特許第6283547号(P6283547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6283547樹脂微粒子分散体、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283547
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】樹脂微粒子分散体、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   C08K 9/04 20060101AFI20180208BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20180208BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20180208BHJP
   C08L 23/18 20060101ALI20180208BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20180208BHJP
   C08L 25/16 20060101ALI20180208BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20180208BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20180208BHJP
   C08F 212/08 20060101ALI20180208BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20180208BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20180208BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   C08K9/04
   C09D11/30
   C08K5/3445
   C08L23/18
   C08L25/04
   C08L25/16
   C08L33/04
   C08L101/00
   C08F212/08
   C08F220/00
   C08F2/44 B
   B41J2/01 501
【請求項の数】11
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-66675(P2014-66675)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-189809(P2015-189809A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 鈴香
(72)【発明者】
【氏名】大谷 智教
(72)【発明者】
【氏名】久保 晴子
(72)【発明者】
【氏名】千頭和 淳子
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
(72)【発明者】
【氏名】河野 健一
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−12709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 9/04
B41J 2/01
C08F 2/44
C08F 212/08
C08F 220/00
C08K 5/3445
C08L 23/18
C08L 25/04
C08L 25/16
C08L 33/04
C08L 101/00
C09D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体と、前記水性媒体中に分散された、下記一般式(1)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子と、を含有することを特徴とする樹脂微粒子分散体。
(前記一般式(1)中、Zl及びZkは、それぞれ独立に、メチル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。但し、Zl及びZkの少なくとも一方は(メタ)アクリロイルオキシ基である)
【請求項2】
前記ベンズイミダゾリノン誘導体が、下記式(1−1)で示される請求項1に記載の樹脂微粒子分散体。
【請求項3】
前記樹脂微粒子が、下記一般式(2)で表されるモノマー(A−1)及び下記一般式(3)で示されるモノマー(A−2)の少なくともいずれかに由来する構成単位Aと、下記一般式(4)で表されるモノマー(B−1)に由来する構成単位Bと、を有する共重合体からなる原料微粒子を表面修飾したものである請求項1又は2に記載の樹脂微粒子分散体。
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ芳香族炭化水素基を示し、mは、0〜2の整数を示す)
CH2=CR3−Ar−R4 ・・・(3)
(前記一般式(3)中、R3は、水素原子又はメチル基を示し、Arは、フェニレン基を示し、R4は、水素原子、−R5、−OR5、又は−COOR5を示し、R5は、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す)
CH2=CR6−X−COOH ・・・(4)
(前記一般式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、単結合又は炭素原子数1〜9の直鎖アルキレン基を示す。但し、前記直鎖アルキレン基中の−CH2−は、−O−O−結合が生じない条件で、−O−、−COO−、又は−OCO−に置換されていてもよい)
【請求項4】
前記構成単位Aが、スチレン、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、及びビニルトルエンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であり、
前記構成単位Bが、アクリル酸、メタクリル酸、10−ウンデシレン酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位である請求項3に記載の樹脂微粒子分散体。
【請求項5】
前記樹脂微粒子の含有率が3〜30質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂微粒子分散体。
【請求項6】
前記水性媒体が水である請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂微粒子分散体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂微粒子分散体と、色材と、水溶性有機溶媒と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
【請求項8】
エネルギーを与えて飛翔させたインクを被記録媒体に付与する工程を含むインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項7に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項9】
前記エネルギーが熱エネルギーである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
【請求項10】
インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項7に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項11】
インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、前記インクを吐出させるヘッド部と、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記インクが、請求項7に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂微粒子分散体、インクジェット記録用インクインクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録用の耐候性に優れた顔料インクによって、塗工印刷用紙に印刷したいというニーズが増加している。しかしながら、塗工印刷用紙は、普通紙やインクジェット専用紙に比べてインクの浸透性が低い。このため、塗工印刷用紙に顔料インクで印刷すると紙面上に顔料が堆積してしまい、記録される画像の耐擦過性が低下するという課題があった。
【0003】
これに対して、顔料インクの基材への定着性を向上させるとともに、画像の耐擦過性を改善するために、インク中にバインダーを添加する技術が検討されている。具体的には、耐擦過性に優れた画像を記録するために、ラテックスをバインダーとして添加したインクジェット用の顔料インクが提案されている(特許文献1及び2)。また、バインダーをマイクロエマルジョンにして添加したインクジェット記録用のインクが提案されている(特許文献3)。さらには、バインダーを樹脂エマルジョンにして添加したインクジェット記録用のインクも提案されている(特許文献4及び5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−106951号公報
【特許文献2】特開2003−171589号公報
【特許文献3】特開平4−18462号公報
【特許文献4】特開平4−332774号公報
【特許文献5】特開平6−212106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1〜5で提案されたインクに添加される従来のバインダー用の樹脂微粒子は、樹脂を構成するモノマーの種類や組成比を調整して、樹脂微粒子自体の耐水性や分散性を向上させようとしたものであった。しかしながら、特許文献1〜5においては、これらの樹脂微粒子の顔料等の色材に対する吸着性については何ら考慮されておらず、記録された画像の耐擦過性は十分満足できるものではなかった。
【0006】
したがって、本発明の課題は、水性媒体中において優れた分散安定性を有するとともに、顔料等の色材に対する高い吸着性を有する、バインダー用の組成物としてインクジェット記録用のインクに添加することが可能な樹脂微粒子分散体を提供することにある。また、本発明の別の課題は、この樹脂微粒子分散体を用いた、分散安定性に優れているとともに、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録用インク、このインクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、色材に吸着しうる特定の化合物で表面修飾した樹脂微粒子を用いることで上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂微粒子分散体が提供される。
