特許第6283566号(P6283566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283566
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20180208BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20180208BHJP
   B65G 47/32 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   B65G47/52 Z
   B65G47/91 A
   B65G47/32
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-100870(P2014-100870)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218010(P2015-218010A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆人
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−163561(JP,A)
【文献】 特開2002−316716(JP,A)
【文献】 特開平06−211214(JP,A)
【文献】 特開昭61−254418(JP,A)
【文献】 特開2006−131363(JP,A)
【文献】 特開2004−269203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 47/56−47/62
B65G 47/80
B65G 47/84−47/86
B65G 47/90−47/96
B65G 47/22−47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
m行n列の行列状に整列した第1品種の物品からなる第1領域とm行n列の行列状に整列した第2品種の物品からなる第2領域を列方向に沿って隣接して形成した物品群を搬送する上流側搬送手段と、行列状に配列した保持部材によって前記上流側搬送手段の第1領域および第2領域からそれぞれ所定数の物品を一括して取り出す第1移載手段と、前記上流側搬送手段に沿って前記第1移載手段の下流側に配置され、行列状に配列した保持部材によって前記上流側搬送手段の第1領域および第2領域からそれぞれ所定数の物品を一括して取り出す第2移載手段と、複数の搬送区画が設定された下流側搬送手段とを備え、前記第1移載手段および第2移載手段によって前記上流側搬送手段から物品を取り上げて前記下流側搬送手段に移載し、前記各搬送区画に第1品種および第2品種の物品を所定の配置に整列させた物品群を形成する物品移載装置において、
前記第1移載手段は、それぞれ行列状に配列した複数の保持部材によって、前記第1領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第1移載ユニットと、前記第2領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第2移載ユニットを有し、前記第2移載手段は、それぞれ行列状に配列した複数の保持部材によって、前記第1領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第3移載ユニットと、前記第2領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第4移載ユニットを有し、
前記第2移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における行方向にずらして設定し、前記第3移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における列方向において一致させ、行方向においてずらして設定し、前記第4移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における行方向において一致させ、列方向においてずらして設定したことを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
前記第1ないし第4移載ユニットのそれぞれに、各保持部材の配置間隔を、前記上流側搬送手段から物品を取り上げるための第1間隔から前記下流側搬送手段に物品を移載するための第2間隔に変更する間隔変更手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記各移載手段は、一方および他方の移載ユニットによって前記上流側搬送手段から一括で物品を取り上げて、一方の移載ユニットによって前記下流側搬送手段の所定数の搬送区画上に一方の品種の物品を載置した後、他方の移載ユニットによって前記一方の移載ユニットが物品を移載した搬送区画に他方の品種の物品を移載することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記各移載手段は、第2間隔とした一方および他方の移載ユニットの保持部材の少なくとも一方を行方向に移動させて各移載ユニットの保持部材が交互に隣接するように配置させる移載ユニット移動手段を有することを特徴とする請求項2に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側搬送手段によって搬送されてきた物品を、移載手段によって取り出して下流側搬送手段に移載する物品移載装置に係り、特に、行列状に整列された複数品種の物品を取り出して、複数品種の物品からなる小分けされた物品群(以下、アソート物品群と呼ぶ)を形成する物品移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレイ供給コンベヤによって複数行複数列に整列されて搬送されてきた複数品種の物品を、複数の保持部