【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明
の転がり軸受装置
は、
転動体と内輪と外輪とを強磁性の材質で構成し、マグネタイトないしはマグヘマイトのいずれかからなる強磁性の粒状微粒子の集まりを、転動体の表面
に磁気吸着させ、該転動体
が互いに磁気吸着した粒状微粒子の集まりで覆
われる構成とし、
前記転動体が軌道面を転動する際に、前記
互いに磁気吸着した粒状微粒子
の集まりの一部が
、前記転動体から前記軌道面に転移して該軌道面
に磁気吸着し、これによって、前記転動体の表面
に互いに磁気吸着した粒状
微粒子と
、前記軌道面
に互いに磁気吸着した粒状の
微粒子との
、互いに磁気吸着した粒状
微粒子同士の接触を介して、前記転動体が前記軌道面を転動する
転がり軸受装置である。
【0008】
本発明の転がり軸受装置は、
転動体の表面に互いに磁気吸着した粒状微粒子の集まりと、軌道面に互いに磁気吸着した粒状微粒子の集まりとの、互いに磁気吸着した粒状
微粒子同士の接触を介して、転動体が軌道面を転動するため、
互いに磁気吸着した粒状
微粒子
の集まりが軸部材の回転と荷重を支える
、全く新規な機構に基づく転がり軸受装置になる。つまり、転動体が回転する軸部材からの荷重を受けて軌道面を転動する際に、転動体の表層
に互いに磁気吸着した粒状微粒子が
、軌道面
に互いに磁気吸着した粒状微粒子と接触し、微粒子が粒状であるため、
互いに磁気吸着した微粒子の集まりの表層の微粒子は、転動体の転動の接線方向にせん断力を受けて滑る。また、軌道面に転移した微粒子も、転動体の表層の微粒子と接触し、転動体の転動の接線方向にせん断力を受けて滑る。微粒子が滑ると、隣接した微粒子が連続して滑る。こうして、転動体の転動に伴い、転動体の表層と軌道面との微粒子が
、接触と滑り
とを連続して繰り返すため、微粒子は転動体と軌道面を攻撃しない。つまり、転動体の表面と軌道面とは、粒状の微粒子による自己潤滑性を持ち、粒状の微粒子同士の接触と滑りとを介して転動体が軌道面を転動する。また、粒状の微粒子同士の接触は、接触面積が極めて小さい点接触に近い接触であるため、接触に伴う摩擦力は著しく小さい。これによって、軸受装置における耐久性が飛躍的に伸び、静粛性が著しく改善される。なお、ここでいう粒状の微粒子とは、大きさが10−100nmの範囲に入る固体からなる粒状の微粒子である。
つまり、マグネタイトFe3O4ないしはマグへマイトγ−Fe2O3は、いずれも強磁性体であり、腐食しにくい安定な鉄の酸化物である。さらに、モース硬度がガラスのモース硬度より大きい値を持つ硬い物質である。このため、マグネタイトないしはマグへマイトからなる粒状の微粒子の集まりは互いに磁気吸着し、多層構造を形成して転動体を覆う。さらに、転動体、内輪、外輪はいずれも強磁性の性質を持つ材質であるため、マグネタイトないしはマグへマイトからなる粒状微粒子は、転動体と軌道面とに磁気吸着する。一方、転動体の表面を覆う強磁性微粒子の集まりは、転動体が回転する軸部材の荷重を受けて軌道面を転動する際に、転動の接線方向にせん断応力を受け、表層の微粒子が磁気吸着から分離して軌道面に転移し、軌道面に磁気吸着する。こうして転動体が軌道面を転動するにつれ、軌道面も強磁性微粒子の集まりで覆われる。また、転動体が軌道面を転動する際に、強磁性微粒子同士が接触し、微粒子同士が接触した際に、微粒子が粒状であるため強磁性微粒子同士は滑るが、微粒子同士の磁気吸着力と転動体および軌道面からの磁気吸引力で微粒子は脱落しない。微粒子が滑ると、隣接した微粒子が連続して滑る。