(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タッチ操作を受けて静電容量が変化するタッチ電極と、前記タッチ電極の静電容量が所定量変化したらタッチ操作を受けたと判断する呼出判定手段とを有し、タッチ操作を受けたら呼出信号を出力する特殊呼出子機において、
前記タッチ電極が接続される接続部には、前記タッチ電極が取り外されたらオン動作する接点を介して、特定の静電容量を前記接続部に発生させるためのコンデンサが接続され、
前記呼出判定手段は、前記タッチ電極のタッチ操作の判断に加えて、前記接続部を介した静電容量が前記特定の静電容量へ変化したら、前記タッチ電極が取り外されたと判断することを特徴とする特殊呼出子機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特殊呼出子機において、タッチ操作により呼び出しするためのタッチ電極は清潔に保つ必要があり、取り外されて消毒等行われた。そのため、取り外されたタッチ電極を付け忘れる場合があり、そうなると患者は呼出操作ができなくなってしまうし、タッチ電極自体を紛失してしまうおそれがあるため、看護師はタッチ電極の状態を常に管理する必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、取り外したタッチ電極の付け忘れを防止できる特殊呼出子機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、タッチ操作を受けて静電容量が変化するタッチ電極と、タッチ電極の静電容量が所定量変化したらタッチ操作を受けたと判断する呼出判定手段とを有し、タッチ操作を受けたら呼出信号を出力する特殊呼出子機において、タッチ電極が接続される接続部には、タッチ電極が取り外されたらオン動作する接点を介して、特定の静電容量を接続部に発生させるためのコンデンサが接続され、呼出判定手段は、タッチ電極のタッチ操作の判断に加えて、接続部を介した静電容量が特定の静電容量へ変化したら、タッチ電極が取り外されたと判断することを特徴とする。
この構成によれば、タッチ電極が取り外されたら静電容量の変化からそれを判別することができるため、タッチ電極が取り外された状態を報知させることが可能となる。よって、取り外したタッチ電極が放置される事態の防止に役立つ。また、タッチ電極の接続部に接点を介してコンデンサを接続する程度で,従来より組み込まれている呼出操作検出のための回路によりタッチ電極の取り外しを認識させることが可能であり、大きなコストアップを招くこと無く取り外し検出を実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、呼出判定手段は、特定の静電容量へ変化した状態が一定時間継続したら警報信号を外部へ出力することを特徴とする。
この構成によれば、タッチ電極の取り付け忘れが発生した場合には警報信号が出力されるため、この信号によりナースコール親機等で警報音を鳴動させれば、患者が呼出操作できない事態の発生を防止できる。更に、看護師にとっては特殊呼出子機の状態を常にチェックする必要がなくなり負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タッチ電極が取り外されたら静電容量の変化からそれを判別することができるため、タッチ電極が取り外された状態を報知させることが可能となる。よって、取り外したタッチ電極が放置される事態の防止に役立つ。また、タッチ電極の接続部に接点を介してコンデンサを接続する程度で,従来より組み込まれている呼出検出のための回路によりタッチ電極の取り外しを認識させることが可能であり、大きなコストアップを招くこと無く実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る特殊呼出子機の一例を示す回路図であり、タッチ電極の静電容量の変化を抽出して静電容量の変化量から呼出操作を判断するタッチ操作検出回路を示している。
