【実施例1】
【0017】
本発明の第1実施形態である低温保管システムは、
図1乃至
図5に示すように、開口部111と内部に保管トレーPを保持する複数の保持棚112とを備えた低温保管庫110と、開口部111から内部に挿入され保管トレーPを移送する移送手段120とを有している。
低温保管庫110は
図1、
図2に示すように、矩形状に形成され、上方にT字状の開口部111が設けられている。
開口部111の短辺方向に延びる部分が、後述する移送手段120の支持腕部121が挿入されるための開口であり、長辺方向に延びる部分(111b)が、支持腕部121が挿入された状態で移送手段120の縦移動機構122が横方向に移動するための開口である。
本実施形態では、扉開口機構117により開閉される開口部扉116が、それぞれの部分に独立して設けられている。
【0018】
低温保管庫110の内部には、
図3、
図4に示すように、保管トレーPの2側面を載置する複数の桁部材115で構成される複数の保持棚112が、縦方向に複数段(
図4の2点鎖線で示す。)、移送手段120の横移動方向に並ぶようにかつ、移送手段120の移動空間を挟んで
縦方向及び横方向と直行する第3方向に対向
するように設けられている。
また、開口部111の下方には、保管トレーの縦方向の通過を許容する通過部113が各段に設けられている。
本実施例形態では、複数の桁部材115が長辺側の両方の内壁部から内側に向かって平行に延びるように設けられ、複数の保持棚112及び通過部113が短辺方向にも並列に構成されている。
さらに、開口部111の下端には、保管トレーPを下方から当接して位置決めする位置決め部114が設けられている。
【0019】
移送手段120は、
図1、
図4、
図5等に示すように、保管トレーPの底面を支持する支持腕部121と、支持腕部121を縦方向に移動させる縦移動機構122と、支持腕部121を横方向に移動させる横移動機構123を有している。
縦移動機構122は、支持腕部121を最下端に有する伸縮部125と、伸縮部125の正確な縦移動をガイドする縦移動ガイド124からなる。
伸縮部125の駆動機構は、いかなるものであってもよい。
例えば、上下スペースが少なくてすむ噛み合いチェーンを用いたもの等が好ましい。
【0020】
本実施形態では、横移動機構123は、縦移動機構122全体を低温保管庫110の長辺方向に移動させるように構成されている。
また、支持腕部121は、短辺方向に対向して並列に設けられた両方の保持棚112に保持された保管トレーPを同時に支持できるよう、短辺方向の両側に張り出すように設けられている。
保管トレーPは、例えば
図6に示すように、多数のマイクロチューブTを直接収容保持するように構成されていてもよく、
図7に示すように、別途のパレット等を載置できるステージSを備えたものであってもよい。
【0021】
本実施形態では、最も上の段の通過部113の並びには、保管トレー置換部130が設けられている。
保管トレー置換部130は、
図8に示すように、通過部113側から順に、保持棚112の横方向に3つ分使用して、第1保管部131、第2保管部132、第1保管部131と並べて設けられている。
第1保管部131は、
縦方向及び横方向の同一位置
で、第3方向に対向する一方側(図示上方側)に保管トレーPを保持する置換用保持棚133、他方側(図示下方側)に保管トレーPの縦方向の通過を許容する置換用通過部134が配置されており、第2保管部132は、第1保管部131とは逆に、
縦方向及び横方向の同一位置
で、第3方向に対向する一方側(図示上方側)に保管トレーPの縦方向の通過を許容する置換用通過部134、他方側(図示下方側)に保管トレーPを保持する置換用保持棚133が配置されている。
【0022】
以上のように構成された、本実施形態の低温保管システム100の動作について、一例として、低温保管庫110の最下段の最左列に保管された保管トレーPを位置決め部114まで移送して位置決めする場合について、
図9に基づいて説明する。
各段の上下の桁部材115の間隔は、支持腕部121が保管対象(図示せず)を保持した保管トレーPを支持したまま、各保持棚112の保管対象(図示せず)を保持した保管トレーPの上方を通過できるように設定されている。
まず、縦移動機構122によって、支持腕部121が開口部111の上方から挿入され、各段の通過部113を通過して最下段の桁部材115の下方位置まで下降する(
図9a−b)。
【0023】
次に、横移動機構123によって、支持腕部121が最下段の桁部材115の下方を通過して、最左列に保管された保管トレーPの直下位置まで移動する(
図9b−c)。
次に、縦移動機構122によって、支持腕部121が最下段の桁部材115の上方位置まで上昇して保管トレーPを載置する(
図9c−d)。
