(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A−1.装置構成:
図1は、本発明の第1実施形態としての紙幣カセットを適用した入金機の概略構成を示す斜視図である。入金機10は、小売店や飲食店等の店舗内に設置され、売上金である紙幣および硬貨の入金を受け付けて保管する。入金機10は、紙幣搬送機構部12と、硬貨搬送機構部14と、保管部15と、操作表示部16と、制御部18とを備える。入金機10の上部には、硬貨投入口32が形成され、入金機10の前面には、紙幣投入口22と、紙幣リジェクト取出口23と、紙幣返却口24と、硬貨リジェクト取出口33と、硬貨返却口34とが形成されている。なお、
図1では、保管部15が入金機10の本体から引き出された状態を表している。
【0010】
紙幣搬送機構部12は、紙幣投入口22から投入された紙幣を鑑別し、正常と判別した紙幣を利用者により予め設定された動作モードに応じて、保管部15または紙幣返却口24へ搬送する。具体的には、紙幣搬送機構部12は、投入された紙幣を保管部15に保管させる「入金モード」のとき、正常と判別した紙幣を保管部15へ搬送する。また、紙幣搬送機構部12は、投入された紙幣を入金させずに計数のみを行なう「計数モード」のとき、正常と判別して計数された後の紙幣を紙幣返却口24へ搬送する。紙幣搬送機構部12は、異常と判別した紙幣(リジェクト紙幣)を紙幣リジェクト取出口23へ搬送する。紙幣搬送機構部12の内部構成については、後述する。
【0011】
硬貨搬送機構部14は、硬貨投入口32から投入された硬貨を鑑別し、正常と判別した硬貨を利用者により予め設定された動作モードに応じて、保管部15または硬貨返却口34へ搬送する。具体的には、硬貨搬送機構部14は、「入金モード」のとき、正常と判別した硬貨を保管部15へ搬送し、「計数モード」のとき、正常と判別して計数された後の硬貨を硬貨返却口34へ搬送する。硬貨搬送機構部14は、異常と判別した硬貨(リジェクト硬貨)を硬貨リジェクト取出口33へ搬送する。
【0012】
保管部15は、スライドされることによって入金機10の本体から引き出し可能に構成されている。保管部15は、入金機10の本体に格納された状態で施錠されることで金庫として機能する。保管部15は、紙幣カセット50を収容するための紙幣カセット収容部40と、図示しない硬貨カセットを収容するための硬貨カセット収容部45とを備える。保管部15の内部構成については、後述する。
【0013】
操作表示部16は、入金機10の上部に配置されている。操作表示部16は、タッチパネルにより構成され、上述した各動作モードの設定等を行なうための利用者の操作を受け付けたり、計数された貨幣の金額を表示したりする。制御部18は、不図示のCPUおよびメモリ等から構成されるコンピュータであり、入金機10における各種の動作を制御する。
【0014】
図2は、紙幣搬送機構部12および保管部15の内部構成を説明する概略断面図である。なお、
図2では、保管部15の紙幣カセット収容部40に紙幣カセット50が収容されていない状態を示している。紙幣搬送機構部12は、上述した紙幣投入口22と紙幣リジェクト取出口23と紙幣返却口24とに加えて、紙幣受付部25と、搬送路26と、紙幣鑑別部27と、リジェクト紙幣収納部28と、一時保管部29と、切換ゲート30と、シャッター31とを備えている。
【0015】
紙幣受付部25は、紙幣投入口22から投入された紙幣を繰り出しローラー21によって1枚ずつ搬送路26へと繰り出す。搬送路26は、紙幣を搬送する。紙幣鑑別部27は、搬送路26を搬送される紙幣の金種および真偽を判別する。切換ゲート30は、紙幣鑑別部27の判別結果に応じて、搬送される紙幣を一時保管部29に搬送するかリジェクト紙幣収納部28に搬送するかの切り換えを行なう。具体的には、切換ゲート30は、紙幣鑑別部27によって正常と判別された紙幣を一時保管部29に搬送し、リジェクト紙幣と判別された紙幣をリジェクト紙幣収納部28に搬送するように切り換えを行なう。リジェクト紙幣収納部28は、内部にリジェクト紙幣が収納され、紙幣リジェクト取出口23を介して利用者がリジェクト紙幣を取り出し可能に構成されている。
【0016】
一時保管部29は、正常な紙幣を一時的に収納する。「入金モード」のとき、下方のシャッター31が開かれるため、一時保管部29に収納されている紙幣は、紙幣カセット収容部40に収容された紙幣カセット50に向けて落下する。これにより、紙幣カセット50の内部に紙幣が収容される。他方、「計数モード」のとき、シャッター31は閉められており、紙幣返却口24に設けられた返却扉のロックが解除されて返却扉が開く。これにより、利用者は、一時保管部29に収納されている紙幣を取り出すことができる。
【0017】
保管部15は、入金機10の本体に格納されたときに、紙幣カセット収容部40が一時保管部29およびシャッター31の下方に位置するように構成されている。保管部15は、モーター41と、4つのギア42と、2つの検知センサ47,48と、を備えている。なお、
