特許第6283609号(P6283609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6283609
(24)【登録日】2018年2月2日
(45)【発行日】2018年2月21日
(54)【発明の名称】植物の成長促進剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/44 20060101AFI20180208BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20180208BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20180208BHJP
【FI】
   A01N37/44
   A01P21/00
   A01G7/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-511661(P2014-511661)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2014055743
(87)【国際公開番号】WO2014136863
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-45083(P2013-45083)
(32)【優先日】2013年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】李 潤
(72)【発明者】
【氏名】上田 康信
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】竹内 安智
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−338305(JP,A)
【文献】 特開平07−053487(JP,A)
【文献】 特開2011−121878(JP,A)
【文献】 特開2003−088393(JP,A)
【文献】 Plant Growth Regulation,1997年,Vol.22, No.2,P.109-114
【文献】 American Journal of Botany,2006年,Vol.93, No.8,P.1109-1115
【文献】 Agricultural and Biological Chemistry,1977年,Vol.41, No.5,P.913-915
【文献】 Synthesis,1986年,No.3,P.232-233
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00−65/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸若しくはそのエステル、又はそれらの塩を有効成分とする植物の成長促進剤。
【請求項2】
5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸若しくはそのエステル、又はそれらの塩を0.0001〜10ppm含有する請求項1記載の植物の成長促進剤。
【請求項3】
植物が穀類又は野菜類である請求項1又は2記載の成長促進剤。
【請求項4】
一般式(1)
2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸若しくはそのエステル、又はそれらの塩を施用する、植物の成長促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な植物の成長促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模で進行しつつある人口増加、更には食料需給構造の変化に伴い、食料不足が加速することが危惧されている。その対応策の1つになり得るのが、農業において省力・効率化を図り生産性を高めることであると考えられる。
【0003】
省力・効率化を目的として栽培技術や設備、薬剤の研究が古くから進められてきたが、中でも薬剤は、使用に際する投資が小さいという特徴を有することから、今後必要性が高まることが予想される。
【0004】
植物の成長や発育をコントロールすることや、栽培管理作業を省力化することを目的とする薬剤は植物成長調整剤と呼ばれ、その作用は成長促進、萌芽抑制、伸長抑制、果実の無種子化、落下防止等、多岐にわたる。ところが、成長促進作用を有するものはジベレリンや合成サイトカイニン等の植物ホルモンやその関連物質に限られている(非特許文献1、2)。
これら植物ホルモン系の植物成長調整剤の使用時期、濃度および量は、その変動が作用に及ぼす影響が大きいことから、狭い範囲に限定されている。使用条件を誤ると効果を得ることができないばかりでなく、健全な生育を示さなくなることから、広くは普及していない。
【0005】
一方、アミノ酸系の化合物に、植物の成長を助けるものが報告されており、例えば、グルタミン酸、グリシン、プロリン等がある。また、光合成活性向上や窒素吸収促進等の作用を有する5−アミノレブリン酸がある。これらアミノ酸系の化合物は、作用がマイルドであり、使用時期、濃度および量の範囲が広いという特徴を有することから、使用し易い薬剤として期待されており、更なる開発が望まれている。
【0006】
アミノ酸系の化合物のうち、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸及びその誘導体は、医薬品の製造中間体として用いられることは知られている(特許文献1、2)が、植物に対する作用については何ら知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−284750号公報
【特許文献2】特開2003−88393号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本農薬学会誌,Vol.30,No.2,153−156,2005
【非特許文献2】日本作物学會紀事,Vol.70,No.3,471,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、アミノ酸系の化合物を有効成分とする新たな植物の成長促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、かかる現状に鑑み鋭意研究を行ったところ、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はその塩を植物に施用すれば、植物の成長を促進させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は下記一般式(1)
