(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに前記レンズの光軸方向であるZ軸方向に移動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーをZ軸方向に駆動する電磁駆動手段と、を備えたレンズ駆動装置であって、
前記バネ部材は、
前記レンズホルダー側に取付けられる環状の内側保持部と、
前記ケース側に取付けられる環状の外側保持部と、
前記内側保持部と前記外側保持部との間に位置し、前記内側保持部及び外側保持部に沿って周方向に延長する複数の腕部と、
前記腕部の一端から前記内側保持部に延長し、前記内側保持部に対して、当該内側保持部の一部に形成され、他部の幅よりも狭く形成された第1のくびれ部を介して連結された内側連結部と、
前記腕部の他端から前記外側保持部に延長し、前記外側保持部に対して、当該外側保持部の一部に形成され、他部の幅よりも狭く形成された第2のくびれ部を介して連結された外側連結部と、
を備え、
前記電磁駆動手段が稼働する前の状態である初期状態において被写体側とは反対側であるZ軸後方に付勢されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記レンズホルダーにおける前記第1のくびれ部との当接箇所、又は前記ケースにおける前記第2のくびれ部との当接箇所にZ軸方向に窪む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記第1のくびれ部及び前記第2のくびれ部又はこれらのうちのいずれかのくびれ部と、前記当接箇所とが液状封止材により覆われて固着されていることを特徴とする請求項5に記載のレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のボイスコイルモータ型のレンズ駆動装置50の一例を示す断面図である。レンズ駆動装置50は、レンズ51を保持するレンズホルダー52が、それぞれ略同一構造の前側バネ部材56A及び後側バネ部材56Bよりなるバネ部材56でケース53に懸架される。また、レンズ51の光軸であるZ軸周りに巻き回された駆動用コイル54がレンズホルダー52に装着され、レンズホルダー52の軸線に対して放射方向に着磁されて円筒状に配置された磁石からなる駆動用磁石55がケース53に装着される。駆動用コイル54に通電した場合、駆動用コイル54には、同図の矢印で示す被写体方向(以下、Z軸前方,+Z方向または+Z側ともいう)にローレンツ力が発生し、レンズホルダー52がバネ部材56の復元力と釣り合った位置に移動するので、レンズ51を所定の位置に移動させることができる。
ここで、ケース53は、中央部に開口部53hが形成された円盤状の底板53aと、底板53aの外縁部から+Z方向に立設される円筒状の側壁53bと、開口部53hの内縁部からレンズホルダー52側に突出し、駆動用コイル54に通電されていないときのレンズホルダー52の位置を最後方位置に規制する円環状の規制部53cとを備える。また、同図の磁気ヨーク57は、駆動用磁石55からの磁界を駆動用コイル54に有効に導くために設けられた断面視L字状の部材であって、垂直片となる円筒部57aが駆動用磁石55とケース53の側壁53bとの間に配置され、水平片となる円環部57bが駆動用磁石55の+Z側に配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12(a),(b)は、従来のバネ部材56の一構成例を示す図である。バネ部材56は、レンズホルダー52側に取付けられる円環状の内側保持部56aと、ケース53側に取付けられる外側保持部56bと、内側保持部56a及び外側保持部56bの間に配置される複数の腕部56cと、内側保持部56a及び腕部56cの一方の端部を連結する内側連結部56mと、外側保持部56b及び腕部56cの他方の端部を連結する外側連結部56nとを備える。各腕部56cは、被写体側(+Z方向)から見た時に、内側保持部56aから内側連結部56mを介して周方向左回り(もしくは、右回り)に延長して、外側連結部56nを介して外側保持部56bと接続される。これらの腕部56cは、レンズホルダー52をケース53に懸架するバネとして機能する。
【0004】
ところで、このレンズ駆動装置50の組立は以下に説明するような方法で行われる。すなわち、
図13(a)に示すように、後側バネ部材56Bの内側保持部56aをレンズホルダー52の−Z側の端部に接続,固定した後、後側バネ部材56Bの外側保持部56bをケース53の底板53aの+Z側の面に治具等により押し付けてオフセットを加えながら、ケース53に対して接続,固定する。
次に、
図13(b)に示すように、後側バネ部材56Bの外側保持部56bをスペーサ58により+Z側から覆い、このスペーサ58上に磁気ヨーク57と駆動用磁石55とを積み上げてから、前側バネ部材56Aの内側保持部56aをレンズホルダー52の+Z側の端部に接続,固定する。
最後に、
図13(c)に示すように、前側バネ部材56Aの外側保持部56bを磁気ヨーク57の円環部57bの+Z側の面に図示しない治具等により押し付けてオフセットを加えながら、ケース53に接続,固定する。
