特許第6283477号(P6283477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283477
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】アミド成分を含むフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20180208BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/039 601
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-131756(P2013-131756)
(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公開番号】特開2014-16612(P2014-16612A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】61/664,098
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】チュンイ・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ポーラース,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ピー.プロコポビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ミンキ・リー
(72)【発明者】
【氏名】チェン−バイ・スー
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−338678(JP,A)
【文献】 特開2009−144059(JP,A)
【文献】 特開2012−073612(JP,A)
【文献】 特開2003−107705(JP,A)
【文献】 特開平10−182754(JP,A)
【文献】 特開2011−215580(JP,A)
【文献】 特開2011−227454(JP,A)
【文献】 特開2013−178460(JP,A)
【文献】 特開2012−198527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)樹脂、
(b)光酸発生剤化合物、並びに
(c)i)単一のアミド基およびii)2以上のアルコール性のヒドロキシル基を含む非ポリマー型アミド化合物、
を含む[ただし、前記非ポリマー型アミド化合物が2個のアルコール性のヒドロキシル基を含む場合、前記非ポリマー型アミド化合物は、下記式(I):
【化1】
(式中、R2およびR3はそれぞれ独立して、単一のアルコール性のヒドロキシル基を有するアルキル基であり;並びに、R1は水素、または非水素置換基である)の構造を有しない]フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記非ポリマー型アミド化合物が下記式(I):
【化2】
(式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素、または非水素置換基であり;並びに、R1、R2およびR3は全体で2個以上のアルコール性のヒドロキシル基を含む)
の構造に対応する請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
R1が非水素置換基であり、かつR2およびR3の少なくとも1つが非水素置換基である請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
R1が置換されていてもよいアルキルであり、かつR2およびR3が独立して水素または置換されていてもよいアルキルである請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
R1、R2およびR3がそれぞれ同じかまたは異なっている、置換されていてもよいアルキルである請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
1)R1とR2が一緒になって、置換されていてもよいラクタム基を提供し、および/または2)R2とR3が一緒になって環構造を提供する、請求項のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記アミド化合物が3個以上のアルコール性のヒドロキシル基を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記アミド化合物が少なくとも1つの第一級ヒドロキシル基を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記アミド化合物が少なくとも1つの第二級ヒドロキシル基を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記アミド化合物が1以上のシアノ基および/または1以上のカルボキシル基を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
前記フォトレジストが下記化合物
【化3】
の1以上を含む請求項1に記載のフォトレジスト組成物:
【請求項12】
(a)請求項1〜11のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物の塗膜層を基体上に適用し、および
(b)前記フォトレジスト塗膜層をパターン形成された活性化放射線に露光し、そして前記露光されたフォトレジスト層を現像してレリーフ像を提供する、
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項13】
