特許第6283607号(P6283607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特許6283607ポリアクリレートマイクロカプセルの堆積が増大されたパーソナルクレンジング組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283607
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】ポリアクリレートマイクロカプセルの堆積が増大されたパーソナルクレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/11 20060101AFI20180208BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20180208BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180208BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180208BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   A61K8/11
   A61K8/04
   A61K8/81
   A61Q5/00
   A61Q19/00
   A61Q19/10
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-503936(P2014-503936)
(86)(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公表番号】特表2014-510142(P2014-510142A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012032101
(87)【国際公開番号】WO2012138710
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年10月4日
【審判番号】不服2016-2208(P2016-2208/J1)
【審判請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】61/472,882
(32)【優先日】2011年4月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ジテン オドハヴジ ディオーラ
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンソニー ブラウン
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 須藤 康洋
【審判官】 関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/079466(WO,A2)
【文献】 国際公開第2010/079467(WO,A2)
【文献】 特開2000−309625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルクレンジング組成物であって、
(a)前記パーソナルクレンジング組成物に対して0.001重量%〜10重量%のアニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセル及び前記パーソナルクレンジング組成物に対して0.01重量%〜2重量%のカチオン性堆積ポリマーを含むプレミックスと;
(b)前記パーソナルクレンジング組成物に対して2重量%〜50重量%の洗浄性界面活性剤と;
(c)キャリアと、を含み、
前記アニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルが、アニオン性乳化剤とポリアクリレートマイクロカプセルとを含み、前記アニオン性乳化剤が、ポリ(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸とC1〜C22アルキルを有するその(メタ)アクリレートとのコポリマー;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドとのコポリマー;及びこれらの混合物からなる群から選択される、パーソナルクレンジング組成物。
【請求項2】
前記アニオン性乳化剤が、前記ポリアクリレートマイクロカプセルの外表面の少なくとも一部を取り囲むか、又は前記ポリアクリレートマイクロカプセルの外表面に物理的又は化学的に結合する、請求項1に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項3】
前記アニオン性乳化剤及び前記ポリアクリレートマイクロカプセルは、前記アニオン性乳化剤の前記ポリアクリレートマイクロカプセルに対する重量比が1.0:40〜0.5:5になるように混合される、請求項1又は2に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項4】
前記アニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセル及び前記カチオン性堆積ポリマーは、前記アニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルの前記カチオン性堆積ポリマーに対する重量比が1.0:0.01〜1.0:10になるように混合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項5】
前記アニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルが、2ミクロン〜80ミクロンの粒径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項6】
前記ポリアクリレートマイクロカプセルが、コア及び前記コアを封入するシェルを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項7】
前記コアが、6%〜99.9%の有益剤を含む、請求項6に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項8】
前記カチオン性堆積ポリマーが、0.5ミリ当量/グラム〜12ミリ当量/グラムの電荷密度を有する水溶性ポリマーであり、前記カチオン性堆積ポリマーが100,000ダルトン〜5,000,000ダルトンの分子量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項9】
前記洗浄性界面活性剤が、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性、両性、石鹸、又はこれらの組み合わせである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項10】
前記パーソナルクレンジング組成物が、ゲルの形態であり、前記ゲルが45%未満の水を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項11】
前記ゲルが1,000cps〜10,000cpsの未希釈粘度(neat viscosity)を有する、請求項10に記載のパーソナルクレンジング組成物。
【請求項12】
パーソナルクレンジング組成物の製造方法であって、
a)ポリアクリレートマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングしてアニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する工程と;
b)前記アニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルをカチオン性堆積ポリマーと組み合わせて、プレミックスを形成する工程と;
c)前記プレミックスを、界面活性剤を含む洗浄性組成物及びキャリアに添加する工程と、を含み、
