(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一態様として開示する文字列選択入力装置について説明する。
【0018】
図1は、一実施例(第1の実施例)における文字列選択入力装置の構成例を示す図である。
図1において、1は文字列選択入力装置、2は記憶手段、3は表示・入力装置、10は処理装置、11は入出力インタフェース、12はメニュー表示手段、13はスライド操作処理手段、14は文字列選択手段を表す。
【0019】
文字列選択入力装置1の処理装置10は、CPU及びメモリ等を備える処理装置であり、入出力インタフェース11、メニュー表示手段12、スライド操作処理手段13、文字列選択手段14を備える。
【0020】
記憶手段2は、表示順番の順序関係が定められている複数の選択対象文字列を記憶する手段である。
【0021】
表示・入力装置3は、表示画面に記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列を表示する複数のメニュー表示領域を表示し、利用者によるスライド操作又は選択操作を入力する手段である。表示・入力装置3は、例えばタッチスクリーンディスプレイで実施することができる。
【0022】
入出力インタフェース11は、処理装置10と表示・入力装置3との間で入出力信号を送受信するインタフェース手段である。
【0023】
メニュー表示手段12は、表示・入力装置3の表示画面にn個(nは2以上の整数)のメニュー表示領域を設定し、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列の中から表示順番が飛び飛びの間隔で抽出された選択対象文字列を第1番目のメニュー表示領域に表示し、第i番目(2≦i≦n)のメニュー表示領域に、第i−1番目のメニュー表示領域に表示した選択対象文字列の飛び飛びの間隔よりも密な間隔で抽出された選択対象文字列を表示する。
【0024】
スライド操作処理手段13は、表示・入力装置3からn個のメニュー表示領域におけるスライド操作の入力を受け付け、第j番目(1≦j≦n)のメニュー表示領域におけるスライド操作の入力に対して、表示・入力装置3の表示画面に表示されている第j番目のメニュー表示領域における選択対象文字列をスクロール表示するとともに、他のメニュー表示領域における選択対象文字列についても飛び飛びの間隔に応じたスクロール量でもって連動してスクロール表示する。
【0025】
文字列選択手段14は、表示・入力装置3の表示画面に表示されているn個のメニュー表示領域における選択対象文字列の選択操作の入力を受け付けて、選択された選択対象文字列を特定する。
【0026】
以下に、文字列選択入力装置1の作用を説明する。説明の便宜のため、n=3の設定、すなわち文字列選択入力装置1が、表示・入力装置3の表示画面に3つのメニュー表示領域を設定する場合を例に説明する。
【0027】
図2は、表示・入力装置3の表示画面のメニュー表示領域の例を示す図である。メニュー表示手段12は、表示・入力装置3の表示画面に3個のメニュー表示領域を設定する。メニュー表示領域は、左側から右側へ向かって、第1番目のメニュー表示領域(第1列)31、第2番目のメニュー表示領域(第2列)32、第3番目のメニュー表示領域(第3列)33とする。
【0028】
本実施形態の理解を容易にするために、本実施形態によるメニュー表示および入力方法のイメージを簡単に説明する。第3番目のメニュー表示領域33においては、すべての選択対象文字列が表示対象となる。第2番目のメニュー表示領域32においては、第3番目のメニュー表示領域33における表示対象の一部の選択対象文字列が表示対象となる。第1番目のメニュー表示領域31においては、第2番目のメニュー表示領域32における表示対象のさらに一部の選択対象文字列が表示対象となる。
【0029】
これらのメニュー表示領域31〜33には、それぞれ選択対象文字列が
図6で後述するように表示されるが、これらの選択対象文字列は、あたかもスロットマシンのように回転可能な円筒の外周面に記入されているように見える。そして、各メニュー表示領域31〜33のどれかを指で擦ると円筒が回転して、そのメニュー表示領域に表示される選択対象文字列が変化する。ここで、どのメニュー表示領域を指で擦っても、他のメニュー表示領域も連動して回転する。回転速度は、第3番目のメニュー表示領域33がもっとも大きく、第1番目のメニュー表示領域がもっとも小さい。