材を有する移載手段によって異なる列の異なる品種の物品を選択して取り出し、箱詰めを行う際の物品のパターンに整列させて集積ステージ上に載置し、続いて、箱詰め装置の複数の吸着パッドをX方向およびY方向に移動させ、集積ステージ上の物品の間隔に一致させてこれら物品を吸着保持した後上昇し、その後、吸着パッドの間隔を物品の箱詰め時の間隔に調整して箱詰めを行うようにした物品移載装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−163561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された物品移載装置の構成では、トレイから移載手段によって物品を取り出して載置ステージ上に載せ、その後、箱詰め装置によって載置ステージ上の物品を取り上げてケース内に収容するようにしており、複数の装置によって物品の受け渡しを行うため処理能力に限界があるという問題があった。また、処理能力が十分でないため、上流側の供給コンベヤおよび下流側の搬出コンベヤを連続搬送しながら箱詰めをすることは困難であった。さらに、この装置は、トレイ上の物品群の行数と、ケース内に挿入される物品群の行数が一致している場合に限定されるものであり、異なる行数の物品群には適用できないという問題がある。また、仮にトレイ上の物品群の行数がケース内の物品の行数の倍である場合には、適用することは可能であるが、箱詰め装置において2度の移載動作が必要となり、処理能力に限界が生じるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、前記課題を解決するためになされたもので、m行n列の行列状に整列した第1品種の物品からなる第1領域とm行n列の行列状に整列した第2品種の物品からなる第2領域を列方向に沿って隣接して形成した物品群を搬送する上流側搬送手段と、行列状に配列した保持部材によって前記上流側搬送手段の第1領域および第2領域からそれぞれ所定数の物品を一括して取り出す第1移載手段と、前記上流側搬送手段に沿って前記第1移載手段の下流側に配置され、行列状に配列した保持部材によって前記上流側搬送手段の第1領域および第2領域からそれぞれ所定数の物品を一括して取り出す第2移載手段と、複数の搬送区画が設定された下流側搬送手段とを備え、前記第1移載手段および第2移載手段によって前記上流側搬送手段から物品を取り上げて前記下流側搬送手段に移載し、前記各搬送区画に第1品種および第2品種の物品を所定の配置に整列させた物品群を形成する物品移載装置において、前記第1移載手段は、それぞれ行列状に配列した複数の保持部材によって、前記第1領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第1移載ユニットと、前記第2領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第2移載ユニットを有し、前記第2移載手段は、それぞれ行列状に配列した複数の保持部材によって、前記第1領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第3移載ユニットと、前記第2領域上の取り上げ領域から物品を取り上げる第4移載ユニットを有し、前記第2移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における行方向にずらして設定し、前記第3移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における列方向において一致させ、行方向においてずらして設定し、前記第4移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニットの取り上げ領域に対して前記上流側搬送手段上の物品群における行方向において一致させ、列方向においてずらして設定したことを特徴とするものである。
【0006】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1ないし第4移載ユニットのそれぞれに、各保持部材の配置間隔を、前記上流側搬送手段から物品を取り上げるための第1間隔から前記下流側搬送手段に物品を移載するための第2間隔に変更する間隔変更手段を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記各移載手段は、一方および他方の移載ユニットによって前記上流側搬送手段から一括で物品を取り上げて、一方の移載ユニットによって前記下流側搬送手段の所定数の搬送区画上に一方の品種の物品を載置した後、他方の移載ユニットによって前記一方の移載ユニットが物品を移載した搬送区画に他方の品種の物品を移載することを特徴とするものである。
【0008】
また、第4の発明は、前記第2の発明において、前記各移載手段は、第2間隔とした一方および他方の移載ユニットの保持部材「の少なくとも一方」を行方向に移動させて各移載ユニットの保持部材が交互に隣接するように配置させる移載ユニット移動手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
第1移載手段の2つの移載ユニットによって、上流側搬送手段の異なる物品の取り上げ領域からそれぞれ物品を取り上げた後、この取り上げ領域の物品の配置を載置時のピッチに変更し、その後、下流側搬送手段の載置領域に載置するようにしたので、上流側搬送手段上の物品群の行数と下流側搬送手段の物品群の行数が不一致の場合でも物品の受け渡しが可能であり、しかも、処理能力を向上させることができ、上流側搬送手段および下流側搬送手段を連続搬送しながら物品の移載を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は物品移載装置の全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
図2図2は前記物品移載装置による動作を説明する説明図である。