前記アニオン性乳化剤が、ポリ(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸とC1〜C22アルキルを有するその(メタ)アクリレートとのコポリマー;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドとのコポリマー;及びこれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリレートマイクロカプセルを含有するパーソナルクレンジング組成物であって、ポリアクリレートマイクロカプセルの毛髪及び/又は皮膚への堆積が増大されたパーソナルクレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているパーソナルクレンジング製品の多くは、香料、保湿剤、及びスキンケア剤のような有益剤を所望の部位に堆積することによって毛髪及び/又は皮膚に利益を送達するように作用する。結果として、この送達及び保持を増大することにより、このような有益剤の有効性を最大にすることが望まれる。この目的を達成する1つの方法は、このような有益剤をマイクロカプセルに封入することである。これらのマイクロカプセルは種々の有益剤を封入し、それを所望の部位に送達することができるが、このような有益剤の保持及び送達効率を改善することはまだ困難である。このような作用剤は、作用剤の物理的又は化学的特性により失われる場合があり、又はこのような作用剤が他の組成成分若しくは処置されている部位に適合しない場合がある。現代の消費者は、封入された有益剤を、長時間経過後でも毛髪及び/又は皮膚に堆積及び保持するパーソナルクレンジング組成物を望む。
【0003】
トリートメント中の部位へのマイクロカプセルの堆積を改善する既知の方法の1つは、特定のカチオン性堆積ポリマーの使用を伴う。ただし、これのみでマイクロカプセルの十分な堆積が必ずしも確保されるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、封入された有益剤の堆積を増大するパーソナルクレンジング組成物が必要である。更に、マイクロカプセル表面と会合し、剪断されたときに封入された有益剤が放出されるポリマー系が必要である。更に、封入された有益剤の部位上での保持を長時間にわたって増大するパーソナルクレンジング組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
約0.001%〜約10%のアニオン性荷電ポリアクリレートマイクロカプセルと;約0.01%〜約2%のカチオン性堆積ポリマーと;約2%〜約50%の洗浄性界面活性剤と;キャリアとを含むパーソナルクレンジング組成物。
【0006】
パーソナルクレンジング組成物の製造方法であって、組成物が、ポリアクリレートマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングしてアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する工程と;アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルをカチオン性堆積ポリマーと組み合わせてプレミックスを形成する工程と;このプレミックスを界面活性剤を含む洗浄性組成物及びキャリアに添加する工程と、を含むプロセスによって形成される、製造方法。
【0007】
パーソナルクレンジング組成物の製造方法であって、組成物が、ポリアクリレートマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングしてアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する工程と;アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルをカチオン性堆積ポリマーと組み合わせてプレミックスを形成する工程と;このプレミックスをアニオン性界面活性剤に添加する工程と;工程(c)で得られた組成物を界面活性剤を含む洗浄性組成物及びキャリアに添加する工程と、を含むプロセスによって形成される、製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の全ての実施形態では、特に記述のない限り、全ての百分率は、組成物全体の重量によるものである。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。全ての範囲は、包含的であり、かつ組み合わせ可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。全ての数値的な量は、特に指示のない限り、用語「約」によって修飾されることが理解されよう。特に指示がない限り、全ての測定は、25℃において周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%における条件を意味する。列挙される成分についてのこうした重量は全て活性レベルに基づいたものであり、特に断らない限り、市販の物質に含有される可能性のあるキャリア又は副生成物は含まれない。
【0009】
定義
本明細書で使用するとき、用語「パーソナルクレンジング組成物」は、特に指示がない限り、皮膚及び/又は毛髪を包含する体の角質表面に塗布することができる任意のパーソナルクレンジング組成物を含む。パーソナルクレンジング組成物は、例えば、固形石鹸、液体、エマルション、シャワーゲル、粉末、スティック、ペースト、マウスウォッシュ、フォームバス、プレシェーブ製品、及びシェービングに使用するデバイスであることができる。
【0010】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体及びゲルを包含する。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「マイクロカプセル」、「封入された有益剤」、及び「固体微粒子」は、ポリアクリレートマイクロカプセルを指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「プレミックス」は、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルとカチオン性堆積ポリマーとの組み合わせを指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「部位」は、毛髪及び皮膚を包含する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「1つの(a及びan)」を包含する項目は、請求項に使用するとき、請求又は記載されているものの1つ又はそれ以上を意味すると理解される。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」は、限定することを意図しない。
【0016】
本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるためには、本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いるべきである。
【0017】
別途記載のない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0018】
割合(%)及び比率は全て、別途記載のない限り重量で計算される。百分率及び比率は全て、別途記載のない限り組成物全体を基準にして計算される。
【0019】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そうしたより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、あたかもそれらの大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。本明細書全体を通じて与えられる全ての数値範囲はそのようなより広い数値範囲内に含まれるそれよりも狭い全ての数値範囲を、あたかもそれらのより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。
【0020】
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルの利益
消費者は、クレンジングプロセスの間、封入された有益剤をその毛髪及び/又は皮膚上に堆積及び保持するパーソナルクレンジング組成物を望む。従来より、マイクロカプセルの堆積を改善するために種々のアプローチがとられており、例として(1)マイクロカプセルに共有結合する特異なブロックコポリマーを使用する、及び(2)問題の基材に対するマイクロカプセルの親和性を増大するためにカチオン性水溶性ポリマーを用いてマイクロカプセルをコーティングすることが挙げられる。しかし、従来のアプローチよりも堆積が改善されることが望ましい。