【0030】
ユーザが選択した文字列を入力するための基本的操作は、メニュー表示領域31〜33を指で擦って選択したい選択対象文字列を表示させ、選択したい選択対象文字列がメニュー表示領域31〜33のどれかに表示されたら、それを指で押さえる(または叩く)ことである。
【0031】
ここで、指で擦ることをスライド操作といい、指で押さえることをタップ操作というが、スライド操作・タップ操作は必ずしも指を用いた操作に限らず、例えばマウス等の入力装置によるドラッグやクリックのような、同様な働きをする操作であってもよい。なお、説明を分かりやすくするために、メニュー表示領域が円筒の形態で表示されるような説明をしたが、実際に円筒状に表示されるわけではない。
【0032】
図3は、記憶手段2に記憶される複数の選択対象文字列の例を示す図である。
図3に示す複数の選択対象文字列の左側に示す番号が表示順番を表す。記憶手段2の複数の選択対象文字列は、表示順番の順序関係としてあいうえお順による表示が定められている植物名の配列である。複数の選択対象文字列は、
図3に示すような植物名の配列の他、楽曲名、アーティスト名、ナビゲーション用の施設名等を示す文字列の配列であってもよい。
【0033】
メニュー表示手段12は、表示画面に設定したメニュー表示領域(第1列〜第3列)毎に、記憶手段2から選択対象文字列を抽出する飛び飛びの間隔で、記憶手段2に記憶された複数の選択対象文字列を抽出し、各列に表示させる。
【0034】
選択対象文字列を抽出する飛び飛びの間隔として所定の値が予め設定されている。第1列31へ表示する選択対象文字列を抽出する間隔s
1、第2列32へ表示する選択対象文字列を抽出する間隔s
2、第3列33へ表示する選択対象文字列を抽出する間隔s
3に、それぞれ異なる値が設定され、間隔s
1が最も大きい値(最も広い間隔)、間隔s
2、s
3の順で小さく(狭く)なり、第n番目の列(ここでは第3列)の間隔s
nが最も小さい値(最も狭い間隔)となるような値となるように設定される。
【0035】
例えば、第1列31の間隔s
1に“100”を、第2列32の間隔s
2に“10”を、第3列33の間隔s
3に“1”が設定される。間隔s
1が“100”であるとは、複数の選択対象文字列を所定の順番で99個を飛ばして100個目毎の選択対象文字列を抽出することを、間隔s
2が“10”であるとは、複数の選択対象文字列を9個飛ばして10個目毎の選択対象文字列を抽出することを、間隔s
3が“1”であるとは、複数の選択対象文字列を飛ばさずに順に1個ずつ抽出することを意味する。
【0036】
図4は、各メニュー表示領域に表示される選択対象文字列のスクロール表示を説明するための図である。
【0037】
図4(A)は、表示・入力装置3の表示画面の初期表示のメニュー表示領域の例を示す。
図4(A)に示す各メニュー表示領域(列)は5行の表示行を持ち、第3行目を基準行としている。なお、基準行は、利用者が見やすい行の位置であればどの行でもよいが、複数の列で同じ行位置であることが好ましい。
【0038】
メニュー表示手段12は、まず、記憶手段2に記憶された複数の選択対象文字列から、間隔s
1(100番目毎)で番号が1、101、201、301、401、…の選択対象文字列を抽出する。さらに、抽出した選択対象文字列の中から、所定の番号又は抽出した順番の選択対象文字列が第1列31の基準行に位置するように、番号301、401、501、601、701の選択対象文字列を第1列31に表示させる。
【0039】
さらに、メニュー表示手段12は、記憶手段2の複数の選択対象文字列から、間隔s
2(10番目毎)で番号1、11、21、31、41、…の選択対象文字列を抽出する。そして、抽出した選択対象文字列の中から第1列31の基準行の選択対象文字列に対応する選択対象文字列をもとに、前後の番号481、491、501、511、521の選択対象文字列を第2列32に表示させる。
【0040】
さらに、メニュー表示手段12は、間隔s