図3図3(a)は移載ヘッドの構成および動作を説明する図であり、図(b)は移載ヘッドの各吸着パッドを連動させる機構を説明する図である。
図4図4は第2の実施例に係る物品移載装置による移載動作を順次説明する図である。(実施例2)
図5図5(a)、(b)は第2実施例の図3に対応する図である。
図6図6は移載ユニットによって取り出した物品の配置を拡開する工程を説明する図である。
図7図7は第1品種の物品と第2品種の物品の配置を拡開した後列方向の位置をずらす工程を説明する図である。
図8図8は位置をずらした2品種の物品を並列させる工程を説明する図である。
図9図9は第1移載ユニットの吸着パッドと第2移載ユニットの吸着パッドの差異を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
m行n列の行列状に整列した第1品種の物品と、m行n列の行列状に整列した第2品種の物品を列方向に沿って隣接させて配置した物品群を収容するトレイを連続的に搬送するトレイ供給コンベヤと、多数のバケットが連続して設けられ収容された物品を排出するバケットコンベヤと、第1品種の物品が配置された第1の領域の取り上げ領域から物品を取り出す移載ユニットと第2品種の物品が配置された第2の領域の取り上げ領域から物品を取り出す移載ユニットの2つの移載ユニットを有する第1および第2ロボットとを備えている。
【0012】
第1ロボットの第1移載ユニットと第2移載ユニットによってそれぞれ所定個数の第1品種の物品と第2品種の物品を取り出し、この取り出し時の物品の配置をバケットに挿入する際の物品の配置に変更した後、バケット内に2つの品種の物品が混在した状態に挿入し、複数品種の物品からなる小分けされた行列状の物品群(アソート物品群)を形成する。また、第2ロボットの第3移載ユニットと第4移載ユニットによって、前記第1ロボットの第1および第2移載ユニットによって取り出されなかった第1品種の物品と第2品種の物品を取り出し、同様にして物品の配置を変更した後、バケットコンベヤのバケット内に挿入し、アソート物品群を形成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この物品移載装置(全体として符号1で示す)は、複数品種の物品A、Bが複数行複数列に整列されて載置されたトレイ2を搬送する上流側搬送手段(トレイ供給コンベヤ4)と、複数の搬送区画(バケット6)が設定された下流側搬送手段(排出コンベヤ8)が平行に配置されている。トレイ供給コンベヤ4の側部に、2台の移載手段(第1移載手段である第1ロボット10と第2移載手段である第2ロボット12)が一定の間隔を隔てて設置され、これらロボット10、12によってトレイ2上の物品A、Bを取り出して前記バケット6内に挿入することにより物品A、Bの移載が行われる。
【0014】
トレイ供給コンベヤ4は、平行に配置された一対の無端状ベルト14A、14Bを備えており、これら両側の無端状ベルト14A、14Bに所定の間隔で取り付けられている桟16A、16Bによって、トレイ2を後方から押圧して矢印C方向に連続搬送する。トレイ供給コンベヤ4によって搬送されるトレイ2には、上流側に接続された図示しない製造装置によって製造された物品が載置されて搬送される。各トレイ2には、m行n列の行列状に整列した第1品種の物品Aと、同じく、m行n列の行列状に整列した第2品種の物品Bが載せられるようになっている。この実施例では、トレイ2に、6行5列の第1品種の物品A(図1中に白で示した物品)と、6行5列の第2品種の物品B(図1中に黒で示した物品)が列方向に並べて載置されている。トレイ2内の各物品A、Bは、行方向に一定の間隔で配置され(これら物品A、Bの行方向の間隔をP1で示す)、また、列方向にも一定の間隔で配置されている(これら物品A、Bの列方向の間隔をP2で示す)。この実施例では、行方向のピッチP1と列方向のピッチP2がほぼ同一になっている。
【0015】
下流側搬送手段である排出コンベヤ8は、多数のバケット6が連続して配置されたバケットコンベヤであり、トレイ供給コンベヤ4と同方向(矢印C参照)に連続搬送する。各バケット6は、搬送方向前方の壁面6aと後方の壁面6bの間に物品の載置部6cが形成されており、これら各載置部6cの両端(搬送方向の両側)が開放した形状をしている。この実施例では、各バケット6内に3行2列(第1品種の物品Aと第2品種の物品Bが1列3個ずつ)で6個の物品A、Bが載置されるようになっている。このバケットコンベヤ8の各バケット6内に収容されて搬送される物品A、Bは、下流側のカートニングマシン(図示せず)に送られてカートンに挿入される。
【0016】
第1移載手段および第2移載手段としてのロボット(第1ロボット10と第2ロボット12)は、三次元の産業用ロボットであり、エンドエフェクタに図3(a)、(b)に示す移載ヘッド18が取り付けられている。なお、第1ロボット10と第2ロボット12は、トレイ供給コンベヤ4と直交する仮想線に対して線対称の構成になっているので、図3(a)、(b)により第1ロボット10の移載ヘッド18の構成についてだけ説明し、第2ロボット12の移載ヘッドについてはその説明を省略する。
【0017】
第1ロボット10の移載ヘッド18は、図3(a)の上部側と下部側に示すように、3行5列の吸着パッド20を有する移載ユニット22、24が2組設けられている。図の上方に示す第1移載ユニット22と下方に示す第2移載ユニット24は、点対称の構成になっており、一体となった2台のフレーム26、28内にそれぞれ取り付けられている。上部に示す第1移載ユニット22は、3個の吸着パッド20を一組として、それぞれYスライダ30を介してYレール32に取り付けられている。第1列目(図3(a)の一番左側の列)の3個の吸着パッド20が取り付けられたYレール32(32A)は、フレーム26の長手方向の両壁面26a、26b間に固定され、第2列から第5列のそれぞれ3個の吸着パッド20が取り付けられているYレール32(32B、32C、32D、32E)は、フレーム26の長手方向の両壁面26a、26bの内側に取り付けられたXレール34(34A、34B)に、Xスライダ36を介して支持されている。
