特許第6283598号(P6283598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000002
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000003
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000004
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000005
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000006
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000007
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000008
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000009
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000010
  • 特許6283598-建設機械のトルク制御装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283598
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】建設機械のトルク制御装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/00 20060101AFI20180208BHJP
   F02D 29/04 20060101ALI20180208BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20180208BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   F04B49/00 A
   F02D29/04 G
   F04B49/06 321Z
   E02F9/22 R
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-238146(P2014-238146)
(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公開番号】特開2016-98775(P2016-98775A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 稔
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 英男
(72)【発明者】
【氏名】萩原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小高 克明
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−253787(JP,A)
【文献】 特開平09−177679(JP,A)
【文献】 特開2015−048805(JP,A)
【文献】 特開2015−068232(JP,A)
【文献】 特開2006−112287(JP,A)
【文献】 特開2000−073960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00
E02F 9/22
F02D 29/04
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプ、及び前記油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される油圧アクチュエータを備えた建設機械に設けられ、
前記エンジンの目標回転数を入力する目標回転数入力装置と、
前記エンジンの環境に関連し、前記エンジンの出力トルクに影響を与える状態量を検出する状態量検出装置と、
前記目標回転数入力装置によって入力された前記エンジンの目標回転数、及び前記状態量検出装置によって検出された前記状態量に基づいて、前記油圧ポンプの吸収トルクを制御する制御装置とを備え
記制御装置は、
前記エンジンの目標回転数とポンプベーストルクとの関係が予め設定され、この関係に対して、前記目標回転数入力装置にて入力された前記エンジンの目標回転数に基づき前記ポンプベーストルクを演算するポンプベーストルク演算部と、
記状態量、前記エンジンの目標回転数、及び前記エンジンの出力トルクの関係が予め設定され、この関係に対して、前記状態量検出装置によって検出された前記状態量、及び前記目標回転数入力装置によって入力された前記エンジンの目標回転数を適用して前記エンジンの出力トルクを演算するトルク演算部と、