フォトレジスト塗膜層が液浸露光される請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2以上のヒドロキシ基を含むアミド成分を含むフォトレジスト組成物に関する。本発明の好ましいフォトレジストは光酸不安定(photoacid−labile)基を有する樹脂;光酸発生剤化合物;およびフォトレジスト塗膜層の未露光領域への、望まれない光発生酸の拡散を低減させるように機能しうる複数のヒドロキシ基を有するアミド成分を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体に像を転写するための感光膜である。それはネガもしくはポジの像を形成する。基体上にフォトレジストをコーティングした後で、このコーティングはパターン形成されたフォトマスクを通して活性化エネルギー源、例えば、紫外光に露光されて、フォトレジスト塗膜内に潜像を形成する。このフォトマスクは下にある基体に転写されることが望まれる像を画定する活性化放射線に対して不透明な領域および透明な領域を有する。
【0003】
既知のフォトレジストは多くの既存の商業的な用途に充分な解像度およびサイズを有するフィーチャを提供することができる。
【0004】
機能性の性能を向上させるようにフォトレジスト組成物の構成を変えようと様々な試みがなされてきた。とりわけ、フォトレジスト組成物に使用するための様々な塩基性化合物が報告されてきた。例えば、米国特許第6,486,058号、第6,607,870号および第7,379,548号、並びに日本国公開特許第1103086号および第1231538号を参照。並びに米国特許出願公開第2011/0223535号および第2012/0077120号を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,486,058号明細書
【特許文献2】米国特許第6,607,870号明細書
【特許文献3】米国特許第7,379,548号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/0223535号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012/0077120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、多くの他の用途については、サブクオーターミクロン(<0.25μm)寸法の高解像の像を提供できる新たなフォトレジストについての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、樹脂と、光酸発生剤化合物(光酸発生剤、すなわち「PAG」)と、i)アミド基およびii)2以上のヒドロキシル基を含むアミド含有化合物とを含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0008】
好ましいアミド化合物は、フォトレジスト組成物塗膜層のリソグラフィ処理中に光酸拡散制御剤として機能しうる。この拡散制御は、このアミド化合物を含まない他の比較のレジストのレリーフ像と比較して、このアミド化合物を含むレジストの現像されたレリーフ像の向上した解像度によって適切に評価されうる。
【0009】
好ましいアミド化合物は2個より多いヒドロキシル基を、例えば、3、4、5、6個またはそれより多いヒドロキシル基を含むことができる。典型的に好ましいアミド化合物は2、3、または4個のヒドロキシル基を含むことができる。
【0010】
好ましいアミド化合物は、第一級および/または第二級アルコール部分をはじめとする様々な配置でヒドロキシル基置換を含むことができる。第三級ヒドロキシル部分が存在していてもよい。
【0011】
好ましいアミド化合物には、単一のアミド部分(すなわち、全部で1つの1つのアミド部分)を含むものが挙げられる。他のある実施形態においては、フォトレジスト組成物に使用するためのアミド化合物は1つより多いアミド基を含むであろう。
【0012】
好ましいアミド化合物にはカルバマート基を含まないものも挙げられる。追加の好ましいアミド化合物には、光酸不安定基、例えば、光酸不安定エステル、カルバマートおよび/またはアセタール基を含まないものが挙げられる。
【0013】
ある形態においては、本明細書において開示されるフォトレジスト組成物における使用のためのアミド化合物は単一のアミド部分を含んでおり、カルバマート基を含まず、および/または光酸不安定基を含まない。
【0014】
好ましいアミド化合物はヒドロキシルに加えて、他の部分、例えば、ハロ(F、Cl、Brおよび/またはI、特にF);シアノ、カルボキシル(−COOH)、エステル(例えば、−COOR、ここでRはC1−12アルキルである)も含むことができる。光発生酸と複合体を形成できる極性官能基、例えば、シアノおよびカルボキシが多くの場合特に好ましい。
【0015】
ある好ましい形態においては、アミド化合物は下記式Iに対応する:
【化1】
式中、R1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、水素、または非水素置換基であり;並びに、R1、R2およびR3は全体で2個以上のヒドロキシル基を含む。
【0016】
式(I)においては、ある好ましい形態においては、R1は非水素置換基であり、並びにR2およびR3の少なくとも1つは非水素置換基である。別のある好ましい形態においては、R1は場合によって置換されたアルキルであり、並びにR2およびR3は独立して水素または場合によって置換されたアルキルである。さらに別のある好ましい形態においては、R1、R2およびR3はそれぞれ同じかまたは異なる場合によって置換されたアルキルである。さらに好ましい形態においては、R1とR2は一緒になって、場合によって置換されたラクタム基、例えば、4、5、6または7個の環メンバーを有するラクタム基を提供する。なおさらに好ましい形態においては、R2とR3は一緒になって、環構造、例えば、4、5、6または7個の環メンバーを有する環基を提供する。
【0017】
本発明のフォトレジストはポジ型またはネガ型であることができ、好ましくはポジ型である。
【0018】
好ましい形態においては、本発明のフォトレジストは193nmでの像形成のような短波長像形成用途に使用される。
【0019】