3(1)すなわち1個ずつ順に選択対象文字列を抽出し、第2列32の基準行の選択対象文字列をもとに、前後の番号499、500、501、502、503の選択対象文字列を第3列33に表示させる。
【0041】
図4(B)は、スライド操作の入力によるスクロール表示の例(1)を示す。
【0042】
図4(A)のメニュー表示領域を表示する表示・入力装置3において、表示画面のメニュー表示領域でのスライド操作の入力があると、スライド操作処理手段13は、入出力インタフェース11を介してこのスライド操作の入力を受け付け、スライド操作の入力があったメニュー表示領域で、受け付けたスライド操作のスライド方向及びスライド量に応じて選択対象文字列をスクロール表示する。さらに、スライド操作処理手段13は、スライド操作の入力がなかった残りのメニュー表示領域の選択対象文字列を、スライド操作の入力があったメニュー表示領域のスクロール表示に連動させてスクロール表示する。
【0043】
具体的には、スライド操作処理手段13は、表示画面の第1列31〜第3列33のスライド操作の入力がなかった各列について、スライド操作のスライド量とスライド操作の入力があった列と自列の飛び飛びの間隔s(s
1、s
2、s
3)の比率とを用いてスクロール量が計算され、計算されたスクロール量で選択対象文字列が表示される。
【0044】
スライド操作処理手段13が、
図4(A)のメニュー表示領域において、第2列32で上方向に1行分のスライド操作の入力を受け付けると、
図4(B)に示すように、第2列32の選択対象文字列をスライド操作(上方向、1行分)にスクロールさせて、番号491、501、511、521、531の選択対象文字列の並びを表示させる。
【0045】
ここで、第1列31〜第3列33の各列に対応する飛び飛びの間隔s
1、s
2、s
3がそれぞれ“100”、“10”、“1”であるとすると、スライド操作処理手段13は、以下のようにして各列の選択対象文字列をスクロール表示する。まず、スライド操作処理手段13は、第2列32をスライド量でスクロール表示する間に、第3列33について、スライド量(1行分)と、第2列32に対応する間隔s
2と自列(第3列)に対応する間隔s
3との比率(s
2/s
3)とをもとにスクロール量を計算し、求めたスクロール量(10行分)で選択対象文字列を上方向へスクロールして、番号509、510、511、512、513の選択対象文字列を表示する。
【0046】
さらに、スライド操作処理手段13は、同様にして、第1列31について、スライド量(1行分)と、第2列32に対応する間隔s
2と自列(第1列)に対応する間隔s
1との比率(s
2/s
1)とをもとにスクロール量を計算する。ここで、求めたスクロール量(1/10行分)が行幅に比べて十分に小さいため、番号301、401、501、601、701の選択対象文字列の並びをそのまま表示する。なお、第1列31の選択対象文字列の並びを、求めたスクロール量(1/10行分)で上方向にずらして表示させるようにしてもよい。
【0047】
図4(C)は、スライド操作の入力によるスクロール表示の例(2)を示す。
【0048】
図4(A)のメニュー表示領域を表示する表示・入力装置において、第1列31でスライド操作の入力があると、スライド操作処理手段13は、このスライド操作の入力を受け付け、
図4(C)に示すように、第1列31の選択対象文字列をスライド操作(下方向、1行分)に応じてスクロールし、番号201、301、401、501、601の選択対象文字列を表示する。さらに、スライド操作処理手段13は、
図4(B)を用いて説明した処理と同様にして、第1列31のスクロール表示の間に、第2列32、第3列33についてもスクロール量を計算して、スクロール表示を行う。
【0049】
第2列32については、計算したスクロール量(10行分)で選択対象文字列を同方向へスクロールして、番号381、391、401、411、421の選択対象文字列を表示し、第3列33については、計算したスクロール量(100行分)で選択対象文字列を同方向へスクロールして、番号399、400、401、402、403の選択対象文字列を表示する。
【0050】