前記トルク演算部によって演算された前記エンジンの出力トルクと前記ポンプベーストルク演算部によって演算された前記ポンプベーストルクとのうち、最小値を選択して、前記油圧ポンプの吸収トルクを制限する吸収トルク制限部とを含み、
前記エンジンの目標回転数に対する前記エンジンの出力トルクの特性を前記状態量としての標高毎に対応づけて複数設定し、前記標高が高くなるほど前記エンジンの目標回転数の低下に対する前記エンジンの出力トルクの低下の変化量が大きくなるように制御する
ことを特徴とする建設機械のトルク制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のトルク制御装置において
記建設機械が置かれた環境の大気圧を前記状態量として検出する大気圧検出器を備えたことを特徴とする建設機械のトルク制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンによって駆動される油圧ポンプの吸収トルクを制御する建設機械のトルク制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、原動機としてのエンジンと、このエンジンによって駆動される少なくとも1つの油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される油圧アクチュエータとを備え、この油圧アクチュエータを操作して掘削等の必要な作業を行っている。
【0003】
また、建設機械は、エンジンの目標回転数を入力するアクセルレバー等の入力部を備え、この入力部によって入力されたエンジンの目標回転数に応じて燃料噴射量を調整することにより、エンジンの回転数を制御している。そして、建設機械は、油圧ポンプの吸収トルクの制御として、目標のエンジン回転に対して、エンジンの実回転が低下した場合に、エンジンの回転数の偏差に応じて油圧ポンプの吸収トルクを低下させる制御、いわゆるスピードセンシング制御を行うことにより、エンジンの停止を防止し、エンジンの出力を有効に利用している。
【0004】
一方、エンジンの出力トルクは外部環境の影響、例えば、大気圧の低下により出力トルクが低下すること等が問題になっていた。このような問題に対して、上述のスピードセンシング制御に加え、エンジンの環境に係わる状態量を検出した後、当該状態量毎に、予め定めた状態量とエンジンの出力変化の影響量との関係からそのときの状態量の検出値に対応する出力変化の影響量を演算し、この演算値に応じて油圧ポンプの最大吸収トルクを補正するようにした油圧建設機械の油圧ポンプのトルク制御装置が従来技術の1つとして提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、油圧ポンプの吸収トルクの制御に関するものではないが、エンジンの環境状態の変化に対してエンジンの出力トルクを設定する従来技術の1つとして、標準環境下でのノミナル最大エンジントルク及びノミナル最小エンジントルクの間でのノミナル目標エンジントルクの割合と、環境補正された最大エンジントルク及び最小エンジントルクの間での目標エンジントルクの割合とが実質的に等しくなるように、環境補正された最大エンジントルク及び最小エンジントルクを補間して環境補正後の目標エンジントルクを算出するようにしたエンジンの制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−73960号公報
【特許文献2】特開2007−198347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に開示された従来技術では、油圧ポンプの吸収トルクの補正において、エンジンの環境に係わる状態量についての油圧ポンプの吸収トルクの低下量は、エンジンの回転数に拘わらず、一定となっている。そのため、特許文献1の従来技術では、特許文献2に開示されているように、エンジンの環境状態が変化した場合に、標準環境状態下でのエンジンの回転数に対するエンジンの出力トルクの特性が非相似形の変化を示すことが考慮されていない。
【0008】
ここで、エンジンの環境に係わる状態量として大気圧を一例に挙げ、エンジンの出力トルクの特性として、建設機械が平地で使用されたときに、エンジンの回転数が2000rpmに対してエンジンの出力トルクが1000Nm、建設機械が平地よりも大気圧が低い標高2000mの高地で使用されたときに、エンジンの回転数が2000rpmに対してエンジンの出力トルクが800Nmであると仮定する。この条件に対して特許文献1の従来技術は、建設機械を標高2000mの高地でエンジンの回転数を2000rpmに設定して使用する際にオーバートルクを回避するために、例えば、大気圧の変化の影響量から油圧ポンプの吸収トルクを200Nm(=1000Nm−800Nm)低下させる補正を行うことになる。
【0009】