特に好ましい本発明のフォトレジストは液浸リソグラフィ用途に使用されうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明者は、本アミド化合物のフォトレジスト組成物、例えば、化学増幅型フォトレジスト組成物における使用がそのレジストのレリーフ像(例えば、微細ライン)の解像度を有意に向上させることができることを見いだした。特に、本発明者は、本明細書において開示されるアミド化合物が、異なる塩基性添加剤を含むこと以外は本発明のフォトレジストと同じである比較のフォトレジストと比べて、有意に向上したリソグラフィ結果をもたらすことを見いだした。本明細書に開示されるアミド化合物の使用はこの化合物を含むフォトレジストに向上した貯蔵寿命ももたらしうる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
フォトレジストに使用するのに好ましい本発明のアミド化合物はポリマー型、または非ポリマー型であることができ、非ポリマー型アミド化合物が多くの用途に好ましい。好ましいアミド化合物は比較的小さな分子量、例えば、3000以下、より好ましくは≦2500、≦2000、≦1500、≦1000、≦800またはさらにより好ましくは≦500の分子量を有する。
【0022】
本明細書において開示されるフォトレジスト組成物における使用に特に好ましいアミド化合物には、以下のものが挙げられる:
【化2】
【0023】
上記式Iを参照すると、適するR1、R2およびR3部分には、H、場合によって置換された(C−C30)アルキル、および場合によって置換された炭素環式アリール、例えば、フェニルから独立して選択されるものが挙げられ、または上述のように、R1とR2、またはR2とR3はそれらが結合している原子と共に一緒になって、場合によって置換された4〜12員の複素環を形成することができる。
【0024】
ある好ましい形態においては、R1、R2およびR3は独立して、Hおよび場合によって置換された(C−C30)アルキルから選択されうる。
【0025】
示されるように、R1、R2およびR3は場合によって置換された部分であり得る。置換される部分は、例えば、カルボキシル(−COH)、カルボキシ(C−C30)アルキル、(C−C30)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトによって1以上の利用可能な位置に適切に置換される。好ましい置換基は、カルボキシル、カルボキシ(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトであり;より好ましくはカルボキシル、カルボキシ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、スルホニル、スルホン酸、スルホン酸エステル、シアノ、ハロおよびケトである。好ましいエステル基(カルボキシアルキル)はカルボキシ(C−C)アルキルである。好ましいアルコキシ基は(C−C)アルコキシ、より好ましくは(C−C)アルコキシである。「置換」とは、アミド化合物の、例えば、炭素原子上の1以上の水素が1以上の上記置換基で置き換えられることを意味する。このような置換基の混合が使用されうる。このような置換基の存在はアミド化合物に所望の溶解度を付与することができ、またはアミド化合物のクエンチング能力を調節するために使用されうる。
【0026】
R1とR2、またはR2とR3がそれらが結合している原子と共に一緒になって、複素環を形成している場合には、それらは単一の複素環、または使用されうる多重環、またはスピロ環を形成しうる。R1とR2、もしくはR1とR3がそれらが結合している原子と共に一緒になる場合には、場合によって置換された4員もしくは5員〜10員環が形成されるのが好ましく、より好ましくは場合によって置換された5員〜8員環、さらにより好ましくは場合によって置換された5員〜6員環である。R1とR2がそれらが結合している原子と共に一緒になって環を形成する場合にはラクタムが形成されることが当業者に認識されるであろう。
【0027】
本発明において有用なアミド化合物は概して商業的に入手可能であり、または容易に合成されうる。
【0028】
好ましくは、本発明のアミド化合物はポジ型もしくはネガ型化学増幅型フォトレジストにおいて、すなわち、光酸促進架橋反応を受けてレジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも現像剤可溶性を低くするネガ型レジスト組成物、および1以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けてレジストの塗膜層の露光領域を未露光領域よりも水性現像剤により可溶性にするポジ型レジスト組成物において使用される。エステルのカルボキシル酸素に共有結合したターシャリー非環式アルキル炭素もしくはターシャリー脂環式炭素を含むエステル基は本発明のフォトレジストにおいて使用される樹脂の一般的に好ましい光酸不安定基である。アセタール基も好適な光酸不安定基である。
【0029】
本発明のフォトレジストは典型的には樹脂バインダー(ポリマー)、光酸発生剤のような光活性成分、および本明細書において開示されるようなアミド化合物を含む。好ましくは、樹脂バインダーはフォトレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーが好ましい。好ましくは、樹脂バインダーはレジスト組成物中にアルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量で使用される。
【0030】
本発明のフォトレジストの好ましい像形成波長にはサブ−300nmの波長、例えば、248nm、およびより好ましくはサブ−200nmの波長、例えば193nmおよびEUVが挙げられる。
【0031】