[1]水性媒体と、前記水性媒体中に分散された、下記一般式(1)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子と、を含有することを特徴とする樹脂微粒子分散体。
【0009】
(前記一般式(1)中、Zl及びZkは、それぞれ独立に、メチル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。但し、Zl及びZkの少なくとも一方は(メタ)アクリロイルオキシ基である)
【0010】
[2]前記ベンズイミダゾリノン誘導体が、下記式(1−1)で表される前記[1]に記載の樹脂微粒子分散体。
【0011】
【0012】
[3]前記樹脂微粒子が、下記一般式(2)で表されるモノマー(A−1)及び下記一般式(3)で示されるモノマー(A−2)の少なくともいずれかに由来する構成単位Aと、下記一般式(4)で表されるモノマー(B−1)に由来する構成単位Bと、を有する共重合体からなる原料微粒子を表面修飾したものである前記[1]又は[2]に記載の樹脂微粒子分散体。
【0013】
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ芳香族炭化水素基を示し、mは、0〜2の整数を示す)
【0014】
CH2=CR3−Ar−R4 ・・・(3)
(前記一般式(3)中、R3は、水素原子又はメチル基を示し、Arは、フェニレン基を示し、R4は、水素原子、−R5、−OR5、又は−COOR5を示し、R5は、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す)
【0015】
CH2=CR6−X−COOH ・・・(4)
(前記一般式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、単結合又は炭素原子数1〜9の直鎖アルキレン基を示す。但し、前記直鎖アルキレン基中の−CH2−は、−O−O−結合が生じない条件で、−O−、−COO−、又は−OCO−に置換されていてもよい)
【0016】
[4]前記構成単位Aが、スチレン、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、及びビニルトルエンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であり、前記構成単位Bが、アクリル酸、メタクリル酸、10−ウンデシレン酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位である前記[3]に記載の樹脂微粒子分散体。
[5]前記樹脂微粒子の含有率が3〜30質量%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂微粒子分散体。
[6]前記水性媒体が水である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂微粒子分散体。
【0017】
また、本発明によれば、以下に示すインクジェット記録用インクが提供される。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂微粒子分散体と、色材と、水溶性有機溶媒と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
【0018】
さらに、本発明によれば、以下に示すインクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置が提供される。
[8]エネルギーを与えて飛翔させたインクを被記録媒体に付与する工程を含むインクジェット記録方法であって、前記インクが、前記[7]に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
[9]前記エネルギーが熱エネルギーである前記[8]に記載のインクジェット記録方法。
[10]インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、前記[7]に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
[11]インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジと、前記インクを吐出させるヘッド部と、を備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが、前記[7]に記載のインクジェット記録用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、水性媒体中において優れた分散安定性を有するとともに、顔料等の色材に対する高い吸着性を有する、バインダー用の組成物としてインクジェット記録用のインクに添加することが可能な樹脂微粒子分散体を提供することができる。また、本発明によれば、この樹脂微粒子分散体を用いた、分散安定性に優れているとともに、耐擦過性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録用インク、このインクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法、インクカートリッジ、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インクカートリッジの構成を説明する模式図である。
図2】インクジェット記録ヘッドの構造を説明する模式図である。
図3】インクジェット記録装置の透視図である。
図4】インクジェット記録装置の回復処理系の概略図である。
図5】インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<樹脂微粒子分散体>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の樹脂微粒子分散体は、水性媒体と、この水性媒体中に分散された、下記一般式(1)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子と、を含有する。以下、その詳細について説明する。
【0022】
(ベンズイミダゾリノン誘導体)
本発明の樹脂微粒子分散体に用いるベンズイミダゾリノン誘導体は、下記一般式(1)で表される化合物である。このベンズイミダゾリノン誘導体は、樹脂微粒子を構成する樹脂(重合体)からなる原料微粒子の表面に吸着可能な化合物である。
【0023】
(前記一般式(1)中、Zl及びZkは、それぞれ独立に、メチル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。但し、Zl及びZkの少なくとも一方は(メタ)アクリロイルオキシ基である)
【0024】
ベンズイミダゾリノン誘導体は、その分子中にC=O結合及び窒素原子(N)を有するため、顔料等の色材に含まれる親水基と水素結合することが可能である。また、ベンズイミダゾリノン誘導体は、その分子中に複数の不飽和結合及びベンゼン環を有する。このため、ベンズイミダゾリノン誘導体の分子は平面性が高く、色材とのπ−π相互作用が増大されるので、色材に対する強い吸着性を示す。したがって、樹脂(重合体)からなる原料微粒子の表面をベンズイミダゾリノン誘導体で修飾することで、色材に対する吸着性に優れた樹脂微粒子を含有する樹脂微粒子分散体を提供することができる。
【0025】
ベンズイミダゾリノン誘導体は、従来公知の方法にしたがって合成することができる。例えば、以下に示すスキーム(1)〜(3)にしたがって合成することができる。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
合成したベンズイミダゾリノン誘導体の分子構造は、核磁気共鳴装置(1H−NMR、例えば、日本電子社製の商品名「ECA400」等)、赤外分光光度計(IR)、及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等を使用して同定することができる。
【0030】
本発明の樹脂微粒子分散体に用いるベンズイミダゾリノン誘導体の好適な具体例を以下に示す。但し、本発明の樹脂微粒子分散体に用いるベンズイミダゾリノン誘導体は、以下に示す好適例に限定されるものではない。
【0031】
【0032】
(樹脂微粒子)
本発明の樹脂微粒子分散体は、上記のベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾され、水性媒体中に分散された樹脂微粒子を含有する。この樹脂微粒子は、例えば、特定の構成単位A及び構成単位Bを有する共重合体からなる原料微粒子を、上記のベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾したものである。
【0033】
[構成単位A]
構成単位Aは、下記一般式(2)で表されるモノマー(A−1)及び下記一般式(3)で示されるモノマー(A−2)の少なくともいずれかに由来する構成単位である。なお、下記一般式(2)で表されるモノマー(A−1)は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類及びその誘導体である。また、下記一般式(3)で表されるモノマー(A−2)は、スチレン及びその誘導体である。
【0034】
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 ・・・(2)
(前記一般式(2)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ芳香族炭化水素基を示し、mは、0〜2の整数を示す)
【0035】
CH2=CR3−Ar−R4 ・・・(3)
(前記一般式(3)中、R3は、水素原子又はメチル基を示し、Arは、フェニレン基を示し、R4は、水素原子、−R5、−OR5、又は−COOR5を示し、R5は、炭素原子数1〜18のアルキル基を示す)
【0036】
一般式(2)中、R2で表される脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基等を挙げることができる。なかでも、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基がさらに好ましい。一般式(2)中、R2で表される脂環式炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜18のシクロアルキル基、炭素原子数3〜18のシクロアルケニル基等を挙げることができる。