図2では、4つのギア42のうち2つのみ示している。残りの2つのギア42は、
図2に示す2つのギア42に対して紙面奥行き方向の対応する位置に配置されている。
【0018】
モーター41は、紙幣カセット収容部40の下方に配置され、各ギア42を駆動する。4つのギア42は、紙幣カセット収容部40の下方に配置され、紙幣カセット収容部40に紙幣カセット50が収容された状態において、後述する紙幣カセット50の4つのギア71と接触する位置にそれぞれ配置されている。
【0019】
2つの検知センサ47,48は、紙幣カセット収容部40の内側面にそれぞれ配置されている。検知センサ47は、紙幣カセット収容部40の上端部に配置されている。検知センサ48は、紙幣カセット収容部40の下端部に配置されている。各検知センサ47,48は、紙幣カセット収容部40を挟んで互いに対向する発光部と受光部とによりそれぞれ構成されている。各検知センサ47,48は、紙幣カセット収容部40に紙幣カセット50が収容された状態において、発光部からの光が紙幣等によって遮られているときに、紙幣等が特定の位置にあることを検知する。
【0020】
A−2.紙幣カセットの構成:
図3は、紙幣カセット50の外観構成を示す斜視図である。本実施形態では、説明の便宜上、X−Y平面が水平面と平行となるようにX軸およびY軸を定めている。なお、Y軸およびZ軸は、それぞれX軸と互いに直交する。+Z方向は鉛直上方に、−Z方向は鉛直下方に、それぞれ相当する。紙幣カセット50は、四角柱状の外観形状を有し、長手方向が鉛直方向と平行となるように、入金機10の紙幣カセット収容部40に着脱自在に収容される。
【0021】
本実施形態において、紙幣カセット50は、X軸に沿った方向の長さが20cm、Y軸に沿った方向の長さが15cm、Z軸に沿った方向(長手方向)の長さが70cm、重量が10kgであり、内部に最高4500枚の紙幣を収容可能に構成されている。なお、各寸法は任意の長さであってもでもよく、重量は任意の重量であってもよく、収容可能な紙幣の枚数は任意の数であってもよい。
【0022】
紙幣カセット50は、筐体51と、取っ手部60と、を備える。筐体51は、紙幣カセット50の外郭を構成しており、紙幣の長手方向がX軸と平行となるように、紙幣をZ軸に沿った方向に積層して収容する。筐体51は、+Z方向の面(以下、「上面部52」と呼ぶ)に開口62が形成され、−Y方向の面(以下、「前面部53」と呼ぶ)に、開口63が形成されている。開口62は、蓋部57により塞がれ得る。開口63は、扉部58により塞がれ得る。蓋部57および扉部58は、平面視略矩形の板状部材で構成されている。蓋部57は、紙幣カセット50が入金機10(紙幣カセット収容部40)に取り付けられた状態において開かれている。このため、一時保管部29に保管された紙幣は、紙幣カセット50に収容され得る。他方、蓋部57は、紙幣カセット50が入金機10から取り外された状態において閉じられている。
【0023】
本実施形態において、扉部58は、いわゆる片開き戸として構成されている。より具体的には、扉部58の+X方向の端部は、Z軸方向に沿って配置された図示しない複数のヒンジによって筐体51と接続されており、扉部58は、これらの複数のヒンジを通る軸(Z軸と平行な軸)を中心として回動可能に構成されている。このため、係員は、扉部58を開けて筐体51の内部に収容された紙幣を取り出すことができる。なお、扉部58は、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態において閉じられている。
【0024】
扉部58および筐体51の+Y方向の面(以下、「背面部54」と呼ぶ)には、2つの孔部59がそれぞれ形成されている。各孔部59は、紙幣カセット50が紙幣カセット収容部40に収容された状態において、各検知センサ47,48と対向する位置に形成されている。これにより、検知センサ47,48の発光部からの光を受光部に到達させることができる。
【0025】
本実施形態において、筐体51は、ブリキの板金により形成されているが、ブリキに代えて、他の任意の金属や樹脂材料等により形成されていてもよい。なお、筐体51の各側面は、紙幣カセット50の外力による凹みによって、後述するエレベータ機構70の動作が妨げられることを抑制するために、それぞれ互いに重ね合わされた2枚の部材により構成されていてもよい。
【0026】
取っ手部60は、両側が折れ曲がった長尺状の部材で構成されている。取っ手部60の両端部は、筐体51の+X方向の面(以下、「右側面部55」と呼ぶ)および−X方向の面(以下、「左側面部56」と呼ぶ)における開口62の近傍に、それぞれ回動可能に配置されている。取っ手部60は、図示しないロックにより、回動位置が固定される。取っ手部60は、紙幣カセット50を入金機10に収容する際、入金機10から取り外す際、紙幣カセット50を搬送する際等に、係員によって利用される。
