特許第6283527号(P6283527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283527
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】耐火性管体
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/04 20060101AFI20180208BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   F16L5/04
   E03C1/12 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-25476(P2014-25476)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-152067(P2015-152067A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106771
【氏名又は名称】シーシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】国枝 勉
(72)【発明者】
【氏名】村上 麻央
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−090542(JP,A)
【文献】 特開2010−236677(JP,A)
【文献】 特開2007−056536(JP,A)
【文献】 特開2012−092644(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第10125177(DE,A1)
【文献】 米国特許第05452551(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/04
F16L 59/18
E03C 1/00 − 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性を有する区画部貫通管に連結して用いられる耐火性管体であって、
樹脂製管体と、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材とを備え、
前記熱膨張材は、前記樹脂製管体の内周面に沿って配置され、
前記樹脂製管体は、前記区画部貫通管の下端部に外嵌されることで前記区画部貫通管に連結される連結部を有し、
前記熱膨張材の少なくとも一部が前記区画部貫通管と前記樹脂製管体の前記連結部との間に配置されることを特徴とする耐火性管体。
【請求項2】
前記熱膨張材を保護する樹脂製保護部材をさらに備え、前記樹脂製保護部材は、前記熱膨張材の内周面を被覆する本体部を有する請求項1に記載の耐火性管体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性管体に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やビル等の建築物は、火災時の延焼が抑制されるように、耐火性の区画部により区画された構造を有する。区画部には、例えば排水用の区画部貫通管が配置される。区画部貫通管は、火災時の延焼を抑制するために、耐火性を有するものが用いられるものの、区画部貫通管の有する流路において、火災時の火炎、煤煙、ガス等が流通するおそれがある。このような流通を抑制するために、火災時の加熱によって熱膨張する熱膨張材を用いる技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、区画部貫通管に連結される樹脂製の立て管(樹脂製管体)の外周に熱膨張材が配置された構成を開示している。この構成によれば、火災時に、熱膨張材が熱膨張することで、区画部貫通管の開口の一部又は全体が閉塞される。これにより、火災時の火炎、煤煙、ガス等は、区画部貫通管の流路に流通し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−236677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、火災時において、熱膨張材の熱膨張開始が樹脂製管体の軟化開始よりも過剰に早まると、熱膨張材が区画部貫通管の開口へ向かって熱膨張する際に、その熱膨張が樹脂製管体によって妨げられることになる。上述した区画部貫通管に連結される樹脂製管体の外周に熱膨張材を設けた場合、外方からの熱が熱膨張材に伝わり易いため、熱膨張材の熱膨張開始が樹脂製管体の軟化開始よりも早まる傾向となる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐火性管体の外方から熱膨張材へ伝わる熱を抑制することの容易な耐火性管体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する耐火性管体は、耐火性を有する区画部貫通管に連結して用いられる耐火性管体であって、樹脂製管体と、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材とを備え、前記熱膨張材は、前記樹脂製管体の内周面に沿って配置されている。
前記樹脂製管体は、前記区画部貫通管の下端部に外嵌されることで前記区画部貫通管に連結される連結部を有する。前記熱膨張材の少なくとも一部は、前記区画部貫通管と前記樹脂製管体の前記連結部との間に配置される。