しかしながら、エンジンの出力トルクの特性において、建設機械が平地で使用されたときに、エンジンの回転数が1200rpmに対してエンジンの出力トルクが800Nm、建設機械が標高2000mの高地で使用されたときに、エンジンの回転数が1200rpmに対してエンジンの出力トルクが500Nmまで低下する場合には、標高2000mの高地で油圧ポンプの吸収トルクを一定の200Nm低下させる補正を行っても、油圧ポンプの吸収トルクがエンジンの出力トルクを超えることになる。この場合、エンジンの停止やエンジンの回転数の変動を引き起こすので、建設機械の操作性が低下すると共に、車体の振動が大きくなってオペレータへの負担に繋がることが懸念されている。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、エンジンの環境が変化しても、良好な操作性を確保すると共に、車体の振動に伴うオペレータへの負担を軽減することができる建設機械のトルク制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の建設機械のトルク制御装置は、エンジン、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプ、及び前記油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される油圧アクチュエータを備えた建設機械に設けられ、前記エンジンの目標回転数を入力する目標回転数入力装置と、前記エンジンの環境に関連し、前記エンジンの出力トルクに影響を与える状態量を検出する状態量検出装置と、前記目標回転数入力装置によって入力された前記エンジンの目標回転数、及び前記状態量検出装置によって検出された前記状態量に基づいて、前記油圧ポンプの吸収トルクを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記エンジンの目標回転数とポンプベーストルクとの関係が予め設定され、この関係に対して、前記目標回転数入力装置にて入力された前記エンジンの目標回転数に基づき前記ポンプベーストルクを演算するポンプベーストルク演算部と、記状態量、前記エンジンの目標回転数、及び前記エンジンの出力トルクの関係が予め設定され、この関係に対して、前記状態量検出装置によって検出された前記状態量、及び前記目標回転数入力装置によって入力された前記エンジンの目標回転数を適用して前記エンジンの出力トルクを演算するトルク演算部と、前記トルク演算部によって演算された前記エンジンの出力トルクと前記ポンプベーストルク演算部によって演算された前記ポンプベーストルクとのうち、最小値を選択して、前記油圧ポンプの吸収トルクを制限する吸収トルク制限部とを含み、前記エンジンの目標回転数に対する前記エンジンの出力トルクの特性を前記状態量としての標高毎に対応づけて複数設定し、前記標高が高くなるほど前記エンジンの目標回転数の低下に対する前記エンジンの出力トルクの低下の変化量が大きくなるように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建設機械のトルク制御装置によれば、エンジンの環境が変化しても、良好な操作性を確保すると共に、車体の振動に伴うオペレータへの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るトルク制御装置の一実施形態が適用される建設機械の一例として挙げた油圧ショベルの構成を示す外観図である。
図2】本実施形態に係るトルク制御装置の要部の構成を説明する図である。
図3】本実施形態に係る傾転角制御部の構成を説明する図である。
図4】本実施形態に係る車体コントローラの構成を示す機能ブロック図である。
図5】本実施形態に係るポンプベーストルク演算部のマップにおけるエンジンの目標回転数NaとポンプベーストルクTRaとの関係を示す図である。
図6】本実施形態に係るスピードセンシング補正トルク演算部のマップにおけるエンジンの目標回転数Naと実回転数Nとの偏差ΔNと、スピードセンシング補正トルクTRbとの関係を示す図である。
図7】本実施形態に係る油温補正トルク演算部のマップにおける作動油の温度Toと油温補正トルクTRcとの関係を示す図である。
図8】本実施形態に係る水温補正トルク演算部のマップにおけるエンジンの冷却水の温度Twと水温補正トルクTRdとの関係を示す図である。
図9】本実施形態に係るトルク演算部の複数のマップのうち大気圧100kPaにおけるエンジンの目標回転数Naと出力トルクTReとの関係を示す図である。
図10】本実施形態に係る油圧ショベルが各標高の環境下においてそれぞれ使用されるときのエンジンの回転数Nと出力トルクTReとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る建設機械のトルク制御装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0015】
本発明に係るトルク制御装置の一実施形態は、建設機械、例えば、図1に示す油圧ショベル1に適用される。この油圧ショベル1は、走行体2と、この走行体2の上側に旋回装置3Aを介して旋回可能に取付けられた旋回体3と、この旋回体3の前方に取り付けられて上下方向に回動するフロント作業機4とから構成されている。