【0037】
一般式(2)中、R2で表される芳香族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。なかでも、フェニル基が好ましい。なお、上記の「芳香族炭化水素基」には、芳香環上の水素原子が炭化水素基に置換された基も含まれる。例えば、ベンジル基、アルキルフェニル基、ビフェニル基等が好ましい。一般式(2)中、R2で表されるヘテロ芳香族炭化水素基の具体例としては、上記の芳香族炭化水素基の芳香環を構成する炭素原子が窒素原子に置換された基(例えば、フェニルピリジル基)等を挙げることができる。
【0038】
モノマー(A−1)の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類(m=0);メタクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エトキシアルキル類(m=1);メタクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル等の(メタ)アクリル酸エトキシエトキシアルキル類(m=2);等を挙げることができる。なかでも、インクジェット記録用インクの吐出安定性の面で、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0039】
一般式(3)中のR4が水素原子であるモノマーの具体例としては、α−メチルスチレン、スチレン等を挙げることができる。なかでも、インクジェット記録用インクの吐出安定性の面でスチレンが好ましい。一般式(3)中、R5で表される炭素原子数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等が好ましい。
【0040】
一般式(3)中のR4が−R5で表される基であるモノマーの具体例としては、1−メチル−4−ビニルベンゼン、1−エチル−4−(プロペン−2−イル)ベンゼン、1−ブチル−4−(プロペン−2−イル)ベンゼン、1−ドデシル−4−(プロペン−2−イル)ベンゼン等を挙げることができる。なかでも、インクジェット記録用インクの吐出安定性の面で、1−メチル−4−ビニルベンゼン(別名:4−メチルスチレン)が好ましい。
【0041】
一般式(3)中のR4が−OR5で表される基であるモノマーの具体例としては、4−メトキシ−ビニルベンゼン、4−ブトキシ−ビニルベンゼン等を挙げることができる。また、一般式(3)中のR4が−COOR5で表される基であるモノマーの具体例としては、メチル−4−ビニルベンゾエート、ブチル−4−ビニルベンゾエート、ドデシル−4−ビニルベンゾエート、ヘキサデシル−4−ビニルベンゾエート、オクタデシル−4−ビニルベンゾエート等を挙げることができる。
【0042】
[構成単位B]
構成単位Bは、下記一般式(4)で表されるモノマー(B−1)に由来する構成単位である。下記一般式(4)で表されるモノマー(B−1)は、その末端にカルボキシ基を有するモノマーである。
【0043】
CH2=CR6−X−COOH ・・・(4)
(前記一般式(4)中、R6は、水素原子又はメチル基を示し、Xは、単結合又は炭素原子数1〜9の直鎖アルキレン基を示す。但し、前記直鎖アルキレン基中の−CH2−は、−O−O−結合が生じない条件で、−O−、−COO−、又は−OCO−に置換されていてもよい)
【0044】
モノマー(B−1)の具体例としては、メタクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸類;2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート;10−ウンデシレン酸等を挙げることができる。なかでも、インクジェット記録用インクの分散安定性の面で、親水性の高いアクリル酸が好ましい。
【0045】
原料微粒子を形成する共重合体が構成単位Aのみを有すると、樹脂微粒子と塗工用紙等の被記録媒体との接着性が低下する場合がある。一方、原料微粒子を形成する共重合体が構成単位Bのみを有すると、モノマー(B−1)の末端にカルボキシ基が存在するために水溶性が高くなりすぎてしまい、樹脂微粒子が形成されなくなる、或いは樹脂微粒子が形成されても耐水性が低下する場合がある。このため、原料微粒子を形成する共重合体は、構成単位Aと構成単位Bを有することが好ましい。なお、構成単位Aが、スチレン、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、及びビニルトルエンからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であり、構成単位Bが、アクリル酸、メタクリル酸、10−ウンデシレン酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構成単位であることが好ましい。
【0046】
原料微粒子を形成する共重合体の重量平均分子量は、1,000〜600,000であることが好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、被膜化した際に画像の耐擦過性をより向上させることができる。また、重量平均分子量が600,000以下であると、溶媒への溶解性を向上させることができるために、均一な被膜を形成することができる。なお、共重合体の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)をはじめとする各種クロマトグラフィー、静的光散乱法(Static Light Scattering:SLS)等により測定することができる。
【0047】
(樹脂微粒子分散体の製造方法)
例えば、樹脂微粒子の乾燥粉末を水性媒体に添加すると、樹脂微粒子の分散が不十分となる場合がある。このため、本発明の樹脂微粒子分散体は、モノマーを乳化重合することによって樹脂微粒子が水性媒体中に分散した状態で得ることが好ましい。本発明の樹脂微粒子分散体を製法する方法は特に限定されないが、例えば、以下に示す方法にしたがって製造することができる。
【0048】
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、及び窒素導入管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、所定量のモノマー及びベンズイミダゾリノン誘導体を入れ、1時間窒素する。300rpmで撹拌しながらイオン交換水100gを加える。恒温槽で80℃に加温し、適量のイオン交換水に溶解させた開始剤をシリンジにてフラスコ内に注入して重合を開始する。GPC及び1H−NMRで重合状況をモニタリングしながら重合すれば、所望とする樹脂微粒子を含有する樹脂微粒子分散体を得ることができる。
【0049】
自己分散し得ない樹脂微粒子を製造する場合には、通常、重合時に界面活性剤が使用される。界面活性剤は、共重合体の乳化又は粒子化を促進させるとともに、樹脂粒子の凝集や沈降を抑制する。これに対して、上記の樹脂微粒子分散体を製造する方法では通常の界面活性剤を使用していないが、良好な分散状態の樹脂微粒子分散体を得ることができる。これは、重合系内にベンズイミダゾリノン誘導体を添加したことで、重合によって形成された原料微粒子の表面にベンズイミダゾリノン誘導体が吸着し、原料微粒子と水性媒体との界面でベンズイミダゾリノン誘導体が界面活性剤と同等の役割を果たしたためであると推測される。
【0050】
ベンズイミダゾリノン誘導体は、その分子中に、極性の高いC=O結合及び窒素原子(N)と、極性の低いベンゼン環部分とを持つため、わずかに界面活性能を有する。このため、所定のモノマーとベンズイミダゾリノン誘導体の混合物にイオン交換水を加えると、ベンズイミダゾリノン誘導体は界面活性能を有する乳化剤として機能し、モノマーにより形成されるエマルション粒子の表面に存在する。その後、重合系内に開始剤を加えることで、開始剤から発生したラジカルとモノマーが反応して重合反応が開始される。反応物(共重合体)の成長とともに原料微粒子が形成され、形成された原料微粒子と水性媒体との界面にベンズイミダゾリノン誘導体が存在することになる。
【0051】
重合反応後は、精製して未反応のモノマーを除去してもよい。精製手段としては、例えば、透析、活性炭吸着、限外ろ過、遠心分離等がある。その後、pH調製、溶媒置換、濃度調整等の工程を経れば、樹脂微粒子分散体を得ることができる。
【0052】
樹脂微粒子分散体中の樹脂微粒子の体積累積中位径は、80nm以上900nm以下であることが好ましい。樹脂のガラス転移温度にもよるが、熱エネルギーを与えて飛翔させたインクを被記録媒体に付与して画像を記録するサーマル方式のインクジェット記録方法においては、樹脂微粒子の体積累積中位径が80nm未満であると、吐出が安定しない傾向にある。一方、樹脂微粒子の体積累積中位径が900nm超であると、被記録媒体上に記録した画像の表面に凹凸ができやすく、画像の耐擦過性が低下する傾向にある。
【0053】
樹脂微粒子分散体中の樹脂微粒子の含有率は、3〜30質量%であることが好ましい。樹脂微粒子の含有率が3質量%以上であると、十分な色濃度を付与可能なインクジェット記録用インクを調製することができる。また、樹脂微粒子の含有率が30質量%以下であると、分散安定性に優れたインクジェット記録用インクを得ることができる。
【0054】
原料微粒子を構成する樹脂(共重合体)の酸価は、0mgKOH/g以上304mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価は、1gの樹脂を中和するのに必要となるKOHの量(mg)で表される。樹脂の酸価が304mgKOH/g超であると、樹脂微粒子分散体の粘度が高くなり、吐出が安定しなくなる傾向になる。なお、樹脂の酸価は、樹脂を構成する各モノマーの組成比から算出することもできるが、商品名「Titrino」(Metrohm社製)等を使用した電位差滴定により測定することもできる。
【0055】
なお、原料微粒子を構成する樹脂(共重合体)が構成単位Bを含む場合には、構成単位B中のカルボキシ基を塩基で中和することで、共重合体同士の電子的反発を大きくし、樹脂微粒子の分散安定性をさらに高めることができる。カルボキシ基を中和する塩基としては、一価のアルキル金属の水酸化物が好ましく、水酸化カリウムがさらに好ましい。また、樹脂微粒子分散体のpHは、8.0〜10.0であることが好ましく、8.4〜9.8であることがさらに好ましい。樹脂微粒子分散体のpHが上記範囲内であると、得られるインクジェット記録用インクの長期保存安定性が向上し、長期保存後のインクの吐出性低下を抑制することができる。