【0027】
図4は、紙幣カセット50の内部構成を示す説明図である。紙幣カセット50は、筐体51の内部にエレベータ機構70と、支持部80とを備える。
図4(a)は、エレベータ機構70を説明する斜視図である。
図4(b)および(c)は、支持部80の構成を示す断面図である。
図4(b)は、Y−Z平面と平行な紙幣カセット50の内部断面を示しており、
図4(c)は、X−Z平面と平行な紙幣カセット50の内部断面を示している。なお、
図4(a)では、支持部80の図示を省略しており、
図4(b)および(c)では、エレベータ機構70の一部の図示を省略している。
【0028】
図4(a)に示すエレベータ機構70は、収容された紙幣の量(積層方向の紙幣束の厚さ)に応じて、収容された紙幣を昇降させることにより、紙幣を整列して積層する。エレベータ機構70は、8つのギア71と、4本のベルト72と、紙幣台73とを備える。8つのギア71のうちの4つは、筐体51の−Z方向の面の四隅にそれぞれ配置されている。これらの4つのギア71は、紙幣カセット50が紙幣カセット収容部40に収容された状態において、
図2に示す保管部15の各ギア42と接触し、モーター41により駆動される。8つのギア71のうちの残りの4つは、上面部52の四隅にそれぞれ配置されている。4本のベルト72は、Z軸に沿った方向における一対のギア71の間に架設されている。
【0029】
紙幣台73は、積層された紙幣のうち鉛直下方の端の紙幣と接触する。紙幣台73は、X−Y平面と平行に配置された板状の部材で構成され、各ベルト72に固定されている。なお、板状に代えて、紙幣を載置可能な他の任意の形状であってもよい。紙幣台73は、一対のギア71の間で各ベルト72が駆動されることにより、図中の矢印で示すように昇降する。紙幣台73は、紙幣が積層されて
図2に示す検知センサ47が紙幣を検知すると、検知センサ47が紙幣を検知しなくなる位置まで降下する。これにより、積層された紙幣の上端と上面部52との間の距離を一定に保つことができる。このため、エレベータ機構70は、紙幣が収容される際に、紙幣が紙幣カセット50の内部を落下することを抑制し、紙幣を整列して積層する。なお、紙幣台73が最下限まで降下し、
図2に示す検知センサ48が紙幣台73を検知すると、紙幣カセット50が満杯であると判断され、紙幣カセット50の交換を促す通知が
図1に示す操作表示部16に表示される。
【0030】
図4(b)および(c)に示す支持部80は、紙幣収容時および紙幣回収時に、紙幣の外縁と接して紙幣を支持する。支持部80は、滑性部材81と、2つの滑り止め部材83と、5つの圧縮ばね88と、を備える。
【0031】
滑性部材81は、板状の外観形状を有し、背面部54と平行に配置されている。滑性部材81は、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態において、滑り止め部材83と比べて紙幣BL側に位置し、滑り止め部材83が紙幣台73と接触して紙幣台73の昇降動作を妨げることを抑制する。滑性部材81には、厚さ方向に貫通し、Z軸に沿った方向に細長い長方形状の2つの貫通孔82が形成されている。2つの貫通孔82は、X軸に沿った方向に並んで形成されている。各貫通孔82のZ軸に沿った方向の長さは、滑性部材81のZ軸に沿った方向の長さとそれぞれほぼ等しい。滑性部材81の表面の摩擦係数は、滑り止め部材83の表面の摩擦係数よりも小さい。本実施形態において、滑性部材81は、アクリル板により形成されているが、アクリル板に代えて、他の任意の樹脂や金属等により形成されていてもよい。また、本実施形態において、滑性部材81は、背面部54と平行に配置されているが、紙幣台73の昇降動作を妨げない範囲内で、背面部54に対して5度等の比較的小さな角度を有して配置されていてもよい。なお、滑性部材81には、扉部58および背面部54と同様に、図示しない2つの孔部が形成されている。これら2つの孔部は、検知センサ47,48の発光部から射出される光を貫通させる。
【0032】
2つの滑り止め部材83は、紙幣BLの回収時に、紙幣カセット50に収容されている紙幣BLを支持する。2つの滑り止め部材83は、基部84と、突出部85とをそれぞれ有する。基部84は、板状の外観形状を有し、背面部54の内側面64に固定されている。基部84の板厚は、−Z方向に連続的に減少している。このため、滑り止め部材83(基部84)の−Y方向の面は、背面部54に対して傾いている。本実施形態において、背面部54と滑り止め部材83の−Y方向の面との間の角度θは、5度であるが、5度に限らず任意の角度に設定してもよい。ただし、角度θは、紙幣カセット50の大型化を抑制するために、10度以内であることが好ましい。突出部85は、基部84から−Y方向に突出して形成されている。突出部85は、基部84の−Y方向の端面において、Z軸と平行な方向に沿って所定間隔で並んで配置された複数の凸状部位の集合からなる。各滑り止め部材83は、各貫通孔82と対向する位置に配置されている。各滑り止め部材83は、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態において、滑性部材81を挟んで紙幣BLと反対側に配置されている。このため、各滑り止め部材83は、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態において紙幣BLの外縁と接触しないので、紙幣台73の昇降動作の妨げとならない。