本発明の特に好ましいフォトレジストは液浸リソグラフィ用途で使用されうる。例えば、好ましい液浸リソグラフィフォトレジストおよび方法の議論については、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズに対する米国特許第7968268号を参照。液浸適用における使用に好ましいフォトレジストは、光酸不安定基を有する主たる樹脂とは別個で(共有結合されておらず)かつ異なる樹脂(これはフッ素化されていてよくおよび/または光酸不安定基を有していてもよい)を含むことができる。よって、本発明には、好ましい形態において、1)光酸不安定基を有する第1の樹脂;2)1種以上の光酸発生剤化合物;3)前記第1の樹脂とは別個でかつ異なる第2の樹脂、当該第2の樹脂はフッ素化されていてよくおよび/または光酸酸基を有していてよい;並びに、4)本明細書において開示されるような1種以上のアミド化合物:を含むフォトレジストが挙げられる。
【0032】
本発明の特に好ましいフォトレジストは像形成有効量の1種以上のPAGおよび本明細書に開示されるような1種以上のアミド化合物、並びに以下の群から選択される樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよび(メタ)アクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合された(メタ)アクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的な(メタ)アクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式(メタ)アクリラートが挙げられ、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号(参照により本明細書に組み込まれる)におけるポリマーである:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されており、ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まないビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののような(メタ)アクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたポリマー:並びに、iii)光酸と反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;
【0033】
2)サブ−200nmの波長、例えば、193nmで像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニル基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号に記載されたポリマー:ii)(メタ)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式(メタ)アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号に記載されている。この種のポリマーは好ましい形態においては、ヒドロキシナフチルのような特定の芳香族基を含むことができる。
【0034】
サブ−200nm、例えば、193nmで像形成されるフォトレジストにおける使用に好ましい樹脂は次の一般式(I)、(II)および(III)の2種以上の単位を含む:
【化3】
式中、R、RおよびRはそれぞれ、場合によって置換された(C−C30)アルキル基であり;R、RおよびRは結合して環を形成していてよく;Rは(C−C)アルキレン基であり;Lはラクトン基であり;並びにR、RおよびRはそれぞれ、水素、フッ素、(C−C)アルキルおよび(C−C)フルオロアルキルである。
【0035】
一般式(I)の単位は、活性化放射線への露光および熱処理により光酸促進脱保護反応を受ける酸不安定基を含む。これはマトリックスポリマーの極性を切り替えて、有機現像剤中でのポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶解度の変化をもたらすことを可能にする。式(I)の単位を形成するのに好適なモノマーには、例えば、以下のものが挙げられる:
【化4】
【0036】
一般式(II)の単位はマトリックスポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するのに有効なラクトン部分を含む。一般式(II)の単位を形成するのに好適なモノマーには、例えば、以下のものが挙げられる:
【化5】
【0037】
式(III)の単位は極性基を提供し、この極性基は樹脂およびフォトレジスト組成物のエッチング耐性を高め、かつ樹脂およびフォトレジスト組成物の溶解速度を制御するための追加の手段を提供する。式(III)の単位を形成するためのモノマーには、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(HAMA)および好ましくは、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(HADA)が挙げられる。
【0038】
樹脂は、第1の単位とは異なる、一般式(I)、(II)および/または(III)の1種以上の追加の単位を含むことができる。追加のこのような単位が樹脂中に存在する場合には、その単位は好ましくは式(I)の追加の脱離基含有単位および/または式(II)のラクトン含有単位を含むことができる。
【0039】
上記重合単位に加えて、樹脂は、一般式(I)、(II)もしくは(III)のものではない1種以上の追加の単位を含むことができる。例えば、特に好適なラクトン基含有単位は以下の一般式(IV)のものである:
【化6】
式中、Lはラクトン基であり;一般式(IV)の単位は一般式(II)の単位とは異なる。以下の典型的なモノマーは一般式(IV)の追加のラクトン単位の形成に使用するのに好適である。
【化7】
【0040】
好ましくは、一般式(II)の単位におけるL、および一般式(IV)の単位におけるLは以下のラクトン基から独立して選択される:
【化8】
【0041】