こうして、転動体が軸部材からの荷重によって軌道面を転動する現象は、微粒子同士が接触と滑りとを連続して繰り返す現象になる。この結果、転動体の表面と軌道面とは、強磁性微粒子による自己潤滑作用を持つ。強磁性微粒子は、前記したせん断応力以外の機械的な負荷を受けないため、強磁性微粒子は互いに磁気吸着するとともに、転動体と軌道面から磁気吸引力を受け、永続的に転動体の表面と軌道面に保持され、強磁性微粒子の自己潤滑性は永続する。また、強磁性微粒子は硬い粒状微粒子であるため、互いの点接触に近い接触を保持し、破壊せず変形もしない。
さらに、マグネタイトの磁気キュリー点は585℃で、マグへマイトの磁気キュリー点は675℃である。いっぽう、自動車部品の転がり軸受装置では、高温の連続動作が継続すると軌道面が250℃まで昇温する場合がある。マグネタイトないしはマグへマイトの磁気キュリー点は、軌道面の最高温度より300℃以上高いため、250℃における強磁性微粒子の磁気特性は常温と殆ど変わらない。さらに、−40℃の極低温においても、強磁性微粒子の磁気特性は常温と殆ど変わらない。従って、転がり軸受装置の全ての動作温度において、強磁性微粒子による自己潤滑作用が、常温と変わらずに転動体と軌道面に作用する。
なお、転動体、内輪、外輪は、いずれも繰り返し大きな荷重がかかるため、従来は、耐久性の観点から高炭素クロム軸受鋼や、耐食性の高いマルテンサイト系ステンレス鋼などが用いられている。これらの材質はいずれも強磁性の性質を持つので、従来の材質で転動体、内輪、外輪を構成すれば、転動体の表面と軌道面とに強磁性微粒子が磁気吸着し、磁気吸着した強磁性微粒子が自己潤滑性を発揮する。
すなわち、微粒子同士が互いに点接触に近い状態で
磁気吸着した多層構造を、転動体の表面に形成しているため、転動体が回転する軸部材からの荷重を受けて軌道面を転動すると、多層構造の表層をなす微粒子が軌道面と接した際に、転動体の転動の接線方向にせん断応力を受けて多層構造から遊離し、転動体から軌道面に転移する。軌道面への微粒子の転移が進むと、転動体と軌道面との接触は、微粒子同士の接触となる。一方、微粒子同士の接触が点接触に近い接触であるため、微粒子同士が接触する際に微粒子が受けるせん断応力は著しく小さくなり、転動体から軌道面への微粒子の転移は収まる。こうして、転動体を覆っていた多層構造からなる微粒子のうち、表層を形成していた微粒子が軌道面に転移して軌道面を覆う。これによって、転動体と軌道面とは、粒状の微粒子同士の接触を介した接触になる。また、微粒子同士が接触した際に、微粒子は転動体の転動の接線方向にせん断力を受けて滑る。微粒子が滑ると、隣接した微粒子が連続して滑る。こうして、転動体が回転する軸部材からの荷重によって軌道面を転動する現象は、微粒子同士が接触と滑りとを連続して繰り返す現象になる。この結果、転動体の表面と軌道面とは、粒状の微粒子による自己潤滑性を持つ。連続した微粒子同士の接触と滑りとによって、転動体および軌道面に加わる負荷が軽減され、また、転動体と軌道面との摩擦力が縮減される。
なお、転動体が球、円筒、円錐、針状のいずれの形状であっても、転動体の表面全体を粒状の微粒子からなる多層構造で覆うため、転動体の表層の微粒子が軌道面に転移する。例えば、球からなる転動体では、球の表層をなす微粒子が転動体に転移する。また円筒、円錐、針状の転動体では側面が軌道面と接するため、転動体の側面の表層をなす微粒子が軌道面に転移する。さらに、微粒子の大きさが保持器の表面粗さより2桁近く小さく、微粒子同士が点接触に近い状態で互いに接合して転動体の表面全体を覆うため、転動体を保持器に収める際に、微粒子が多層構造から剥がされることはない。