【0021】
驚くべきことに、アニオン性乳化剤とポリアクリレートマイクロカプセルとの間に相乗作用があり、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルが得られることが見出された。このようなアニオン性マイクロカプセルがカチオン性堆積ポリマーと混合された場合、アニオン性ポリアクリレートの表面に微細構造体が形成される。このようなアニオン性微細構造体は高い粘弾性を示し、クレンジング中に希釈されても損傷せず、ケラチン性の毛髪及び/又は皮膚表面への強い接着を示す。こうした特性をクレンジング組成物と組み合わせることで、封入された有益剤の毛髪及び/又は皮膚への送達効率が改善される。
【0022】
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを特定のカチオン性堆積ポリマーと共に含むパーソナルクレンジング組成物は、非アニオン性ポリアクリレート含有パーソナルクレンジング組成物よりも高い堆積率を与えると考えられる。更に、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルは、特定のカチオン性堆積ポリマーと共に、長時間であっても、部位上でより高い保持率を示す。アニオン性乳化剤をマイクロカプセルに添加してアニオン性マイクロカプセルを形成するという出願人の驚くべき発見は、次のいずれかによって達成できる:(1)アニオン性乳化剤を既に形成されたマイクロカプセルに添加する、又は(2)マイクロカプセル製造プロセスにおいてアニオン性乳化剤をマイクロカプセル表面に会合させる。形成されたアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを、選択された特定のカチオン性ポリマーと組み合わせて、パーソナルクレンジング組成物を含有するアニオン性界面活性剤に添加するためのプレミックスを形成する。
【0023】
アニオン性乳化剤
アニオン性乳化剤の添加により、マイクロカプセルの外表面に特定のカチオン性堆積ポリマーを有する微細構造体が形成される。すなわち、アニオン性乳化剤はマイクロカプセルの外表面の少なくとも一部であるか、又はマイクロカプセルの外表面に物理的若しくは化学的に結合している。このような物理的結合としては、例えば、水素結合、イオン性相互作用、疎水性相互作用、及び電子移動相互作用が挙げられる。このような化学的結合としては、例えば、共有結合グラフト化及び架橋のような共有結合が挙げられる。
【0024】
アニオン性乳化剤は、ポリアクリレートマイクロカプセルの約0.1重量%〜約40重量%、約0.5重量%〜約10重量%、又は約0.5重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0025】
以下に示すように、種々のアニオン性乳化剤を本発明のパーソナルクレンジング組成物に使用できる。アニオン性乳化剤としては、限定ではなく例として、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルイソチオネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルスクシナメートの水溶性塩、アルキルサルフェート塩、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルサルコシネート、タンパク質加水分解物のアルキル誘導体、アシルアスパルテート、アルキル又はアルキルエーテル又はアルキルアリールエーテルホスフェートエステル、ドデシル硫酸ナトリウム、リン脂質若しくはレシチン、又は石鹸、ステアリン酸ナトリウム、カリウム、若しくはアンモニウム、オレエート又はパルミテート、アルキルアリールスルホン酸塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネート、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホネート)ナトリウム塩、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース及びペクチン、ポリ(スチレンスルホネート)、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アラビアガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、トラガカントガム、アーモンドガム及び寒天;半合成ポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース、硫酸化セルロース、硫酸化メチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、リン酸化デンプン、リグニンスルホン酸;並びに合成ポリマー、例えば、無水マレイン酸コポリマー(その加水分解物を含む)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸ブチルアクリレートコポリマー又はクロトン酸ホモポリマー及びコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びコポリマー、並びにこのようなポリマー及びコポリマーの部分アミド又は部分エステル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール及びリン酸変性ポリビニルアルコール、リン酸化又は硫酸化トリスチリルフェノールエトキシレートが挙げられる。
【0026】
更に、アクリレート官能基を有するアニオン性乳化剤は、マイクロカプセル製造プロセスの間にポリアクリレートマイクロカプセルのシェル部分と共有結合できることから、使用が望ましい。本明細書で有用なアニオン性乳化剤としては、これらに限定するものではないが:ポリ(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸とC1〜22アルキル、C1〜C8アルキル、ブチルを有するその(メタ)アクリレートとのコポリマー;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドとのコポリマー;カルボキシビニルポリマー;アクリレートコポリマー、例えばアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸/ビニルエステルコポリマー/アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー、アクリレート/パルメス−25アクリレートコポリマー、アクリレート/ステアレス−20イタコエートコポリマー、及びアクリレート/セレス−20イタコエートコポリマー;ポリスチレンスルフォネート、メタクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とのコポリマー、及びアクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とのコポリマー;カルボキシメチルセルロース(carboxymethycellulose);カルボキシグアー;エチレンとマレイン酸とのコポリマー;及びアクリレートシリコーンポリマーが挙げられる。本明細書のアニオン性乳化剤を中和するために中和剤を包含してもよい。このような中和剤の非限定例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。市販のアニオン性乳化剤としては、例えば、Noveonから商標名Carbopol 981及びCarbopol 980で供給されるカルボマー;全てNoveonより入手可能な商標名Pemulen TR−1、Pemulen TR−2、Carbopol 1342、Carbopol 1382、及びCarbopol ETD 2020のアクリレート/C10〜30アルキルアクリレート;HerculesよりCMCシリーズとして供給されるカルボキシメチルセルロースナトリウム;及びSeppicより供給される商標名Capigelのアクリレートコポリマーが挙げられる。別の実施形態では、アニオン性乳化剤はカルボキシメチルセルロースである。
【0027】