以上のような組立方法においては、内側保持部56aと外側保持部56bとにオフセットを加えずにバネ部材56の内側保持部56aをレンズホルダー52に対し同一平面上で接続,固定した後に、外側保持部56bを−Z側にオフセットを加えた状態でケース53や磁気ヨーク57に対して接続,固定する。
これにより、レンズホルダー52は、バネ部材56の復元力によって常に+Z方向と反対方向の−Z方向に付勢されるので、レンズ駆動装置50の光軸方向を鉛直線方向に対して傾けた場合でも、レンズホルダー52を安定して最後方位置に保持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図12(a)において白抜きの矢印G51で示すように、例えばバネ部材56が前側バネ部材56Aであれば、内側保持部56aには−Z方向の押圧力を+Z方向から加えながら、後側バネ部材56Bであれば、内側保持部56aには+Z方向の押圧力を−Z方向から加えながら、レンズホルダー52に取付ける必要がある。このため、バネ部材56の内側保持部56aをレンズホルダー52に接続,固定する際には、内側連結部56mの根元を避けた狭い範囲で内側保持部56aに押圧力を加えなければならない。これは、内側連結部56mの根元に押圧力を加えると、内側連結部56mが大きく捩じれたり撓んだりしてしまうからである。
しかしながら、
図12(b)に模式的に示すように、内側連結部56mの根元への押圧力の印加を避けただけでは内側連結部56mの捩じれや撓みを効果的に抑制することができず、内側保持部56aの根元以外の円弧部分がX,Y平面方向に湾曲,変形することにより、外側保持部56bが矢印Rで示すように回転して内側保持部56aに対して傾いた状態になる。このため、内側保持部56aはZ軸方向を法線方向とするのに対して、外側保持部56bはZ軸方向から回転により傾いた状態、すなわち外側保持部56bはZ軸方向から捩じれたZr軸方向を法線方向とすることになってしまう。
また、
図12(a)の黒塗りの矢印G52で示すように、外側保持部56bをケース53側にオフセットを加えながら接続するときには、オフセットを加えることにより腕部56cに+Z方向の復元力が生じて外側連結部56nが+Z側に浮き上がり易いため、外側連結部56nの根元を除く外側保持部56bの円環部の広い範囲を押圧して接続,固定する必要がある。このため、外側保持部56bの円環部が外側連結部56nの根元近傍において大きく撓んでしまい、外側連結部56nが捩じれて、上述したような外側保持部56bのZ軸方向に対する捩じれが拡大する。
【0007】
ここで、
図14(a),(b)を用いて、内側保持部56aや外側保持部56bを押圧したときに、当該内側保持部56aや外側保持部56bがX,Y平面方向に湾曲,変形する原因について詳説する。
図14(a)に示すように、例えば後側バネ部材56Bの内側保持部56aに+Z方向の押圧力を加えてレンズホルダー52に接続,固定する場合、レンズホルダー52の−Z方向の端部の後方に後側バネ部材56Bを配置し、内側押圧治具J51により内側保持部56aに矢印G51で示すような+Z方向の押圧力を−Z側から印加する。
レンズホルダー52やケース53は、液晶ポリマーやナイロン等の樹脂材料を成型したものより成り、表面には微細な凹凸があって軟らかい。また、バネ部材56は、数10〜100マイクロメートル程度の厚さに形成されており、変形し易い。これに対し、内側押圧治具J51は、耐久性維持のために鋼材等の硬い素材より成るものが用いられる。このことから、軟質のレンズホルダー52やケース53と、硬質の内側押圧治具J51との間に介在するバネ部材56は、内側押圧治具J51の僅かな荷重で変形してしまう。
このため、
図14(b)に示すように、内側保持部56aは、内側押圧治具J51により押圧力を加えて内側保持部56aをレンズホルダー52の−Z側の端部に密着させると、レンズホルダー52の表面の凹凸形状に沿って変形したり、内側押圧治具J51によってレンズホルダー52と共に凹んだりして、X,Y平面方向に湾曲する。その結果、内側保持部56aに連結された内側連結部56mが捩じれて腕部56cが傾き、X,Y平面方向に湾曲,変形するようになってしまう。
【0008】
また、外側保持部56bをケース53の底板53aの+Z側の面に接続する場合には、外側保持部56bを−Z方向にオフセットを加えながら接続するため、腕部56cに+Z方向の復元力が生じることにより外側保持部56bが外側連結部56nと共に浮き上がり易い。このため、
図14(c)に示すように、外側保持部56bの広い範囲を押圧する必要があるが、外側連結部56nの根元がケース53の凹凸形状に沿って変形したり、外側押圧治具J52のエッジ部に応力が集中することによって外側連結部56nの根元付近が大きく変形したりして、外側連結部56nが捩じれる結果、外側保持部56bの内側保持部56aに対する捩じれが拡大してしまう。また、前側バネ部材56Aの内側保持部56aをレンズホルダー52の+Z側の端部に接続する場合や、外側保持部56bを磁気ヨーク57の+Z側の面に接続する場合にも、後側バネ部材56Bを接続,固定する場合と同様の問題が発生する。