図1において、1はタッチ電極、2はタッチ電極1の接続部である接続ジャック、3は静電容量の変化量を抽出する抽出回路、4は抽出した波形(矩形波)を直流化して出力する平滑化回路、5はA/Dコンバータ、6はタッチ電極1の静電容量の変化がタッチ操作によるものか判断して、タッチ操作されたら呼出信号を生成して出力すると共に、タッチ電極の取り付け忘れが発生したらそれを検出して警報信号を出力するタッチ電極CPUである。
【0011】
接続ジャック2には、タッチ電極1が接続されたらオフし、取り外されたらオン動作する接点2aが組み込まれており、タッチ電極1の端子を抽出回路3へ接続する接続線S1に対して第1コンデンサC1が接続/解離するよう構成されている。具体的に、タッチ電極1が取り外されたら第1コンデンサC1が接続線S1に接続される。
尚、この第1コンデンサC1は、タッチ電極1固有の静電容量及びタッチ操作された際のタッチ電極1の静電容量より十分大きな容量となっている。
【0012】
抽出回路3は、2つの積分回路(第1積分回路3a,第2積分回路3b)と、コンパレータから成る2つの波形整形回路(第1波形整形回路G1,第2波形整形回路G2)と、論理回路から成る位相抽出回路G3とで構成され、波形整形回路G1,G2により整形されて出力される矩形波が、位相抽出回路G3において排他的論理和が演算されて出力される。また平滑化回路4は、例えば
図1に示すように第3抵抗R3と第3コンデンサC3とから成る積分回路で構成されている。
【0013】
図2、
図3は抽出回路3の各点の波形、及び平滑化回路4の出力波形を示している。具体的に、
図2(a)はタッチ電極CPU6から矢印Q1で示す方向に出力されて、抽出回路3へ入力されるP1点の電圧波形、
図2(b)は第1波形整形回路G1へ入力するP2点の波形、
図2(c)は第2波形整形回路G2へ入力するP3点の波形を示している。尚、
図2(b)の波形A1は呼出操作を受けない定常状態の波形、波形A2は呼出操作を受けた時の波形を示している。そして、
図3(a)は第1波形整形回路G1の出力P4点の波形、
図3(b)は第2波形整形回路G2の出力P5点の波形、
図3(c)のA3は位相抽出回路C3の出力P6点の波形を示している。尚、A4は平滑化回路4により波形整形された直流波形を示している。
【0014】
タッチ電極CPU6から、
図2(a)に示す矩形波が生成されて、抽出回路3に対して出力され、第1波形整形回路G1には第1抵抗R1と接続線S1を介したタッチ電極1の静電容量とから成る第1積分回路3aによりこの波形が変形されて入力される。
一方、第2波形整形回路G2には、同様にタッチ電極CPU6で生成された矩形波が、第2抵抗R2と第2コンデンサC2とから成る第2積分回路3bにより変形されて入力される。
【0015】
尚、第2コンデンサC2はタッチ電極1が持つ固有の静電容量に等しい値に設定されると共に、第1抵抗R1と第2抵抗R2は等しい抵抗値となっている。そのため、タッチ操作を受けない待受時は、同一の波形が第1波形整形回路G1及び第2波形整形回路G2に入力される。このように、第2積分回路3bはタッチ電極1のタッチ操作を検出するための基準波形を生成している。
【0016】
そして、この2つの波形整形回路G1,G2が出力する矩形波は、位相抽出回路G3において差分が抽出されて出力され、その後平滑化回路4において直流に波形整形される。
【0017】
上記のように構成されたタッチ操作検出回路が、接続ジャック2の静電容量の変化を受けてタッチ操作等を判定する動作を以下説明する。
タッチ電極1がタッチ操作を受けない待受状態では、タッチ電極1と第2コンデンサC2の静電容量が等しいため、第1波形整形回路G1及び第2波形整形回路G2の双方の入力端子には、
図2(b)のA1の波形、及び
図2(c)の波形が入力され、同一波形が入力されるため、両者の波形に差分が無いため抽出回路3は信号を出力しない。
【0018】
この状態で、タッチ電極1に対して患者が手を触れたり舌を接触させたりすると、タッチ電極1の静電容量が変化して大きくなる。その結果、第1波形整形回路G1の入力波形は、
図2(b)の波形A2に示す変形量が大きな波形となり、第1波形整形回路G1と第2波形整形回路G2の出力波形は、