ポリアクリレートマイクロカプセル
マイクロカプセル化の種々のプロセス、並びに代表的な方法及び材料は、米国特許第6,592,990号;米国特許第2,730,456号;米国特許第2,800,457号;米国特許第2,800,458号;及び米国特許第4,552,811号に記載されている。本明細書にわたって記載される各特許は、それぞれがマイクロカプセル化プロセス及び材料に関する手引きを提供する範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
本発明は、コア材料と、コア材料を少なくとも部分的に取り囲む壁材料、及び1つの実施形態では完全に取り囲む壁材料とを含む、低透過性マイクロカプセル粒子を教示する。本発明において、ポリアクリレートマイクロカプセルは、コポリマーで構成されたカプセル壁材料によって有益剤を封入する有益剤マイクロカプセル微粒子である。
【0029】
本明細書で有用なカプセル壁材料としては、例えば、メラミン−ホルムアルデヒド又は尿素−ホルムアルデヒド縮合物、メラミン−レゾルシノール又は尿素−レゾルシノール縮合物、並びに類似の種類のアミノ樹脂、ゼラチン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、多糖(polysaccaharide)、タンパク質、シリコーン、脂質、変性セルロース、ガム類、ポリアクリレート、ポリリン酸塩、ポリスチレン、及びポリエステル、又はこれらの材料の組み合わせから形成されるものが挙げられる。別の実施形態では、低透過性を与える壁材料はポリアクリレートである。
【0030】
コアの有益剤は、香料;増白剤;酵素;香料;スキンケア剤、コンディショニング剤、保湿剤、増粘剤;抗菌剤;感覚剤(1つの態様では冷却剤);誘引剤(1つの態様ではフェロモン);抗菌剤;染料;顔料;漂白剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよい。
【0031】
本発明は、1つ以上の抗真菌又は抗菌活性物質を更に含んでもよい。抗菌性バー組成物は、存在する場合、パーソナルクレンジング組成物の約0.001重量%〜約5重量%、別の実施形態では約0.01重量%〜約1.5重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1重量%の抗菌剤を包含することができる。本明細書で使用できる抗菌剤の例としては、ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩、例えば1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリチオン」又は「ZPT」として知られる)、カルバニリド、例えば、トリクロカルバン(トリクロロカルバニリドとしても知られる)、トリクロサン、Ciba−GeigyからDP−300として入手可能なハロゲン化ジフェニルエーテル、ヘキサクロロフェン、3,4,5−トリブロモサリチルアニリド、並びに2−ピリジンチオール−1−オキシド、サリチル酸及びその他の有機酸の塩が挙げられる。その他の好適な抗菌剤は、米国特許第6,488,943号に詳細に記載されている(抗菌活性物質と呼ばれている)。
【0032】
本明細書で有用なポリアクリレートマイクロカプセルは、最初の塗布後、ある時間にわたって有益剤を放出する。封入された有益剤の放出に使用できる可能性のあるトリガーメカニズムとしては、機械的な力、脱水、光、pH、温度、又はイオン強度の変化が挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルの製造プロセス
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルは、次のいずれかで形成できる:(1)既に形成されたマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングする;又は(2)マイクロカプセル製造プロセスの間にアニオン性乳化剤をマイクロカプセルに添加する。いかなる既知のマイクロカプセル作製方法も本明細書で有用である。ポリアクリレートマイクロカプセルの製造方法の例は、米国特許出願公開第61/328949号;米国特許出願公開第61/328954号;米国特許出願公開第61/328962号;及び米国特許出願公開第61/328967号に開示されている。
【0034】
1つの実施形態では、ポリアクリレートマイクロカプセルは、油中水型、又は水中油型の乳化から形成される。ポリアクリレートマイクロカプセル製造プロセスにおいて、第1の組成物は油相として調製される。油相は、油;油溶性又は油分散性の一級、二級、又は三級アミン;多官能アクリレート又はメタアクリレートモノマー又はオリゴマー;及び油溶性の酸;反応開始剤、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。1つの実施形態においては、溶液を混合する間、窒素ブランケットを使用する。第1の組成物の反応生成物を作製するために、徐々に温度を上昇させる。第1の組成物の反応生成物が形成された後、第2の組成物をこの反応生成物に添加する。
【0035】
第2の組成物は、水相として調製される。水相は、水;水溶性又は水分散性ポリマー又はコポリマーであってもよい乳化剤;少なくとも1つの水相開始剤;1つ以上のアルカリ又はアルカリ塩、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。水相開始剤とは、開始剤が水中で可溶性又は分散性であることを意味する。
【0036】
続いて、第2の組成物を第1の組成物の反応生成物の油溶液に添加する。この添加により、水中油型エマルションが生成する。第2の組成物の存在下での第1の組成物の反応は、低透過性マイクロカプセル壁の形成をもたらす。このエマルションを、油相及び水相の一方又は両方に存在するフリーラジカルを分解するのに十分な時間及び温度で更に加熱する。
【0037】
更に、油相中のモノマー及びオリゴマーの重合は、重合材料の沈殿を引き起こす。マイクロカプセル壁材料の沈殿は、水相と油相との界面で生成する。
【0038】
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルは、約0.01重量%〜約50重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約8重量%、又は約0.25重量%〜3重量%の濃度で組成物に含有される。
【0039】
本明細書で有用なアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルは、約1ミクロン〜約80ミクロン、約2ミクロン〜約50ミクロン、及び約5ミクロン〜約30ミクロンの粒径を有する。
【0040】
A.マイクロカプセルのコーティング
本発明の1つの実施形態では、アニオン性乳化剤は既に形成されたポリアクリレートマイクロカプセルに添加される。アニオン性乳化剤は水素結合、ファンデルワールス力、イオン相互作用、疎水性相互作用、又は化学反応によりマイクロカプセルの表面に堆積する。1つの態様において、アニオン性乳化剤は、ポリアクリレートマイクロカプセルの外表面の少なくとも一部を取り囲むか又はポリアクリレートマイクロカプセルの外表面に物理的若しくは化学的に結合する。
【0041】
B.アニオン性乳化剤のマイクロカプセルへの添加
別の実施形態では、アニオン性乳化剤は、マイクロカプセル製造プロセスにおいてマイクロカプセル表面に会合する。マイクロカプセルを製造する際は、アニオン性乳化剤を水相に可溶化し、水相は油の乳化の前に、任意にフリーラジカル反応開始剤を含有してもよい。続いて、過剰な水相を油相に添加して水中油型エマルションを形成する。続いてこのエマルションを、油相及び水相の一方又は両方に存在するフリーラジカルを分解するのに十分な時間及び温度で加熱する。マイクロカプセル壁材料は、それによって、水相と油相との界面で形成される。1つの実施形態では、乳化剤がアクリレート部分を含む場合、この乳化剤は界面壁材料に化学的に結合するようになる場合がある。
【0042】
C.プレミックスの形成