上記のように、外側保持部56bが内側保持部56aに対して捩じれ,傾きが生じた状態のままバネ部材56がレンズ駆動装置50に組み付けられ、完成したレンズ駆動装置50の駆動用コイル54に通電した場合、レンズホルダー52が本来のZ軸に対して僅かに傾斜した状態となりレンズ51の光軸が傾くことから、レンズホルダー52がZ軸前方(+Z方向)へと移動を開始する時に、レンズ駆動装置50にチルトが発生してしまうといった問題があった。
【0009】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、レンズホルダーの移動開始時に発生するチルトを低減することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、レンズを保持するレンズホルダーと、ケースと、前記レンズホルダーを前記ケースに前記レンズの光軸方向であるZ軸方向に移動可能に懸架支持するバネ部材と、前記レンズホルダーをZ軸方向に駆動する電磁駆動手段とを備えたレンズ駆動装置であって、バネ部材は、レンズホルダー側に取付けられる環状の内側保持部と、ケース側に取付けられる環状の外側保持部と、内側保持部と外側保持部との間に位置し、内側保持部及び外側保持部に沿って周方向に延長する複数の腕部と、腕部の一端から内側保持部に延長し、内側保持部に対して、
当該内側保持部の一部に形成され、他部の幅よりも狭く形成された第1のくびれ部を介して連結された内側連結部と、腕部の他端から外側保持部に延長し、外側保持部に対して、
当該外側保持部の一部に形成され、他部の幅よりも狭く形成された第2のくびれ部を介して連結された外側連結部とを備え、電磁駆動手段が稼働する前の状態である初期状態において被写体側とは反対側であるZ軸後方に付勢されていることを特徴とするものである。
上記レンズ駆動装置によれば、バネ部材の保持部がX,Y平面方向に湾曲,変形して発生する応力をくびれ部の変形によって吸収できるので、当該くびれ部の変形による応力が各連結部に伝わらなくなって、内側連結部や外側連結部の捩じれを抑制することができる。これにより、腕部に加わる不要な応力を低減することができるので、バネ部材の各腕部がZ軸方向後方に向かって均等な復元力を有する状態、すなわち、各腕部に均等なプリロード(予圧)がかかった状態とすることができる。したがって、バネ部材にオフセットを付加した構成のレンズ駆動装置において、移動開始時に生じ易いレンズホルダーのチルトを確実に低減できるので、レンズホルダーを安定して被写体方向に移動させることができる。
【0011】
また、本願発明は、
第1のくびれ部が蛇行形状を成していることを特徴とする。このように、くびれ部を蛇行形状にすれば、レンズホルダーの移動開始時に生じるチルトを効果的に低減することができる。
【0012】
また、本願発明は、
第2のくびれ部が
外側保持部の周方向に沿った弧状を成していることを特徴とする。このように、くびれ部を
弧状にすれば、レンズホルダーの移動開始時に生じるチルトを効果的に低減することができる。
【0013】
また、本願発明は、
第1のくびれ部
及び第2のくびれ部の幅が
腕部の幅よりも狭いことを特徴とする。このように、くびれ部の幅を腕部の
幅よりも狭くすれば、レンズホルダーの移動開始時に生じるチルトをより効果的に低減することができる。
【0014】
また、本願発明は、
レンズホルダーにおける第1のくびれ部との当接箇所、又はケースにおける第2のくびれ部との当接箇所に
Z方向に窪む凹部が形成されていることを特徴とする。これにより、くびれ部を拘束することなく自由に変形した状態にすることができるので、バネ部材を、各腕部に均等なプリロードがかかった状態で接続することができる。したがって、レンズホルダーの移動開始時に生じるチルトを更に低減することができる。
【0015】
また、本願発明は、
第1のくびれ部及び第2のくびれ部又はこれらのうちのいずれかのくびれ部と、当接箇所とが液状封止材により覆われて固着されていることを特徴とする。これにより、くびれ部を拘束することなく自由に変形した状態でくびれ部に連結した連結部を固着できるので、バネ部材を、各腕部に均等なプリロードがかかった状態で固定することができる。したがって、レンズホルダーの移動開始時に生じるチルトを更に低減することができる。
【0016】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置10の構成を示す図である。
レンズ駆動装置10は、レンズ11を保持するレンズホルダー12と、ケース13と、駆動用コイル14と、駆動用磁石15と、前側バネ部材16Aと、後側バネ部材16Bと、磁気ヨーク17と、スペーサ18とを備える。
以下、本明細書においては、レンズ11の光軸方向をZ軸方向とし、被写体側をZ軸前方(+Z側または+Z方向)とする。また、互いに直交し、Z軸に直交する軸をそれぞれX軸及びY軸とする。
【0020】
レンズホルダー12は、液晶ポリマーやナイロン等の樹脂材料より成り、内側に対物レンズや接眼レンズの組み合わせから成るレンズ11を保持する円筒状の部材であり、その外周側面には駆動用コイル14が装着される。