【0018】
第1移載ユニット22の第3行第1列の吸着パッド20(図3(a)に符号20Aで示す吸着パッド)の軸40(図3(b)に符号40Aで示す吸着パッド軸)が、連結アーム42を介して、フレーム26の一方の側壁26c(図3(a)の左側の側壁)に固定されたYシリンダ44のピストンロッド44aに取り付けられている。また、第1移載ユニット22の第1行第5列の吸着パッド20(図3(a)に符号20Bで示す吸着パッド)の軸40(図3(b)に符号40Bで示す吸着パッド軸)が連結アーム46を介して、フレーム26の長手方向の一方の壁面26aに固定されたXシリンダ48のピストンロッド48aに連結されている。
【0019】
第1移載ユニット22の第1列の3個の吸着パッド20の軸40は、図3(b)に示すように連結されている。すなわち、前記Yシリンダ44のピストンロッド44aに連結されている第3行の吸着パッド軸40(40A)が、第1のY方向(行方向)伝達プレート50の一端に連結され、この第1のY方向伝達プレート50の他端寄りに形成された長穴50aに、第2行の吸着パッド軸40が相対移動可能に挿通されている。さらに、この第2行の吸着パッド軸40が一端に連結されている第2のY方向伝達プレート52の他端寄りに形成されている長穴52aに、第1行の吸着パッド軸40が相対移動可能に挿通されている。
【0020】
また、各列の吸着パッド20の軸40が以下のように連結されている。第1行第1列の吸着パッド20の軸40(前記第2のY方向伝達プレート52の長穴52aに嵌合している軸)は、第1のX方向(列方向)伝達プレート54の一端に連結され、この第1のX方向伝達プレート54の他端寄りに形成されている長穴54aに、第1行第2列の吸着パッド20の軸40が相対移動可能に嵌合している。また、第2行第2列の吸着パッド20の軸40が、第2のX方向伝達プレート56の一端に連結され、この第2のX方向伝達プレート56の他端寄りに形成されている長穴56aに、第2行第3列の吸着パッド20の軸40が相対移動可能に嵌合している。さらに、第3行第3列の吸着パッド20の軸40が、第3のX方向伝達プレート58の一端に連結され、この第3のX方向伝達プレート58の他端寄りに形成されている長穴58aに、第3行第4列の吸着パッド20の軸40が相対移動可能に嵌合している。そして、第1行第4列の吸着パッド20の軸40が、第4のX方向伝達プレート60の一端に連結され、この第4のX方向伝達プレート60の他端寄りに形成されている長穴60aに、第1行第5列の吸着パッド20(20B)の軸40(40B)が相対移動可能に嵌合している。
【0021】
以上のように第1移載ユニット22の各吸着パッド20の軸40がY方向伝達プレート50、52およびX方向伝達プレート54、56、58、60によって順次接続されているので、前記Yシリンダ44を伸張させると(図3(a)の左側に示すYシリンダ44が伸張している状態)、第1列の3個の吸着パッド20が互いに接近するとともに、第2列ないし第5列の3個の吸着パッド20も互いに接近する。また、Yシリンダ44を収縮させると(図3(a)の右側の第2移載ユニット24のYシリンダ74が収縮した状態を示す)、第1列の3個の吸着パッド20が離隔するとともに、第2列ないし第5列の3個の吸着パッド20も互いに離隔する。
【0022】
また、Xシリンダ48のピストンロッド48aを伸張させると(図3(a)の上方のXシリンダ48が伸張した状態を示す)、それぞれ3個の吸着パッド20が取り付けられているYレール32(32A、32B、32C、32D、32E)が、第1列のYレール32Aを基準として拡開し、Xシリンダ48のピストンロッド48aを収縮させると(図3(a)の下方の第2移載ユニット24のXシリンダ69が収縮した状態を示す)それぞれ3個の吸着パッド20が取り付けられているYレール32(32A、32B、32C、32D、32E)が互いに接近する。この第1移載ユニット22では、第1列のYレール32Aを基準にして接近する。
【0023】
図3(a)、(b)の下部側に示す第2移載ユニット24は、第1移載ユニット22と点対称の構成になっており、3行5列の吸着パッド62が、それぞれYスライダ64を介してYレール66(66A、66B、66C、66D、66E)に取り付けられ、第1移載ユニット22と逆の第5列のYレール66Eがフレーム28に固定されている。また、第1列ないし第4列のYレール66A、66B、66C、66Dが、それぞれXスライダ68を介してXレール70(70A、70B)に取り付けられている。
【0024】
第1行第5列の吸着パッド62(図3(a)に符号62Aで示す吸着パッド)の軸72(図3(b)に符号72Aで示す軸)が、連結アーム73を介してYシリンダ74のピストンロッド74aに連結され、第3行第1列の吸着パッド62(図3(a)に符号62Bで示す吸着パッド)の軸72(図3(b)に符号72Bで示す軸)が、連結アーム75を介してXシリンダ69のピストンロッド69aに連結されている。また、第5列の3個の吸着パッド62は、前記第1移載ユニット22の第1列の吸着パッド20の軸40と同様にY方向伝達プレート79、76によって順次連結され、各列の吸着パッド62の軸72もX方向伝達プレート78、80、82、84によって連結されている。従って、Yシリンダ74およびXシリンダ69の作動によって、第1移載ユニット22と同様に各吸着パッド62が接近離隔する。
【0025】
前記のように第1移載ユニット22と第2移載ユニット24は点対称の構造になっているので、第1移載ユニット22のXシリンダ48が収縮すると、5列のYレール32A、32B、32C、32D、32Eが図3(a)の左側に接近し、第2移載ユニット24のXシリンダ69が収縮すると、5列のYレール66A、66B、66C、66D、66Eが図3(a)の右側に接近する。また、第1移載ユニット22のXシリンダ48が伸張すると、第5列のYレール32Eが図3(a)のほぼ中央部から右方向へ移動し、第4列のYレール32Dが、X方向の第4伝達プレート60によって追従して右方向へ移動し、第3列および第2列のYレール66C、66Bも同様にして右方向へ移動し、5列の吸着パッド20がほぼ等間隔に拡開する。また、第2移載ユニット24のXシリンダ69が伸張すると、第1列のYレール66Aが図3(a)のほぼ中央部から左方向へ移動し、第2列のYレール66Bが、X方向の第4伝達プレート84によって追従して左方向へ移動し、第3列および第4列のYレール66C、66Dも同様にして左方向へ移動し、5列の吸着パッド62がほぼ等間隔に拡開する。
