(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283469
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を備えて構成されるパワー半導体モジュールの製造方法、及び少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20180208BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20180208BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-53068(P2013-53068)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2013-214738(P2013-214738A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】10 2012 205 240.2
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592221975
【氏名又は名称】ゼミクロン エレクトローニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】クルト・ゲオルク ベーゼンデルファー
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ブラムル
(72)【発明者】
【氏名】ナトヤ エルトナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ゲープル
【審査官】
麻川 倫広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−237429(JP,A)
【文献】
特開昭60−066452(JP,A)
【文献】
特開2006−134989(JP,A)
【文献】
特開2004−064050(JP,A)
【文献】
特開2010−263080(JP,A)
【文献】
特開2007−165896(JP,A)
【文献】
特開2006−351976(JP,A)
【文献】
特開2001−358267(JP,A)
【文献】
特開2004−172313(JP,A)
【文献】
特開2003−332503(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102011000455(DE,A1)
【文献】
特開2010−157693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
H05K 1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)用の、第1及び第2の金属化層(2a、2b)を有する基板(7、7’、7”)を作製するための方法であって、
a)非導電性の絶縁材料本体(1)をもたらすステップと、
b)前記絶縁材料本体(1)の第1の側面(15a)に、導体トラックに従って具体化された構造を有する第1の金属化層(2a)を適用し、前記絶縁材料本体(1)の前記第1の側面(15a)の反対側に配置されている第2の側面(15b)に第2の金属化層(2b)を適用するステップと、
c)カットアウト(13)を有する非導電性のレジスト層(3)を前記第2の金属化層(2b)に適用するステップと、
d)前記第1の金属化層(2a)に第1の金属層(5)を電気分解によって析出し、前記レジスト層(3)が前記カットアウト(13)を有する位置で、前記第2の金属化層(2b)に隆起部(6、6’)を電気分解によって析出するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の金属化層(2a、2b)が、銀及び/又は銅を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隆起部(6、6’)が銅からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の金属層(5)が銅からなることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記隆起部(6)が、300μm〜1000μmの高さを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記隆起部(6’)が冷却フィンガ(6’)を形成し、その冷却フィンガまわりを冷却媒体が、前記少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)の冷却のために流れることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記隆起部(6’)が、少なくとも1500μmの高さを有することを特徴とする、請求項1、2、3、4又は6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法ステップd)の後で、以下のさらなるステップ、すなわち、
e)前記レジスト層(3)を除去するステップと、
f)前記隆起部(6)に第2の金属層(14)を電気分解によって析出するステップ、
が実行されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の金属層(14)がニッケルからなることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