上述のように、表示画面の1つのメニュー表示領域でのスライド操作によるスクロール表示に連動して、他のメニュー表示領域でも選択対象文字列がスクロール表示される。しかし、メニュー表示領域に対応する飛び飛びの間隔の比率によってスクロール量が異なるため、表示・入力装置3の表示画面の各メニュー表示領域の選択対象文字列が、異なる速度でスクロール表示されることになる。
【0051】
その後、
図4(C)に示す表示・入力装置3の表示画面の第3列33で選択対象文字列の選択操作の入力があると、文字列選択手段14は、入出力インタフェース11を介して、この選択操作の入力を受け付け、選択操作で選択された番号399の選択対象文字列を特定する。なお、文字列選択手段14で特定された番号399の選択対象文字列が、処理結果として他のアプリケーションプログラム又は他の処理装置等の入力要求元へ通知される。
【0052】
以下、文字列選択入力装置1の処理フローを説明する。
【0053】
図5は、一実施例における文字列選択入力装置1のメニュー表示手段12の処理フロー例を示す図である。
図5に示す処理フロー例において、その処理開始前に、表示画面に設けるメニュー表示領域の数(n=3)と行数(r=10)、及び各メニュー表示領域に対応する間隔(s
1、s
2、s
3)が設定されているものとする。
【0054】
文字列選択入力装置1で処理開始が入力されると、メニュー表示手段12が以下のステップS1〜S6の処理を実行する。
【0055】
ステップS1: メニュー表示手段12は、文字列選択処理の入力が開示されると、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列から、メニュー表示領域の第1列31に対応する間隔s
1(値:100)で該当する番号の選択対象文字列を抽出する。
【0056】
ステップS2: メニュー表示手段12は、ステップS1の処理で抽出した選択対象文字列の中からr個分の選択対象文字列を抽出して第1列31に設定する。
【0057】
ステップS3: メニュー表示手段12は、記憶手段2の複数の選択対象文字列から、メニュー表示領域の第2列32に対応する間隔s
2(値:10)で、該当する番号の選択対象文字列を抽出する。
【0058】
ステップS4: メニュー表示手段12は、ステップS3の処理で抽出した選択対象文字列の中から第1列31の基準行の選択対象文字列に対応する選択対象文字列をもとに前後のr個分の選択対象文字列を第2列32に設定する。
【0059】
ステップS5: メニュー表示手段12は、メニュー表示領域の第3列33に対応する間隔s
3(値:1)であるので、記憶手段2の複数の選択対象文字列からすべての選択対象文字列を抽出する。そして、第2列32の基準行の選択対象文字列に対応する選択対象文字列をもとに前後のr個分の選択対象文字列を第3列33に設定する。
【0060】
ステップS6: メニュー表示手段12は、抽出した選択対象文字列を設定した第1列31〜第3列33を、入出力インタフェース11を介して、表示・入力装置3の表示画面に表示させる。
【0061】
図6は、
図5に示す処理フローにより表示・入力装置3の表示画面に表示されるメニュー表示領域の表示例を示す図である。
【0062】
第1列31〜第3列33には、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列から、列毎に異なる間隔で抽出された選択対象文字列が表示される。
【0063】
第1列31には、最も広い間隔で抽出された選択対象文字列の中から、「アリウム(101)、エビネ(201)、カエノリナム(301)、キバナコスモス(401)、サルビグロシス(501)、…」等の選択対象文字列が表示される。なお、選択対象文字列後尾の括弧内の番号は、その文字列の表示順番を示す番号を表す。
【0064】
第2列32には、次に広い間隔で抽出された選択対象文字列の中から、第1列の基準行の選択対象文字列(キバナコスモス)をもとに抽出された「ガーベラ(371)、カラー(381)、カロライナジャスミン(391)、キバナコスモス(401)、キンモクセイ(411)、…」等の選択対象文字列が表示される。第3列33には、最も狭い間隔として順に抽出された選択対象文字列の中から、第1列の基準行の選択対象文字列(キバナコスモス)をもとに抽出された「キク(398)、キチジョウソウ(399)、ギボウシ(400)、キバナコスモス(401)、キャッツテール(402)、キャットミント(403)、…」等の選択対象文字列が表示される。