【0056】
(水性媒体)
本発明の樹脂微粒子分散体は、樹脂微粒子を分散させる媒体である水性媒体を含有する。水性媒体としては、例えば、水、又は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒等を用いることができる。
【0057】
水としてはイオン交換水を用いることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;等を挙げることができる。
【0058】
水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒の混合比については特に限定されない。但し、水性溶媒を水のみとすることが好ましい。
【0059】
<インクジェット記録用インク>
本発明のインクジェット記録用インク(以下、単に「インク」とも記す)は、前述の樹脂微粒子分散体と、色材と、水溶性有機溶媒と、を含有する。すなわち、本発明のインクは、前述の樹脂微粒子分散体に、色材、水溶性有機溶媒等の各種溶剤、及び必要に応じて添加剤等を添加することで製造することができる。
【0060】
インク中の樹脂微粒子の含有率は、0.5〜5質量%であることが好ましい。樹脂微粒子の含有率が0.5質量%以上であると、耐擦過性に優れた画像を記録することができる。また、樹脂微粒子の含有率が5質量%以下であると、低粘度なインクとすることができる。
【0061】
インク中の色材の含有率は、1〜5質量%であることが好ましい。色材の含有率が1質量%以上であると、発色性に優れた画像を記録することができる。また、色材の含有率が5質量%以下であると、低粘度なインクとすることができる。
【0062】
樹脂微粒子と色材の含有比率は、固形分質量比で、樹脂微粒子:色材=1:2〜2:1であることが好ましい。色材の含有率が樹脂微粒子の含有率の1/2倍以上であると、吐出安定性に優れたインクとすることができる。また、色材の含有率が樹脂微粒子の含有率の2倍以下であると、保存安定性及び画像定着性に優れたインクとすることができる。
【0063】
ベンズイミダゾリノン誘導体は、色材に吸着しやすい化合物である。このため、ベンズイミダゾリノン誘導体は樹脂微粒子の表面に存在していたほうが、樹脂微粒子が色材を吸着しやすいために好ましい。但し、液中においてはベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子と、色材との混合物であっても分散性が保持される。それは以下の理由によるものと推測される。
【0064】
ベンズイミダゾリノン誘導体は、その分子中に−NH−基を有するが、水中では水和していると考えられる。このため、樹脂微粒子の近傍に色材が存在しても、ベンズイミダゾリノン誘導体と色材との吸着は水分子によって阻害されるので、水性インク中においてはベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子の分散安定性が保持される。ベンズイミダゾリノン誘導体で表面修飾された樹脂微粒子と色材は、同一インク中に存在してもよいし、別々のインクにそれぞれ存在させていてもよい。被記録媒体上にインクが着弾した後、被記録媒体に溶媒が吸収される、或いは大気中に溶媒が飛散することに伴い、被記録媒体上での樹脂微粒子と色材の濃度は上昇する。この際、ベンズイミダゾリノン誘導体と色材との吸着を阻害していた水分子が減少することで、ベンズイミダゾリノン誘導体と色材との距離が縮まり、樹脂微粒子と色材との吸着が生ずると考えられる。
【0065】
(色材)
色材としては、例えば、カーボンブラック等の顔料、イエロー/マゼンタ/シアン系の顔料、及び油溶性染料等を用いることができる。なお、本発明の樹脂微粒子分散体に用いるベンズイミダゾリノン誘導体は、これらいずれの色材に対しても優れた吸着性能を示す。但し、ベンズイミダゾリノン誘導体を用いて樹脂微粒子を製造する際には、対象とする色材に対するベンズイミダゾリノン誘導体の吸着性を確認しておき、より好ましい構造を有するベンズイミダゾリノン誘導体を選択して用いることが有効である。
【0066】
ブラック系の顔料及び油溶性染料の具体例としては、以下商品名で、Raven760Ultra、Raven1060Ultra、Raven1080、Raven1100Ultra、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500Ultra、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000ULTRAII、Raven1190ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);
【0067】
BlackPearlsL、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1300、Monarch1400(以上、キャボット社製);
【0068】
ColorBlackFW1、ColorBlackFW2、ColorBlackFW200、ColorBlack18、ColorBlackS160、ColorBlackS170、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack6、SpecialBlack550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ社製);
【0069】
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製)の他;
【0070】
C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45等を挙げることができる。
【0071】
イエロー系の顔料及び油溶性染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物等を挙げることができる。より具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180、C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、14、19、21、22、29、36、37、38、39、40、42、43、44、45、47、62、63、71、74、76、79、81、82、83:1、85、86、88、151等を挙げることができる。
【0072】
マゼンタ系の顔料及び油溶性染料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾリノン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等を挙げることができる。より具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、49、58、60、65、69、81、83:1、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122、127、218等を挙げることができる。
【0073】
シアン系の顔料及び油溶性染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等を挙げることができる。より具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66、C.I.ソルベントブルー14、24、25、26、34、37、38、39、42、43、44、45、48、52、53、55、59、67、70等を挙げることができる。
【0074】
(水溶性有機溶媒)
本発明のインクは、水溶性有機溶媒を含有する。水溶性有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオールなどのトリオール類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトールなどのヒンダードアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;グリセリン、ジメチルスルホキシキド、グリセリンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、β−ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。
【0075】
(各種添加剤)
本発明の樹脂微粒子分散体及びインクには、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。各種添加剤としては、インク組成物等に配合される従来公知の界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、及び防黴剤等を挙げることができる。
【0076】
<インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、エネルギーを与えて飛翔させたインクを被記録媒体に付与する工程を含む。そして、インクとして、前述のインクジェット記録用インクを使用することを特徴とする。エネルギーとしては、熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができる。なかでも、熱エネルギーを用いることが好ましい。
【0077】
本発明のインクジェット記録方法で用いる被記録媒体の種類は特に限定されるものではない。被記録媒体としては、いわゆるインクジェット専用紙、ハガキや名刺用紙、ラベル用紙、ダンボール用紙、インクジェット用フィルムや各種コピー用紙などが好ましい。また、コーティング層を有する被記録媒体を用いることもできる。コーティング層を有する被記録媒体としては、親水性ポリマー及び無機多孔質体の少なくともいずれかを含有する、インクを受容するコーティング層を少なくとも一方の面に有する被記録媒体が好ましい。
【0078】
本発明のインクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置としては、例えば、主としてA4サイズ紙を用いる一般家庭用プリンター、名刺やカードを印刷対象とするプリンター、及び業務用の大型プリンターなどが挙げることができる。以下、好適なインクジェット記録装置について、一例を挙げて以下に説明する。
【0079】
(熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