前記した転動体の表面と軌道面とが持つ自己潤滑性は、転動体の表面全体を覆った粒状の微粒子が軌道面に転移した結果もたらされる。このため、転動体の表面を粒状の微粒子の多層構造で覆うだけの処理で、転動体の表面と軌道面とに自己潤滑性がもたらされる。これによって、軸受装置は大型化せず、軸受装置の製作費の増大は抑えられる。
さらに、前記した転動体の表面と軌道面との自己潤滑性は、固体の粒状微粒子が自ら滑ることによる潤滑性であり、従来の潤滑油に依る潤滑性とは異なり、動作温度の影響を受けない。また、軸部材の回転速度が速まっても、固体の微粒子同士の接触と滑りを繰り返す速度が速まるだけであり、固体の微粒子による自己潤滑性は、軸部材の回転速度の影響を受けない。さらに、軸部材の静荷重下においては、静荷重が転動体および軌道面を覆う莫大な数の固体の微粒子に分散されるため、固体の微粒子が静荷重で破壊されることはない。また、分散された静荷重によって、転動体および軌道面が疲労することもない。
以上に説明したように、本特徴構成は、6段落で説明した従来の転がり軸受装置の課題を具体的に解決するとともに、汎用性を持つ画期的な転がり軸受装置になる。
【0009】
(削除)
【0010】
(削除)
【0011】
前記した
転動体を覆うマグネタイトないしはマグへマイトのいずれかの材質からなる粒状の微粒子
の集まりは、熱分解によって酸化鉄
FeOを生成する有機鉄化合物を転動体に吸着させ、該転動体を大気中で熱処理し、前記有機鉄化合物の熱分解によって酸化鉄
FeOを前記転動体の表面に析出させ、さらに
、前記転動体を昇温して、前記酸化鉄
FeOをマグネタイトないしはマグへマイトに酸化し、これによって、前記転動体の表面に前記マグネタイトないしは前記マグへマイトのいずれかの材質からなる粒状の微粒子
の集まりが磁気吸着
し、前記マグネタイトないしは前記マグへマイトのいずれかの材質からなる粒状の微粒子の集まりが前記転動体を覆う。
【0012】
つまり、
転動体に吸着させた有機鉄化合物を、転動体の表面で熱分解して酸化鉄FeOを転動体に析出させ、この酸化鉄
FeOを酸化することで、マグネタイトFe
3O
4ないしはマグへマイトγ−Fe
2O
3のいずれかの材質からなる微粒子が、転動体の表面に10−100nmの大きさの範囲に入る粒状の微粒子として析出して転動体に磁気吸着する。このため、転動体が球、円筒、円錐、針状のいずれの形状でも、また、どのような大きさでも、さらに複数種類の転動体でも、マグネタイトないしはマグへマイトからなる粒状微粒子が転動体の表面に磁気吸着する。このため、自己潤滑性を持つ転動体を製造する制約がない。さらに、一度に大量の自己潤滑性を持つ転動体が製造でき、従来の転がり軸受装置が持つ課題を根本的に解決する画期的な軸受装置が安価に製造できる。
すなわち、熱分解によって酸化鉄FeOを生成する有機鉄化合物を、有機溶媒に分散させ、この分散液に転動体の集まりを浸漬し、この後有機溶媒を気化させると、転動体の表面に有機鉄化合物が均一に吸着する。この転動体の集まりを、大気雰囲気で熱処理する。熱処理温度が有機鉄化合物を構成する有機物の沸点を超えると、有機物と酸化鉄FeOとに熱分解する。さらに熱処理温度を上げると、有機物は気化熱を奪って気化し、有機物の気化が完了した瞬間に、転動体の表面に酸化鉄FeOの微粒子が析出する。さらに熱処理温度を上げると、酸化鉄FeOを構成する2価の鉄イオンFe
2+が、3価の鉄イオンFe
3+になる酸化反応が起こる。この酸化反応が起こる温度に一定時間放置すると、酸化鉄FeOを構成する2価の鉄イオンFe
2+が3価の鉄イオンFe
3+になり、マグネタイトが生成される。つまり、酸化鉄FeOを構成する半数の2価の鉄イオンFe