【0065】
図7は、一実施例における文字列選択入力装置1のスライド操作処理手段13及び文字列選択手段14の処理フロー例を示す図である。
【0066】
メニュー表示手段12が、
図6に示す表示画面に選択対象文字列を含むメニュー表示領域第1列31〜第3列33を表示させると、処理が開始され、スライド操作処理手段13が、以下のステップS11〜S15の処理を、文字列選択手段14がステップS16の処理を実行する。
【0067】
ステップS11: 表示・入力装置3の表示画面で利用者の操作が入力される。
【0068】
ステップS12: 入出力インタフェース11で、操作がスライド又は選択(タップ)であるかが判断され、操作が「スライド」であればステップS13の処理へ進み、操作が「タップ」選択操作であればステップS16の処理へ進む。
【0069】
ステップS13: ステップS12の処理で操作が「スライド」と判断されると、スライド操作処理手段13は、スライド操作の入力があったメニュー表示領域(列)、スライド操作の方向及び量を取得する。スライド操作処理手段13は、スライド量の代わりに、スライド操作の速度を取得するようにしてもよい。
【0070】
図8は、スライド操作の入力時のメニュー表示領域の例を示す図である。
図8において、メニュー表示領域(第2列)32の矢印はスライド操作を表し、メニュー表示領域(第2列)32において、上方向へ2行分のスライド操作の入力があったことを示している。
【0071】
ステップS14: スライド操作処理手段13は、スライド操作の入力があった第2列32の選択対象文字列をスライド操作(上方向、2行分)に応じてスクロール表示させる。
【0072】
ステップS15: スライド操作処理手段13は、第2列32のスクロール表示に連動させて、第1列31及び第3列33の選択対象文字列をスクロール表示させる。スライド操作処理手段13は、第1列31について、「スライド量×第1列と第2列の間隔の比率(s
2/s
1)」で求めたスクロール量(2行×10/100=1/5行分)で選択対象文字列を上方向へスクロール表示する。さらに、第3列33について、同様に「スライド量×第2列と第3列の間隔の比率(s
2/s
3)」求めたスクロール量(2行×10/1=20行分)で選択対象文字列を上方向へスクロール表示させる。
【0073】
図9は、スライド操作によるメニュー表示領域のスクロール表示の例を示す図である。
図9に示す各メニュー表示領域(列)で、選択対象文字列が上方向へスクロールされるが、第1列31では1/5行分、第2列32では2行分、第3列33では20行分というように、それぞれ異なるスクロール量でスクロール表示されていることがわかる。
【0074】
ステップS16: ステップS12の処理で操作が「タップ」と判断されると、文字列選択手段14は、選択操作の入力があった位置の選択対象文字列を特定して、入力文字列とする。
図9に示す第3列33において選択操作の入力の位置(楕円形で示す)から選択対象文字列「クレマチス」が特定され入力文字列とされる。
【0075】
なお、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列の最後の選択対象文字列がメニュー表示領域31〜33のいずれかの列で途中の行に表示される場合に、最後の選択対象文字列以降の行を空白行としてもよく、または抽出した選択対象文字列の先頭から選んだ選択対象文字列を設定して表示させてもよい。
【0076】
上述したように、文字列選択入力装置1は、大量の選択対象文字列から複数の異なる間隔で飛び飛びに抽出した選択対象文字列の並びを複数のメニュー表示領域(列)に同時に表示させ、1つのスライド操作に応じて各メニュー表示領域(列)を連動させてスクロール表示させることができる。よって、利用者は、所望する選択対象文字列の表示順番の周辺まで素早く到達して選択することができる。
【0077】
以下に、文字列選択入力装置1の別の実施例(第2の実施例)について説明する。