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルをいずれかの形成工程によって形成した後、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを特定のカチオン性堆積ポリマーに添加してプレミックスを形成する。驚くべきことに、ポリアクリレートマイクロカプセル上のアニオン電荷は、プレミックス中のカチオン性堆積ポリマーと組み合わさったときにマイクロカプセルのシェル上に微細構造体の形成を引き起こすことが見出された。このプレミックスは、アニオン電荷及び特定のカチオン性堆積ポリマーのないマイクロカプセルよりも高い毛髪及び/又は皮膚に対する粘弾性を有するアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを示し、したがって部位に利益を与える。
【0043】
スラリー/凝集体
1つの実施形態では、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルはスラリーに含有される。このスラリーを補助成分と組み合わせて、組成物、例えば、コンディショニング消費者製品を形成してもよい。
【0044】
1つの態様では、スラリーは、水;二価塩などの凝集阻害物質;キサンタンガム、グアーガム、及びカルボキシメチルセルロースなどの粒子懸濁ポリマーからなる群から選択される1つ以上の加工助剤を含んでもよい。別の実施形態では、上記加工助剤は、コカミドプロピルベタイン(CAPB)のような両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、カチオン性膨潤性ポリマー、アクリル系エステルRheovis CDEのようなラテックス粒子、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0045】
1つの態様では、スラリーは、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールが挙げられるがそれらに限定されない極性溶媒;鉱油、香料原材料、シリコーン油、炭化水素パラフィン油が挙げられるがそれらに限定されない非極性溶媒;及びそれらの混合物からなる群から選択されるキャリアを含んでもよい。
【0046】
別の実施形態では、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルは第2の材料と共に凝集体に含有される。1つの態様では、上記第2の材料は、シリカ、クエン酸、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び結合剤、例えば、ケイ酸ナトリウム、変性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ゼオライト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される物質を含んでもよい。
【0047】
カチオン性堆積ポリマー
本発明のパーソナルクレンジング組成物は、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルに添加されたときにプレミックスを形成するカチオン性堆積ポリマーを含む。いかなる既知の天然又は合成カチオン性堆積ポリマーもここで使用できる。例として、米国特許第6,649,155号;米国特許出願公開第12/103,902号;米国特許出願公開第2008/0206355号;及び米国特許出願公開第2006/0099167(A1)号に開示されているポリマーが挙げられる。
【0048】
カチオン性堆積ポリマーは、本発明の利益提供の観点から、1つの実施形態では約0.01%〜約2%、1つの実施形態では約1.5%〜約1.9%、別の実施形態では約1.8%〜約2.0%の濃度で組成物に包含される。
【0049】
カチオン性堆積ポリマーは、電荷密度が約0.5ミリ当量/グラム〜約12ミリ当量/グラムの水溶性ポリマーである。組成物に使用されるカチオン性堆積ポリマーは、約100,000ダルトン〜約5,000,000ダルトンの分子量を有する。カチオン性堆積ポリマーは低電荷密度カチオン性ポリマーである。
【0050】
1つの実施形態では、カチオン性堆積ポリマーは、合成カチオン性堆積ポリマーである。モノ−及びジ−アルキル鎖カチオン性界面活性剤を包含する種々の合成カチオン性堆積ポリマーを使用できる。1つの実施形態では、モノアルキル鎖カチオン性界面活性剤は、例えば、モノアルキル四級アンモニウム塩及びモノアルキルアミンから選択される。別の実施形態では、ジアルキル鎖カチオン性界面活性剤が使用され、その例としては、ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロ添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
別の実施形態では、カチオン性堆積ポリマーは、天然由来のカチオン性ポリマーである。本明細書で使用するとき、用語「天然由来のカチオン性ポリマー」は、天然源から得られるカチオン性堆積ポリマーを指す。天然源は、多糖ポリマーであってもよい。したがって、天然由来カチオン性ポリマーは、デンプン、グアー、セルロース、カッシア、イナゴマメ、コンニャク、タラ、ガラクトマンナン、タピオカ、及び合成ポリマーを含む群から選択されてもよい。更なる実施形態では、カチオン性堆積ポリマーは、Mirapol 100S(Rhodia)、Jaguar C17、polyDADMAC、Tapioca starch(Akzo)、polyTriquat、及びこれらの混合物から選択される。
【0052】
プレミックスの形成
カチオン性堆積ポリマー及びアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを、洗浄性界面活性剤とキャリアとを含むパーソナルクレンジング組成物に添加する前に混合し、プレミックスを形成する。
【0053】
アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルのカチオン性堆積ポリマーに対する重量比は(アニオン性マイクロカプセルの乾燥重量及びカチオン性堆積ポリマーの乾燥重量を基準にして)、約0.5:30〜約20:1、約5:15〜約15:1、及び約5:1〜約12:1である。カチオン性ポリマーが多すぎると、カプセル壁上に過剰なカチオン性ポリマーコーディングが形成されるため、有益剤マイクロカプセルの利益が増強及び/又は延長されない場合がある。この過剰なコーティングは、マイクロカプセル壁が破壊し有益剤を放出するのを妨げる場合がある。
【0054】
マイクロカプセル及びアニオン性乳化剤は、カチオン性堆積ポリマーとの混合中に水のような溶媒中に分散されてもよい。1つの実施形態では、存在する水の量は約90%〜約50%であり、別の実施形態では約70%〜約50%、別の実施形態では約60%〜約50%である。本発明の1つの実施形態では、アニオン性乳化剤は、カチオン性堆積ポリマーとの混合の前にマイクロカプセル壁と会合し、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する。
【0055】
洗浄性組成物
洗浄性組成物は、全て水相であっても、油相及び水相の両方を含んでもよい。1つの実施形態では、洗浄性組成物は油相及び水相の両方を有する。洗浄性組成物に添加された後、ポリアクリレートマイクロカプセルはこのような実施形態の水相に存在する。
【0056】
洗浄性組成物は、以下の成分のいずれの組み合わせを含んでもよい:
A.洗浄性界面活性剤
本発明のパーソナルクレンジング組成物は、洗浄性界面活性剤を包含する。この洗浄性界面活性剤は、組成物にクリーニング性能を付与する。洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性、両性の界面活性剤、石鹸、又はこれらの組み合わせを含む。洗浄性界面活性剤の種々の例及び説明が、米国特許第6,649,155号;米国特許出願公開第12/103,902号;及び米国特許出願公開第2008/0206355号に記載されており、これらを参照のため本明細書に組み込む。
【0057】
クレンジング組成物中のアニオン性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び起泡性能を提供するのに十分である必要があり、一般的に約2%〜約50%、約8%〜約30%、約10%〜約25%、又は約12%〜約22%の範囲である。
【0058】