パワー半導体モジュール(8)を作製するための方法であって、この方法が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)用の、第1及び第2の金属化層(2a、2b)を有する基板(7)を作製するための方法を含み、さらに、
e)前記少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)を前記第1の金属層(5)に接続して、前記隆起部(6)をプレート(11)又はヒートシンク(16)に接続する、方法。
【請求項11】
パワー半導体モジュール(8’、8”)を作製するための方法であって、請求項6〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)用の基板(7’、7”)を作製するための方法を含み、さらに、
e)前記少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)を前記第1の金属層(5)に接続する、方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のパワー半導体モジュールを作製するための方法であって、前記それぞれの接続プロセスが、焼結又ははんだ付け接続によって達成される、方法。
【請求項13】
少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)用の基板を備えて構成されるパワー半導体モジュールの製造方法であって、
a)絶縁材料本体(1)、前記絶縁材料本体(1)の第1の側面(15a)に配置され、導体トラックに従って具体化された構造を有する第1の金属化層(2a)、及び前記絶縁材料本体(1)の前記第1の側面(15a)の反対側に配される前記絶縁材料本体(1)の第2の側面(15b)に配置された第2の金属化層(2b)を有する前記基板(7、7’、7”)をもたらし、
b)カットアウト(13)を有する非導電性のレジスト層(3)を前記第2の金属化層(2b)に適用し、
c)前記第1の金属化層(2a)上に電気分解により析出された第1の金属層(5)を配し、前記レジスト層(3)が前記カットアウト(13)を有する位置で、電気分解により析出され金属で構成された隆起部(6、6’)を、前記第2の金属化層(2b)上に配し、
d)前記隆起部(6)を、パワー半導体モジュール(8)のベースプレートの形で存在するプレートであって、パワー半導体モジュール(8)をヒートシンクに接続する機能を有するプレート(11)又はヒートシンク(16)に接続し、前記少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント(10a、10b)を、前記第1の金属層(5)に接続する、パワー半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を作製するための方法、及び少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を備えて構成されるパワー半導体モジュール
の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体コンポーネントは、例えば、電圧及び電流を整流し反転するために、とりわけ用いられ、ここで一般に、例えばコンバータを実現するための複数のパワー半導体コンポーネントが、互いに電気的に接続される。この場合、パワー半導体コンポーネントは、一般に基板上に配置され、基板は、一般にヒートシンクに直接又は間接的に接続される。
【0003】
例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)、サイリスタ、又はダイオードなどのパワー半導体コンポーネントの動作中に、パワー半導体コンポーネントでは、熱の形態でエネルギ損失が発生し、それは、パワー半導体コンポーネントの加熱につながる。熱は、パワー半導体コンポーネントから、基板を介してヒートシンクに伝えられ、そこからガス(例えば周囲空気)又は液体冷却媒体(例えば水)に放散される。
【0004】
先行技術において、基板及びヒートシンクは、2つの別個のコンポーネント部分からなり、かつ使用される材料が、例えばヒートシンク用に銅又はアルミニウム及び例えば基板用にCu−Al
2O
3−Cu複合材料(DCB基板)など、異なるために異なる線熱膨張率を有する。それに起因する異なる線膨張は、加熱において、ヒートシンク及び基板の接続部における温度変化の結果としての熱応力の場合に、機械的応力及び急速な老朽化につながる。前記接続部は、通常、はんだ付け又は焼結接続部の形で存在する。そのために、基板及びヒートシンクの接続部は剥離する可能性があり、それは、パワー半導体コンポーネントの動作不良又は破壊につながる可能性がある。なぜなら、パワー半導体コンポーネントの十分な冷却が、もはや提供されないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板上に配置されたパワー半導体コンポーネントを確実に冷却できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を作製するための方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
a) 非導電性の絶縁材料本体をもたらすステップと、
b)