典型的には、この樹脂のための追加の単位は、一般式(I)、(II)もしくは(III)の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じかもしくは類似の重合性基を含むことができるが、同じポリマー骨格中に、場合によって置換されたノルボルネンのような非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)もしくはビニルの重合単位を含むもののような別の異なる重合性基を含むこともできる。サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成については、樹脂は典型的にはフェニル、ベンジルもしくは他の芳香族基(このような基は放射線を高度に吸収する)を実質的に(すなわち、15モル%未満しか)含まない。ポリマーに好適な追加のモノマー単位には、例えば、以下のものの1種以上が挙げられる:エーテル、ラクトンもしくはエステルを含むモノマー単位、例えば、2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4,10−ジオキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルオキシカルボニルメチルエステル、アクリル酸3−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル、2−メチル−アクリル酸5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、および2−メチル−アクリル酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;極性基を有するモノマー単位、例えば、アルコールおよびフッ素化アルコール、例えば、2−メチル−アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸2−ヒドロキシ−エチルエステル、6−ビニル−ナフタレン−2−オール、2−メチル−アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、2−メチル−アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−プロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル、および2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン−2−オール;ポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した酸不安定部分、例えば、t−ブチルのようなターシャリー非環式アルキル炭素、またはメチルアダマンチルもしくはエチルフェンキルのようなターシャリー脂環式炭素を含むエステル基を有するモノマー単位、2−メチル−アクリル酸2−(1−エトキシ−エトキシ)−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−エトキシメトキシ−エチルエステル、2−メチル−アクリル酸2−メトキシメトキシ−エチルエステル、2−(1−エトキシ−エトキシ)−6−ビニル−ナフタレン、2−エトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン、および2−メトキシメトキシ−6−ビニル−ナフタレン。使用される場合には、追加の単位は典型的には10〜30モル%の量でポリマー中に存在する。
【0042】
典型的に好ましい樹脂には、例えば、以下のものが挙げられる:
【化9】
式中、0.3<a<0.7;0.3<b<0.6;および0.1<c<0.3である;
【化10】
式中、0.3<a<0.7;0.1<b<0.4;0.1<c<0.4;および0.1<d<0.3である;
【0043】
2種以上の樹脂のブレンドが本発明の組成物において使用されうる。樹脂は所望の厚さの均一な塗膜を得るのに充分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、樹脂はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして70〜95重量%の量で組成物中に存在する。有機現像剤中での樹脂の向上した溶解特性のせいで、樹脂に有用な分子量はより小さな値に限定されず、非常に広範囲をカバーする。例えば、ポリマーの重量平均分子量Mは典型的には100,000未満、例えば、5000〜50,000、より典型的には6000〜30,000、または7,000〜25,000である。
【0044】
樹脂を形成するのに使用される好適なモノマーは市販されておりおよび/または既知の方法を用いて合成されうる。樹脂は既知の方法および他の市販の出発材料を用いて、このモノマーを使用して、当業者によって容易に合成されうる。
【0045】
本発明のフォトレジストは単一種のPAGまたは異なるPAGの混合物、典型的には2もしくは3種の異なるPAGの混合物、より典型的には合計2種類の異なるPAGからなる混合物を含むこともできる。フォトレジスト組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層内に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光酸発生剤(PAG)を含む。例えば、光酸発生剤はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして1〜20重量%の量で好適に存在しうる。典型的には、化学増幅型ではない物質と比較して、より少ない量のPAGが化学増幅型レジストのためには好適であろう。
【0046】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
【0047】
本発明のフォトレジストは、本明細書に開示される様な複数のヒドロキシル基を有するアミド化合物の1種以上を広範囲の量で、例えば、PAGの重量を基準にして0.005〜15重量%、好ましくは0.01〜15重量%、さらにより好ましくは0.01〜10重量%で含む。添加される複数のヒドロキシル基を有するアミド成分は、PAGに対して0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5もしくは1から10もしくは15重量%の量で好適に、より典型的には0.01、0.05、0.1、0.02、0.3、0.4、0.5もしくは1から5、6、7、8、9もしくは10重量パーセントの量で使用される。