【0016】
走行体2は、前後方向の一端のうち左右の両側にそれぞれ配置され、履帯2aを駆動する走行モータ2Aを有している。旋回装置3Aは、内部に配置された旋回モータ(図示せず)を有している。これらの走行モータ2A及び旋回モータは、例えば、油圧を動力源とする油圧モータから構成されている。
【0017】
旋回体3は、車体の前部に配置され、オペレータが搭乗する運転室5と、車体の後部に配置され、車体のバランスを保つカウンタウェイト6と、これら運転室5とカウンタウェイト6との間に配置され、原動機としてのエンジン11(図2参照)を格納する機械室7とを備えている。
【0018】
また、旋回体3は、図示されないが、エンジン11の近傍に配置され、エンジン11及び後述の油圧ポンプ12(図2参照)との間で熱交換を行う熱交換器を備えている。この熱交換器は、例えば、エンジン11の冷却水を作成するラジエータと、作動油を冷却するオイルクーラと、エンジン11のターボチャージャ(図示せず)によって過給された空気を冷却するインタクーラとを備えている。
【0019】
そして、このように構成される旋回体3において、本実施形態に係るトルク制御装置を含む油圧制御装置100(図2参照)が搭載されている。なお、この油圧制御装置100の具体的な構成については後で詳細に述べる。
【0020】
フロント作業機4は、基端が旋回体3に回動可能に取り付けられ、上下方向に回動するブーム4Aと、このブーム4Aの先端に回動可能に取り付けられ、上下方向に回動するアーム4Bと、このアーム4Bの先端に回動可能に取り付けられ、上下方向に回動するバケット4Cとを有している。
【0021】
また、フロント作業機4は、旋回体3とブーム4Aとを接続し、伸縮することによってブーム4Aを回動させるブームシリンダ4aと、ブーム4Aの上側に配置されると共にブーム4Aとアーム4Bとを接続し、伸縮することによってアーム4Bを回動させるアームシリンダ4bと、アーム4Bとバケット4Cとを接続し、伸縮することによってバケット4Cを回動させるバケットシリンダ4cと、これらの各シリンダ4a〜4cへ圧油を導く複数の配管(図示せず)とを含んでいる。
【0022】
上述した走行モータ2A、旋回モータ、ブームシリンダ4a、アームシリンダ4b、及びバケットシリンダ4cは、後述の油圧ポンプ12から吐出された圧油によって駆動される油圧アクチュエータとして機能する。なお、油圧ショベル1には、バケット4C等の各種のアタッチメントが存在し、バケット4Cは岩盤を掘削するブレーカ(図示せず)や岩石を破砕する小割機(図示せず)等に変更可能であり、作業の内容に適したアタッチメントを用いることにより、掘削や破砕を含む様々な作業を行うことができる。
【0023】
次に、油圧アクチュエータ2A、4a〜4cの駆動源としての油圧回路を構成する前述の油圧制御装置100について、図2を参照しながら詳細に説明する。なお、油圧アクチュエータ2A、4a〜4cは、上述のアタッチメントの全てを駆動可能に構成され、それぞれ同様の油圧回路により駆動されるので、以下の説明を分かり易くするために、アームシリンダ4bを駆動する構成を例に挙げて説明し、その他の油圧アクチュエータ2A,4a,4cを駆動する構成の説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、油圧制御装置100は、上述のエンジン11と、このエンジン11の動作を制御するエンジンコントローラ11Aと、エンジン11によって駆動されるアキシャルピストンポンプ等の可変容量型斜板式油圧ポンプ(以下、便宜的に油圧ポンプと呼ぶ)12と、この油圧ポンプ12に吸入される作動油を貯蔵する作動油タンク13と、アームシリンダ4bと油圧ポンプ12との間に接続され、アームシリンダ4bに対して吐出される作動油の流れ(流量及び方向)を制御する方向制御弁14と、油圧ポンプ12の回転軸に対する斜板12A(図3参照)の傾転角を制御する傾転角制御部15とを含んでいる。
【0025】
また、油圧制御装置100は、パイロット圧油としての作動油を方向制御弁14の左右の受圧室及び傾転角制御部15へ供給するギアポンプ20と、このギアポンプ20から吐出された作動油の圧力(パイロット圧)の最大値を規定するパイロットリリーフ弁21と、ギアポンプ20と傾転角制御部15とを接続する1次圧管路16に設けられ、後述の車体コントローラ32から出力された指令電流に応じて、ギアポンプ20から傾転角制御部15へ吐出された作動油の圧力を減圧する減圧弁22と、油圧ポンプ12と方向制御弁14との間に接続され、油圧ポンプ12から吐出された作動油が過剰となった場合に、作動油を作動油タンク13へ流出させるメインリリーフ弁23とを含んでおり、このメインリリーフ弁23によって油圧回路を保護している。
【0026】