【0026】
第1移載ユニット22および第2移載ユニット24の吸着パッド20、62が、各列毎にX方向に接近離隔し、各列の3個の吸着パッド20、62がY方向に接近離隔するが、吸着パッド20、62を上下方向(Z方向)に移動させる機構はなく、移載ヘッド18は一体的にX方向、Y方向およびZ方向に移動する。
【0027】
第2ロボット12の移載ヘッド(図示せず)は、第1ロボット10の移載ヘッド18と同様の構成(厳密には、第1ロボット10の移載ヘッド18と第2ロボット12の移載ヘッドは、トレイ供給コンベヤ4に直交する仮想線に対して線対称の構成になっている)を有しており、2つの移載ユニット(第3移載ユニットと第4移載ユニット)を備えている。各移載ユニットの構成は前記第1移載ユニットおよび第2移載ユニットと同様であるが、トレイ2の第1領域(第1品種の物品Aが収容されている領域)と第2領域(第2品種の物品Bが収容されている領域)からそれぞれ物品を取り出す取り上げ領域が異なっている。つまり、第1ロボット10の第1移載ユニット22は、第1領域の図1における上部の3行5列分の物品Aが取り上げ領域であり、第2移載ユニット24は、第2領域の図1における下部の3行5列分の物品Bが取り上げ領域である。これに対し、第2ロボット12の第3移載ユニットでは、第1領域の図1における下部の3行5列分の物品Aが取り上げ領域となり、第4移載ユニットでは、第2領域の図1における上部の3行5列分の物品Bが取り上げ領域となる。
【0028】
所定の行数および列数に整列された物品A、Bが載せられたトレイ2が、トレイ供給コンベヤ4によって連続的に搬送される。この実施例では、各トレイ2上に、6行5列の第1品種の物品A(図1および図2に白で示す物品)が搬送方向の上流側に配置され、そして、同数の6行5列の第2品種の物品B(図1および図2に黒で示す物品)が搬送方向の下流側に配置されている。図中に白で示された物品Aが配置された領域が第1領域、黒で示された物品Bが配置された領域が第2領域である。
【0029】
トレイ供給コンベヤ4の側部に配置された第1ロボット10および第2ロボット12は、それぞれ2つの移載ユニット22、24(第2ロボット12の第3移載ユニットおよび第4移載ユニットは図示せず)を備えており、第1ロボット10は、第1移載ユニット22によって第1領域の半分(図1の上半分)の第1品種の物品Aを取り上げ、第2移載ユニット24によって第2領域の半分(図1の下半分)の第2品種の物品Bを取り上げるようになっている。これら移載ユニット22、24で物品A、Bを取り上げる領域が取り上げ領域である。第1、第2移載ユニット22、24によって取り上げ領域の物品A、Bを取り上げた後の物品A、Bが無い状態を、図1および図2中に破線で示す。
【0030】
第1ロボット10の第1移載ユニット22および第2移載ユニット24によって、第1領域および第2領域内の取り上げ領域から物品A、Bを取り上げる際には、各移載ユニット22、24の吸着パッド20、62は、Xシリンダ48、69を収縮させて各列を接近させるとともに、Yシリンダ44、74を収縮させて各列の3個の吸着パッド20の間隔をやや広げた状態にしておく。つまり、第2移載ユニット24は、図3(a)の下側に示すように各列を右側に接近させた状態にし、第1移載ユニット22は、図示はしないが、図3(a)の左側に各列を接近させた状態にしておく。また、第1移載ユニット22および第2移載ユニット24の各列の3個の吸着パッド20、62を、図3(a)の下側に示す第2移載ユニット24のようにやや間隔を広げた状態にしておく。
【0031】
第1移載ユニット22および第2移載ユニット24を前記の状態にして、移載ヘッド18全体を搬送中のトレイ2上(図2の最も上段に示すトレイ供給コンベヤ4によって搬送されている左側のトレイ2の上方)に移動させ、その位置で下降させて各移載ユニット22、24の吸着パッド20、62によって取り上げ領域の物品A、Bをそれぞれ吸着保持し、その後、移載ヘッド18を上昇させて各取り上げ領域から物品A、Bを取り上げる。第1ロボット10の移載ヘッド18によって取り上げられた物品A、Bは、3行5列の第1品種の物品Aと、3行5列の第2品種の物品Bが、図2の第2段目の左側に示す状態になっており、各物品A、BのY方向(行方向)の間隔(P1)およびX方向(列方向)の間隔(P2)は、トレイ2内に収容されている状態と同じ間隔になっている。
【0032】
この状態から両移載ユニット22、24のXシリンダ48、69を伸張させるとともに、Yシリンダ44、74も伸張させる。第1移載ユニット22および第2移載ユニット24とも、各吸着パッド20、62が列方向に拡開し、行方向には互いに接近する(図2の第3段目の左側に示す状態になる)。このときの各物品A、Bの列方向の間隔(P3)は、バケットコンベヤ8に設けられている各バケット6の間隔に一致している。また、行方向の3個の物品A、Bは、それぞれ接触した状態になっている。
【0033】
次に、第1ロボット10の動作により移載ヘッド18をバケットコンベヤ8上に移動させて、先ず、第2移載ユニット24の吸着パッド62が保持している第2品種の物品Bを、連続する5個のバケット6の搬送方向前方側の壁面6aに寄せて挿入する。移載ユニット24の各列の吸着パッド62を列方向に拡開して、バケット6の間隔に一致させているので、2列の物品Bを収容可能な各バケット6の搬送方向下流側に挿入することができる。続いて、第1移載ユニット22の吸着パッド20が保持している第1品種の物品Aを、すでに第2品種の物品Bが挿入されている各バケット6の後方側の壁面6bに寄せて挿入する。このように1台のロボット10で、2つの品種の物品A、Bを同じバケット6内に挿入してアソート物品群を形成することができる。