【0048】
本発明のフォトレジスト組成物は典型的には溶媒を含む。好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸メチルおよび乳酸エチル;プロピオン酸エステル、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナート、およびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。溶媒のブレンド、例えば、上述の溶媒の2種類、3種類もしくはそれより多い種類のブレンドも好適である。溶媒はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0049】
フォトレジスト組成物は他の任意物質を含むこともできる。例えば、組成物は化学線およびコントラスト染料(actinic and contrast dyes)、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤などの1種以上を含むことができる。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在する。
【0050】
本発明のフォトレジストは概して既知の手順に従って製造される。例えば、本発明のフォトレジスト組成物はフォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解させることによって製造されうる。本発明のフォトレジストの樹脂バインダー成分は典型的には露光されたレジストの塗膜層をアルカリ水溶液などで現像可能にするのに充分な量で使用される。より具体的には、樹脂バインダーはレジストの全固形分の50〜90重量パーセントを好適に構成しうる。光活性成分はレジストの塗膜層内における潜像の発生を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より具体的には、光活性成分はフォトレジストの全固形分の1〜40重量パーセントの量で好適に存在することができる。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストに好適であろう。
【0051】
本発明のフォトレジスト組成物の望まれる全固形分量は、組成物中の具体的なポリマー、最終層厚さおよび露光波長などの要因に応じて変化しうる。典型的には、フォトレジストの固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変化する。
【0052】
本発明の好ましいネガ型組成物は酸への曝露の際に硬化、架橋または固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に好ましいネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号、並びに米国特許第5,128,232号(Thackerayら)に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系樹脂には、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば、上述したものが挙げられる。好ましい架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質、および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的に最も好ましい。このような架橋剤は市販されており、例えば、メラミン樹脂はサイメル(Cymel)300、301および303の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されている。グリコールウリル樹脂はサイメル1170、1171、1172の商品名でアメリカンシアナミドによって販売されており;尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で販売されており;並びに、ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。
【0053】
本発明のフォトレジストは既知の手順に従って使用されうる。本発明のフォトレジストはドライフィルムとして適用されうるが、本発明のフォトレジストは好ましくは液体コーティング組成物として基体上に適用され、加熱により乾燥させられ、好ましくは塗膜層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去し、フォトマスクを通して活性化放射線に露光され、場合によっては露光後ベークされて、レジスト塗膜層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出すかまたは大きくし、次いで、好ましくは水性アルカリ現像剤で現像されてレリーフ像を形成する。本発明のレジストが適用され好適に処理される基体は、マイクロエレクトロニクスウェハのような、フォトレジストを伴うプロセスに使用されるあらゆる基体であり得る。例えば、基体は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハでありうる。ガリウムヒ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイおよび他のフラットパネルディスプレイ用途に使用される基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物コーティング基体なども好適に使用される。液体コーティングレジスト組成物はスピニング、ディッピング、またはローラーコーティングのようなあらゆる標準的な手段で適用されうる。
【0054】