【0012】
2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)
【0013】
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする植物の成長促進剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記一般式(1)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を施用する、植物の成長促進方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、植物の成長を促進することができ、栽培期間が短縮できる。従って、本発明によれば植物栽培を省力・効率化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の植物の成長促進剤の有効成分は、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体(前記一般式(1))又はそれらの塩である。
【0017】
一般式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。該炭化水素基の炭素数は1〜6であることが好ましい。
【0018】
1としての炭化水素基は、例えば炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数4〜10の脂環式−脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数7〜10の芳香族−脂肪族炭化水素基等である。好ましい炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基である。
【0019】
上記飽和脂肪族炭化水素基の例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチル、n−デシル、及び1−メチルノニルなどが挙げられ、好ましい飽和脂肪族炭化水素基としてメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、及びn−ヘキシルなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
【0020】
上記不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、n−ヘキセニル、n−オクテニル、n−ノネニル、及びn−デセニルなどが挙げられ、好ましい不飽和脂肪族炭化水素基としてビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、及びn−ヘキセニルなどの炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖アルケニル基が挙げられる。
【0021】
上記脂環式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチルシクロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニル、4−エチルシクロヘキセニルなどが挙げられ、好ましい脂環式炭化水素基としてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルなどの炭素数3〜6のシクロアルキル又はシクロアルケニル基が挙げられる。
【0022】
上記脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピルエチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルエチル、3−メチルシクロヘキシルプロピル、4−メチルシクロヘキシルエチル、4−エチルシクロヘキシルエチル、シクロプロペニルブチル、シクロブテニルエチル、シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘプテニルメチル、シクロオクテニルエチル、及び4−メチルシクロヘキセニルプロピルなどが挙げられ、好ましい脂環式−脂肪族炭化水素基としてシクロプロピルエチル、シクロブチルエチルなどの炭素数4〜6のシクロアルキル−アルキル基が挙げられる。
【0023】
上記芳香族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなどのアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、及びtert−ブチルフェニルなどのアルキル置換フェニル基などが挙げられ、好ましい芳香族炭化水素基としてフェニルが挙げられる。
【0024】
上記芳香族−脂肪族炭化水素基の具体的な例としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどの炭素数7〜10のフェニルアルキル基が挙げられる。
【0025】
一般式(1)の化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、メチルリン酸、エチルリン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の酸付加塩、及びナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。なお、これらの塩は使用時において水溶液又は粉体として用いられる。
以上詳述した5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、水和物又は溶媒和物を形成していてもよく、またいずれかを単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、光学活性体を使用してもよく、ラセミ体を使用してもよい。
【0026】
5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、化学合成、微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法によっても製造することができ、例えば、特許文献1、2等に記載の方法に準じて製造することができる。上記のようにして製造された5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、それらの精製前の化学反応溶液や発酵液は、有害な物質を含まない限り、分離精製することなくそのまま用いることができる。また市販品なども使用することができる。