【0034】
第1移載手段(第1ロボット10)によって第1領域と第2領域の取り上げ領域から、所定個数の2品種の物品A、Bが取り出されたトレイ2は、図2のトレイ供給コンベヤ4上の右側に示す状態で、第2移載手段(第2ロボット12)の位置まで搬送されてくる。トレイ2上には、この第2ロボット12に設けられている第3移載ユニットにより取り出される取り上げ領域の第1品種の物品Aと、第4移載ユニットによって取り出される取り上げ領域の第2品種の物品Bが残っており、第3移載ユニットと第4移載ユニットによりこれらの物品A、Bを取り出す。第3移載ユニットの取り上げ領域は、前記第1移載ユニット22の取り上げ領域に対して、前記トレイ供給コンベヤ4上の物品群における列方向において一致するとともに、行方向においてずらして設定している。また、第4移載ユニットの取り上げ領域を、前記第1移載ユニット22の取り上げ領域に対して、前記トレイ供給コンベヤ4上の物品群における行方向において一致させるとともに、列方向においてずらして設定している。
【0035】
第3移載ユニットと第4移載ユニットによってそれぞれ異なる品種の物品A、Bを保持した後、列方向の間隔を拡開するとともに、行方向の間隔を接近させて図2の第三段目の右側に示す状態にする。その後、第2ロボット12による2回の動作で2品種の物品A、Bをバケットコンベヤ8の各バケット6内に挿入する。図2の最下段に示すバケットコンベヤ8の、最も左側の、物品A、Bが収容されている5個のバケット6(図2中に符号Dで示すバケット群)が、第1移載手段10により物品A、Bが挿入されたバケット6であり、その右側の5個のバケット6(図2中に符号Eで示すバケット群)が、第2移載手段12によってこれから物品A、Bが挿入されるバケット6である。また、その空のバケットEの下流側の5個のバケット6(図2中に符号Fで示すバケット群)が、前回第1ロボット10によって物品A、Bが挿入されたバケットであり、さらにその下流側の5個のバケット6(図2中に符号Gで示すバケット群)が、前回第2ロボット12によって物品A、Bが挿入されたバケットである。なお、図2では、取り出される物品A、Bについて理解しやすいように2つのトレイ2を接近して図示しているが、実際には、図1に示すように、2台のロボット10、12が干渉しないように必要な距離だけ離した位置で処理するようになっている。
【実施例2】
【0036】
図4は第2の実施例に係る物品移載装置による移載工程を順次示す図であり、この実施例では、前記第1実施例と同様に、トレイ供給コンベヤ104が、6行5列の第1品種の物品Aと、6行5列の第2品種の物品Bを列方向に並べて収容したトレイ102を連続的に搬送する(図4の第1段目に示すトレイ供給コンベヤ104によって搬送されている左側のトレイ102参照)。また、この実施例では、第1ロボット(図示せず)の移載ヘッド118(図5(a)参照)には、第1移載ユニット122(図5(a)の上側の移載ユニット)および第2移載ユニット124(図5(a)の下側の移載ユニット)が前記第1実施例と同様の数および配置の吸着パッド120、162を有しており、第1移載ユニット122の吸着パッド120が第1領域(トレイ102内の物品Aが配置された領域)の取り上げ領域(物品Aの上半分の3行5列の領域)から3行5列の物品Aを取り上げ、第2吸着ユニット124の吸着パッド162が第2領域(トレイ102内の物品Bが配置された領域)の取り上げ領域(物品Bの下半分の3行5列の領域)から3行5列の物品Bを取り上げる(図4の第2段目の左側に示す図参照)。
【0037】
この実施例に係る物品移載装置でも、第1移載手段としての第1ロボットと第2移載手段としての第2ロボットを備えており、各ロボットが備えている移載ヘッド118(第2ロボットの移載ヘッドは図示せず)にそれぞれ2つの移載ユニット122、124が設けられている。第2ロボットの移載ヘッドは第1ロボットの移載ヘッド118と、トレイ供給コンベヤ104に直交する仮想線に対して線対称の構造になっているので、図5(a)、(b)に示す第1ロボットの移載ヘッド118について説明し、第2ロボットについてはその説明を省略する。
【0038】
第1ロボットの移載ヘッド118は、図5(a)の上部側と下部側に示すように、3行5列の吸着パッド120、162を有する2組の移載ユニット122、124を備えている。図の上方に示す第1移載ユニット122と下方に示す第2移載ユニット124は、ほぼ点対称の構成になっており、一体となった2台のフレーム126、128内にそれぞれ取り付けられている。上部に示す第1移載ユニット122は、各列の3個の吸着パッド120が一枚の連結プレート123に等間隔で取り付けられている。従って、各列の3個の吸着パッド120の間隔(X方向のピッチP1)は常に一定である。これら各連結プレート123が、それぞれYスライダ130を介してYレール132に摺動可能に支持されている。
【0039】
第1列目(図5(a)の一番左側の列)の3個の吸着パッド20が取り付けられた連結プレート123が支持されているYレール132は、フレーム126の長手方向の両壁面126a、126b間に固定されており、第2列から第5列の吸着パッド120が取り付けられている連結プレート123が支持されているYレール132は、フレーム126の長手方向の両壁面126a、126bの内側に取り付けたXレール134(134A、134B)に、それぞれXスライダ136を介して支持されている。
【0040】
第1移載ユニット122の第1列の連結プレート123が、連結アーム142を介して、フレーム126の一方の側壁126cに固定されたYシリンダ144のピストンロッド144aに連結されている。また、第1移載ユニット122の第5列(図5(a)の一番右側の列)のYレール132に取り付けられているXスライダ136が、連結アーム146を介して、フレーム126の長手方向の一方の壁面126aに固定されたXシリンダ148のピストンロッド148aに連結されている。