【0078】
図10は、別の実施例における記憶手段2に記憶される複数の選択対象文字列の例を示す図である。別の実施例における文字列選択入力装置1の構成例は、
図1に示す一実施例における文字列選択入力装置1の構成例とほぼ同じである。
【0079】
別の実施例における記憶手段2は、表示順番の順序関係が定められた複数の選択対象文字列の各々に重要度が付与されたものを記憶する。
図10において、選択対象文字列の左隣の数字は、各選択対象文字列に付与された重要度を表す。重要度は、例えば選択対象文字列が選択される頻度の区分、選択対象文字列に対する種々の評価の区分等であり、上位の重要度が付与される選択対象文字列数が、重要度の各段に付与する文字列数はある割合で設定される。上記の例を用いて説明すれば、重要度1は全数の1/100個、重要度2は全数の1/10個となるように、直下位の重要度が付与される選択対象文字列数より少なくなるように付与される。
図10に示す例では、需要度は、メニュー表示領域の数に対応した数の区分(1〜3)を持ち、1、2、3の順に重要度が高く、かつ、付与される選択対象文字列数が少ないものとする。
【0080】
別の実施例における文字列選択入力装置1のメニュー表示手段12は、各メニュー表示領域(列)に対応する複数の選択対象文字列に付与された重要度を用いて選択対象文字列を抽出する。
【0081】
また、スライド操作処理装置13は、スライド操作の入力があった場合に、スライド操作の入力があったメニュー表示領域(列)以外の列について、スライド量と、スライド操作の入力があった列と自列とにおいて対応する1つの選択対象文字列と次の選択対象文字列までの選択対象文字列数の比率とを用いてスクロール量を計算し、求めたスクロール量で選択対象文字列をスクロール表示する。
【0082】
図11は、別の実施例における文字列選択入力装置1のメニュー表示手段12の処理フロー例を示す図である。別の実施例において、表示画面に設けるメニュー表示領域数(n=3)は上記の一実施例の場合と同じである。
【0083】
ステップS21: メニュー表示手段12は、処理開始が入力されると、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列から、重要度が“1”である選択対象文字列を抽出する。
【0084】
ステップS22: メニュー表示手段12は、ステップS21の処理で抽出した選択対象文字列の中からr個分の選択対象文字列を第1列31に設定する。
【0085】
ステップS23: メニュー表示手段12は、記憶手段2の複数の選択対象文字列から、重要度が“2”以上(重要度が“1”か“2”)である選択対象文字列を抽出する。
【0086】
ステップS24: メニュー表示手段12は、ステップS23の処理で抽出した選択対象文字列のうち、第1列31の基準行の選択対象文字列に対応する選択対象文字列をもとに前後のr個分の抽出した選択対象文字列を第2列32に設定する。
【0087】
ステップS25: メニュー表示手段12は、記憶手段2の複数の選択対象文字列から重要度が“3”以上(重要度が“1”か“2”か“3”)、すなわち選択対象文字列を抽出するので、第2列32の基準行の選択対象文字列に対応する選択対象文字列をもとに前後のr個分の抽出した選択対象文字列を第3列33に設定する。
【0088】
ステップS26: メニュー表示手段12は、選択対象文字列が設定された第1列31〜第3列33を、入出力インタフェース11を介して、表示・入力装置3の表示画面に表示させる。
【0089】
図12は、
図11に示す処理フローにより表示・入力装置3の表示画面に表示されるメニュー表示領域の表示例を示す図である。
図12に示すメニュー表示領域の第1列31〜第3列33には、
図3に示す複数の選択対象文字列から重要度に基づいて抽出された選択対象文字列が表示される。
【0090】
例えば、第1列31には、ステップS22の処理で設定された「ウメ、オダマキ、ガーベラ、キバナコスモス、サザンカ、…」等の選択文字列が表示される。また、第2列32には、ステップS24の処理で設定された「カラー、カンナ、キキョウ、キバナコスモス、キンセンカ、キンモクセイ、…」等の選択文字列が表示され、第3列33には、ステップ25の処理で設定された「キク、キチジョウソウ、ギボウシ、キバナコスモス、キャッツテール、キャットミント、…」等の選択文字列が表示される。