例えば、1つの実施形態によると、界面活性剤は1つ以上の直鎖アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、及びこれらの組み合わせを含むことができる。1つの実施形態では、界面活性剤はラウレス(n)硫酸ナトリウム(本明細書で以後SLEnS)を含み、ここでnはエトキシル化の平均モル数を定義する。別の実施形態では、nは0を超え8まで、あるいは約1〜約3、あるいは約1である。SLEnSのような材料は、例えば、エトキシレートなし、1モルのエトキシレート、2モルのエトキシレート、3モルのエトキシレートなどを有する有意な量の分子を、ブロード、ナロー、又は切断分布で含むことができる。例えば、SLE1Sは、エトキシレートなし、1モルのエトキシレート、3モルのエトキシレートなどを有する有意な量の分子を、ブロード、ナロー、又は切断分布で含むことができ、更に分布の平均が約1であるSLE1Sを含む。
【0059】
界面活性剤は、1つ以上の分枝状アニオン性界面活性剤及びモノメチル分枝状アニオン性界面活性剤、例えばトリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、C12〜13アルキル硫酸ナトリウム、及びC12〜13パレス硫酸ナトリウム及びC12〜13パレス−n硫酸ナトリウムも含むことができる。
【0060】
本明細書のパーソナルクレンジング組成物への使用に好適な両性又は双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、パーソナルケアクレンジングへの使用が既知のものが挙げられる。このような両性洗浄性界面活性剤の濃度は、約0.5%〜約20%、及び約1%〜約10%の範囲である。好適な双性イオン性又は両性界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、同5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。
【0061】
明細書に記載のパーソナルクレンジング組成物への使用に適した両性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として大まかに記載されているものが挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つが約8〜約18個の炭素原子を有し、1つはアニオン水溶性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。この定義の範囲に入る化合物の例としては、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、N−アルキルタウリン、例えば米国特許第2,658,072号の教示に従ってドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることによって調製されるもの、N−高級アルキルアスパラギン酸、例えば米国特許第2,438,091号の教示に従って製造されるもの、及び米国特許第2,528,378号に記載の生成物が挙げられる。1つの実施形態では、本明細書に記載のパーソナルクレンジング組成物に包含される界面活性剤は、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、ココジアンホ酢酸二ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される両性界面活性剤を含むことができる。
【0062】
本明細書に記載のパーソナルクレンジング組成物の界面活性剤への使用に適した双性イオン性界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として大まかに記載されているものが挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。1つの実施形態では、本明細書に記載のパーソナルクレンジング組成物に包含される双性イオン性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタインのような1つ以上のベタインを含むことができる。
【0063】
B.水性キャリア
本発明の処方は、注入可能な液体(周囲条件下で)の形態であり得る。したがって、このような組成物は、典型的には水性キャリアを含み、これは約20%〜約95%、又は更には約60%〜約85%の濃度で存在する。水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、1つの態様では、他の必須又は任意成分の微量成分として組成物中に付随的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意の濃度の有機溶媒を有さない水を含んでもよい。
【0064】
本発明で有用なキャリアとしては、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコール、1つの態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0065】
製造方法
本発明のパーソナルクレンジング組成物は、1)ポリアクリレートマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングしてアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する工程と;2)このアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルをカチオン性堆積ポリマーと組み合わせてプレミックスを形成する工程と;3)このプレミックスを界面活性剤を含む洗浄性組成物及びキャリアに添加する工程と、を含むプロセスによって調製できる。
【0066】
別の実施形態では、本発明のパーソナルクレンジング組成物は、1)ポリアクリレートマイクロカプセルをアニオン性乳化剤でコーティングしてアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成する工程と;2)アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルをカチオン性堆積ポリマーと組み合わせてプレミックスを形成する工程と;3)このプレミックスをアニオン性界面活性剤に添加する工程と;4)工程(3)で得られた組成物を界面活性剤を含む洗浄性組成物及びキャリアに添加する工程と、を含むプロセスによって製造できる。
【0067】
意外にも、アニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルの会合とカチオン性堆積ポリマーの組み合わせは、この混合成分不在時よりも高い粘弾性を有し、その結果アニオン性マイクロカプセルの毛髪への接着を改善することが見出された。
【0068】
例えば、アクリル酸とアクリル酸ブチルとのコポリマーを含むアニオン性乳化剤(分子量40,000g/mol)を種々のカチオン性ポリマープレミックスと混合した場合、粘弾性の大幅な増大が得られる。この増大は、カチオン性ポリマーの量の増大と共に粘弾性成分G’が増大することで例示される強力な高分子電解質相互作用を示す(表1参照)。
【0069】
【表1】
【0070】
更に、アニオン性界面活性剤をポリマープレミックスに添加した場合、粘弾性の実質的な増大も観察される。このような粘弾性の増大は、カチオン性堆積ポリマーとアニオン性界面活性剤との間の会合の強度による影響を受ける。これは、アニオン性界面活性剤をプレミックスに添加した際に粘弾性成分G’が増大することで例示される(表2参照)。
【0071】
【表2】
【0072】
本発明の1つの実施形態において、アニオン性乳化剤は、マイクロカプセル製造プロセス中にアニオン性乳化剤を組み込むことによってポリアクリレートマイクロカプセルの外壁に共有結合される。別の実施形態では、アニオン性乳化剤が、完全に形成されたポリアクリレートマイクロカプセルを含むスラリーに添加される。いずれかの工程によりアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルを形成した後、カチオン性堆積ポリマーをアニオン性マイクロカプセルに添加して粘弾性プレミックスを形成する。続いてこのプレミックスをアニオン性界面活性剤と組み合わせたときに、ポリマーの会合によりアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセル壁上に微細構造体が生成する。この微細構造体は、パーソナルクレンジング組成物の希釈時にも生成する。ポリマー会合微細構造体が生成すると、その高い粘度により、パーソナルクレンジング組成物の希釈時にもそのマイクロカプセル構造を維持するアニオン性ポリアクリレートマイクロカプセルが得られる。更に、マイクロカプセル構造は、基材に複数の接点を与え、これがマイクロカプセルが部位上にある時間を増大する働きをする。