ケース13は、液晶ポリマーやナイロン等の樹脂材料より成り、レンズホルダー12の外側に、レンズホルダー12を囲むように配置される。ケース13は、中央部に開口部13hが形成された円盤状の底板13aと、底板13aの外縁部から+Z方向に向かって立設される円筒状の側壁13bと、開口部13hの内縁部からレンズホルダー12側に突出して駆動用コイル14が通電されていないときの位置が最後方位置となるようにレンズホルダー12の位置を規制する円環状の規制部13cとを備える。
【0021】
駆動用コイル14は、レンズホルダー12の外周にZ軸周りに被覆銅線が巻き回されて形成されたコイルであって、+Z側から見たときの外形はレンズホルダー12と同じ円筒状である。
駆動用磁石15は、径方向に着磁された円弧状の複数の磁石をZ軸周りに円筒状に配置した部品である。駆動用磁石15は、ケース13の側壁13bの内周面側に駆動用コイル14と所定の空隙を隔てて取り付けられ、駆動用コイル14に向かって放射状に磁界が生じる。本例における駆動用磁石15の着磁方向は、レンズホルダー12側がN極となるように着磁した。これら駆動用コイル14と駆動用磁石15とにより、電磁駆動手段が構成される。
【0022】
磁気ヨーク17は、軟鉄等の磁性体から成る断面がL字型の筒状の部品である。磁気ヨーク17は、駆動用磁石15とケース13の側壁13bとの間に配置され、断面視した時に垂直片となる円筒部17aと、駆動用磁石15の+Z側に位置し、断面視した時に水平片となる円環部17bとから構成される。
スペーサ18は、ケース13の側壁13bの内側で底板13aの+Z側に設けられた円筒状の樹脂より成る部材であり、磁気ヨーク17の円筒部17aを−Z側から支持する。
【0023】
前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bは、銅,ニッケル,錫等の合金もしくは金属から成る円環状の板バネであって、円弧状の切り欠きを有する。なお、以下の説明においては、前側バネ部材16Aと後側バネ部材16Bとは略同一構造であるので、前側バネ部材16Aと後側バネ部材16Bとの区別を必要としない場合には、前側バネ部材16Aと後側バネ部材16Bとを単に「バネ部材16」と称することもある。
【0024】
図2に示すように、バネ部材16は、レンズホルダー12に取付けられる円環状の内側保持部16aと、ケース13に取付けられる円環状の外側保持部16bと、周方向に延長して内側保持部16aと外側保持部16bとを連結する略円弧状の4本の腕部16cと、内側保持部16aから径方向外側にある腕部16cに向けて延長して腕部16cの一方の端部と内側保持部16aとを連結する内側連結部16mと、外側保持部16bから径方向内側にある腕部16cに向けて延長して腕部16cの他方の端部と外側保持部16bとを連結する外側連結部16nと、内側保持部16aに形成された蛇行状くびれ部16dと、外側保持部16bに形成された直進状くびれ部16eとを備える。
【0025】
蛇行状くびれ部16dは、腕部16cの幅(X,Y方向の寸法)よりも狭い幅を有し、径方向に沿ってコ字状に繰り返し蛇行しながら周方向に延長している部分である。蛇行状くびれ部16dは、内側連結部16mにおける径方向内側の根元の両側にそれぞれ設けられ、内側保持部16aと内側連結部16mとを連結する。
直進状くびれ部16eは、腕部16cの幅(X,Y方向の寸法)よりも狭い幅を有して周方向に延長している部分である。直進状くびれ部16eは、外側連結部16nにおける径方向外側の根元の両側にそれぞれ設けられ、外側保持部16bと外側連結部16nとを連結する。
【0026】
図1に示すように、前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bからなるバネ部材16は、駆動用コイル14に通電する前の状態(初期状態)において、レンズホルダー12とケース13とに架け渡され、被写体側とは反対側の−Z方向に付勢された状態で取付けられる。
【0027】
図1に示すレンズ駆動装置10のように、前側バネ部材16Aの内周面側に位置する内側保持部16aをレンズホルダー12の+Z側の面に固定し、前側バネ部材16Aの外周面側に位置する外側保持部16bを磁気ヨーク17の円環部17bの+Z側の面に固定し、後側バネ部材16Bの内周面側に位置する内側保持部16aをレンズホルダー12の−Z側の面に固定し、前側バネ部材16Aの外周面側に位置する外側保持部16bをケース13の底板13aの+Z側の面に固定した場合には、従来技術で説明したものと同様の組立方法によりバネ部材16を装着することで、前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bにオフセットを付与することができる。これにより、バネ部材16の各腕部16cは、レンズホルダー12をケース13に懸架するバネとして機能する。
【0028】
図3を用いて、レンズ駆動装置10の組み立て方法について説明する。