さらに、油圧制御装置100は、運転室5内に設置され、オペレータが把持して操作する操作装置25と、この操作装置25の操作に応じて、ギアポンプ20から方向制御弁14の左右の受圧室へ導かれる作動油の圧力を減圧する一対の減圧弁26A,26Bと、これらの減圧弁26A,26Bを流通した作動油の圧力をそれぞれ測定する一対の圧力センサ(PS)27A,27Bと、エンジン11の回転数(実回転数)N(図4参照)を検出する回転数検出器28とを含んでいる。
【0027】
そして、油圧制御装置100は、エンジン11の目標回転数Na(図4参照)を入力する目標回転数入力装置としての目標回転数設定ダイヤル30と、エンジン11の環境に関連し、エンジン11の出力トルクTRe(図10参照)に影響を与える状態量を含む、状態量を検出する状態量検出装置31と、目標回転数設定ダイヤル30によって設定されたエンジン11の目標回転数Na、及び状態量検出装置31によって検出された状態量に基づいて、油圧ポンプ12の吸収トルクの制御を含む車体全体の動作の制御を行う制御装置としての車体コントローラ32とを含んでいる。
【0028】
方向制御弁14は、作動油をアームシリンダ4bのボトム室4b1へ導くことにより、アームシリンダ4bを伸長させる切換位置R、作動油をアームシリンダ4bへ導かずに作動油タンク13へ流出させる切換位置N、及び作動油をアームシリンダ4bのロッド室4b2へ導くことにより、アームシリンダ4bを短縮させる切換位置Lを有している。そして、方向制御弁14は、減圧弁26A,26Bから左右の受圧室に導かれた作動油の圧力に応じて、内部のスプールがストロークすることにより、3つの切換位置R,N,Lのいずれかに切換える構成になっている。
【0029】
傾転角制御部15は、図3に示すように、筒状のシリンダボア15Aと、一端が油圧ポンプ12の斜板12Aに連結され、他端がシリンダボア15A内に挿入されたピストンロッド15Bと、このピストンロッド15Bの当該他端に取付けられ、シリンダボア15内を軸方向へ往復動するピストン15Cと、シリンダボア15Aのボトム室15A1に設置され、ピストン15Cをシリンダボア15Aのロッド室15A2へ付勢する付勢ばね15Dとを有している。
【0030】
このように構成された傾転角制御部15では、ギアポンプ20からの作動油が1次圧管路16から減圧弁22を介してシリンダボア15Aのロッド室15A2へ供給されることにより、ロッド室15A2内の圧力によってピストン15Cが付勢ばね15Dに抗してシリンダボア15Aのボトム室15A1を圧縮しながら移動する。これにより、ピストン15Cの移動に連動して油圧ポンプ12の斜板12Aの傾転角が大きくなり、油圧ポンプ12の押しのけ容積が増大する。
【0031】
一方、ロッド室15A内の作動油が減圧弁22を介して作動油タンク13へ戻されることにより、ロッド室15A2内の圧力が低下することに伴い、ピストン15Cが付勢ばね15Dの弾性力で押し戻されてロッド室15A2を圧縮しながら移動する。これにより、ピストン15Cの移動に連動して油圧ポンプ12の斜板12Aの傾転角が小さくなり、油圧ポンプ12の押しのけ容積が減少する。
【0032】
目標回転数設定ダイヤル30は、例えば、運転室5内に設置され、エンジン11に対して高回転数が要求される重負荷作業及び低回転数が要求される軽負荷作業等の作業内容に応じて、運転室5内のオペレータがエンジン11の目標回転数Naを設定して入力する入力装置から構成されている。
【0033】
状態量検出装置31は、例えば、ラジエータへ戻されるエンジン11の冷却水の温度Tw(図4参照)を検出する水温検出器31Aと、作動油タンク13へ戻される作動油の温度To(図4参照)を検出する油温検出器31Bと、旋回体3の吸気口(図示せず)に取付けられ、油圧ショベル1が置かれた環境の大気圧P(図4参照)を検出する大気圧検出器31Cとから構成されている。
【0034】
これらの状態量検出装置31のうち、水温検出器31A、及び大気圧検出器31Cの検出結果は、エンジンコントローラ11Aに出力され、エンジン11の動作の制御に使用される。また、上述した圧力センサ27A,27Bの測定結果、目標回転数設定ダイヤル30の設定値、回転数検出器28、水温検出器31A、油温検出器31B、及び大気圧検出器31Cの検出結果は、車体コントローラ32へ出力され、車体の動作の制御に使用される。
【0035】
従って、本実施形態では、エンジン11の出力トルクTReに影響を与える状態量として冷却水の温度Tw、及び大気圧Pを状態量の具体例として挙げており、これらの状態量のうち大気圧Pを、エンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTR(図10参照)がエンジン11の回転数Nに応じて異なる特定の状態量の具体例として挙げている。すなわち、大気圧検出器31Cは、当該特定の状態量を検出する特定状態量検出装置として機能する。なお、エンジン11の出力トルクTReには影響を与えないが、油圧ポンプ12の吸収トルクの制御に使用する状態量として、作動油の温度Toを具体例として挙げている。
【0036】