2+が、3価の鉄イオンFe
3+になってFe
2O
3になり、組成式がFeO・Fe
2O
3のマグネタイトFe
3O
4が生成される。こうした2価の鉄イオンFe
2+が3価の鉄イオンFe
3+になる酸化反応が転動体の表面で進行し、マグネタイトFe
3O
4が転動体の表面に粒状微粒子として生成されて磁気吸着する。
さらに昇温すると、マグネタイトFeO・Fe
2O
3を構成するFeOにおける2価の鉄イオンFe
2+が、3価の鉄イオンFe
3+に酸化され、この温度に一定時間放置すると、FeOにおける2価の鉄イオンFe
2+がすべて3価の鉄イオンFe
3+になり、酸化鉄Fe
2O
3を形成する。この酸化鉄Fe
2O
3は、マグネタイトFe
3O
4と同様の立方晶系の結晶構造を形成し、酸化鉄Fe
2O
3はγ相のマグへマイトγ−Fe
2O
3になる。こうした酸化反応が完了すると、マグへマイトγ−Fe
2O
3が転動体の表面に粒状微粒子として生成されて磁気吸着する。
以上に説明したように、転動体の表面に有機鉄化合物を吸着させ、この転動体を大気中で熱処理するだけで、転動体の表面が、マグネタイトないしはマグヘマイトからなる粒状の微粒子で覆われる。有機鉄化合物は汎用的な有機酸と鉄とからなる安価な工業薬品であり、また、熱処理は大気中での比較的低温度での熱処理であるため、安価な手段で強磁性微粒子による自己潤滑性を持つ転動体の集まりが製造できる。
なお、有機鉄化合物の熱分解で生成されるマグへマイトは、酸化鉄FeOの酸化によって生成されるため、針状粒子ではなく粒状粒子として析出する。従来技術においては、マグへマイトγ−Fe
2O
3は針状粒子として生成される。つまり、硫酸第一鉄ないしは硫酸第二鉄のアルカリ性の水溶液に大気を送って反応させると、針状粒子であるゲータイトと呼ばれる水酸化鉄α−FeOOHが析出する。このゲータイトを、水素ガスの雰囲気で一度脱水させてヘマタイトα−Fe
2O
3とし、さらに、還元してマグネタイトFe
3O
4を生成する。この後、マグネタイトを大気中でゆっくりと加熱酸化させると、針状のマグへマイト粒子が生成される。針状粒子からなるマグへマイトは自らが滑らないため、自己潤滑性を発揮する強磁性微粒子としては適さない。さらに、針状のマグへマイト粒子を生成する製造工程は、有機鉄化合物の熱処理だけで粒状のマグへマイト粒子を生成する製造工程に比べ、より多くの複雑な製造工程が必要になり製造費が高くなる。
【0013】
前記した
熱分解によって酸化鉄
FeOを生成する有機鉄化合物は、カルボキシル基を構成する酸素イオンが鉄イオンに配位結合するカルボン酸鉄
化合物である。
【0014】
つまり、
カルボキシル基を構成する酸素イオンが、鉄イオンに近づいて配位結合するカルボン酸は、熱分解によって酸化鉄FeOを析出する。従って、こうした分子構造上の特徴を有するカルボン酸鉄は、マグネタイトないしはマグヘマイトの粒状の微粒子を生成する原料になる。
すなわち、カルボキシル基を構成する酸素イオンが、鉄イオンに近づいて配位結合するカルボン酸鉄
化合物は、最も大きいイオンである鉄イオンに酸素イオンが近づいて配位結合するため、両者の距離は短くなる。これによって、鉄イオンに配位結合する酸素イオンが、鉄イオンの反対側で共有結合するイオンとの距離が、イオン同士の距離の中で最も長くなる。こうした分子構造上の特徴を持つカルボン酸鉄
化合物は、カルボン酸鉄