【0007】
この構成によれば、耐火製管体の外方からの熱は、樹脂製管体を介して熱膨張材に伝わる。また、熱膨張材が区画部貫通管と樹脂製管体との間に配置されることで、樹脂製管体の径方向への熱膨張材の移動が抑制される。
上記耐火性管体は、前記熱膨張材を保護する樹脂製保護部材をさらに備え、前記樹脂製保護部材は、前記熱膨張材の内周面を被覆する本体部を有することが好ましい。
【0008】
熱膨張材が樹脂製管体の内周面に沿って配置される耐火性管体では、例えば、区画部貫通管に連結される際に、熱膨張材が区画部貫通管に接触し易くなる。この点、上記のように、耐火性管体が樹脂製保護部材を備えるとともに、その樹脂製保護部材が、熱膨張材の内周面を被覆する本体部を有していることで、例えば、耐火性管体を区画部貫通管に連結する際における熱膨張材と区画部貫通管との接触が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐火性管体の外方から熱膨張材へ伝わる熱を抑制することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における耐火性管体を示す半断面図。
図2】耐火性管体が加熱された状態を模式的に示す半断面図。
図3】変更例における耐火性管体を示す半断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、区画部貫通管に適用される耐火性管体の一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
<区画部>
図1に示すように、建築物の有する区画部81には、耐火性を有する区画部貫通管91が配置されている。区画部81は、貫通孔を有する床スラブ82と貫通孔の内壁と区画部貫通管91との間の埋設部83とを有している。床スラブ82は、例えばコンクリート製であり、埋設部83は、例えばモルタルから形成される。区画部貫通管91は、建築物の排水システムを構成する。区画部貫通管91としては、例えば、鋳鉄製の耐火性継手管、及び耐火二層管(繊維強化モルタル二層管)が挙げられる。本実施形態の区画部貫通管91は、鋳鉄製の耐火性継手管から構成されている。区画部貫通管91は、上下方向のみの流路を有するものであってもよいし、床スラブ82の上方で横方向に沿った流路を構成する枝管部を有していてもよい。
【0013】
<耐火性管体>
耐火性管体11は、区画部貫通管91に連結して用いられる。耐火性管体11は、樹脂製管体21と、火災時の加熱により熱膨張する熱膨張材31とを備えている。熱膨張材31は、樹脂製管体21の内周面に沿って配置されている。
【0014】
樹脂製管体21は、区画部貫通管91に連結される第1連結部22と、立て管92に連結される第2連結部23とを有している。第1連結部22は、区画部貫通管91の下端部に外嵌されることで区画部貫通管91に連結される。第2連結部23は、立て管92の上端部に外嵌されることで立て管92に連結される。なお、樹脂製管体21及び立て管92は、難燃性を有する樹脂材料から形成される。本実施形態の樹脂製管体21及び立て管92は、硬質の塩化ビニル樹脂から形成されている。第2連結部23と立て管92とは、例えば、接着剤を用いて接着される。
【0015】
熱膨張材31は、外部からの加熱により熱膨張する膨張黒鉛と、熱膨張後の膨張黒鉛の形状を安定化させる形状安定材とを含有することが好ましい。形状安定材としては、例えばホウ酸を用いることができる。膨張黒鉛に対する形状安定材の配合量は、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が120質量部以下であることが好ましく、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が110質量部以下であることがより好ましい。膨張黒鉛に対する形状安定材の配合量は、膨張黒鉛100質量部に対して形状安定材が70質量部以上であることが好ましい。熱膨張材31には、例えば、無機充填材が含有されてもよい。膨張黒鉛及び形状安定材の合計量は、熱膨張材31全体を100質量%としたとき、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0016】
熱膨張材31としては、熱膨張の体積が十分に得られ易いという観点から、膨張黒鉛の粉体と、形状安定材の粉体とを含む粉体を用いることが好ましい。この場合、熱膨張材31は、例えば、熱膨張材31の配置を容易にするという観点から、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを備えた耐水層で被覆されることが好ましい。耐水層は、例えば袋状に形成され、その耐水層の厚みは、例えば、15μm以上、200μm以下の範囲であることが好ましい。
【0017】
熱膨張材31は、所定温度以上まで外部から加熱されると、膨張黒鉛の作用により、数倍から数百倍の体積となる。熱膨張材31は、耐火材料であり、熱膨張後の熱膨張材31は、物理的な遮蔽効果とともに断熱効果を発揮する。
【0018】
熱膨張材31に用いられる膨張黒鉛の膨張倍率は、100倍以上であることが好ましく、200倍以上であることがより好ましい。膨張黒鉛の膨張倍率は、膨張黒鉛1gを900〜1000℃の条件で5分間加熱したときの体積変化から求められる。なお、熱膨張材31に用いられる膨張黒鉛の膨張倍率の上限は特に限定されないが、例えば1000倍未満となる。