図1は、インクカートリッジの構成を説明する模式図である。インクカートリッジ100は、インク供給チューブ104を介してヘッドに供給されるインクを収容している。供給用インクを収納したインク袋101の先端には、塩素化ブチルゴム製の栓102が設けられている。この栓102に針103を挿入することにより、インク袋101中のインクを記録ヘッド(303から306)に供給できる。また、インクカートリッジ内に廃インクを受容するインク吸収体を設けてもよい。本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが一体になったものも好適に用いられる。
【0080】
図2は、インクジェット記録ヘッドの構造を説明する模式図である。各ノズル202には、それぞれに対応した発熱体(ヒータ204)が設けられており、記録ヘッド駆動回路からヒータ204に所定の駆動パルスを印加することにより加熱し、気泡を発生させ、その作用で吐出口202からインク液滴を吐出する。なお、ヒータ204はシリコン基板206の上に半導体製造プロセスと同様の手法で形成される。なお、符号203は各ノズル202を構成するノズル隔壁を示し、符号205は各ノズル202にインクを供給するための共通液室を示し、符号207は天板を示す。
【0081】
図3は、インクジェット記録装置の透視図である。記録装置300の被記録用紙302は、例えばロール供給ユニット301から供給され、記録装置300本体に具備された搬送ユニットによって連続的に搬送される。搬送ユニットは、搬送モータ312、搬送ベルト313などから構成される。記録は、被記録材の画像切り出し位置がブラックの記録ヘッド303の下を通過するときに、記録ヘッドからブラックインクを吐出開始し、同様に、シアン304、マゼンタ305、イエロー306の順に、各色のインクを選択的に吐出してカラー画像を形成する。
【0082】
記録装置300は、この他、各記録ヘッドを待機中にキャップするキャップ機構311、各々の記録ヘッド303から306にインクを供給するためのインクカートリッジ307〜310、インクの供給や回復動作のためのポンプユニット(不図示)、記録装置全体を制御する制御基板(不図示)などによって構成されている。
【0083】
図4は、インクジェット記録装置の回復処理系の概略図である。記録ヘッド303〜306が下降したとき、インク吐出口形成面がキャップ機構311内の塩素化ブチルゴムにより形成されたキャップ400に近接することにより所定の回復動作の実行が可能である。
【0084】
回復処理系におけるインク再生回路部は、補給されるインクが貯留されポリエチレン袋に収容されるインクカートリッジ100;吸引ポンプ403などを介して接続されるサブタンク401;キャップ400とサブタンク401との間を接続する塩化ビニルにより形成されたインク供給路409に配され、キャップ機構311からのインクをサブタンク401に回収する吸引ポンプ403;キャップから回収したインク中のゴミなどを除去するフィルター405;インク供給路408を介して接続され記録ヘッド303〜306の共通液室にインクを供給する加圧ポンプ402;記録ヘッドから戻ったインクをサブタンク401に供給するインク供給路407;弁404a〜404dを主要な要素として構成されている。
【0085】
記録ヘッド303〜306のクリーニング時において、回復弁404bを閉鎖し加圧ポンプ402を作動することによりサブタンク401から記録ヘッドにインクを加圧供給し、ノズル406から強制排出させる。これにより、記録ヘッドのノズル内の泡、インク、ゴミなどを排出する。吸引ポンプ403は、記録ヘッドからキャップ機構311内に排出されたインクをサブタンク401に回収する。
【0086】
(力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置)
次に、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の好ましい一例について説明する。力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置としては、例えば、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料及び導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを備えた記録装置を挙げることができる。図5は、インクジェット記録ヘッドの別の構成例を示す概略断面図である。
【0087】
ヘッドは、インク室(不図示)に連通したインク流路80と、所望の体積のインク滴を吐出するためのオリフィスプレート81と、インクに直接圧力を作用させる振動板82と、この振動板82に接合され、電気信号により変位する圧電素子83と、オリフィスプレート81、振動板82などを指示固定するための基板84とから構成されている。
【0088】
図5において、インク流路80は、感光性樹脂などで形成され、オリフィスプレート81は、ステンレス、ニッケルなどの金属を電鋳やプレス加工による穴あけなどにより吐出口85が形成され、振動板82はステンレス、ニッケル、チタンなどの金属フィルムおよび高弾性樹脂フィルムなどで形成され、圧電素子83は、チタン酸バリウム、PZTなどの誘電体材料で形成される。以上のような構成の記録ヘッドは、圧電素子83にパルス状の電圧を与え、歪み応力を発生させ、そのエネルギーが圧電素子83に接合された振動板82を変形させ、インク流路80内のインクを垂直に加圧しインク滴(不図示)をオリフィスプレート81の吐出口85より吐出して記録を行うように動作する。
【実施例】
【0089】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
【0090】
合成したベンズイミダゾリノン誘導体の分子構造は、核磁気共鳴装置(1H−NMR、商品名「ECA400」、日本電子社製、溶剤:テトラヒドロフラン−d8)を使用して同定した。また、樹脂微粒子の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製、商品名「HLC8220」、カラム:TSK−GEL4000HXL、TSK−GEL3000HXL、TSK−GEL2000HXL、カラムオーブン温度:40.0℃)を使用して測定した。
【0091】
<中間体1の合成>
撹拌シール、撹拌棒、滴下漏斗、セプタムラバー、窒素導入管、及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン15部(0.1モル)及び9%希塩酸138部(0.34モル)を入れて5℃以下に冷却した。18.7%亜硝酸ナトリウム水溶液37部(0.1モル)を氷冷しながら滴下し、ジアゾニウム塩溶液を調製した。一方、メチルアセトアセテート12部(0.1モル)に、エタノール230部、及び36.5%酢酸ナトリウム水溶液126部(0.56モル)を加えて撹拌し、5℃以下に冷却して溶液を調製した。調製した溶液にジアゾニウム塩溶液をゆっくり滴下し、氷冷下で30分、さらに室温で1時間撹拌した。その後、生成した析出物をろ取し、水洗及び乾燥して中間体1を得た(収率97%)。
【0092】
<中間体2の合成>
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、窒素導入管、及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、イオン交換水47部、水酸化ナトリウム20部を入れて撹拌した。水酸化ナトリウムが完全に溶解したことを確認した後、メタノール94部を加えて撹拌した。中間体1 138部(0.5モル)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、メタノールを留去するとともに、生成した析出物をろ取し、水洗及び乾燥して中間体2を得た(収率98%)。
【0093】
<ベンズイミダゾリノン誘導体1の合成>
撹拌シール、撹拌棒、滴下漏斗、セプタムラバー、窒素導入管、及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、上記で得た中間体2 12.0部(0.04モル)及びピリジン170部を入れ、中間体1をピリジンに溶解させて5℃以下に冷却した。次いで、メタクリロイルクロリド16.7部(0.16モル)をピリジン90部に溶解させたものを滴下して1時間撹拌した。その後、水200部を添加して反応を停止させ、遠心分離による分離及び水洗を行って、前記式(1−1)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体1を得た(収率70%)。
【0094】
<中間体3の合成>
メチルアセトアセテートをマロン酸ジメチル13部(0.1モル)に変更したこと以外は、前述の「中間体1の合成」と同様の方法により中間体2を合成した(収率97%)。
【0095】
<中間体4の合成>
中間体1を中間体3 146部(0.5モル)に変更したこと以外は、前述の「中間体2の合成」と同様の方法により中間体4を合成した(収率98%)。
【0096】
<ベンズイミダゾリノン誘導体2の合成>
中間体2を中間体4 9.9部(0.04モル)に変更したこと、及びメタクリルクロリドの量を33.4部(0.32モル)に変更したこと以外は、前述の「ベンズイミダゾリノン誘導体1の合成」と同様の方法により、前記式(1−2)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体2を合成した(収率50%)。
【0097】
<ベンズイミダゾリノン誘導体3の合成>
メタクリルクロリドをアクリロイルクロリド14.5部(0.16モル)に変更したこと以外は、前述の「ベンズイミダゾリノン誘導体1の合成」と同様の方法により、前記s記(1−3)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体3を合成した(収率70%)。
【0098】
<ベンズイミダゾリノン誘導体4の合成>
メタクリルクロリドをアクリロイルクロリド29.0部(0.32モル)に変更したこと以外は、前述の「ベンズイミダゾリノン誘導体2の合成>と同様の方法により、前記式(1−4)で表されるベンズイミダゾリノン誘導体4を合成した(収率50%)。
【0099】
<ベンズイミダゾリノン誘導体5の合成>
メチルアセトアセテートをアセチルアセトン10部(0.1モル)に変更したこと以外は、前述の「中間体1の合成」と同様の方法によりベンズイミダゾリノン誘導体5を合成した(収率98%)。
【0100】
<ベンズイミダゾリノン誘導体の界面活性能の確認>