車体コントローラ32は、車体の動作を制御するための各種の演算等を行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)と、各種の情報を入力すると共に、減圧弁22への指令電流を出力する入出力インターフェースとを含むハードウェアから構成されている。
【0037】
次に、油圧ポンプ12の吸収トルクを制御する機能を示す車体コントローラ32の具体的な構成について、図4を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
車体コントローラ32は、ポンプベーストルク演算部40と、スピードセンシング補正トルク演算部41と、油温補正トルク演算部42と、水温補正トルク演算部43と、トルク演算部44と、吸収トルク制限部45と、ポンプ補正トルク演算部46,47と、ポンプトルク演算部48と、指令電流演算部49とを有している。
【0039】
ポンプベーストルク演算部40は、エンジン11の目標回転数NaとポンプベーストルクTRaとの関係が予め設定されたマップを格納している。このマップは、例えば図5に示すように、エンジン11の目標回転数Naの上昇に応じてポンプベーストルクTRaが予め指定された最小値TRaminから最大値TRamaxまで上昇し、目標回転数NaがNa1以下のときに、ポンプベーストルクTRaは最小値TRaminに設定され、目標回転数NaがNa2以上のときに、ポンプベーストルクTRaは最大値TRamaxに設定された関係を示している。
【0040】
ポンプベーストルク演算部40は、目標回転数設定ダイヤル30によって設定されたエンジン11の目標回転数Naを入力した後、マップが示す関係に対して、入力したエンジン11の目標回転数Naを適用してポンプベーストルクTRaを演算し、その演算結果を吸収トルク制限部45へ出力する。
【0041】
スピードセンシング補正トルク演算部41は、エンジン11の目標回転数Naと実回転数Nとの偏差ΔNと、スピードセンシング補正トルクTRbとの関係が予め設定されたマップを格納している。このマップは、例えば図6に示すように、原点を中心とした点対称の関係であり、偏差ΔNの上昇に応じてスピードセンシング補正トルクTRbが予め指定された最小値TRbminから最大値TRbmaxまで上昇し、偏差ΔNがΔN1以下のときに、スピードセンシング補正トルクTRbは最小値TRbminに設定され、偏差ΔNがΔN2以上のときに、スピードセンシング補正トルクTRbは最大値TRbmaxに設定された関係を示している。
【0042】
スピードセンシング補正トルク演算部41は、エンジン11の目標回転数Naと実回転数Nとの偏差ΔNを入力した後、マップが示す関係に対して、入力した偏差ΔNを適用してスピードセンシング補正トルクTRbを演算し、その演算結果をポンプ補正トルク演算部47へ出力する。
【0043】
油温補正トルク演算部42は、作動油の温度Toと油温補正トルクTRcとの関係が予め設定されたマップを格納している。このマップは、例えば図7に示すように、作動油の温度Toの上昇に応じて油温補正トルクTRcが予め指定された最大値TRcmax(例えば、0Nm)まで上昇し、作動油の温度ToがTo1(例えば、15℃)以上のときに、油温補正トルクTRcは最大値TRcmaxに設定された関係を示している。
【0044】
油温補正トルク演算部42は、油温検出器31Bによって検出された作動油の温度Toを入力した後、マップが示す関係に対して、入力した作動油の温度Toを適用して油温補正トルクTRcを演算し、その演算結果をポンプ補正トルク演算部46へ出力する。
【0045】
水温補正トルク演算部43は、エンジン11の冷却水の温度Twと水温補正トルクTRdとの関係が予め設定されたマップを格納している。このマップは、例えば図8に示すように、エンジン11の冷却水の温度Twの上昇に応じて水温補正トルクTRdが予め指定された最大値TRdmax(例えば、0Nm)まで上昇し、エンジン11の冷却水の温度TwがTw1(例えば、15℃)以上のときに、水温補正トルクTRdは最大値TRdmaxに設定された関係を示している。
【0046】
水温補正トルク演算部43は、水温検出器31Aによって検出されたエンジン11の冷却水の温度Twを入力した後、マップが示す関係に対して、入力したエンジン11の冷却水の温度Twを適用して水温補正トルクTRdを演算し、その演算結果をポンプ補正トルク演算部46へ出力する。
【0047】
トルク演算部44は、大気圧P、エンジン11の目標回転数Na、エンジン11の出力トルクTReの関係が予め設定された複数のマップを格納している。これらの各マップは、例えば、任意の範囲における大気圧P毎にエンジン11の目標回転数Naと出力トルクTReとの関係を規定し、大気圧Pが低下するにつれて出力トルクTReが減少するように設定された関係を示している。
【0048】
