)には、検査器具10のうちカバー13付近の構成のみが断面図として示されている。図13(a)は、図2(b)と同様、検査器具10を、Y−Z平面に平行な平面で均等に切断したときの断面図である。
【0113】
図13(a)に示すように、この構成例では、実施形態1のパイプ12が、円筒状の2つのパイプ12a、12bに変更されている。この構成例では、パイプ12bのZ軸負側の端部の外径がパイプ12aのZ軸正側の端部の内径と略等しくなっており、これら2つの端部を互いに嵌め合うことにより、2つのパイプ12a、12bが一体化される。このように組み合わされた状態において、パイプ12aは、パイプ12bに対して、Z軸に平行な軸の周りに回転可能である。また、パイプ12a、12bには、互いに組み合わされた状態において互いに向き合う孔121a、121bが形成されている。
【0114】
図13(b)、(c)は、図13(a)のように組み合わされたパイプ12a、12bを、孔121a、121bの位置において、X−Y平面に平行な平面で切断し断面図である。
【0115】
図13(b)に示すように、パイプ12bの端部に嵌め合わされるパイプ12aの端部には、周方向に均等に8個の長孔121aが形成されている。長孔121aは、パイプ12aの周方向に細長い輪郭となっている。同様に、パイプ12aの端部に嵌め合わされるパイプ12bの端部にも、周方向に均等に8個の長孔121bが形成されている。長孔121bは、パイプ12bの周方向に細長い輪郭となっている。この構成例では、長孔121aの周方向の寸法と長孔121bの周方向の寸法が同一となっている。
【0116】
図13(a)の状態では、長孔121aと長孔121bとが完全に整合しているため、図13(a)の閉空間Sからパイプ12a、12b内部へと続く孔の大きさは最大となる。この状態から、図13(c)のように、パイプ12aを周方向に回転させると、長孔121aと長孔121bとの重なりが小さくなる。このため、図13(a)の閉空間Sからパイプ12a、12b内部へと続く孔の大きさは、図13(b)の場合よりも小さくなる。
【0117】
このように、この構成例では、パイプ12aを回転させることにより、閉空間Sからパイプ12a、12b内部へと続く孔の大きさを変えることができる。孔の大きさを変えるための可変機構を設けることにより、試薬の混合量を任意にコントロールすることができる。
【0118】
なお、図13(a)〜(c)の構成例では、長孔121aの周方向の寸法と長孔121bの周方向の寸法が同一となっているが、長孔121aの周方向の寸法と長孔121bの周方向の寸法が異なっていてもよい。また、パイプ12aに形成されている8つの長孔121aの周方向の寸法が同じでなくてもよく、同様に、パイプ12bに形成されている8つの長孔121bの周方向の寸法が同じでなくてもよい。また、パイプ12a、12bに形成される長孔121a、121bの数は8つに限られず、他の個数であってもよい。さらに、長孔121a、121bに代えて円形の孔が形成されてもよい。パイプ12a、12bを周方向に相対的に回転させることにより、2つの孔の重なり量が変化すれば、孔の形状、大きさおよび配置位置は、他の如何なる形態であってもよい。
【0119】
なお、図13(a)〜(c)の構成例では、パイプ12a、12bを周方向に相対的に回転させることにより、2つの長孔121a、121bの重なり量を変化させたが、図14(a)、(b)に示すように、パイプ12a、12bを長手方向に相対的に移動させることにより、2つの孔121c、121dの重なり量を変化させるようにしてもよい。
【0120】
図14(a)、(b)の構成例では、図14(a)に示すように、パイプ12aのZ軸正側の端部とパイプ12bのZ軸負側の端部とを完全に嵌め合わせた状態において、パイプ12a側の孔121cとパイプ12b側の孔121dが完全に整合する。この状態から、図14(b)のようにパイプ12aがZ軸負方向に移動されると、孔121cと孔121dの重なり量が小さくなる。これにより、閉空間Sからパイプ12a、12b内部へと続く孔の大きさが、図14(a)の場合よりも小さくなる。
【0121】