ビーカーに、ベンズイミダゾリノン誘導体1 0.2115部(0.6410ミリモル)、n−ブチルアクリレート 17.1116部(133.4758ミリモル)、スチレン8.6079部(82.6491ミリモル)、アクリル酸4.3073部(59.7738ミリモル)、及び超純水100部を入れ、撹拌混合して懸濁液を得た。一方、別のビーカーに超純水200部を入れ、その先が液面に接触するように電気伝導度計(商品名「ES−12」、HORIBA社製)を設置した後、撹拌しながら懸濁液を滴下した。滴下と同時に、縦軸に電気伝導度計の値、及び横軸にベンズイミダゾリノン誘導体1の混合溶液中の濃度をプロットしたグラフを作成した。その結果、作成したグラフには変曲点があり、ベンズイミダゾリノン誘導体1の界面活性能を確認することができた。また、横軸の値(=CMC:Critical Micelle Concentration(臨界ミセル濃度))は0.60%であった。
【0101】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体2 0.2564部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にして界面活性能を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体2の界面活性能を確認することができた。また、ベンズイミダゾリノン誘導体2の臨界ミセル濃度は0.40%であった。
【0102】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体3 0.2026部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にして界面活性能を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体3の界面活性能を確認することができた。また、ベンズイミダゾリノン誘導体3の臨界ミセル濃度は0.59%であった。
【0103】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体4 0.2385部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にして界面活性能を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体4の界面活性能を確認することができた。また、ベンズイミダゾリノン誘導体4の臨界ミセル濃度は0.39%であった。
【0104】
<ベンズイミダゾリノン誘導体の(メタ)アクリロイルオキシ基の反応性の確認>
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、窒素導入管、及び温度計を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、ベンズイミダゾリノン誘導体1 0.2115部(0.6410ミリモル)及びイオン交換水284.24部を入れ、加熱したオイルバスに設置して撹拌した。内温が80℃で安定したところで、イオン交換水20部に溶解させた過硫酸カリウム0.1603部(0.5931ミリモル)を加え、4時間加熱した。得られた液からエバポレーションにより水を留去して測定用試料を調製した。調製した測定用試料につき、重DMFを用いてNMR測定を行ったところ、ベンズイミダゾリノン誘導体1のメタクリロイルオキシ基は80℃で反応していないことを確認した。
【0105】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体2 0.2564部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にしてメタクリロイルオキシ基の反応性を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体2のメタクリロイルオキシ基は80℃で反応していないことを確認した。
【0106】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体3 0.2026部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にしてアクリロイルオキシ基の反応性を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体3のアクリロイルオキシ基は80℃で反応していないことを確認した。
【0107】
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体4 0.2385部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述のベンズイミダゾリノン誘導体1の場合と同様にしてアクリロイルオキシ基の反応性を確認した。その結果、ベンズイミダゾリノン誘導体4のアクリロイルオキシ基は80℃で反応していないことを確認した。
【0108】
<樹脂微粒子分散体の調製>
(実施例1)
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、窒素導入管、及び温度計を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、ベンズイミダゾリノン誘導体1 0.2115部(0.6410ミリモル)、n−ブチルアクリレート17.1116部(133.4758ミリモル)、スチレン8.6079部(82.6491ミリモル)、及びアクリル酸4.3073部(59.7738ミリモル)を入れた。撹拌混合した後、撹拌しながらイオン交換水284.24部を加えて窒素フローを開始した。30分窒素置換した後、加熱したオイルバスに設置し、内温が80℃で安定したところで、イオン交換水20部に溶解させた過硫酸カリウム0.1603部(0.5931ミリモル)を加えて重合を開始した。なお、重合状況をゲル浸透クロマトグラフィー及びNMRでモニタリングしながら重合を行った。得られた反応液を分画分子量16,000の限外濾過膜(東洋濾紙社製)でろ過した。ろ液をNMR測定し、反応しなかった残モノマーのピークが検出されなくなるまで水を交換してろ過する精製を行った。得られた精製物の酸価を測定(測定溶媒:THF)したところ、112mgKOH/gであった。また、精製物をエバポレーターで濃縮した後、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を加えてpHを8に調整し、樹脂微粒子分散体1(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体1中の樹脂微粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は200,000であった。
【0109】
(実施例2)
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体2 0.2564部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体2(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体2中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0110】
(実施例3)
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体3 0.2026部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体3(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体3中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0111】
(実施例4)
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体4 0.2385部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体4(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体4中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0112】
(実施例5)
2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート28.9632部(152.9268ミリモル)のみをモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体5(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体5中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は244mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0113】
(実施例6)
10−ウンデシレン酸4.3043部(23.3743ミリモル)のみをモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体6(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体6中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は304mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0114】
(実施例7)
n−ブチルアクリレート28.0000部(218.4087ミリモル)のみをモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体7(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体7中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0115】
(実施例8)
スチレン28.0000部(268.8430ミリモル)のみをモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体7(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体7中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0116】
(実施例9)