次に、横移動機構123によって、支持腕部121が保管トレーPを支持したまま最下段の桁部材115と一段上の桁部材115の間を横方向に通過して、通過部113の位置まで移動する(
図9d−e)。
次に、縦移動機構122によって、支持腕部121が保管トレーPを支持したまま上昇し、保管トレーPの上面が位置決め部114に当接して、保管トレーPが低温保管庫110内で位置決め固定される(
図9e−f)。
この状態で、ピッキング機構等により、保管トレーPから必要な保管対象が搬出され、あるいは、保管対象を保管トレーPに搬入することができる。
【0024】
保管トレーPを任意の保持棚112に載置する場合は、上記と逆の動作となる。
なお、長辺側の開口部扉116は、移送手段120の位置に応じて適宜開閉することで、低温保管庫110内の温度上昇を抑制し冷却材に係るコストを低減することが可能である。
また、位置決め部114を設けず、あるいは、可動式等に構成し、保管トレーPを低温保管庫110の外まで搬出可能としてもよい。
【0025】
上記の動作では、支持腕部121は、
縦方向及び横方向の同一位置
で、第3方向に対向する両側の保持棚112から同時に保管トレーPを支持して移送することとなるが、対向する両側で
縦方向及び横方向の異なる位置の保持棚112に収容された保管トレーPを開口部111の下方に移送したい場合は、保管トレー置換部130を使用することにより、支持腕部121が支持する保管トレーPを置き換えることができる。
この置き換え動作の一例を、
図10に示す(図中、黒実線矢印は、上方側に記載されたものは、段の上方を支持腕部121が移動し、下方側に記載されたものは、段の下方を支持腕部121が移動することを表す。)。
最終的に開口部111の下方に移送したい保管トレーは、保管トレーR及びLであり、保管トレーRは対向する
縦方向及び横方向の同一位置の保持棚に保管トレーlが存在し、保管トレーLは対向する
縦方向及び横方向の同一位置の保持棚に保管トレーrが存在するものとする。
【0026】
まず、支持腕部121により保管トレーR及びlが支持されて、通過部113を通過して保管トレー置換部130のある最も上の段まで移送される(
図10a)。
次いで、支持腕部121は保管トレーR及びlを支持したまま段の上方側から横方向に移動し、隣接する第1保管部131で下降する(
図10b)。
保管トレーRは第1保管部131の置換用保持棚133に一旦載置され、保管トレーlは第1保管部131の置換用通過部134を下方に通過し、支持腕部121は保管トレーlのみを支持したまま段の下方側から横方向に移動して通過部113に達する(
図10c)。
再び、支持腕部121は保管トレーlを支持したまま段の上方側から横方向に移動し、1つおいて隣接する第2保管部132で下降する(
図10d)。
保管トレーlは第2保管部132の置換用保持棚133に一旦載置され、支持腕部121は何も支持しない状態で下方側から横方向に移動して通過部113に達する(
図10e)。
【0027】
次に、支持腕部121により保管トレーr及びLが支持されて、通過部113を通過して保管トレー置換部130のある最も上の段まで移送される(
図10f)。
支持腕部121は保管トレーr及びLを支持したまま段の上方側から横方向に移動し、2つおいて隣接する第1保管部131で下降する(
図10g)。
保管トレーrは第1保管部131の置換用保持棚133に一旦載置され、保管トレーLは第1保管部131の置換用通過部134を下方に通過し、支持腕部121は保管トレーLのみを支持したまま段の下方側から横方向に移動して、通過部113に隣接する第1保管部131の下方に達する(
図10h)。
この位置で、支持腕部121が上昇することで、保管トレーRは第1保管部131の置換用保持棚133から支持腕部121に載置され、また、保管トレーLは第1保管部131の置換用通過部134を上方に通過する。
そして、支持腕部121が横方向に移動することで、保管トレーR及びLが支持されて通過部113に達する(
図10i)。
【0028】
なお、
図10に示す保管トレー置換部130より左側の通常の保持棚112に目的とする保管トレーRが収容されている場合は、最初の
図10aの状態を経ずに
図10bの状態まで動作し、目的とする保管トレーLが収容されている場合は、
図10dの状態から
図10e、fの状態を経ずに、
図10gの状態まで動作する。
以上の動作は一例であり、また、保管トレー置換部130の第1保管部131及び第2保管部132の数や配置によって、さらに多様な置き換え動作が可能である。
保管トレー置換部130の第1保管部131及び第2保管部132は、最低限、一方が1つ、他方が2つあれば、置き換え動作を行うことが可能である。
また、保管トレー置換部130の第1保管部131及び第2保管部132が、複数の段にまたがって設けられていてもよい。