【0033】
各滑り止め部材83が突出部85を有するため、各滑り止め部材83の−Y方向の面における、基部84および突出部85を併せた全体としての摩擦係数は、滑性部材81の摩擦係数よりも大きい。本実施形態において、各滑り止め部材83は、合成ゴムの歯付ベルトにより形成されている。なお、合成ゴムに代えて、ポリプロピレン等の他の材料の歯付ベルトにより形成されていてもよく、面ファスナ等により形成されていてもよい。また、各滑り止め部材83が互いに異なる材料により形成されていてもよい。なお、上述の歯付ベルトは、一般に、タイミングベルトやコグドベルト等とも呼ばれる。
【0034】
5つの圧縮ばね88は、背面部54と滑性部材81との間に、Z軸に沿った方向に並んで配置されている。各圧縮ばね88の一端は滑性部材81に接続され、他端は背面部54の内側面64に接続されている。これにより滑性部材81は、Y軸方向と平行な方向に沿って移動することができる。他方、上述のように滑り止め部材83は、背面部54の内側面64に固定されている。このため、滑性部材81と滑り止め部材83との相対的な位置関係は、変化し得る。
【0035】
本実施形態では、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態において、滑性部材81は、滑り止め部材83に比べて紙幣BLの外縁により近づいている。より具体的には、滑性部材81における−Y方向の面は、滑り止め部材83における−Y方向の面(突出部85が形成された面)よりも、紙幣BLの外縁により近づいている。以降では、支持部80の配置態様として、滑性部材81の紙幣BL側の面が滑り止め部材83の紙幣BL側の面に比べて紙幣BLの外縁により近づいている態様を、第1の配置態様と呼ぶ。なお、紙幣カセット50が入金機10から取り外された状態における、滑性部材81と滑り止め部材83との位置関係については、後述する。本実施形態において、各圧縮ばね88は、金属製のコイルばねにより形成されているが、コイルばねに代えて他の任意の形式のばねにより形成されていてもよく、金属に代えて他の任意の材料により形成されていてもよい。なお、各圧縮ばね88は、互いに異なる形式のばねにより形成されていてもよく、互いに異なる材料により形成されていてもよい。また、支持部80は、5つに限らず他の任意の数の圧縮ばね88を備えていてもよい。
【0036】
本実施形態において、入金機10は請求項における紙葉類処理装置に、紙幣BLは請求項における紙葉類に、紙幣カセット50は請求項における紙葉類カセットに、滑性部材81は請求項における第1の板状部材に、滑り止め部材83は請求項における第2の板状部材に、背面部54は請求項における第1の壁部に、扉部58は請求項における開閉部に、紙幣台73は請求項における移動部材に、それぞれ相当する。
【0037】
A−3.支持部の動作:
図5は、支持部80の動作を示す説明図である。
図5では、
図4(b)に示す紙幣カセット50の配置状態から、反時計回りに90度回転させた配置状態における紙幣カセット50の内部断面を示している。
図5(a)は、紙幣BLの回収前の状態を示し、
図5(b)は、紙幣BLの回収途中の状態を示している。紙幣カセット50は、上述したように柱状の外観形状を有する。このため、入金機10から取り外された紙幣カセット50は、入金機10に取り付けられた状態と同じように長手方向が鉛直方向と平行となるように置かれると、転倒するおそれがある。このような転倒を回避するために、紙幣BLを回収する係員は、入金機10から取り外された紙幣カセット50を、長手方向が水平方向と平行となるいわゆる横置きにして紙幣BLの回収作業を行なう。このとき、係員は、扉部58(前面部53)が鉛直上方となるように紙幣カセット50を載置する。
【0038】
図5(a)に示すように、支持部80は、扉部58(前面部53)が鉛直上方となるように紙幣カセット50が横置きされた状態において、積層された紙幣BLに対して鉛直下方に位置する。このとき、各圧縮ばね88は、紙幣カセット50の内部に収容された紙幣BLの自重により、圧縮される。このため、滑性部材81は、各圧縮ばね88の圧縮により、
図5(a)において白抜きの矢印で示す方向(鉛直下方)に移動する。すなわち、滑性部材81は、紙幣BLから離れる方向に移動する。これにより、突出部85は、貫通孔82に収容されて先端が紙幣BLの外縁と接する。このような動作により、各滑り止め部材83は、積層された紙幣BLの外縁と接して紙幣BLを支持する。