同図に示すように、レンズホルダー12の−Z側の端部に後側バネ部材16Bの内側保持部16aを接続,固定した後、ケース13の底板13aの+Z側の面に後側バネ部材16Bの外側保持部16bを押し付けながらケース13に接続,固定する。
次に、後側バネ部材16Bの外側保持部16bをスペーサ18により+Z側から覆い、このスペーサ18上に磁気ヨーク17と駆動用磁石15とを積み上げてから、レンズホルダー12の+Z側の端部に前側バネ部材16Aの内側保持部16aを接続,固定する。なお、駆動用磁石15を磁気ヨーク17の円筒部17aに取付けてから、スペーサ18上に駆動用磁石15と一体化された磁気ヨーク17を取付けてもよい。
また、前側バネ部材16Aの外側保持部16bを、磁気ヨーク17の円環部17bの+Z側の面に、治具等により押し付けて固定することで、前側バネ部材16Aをケース13に対して接続,固定する。前記の組立方法で説明したように、内側保持部16aをレンズホルダー12側に接続,固定する工程では、前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bのいずれの場合も、オフセットを加えることなく内側保持部16aと外側保持部16bとが一時的に同一平面上に保持された状態でレンズホルダー12に接続,固定される。
【0029】
次に、
図3に示すように、内側保持部16aの蛇行状くびれ部16dの形成されていない範囲に白抜きの矢印G11で示す押圧力を加える。具体的には、後側バネ部材16Bの内側保持部16aの蛇行状くびれ部16dが形成されていない領域に−Z側から矢印G11で示す+Z方向への押圧力を加えてレンズホルダー12の−Z側の端部に接続,固定する。前側バネ部材16Aの内側保持部16aの蛇行状くびれ部16dが形成されていない領域に+Z側から矢印G11で示す−Z方向への押圧を加えてレンズホルダー12の+Z側の端部に接続,固定する。
【0030】
また、外側保持部16bをケース13側に接続,固定する工程では、前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bのいずれの場合も、外側保持部16bの直進状くびれ部16eが形成されていない範囲に黒塗りの矢印G12で示す押圧力を加えて、−Z方向にオフセットを与えた状態でケース13側に接続,固定する。具体的には、後側バネ部材16Bの外側保持部16bの直進状くびれ部16eが形成されていない領域に+Z側から矢印G12で示す−Z方向の押圧力を加えてケース13の底板13aの+Z側の面に接続,固定する。前側バネ部材16Aの外側保持部16bの直進状くびれ部16eが形成されていない領域に+Z側から矢印G12で示す−Z方向の押圧を加えて磁気ヨーク17の円環部17bの+Z側の端部に接続,固定する。
【0031】
図4(a),(b),(c)は、蛇行状くびれ部16dを設けた後側バネ部材16Bがレンズホルダー12の−Z側の端部に接続,固定される際に、内側保持部16aから内側連結部16mまでの間に生じる歪みの状態を示す模式図である。
まず、
図4(a)に示すように、レンズホルダー12の後方に後側バネ部材16Bと、白抜き矢印G11に示すように+Z方向に向かって押圧力を印加する内側押圧治具J11とをセットする。その後、
図4(b)に示すように、内側押圧治具J11により内側保持部16aの蛇行状くびれ部16dが形成されていない領域を押圧して、レンズホルダー12の−Z側端部に後側バネ部材16Bを接続する。
【0032】
本実施形態に係るバネ部材16は、レンズホルダー12の表面に存在する凹凸や内側押圧治具J11からの応力が集中することによって内側保持部16aにX,Y平面方向への湾曲が生じても、蛇行状くびれ部16dが変形してX,Y平面方向への湾曲を吸収し、内側連結部16mには内側保持部16aの湾曲が殆ど生じず、内側連結部16mが捩じれたり撓んだりすることがない。そのため、内側連結部16mに連結された腕部16cも押圧を加える前と同じX,Y平面上に維持され、外側保持部16bの傾きが低減される。その結果、外側保持部16bにオフセットが加えられても、各腕部16cに生じる復元力が均等となって、後側バネ部材16Bには安定したプリロード(予圧)を付勢することができるようになり、レンズホルダー12の移動開始時にレンズ駆動装置10に発生するチルトを大幅に低減することができる。
【0033】
このとき、
図4(c)に示すように、レンズホルダー12の蛇行状くびれ部16dが当接する箇所Pに凹部12aを形成し、接着剤等から成る液状封止材19の充填により蛇行状くびれ部16dと内側連結部16mとを覆って硬化させる。液状封止材19の硬化に伴い蛇行状くびれ部16dが拘束されることなく自由に変形して内側連結部16mが適正な位置に維持された状態で固定されれば、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトの低減をより確実なものとすることができる。なお、内側連結部16mは必ずしも液状封止材19により覆う必要はなく、内側連結部16mを避けて蛇行状くびれ部16dだけを液状封止材19で覆って硬化させてもよい。
【0034】
また、
図4(d),(e)は、後側バネ部材16Bの外側保持部16bをケース13の底板13aに接続,固定するときの部分斜視図である。