導体トラックに従って具体化された構造を有する第1の金属化層を絶縁材料本体の第1の側面に適用し、絶縁材料本体の第1の側面の反対側に配置される絶縁材料本体の第2の側面に第2の金属化層を適用するステップと、
c) カットアウト(切欠き)を有する非導電性のレジスト層を第2の金属化層に適用(施与)するステップと、
d) 第1の金属層を第1の金属化層上に電気分解によって析出し、レジスト層がカットアウトを有する位置で、隆起部を第2の金属化層上に電気分解によって析出するステップと、
を含む方法によって達成される。
【0007】
その目的は、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント用の基板を備えて構成されるパワー半導体モジュールの製造方法であって、
a)絶縁材料本体と、絶縁材料本体の第1の側面に配置された、導体トラックに従って具体化された構造を有する第1の金属化層と、絶縁材料本体の
第1の側面の反対側に配置された第2の側面に配置された第2の金属化層と、を含
む基板をもたらし、
b)カットアウトを有する非導電性のレジスト層
を第2の金属化層に適用
し、
c)電気分解により析出された第1の金属層
を、第1の金属化層上に配置
し、レジスト層がカットアウトを有する位置で、電気分解により析出され金属で構成された隆起部
を、第2の金属化層上に配置
し、
d)隆起部
を、パワー半導体モジュールのベースプレートの形で存在するプレートであって、パワー半導体モジュールをヒートシンクに接続する機能を有するプレート又はヒートシンクに接続
し、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネント
を、第1の金属層に接続
する、パワー半導体モジュールの製造方法によってさらに達成される。
【0008】
方法の有利な実施形態は、基板の有利な実施形態と同様に生じ、逆も同様である。
【0009】
本発明の有利な実施形態は、従属クレームから生じる。
【0011】
第1及び第2の金属化層が銀及び/又は銅を含む場合には有利であることが分かる。なぜなら、これは、絶縁材料本体における第1の金属層及び隆起部の高い熱伝導率に帰着するからである。
【0012】
さらに、隆起部が銅からなる場合には有利であることが分かる。なぜなら、銅が高い熱伝導率を有するからである。
【0013】
さらに、第1の金属層が銅からなる場合には有利であることが分かる。なぜなら、銅が高い熱及び電気伝導率を有するからである。
【0014】
さらに、隆起部が300μm〜1000μmの高さを有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、そのときには、基板とプレート又はヒートシンクとの間の熱応力を、隆起部によって特によく補償できるからである。
【0015】
さらに、隆起部が、冷却フィンガであってそのまわりを冷却媒体が、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントの冷却のために流れることができる冷却フィンガを形成する場合には有利であることが分かる。冷却フィンガは、このように基板と一体的に具体化される。すなわち、ヒートシンクは基板の一体部分であり、これによって、特に確実かつ効率的な冷却が可能になる。
【0016】
さらに、隆起部が少なくとも1500μmの高さを有する場合には有利であることが分かる。なぜなら、そのときには、冷却フィンガによって、特に効果的な冷却が保証されるからである。
【0017】
さらに、隆起部を電気分解によって析出するプロセス後に、レジスト層を除去し、かつその次に第2の金属層を隆起部に電気分解によって析出することが続く場合には有利であることが分かる。第2の金属層は、冷却媒体との化学反応から隆起部を保護する、隆起部用の保護層を形成する。第2の金属層はニッケルからなるのが好ましい。なぜなら、特に、冷却媒体として水が使用される場合に、ニッケルは、水との、及び恐らくは水に溶けたガスとの化学反応から隆起部を保護するからである。
【0018】
さらに、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを第1の金属層に接続すること、及び隆起部をプレート又はヒートシンクに接続することが達成される場合には有利であることが分かる。なぜなら、このように単純な方法でパワー半導体モジュールを作製できるからである。
【0019】
さらに、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを第1の金属層に接続することが達成される場合には有利であることが分かる。なぜなら、このように単純な方法でパワー半導体モジュールを作製できるからである。
【0020】
さらに、それぞれの接続プロセスが、焼結又ははんだ接続によって達成される場合には有利であることが分かる。なぜなら、焼結又ははんだ付け接続が、パワー半導体モジュールの場合の通常の接続を構成するからである。
【0021】
さらに、隆起部がプレート又はヒートシンクに接続され、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントが第1の金属層に接続される場合には有利であることが分かる。なぜなら、このように単純な方法でパワー半導体モジュールを作製できるからである。
【0022】