【0039】
紙幣カセット50が横置きされた状態において、突出部85のうち上面部52寄りの一部は、滑性部材81に比べて紙幣BLの外縁により近づいている。より具体的には、滑り止め部材83における+Z方向の面(突出部85が形成された面)のうち上面部52寄りの一部は、滑性部材81における+Z方向の面よりも、紙幣BLの外縁により近づいている。以降では、支持部80の配置態様として、滑り止め部材83の紙幣BL側の面が滑性部材81の紙幣BL側の面に比べて紙幣BLの外縁により近づいている態様を、第2の配置態様と呼ぶ。このように、支持部80は、第1の配置態様と、第2の配置態様とが切り替え可能に構成されている。
【0040】
本実施形態において、各圧縮ばね88は、紙幣カセット50に紙幣BLが500枚以上収容されている場合に、滑り止め部材83の突出部85の先端が紙幣BLと接する程度に滑性部材81が移動するように構成されている。なお、紙幣カセット50に収容されている紙幣BLが500枚未満の場合、上面部52と紙幣台73との隙間が小さいため、紙幣BLは倒れることなく回収される。なお、500枚に代えて他の任意の枚数以上の紙幣BLが収容されているときに、滑性部材81が移動するように設定してもよい。
【0041】
図5(b)に示すように、係員によって扉部58が開かれ、紙幣カセット50の内部から紙幣BLが回収される。紙幣BLが回収されるにつれて紙幣BLと上面部52との間に空間が生じるため、その空間に未回収の紙幣BLが倒れ得る。しかしながら、本実施形態の紙幣カセット50は、摩擦係数の大きい面を有する滑り止め部材83が、紙幣カセット50が横置きされた状態において紙幣BLと接触するので、紙幣BLの底部が図の矢印で示す方向D1に滑って紙幣BLの束が崩れることが抑制される。また、滑り止め部材83の紙幣BL側の面は、背面部54に対して傾いている。このため、紙幣BLには、上面部52から紙幣台73に向かう方向の力(重力成分)が加わるので、紙幣BLが図の矢印で示す方向D2に倒れることが抑制される。
【0042】
本実施形態において、滑性部材81の紙幣BL側の面は請求項における第1面に相当し、滑り止め部材83の紙幣BL側の面は請求項における第2面に相当する。また、扉部58が鉛直上方となるように紙幣カセット50が横置きされることは、請求項における筐体から複数の紙葉類を取り出すための動作に関連する所定の条件に相当する。
【0043】
以上説明した第1実施形態の紙幣カセット50では、紙幣カセット50が横置きされることにより、支持部80の配置態様が第1の配置態様から第2の配置態様へと切り替わり、滑り止め部材83(突出部85)が紙幣BLに接する。このため、紙幣BLを回収する際に紙幣BLの底部が滑って紙幣BLの束が崩れることを抑制できる。また、滑り止め部材83の紙幣BL側の面が背面部54に対して傾いているので、紙幣BLが倒れて紙幣BLの束が崩れることを抑制できる。それゆえ、紙幣カセット50から紙幣BLを回収する際の作業性の低下を抑制できる。また、紙幣カセット50の背面部54が載置面に対して水平となるように横置きした状態で紙幣BLを回収できるので、紙幣カセット50の転倒を抑制できる。また、紙幣カセット50が入金機10に取り付けられた状態では、支持部80の配置態様が第1の配置態様となるため、滑り止め部材83が紙幣台73の昇降動作の妨げとなることを抑制できる。
【0044】
また、支持部80の配置態様は、紙幣カセット50が横置きされることを契機として自動的に切り替わる。このため、紙幣BLの回収前に係員が支持部80の配置態様を切り替える動作を省略できると共に、紙幣BLの回収完了後に係員による支持部80の配置態様の戻し忘れを抑制できる。さらに、支持部80は、紙幣BLの自重によって圧縮ばね88が圧縮されることより滑性部材81が移動する構成なので、滑性部材81の移動のために複雑な機構を要せず、製造コストの上昇を抑制できる。また、角度θが5度と比較的小さいため、紙幣カセット50の大型化を抑制できる。
【0045】
B.第2実施形態:
B−1.装置構成:
図6は、第2実施形態としての紙幣カセット90の内部構成を示す説明図である。
図6(a)は、
図3におけるX−Z平面と平行な紙幣カセット90の内部断面を示しており、
図6(b)は、Y−Z平面と平行な紙幣カセット90の内部断面を示しており、
図6(c)は、X−Y平面と平行な紙幣カセット90の内部断面を示している。第2実施形態の紙幣カセット90は、支持部80に代えて支持部100を有する点、および支持部100の動作内容において、第1実施形態の紙幣カセット50と異なる。第2実施形態の紙幣カセット90のその他の構成は第1実施形態の紙幣カセット50と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0046】