図4(d)に示すように、外側保持部16bの直進状くびれ部16eが形成されていない領域に黒塗りの矢印G12で示す押圧力を加え、−Z方向にオフセットさせて後側バネ部材16Bを接続,固定する。その結果、
図4(e)に示すように、外側保持部16bにX,Y平面方向への湾曲が生じても、直進状くびれ部16eが当該湾曲に応じて変形して押圧力を吸収し、外側連結部16nには外側保持部16bの変形が殆ど生じなくなり、外側連結部16nが捩じれたり撓んだりすることがない。そのため、外側保持部16bに押圧力を加えながら接続しても各腕部16cに生じる復元力が均等となるため、レンズホルダー12とケース13との間に傾きが生じることがない。
【0035】
また、直進状くびれ部16eと外側連結部16nとを上述の液状封止材19により硬化させてもよい。具体的には、
図4(c)で示した蛇行状くびれ部16dと内側連結部16mの場合と同様に、ケース13の底板13aの直進状くびれ部16eが当接する箇所Qに凹部を形成して、液状封止材19により直進状くびれ部16eと外側連結部16nとを覆って硬化させ、直進状くびれ部16eが拘束されることなく自由に変形して外側連結部16nが適正な位置に維持される状態で固定すれば、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトの低減を確実なものとすることができる。なお、外側連結部16nは必ずしも液状封止材19により覆う必要はなく、外側連結部16nを避けて直進状くびれ部16eだけを液状封止材19で覆って硬化させてもよい。
【0036】
また、前側バネ部材16Aの内側保持部16aをレンズホルダー12の+Z側の端部に接続,固定する場合も後側バネ部材16Bの場合と同様に、内側保持部16aにX,Y平面方向への湾曲が生じても、蛇行状くびれ部16dを形成してあるので、蛇行状くびれ部16dが変形してX,Y平面方向への湾曲,変形を吸収し、内側連結部16mには内側保持部16aの湾曲が殆ど生じず、内側連結部16mが捩じれたり撓んだりすることがない。そのため内側連結部16mに連結された腕部16cも押圧力を加える前と同じX,Y平面上に維持され、外側保持部16bが傾き難くなる。
さらに、前側バネ部材16Aの外側保持部16bを磁気ヨーク17の円環部17bの+Z側の面に接続する場合も後側バネ部材16Bの場合と同様に、直進状くびれ部16eを形成してあるので、外側保持部16bにX,Y平面方向への湾曲が生じても、直進状くびれ部16eが変形してX,Y平面方向への湾曲,変形を吸収し、外側連結部16nには外側保持部16bの変形が殆ど生じず、外側連結部16nが捩じれたり撓んだりすることがない。そのため、外側保持部16bに押圧力を加えながら接続しても各腕部16cに生じる復元力が均等となり、レンズホルダー12とケース13との間に傾きを生じない。
なお、前側バネ部材16Aについても上記と同様に、レンズホルダー12の蛇行状くびれ部16dが当接する箇所や、磁気ヨーク17の円環部17bの直進状くびれ部16eが当接する箇所に凹部を形成して、液状封止材19によりそれぞれのくびれ部16d,16eと連結部16m,16nとを覆って硬化させれば、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトの低減をより確実なものとすることができる。
このように、バネ部材16に上述のようなくびれ部16d,16eを形成することにより、レンズホルダー12の移動開始時にレンズ駆動装置10に発生するチルトを大幅に低減することができるようになる。
【0037】
図5は、バネ部材16の他の形態を示す斜視図である。
同図に示すバネ部材16は、バネ部材16の外側保持部16bに形成された直進状くびれ部16eの位置を変えた形態である。直進状くびれ部16eは、外側連結部16nの両端において、外側保持部16bの幅方向(X,Y方向)中央部から周方向に延長する。本実施形態のバネ部材16は、前記実施の形態で用いたバネ部材16と同様に、直進状くびれ部16eが拘束されることなく自由に変形し、外側連結部16nを適正な位置に維持させた状態で固定されるので、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減することができる。
【0038】
図6は、バネ部材16の他の形態を示す斜視図である。
同図に示すバネ部材16は、バネ部材16の外側保持部16bに形成した直進状くびれ部16eの位置と向きを変えた形態である。直進状くびれ部16eは、外側保持部16bの内周側において、外側連結部16nと連結される部分が円弧状に形成される。本実施形態のバネ部材16は、前記実施の形態で用いたバネ部材16と同様に、直進状くびれ部16eが拘束されることなく自由に変形し、外側連結部16nを適正な位置に維持させた状態で固定されるので、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減することができる。
【0039】
図7は、他の形態に係るバネ部材26の斜視図である。