【0027】
5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、優れた植物成長促進作用を有する。特に、草丈の成長促進、分げつ促進及び地上部重量増加等の効果に優れ、広範囲の植物の成長を促進させ、収穫量を増加させる作用を有する。
【0028】
本発明の植物の成長促進剤の適用対象となる植物としては、特に限定されないが、穀類及び野菜類が挙げられ、具体的には、例えば、穀類としてはイネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソバ、ダイズ、アズキ、エンドウ、エダマメ、マメなど、葉果菜類としては、トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、キュウリ、シシトウ、オクラ、イチゴ、メロン、スイカ、カボチャ、ウリ、キャベツ、メキャベツ、ハクサイ、コマツナ、ホウレンソウ、シュンギク、ミズナ、レタス、パセリ、ニラなど、茎花菜類としては、アスパラガス、ナガネギ、タマネギ、ニンニク、ワケギ、ブロッコリー、カリフラワー、食用菊、ミョウガなど、根菜・芋類としてはダイコン、カブ、ハツカダイコン、ニンジン、レンコン、ゴボウ、ラッキョ、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモなどを挙げることができる。
これらのうち、オオムギ、コマツナ、シュンギク、ブロッコリー、ハツカダイコンが好適である。
【0029】
本発明において、植物の成長促進剤は、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩が含まれていればよいが、これら以外に、必要により植物生長調節剤、糖類、含窒素化合物、酸類、アルコール類、ビタミン類、微量要素、金属塩、キレート剤、防腐剤、防黴剤等を配合することができる。
【0030】
ここで用いられる植物生長調節剤としては、例えば、エピブラシノライド等のブラシノライド類、塩化コリン、硝酸コリン等のコリン剤、インドール酪酸、インドール酢酸、エチクロゼート剤、1−ナフチルアセトアミド剤、イソプロチオラン剤、ニコチン酸アミド剤、ヒドロキシイソキサゾール剤、過酸化カルシウム剤、ベンジルアミノプリン剤、メタスルホカンブ剤、オキシエチレンドコサノール剤、エテホン剤、クロキンホナック剤、ジベレリン、ストレプトマイシン剤、ダミノジット剤、ベンジルアミノプリン剤、4−CPA剤、アンシミドール剤、イナペンフィド剤、ウニコナゾール剤、クロルメコート剤、ジケブラック剤、メフルイジド剤、炭酸カルシウム剤、ピペロニルブトキシド剤等を挙げることができる。
【0031】
糖類としては、例えばグルコース、シュクロース、キシリトール、ソルビトール、ガラクトース、キシロース、マンノース、アラビノース、マジュロース、スクロース、リボース、ラムノース、フラクトース、マルトース、ラクトース、マルトトリオースなどが挙げられる。
【0032】
含窒素化合物としては、例えばアミノ酸(アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、チロシン、グリシン、アルギニン、アラニン、トリプトファン、メチオニン、バリン、プロリン、ロイシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン等)、尿素、アンモニアなどが挙げられる。
【0033】
酸類としては、例えば有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、フタル酸、安息香酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、グリコール酸、マレイン酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ピルビン酸、α−ケトグルタル酸、レブリン酸等)、亜硫酸、硫酸、硝酸、亜リン酸、リン酸、ポリリン酸などが挙げられる。
【0034】
アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、グリセロールなどが挙げられる。
【0035】
ビタミン類としては、例えばニコチン酸アミド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンB13、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB2、ビタミンK3、ビタミンA、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK1、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、σ−トコフェロール、p−ヒドロキシ安息香酸、ビオチン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、α−リポニック酸等を挙げることができる。
【0036】
微量要素としては、例えばホウ素、マンガン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、塩素などが挙げられる。
【0037】
金属塩としては、例えばカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0038】
キレート剤としては、例えば、アミノカルボン酸系キレート剤(エチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、ジヒドロキシエチルグリシン、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラ酢酸など)やホスホン酸系キレート剤(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、メチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸など)などが挙げられる。これらキレート剤は金属塩として用いても良い。
【0039】
本発明の植物の成長促進剤は、茎葉散布処理、土壌散布又は潅注処理、水耕潅注処理のいずれの方法で施用しても良い。また、植物の定植前又は挿し木を行う前等に、成長促進剤を吸収処理させても良い。
【0040】
本剤を茎葉散布処理にて施用する場合、前記5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を0.0001〜100ppm、特に0.005〜1ppmの濃度で含有せしめ、これを10アール当たり10〜1000L、特に50〜300L使用するのが好ましい。単子葉植物など葉面に薬剤が付着しにくい植物に対しては展着剤を用いることができるが、その種類及び使用量については、特に制限されない。