【0019】
なお、熱膨張材31として、熱膨張性耐火材や熱膨張性耐熱材といった名称で呼ばれる市販品を用いることも可能である。熱膨張性耐火材や熱膨張性耐熱材には、例えば、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の基材、膨張黒鉛等の熱膨張成分、及び無機充填材が含有されている。
【0020】
樹脂製管体21に配置される熱膨張材31は、単数から構成されてもよいし、複数から構成されてもよい。熱膨張材31は、例えば、樹脂製管体21の周方向に沿って配置される複数から構成されてもよい。
【0021】
耐火性管体11には、熱膨張材31を保護する樹脂製保護部材41がさらに備えられている。樹脂製保護部材41は、熱膨張材31の内周面を被覆する本体部42と、樹脂製管体21へ向かって突出する第1突出部43と第2突出部44とを有し、第1突出部43と第2突出部44との間に熱膨張材31が配置される。第1突出部43は、熱膨張材31の上面を被覆するとともに、第2突出部44は、熱膨張材31の下面を被覆するように配置されている。
【0022】
樹脂製保護部材41を構成する樹脂材料は、熱膨張材31が熱膨張する際に軟化するものであれば、特に限定されない。樹脂製保護部材41を構成する樹脂材料としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いることができる。樹脂製保護部材41の厚みは、例えば、0.5mm以上、4mm以下の範囲であることが好ましい。
【0023】
熱膨張材31及び樹脂製保護部材41は、樹脂製管体21の内周面に形成された断面L字状の凹部に配置されている。図1に拡大して示すように、樹脂製管体21の有する凹部の底面(下面)は、熱膨張材31及び樹脂製保護部材41の下方への移動を規制する移動規制部24を構成している。
【0024】
次に、熱膨張材31の配置の詳細について説明する。
耐火性管体11は、区画部貫通管91の下端から上へ15mmの位置を基準とした場合、下記条件A又は条件Bを満たすように、区画部貫通管91に連結される構成を有することが好ましい。
【0025】
条件A:熱膨張材31の下端が上記基準の位置である。
条件B:熱膨張材31の下端が上記基準の位置よりも下方である。
図1に拡大して示す断面図に基づき詳述すると、耐火性管体11は、区画部貫通管91の下端から熱膨張材31の下端までの寸法Lが15mm以下となるように、区画部貫通管91に連結される構成を有することが好ましい。
【0026】
上記基準の位置は、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。なお、図面の各寸法は、必要に応じて誇張して示している。
耐火性管体11は、熱膨張材31の少なくとも一部が、区画部貫通管91と樹脂製管体21との間に配置されるように区画部貫通管91に連結されることが好ましい。本実施形態の耐火性管体11は、熱膨張材31の全体が区画部貫通管91と樹脂製管体21との間に配置されるように区画部貫通管91に連結されている。
【0027】
本実施形態の耐火性管体11は、さらに以下の構成を有する。
樹脂製管体21の第1連結部22には、ゴム製のシール部材51が設けられている。シール部材51は、第1連結部22の内周面に沿って配置され、第1連結部22が区画部貫通管91の下端部に外嵌されることで、第1連結部22の内周面と区画部貫通管91の外周面とがシール部材51によってシールされる。
【0028】
樹脂製管体21の外周には、被覆材61が設けられている。被覆材61は、通気性及び耐火性を有する無機繊維層62と非通気層63とを備えている。被覆材61は、樹脂製管体21側から順に、無機繊維層62、非通気層63及び無機繊維層62が積層された積層構造を有している。
【0029】
無機繊維層62を構成する無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、アルミナ繊維、及びカーボン繊維が挙げられる。無機繊維層62は、織布又は不織布から構成される。無機繊維層62の耐熱温度は、好ましくは700℃以上であり、より好ましくは800℃以上であり、さらに好ましくは900℃以上である。無機繊維層62の密度は、30〜250kg/mの範囲であることが好ましい。無機繊維層62の厚みは、2〜15mmの範囲であることが好ましい。
【0030】
非通気層63は、高分子材料からなる基材と無機充填材とを含有する材料から形成されている。高分子材料としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、及びゴムから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びスチレン系樹脂が挙げられる。エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、及びウレタン系エラストマーが挙げられる。ゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、及びブチルゴムが挙げられる。高分子材料の中でも、可撓性が付与されることで、樹脂製管体21の外周に沿った形状に変形することが容易であることから、エラストマー及びゴムから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0031】