また、トルク演算部44の各マップの関係の具体例の1つとして、図9に示すように、油圧ショベル1が置かれた環境の大気圧Pが100kPaのときのエンジン11の目標回転数Naと出力トルクTReとの関係は、目標回転数Naが低回転数のときに、出力トルクTReは小さくなり、目標回転数Naが高回転数のときに、出力トルクTReは大きくなるように設定されている。
【0049】
トルク演算部44は、大気圧検出器31Cによって検出された大気圧P、及び目標回転数設定ダイヤル30によって設定されたエンジン11の目標回転数Naを入力した後、マップが示す関係に対して、入力した大気圧P及びエンジン11の目標回転数Naを適用してエンジン11の出力トルクTReを演算し、その演算結果を吸収トルク制限部45へ出力する。
【0050】
吸収トルク制限部45は、トルク演算部44によって演算されたエンジン11の出力トルクTRe以下に、油圧ポンプ12の吸収トルクを制限する。具体的には、吸収トルク演算部45は、例えば、ポンプベーストルク演算部40によって演算されたポンプベーストルクTRa、及びトルク演算部44によって演算されたエンジン11の出力トルクTReを入力した後、これらのポンプベーストルクTRa及び出力トルクTReの最小値をポンプトルクTRfとして選択し、その選択結果をポンプトルク演算部48へ出力する。
【0051】
ポンプ補正トルク演算部46は、油温補正トルク演算部42によって演算された油温補正トルクTRc、及び水温補正トルク演算部43によって演算された水温補正トルクTRdを入力した後、これらの油温補正トルクTRcと水温補正トルクTRdを加算してポンプ補正トルクTRgを演算し、その演算結果をポンプ補正トルク演算部47へ出力する。
【0052】
ポンプ補正トルク演算部47は、スピードセンシング補正トルク演算部41によって演算されたスピードセンシング補正トルクTRb、及びポンプ補正トルク演算部46によって演算されたポンプ補正トルクTRgを入力した後、このポンプ補正トルクTRgからスピードセンシング補正トルクTRbを減算してポンプ補正トルクTRhを演算し、その演算結果をポンプトルク演算部48へ出力する。
【0053】
ポンプトルク演算部48は、吸収トルク制限部45によって選択されたポンプトルクTRf、及びポンプ補正トルク演算部47によって演算されたポンプ補正トルクTRhを入力した後、これらのポンプトルクTRfとポンプ補正トルクTRhを加算してポンプトルクTRiを演算し、その演算結果を指令電流演算部49へ出力する。
【0054】
指令電流演算部49は、ポンプトルクTRiと、減圧弁22へ出力する指令電流Iとの関係が予め設定されたマップを格納している。このマップは、例えば、ポンプトルクTRiの上昇に応じて指令電流Iが減少する反比例の関係を示している。そして、指令電流演算部49は、ポンプトルク演算部48によって演算されたポンプトルクTRiを入力した後、マップが示す関係に対して、入力したポンプトルクTRiを適用して指令電流Iを演算し、得られた指令電流Iを減圧弁22へ出力する。
【0055】
以上説明した車体コントローラ32の各ポンプベーストルク演算部40、スピードセンシング補正トルク演算部41、油温補正トルク演算部42、水温補正トルク演算部43、及びトルク演算部44の演算は、油圧ショベル1の運転室5内に設けられたエンジン11のキースイッチ(図示せず)がON状態に設定されることにより実行される。そして、上述のように指令電流演算部49から減圧弁22へ指令電流Iが出力されると、この指令電流Iを入力した減圧弁22が傾転角制御部15におけるシリンダボア15Aのロッド室15A2内の作動油の圧力を調整することにより、油圧ポンプ12の斜板12Aの傾転角が変更される。これにより、油圧ポンプ12の押しのけ容積が増減するので、これに伴って油圧ポンプ12の吸収トルクが制御される。
【0056】
このように構成した本実施形態によれば、吸収トルク制限部45が、ポンプベーストルク演算部40によって演算されたポンプベーストルクTRa、及びトルク演算部44によって演算されたエンジン11の出力トルクTReの最小値を選択することにより、油圧ショベル1が大気圧の異なる環境に置かれ、エンジン11の回転数Nを変更して使用されても、油圧ポンプ12の吸収トルクがエンジン11の出力トルクTReを超えるのを防止することができる。
【0057】
具体的には、図10に示すように、油圧ショベル1が標高0mの平地で使用されたときに、エンジン11の回転数NがN1(例えば、2000rpm)に対してエンジン11の出力トルクTReがTRe1(例えば、1000Nm)、油圧ショベル1が標高0mの平地よりも大気圧Pが低い標高2000mの高地で使用されたときに、エンジン11の回転数NがN1に対してエンジン11の出力トルクTReがTRe2(例えば、600Nm)であると仮定する。この条件に対して本実施形態は、油圧ショベル1が標高2000mの高地で使用されたときに、吸収トルク制限部45によって油圧ポンプ12の吸収トルクをエンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTR1(400Nm)以上低下させるように補正することができる。