【0041】
本剤を土壌散布若しくは潅注処理または水耕潅注処理にて施用する場合、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を0.0001〜100ppm、特に0.01〜1ppmの濃度で含有せしめ、圃場栽培においてはこれを10アール当たり10〜1000L、特に50〜300L用いるのが好ましく、鉢植え栽培においてはこれを1株あたり10ml〜2L、特に10ml〜1L用いるのが好ましい。
【0042】
本剤を用いて定植前又は挿し木を行う前等に吸収処理させる場合、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩をつけ込んで吸収させればよく、つけ込む液の5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩の濃度は0.00001〜10ppm、特に0.001〜0.1ppmであることが望ましい。つけ込み時間は1秒〜1週間、特に1分〜1日間が望ましい。
【0043】
処理は1回でも十分な効果は得られるが、複数回処理することにより、更に効果を高めることもできる。この場合には、先の各方法を組合せることもできる。
【実施例】
【0044】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは単に例示の目的で掲げられるものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
〔実施例1〕5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸のオオムギ成長促進効果
オオムギをポットに播種して栽培した。土壌は黒土を用いた。個体数は4個体/ポット、4〜6ポット/区とした。基肥として化成肥料(窒素、リン酸、カリウム各々8%含有)を10a当たり窒素、リン酸、カリウムが各々5kgとなるよう施用した。播種22日後、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸0.006ppm、0.06ppm又は0.6ppmを含む水溶液を10a当たり200L散布した。播種35日後、草丈、分げつ及び地上部乾燥重量を調べた。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示した通り、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸処理区の地上部乾燥重量は対照区に比べて20〜30%増加し、植物成長促進効果が認められた。
【0048】
〔実施例2〕5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸のコマツナ成長促進効果
コマツナを圃場に播種して栽培した。土壌は赤土を用いた。個体数は、40〜52個体/区画、2〜3区画/区とした。基肥として被覆肥料(窒素13%、リン酸11%、カリウム13%含有)を10a当たり窒素が50kgとなるよう施用した。播種22日後、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸0.06ppmを含む水溶液を10a当たり1000L、2回散布した。播種42日後、地上部新鮮重量を調べた。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示した通り、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸処理区の地上部新鮮重量は対照区に比べて19%増加し、植物成長促進効果が認められた。
【0051】
〔実施例3〕5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸のハツカダイコン成長促進効果
ハツカダイコンをポットに播種して栽培した。土壌は肥料成分(窒素180mg/L、リン酸120mg/L、カリウム220mg/L)を含む滅菌済培養土を用いた。個体数は4個体/ポット、4ポット/区とした。播種15日後および21日後に、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸0.06ppm又は0.6ppmを含む水溶液を10a当たり200L散布した。播種28日後、可食部新鮮重量を調べた。
【0052】
【表3】
【0053】
表3に示した通り、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸処理区の可食部新鮮重量は対照区に比べて3〜15%増加し、植物成長促進効果が認められた。
【0054】
〔実施例4〕5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸のシュンギク成長促進効果
シュンギクをポットに播種して栽培した。土壌は肥料成分(窒素180mg/L、リン酸120mg/L、カリウム220mg/L)を含む滅菌済培養土を用いた。個体数は4個体/ポット、4ポット/区とした。播種後4、5、6、7週目に、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸0.06ppm又は0.6ppmを含む水溶液を10a当たり200L散布した。播種後8週目に地上部新鮮重量を調べた。
【0055】
【表4】
【0056】
表4に示した通り、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸処理区の地上部新鮮重量は対照区に比べて9〜12%増加し、植物成長促進効果が認められた。
【0057】
〔実施例5〕5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸のブロッコリー成長促進効果
市販の苗をポットに定植して栽培した。土壌は肥料成分(窒素180mg/L、リン酸120mg/L、カリウム220mg/L)を含む滅菌済培養土を用いた。個体数は1個体/ポット、4ポット/区とした。定植後2週目から10週目まで毎週、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸0.6ppmを含む水溶液を10a当たり200L散布した。定植後11週目に可食部新鮮重量を調べた。
【0058】
【表5】
【0059】
表5に示した通り、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸処理区の可食部新鮮重量は対照区に比べて6%増加し、植物成長促進効果が認められた。