【0073】
本発明のポリアクリレートマイクロカプセルは、任意の好適な形態に処方することができ、配合者によって選択される任意のプロセスによって調製することができ、その非限定的な例は、全て本明細書に参照により組み込まれる米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号に記載されている。
【0074】
製品形態
本発明のパーソナルクレンジング組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であることができ、またクリーム、ゲル、エマルション、ムース及びスプレーを包含するがこれらに制限されない、多種多様な製品形態で配合することができる。
【0075】
1つの実施形態で、パーソナルクレンジング組成物は約45%未満の水を含むゲルの形態である。このような実施形態において、ゲルはニート粘度(neat viscosity)が約1,000cps〜約10,000cpsであってもよい。ゲルのニート粘度は、剪断速度1/秒における流体の粘度として定義できる。科学的には、粘度は剪断応力の剪断速度に対する比である。いくつかの実施形態において、ゲルの剪断速度の範囲は0.01/秒〜10/秒である。
【0076】
ゲル製品形態のニート粘度は、以下の方法に従ってレオメーターで測定できる:
(1)試料をプレートに載せる。
(2)1度円錐とプレートとの間に1ミリメートルの隙間を設ける。
(3)流体上で0.01/秒〜10/秒の剪断掃引を実施する。
(4)流体上での剪断応力応答を記録する。
(5)各剪断速度における剪断応力の剪断速度に対する比を計算することによって流体のニート粘度を求める。
【0077】
本明細書に記載のように、パーソナルクレンジング組成物は、構造化されたクレンジング相及び有益相を包含してもよい。1つの実施形態では、構造化されたクレンジング相と有益相は物理的に接触していてもよい。1つの実施形態では、パーソナルクレンジング組成物は、構造化されたクレンジング相及び有益相がかなりブレンド又は混合されているが、なお物理的に別個であり、その物理的別個性が裸眼で検知不可能である、多相パーソナルクレンジング組成物であることができる。
【0078】
特定の実施形態において、パーソナルクレンジング組成物は、構造化されたクレンジング相及び有益相が、これらの相を保管できる包装の内部で別々で別個の物理的空間を占めるように作製できる多相パーソナルクレンジング組成物であることができる。このような実施形態において、構造化されたクレンジング相及び有益相を、これらの相が互いに直接接触しないように保管することができる。別の実施形態では、パーソナルクレンジング組成物は、構造化されたクレンジング相及び有益相が物理的に接触し、縞状又はマーブル状の配置を有することができる、多相パーソナルクレンジング組成物であることができる。
【0079】
更に別の実施形態では、パーソナルクレンジング組成物は、上記の多相パーソナルクレンジング組成物の1つ以上の組み合わせを包含することができる。このような実施形態の1つでは、1つのブレンドされた多相パーソナルクレンジング組成物を、別のブレンドされた多相パーソナルクレンジング組成物と縞状に積み重ねることができる。別のこのような実施形態では、色によって区別可能なブレンドされた多相パーソナルクレンジング組成物を、他の点で類似のブレンドされた多相パーソナルクレンジング組成物と縞状に積み重ねることができる。
【0080】
試験方法
本出願の「試験方法」の項で開示される試験方法は、本出願人らの発明が本明細書に記載され及び特許請求されているように、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるために使用されるべきであると理解される。
【0081】
A.ClogP
「logPの計算値(calculated logP)」(ClogP)は、Hansch及びLeoのフラグメント手法により求められる(cf.A.Leo,Comprehensive Medicinal Chemistry,Vol.4,C.Hansch,P.G.Sammens,J.B.Taylor,and C.A.Ramsden,Eds.P.295,Pergamon Press,1990、参照により本明細書に組み込まれる)。ClogP値は、Daylight Chemical Information Systems Inc.(Irvine,California U.S.A.)から入手可能な「CLOGP」プログラムを用いることにより計算することができる。
【0082】
B.沸点
沸点は、ASTM法D2887−04a「ガスクロマトグラフィーによる、石油留分の沸点範囲分布のための標準試験方法(Standard Test Method for Boiling Range Distribution of Petroleum Fractions by Gas Chromatography)」(ASTMインターナショナル)により測定される。
【0083】
C.中央粒径
粒径は、Particle Sizing Systems(Santa Barbara CA)製のAccusizer 780Aを用いて測定する。装置は、Duke粒径標準を用いて0〜300μで較正される。粒径評価のための試料は、約1gのカプセルスラリーを約5gの脱イオン水中で希釈し、更に約1gのこの溶液を約25gの水中で希釈する工程によって調製される。
【0084】
自動希釈機能を用いて、約1gの最も希釈された試料がAccusizerに添加され、試験が開始される。Accusizerは、9200カウント/秒を超えて読み取るはずである。カウントが9200未満の場合、追加の試料が添加されるべきである。Accusizerは、9200カウント/秒になるまで試験試料を希釈し、評価を開始する。試験から2分後、Accusizerは、体積加重中央寸法を含む結果を表示する。
【0085】
蓄積粒子体積の95%が超えた粒径(95%寸法)、蓄積粒子体積の5%が超えた粒径(5%寸法)、及び体積加重中央粒径(50%寸法−この寸法を超える粒子体積及びこの寸法を下回る粒子体積の両方が粒子体積の50%)を決定することによって、幅指数を計算することができる。幅指数(5)=((95%寸法)−(5%寸法)/50%寸法)。
【0086】
D.破壊強度試験方法
分析工程は以下を包含する:
a.)蒸留脱イオン(DI)水1Lの中に粒子1グラムを入れる。
b.)粒子をDI水の中に10分間にわたって留まらせておき、その後、60mL注射器フィルター、1.2ミクロンのニトロセルロースフィルター(Millipore、直径25mm)を使用して濾過により粒子を回収する。
c.)50個の個々の粒子の破裂力を決定する。粒子の破裂力を、Zhang,Z.;Sun,G;「Mechanical Properties of Melamine−Formaldehyde microcapsules,」J.Microencapsulation,vol 18,no.5,p.593〜602,2001に記載の手順を用いて決定する。次に、破裂力(ニュートン単位)を、対応する球状粒子(πr2、式中、rは、圧縮前の粒子の半径である)の断面積で除算することによって、各粒子の破壊強度を計算し、上記断面積は、実験装置及びZhang,Z.;Sun,G;「Mechanical Properties of Melamine−Formaldehyde microcapsules,」J.Microencapsulation,vol 18,no.5,p.593〜602,2001の方法を用いて、個々の各粒子の粒径を測定して決定する。
d.)上記c.)からの50個の独立した測定値を使用し、要求される範囲の破壊強度範囲内の破壊強度を有する粒子の百分率を計算する。
【0087】
E.ゼータ電位
(1)機器仕様:Malvern Zeatasizer Nano Model ZEN3600試料セル、使い捨てキャピラリーセル(緑色のセル)。
(2)Duke標準を使用してPSDを測定し、それを使用してゼータ電位を測定して装置が正しく機能していることを確認する。
(3)DTS1060キャピラリーセルに1〜2mLのエタノール、続いてDI水を流してキャピラリーセルを準備する。