【0041】
第1列の吸着パッド120が取り付けられている連結プレート123に固定されたピン149が、第1のX方向(列方向)伝達プレート154の一端に連結され(図5(b)参照)、この第1のX方向伝達プレート154の他端寄りに形成された長穴154aに、第2列の連結プレート123に固定されているピン149が相対移動可能に挿通されている。また、第2列の連結プレート123に取り付けたピン149に、第2のX方向伝達プレート156の一端が連結され、この第2のX方向伝達プレート156の他端寄りに形成されている長穴156aに、第3列の連結プレート123に取り付けたピン149が相対移動可能に挿通されている。さらに、第3列の連結プレート123に取り付けたピン149に、第3のX方向伝達プレート158の一端が連結され、この第3のX方向伝達プレート158の他端寄りに形成されている長穴158aに、第4列の連結プレート123に取り付けたピン149が相対移動可能に挿通されている。また、第4列の連結プレート123に固定されたピン149が、第4のX方向伝達プレート160の一端に連結され、この第4のX方向伝達プレート160の他端寄りに形成された長穴160aに、第5列の連結プレート123に固定されたピン149が相対移動可能に挿通されている。
【0042】
以上のように各列の吸着パッド120が取り付けられた5本の連結プレート123が、X方向伝達プレート154、156、158、160によって順次接続されているので、第1Xシリンダ148のピストンロッド148aを伸張させると、それぞれ3個の吸着パッド120が取り付けられた連結プレート123が支持されているYレール132が、フレーム126に固定されている第1列のYレール132を基準として拡開し、第1Xシリンダ148のピストンロッド148aを収縮させると、それぞれ3個の吸着パッド120が取り付けられた連結プレート123が支持されているYレール132が互いに接近する(図5(a)に示す状態)。この第1移載ユニット122では、フレーム126に固定されている第1列のYレール132を基準にして接近する。また、Yシリンダ144を作動させると、3個の吸着パッド120が取り付けられている5枚の連結プレート123が、一体としてYレール132に沿ってY方向に移動する。
【0043】
図5(a)、(b)の下部側に示す第2移載ユニット124は、基本的には第1移載ユニット122と点対称の構成になっており、5列のそれぞれ3個の吸着パッド162が等間隔で連結プレート163に取り付けられ、各連結プレート163がそれぞれYスライダ164を介してYレール166摺動可能に支持されている。また、この第2移載ユニット124では、第1列から第5列の連結プレート163がY方向にスライド可能に支持されているYレール166が、それぞれXスライダ168を介してXレール170(170A、170B)に取り付けられている。そして、第1列のYレール166が連結されているXスライダ168が、連結アーム175を介して第1Xシリンダ169のピストンロッド169aに連結されている。さらに、第5列のYレール166が連結されているXスライダ168が、連結アーム179を介して第2Xシリンダ177のピストンロッド177aに連結されている。
【0044】
第5列の連結プレート163に固定されたピン165に、第1のX方向(列方向)伝達プレート178の一端が固定され、この第1のX方向伝達プレート178の他端寄りに形成されている長穴178aに、第4列の連結プレート163に固定されたピン165が相対移動可能に嵌合している。また、第4列の連結プレート163に固定されたピン165に、第2のX方向伝達プレート180の一端が固定され、この第2のX方向伝達プレート180の他端寄りに形成された長穴180aに、第3列の連結プレート163に固定されているピン165が相対移動可能に嵌合している。さらに、第3列の連結プレート163に固定されたピン165が、第3のX方向伝達プレート182の一端に固定され、この第3のX方向伝達プレート182の他端寄りに形成されている長穴182aに、第2列の連結プレート163に固定されたピン165が相対移動可能に嵌合している。また、第2列の連結プレート163に固定されたピン165が、第4のX方向伝達プレート184の一端に固定され、この第4のX方向伝達プレート184の他端寄りに形成された長穴184aに、第1列の連結プレート163に固定されたピン165が相対移動可能に嵌合している。従って、第1Xシリンダ169が収縮すると、図5(a)に示すように、各列の連結プレート163が接近し、第1Xシリンダ169を伸張させると、第5列の連結プレート163を基準として、第1列ないし第4列の連結プレート163が拡開する。また、各連結プレート163が拡開した状態で第2Xシリンダ177を伸張させると、第1列ないし第5列の連結プレート163が全体として図5(a)の右方向へ移動する。
【0045】
以上の構成に係る物品移載装置の作動について説明する。6行5列の第1品種の物品Aと6行5列の第2品種の物品Bが、列方向に並んで配置されたトレイ102がトレイ供給コンベヤ104によって搬送され、第1ロボット(図示せず)の前方に供給される(図4の最上段の左側のトレイ102参照)。第1ロボットの移載ヘッド118には2つの移載ユニット122、124が設けられており、トレイ102から物品A、Bを取り出す際には、図5(a)に示すように、第1移載ユニット122はYシリンダ144が伸張して、それぞれ3個の吸着パッド120が取り付けられている5列の連結プレート123が上部側のフレーム126内に位置しており、また、Xシリンダ148が収縮して5列の連結プレート123が接近した状態になっている。一方、第2移載ユニット124は、Yシリンダ174が伸張して5列の連結プレート163を下部側のフレーム128内に位置させるとともに、第1Xシリンダ169が収縮して5列の連結プレート163が接近した状態になっている。さらに、第2Xシリンダ177が収縮した状態になっている。
【0046】