同図に示すバネ部材26は、中心軸を原点として90°間隔で4つに分割されたバネ部材26であって、分割バネ部材261,262,263,264から構成される。各分割バネ部材261,262,263,264は、レンズホルダー12に取付けられる略円弧状の内側保持部26aと、ケース13に取付けられる略円弧状の外側保持部26bと、周方向に延長して内側保持部26aと外側保持部26bとを連結する略円弧状の腕部26cと、内側保持部26aから径方向外側にある腕部26cに向けて延長して腕部26cの一方の端部と内側保持部26aの一方の端部とを連結する内側連結部26mと、外側保持部26bから径方向内側にある腕部26cに向けて延長して腕部26cの他方の端部と外側保持部26bの一方の端部とを連結する外側連結部26nと、内側保持部26aに形成された蛇行状くびれ部26dと、外側保持部26bに形成された直進状くびれ部26eとを備える。
そして、蛇行状くびれ部26dは、前記実施の形態で示したバネ部材16の蛇行状くびれ部16dや直進状くびれ部16eと同様に、腕部26cの幅(X,Y方向の寸法)よりも狭い幅を有し、径方向に蛇行しながら周方向に延長する。また、直進状くびれ部26eは、腕部26cの幅(X,Y方向の寸法)よりも狭い幅を有し周方向に延長している。
【0040】
図7に示すように、バネ部材26の蛇行状くびれ部26dと直進状くびれ部26eとは、内側連結部及び外側連結部26m,26nのそれぞれ片側にのみ形成されている点で前記実施の形態に示したバネ部材16の場合と異なる。このように、内側連結部及び外側連結部26m,26nのそれぞれ片側にのみくびれ部26d,26eを形成した場合であっても、蛇行状くびれ部26dが拘束されることなく自由に変形して内側連結部26mを適正な位置に維持させた状態で固定することができる。また、同様に直進状くびれ部26eが拘束されることなく自由に変形して外側連結部26nを適正な位置に維持した状態で固定することができるので、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減する効果を得られる。
なお、本実施形態で示した分割バネ部材261,262,263,264の分割数は4つに限られず、分割個数が2以上であれば、如何なる数の分割バネ部材に対しても適用することも可能である。
【0041】
また、
図8(a),(b),(c)に示すような方法で本発明のレンズ駆動装置10を組み立てることも可能である。
図9は、他の形態に係るバネ部材36の斜視図である。同図を用いて、まずバネ部材36について説明する。前側バネ部材36Aと後側バネ部材36Bとにより構成されるバネ部材36は、レンズホルダー12に取付けられる円環状の内側保持部36aと、ケース13に取付けられる円環状の外側保持部36bと、周方向に延長して内側保持部36aと外側保持部36bとを連結する略円弧状の4本の腕部36cと、内側保持部36aから径方向外側にある腕部36cに向けて延長して腕部36cの一方の端部と内側保持部36aとを連結する内側連結部36mと、外側保持部36bから径方向内側にある腕部36cに向けて延長して腕部36cの他方の端部と外側保持部36bとを連結する外側連結部36nと、内側保持部36aと外側保持部36bとにそれぞれ形成される蛇行状くびれ部36dとを備える。
蛇行状くびれ部36dは、腕部36cの幅(X,Y方向の寸法)よりも狭い幅を有し、径方向にコ字状に蛇行しながら周方向に延長しており、内側連結部36mの径方向内側部分の根元の両側と、外側連結部36nの径方向外側部分の根元の両側とにそれぞれ設けられている。
【0042】
図8(a)に示すように、予め磁気ヨ−ク17の円環部17bの−Z側に第2のスペーサ182を取り付け、この第2のスペーサ182とレンズホルダー12との間に前側バネ部材36Aを配置する。すなわち、レンズホルダー12の+Z側の端部に前側バネ部材36Aの内側保持部36aを接続,固定した後、外側保持部36bを第2のスペーサ182の−Z側に接続,固定する。前側バネ部材36Aは、内側保持部36aと外側保持部36bとが同一平面上に位置するように一時的に保持した状態で、内側保持部36aをレンズホルダー12の前側端部の+Z側に接続,固定し、外側保持部36bを第2のスペーサ182の−Z側に接続,固定する。すなわち、
図8に示すレンズ駆動装置10の組み立て方法においては、前側バネ部材36Aの内側保持部36aと外側保持部36bとを接続,固定する段階でオフセットを加えることなく行う。
【0043】
そして、
図8(b)に示すように、駆動用磁石15とスペーサ18とを磁気ヨーク17の円筒部17aの内周側に取り付け、後側バネ部材36Bの外側保持部36bをスペーサ18の−Z側に接続した後、後側バネ部材36Bの内側保持部36aをレンズホルダー12の−Z側の端部に接続,固定する。
ここで、第2のスペーサ182の−Z側からスペーサ18の−Z側までの距離は、レンズホルダー12に接続した前側バネ部材36Aと後側バネ部材36Bとの各内側保持部36a間の距離と等しくなるように設定されている。また、後側バネ部材36Bの内側保持部36aと外側保持部36bとは、前側バネ部材36Aと同様に、同一平面上に位置するように保持した状態で、すなわちオフセットを加えない状態で接続,固定する。