第2実施形態の支持部100は、滑性部材81に代えて滑性部材101を備える点と、滑り止め部材83に代えて滑り止め部材103を備える点と、背面部54に代えて右側面部55の近傍に滑性部材101および滑り止め部材103を備える点と、滑り止め部材103が右側面部55に対して平行に配置されている点と、滑り止め部材103の数が1つである点と、圧縮ばね88を備えない点と、リンク機構110と側面板117とを備える点とにおいて、第1実施形態の支持部80と異なる。
【0047】
滑性部材101は、右側面部55の近傍において、右側面部55に対して平行に配置されている。滑性部材101には、厚さ方向に貫通する貫通孔102が形成されている。貫通孔102の平面視形状は、第1実施形態の貫通孔82と同様に、Z軸に沿った方向に細長い長方形状である。
【0048】
滑り止め部材103は、基部104と、突出部105とを有する。滑り止め部材103は、貫通孔102と対向する位置に、右側面部55に対して平行に配置されている。滑り止め部材103は、紙幣カセット90が入金機10に取り付けられた状態において、滑性部材101を挟んで紙幣BLと反対側に配置されている。このため、滑り止め部材103は、紙幣カセット90が入金機10に取り付けられた状態において、紙幣BLの外縁と接触していない。
【0049】
リンク機構110は、3つの引っ張りばね114と、4つのリンクピン115と、4つのベアリング機構116とを有する。3つの引っ張りばね114は、右側面部55と滑り止め部材103の基部104との間に、Z軸に沿った方向に並んで配置されている。各引っ張りばね114の端部は、右側面部55と基部104とに接続されている。このため、扉部58が閉じた状態において、滑り止め部材103は、引っ張りばね114の付勢力により滑性部材101に対して右側面部55側に位置している。4つのリンクピン115は、扉部58にそれぞれ接続されている。4つのベアリング機構116は、各リンクピン115および基部104にそれぞれ接続されており、リンクピン115の動きを基部104の動きに変換する。なお、リンク機構110は、3つに限らず他の任意の数の引っ張りばね114を有していてもよく、4つに限らず他の任意の数のリンクピン115およびベアリング機構116を有していてもよい。側面板117は、左側面部56の近傍において、左側面部56と平行に配置されている。側面板117は、紙幣カセット90の外力による凹みによって紙幣台73の昇降動作が妨げられることを抑制すると共に、第2の配置態様において紙幣BLを支持する。本実施形態において、側面板117は、ブリキの板金により形成されているが、ブリキに代えて、他の任意の金属や樹脂等により形成されていてもよい。
【0050】
B−2.支持部の動作:
図7は、支持部100およびリンク機構110の動作を示す説明図である。
図7では、
図6(c)に示す状態から、扉部58(前面部53)が鉛直上方となるように紙幣カセット90が横置きされて、扉部58が開かれた後の状態の紙幣カセット90の内部断面を示している。扉部58が開かれると、扉部58の回動に応じてリンクピン115が図中の矢印の方向に押し下げられる。ベアリング機構116は、リンクピン115が押し下げられると、滑り止め部材103を図において白抜きの矢印で示す方向に押し出す。これにより、突出部105は、貫通孔102に収容されて先端が紙幣BLの外縁と接する。すなわち、リンク機構110は、扉部58による開口63の開動作に同期して、滑り止め部材103を変位させる。このようにして、支持部100の配置態様は、第1の配置態様から第2の配置態様へと切り替わる。なお、滑り止め部材103は、紙幣BLが側面板117と接触するまで押し出される。本実施形態では、扉部58が限界まで開かれたときに支持部100の配置態様が第1の配置態様から第2の配置態様へと切り替わるが、限界まで開かれたときに限らず、任意の開き度合いにより支持部100の配置態様が切り替わる構成であってもよい。
【0051】
紙幣BLは、摩擦係数の大きい面を有する滑り止め部材103と接触した状態で回収される。このため、紙幣BLが回収されるにつれて、紙幣カセット90の内部に空間が生じた場合であっても、その空間に紙幣BLが倒れて紙幣BLの束が崩れることが抑制される。それゆえ、紙幣カセット90から紙幣BLを回収する際の作業性の低下を抑制できる。なお、紙幣BLの回収完了後に扉部58が閉じられることにより、扉部58の回動に応じてリンクピン115が押し上げられ、滑り止め部材103は、引っ張りばね114の付勢力により右側面部55側に押し戻される。このようにして、支持部100の配置態様は、扉部58による開口63の閉動作に同期して第2の配置態様から第1の配置態様へと切り替わる。
【0052】