第1ロボットの作動により、第1移載ユニット122および第2移載ユニット124の吸着パッド120が前記状態(図5(a)に示す状態)でトレイ102の上方に移動し、その位置で下降して、それぞれ物品A、Bを吸着して取り出す。第1移載ユニット122は、トレイ102の左上部に位置している3行5列分の第1品種の物品A(第1領域の取り上げ領域の物品A)を取り出し、第2移載ユニット124は、トレイ102の右下部に位置している3行5列分の第2品種の物品B(第2領域の取り上げ領域の物品B)を取り出す。第1移載ユニット122および第2移載ユニット124によって取り出された物品A、Bは、図4の第2段目の左側に示す状態になっている。このときの各品種の物品A、Bは、列方向のピッチP1と行方向のピッチP2がトレイ102内に収容されていたときと同じ状態であり、ほぼ同じ間隔に配置されている。なお、この実施例では、各列の3個の物品A、Bは連結プレート123、163に取り付けられているので、互いの間隔は変化しないようになっている。
【0047】
次に、第1移載ユニット122のXシリンダ148および第2移載ユニット124の第1Xシリンダ169を作動させて、吸着パッド120、162が取り付けられている各連結プレート123、163の間隔を広げる。第1移載ユニット122は、第1列の連結プレート123を基準として、第2列から第5列までの連結プレート123が等間隔で離隔する。また、第2移載ユニット124の第2Xシリンダ177が収縮した状態で、第1Xシリンダ169を伸張させると、第2Xシリンダ177に連結アーム179を介して連結されている第5列の連結プレート163を基準にして第1列から第4列までの連結プレート163が拡開する(図6(a)および(b)参照)。このように各品種の物品A、Bの各列間の間隔を拡開すると、図4の第3段の左側に示すように、第1品種の物品Aと第2品種の物品Bが同じ列上に並び、各列間のピッチがP3となる。このときの各列間のピッチP3は、図4の最下段に示すバケットコンベヤ8の各バケット6の間隔に一致している。
【0048】
続いて、第2移載ユニット124の第2Xシリンダ177を作動させて、第5列の吸着パッド162が取り付けられている連結プレート163が支持されているYレール166を図5(a)の右方向に移動させる。前記のように第1Xシリンダ169の作動によって各連結プレート163の間隔を拡開しており、第1ないし第4のX方向伝達プレート178、180、182、184の長穴178a、180a、182a、184aに嵌合しているピン165が、相対的に長穴178a、180a、182a、184aの端部まで移動しているので、第5列の連結プレート163の移動に従って、第4ないし第1連結プレート163も同量だけ移動する(図7(a)および(b)参照)。第2品種の物品Bの移動量はほぼ物品A、Bのサイズ分であり、この移動により、第1移載ユニット122に保持されている第1品種の物品Aと第2移載ユニット124に保持されている第2品種の物品Bの位置は、図4の第4段目の左側の状態になる。なお、第2移載ユニット124の第1Xシリンダ169をオンにしたまま第2Xシリンダ177を伸張させると、この伸張分だけ、第1Xシリンダ169のピストンロッド169aが収縮する。
【0049】
同一列上に位置していた第1品種の物品Aと第2品種の物品Bを、ほぼ物品A、B1個分だけ列方向にずらした後、第1移載ユニット122のYシリンダ144と第2移載ユニット124のYシリンダ174をともに収縮させ、第1品種の物品Aを保持している吸着パッド120の連結プレート123を、Yレール132に沿って第2移載ユニット124方向へ移動させ、逆に、第2品種の物品Bを保持している吸着パッド162の連結プレート163を、Yレール166に沿って第1移載ユニット122方向へ移動させる(図8(a)および(b)参照)。この移動によって、第1移載ユニット122に保持されている第1品種の物品Aと、第2移載ユニット124に保持されている第2品種の物品Bとが列方向に並列した状態になる(図4の第5段目の左側の図の状態)。
【0050】
第1移載ユニット122の各列の吸着パッド120に保持されている第1品種の物品Aと、第2移載ユニット124の各列の吸着パッド162に保持されている第2品種の物品Bとが、それぞれ隣接した状態になった後、第1ロボットの動作により、バケットコンベヤ108のバケット106内に挿入する。2つの品種の物品A、Bが1列ずつ組となって1つのバケット106内に挿入されるので、1回の動作によって移載が完了する。なお、この物品移載装置で処理される物品が例えば、図9に示すフランジ付き容器FA、FBの場合には、第1品種の物品FAと第2品種の物品FBを隣接した位置に並べた際に物品同士が干渉するおそれがあるので、第1移載ユニット122の吸着パッド120と第2移載ユニット124の吸着パッド162の吸着面の高さを変えてある。この実施例では、図9に示すように、第2移載ユニット124の吸着パッド162の基部のカラー186の高さを第1移載ユニット122のカラー188よりも高くしてあり、2つの品種の物品FA、FBを隣接した位置に移動させても互いに干渉することはない。また、この実施例では、各列の物品A、B間の距離(Y方向のピッチP1)が、トレイ102に収容されている状態と同じままでバケット106内に収容するようになっており、バケット106内でY方向に間隔が開いたままであるが、下流側のカートニングマシン(図示せず)で、バケット106内の物品A、BをプッシャによってY方向に押し出すので、隙間が空いていても問題が生じることはない。
【符号の説明】
【0051】
A 第1品種の物品
B 第2品種の物品
4 上流側搬送手段(トレイ供給コンベヤ)
6 搬送区画(バケット)
8 下流側搬送手段(バケットコンベヤ)
10 第1移載手段(第1ロボット)
12 第2移載手段(第2ロボット)
20 保持部材(吸着パッド)
22 第1移載ユニット
24 第2移載ユニット
62 保持部材(吸着パッド)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9