さらに、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントが、第1の金属層に接続され、隆起部が、冷却フィンガであってそのまわりを冷却媒体が、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントの冷却のために流れることができる冷却フィンガを形成する場合には有利であることが分かる。冷却フィンガは、このように基板と一体的に具体化される。すなわち、ヒートシンクは、基板の一体部分であり、それによって、特に確実かつ効率的な冷却が可能になる。
【0023】
本発明の例示的な実施形態は、図に示され、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による第1の方法ステップが実行された後の基板ブランクを概略断面図の形で示す。
【
図2】本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の基板ブランクを概略断面図の形で示す。
【
図3】本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の、本発明による基板を概略断面図の形で示す。
【
図4】本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の、本発明によるパワー半導体モジュールを概略断面図の形で示す。
【
図5】基板ブランクの下方からの、
図2に関連する概略図を示す。
【
図6】本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の、本発明によるパワー半導体モジュールを概略断面図の形で示す。
【
図7】本発明によるパワー半導体モジュールのさらなる実施形態を概略断面図の形で示す。
【
図8】本発明によるパワー半導体モジュールのさらなる実施形態を概略断面図の形で示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による第1の方法ステップが実行された後の基板ブランク7aを概略断面図の形で示す。第1の方法ステップには、構造化された第1の金属化層2aを非導電性絶縁材料本体1の第1の側面15aに適用することと、第2の金属化層2bを絶縁材料本体1の第2の側面15bに適用することと、が含まれ、前記第2の側面は、絶縁材料本体1の第1の側面15aの反対側に配置される。絶縁材料本体1は、このように、第1及び第2の金属化層2a及び2b間に配置される。絶縁材料本体1は、例えばAl
2O
3又はAlNなど、例えばセラミックからなることができ、300μm〜1000μmの厚さを有するのが好ましい。金属化層2a及び2bは、例えば、実質的に銅及び/又は銀、又は銅合金及び/又は銀合金からなることができる。金属化層2a及び2bは、5μm〜25μmの厚さを有するのが好ましい。第1の金属化層2aは、導体トラックの意図されたコースに従って具体化された構造を有する。したがって、第1の金属化層2aは、例えば、例示的な実施形態の文脈において、中断部4を有する。第2の金属化層2bは、好ましくは構造化されないが、しかし同様に構造化方式で具体化することができる。
【0026】
第1及び第2の金属化層を絶縁材料本体1の第1及び第2の側面に適用するプロセスは、次の手順によって達成されるのが好ましい。すなわち、最初に、金属化層が存在すべく意図された位置で、銅及び/又は銀含有粒子ならびに溶剤を含む金属化ペーストが、絶縁材料本体1の第1及び第2の側面15a及び15bに適用され、次に、金属化ペーストが、例えば180℃で乾燥され、次に、炉において、好ましくは真空で、好ましくは約1000℃に加熱され、このように焼かれるという手順で達成されるのが好ましい。ここで、次のことに留意されたい。すなわち、第1の方法ステップが、構造化された第1の金属化層2aを、非導電性絶縁材料本体1の第1の側面15aに適用することを含むことを必ずしも必要とせず、むしろ、構造化された第1の金属化層2aを、たとえ方法の開始前であっても絶縁材料本体1上に既に適用してしまってもよいことに留意されたい。
【0027】
ここで、
図1〜8が概略図であること、及び特に層厚さが縮尺通りには図示されていないことに留意されたい。
【0028】
図2は、本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の基板ブランク7aを概略断面図の形で示す。
図5は、基板ブランク7aの下方からの、
図2に関連する概略図を示す。方法ステップには、レジスト層がカットアウト13を有する第2の金属化層2bに非導電性レジスト層3を適用することが含まれる。
図5に示すように、カットアウト13は、円形を有するのが好ましいが、それは、もちろんまた任意の他の形状、特に細長い形状を有することもできる。カットアウト13は、
図5に示すように、マトリックス状に配置されるのが好ましい。カットアウト13は、互いに等距離で離間されるように配置されるのが好ましい。レジスト層3は、5μm〜25μmの厚さを有するのが好ましい。
【0029】
例示的な実施形態の文脈において、レジスト層3を適用するプロセスは、レジスト層のスクリーン印刷法及び後続の熱乾燥によって達成される。この場合に用いられるスクリーンのカットアウトの形状が、レジスト層3のカットアウト13の形状を決定する。この場合、レジストは、厚膜レジストとして具体化されるのが好ましい。
【0030】
しかしながら、それに対する代替として、レジスト層3を適用するプロセスはまた、例えば次の手順によって達成することができる。すなわち、第2の金属化層2bが、フォトリソグラフィレジスト、特にフォトリソグラフィ厚膜レジストで被覆され、次にレジストが、カットアウトの所望の形状を生成するために、フォトマスクを介して露光され、次に、露光されたレジストが現像され、好ましくは未露光のレジストが、溶剤によって除去されるという手順によって達成することができる。