【0044】
その後、
図8(c)に示すように、ケース13の側壁13bを磁気ヨーク17の後方からスライドさせて円筒部17aの外側に挿入し、ケース13の規制部13cによりレンズホルダー12をZ軸前方に押し出してバネ部材36にオフセットを加えるとともに、後側バネ部材36Bの外側保持部36bをスペーサ18とケース13の底板13aとにより挟持した後、ケース13と磁気ヨーク17とを接着,固定してレンズ駆動装置10を完成させる。これにより、
図3で説明した方法により組み立てたレンズ駆動装置10と同様のレンズ駆動装置10を得ることができ、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを大幅に低減することができる。
このとき、前記実施の形態で示したものと同様に、蛇行状くびれ部36dが当接する部材に凹部等を形成し、液状封止材19により各蛇行状くびれ部36dを覆い、硬化させて固定すれば、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトの低減をより確実なものとすることができる。
【0045】
図10は、他の形態に係るバネ部材46の斜視図であり、同図に示すような腕部46cが湾曲したバネ部材46を用いて、レンズ駆動装置10を構成してもよい。
すなわちバネ部材46は、円環を+X側と−X側とに2分割した内側保持部46a、及び矩形状の枠体を+X側と−X側とに2分割した外側保持部46bを有する2つの分割バネ部材461,462を備える。
【0046】
各分割バネ部材461,462は、レンズホルダー12に取付けられる略円弧状の内側保持部46aと、ケース13に取付けられる略U字枠状の外側保持部46bと、周方向に蛇行しながら径方向に延長して内側保持部46aと外側保持部46bとを連結する湾曲形状の腕部46cと、内側保持部46aから径方向外側にある腕部46cに向けて延長して腕部46cの一方の端部と内側保持部46aとを連結する内側連結部46mと、外側保持部46bから径方向内側にある腕部46cに向けて延長して腕部46cの他方の端部と外側保持部46bとを連結する外側連結部46nと、内側保持部46aに形成された直進状くびれ部46eと、外側保持部46bに形成された蛇行状くびれ部46dとを備える。
【0047】
このような、蛇行した腕部46cを有するバネ部材46であっても、直進状くびれ部46e及び蛇行状くびれ部46dを、それぞれ内側保持部46aと内側連結部46mとの連結箇所の根元、及び外側保持部46bと外側連結部46nとの連結箇所の根元のいずれか一方または両方に形成すれば、内側連結部及び外側連結部46m,46nのいずれか一方または両方を適正な位置に維持した状態で固定することができるので、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減する効果を得られる。
なお、
図10に示したバネ部材46の腕部46cは、周方向に蛇行しながら径方向に延長する構成としたが、これに限定されず、径方向に蛇行しながら周方向に延長する構成や、周方向に蛇行しながら径方向に延長する腕部と径方向に蛇行しながら周方向に延長する腕部とを混在させた構成等、様々に変形を施した腕部を有するバネ部材であっても、内側保持部46aの内側連結部46mとの連結箇所の根元及び外側保持部46bの外側連結部46nとの連結箇所の根元のいずれか一方または両方に蛇行状くびれ部46dや直進状くびれ部46eを形成すればレンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減できる。
【0048】
以上説明したような、オフセットを加えない側に蛇行状くびれ部を形成し、オフセットを加える側に直進状くびれ部を形成する構成のバネ部材の他に、オフセットを加えない側に直進状くびれ部を形成し、オフセットを加える側に蛇行状くびれ部を形成したバネ部材を用いたり、あるいはオフセットを加えない側にもオフセットを加える側にも蛇行状くびれ部を形成したバネ部材を用いたり、あるいはオフセットを加えない側にもオフセットを加える側にも直進状くびれ部を形成したバネ部材を用いたり、オフセットを加えない側及びオフセットを加える側のいずれか一方の側だけに蛇行状くびれ部もしくは直進状くびれ部を形成したバネ部材を用いたりしても、レンズホルダー12の移動開始時に発生するチルトを低減できる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
例えば、前記実施の形態では、周方向に延長して内側保持部16aと外側保持部16bとを略円弧状の4本の腕部16cで連結したが、腕部16cの本数はこれに限るものではなく、2本以上の複数本であればよい。また、前記実施の形態では、レンズホルダー12及びケース13の形状を円筒状としたが、四角筒状、あるいは、八角筒状であってもよい。また、駆動用コイル14の形状も、四角筒状、あるいは、八角筒状であってもよい。また、前側バネ部材16A及び後側バネ部材16Bの形状も円環状に限らず、レンズホルダー12やケース13の形状に合わせて多角環状としてもよい。