このように、図14(a)、(b)の構成例によっても、図13(a)〜(c)の構成例と同様、閉空間Sからパイプ12a、12b内部へと続く孔の大きさを変えることができる。これにより、試薬の混合量を任意にコントロールすることができる。なお、孔121c、121dは、Z軸方向に細長い輪郭であってもよく、他の形状であってもよい。図13(a)〜(c)の構成例と同様、パイプ12a、12bを長手方向に相対的に移動させることにより、2つの孔の重なり量が変化すれば、孔の形状、大きさおよび配置位置は、他の如何なる形態であってもよい。
【0122】
図13(a)〜(c)の構成例では、パイプ12aの回動範囲を、2つの長孔121a、121bが完全にまたは少なくとも一部において互いに向き合う範囲に規制する手段を設けることが望ましい。また、2つのパイプ12a、12bが完全に嵌った状態でパイプ12aを回転させるための案内手段を設けることが望ましい。
【0123】
また、図14(a)、(b)の構成例では、パイプ12aの長手方向の移動範囲を、2つの長孔121c、121dが完全にまたは少なくとも一部において互いに向き合う範囲に規制する手段を設けることが望ましい。また、パイプ12aとパイプ12bの周方向がずれない状態でパイプ12aを長手方向に移動させるための案内手段を設けることが望ましい。
【0124】
また、上記実施形態1では、パイプ12、フィルタ部材14の支持部141、および、検出器15の筒状部材151a、151bを互いに連結することにより、特許請求の範囲に記載の「パイプ部」が構成されたが、「パイプ部」の構成方法は、これに限定されるものではない。たとえば、「パイプ部」は必ずしも、別部材を連結して構成される必要はなく、一つの部材によって構成されても良い。また、検出器15のみを連結する構成であっても良い。
【0125】
なお、フィルタ部材14は、咳に含まれる異物の飛散を除去するのには有効であるが、本発明の検査器具10の構成としては、適宜、省略されても良い。また、センサ153の配置位置は、実施形態1の位置に限られるものではなく、被験者の咳の強さを検出可能な位置であれば、他の位置に適宜変更され得る。フィルタ部材14の配置位置も適宜変更可能である。
【0126】
たとえば、図15に示すように、フィルタ部材14が吸引口10aとパイプ12の間に配置されてもよい。こうすると、咳に含まれる異物等がパイプ12やカバー13に付着することを抑制でき、検査器具10の内部をより清潔に保つことができる。この場合、フィルタ部材14は、なるべくフィルタ142が吸引具11の後端に接近するように配置されることが好ましい。これにより、フィルタ部材14の内部に異物等が付着することを抑制できる。また、フィルタ142が吸引具11に一体化されていてもよい。こうすると、吸引具11とともにフィルタ142もまた使い捨てとされるが、検査器具10の内部を一層確実に清潔に保つことができる。
【0127】
また、図15の構成において、センサ153をフィルタ142とパイプ12の間に配置してもよい。図15の構成では、フィルタ142が吸引具11の直後に位置付けられるため、センサ153をフィルタ142とパイプ12の間に配置しても、咳に含まれる異物等がセンサ153に付着することがない。
【0128】
さらに、検査結果の表示形態も、図8(a)、(b)の表示形態に限られるものではなく、適宜、修正され得る。咳の波形等や他のパラメータ値等が表示対象として追加されても良い。また、孔121の個数や形状、大きさも、適宜、変更可能である。さらに、検査器具10の材質は、樹脂に限られるものではなく、金属等の他の材料を用いることも可能である。
【0129】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 … 気道防御検査装置
10 … 検査器具
10a … 吸引口
10b … 排気口
11 … 吸引具
12 … パイプ(パイプ部)
12a、12b … パイプ(パイプ部)
121 … 孔
121a、121b … 長孔
121c、121d … 孔
13 … カバー(案内部)
13a … 流入口
132 … 開口
134 … ストッパー
135 … つまみ(開閉手段)
141 … 支持部(案内部)
15 … 検出器
151a、151b … 筒状部材(パイプ部)
153 … センサ
20 … 試薬供給ユニット(試薬供給部)
30 … 測定ユニット(測定部)
311 … 表示部
40 … 検査ユニット(試薬供給部、測定部)
402 … 試薬供給部
403 … 測定部
411 … 表示部
図1
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