【0031】
図3は、本発明によるさらなる方法ステップが実行された後の、本発明による基板7を概略断面図の形で示す。方法ステップには、第1の金属層5を第1の金属化層2a上に電気分解によって析出することと、レジスト層3がカットアウト13を有する位置で、第2の金属化層2bに隆起部6を電気分解によって析出することと、が含まれる。この目的のために、基板ブランク7aが、電気めっき液で満たされた容器に浸され、第1及び第2の金属化層2a及び2bが、電圧源の陰極に接続され、電気めっき液に配置された電極が、電圧源の陽極に接続され、それにより、電流が流れ始め、第1の金属層5が、第1の金属化層2a上に析出し、隆起部6が、レジスト層3がカットアウト13を有する位置で、第2の金属化層2b上に析出するようになる。この場合に、例示的な実施形態の文脈において、電気めっき液には、第1の金属層5及び隆起部6が例示的な実施形態において銅からなるように、銅イオンが含まれる。ここで、例示的な実施形態とは対照的に、方法ステップが、必ずしも、第1の金属層5を第1の金属化層2a上に電気分解によって析出することを含む必要がなく、むしろ、第1の金属層5が第1の金属化層2a上に電気分解によって析出されないように、例えば電解析出の前であっても、第1の金属化層2aを例えば電気絶縁レジストで被覆できることに留意されたい。
【0032】
第1の金属層5は、100μm〜400μm、特に100μm〜300μmの厚さを有するのが好ましい。隆起部6は、300μm〜1000μmの高さを有するのが好ましい。絶縁材料本体1の第2の側面15bから離れるように進む隆起部6における側壁17の少なくとも1つは、凸形状を有するのが好ましい。例示的な実施形態において、第1の金属層5の厚さが、隆起部6の高さhより著しく小さいので、例示的な実施形態の文脈において、電解析出中に第1の金属層5が想定の厚さを達成した場合に、さらなる電解析出中に隆起部6だけが想定の高さhを達成するまで成長するように、電圧源への第1の金属層5の電気的接続は遮断される。
【0033】
しかしながら、異なる析出高さを達成するためのさらに他の方法もまた可能である。したがって、例えば、第1の金属層5が想定の厚さを達成した後で、電解析出を中断すること、非導電性レジストを第1の金属層5に適用すること、及び次に隆起部6が想定の高さhを達成するまで電解析出を継続することがまた可能であり、ここで、第1の金属層5に適用されたレジストのために、第1の金属層5は、この場合にはそれ以上成長しない。
【0034】
例示的な実施形態の文脈において、隆起部6は、円形断面エリアを有する。しかしながら、隆起部6の断面エリアがまた、任意の他の形状、特に細長い形状を有し得ることは言うまでもない。この場合に、断面エリアの面法線の方向は、絶縁材料本体1の第2の側面15bにおける面法線の方向Nに対応する(
図3を参照)。隆起部6は、マトリックス状に配置されるのが好ましい。隆起部6は、互いに等距離で離間されるように配置されるのが好ましい。
【0035】
レジスト層3又はレジストは、電解析出後に除去するのが好ましい。
【0036】
本発明によるパワー半導体モジュール8を作製するために、続いてさらなる方法ステップ(これは、
図4及び
図6に示されている)には、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを第1の金属層5に接続することと、プレート11(
図4を参照)又は例えば冷却フィンガ18を有するヒートシンク16(
図6を参照)に隆起部6を接続することと、が含まれ、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを第1の金属層5に接続することは、第1の部分方法ステップにおいて達成され、隆起部6をプレート11又はヒートシンク16に接続することは、第2の部分方法ステップにおいて達成される。この場合に、第1の部分方法ステップは、第2の部分方法ステップの前、第2の部分方法ステップと同時、又は第2の部分方法ステップの後に達成することができる。ここで、例示的な実施形態の文脈において、第1の金属層5と共に第1のパワー半導体コンポーネント10a及び第2のパワー半導体コンポーネント10bは、焼結又ははんだ付け層9がパワー半導体コンポーネント10a及び10bと第1の金属層5との間に配置されるように、焼結又ははんだ付け接続によって互いに接続される。さらに、例示的な実施形態の文脈において、プレート11又はヒートシンク16と共に隆起部6は、焼結又ははんだ付け層12が隆起部6とプレート11又はヒートシンク16との間に配置されるように、焼結又ははんだ付け接続によって互いに接続される。この場合、それぞれの焼結層は、少なくとも実質的に銀からなり、それぞれのはんだ付け層は、少なくとも実質的にスズからなる。プレート11は、パワー半導体モジュール8をヒートシンクに接続するために働く。ヒートシンクは、例えばねじ込み式接続方式によってヒートシンクに接続することができるが、それは、明確にするために
図4には示していない。ここで、プレート11は、パワー半導体モジュール8のベースプレートの形で存在するのが好ましい。
【0037】