以上説明した第2実施形態の紙幣カセット90は、第1実施形態の紙幣カセット50と同様な効果を奏する。加えて、第2実施形態の紙幣カセット90では、滑り止め部材103が右側面部55に対して平行に配置されているので、滑り止め部材103と右側面部55との間の距離が短く、紙幣カセット90の大型化を抑制できる。また、第2実施形態の紙幣カセット90において、支持部100の配置態様は、扉部58による開口63の開動作および閉動作に同期して滑り止め部材103が変位することにより切り替わる。このため、紙幣BLの回収前に係員が支持部100の配置態様を切り替える動作を省略できると共に、紙幣BLの回収完了後に、係員による支持部100の配置態様の戻し忘れを抑制できる。
【0053】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、本発明には、具体的な以下のような変形例が含まれ得る。
【0054】
C−1.変形例1:
第1実施形態の紙幣カセット50の構成はあくまでも一例であり、種々変更可能である。例えば、基部84の板厚が連続的に減少することにより、滑り止め部材83の紙幣BL側の面が背面部54に対して傾いていたが、本発明はこれに限定されるものではない。基部84が一定の板厚を有する構成においては、角度θを調整する部材を介して背面部54の内側面64に基部84が固定されていてもよい。また、滑り止め部材83の紙幣BL側の面は、背面部54に対して傾いていたが、基部84が一定の板厚を有することにより滑り止め部材83の紙幣BL側の面が背面部54に対して平行に配置されていてもよい。このような構成によっても、紙幣BLを回収する際に、摩擦係数の大きい面を有する滑り止め部材83が紙幣BLを支持するので、紙幣BLの底部が滑って紙幣BLの束が崩れることを抑制できる。
【0055】
図8は、変形例1における紙幣カセット50aを説明する断面図である。紙幣カセット50aは、滑り止め部材83aの基部84aが一定の板厚を有し、滑り止め部材83aの紙幣BL側の面が背面部54に対して平行に配置されている点において、
図5に示す第1実施形態の紙幣カセット50と異なる。変形例1における紙幣カセット50aのその他の構成は第1実施形態の紙幣カセット50と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0056】
変形例1の紙幣カセット50aにおいて、取っ手部60は、紙幣カセット50aを傾けるために利用され得る。
図8に示すように、取っ手部60を背面部54に対して鉛直下方に回動させ、図示しないロックにより固定することで、紙幣カセット50aを載置面に対して傾けた状態に維持できる。このため、滑り止め部材83aが水平面に対して傾くので、紙幣BLが回収されるにつれて紙幣BLと上面部52との間に空間が生じても、紙幣BLが図の矢印で示す方向D2に倒れて紙幣BLの束が崩れることを抑制できる。したがって、紙幣カセット50aから紙幣BLを回収する際の作業性の低下を抑制できる。また、紙幣カセットの底部に設けられた棒状のスタンドを立てることにより紙幣カセットを載置面に対して傾けた状態に維持する構成と比較して、取っ手部60の接地面積が大きいので、紙幣カセット50aの転倒を抑制できる。
【0057】
C−2.変形例2:
第2実施形態の紙幣カセット90において、滑性部材101および滑り止め部材103は、別々の部材により形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。滑性部材101および滑り止め部材103は、1つの部材により形成されていてもよい。
【0058】
図9は、変形例2における紙幣カセットの支持部100bを説明する模式図である。
図9(a)は、滑性面101bが紙幣BLと接している状態を示し、
図9(b)は、滑り止め面103bが紙幣BLと接している状態を示している。紙幣カセット90bの支持部100bは、紙幣BLの積層方向に沿って並んだ複数の回動部材120を有する。各回動部材120は、L字型の断面視形状を有し、滑性面101bと滑り止め面103bとが垂直に交わる構成を有する。各回動部材120は、回動可能に構成されている。
図9(a)に示すように、滑性面101bは、紙幣カセットが入金機10に取り付けられた状態において、滑り止め面103bと比べて紙幣BL側に位置している。他方、
図9(b)に示すように、各回動部材120は、紙幣BLが紙幣カセットから回収される際に、扉部による開口の開動作に同期して動作する図示しないリンク機構により、それぞれ図の矢印で示す方向に90度回動する。これにより、滑り止め面103bは、紙幣BLと接触する。このため、紙幣カセットから紙幣BLを回収する際に、紙幣BLが倒れて紙幣BLの束が崩れることを抑制でき、作業性の低下を抑制できる。すなわち、一般には、支持部80,100,100bは、第1面と、第1面よりも大きな摩擦係数を有する第2面とを有し、第1面が第2面に比べて紙幣BLの外縁により近づく第1の配置態様と、第2面が第1面に比べて紙幣BLの外縁により近づく第2の配置態様とが切り替え可能に構成されていてもよい。