無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、バライト、鉄粉、酸化亜鉛、及びグラファイトが挙げられる。無機充填剤の含有量は、高分子材料100質量部に対して、50〜85質量部の範囲であることが好ましい。
【0032】
非通気層63には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、粘着剤等の添加剤を含有させることもできる。非通気層63の厚みは、0.5〜5mmの範囲であることが好ましい。
<耐火構造>
耐火構造は、区画部貫通管91に耐火性管体11が連結された構成を有する。すなわち、耐火構造は、建築物の区画部81を構成する床スラブ82と、この床スラブ82を貫通して配置される区画部貫通管91と、耐火性管体11とを備えている。本実施形態の耐火構造は、被覆材61を床スラブ82に支持する金属製の支持具64を備えている。支持具64は、被覆材61を保持する保持部65と、この保持部65を床スラブ82に支持させる支持部66とを備えている。保持部65は、連続した環状に形成されている。保持部65は、その周方向の少なくとも一部を係合及び離脱可能にする開閉部を有し、被覆材61の径方向から装着可能となっている。支持具64は、支持部66の一端を床スラブ82に固定した後に、支持部66の少なくとも一部、又は保持部65と支持部66とが、例えばボルト及びナット等の連結具で連結されることで装着される。支持具64を構成する金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、及びステンレス鋼が挙げられる。
【0033】
<作用>
次に、耐火性管体11の作用について説明する。
耐火性管体11は、区画部貫通管91に外嵌されることにより、区画部貫通管91と連結される。ここで、熱膨張材31が樹脂製管体21の内周面に沿って配置される耐火性管体11では、例えば、区画部貫通管91に連結される際に、熱膨張材31が区画部貫通管91に接触し易くなる。この点、本実施形態の耐火性管体11は、樹脂製保護部材41を備えるとともに、その樹脂製保護部材41が、熱膨張材31の内周面を被覆する本体部42を有している。このため、耐火性管体11を区画部貫通管91に連結する際における熱膨張材31と区画部貫通管91との接触が抑制される。また、例えば、耐火性管体11の搬送時においては、熱膨張材31の内周面が保護されるため、熱膨張材31の内周面は損傷を受け難くなる。
【0034】
区画部貫通管91と連結された耐火性管体11(耐火構造)は、火災時において加熱される。このとき、耐火性管体11の有する熱膨張材31は、樹脂製管体21の内周面に沿って配置されている。このため、耐火性管体11の外方からの熱は、樹脂製管体21を介して熱膨張材31に伝わる。
【0035】
図2に示すように、火災時に加熱された後の耐火製管体では、樹脂製管体21が熱変形するとともに、熱膨張材31が熱膨張することで、区画部貫通管91の下端の有する開口の全体又は一部が閉塞される。すなわち、区画部貫通管91の下端の有する開口の全体又は一部は、樹脂製管体21が熱分解した残留物71と熱膨張材31から生成した生成物72とにより閉塞される。
【0036】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)耐火性管体11の有する熱膨張材31は、樹脂製管体21の内周面に沿って配置されている。この構成によれば、耐火性管体11の外方からの熱は、樹脂製管体21を介して熱膨張材31に伝わる。これにより、耐火性管体11の外方から熱膨張材31へ伝わる熱を抑制することが容易となる。
【0037】
従って、例えば、耐火性管体11の外方からの熱により熱膨張材31が区画部貫通管91の開口へ向かって熱膨張する際に、樹脂製管体21が十分に軟化され易くなる。すなわち、区画部貫通管91の開口へ向かって熱膨張材31が熱膨張する際に、その熱膨張は、樹脂製管体21に妨げられ難くなる。このため、区画部貫通管91の開口は、熱膨張材31から生成した生成物72によって好適に閉塞され易くなる。
【0038】
(2)耐火性管体11は、樹脂製保護部材41を備えるとともに、その樹脂製保護部材41が、熱膨張材31の内周面を被覆する本体部42を有している。これにより、熱膨張材31の内周面が好適に保護されるため、熱膨張材31の機能が維持され易くなる。
【0039】
(3)耐火性管体11は、熱膨張材31の少なくとも一部が区画部貫通管91と樹脂製管体21との間に配置されるように区画部貫通管91に連結されることが好ましい。
このように、熱膨張材31が区画部貫通管91と樹脂製管体21との間に配置されることで、樹脂製管体21の径方向への熱膨張材31の移動が抑制される。
【0040】
(4)耐火性管体11は、区画部貫通管91の下端部に外嵌されることで区画部貫通管91に連結される構成を有している。こうした耐火性管体11は、区画部貫通管91の下端から上へ15mmの位置を基準とした場合、熱膨張材31の下端がその基準の位置、又は基準の位置よりも下方となるように、区画部貫通管91に連結される構成を有することが好ましい。
【0041】
このように、熱膨張材31が区画部貫通管91の下端の有する開口に近づけて配置されることで、火災時において、区画部貫通管91の下端の有する開口は、より好適に閉塞され易くなる。
【0042】