基板及びプレートの、又は基板及びヒートシンクの接続の剥離が発生し得ず、それぞれの接続が、長期間にわたってさえも安定したままであるように、加熱中に生じる、基板7、プレート11、又はヒートシンク16の異なる線膨張を隆起部6によって補償できるように、基板7の隆起部6は、基板7及びプレート11又はヒートシンク16の加熱中に水平方向に曲がることができる。
【0038】
図7は、本発明によるパワー半導体モジュール8’のさらなる実施形態を概略断面図の形で示す。本発明によるパワー半導体モジュール8’には、本発明による基板7’が含まれ、基板7’の作製及び構成は、
図3による基板7の作製及び構成に対応するが、
図3とは対照的に、隆起部6’は、冷却フィンガであってそのまわりを、冷却媒体が、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントの冷却のために流れることができる冷却フィンガを形成し、したがって隆起部6’は、基板7’の一体部分であるヒートシンクを本発明に従って形成する。したがって、冷却フィンガは、基板7’と一体的に具体化される。したがって、ヒートシンクへの基板7’の接続は、基板7’に一体化された本発明によるヒートシンクによって不要にすることができる。このように、加熱中に生じる基板及びヒートシンクにおける異なる線膨張は、本発明によるアプローチによって基本的に回避され、したがってそもそも発生しない。
【0039】
冷却フィンガを作製するために、この場合に生じる隆起部6’が、
図3による隆起部6よりかなり大きな高さhを有し、したがって冷却フィンガを形成するように、
図3に示す隆起部6は、レジスト層3がカットアウト13を有する位置で、より長い期間にわたって、及び/又は高電流強度を用いて、第2の金属化層2b上に電気分解によって析出される。隆起部6’は、少なくとも1500μm、特に少なくとも2500μmの高さhを有するのが好ましい。例として、冷却フィンガのまわりを流れる空気、水、又は油は、冷却媒体として働くことができる。
【0040】
絶縁材料本体1の第2の側面15bから離れるように進む隆起部6における側壁17の少なくとも1つは、凸形状を有するのが好ましい。例示的な実施形態の文脈において、隆起部6’は、円形断面エリアを有する。しかしながら、隆起部6’の断面エリアがまた、任意の他の形状、特に細長い形状を有し得ることは言うまでもない。したがって、冷却フィンガはまた、冷却リブの形で存在することができる。したがって、ここで、本発明の趣旨内において、用語冷却フィンガにはまた、用語冷却リブも付随的に含まれることに留意されたい。ここで、断面エリアの面法線の方向は、絶縁材料本体1の第2の側面15bにおける面法線nの方向に対応する(
図3を参照)。隆起部6’は、マトリックス状に配置されるのが好ましい。隆起部6’は、互いに等距離で離間されるように配置されるのが好ましい。本発明によるパワー半導体モジュール8’を作製するために、続いて、さらなる方法ステップには、少なくとも1つのパワー半導体コンポーネントを第1の金属層5に接続することが含まれる。この場合、例示的な実施形態の文脈において、第1の金属層5と共に第1のパワー半導体コンポーネント10a及び第2のパワー半導体コンポーネント10bは、焼結又ははんだ付け層9がパワー半導体コンポーネントと第1の金属層5の間に配置されるように、焼結又ははんだ付け接続によって互いに接続される。ここで、それぞれの焼結層は、少なくとも実質的に銀からなり、それぞれのはんだ付け層は、少なくとも実質的にスズからなる。
【0041】
図8は、本発明によるパワー半導体モジュール8”のさらなる実施形態を概略断面図の形で示す。パワー半導体モジュール8”及び基板7”は、
図7によるパワー半導体モジュール8’及び基板7’にほぼ対応し、基板7”の作製には、隆起部6’を第2の金属化層2bに電気分解によって析出した後で、レジスト層3を除去すること、及び続いて第2の金属層14を隆起部6’に電気分解によって析出することがさらに含まれる。ここで、例示的な実施形態の文脈において、電解析出は、隆起部6’上だけでなく、隆起部6’によって被覆されない、第2の金属化層2bのエリア上でも達成される。第2の金属層14は、1μm〜10μmの厚さを有するのが好ましい。第2の金属層14は、隆起部6’のまわりを流れる冷却媒体との化学反応から隆起部6’を保護する、隆起部6’用の保護層を形成する。第2の金属層14は、ニッケルからなるのが好ましい。なぜなら、特に、冷却媒体として水が使用される場合に、ニッケルは、水との、及び恐らくは水に溶けたガスとの化学反応から隆起部6’を保護するからである。
【0042】
図7及び
図8において、同一の要素は、
図3及び
図4と同じ参照符号を与えられる。
【0043】
ここで、特に焼結接続の場合に、それぞれ接続されるべき2つの要素を接続するプロセスの一部として、接続される2つの要素にはそれぞれ接着接続層を設けることができ、接着接続層は、互いに接続されるように意図された要素の側面において、例えば、少なくとも実質的に銀からなることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 非導電性絶縁材料本体
2a 第1の金属化層
2b 第2の金属化層
3 非導電性レジスト層
4 中断部
5 第1の金属層
6、6’ 隆起部
7、7’、7” 基板
7a 基板ブランク
8、8’、8” パワー半導体モジュール
9 焼結又ははんだ付け層
10a 第1のパワー半導体コンポーネント
10b 第2のパワー半導体コンポーネント
11 プレート
12 焼結又ははんだ付け層
13 カットアウト
14 第2の金属層
15a 第1の側面
15b 第2の側面
16 ヒートシンク
17 側壁
18 冷却フィンガ