(4)試料調製:最初に、20mLのDI水を0.2ミクロンのフィルターで濾過して20mLバイアル瓶に入れる。このバイアル瓶に、1滴(50マイクロリットル)の30重量%固体微粒子懸濁液を添加し、微粒子懸濁液がバイアル瓶内に均質に分散するまで試料を静かに前後に反転する。次に、DTS1060の緑色の使い捨てゼータセルを1〜2mLのDI水ですすいだ後、注射器を用いて試料溶液をバイアル瓶からゼータセルに移し、セル内に気泡がないことを確認する。セルを上部まで満たした後、セルの出口及び入口にキャップをはめる(試料セル内に気泡がないことを再度確認する)。続いて、電極がシステム側を向くようにして、セルを試料チャンバに入れる。試料セルを装置に定置する。
(5)運転条件:
a.屈折率=1.35(この数値は懸濁液によって変わる場合がある。いずれの微粒子懸濁液の屈折率も屈折計を用いて測定できる。)
b.温度=摂氏25度
c.平衡時間=1分
d.ゼータ電位の計算に使用するスモルコフスキーモデル
(6)各試料をトリプリケートで測定する。装置からの結果は、外挿なしで、ミリボルト単位のゼータ電位として報告される。
【実施例】
【0088】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0089】
Scent Aと呼ばれる香料組成物を利用して、本発明の実施例を調製する。以下の表は、成分及びそれらの特性を列記する。表2は、香油組成物のClogPの内訳を提供する。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例1.非イオン性マイクロカプセル(TAS0810101、MVF1837−94B)
75gの香油Scent A、75gのミリスチン酸イソプロピル、0.6gのDuPont Vazo−52、及び0.4gのDuPont Vazo−67からなる油剤を、1000rpmでの混合(4チップ、直径5.08cm(2”)、平らなミル刃)及び100cc/分での窒素ブランケット適用を行いながら、35℃に温度制御された鋼製ジャケット付反応器に加える。油剤を、45分間かけて75℃に加熱し、75℃で45分間維持し、75分間かけて60℃まで冷却する。
【0092】
37.5gの香油、0.5gの第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、0.4gの2−カルボキシエチルアクリレート、及び20gのSartomer CN975(六官能性ウレタンアクリレートオリゴマー)からなる第2の油剤を、第1の油剤が60℃に達した時点で加える。合わせた油を、60℃で更に10分間維持する。
【0093】
混合を停止し、56gの5%活性ポリビニルアルコールCelvol 540水溶液、244gの水、1.1gの20% NaOH、及び1.2gのDuPont Vazo−68WSPからなる水溶液を、漏斗を用いて油剤の底部に加える。
【0094】
混合を再開し、2500rpmで60分間混合して、油相を水溶液に乳化する。ミリング完了後、7.62cm(3”)のプロペラを用いて350rpmで混合を続ける。バッチを、60℃で45分間維持し、温度を30分間かけて75℃に上昇させ、75℃で4時間維持し、30分間かけて90℃まで加熱し、90℃で8時間維持する。その後、バッチを室温まで冷却する。完成したマイクロカプセルは、6.4ミクロンの中央粒径、1.3の幅指数、及びマイナス0.5ミリボルトのゼータ電位、及び27.6重量%の総scent A濃度を有する。
【0095】
実施例2.アニオン性マイクロカプセル、大粒径(TAS1122101)
以下の例外を除き、実施例1と同一の材料、組成、及びプロセス条件でカプセルを製造する:油相の組成上の違いとして、1グラムのVazo−52、0.8グラムのVazo−67、0.3グラムの第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、0.25グラムの2−カルボキシエチルアクリレート、及び12グラムのSartomer CN975;水相の組成上の違いとして、22グラムの25%活性Colloid 351、及び308グラムの水。その他の混合及びプロセス条件(process conditioner)は全て同じである。完成したマイクロカプセルは、10.7ミクロンの中央粒径、1.5の幅指数、及びマイナス60ミリボルトのゼータ電位、及び34.9重量%の総scent A濃度を有する。
【0096】
実施例3.アニオン性マイクロカプセル、小粒径(TAS1123101)
以下の例外を除き、実施例1と同一の材料、組成、及びプロセス条件でカプセルを製造する:油相の組成上の違いとして、1グラムのVazo−52、0.8グラムのVazo−67、1.5グラムの第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、1.2グラムの2−カルボキシエチルアクリレート、及び60グラムのSartomer CN975;水相の組成上の違いとして、68グラムの25%活性Colloid 351、及び282グラムの水。その他の混合及びプロセス条件(process conditioner)は全て同じである。完成したマイクロカプセルは、1.4ミクロンの中央粒径、1.2の幅指数、及びマイナス60ミリボルトのゼータ電位、及び20.7重量%の総scent A濃度を有する。
【0097】
実施例4.アニオン性マイクロカプセル(TAS1101101)
以下の例外を除き、実施例2と同一の材料、組成、及びプロセス条件でカプセルを製造する:油相の組成上の違いとして、1グラムの第三級ブチルアミノエチルメタクリレート、0.8グラムの2−カルボキシエチルアクリレート、及び40グラムのSartomer CN975;水相の組成上の違いとして、22グラムの25%活性Colloid 351、及び282グラムの水。その他の混合及びプロセス条件(process conditioners)は全て同じである。
【0098】
完成したマイクロカプセルは、4.8ミクロンの中央粒径、1.3の幅指数、及びマイナス60ミリボルトのゼータ電位、及び23.5重量%の総scent A濃度を有する。
【0099】
実施例5.ボディクレンジング組成物
実施例1、2、及び4のマイクロカプセルをボディクレンジング組成物に配合する。実施例2及び4のアニオン性マイクロカプセルを最初にタピオカデンプン(Akzo)の15重量%溶液と混合して粘弾性混合物を形成する:
【0100】
【表4】
【0101】
続いて、このプレミックスを下記のボディクレンジング組成物に添加し、DAFC 400FVZ高速ミキサーを用いて1900rpmで1分間混合する。
【0102】
【表5】
【0103】
上記の各製品について、以下の手順を用いて、前腕上で嗅覚性能を試験する:
・パフを流水下で5秒間飽和する。(35℃±15℃(95°F±5°F);約1.8L/min)
・前腕を流水下で5秒間、肘から手首まで濡らす。
・製品1mLを反対の手のひらに分与する。
・製品を、塗布した腕の上で5秒間摩擦する。手のひらを腕の縁に沿って摩擦し、過剰分を手のひらから取り除く。
・パフを再度濡らさないこと。前腕内側を、長い円を描くように10秒間軽く洗う。泡立つはずであり、すじ状になる場合には、圧力を弱める。
・15秒間の滞留時間放置する。
・前腕を流水で15秒間すすぐ。
・清浄な紙タオルを前腕にかぶせ、反対の手を内腕全体(肘から手首)に擦らずに動かすことによって、乾燥する。
・少なくとも30秒間は測定を実施せず、この間は腕を空気に晒しておく。
・異なる時間エージングした(及び周囲空気に晒した)腕について摩擦前及び摩擦後の腕の嗅覚性能を評価する。
【0104】
【表6】
【0105】
アニオン性マイクロカプセルとカチオン性ポリマーとのプレミックスをボディクレンジング組成物に添加した場合、それぞれの芳香寿命評価時点で(対照4Aに対して)はるかに高い芳香強度が検出されることに注意する。
【0106】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0107】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独でも、あるいは他の全ての参照文献とのいかなる組み合わせにおいても、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0108】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。