【0091】
図13は、別の実施例における文字列選択入力装置1のスライド操作処理手段13及び文字列選択手段14の処理フロー例を示す図である。
【0092】
メニュー表示手段12が、
図12に示すメニュー表示領域を表示・入力装置3の表示画面に表示させると、処理が開始され、スライド操作処理手段13が、以下のステップS31〜S35の処理を、文字列選択手段14がステップS36の処理を実行する。ここで、ステップS31〜S34、S36の処理は、上記の一実施例で説明した
図7の処理フローのステップS11〜S14、S16の処理と同じであるので説明を省略する。
【0093】
ステップS35の処理では、スライド操作処理手段13は、スライド操作の入力があった第2列32のスクロール表示に連動させて、第1列31及び第3列33の選択対象文字列の並びをスクロール表示させる。具体的には、スライド操作処理手段13は、第3列33について、スライド量と、第3列と第2列の対応する選択対象文字列の間の選択対象文字列数の比率とを用いてスクロール量を計算し、計算したスクロール量で選択対象文字列をスクロール表示する。計算を例で示すと、スライド操作の入力があった第2列32において選択対象文字列の「キバナコスモス」と「キンセンカ」の飛びの間隔は1個分であり、処理対象とする第3列33において「キバナコスモス」と「キンセンカ」の飛びの間隔は9個分であるので、計算で求めたスクロール量(9行分=1行分×9/1)で選択対象文字列を上方向へスクロール表示させる。第1列31については、同様の計算により求めたスクロール量(1/56行分=1行分×1/56)が非常に小さいため、スクロール表示をせずに、そのままの表示とする。
【0094】
図14は、スライド操作によるメニュー表示領域のスクロール表示の例を示す図である。
図14に示すメニュー表示領域において、各列の選択対象文字列が上方向へスクロールされるが、第1列31ではスクロールせずに、第2列32では1行分、第3列33では9行分のスクロール量でスクロール表示されていることがわかる。また、ステップS36の処理で選択操作の入力の位置(楕円形で示す)から選択対象文字列「コヒマワリ」が特定され入力文字列とされる。
【0095】
上記の別の実施例における文字列選択入力装置1によれば、大量の選択対象文字列から同等の重要度で抽出した選択対象文字列の並びを列毎に表示させる。よって、利用者は、重要度を目安にして選択対象文字列をスライド操作できるため、所望する選択対象文字列により到達しやすくなり、より容易に所望する選択対象文字列を選択することができる。
【0096】
以下に、文字列選択入力装置1のさらに別の実施例(第3の実施例)について説明する。第3の実施例における文字列選択入力装置1の構成例は、
図1に示す一実施例における文字列選択入力装置1の構成例と同じである。
【0097】
さらに別の実施例(第3の実施例)では、文字列選択入力装置1のメニュー表示手段12は、表示・入力装置3の表示画面に複数のメニュー表示領域(第1列〜第3列)に選択対象文字列を表示させる際に、選択対象文字列を重複しないように表示させることができる。
【0098】
図15は、さらに別の実施例において表示・入力装置3の表示画面に表示されるメニュー表示領域の例を示す図である。
【0099】
メニュー表示手段12は、第2列32について抽出した選択対象文字列の中から、1つ前の第1列に表示されている選択対象文字列を除去した後に所定数の選択対象文字列を第2列32に設定する。上記の一の実施例(第1の実施例)では、
図6に示すように、メニュー表示領域の第1列31〜第3列33の基準行に同じ選択対象文字列「キバナコスモス」が表示される。さらに別の実施例(第3の実施例)では、
図6に示メニュー表示領域の各列に表示させる選択対象文字列の抽出において、メニュー表示手段12は、第2列32について抽出した選択対象文字列の中の「キバナコスモス」が第1列31の選択対象文字列として抽出しているので、第2列32の選択対象文字列の中から「キバナコスモス」を除去し、さらに1つ選択対象文字列「サンセベリア」を抽出する。同様に、第3列33の選択対象文字列の中から「キバナコスモス」を除去し、さらに1つ選択対象文字列「キンギョソウ」を抽出する。