【0059】
C−3.変形例3:
第1実施形態の紙幣カセット50では、滑性部材81に2つの貫通孔82が形成され、2つの滑り止め部材83が各貫通孔82と対向する位置に配置されていたが、滑り止め部材83および貫通孔82の数は、2つに限らず、他の任意の数であってもよい。また、第2実施形態の紙幣カセット90では、滑り止め部材103の数は1つであったが、1つに限らず、他の任意の数であってもよい。ただし、滑り止め部材83,103の数は、製造コストの低廉化の観点から、少ないほうが好ましい。
【0060】
C−4.変形例4:
第2実施形態における紙幣カセット90の構成はあくまでも一例であり、種々変更可能である。例えば、右側面部55の近傍に滑性部材101および滑り止め部材103が配置されていたが、背面部54の近傍に滑性部材101および滑り止め部材103が配置され、または左側面部56の近傍に滑性部材101および滑り止め部材103が配置されていてもよい。また、2つ以上の面に滑り止め部材103を備えていてもよい。また、リンク機構110は、滑り止め部材103を変位させていたが、滑性部材101および側面板117を変位させることにより、支持部100の配置態様を第1の配置態様から第2の配置態様へと切り替えてもよい。このような構成によっても、第2実施形態の紙幣カセット90と同様な効果を奏する。すなわち、一般には、リンク機構110は、扉部58による開口63の開動作に同期して、突出部105の先端が紙幣BLに接するように滑性部材101と滑り止め部材103とのうちの少なくとも一方を変位させてもよい。
【0061】
C−5.変形例5:
第2実施形態の紙幣カセット90において、支持部100の配置態様は、扉部58の開動作に同期して切り替えられたが、本発明はこれに限定されるものではない。紙幣カセット90は、入金機10から紙幣カセット90が取り外されることに同期して支持部100の配置態様が切り替わる構成であってもよい。この構成においては、紙幣カセット90が取り外される動作と基部104の移動とを同期させるリンク機構が用いられる。また、紙幣カセット90に設けられた所定のボタンを係員が押すことにより、支持部100の配置態様が切り替わる構成であってもよい。この構成においては、ボタンが押される動作と基部104の移動とを同期させるリンク機構が用いられる。これら2つの変形例の構成によっても、第2実施形態の紙幣カセット90と同様な効果を奏する。すなわち、一般には、支持部100の配置態様は、筐体51から紙幣BLを取り出すための動作に関連する所定の条件が満たされた場合に、第1の配置態様から第2の配置態様に切り替わってもよい。
【0062】
C−6.変形例6:
第1実施形態では、紙幣カセット50が横置きされることのみにより支持部80の配置態様が切り替わり、第2実施形態では、扉部58が開かれることのみにより支持部100の配置態様が切り替わっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。複数の条件が満たされることにより、支持部80,100の配置態様が切り替わる構成であってもよい。例えば、扉部58による開口63の開動作と、紙幣カセット90に設けられた所定のボタンを係員が押すこととの、2つの条件が満たされた場合に、支持部100の配置態様が第1の配置態様から第2の配置態様に切り替わってもよい。
【0063】
C−7.変形例7:
各実施形態における紙幣カセット50,90は、エレベータ機構70を備えていたが、エレベータ機構70を省略してもよい。かかる構成によっても、各実施形態の紙幣カセット50,90と同様な効果を奏する。
【0064】
C−8.変形例8:
各実施形態の紙幣カセット50,90は、長手方向が鉛直方向と平行になるように入金機10の紙幣カセット収容部40に収容されていたが、長手方向が鉛直方向と垂直となるように収容されてもよい。かかる構成によっても、各実施形態の紙幣カセット50,90と同様な効果を奏する。ただし、第1実施形態の紙幣カセット50においては、入金機10に取り付けられた状態において滑り止め部材83が紙幣BLと接触しないように、前面部53(扉部58)が鉛直上方とならない態様で収容されることが好ましい。また、各実施形態の紙幣カセット50,90は、入金機10の紙幣カセット収容部40に収容されていたが、入金機10の内部に収容されずに、紙幣カセット50,90の一部が入金機10の外部に露呈して取り付けられていてもよい。
【0065】
C−9.変形例9:
各実施形態では、入金機10に用いられる紙幣カセット50,90に本発明を適用したが、これに代えて、現金自動預払機等の他の任意の紙幣処理装置に用いられる紙幣カセット50,90に本発明を適用してもよい。また、各実施形態において、紙幣カセット50,90に収容される対象物は紙幣BLであったが、紙幣BLに限らず、商品券等の他の任意の紙葉類であってもよい。例えば、商品券入金機等に用いられる紙葉類カセットに本発明を適用してもよい。