図3(a)と
図3(b)に示すように位相差を生じる。そのため、位相抽出回路G3は
図3(c)のA3に示す矩形波を出力する。
この矩形波が、平滑化回路4を経て
図3(c)のA4で示す直流電圧波形となってA/Dコンバータ5に入力される。こうして、A/Dコンバータ5には、第1波形整形回路G1と第2波形整形回路G2との位相差に比例する直流電圧が入力され、直流電圧値に応じたデジタル信号が出力される。
【0019】
図4は、タッチ電極1の静電容量(正確には接続ジャック2の静電容量)とA/Dコンバータ5の入力電圧の関係を示している。A/Dコンバータ5には、第1波形整形回路G1と第2波形整形回路G2との位相差に比例する直流電圧が入力される。即ち、待受時を基準とした場合のタッチ電極1の静電容量の変化量に比例した電圧が入力される。そのため、タッチ電極1の静電容量とA/Dコンバータ5の入力電圧は
図4に示すような比例関係となる。
図4において、範囲T
1〜T
2はタッチ電極CPU6がタッチ操作されたと判断する静電容量の範囲を示し、T
3は後述するタッチ電極1が取り外されたと判断する値を示している。
【0020】
尚、タッチ電極CPU6から出力される呼出信号Q2は、図示しないナースコール親機へ送信され、ナースコール親機において呼出発生が報音される。
【0021】
次に、タッチ電極1が取り外された場合の動作を具体的に説明する。
図5はこの状態の説明図であり、
図5(a)はタッチ電極1が取り外された際の接続ジャック2の状態を示す回路図、(b)は
図1に示すP2点の波形図である。
タッチ電極1が取り外されると、接点2aを介して接続線S1に第1コンデンサC1が接続される。この第1コンデンサC1はタッチ電極1自身の静電容量より十分大きい容量であるため、P2点の電圧波形は、
図5(b)の波形A5に示すように大きく変形した形状となる。
【0022】
その結果、第1波形整形回路G1が出力する電圧波形は遅延量の大きな波形となり、
図4のT
3に示すようにA/Dコンバータ5にはタッチ操作時の電圧に比べて十分大きな電圧が入力される。よって、この電圧信号を受信したタッチ電極CPU6は、タッチ電極1が取り外されたと判断し、内蔵しているタイマ回路6aによるカウントを開始して例えば5分等の所定時間をカウントする。
その後、所定時間が経過してもこの電圧信号が引き続き入力されたら、タッチ電極1の取り付け忘れが発生したと判断して警報信号を生成して出力する。
【0023】
この警報信号は、呼出信号Q2と同様の経路でナースコール親機に送信され、ナースコール親機では特殊呼出子機のタッチ電極の取り付け忘れが発生した旨を報知する。
またタッチ電極CPU6は、タッチ電極の取り付け忘れ発生と判断すると、特殊呼出子機が具備しているブザーを鳴動させたりLEDの点滅等を実施させ、特殊呼出子機自体も異常発生を報知する。
【0024】
このように、タッチ電極1が取り外されたら静電容量の変化からそれを判別することができるため、タッチ電極1が取り外された状態を報知させることが可能となり、取り外したタッチ電極1が放置される事態の防止に役立つ。また、タッチ電極1の接続ジャック2に接点2aを介して第1コンデンサC1を接続する程度で,従来より組み込まれている呼出操作検出のための回路によりタッチ電極1の取り外しを認識させることができ、大きなコストアップを招くこと無く取り外し検出を実施できる。
また、一定の時間の経過を待ってもタッチ電極1が取り付けられなければ、タッチ電極1の取り付け忘れ発生と判断して警報信号が出力されるため、この信号によりナースコール親機等で警報音を鳴動させれば、患者が呼出操作できない事態の発生を防止できる。更に、看護師にとっては特殊呼出子機の状態を常にチェックする必要がなくなり負担を軽減できる。
【0025】
尚、上記実施形態では、タッチ電極1が取り外されてから所定時間が経過したら、特殊呼出子機が異常発生を外部に通知しているが、取り外された時点でそれを通知する信号を出力しても良く、例えばナースコール親機において取り外しの通知信号を所定時間継続して受信したら取り付け忘れ発生と判断して警報音を鳴動させてもよい。