図15に示すメニュー表示領域では、選択対象文字列「サンセベリア」を加えたr個の選択対象文字列が第2列32に、選択対象文字列「キンギョソウ」を加えたr個の選択対象文字列が第3列33に、それぞれ表示される。
【0100】
第3の実施例における文字列選択入力装置1によれば、メニュー表示領域にできるだけ多くの選択対象文字列を表示させることができる。
【0101】
なお、この第3の実施例は、上記の第1の実施例および第2の実施例と組み合わせて実施することができる。
【0102】
図16は、上記の文字列選択入力装置1のハードウェア構成例を示す図である。
【0103】
文字列選択入力装置1は、
図16に示すコンピュータ100として実施することができる。コンピュータ100は、例えば、プロセッサ(CPU)101、メモリ102、ストレージ103、表示装置104、入力装置105などを備え、これらの各装置がバス106に接続された構成である。
【0104】
プロセッサ101は、コンピュータ100の全体を制御し、メモリ102やストレージ103と協働しつつ、ストレージ103に格納されたプログラムを実行する。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置であり、プロセッサ101で実行されるプログラムがロードされるとともに、プロセッサ101の処理に用いるデータが格納されるメインメモリである。メモリ102は、プログラムの実行やデータ更新などの処理において、外部記憶装置や可搬型のデータ記録媒体に記憶されているプログラムやデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)などである。ストレージ103は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムや各種データが格納される。
【0105】
表示装置104は、ディスプレイ等であり、コンピュータ100による処理結果を出力する。入力装置105は、タッチパネル、キーボード、マウス等であり、利用者操作等による動作命令を受け付ける。
【0106】
上述の実施例において説明した文字列選択入力装置1の記憶手段2は、メモリ102、ストレージ103のいずれかである。表示・入力装置3は、表示装置104及び入力装置105である。
【0107】
また、文字列選択入力装置1の処理装置10が備える入出力インタフェース11、メニュー表示手段12、スライド操作処理手段13、文字列選択手段14は、コンピュータ100が実行可能なプログラムによっても実施することができる。この場合に、上記の各処理手段の処理内容を記述したプログラムが提供され、提供されたプログラムをコンピュータ100が実行することによって、各処理手段の機能がコンピュータ100上で実現される。
【0108】
以上説明したように、本発明の文字列選択入力装置1は、記憶手段2に記憶されている複数の選択対象文字列からメニュー表示領域毎に異なる飛び飛びの間隔で抽出した選択対象文字列を複数の領域でそれぞれ表示させる。そのため、利用者は、表示の順番が定められている複数の選択対象文字列を、広い範囲や狭い範囲の文字列の並びとして同時に見ることができ、所望する選択対象文字列がどの位置に表示されるかをより簡単に推測することができる。
【0109】
さらに、本発明の文字列選択入力装置1は、複数のメニュー表示領域で入力された1つのスライド操作に応じて複数のメニュー表示領域に表示された選択対象文字列の並びを連動してスクロール表示させる。これにより、利用者は、1回のスライド操作によって、複数の選択対象文字列を広狭が異なる複数の範囲で調べることができ、所望する選択対象文字列がどの辺りの表示順番であるかの見当がつけやすくなる。
【0110】
以上のように、本発明によれば、複数の選択対象文字列から利用者が所望する選択対象文字列の表示順番の位置の近辺まで少ない操作回数で到達し、所望する選択対象文字列を選択できるという、利用者の使い勝手の良い文字列選択入力手段を提供することができる。