露光エネルギーは、感放射線システムの光活性成分を効果的に活性化して、レジスト塗膜層にパターン形成された像を生じさせるのに充分であるべきである。好適な露光エネルギーは典型的には1〜300mJ/cmの範囲である。上述のように、好ましい露光波長には、サブ200nm、例えば、193nmが挙げられる。
【0055】
フォトレジスト層は(存在する場合には、上塗りバリア組成物層と共に)好ましくは液浸リソグラフィシステム(すなわち、露光ツール(特に投影レンズ)と基体をコーティングするフォトレジストとの間の空間が液浸流体、例えば、水または1種以上の添加剤、例えば、向上した屈折率の流体を提供できる硫酸セシウムと混合された水で占有されている)において露光されうる。好ましくは、液浸流体(例えば、水)は気泡を回避するために処理されており、例えば、水はナノバブルを回避するために脱ガスされうる。
【0056】
本明細書において「液浸露光」または他の類似の用語についての言及は、露光が、露光ツールと、被覆されたフォトレジスト組成物層との間に挿入されるこのような流体層(例えば、水もしくは添加剤を含む水)を用いて行われることを示す。
【0057】
露光後に、化学増幅型フォトレジストについては典型的には熱処理が使用される。好適な露光後ベーク温度は約50℃以上、より具体的には50〜140℃である。酸硬化性ネガ型レジストについては、望まれる場合には、現像により形成されたレリーフ像をさらに硬化させるために100〜150℃の温度で数分間、またはそれより長く現像後ベークが使用されうる。現像および何らかの現像後硬化の後で、現像によって露出させられた基体表面は、次いで、選択的に処理されることができ、例えば、フォトレジストが除かれた基体領域を、当該技術分野で知られている手順に従って化学エッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングが挙げられる。
【0058】
本発明は、サブクオーターμm寸法またはそれより小さい、例えば、サブ−0.2、またはサブ−0.1μm寸法の高解像のパターン形成されたフォトレジスト像(例えば、本質的に垂直の側壁を有するパターン形成されたライン)を形成する方法をはじめとする、本発明のフォトレジストのレリーフ像を形成する方法も提供する。
【0059】
本発明は、本発明のレリーフ像およびフォトレジストを基体上にコーティングしたフラットパネルディスプレイ基体もしくはマイクロエレクトロニクスウェハのような基体を含む製造物品をさらに提供する。
【実施例】
【0060】
実施例1および2、並びに比較例1および2:フォトレジスト調製およびリソグラフィ処理
以下の表1に示される成分を使用して、4つのフォトレジストが配合された:重量パーセントは100%固形分量を基準にし、固形分の残部はポリマーである。
【0061】
【表1】
【0062】
ポリマー1:IAM/ECPMA/ODOTMA/a/HAMA(20/20/30/20/10)および8000のMwを有する。
【化11】
【0063】
PAG1:トリフェニルスルホニウム1’−アダマンタンメトキシカルボニル−2,2−ジフルオロメタンスルホナート
【化12】
【0064】
比較塩基1:N,N−ジエチル−3−オキソブタンアミド
【化13】
【0065】
比較塩基2:N−t−ブチルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
【化14】
【0066】
塩基8:N−(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−プロパン−2−イル)ペンタンアミド
塩基17:2,4−ジヒドロキシ−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3,3−ジメチルブタンアミド
表面レベリング剤(SLA):フッ素化(PF656)
【0067】
リソグラフィ方法および結果
配合されたフォトレジストはTEL ACT−8(東京エレクトロン)コーティングトラックを用いて、下部反射防止塗膜(BARC)(AR(商標)77、ダウエレクトロニックマテリアルズ)を有する200mmシリコンウェハ上にスピンコートされ、そして110℃で60秒間にわたってソフトベークされて、約100nmの厚さのレジスト膜を形成した。このフォトレジスト層は90nmの1:1ライン/スペースパターンのPSMフィーチャサイズを有するフォトマスクを通して、193nmで、フォーカスオフセット/ステップ0.10/0.05の0.89/0.64のアウター/インナーシグマの環状照明(Annular illumination)下で操作したASML/1100、0.75NAステッパを用いて露光された。この露光されたウェハは100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)された。このコーティングされたウェハは次いで、このフォトレジスト層を現像するために、金属イオンを含まない塩基現像剤(0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)を用いて処理された。日立9380CD−SEMを用いた、800ボルト(V)の加速電圧、8.0ピコアンペア(pA)のプローブ電流で操作し、200Kx倍率を用いたトップダウン走査型電子顕微鏡観察(SEM)によって捕捉された像を処理することにより、ライン幅ラフネス(LWR)が決定された。LWRは40nmのステップで2μmのライン長さにわたって測定され、そして測定された領域の平均として報告された。結果は以下の表2に示される。
【0068】
【表2】
【0069】
表2においては、Eo(エネルギーツークリア(Energy to clear))はバルク膜を除去するのに必要な193nmの放射線のmJ/cm単位での露光線量である。
表2においては、LWR(ライン幅ラフネス)は空間周波数の範囲にわたる長さ幅として定義される。LWR値が低いほど、ラインがより滑らかである。
【0070】
上記データから認められうるように、本発明の複数のヒドロキシル基を有するアミド化合物は、複数のヒドロキシル基を含まない他のアミド化合物と比較して、向上したリソグラフィ性能を提供する。