【0058】
また、油圧ショベル1が標高0mの平地で使用されたときに、エンジン11の回転数NがN2(例えば、1200rpm)に対してエンジン11の出力トルクTReがTRe3(例えば、900Nm)、油圧ショベル1が標高2000mの高地で使用されたときに、エンジンの回転数NがN2に対してエンジン11の出力トルクTReがN4(例えば、400Nmまで低下すると仮定する。この条件に対して本実施形態は、油圧ショベル1が標高2000mの高地で使用されたときに、吸収トルク制限部45によって油圧ポンプ12の吸収トルクをエンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTR2(500Nm)以上低下させるように補正することができる。
【0059】
従って、本実施形態は、油圧ショベル1が標高0mの平地及び標高2000mの高地で使用されたときのエンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTRがエンジン11の回転数N毎に異なっていても(ΔTR1≠ΔTR2)、その変化量ΔTRに応じて油圧ポンプ12の吸収トルクの補正量が変更されるので、油圧ポンプ12の吸収トルクをエンジン11の出力トルクTRe以下に適切に制限することができる。これにより、エンジン11が停止したり、あるいはエンジン11の回転数が変動することを十分に抑制することができる。
【0060】
このように、本実施形態は、油圧ショベル1が置かれた環境が変化しても、エンジン11の回転数Nに対するエンジン11の出力トルクTReの特性が変化することが考慮されているので、良好な操作性を確保すると共に、車体の振動に伴うオペレータへの負担を軽減することができる。
【0061】
また、本実施形態は、大気圧検出器31Cによって油圧ショベル1が置かれた環境の大気圧Pを検出し、車体コントローラ32による油圧ポンプ12の吸収トルクの制御に用いることにより、エンジン11の冷却水の温度Twや作動油の温度Toと比べてエンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTRが大きくなり易い大気圧Pの特性に対して、油圧ポンプ12の吸収トルクの制限を効果的に実施することができる。これにより、油圧ショベル1を使用する際の作業性を向上させることができる。
【0062】
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0063】
また、本実施形態は、ポンプベーストルク演算部40によって演算されたポンプベーストルクTRa、及びトルク演算部44によって演算されたエンジン11の出力トルクTReの最小値を、吸収トルク制限部45による油圧ポンプ12の吸収トルクの制限に用いた場合について説明したが、この場合に限らず、例えば、スピードセンシング補正トルク演算部41によるスピードセンシング補正トルクTRbの演算と同様に、補正トルクの演算を用いて油圧ポンプ12の吸収トルクの制限を行っても良い。
【0064】
さらに、本実施形態は、エンジン11の環境に関連し、エンジン11の出力トルクTReに影響を与える状態量として、エンジン11の冷却水の温度Tw、及び大気圧Pを具体例に挙げた場合について説明したが、この場合に限らず、外気の温度、エンジン11の排気ガスの温度、及びエンジン11の燃料の温度等の他の状態量に対しても適用することができる。
【0065】
また、本実施形態は、エンジン11の冷却水の温度Tw、作動油の温度To、及び大気圧Pのうち特定の状態量として、大気圧Pを具体例に挙げた場合について説明したが、この場合に限らず、大気圧のように、エンジン11の出力トルクTReの変化量ΔTRがエンジン11の回転数Nに応じて大きくなり易い状態量であれば、大気圧P以外の状態量に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…油圧ショベル(建設機械)、4b…アームシリンダ、4b1…ボトム室、4b2…ロッド室、11…エンジン、12…油圧ポンプ、12A…斜板、15…傾転角制御部、15A…シリンダボア、15A1…ボトム室、15A2…ロッド室、15B…ピストンロッド、15C…ピストン、15D…付勢ばね、16…1次圧管路
22…減圧弁、25…操作装置、26A,26B…減圧弁、28…回転数検出器、30…目標回転数設定ダイヤル(目標回転数入力装置)、31…状態量検出装置、31A…水温検出器、31B…油温検出器、31C…大気圧検出器(特定状態量検出装置)、32…車体コントローラ(制御装置)、40…ポンプベーストルク演算部、41…スピードセンシング補正トルク演算部、42…油温補正トルク演算部、43…水温補正トルク演算部、44…トルク演算部、45…吸収トルク制限部、46,47…ポンプ補正トルク演算部、48…ポンプトルク演算部、49…指令電流演算部、100…油圧制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10