スチレン14.0000部(134.4215ミリモル)及びn−ブチルアクリレート14.0000部(109.2043ミリモル)をモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体9(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体9中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は0mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0117】
(実施例10)
過硫酸カリウムの量を2.2674部(8.38779ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体10(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体10中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は1,000であった。
【0118】
(実施例11)
過硫酸カリウムの量を0.0926部(0.3424ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体11(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体11中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は600,000であった。
【0119】
(実施例12)
過硫酸カリウムの量を3.2066部(11.8621ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体12(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体12中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は500であった。
【0120】
(実施例13)
過硫酸カリウムの量を0.0889部(0.329ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体13(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体13中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は650,000であった。
【0121】
(実施例14)
実施例1で得た樹脂微粒子分散体1に水を添加して、樹脂微粒子分散体14(固形分濃度:3.0%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体14中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0122】
(実施例15)
実施例1で得た樹脂微粒子分散体1をエバポレーションして、樹脂微粒子分散体15(固形分濃度:30%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体15中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0123】
(実施例16)
実施例1で得た樹脂微粒子分散体1に水を添加して、樹脂微粒子分散体16(固形分濃度:2.5%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体16中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0124】
(実施例17)
実施例1で得た樹脂微粒子分散体1をエバポレーションして、樹脂微粒子分散体17(固形分濃度:31%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体17中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0125】
(実施例18)
アクリル酸をメタクリル酸4.3073部(50.0325ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体18(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体18中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は93mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0126】
(実施例19)
スチレンを4−ビニルトルエン8.6079部(72.8372ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体19(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体19中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0127】
(実施例20)
n−ブチルアクリレートをメタクリル酸メチル17.1116部(170.9109ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体20(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体20中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0128】
(実施例21)
実施例1で得た樹脂微粒子分散体1を濃縮しながら徐々にグリセリン152.12部を添加し、水をグリセリンに置換した樹脂微粒子分散体21(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体21中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。なお、樹脂微粒子分散体21の固形分濃度は、グリセリン置換前の質量とグリセリン置換後の質量に基づき、以下の式より算出した。
固形分濃度[%]
=置換前の固形分濃度10.0%×(置換後の質量[g]/置換前の質量[g])
【0129】
(比較例1)
ベンズイミダゾリノン誘導体1をベンズイミダゾリノン誘導体5 0.1667部(0.6410ミリモル)に変更したこと以外は、前述の実施例1と同様にして、樹脂微粒子分散体22(固形分濃度:10%)を得た。得られた樹脂微粒子分散体22中の樹脂微粒子を構成する樹脂の酸価は112mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0130】
(比較例2)
アクリル酸26.7583部(371.3336ミリモル)のみをモノマーとして用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして樹脂微粒子分散体を調製しようとしたが、樹脂微粒子の形成を確認することができなかった。なお、得られた樹脂の酸価は779mgKOH/gであり、重量平均分子量は200,000であった。
【0131】
実施例1〜21、比較例1及び2で得た樹脂微粒子分散体の詳細を表1に示す。
【0132】
【0133】
<樹脂微粒子分散体の評価>
(色材への吸着性)
[測定用の試料調製]
イオン交換水17部及び樹脂微粒子分散体1 4部を混合して溶液(S)を得た。得られた溶液(S)に、カーボンブラック(商品名「CAB−O−JET400」、キャボット社製、固形分濃度:15%)5.3部を加えて30分間超音波分散を行った。室温で1時間静置した後、遠心分離によって上澄み液を回収した。そして、溶液(S)及び上澄み液を測定用の試料とした。また、樹脂微粒子分散体の種類及び量、並びにイオン交換水の量を表2に示すようにしたこと以外は、上記と同様にして、それぞれの樹脂微粒子分散体についての測定用の試料を調製した。なお、樹脂微粒子分散体23については樹脂微粒子の形成が確認できなかったため、測定用の試料を調製しなかった。
【0134】
[吸着率の測定及び算出]
調製した溶液(S)及び上澄み液にそれぞれイオン交換水を加えて20倍に希釈し、測定用溶液(溶液(S)希釈液、上澄み希釈液)を得た。各測定用溶液の420nmにおける吸光度を測定し、下記式(I)より、それぞれの樹脂微粒子分散体の色材への吸着率を算出した。
吸着率(%)=(1−j/k)×100 ・・・(I)
j:上澄み希釈液の吸光度
k:溶液(S)希釈液の吸光度
【0135】
[評価基準]
算出したそれぞれの樹脂微粒子分散体の吸着率から、以下に示す評価基準にしたがって色材への吸着性を評価した。評価結果を表2に示す。
○:吸着率80%以上
×:吸着率80%未満
【0136】
(分散安定性)
それぞれの樹脂微粒子分散体について、樹脂微粒子の体積累積中位径を測定した後、80℃の温度条件下、密閉状態で2週間保存した。保存後の樹脂微粒子分散体中の樹脂微粒子の体積累積中位径を測定し、下記式(II)より、それぞれの樹脂微粒子分散体の粒子径増加率を算出した。算出したそれぞれの樹脂微粒子分散体の粒子径増加率から、以下に示す評価基準にしたがって分散安定性を評価した。評価結果を表2に示す。なお、樹脂微粒子の体積累積中位径の測定には、ナノ粒子粒度分布測定器(商品名「UPA−EX250」、日機装社製)を使用した。
粒子径増加率(%)={(A−B)/B}×100 ・・・(II)
A:保存後の樹脂微粒子の体積累積中位径
B:保存前の樹脂微粒子の体積累積中位径
◎:粒子径増加率が5%以下
○:粒子径増加率が5%超10%以下
△:粒子径増加率が10%超30%以下
×:粒子径増加率が30%超
【0137】
【0138】
表2に示す評価結果から明らかなように、実施例1〜21の樹脂微粒子分散体の色材への吸着性と分散安定性は、いずれも良好であった。一方、比較例1の樹脂微粒子分散体については、色材への吸着性が不良であった。また、比較例2については、樹脂微粒子の形成が確認できなかったため、評価不能であった。
【0139】
<インクの調製>
(実施例22)
グリセリン10部、ジエチレングリコール20部、及びイオン交換水35部を混合し、1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH7に調整したものを、撹拌した樹脂微粒子分散体1 15部に滴下した。十分に撹拌した後、撹拌したカーボンブラック(商品名「CAB−O−JET400」、キャボット社製、固形分濃度:15%)20部に滴下した。1mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH9に調整した後、孔径1.2μmのフィルターでろ過してインク1を得た。