化合物を構成するカルボン酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンが鉄イオンの反対側で共有結合するイオンとの結合部が最初に分断され、鉄イオンと酸素イオンとの化合物である酸化鉄FeOとカルボン酸とに分解する。さらに昇温すると、カルボン酸が気化熱を奪って気化し、カルボン酸の気化が完了した瞬間に酸化鉄FeOが析出する。こうしたカルボン酸鉄
化合物として、酢酸鉄、カプリル酸鉄、安息香酸鉄、ナフテン酸鉄などがある。
このようなカルボン酸鉄
化合物を転動体に吸着させ、転動体の表面でカルボン酸鉄
化合物を熱分解させると、10−100nmの大きさの幅に収まる粒状の酸化鉄FeOが転動体の表面に一斉に析出する。さらに昇温すると、酸化鉄FeOがマグネタイトないしはマグヘマイトに酸化し、マグネタイトないしはマグヘマイトからなる粒状の微粒子が転動体を覆う。
さらに、前記したカルボン酸鉄
化合物は、いずれも容易に合成できる安価な工業薬品である。すなわち、カルボン酸を強アルカリと反応させるとカルボン酸アルカリ金属化合物が生成される。この後、カルボン酸アルカリ金属化合物を無機鉄化合物と反応させることで、カルボン酸鉄
化合物が合成される。また、原料となるカルボン酸は、有機酸の沸点の中で相対的に低い沸点を有する有機酸であるため、大気雰囲気においては300℃程度の比較的低い熱処理温度で酸化鉄FeOの微粒子が析出する。
従って、カルボン酸鉄
化合物は安価な有機鉄化合物であり、大気雰囲気の比較的低い温度で熱分解して酸化鉄
FeOを析出するため、強磁性の微粒子の集まりで転動体を覆う安価な原料になる。これによって、自己潤滑性を持つ転動体が安価に製造できる。
【0015】
マグネタイトないしはマグヘマイト
のいずれかからなる粒状の微粒子の多層構造で覆われた転動体を製造する製造方法は、熱分解で酸化鉄
FeOを析出する有機鉄化合物を有機溶媒に分散させて分散液を作成する第1の製造工程と、前記有機鉄化合物の分散液に転動体の集まりを浸漬して該転動体の表面に前記有機鉄化合物の分散液を接触させる第2の製造工程と、前記分散液を昇温して前記有機溶媒を気化させて前記有機鉄化合物を前記転動体に吸着させる第3の製造工程と、前記転動体の集まりを大気中で熱処理する第4の製造工程とからなり、
これら4つの製造工程を連続して実施することで、マグネタイトないしはマグヘマイトからなる粒状の微粒子の多層構造で前記転動体の表面を覆う転動体
が製造
される製造方法である。
【0016】
つまり、この製造方法によれば、極めて簡単な4つの製造工程を連続して実施することで、大量の転動体の表面にマグネタイトないしはマグヘマイトからなる強磁性微粒子が満遍なく磁気吸着する。これによって、強磁性微粒子に基づく自己潤滑性を有する転動体の集まりが安価な製造費用で製造でき、6段落で説明した従来の転がり軸受装置の概念を払拭する画期的な軸受装置が安価に製造できる。
すなわち、第1の製造工程は、有機鉄化合物を容器に充填し、これに有機溶媒を加えて撹拌するだけの工程である。これによって、有機鉄化合物が有機溶媒に均一に分散された分散液が作成できる。第2の製造工程は、容器に転動体の集まりを浸漬するだけの工程である。これによって、転動体に有機鉄化合物の分散液が接触する。第3の製造工程は、容器の温度を有機溶媒の沸点まで昇温するだけの工程である。これによって、全ての転動体に有機鉄化合物が均一に吸着する。第4の製造工程は、大気雰囲気において、容器の温度を酸化鉄
FeOがマグネタイトないしはマグへマイトに酸化する反応が進む温度まで昇温するだけの工程である。これによって、容器内にある全ての転動体の表面にマグネタイトないしはマグへマイトからなる粒状微粒子が磁気吸着する。この結果、強磁性微粒子に基づく自己潤滑性を有する転動体の集まりが安価な製造費で製造できる。