(5)耐火性管体11は、区画部貫通管91の下端部に外嵌されることで区画部貫通管91に連結されるものであり、樹脂製管体21は、熱膨張材31の下方への移動を規制する移動規制部24を有している。この構成によれば、熱膨張材31は、火災時まで所定の位置に保持され易くなる。
【0043】
(6)樹脂製保護部材41は、樹脂製管体21へ向けて突出する第2突出部44を有し、この第2突出部44が移動規制部24と熱膨張材31との間に配置されている。この構成によれば、熱膨張材31及び樹脂製保護部材41の位置ずれが抑制され、熱膨張材31及び樹脂製保護部材41は、火災時まで所定の位置に保持され易くなる。
【0044】
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
図3に示すように、耐火性管体11は、熱膨張材31の下端が区画部貫通管91の下端よりも下方に位置されるように、区画部貫通管91に連結することもできる。また、耐火性管体11において、熱膨張材31の位置を変更することで、区画部貫通管91と熱膨張材31との相対位置を変更されてもよい。
【0045】
・熱膨張材31は、上下に分割して構成されてもよい。この場合、熱膨張材31の下端は、最も下方に位置する熱膨張材31の下端を意味する。また、このように上下に分割された熱膨張材31のうち、最も上方に位置する熱膨張材31の一部が区画部貫通管91と樹脂製管体21との間に配置されるように区画部貫通管91に連結されることで、その最も上方の熱膨張材31について、樹脂製管体21の径方向への移動が抑制される。
【0046】
図1に拡大して示される樹脂製管体21において、区画部貫通管91の挿入部分の形状は、次のように変更することもできる。すなわち、樹脂製管体21の有する凹部の底面に、さらに区画部貫通管91の下端部分が配置される凹部を設けることで、移動規制部24よりも下方に区画部貫通管91の下端が配置されるように変更されてもよい。
【0047】
・前記樹脂製保護部材41は、省略されてもよい。
・樹脂製保護部材41は、本体部42のみから構成されてもよいし、本体部42と、第1突出部43及び第2突出部44のいずれか一方とから構成されてもよい。
【0048】
・樹脂製保護部材41を構成する本体部42は、熱膨張材31の内周面を部分的に被覆するように構成されてもよい。樹脂製保護部材41を構成する第1突出部43についても、熱膨張材31の上面を部分的に被覆するように構成されてもよいし、第2突出部44についても、熱膨張材31の下面を部分的に被覆するように構成されてもよい。
【0049】
・前記被覆材61は、省略されてもよい。この場合、樹脂製管体21が熱分解した残留物71が区画部貫通管91の下端の有する開口付近に留まり難くなるものの、熱膨張材31から生成した生成物72によって区画部貫通管91の下端の有する開口の一部又は全体が閉塞される。
【0050】
・前記支持具64は、省略されてもよい。この場合、被覆材61の層間や樹脂製管体21と被覆材61との間に、接着層を設けることが好ましい。
・前記支持具64を構成する保持部65は、連続した環状に形成されているが、不連続の環状に形成されていてもよい。
【0051】
・前記支持具64は、被覆材61を床スラブ82に支持させているが、被覆材61を区画部貫通管91に支持させるように変更されてもよい。
・前記耐火性管体11において、第2連結部23の位置は、前記実施形態に限定されない。すなわち、耐火性管体11の有する樹脂製管体21を下方に延長した樹脂製管体に変更し、その下端部に第2連結部23を形成してもよい。
【0052】
・前記樹脂製管体21は、例えば、難燃性を有するオレフィン系樹脂により形成されてもよい。
・前記耐火性管体11は、区画部貫通管91に内嵌されるように変更されてもよい。また、前記耐火性管体11は、立て管92に内嵌されるように変更されてもよい。
【0053】
・床スラブ82は、コンクリート製に限らず、石板等で形成されていてもよい。
・前記耐火性管体11及び耐火構造は、水平方向に沿って区画する区画部81に適用されているが、例えば、垂直方向に沿って区画する区画部に適用されてもよい。この場合、第2連結部23には、前記立て管92の代わりに、難燃性を有する樹脂製の横管が連結される。
【0054】
・前記耐火性管体11及び耐火構造は、排水システムに適用されているが、通気システムに適用されてもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0055】
(イ)前記耐火性管体は、前記区画部貫通管の下端部に外嵌されることで前記区画部貫通管に連結される構成を有し、前記区画部貫通管の下端から上へ15mmの位置を基準とした場合、前記熱膨張材の下端が前記基準の位置、又は前記基準の位置よりも下方となるように、前記区画部貫通管に連結される耐火性管体。
【0056】
(ロ)前記耐火性管体において、前記耐火性管体は、前記区画部貫通管の下端部に外嵌されることで前記区画部貫通管に連結されるものであり、前記樹脂製管体は、前記熱膨張材の下方への移動を規制する移動規制部を有している耐火性管体。
【0057】
(ハ)前記耐火性管体において、前記樹脂製保護部材は、前記樹脂製管体へ向けて突出するとともに、前記移動規制部と前記熱膨張材との間に配置される突出部を有している耐火性管体。
【0058】
(ニ)前記耐火性管体と、耐火性を有する区画部貫通管とが連結された構造を有する耐火構造。
【符号の説明】
【0059】
11…耐火性管体、21…樹脂製管体、31…熱膨張材、41…樹脂製保護部材、42…本体部、91…区画部貫通管。
図1
図2
図3