【0140】
(実施例23)
カーボンブラックをピグメントブルー15:4(商品名「CAB-O-JET450C」、キャボット社製、固形分濃度:15%)に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク2を得た。
【0141】
(実施例24)
カーボンブラックをピグメントイエロー74(商品名「CAB−O−JET470Y」、キャボット社製、固形分濃度:15%)に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク3を得た。
【0142】
(実施例25)
カーボンブラックをピグメントレッド122(商品名「CAB−O−JET465M」、キャボット社製、固形分濃度:15%)に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク4を得た。
【0143】
(実施例26)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体2に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク5を得た。
【0144】
(実施例27)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体3に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク6を得た。
【0145】
(実施例28)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体4に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク7を得た。
【0146】
(実施例29)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体5に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク8を得た。
【0147】
(実施例30)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体6に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク9を得た。
【0148】
(実施例31)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体7に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク10を得た。
【0149】
(実施例32)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体8に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク11を得た。
【0150】
(実施例33)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体9に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク12を得た。
【0151】
(実施例34)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体10に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク13を得た。
【0152】
(実施例35)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体11に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク14を得た。
【0153】
(実施例36)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体12に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク15を得た。
【0154】
(実施例37)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体13に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク16を得た。
【0155】
(実施例38)
イオン交換水を用いなかったこと、及び樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体14 50部に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク17を得た。
【0156】
(実施例39)
イオン交換水を45部用いたこと、及び樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体15 5部に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク18を得た。
【0157】
(実施例40)
イオン交換水を用いなかったこと、及び樹脂微粒子分散体1に代えて、60部から50部となるまでエバポレーションで濃縮した樹脂微粒子分散体16 50部を用いたこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク19を得た。
【0158】
(実施例41)
イオン交換水を45.16部用いたこと、及び樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体17 4.8部に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク20を得た。
【0159】
(実施例42)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体18に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク21を得た。
【0160】
(実施例43)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体19に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク22を得た。
【0161】
(実施例44)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体20に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク23を得た。
【0162】
(実施例45)
グリセリンを2.6部用いたこと、イオン交換水を28部用いたこと、及び樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体21に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク24を得た。
【0163】
(比較例3)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体22に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク25を得た。
【0164】
(比較例4)
樹脂微粒子分散体1を樹脂微粒子分散体23に変更したこと以外は、前述の実施例22と同様にしてインク26を得た。
【0165】
<インクの評価>
(分散安定性)
前述の「樹脂微粒子分散体の評価」における「分散安定性」と同様の方法により、インクの分散安定性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0166】
(耐擦過性)
各インクをインクジェット記録装置に搭載し、100%デューティーのベタ画像を被記録媒体に印字した後、24時間25℃で放置した。被記録媒体の印字面を2×104N/m2の荷重をかけたシルホン紙により50回擦過した。そして、シルホン紙への印字部分(ベタ画像)の転写状態を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。評価結果を表3に示す。なお、インクジェット記録装置としては、熱エネルギーを付与してインクを吐出させるサーマル方式のインクジェット記録装置(商品名「P−660CII」、キヤノンファインテック社製)を用いた。また、被記録媒体としては、普通紙(商品名「GF−500」、キヤノン社製)を用いた。
○:画像の擦れがなく、シルボン紙への付着もない
△:画像の擦れはないが、シルボン紙への付着がある
×:画像の擦れが若干ある
−:吐出不可又は測定不可
【0167】
【0168】
実施例22〜45のインクは、分散安定性と印字後の耐擦過性が良好であった。一方、比較例3のインクは印字後の耐擦過性が不良であり、インクとして使用不能なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の樹脂微粒子分散体は、インクジェット記録用インクに添加することが可能なバインダーとして好適に用いることができる。そして、本発明のインクジェット記録用インクを用いれば、塗工印刷用紙のようなインクの浸透性が低い用紙に対しても耐擦過性に優れた画像を記録することができる。
【符号の説明】
【0170】
100:インクカートリッジ
101:インク袋
102:ゴム栓
103:針
104:チューブ
201:ベースプレート
202:インクノズル(吐出口)
203:隔壁
204:ノズルヒータ
205:共通液室
206:基板
207:天板
300:記録装置
301:ロール供給ユニット
302:被記録媒体(ロール紙)
303:記録ヘッド(ブラック)
304:記録ヘッド(シアン)
305:記録ヘッド(マゼンタ)
306:記録ヘッド(イエロー)
307:インクカートリッジ(ブラック)
308:インクカートリッジ(シアン)
309:インクカートリッジ(マゼンタ)
310:インクカートリッジ(イエロー)
311:キャップ機構
312:搬送モータ
313:搬送ベルト
400:キャップ
401:サブタンク
402:加圧ポンプ
403:吸引ポンプ
404a:供給弁
404b:回復弁
404c:大気開放弁
404d:リサイクル弁
405:フィルター
406:フェース(ノズル)面
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
図1
図2
図3
図4
図5